<第1実施形態>
図1は、第1実施形態におけるデジタルカメラ10の電気的構成を示している。このデジタルカメラ10は、予め設定された撮影条件を用いて静止画像の撮影(静止画撮影)や動画像の撮影(動画撮影)を実行する他、残像効果を付与した動画撮影を実行することができる。以下、動画撮影時に、予め設定されたフレームレートに基づいて連続的に得られる各画像をフレーム画像と称して説明する。なお、上述した残像効果を付与した動画撮影については、ここでは詳細は後述するが、各フレーム画像の取得時に、各画素にて光電変換される信号電荷の一部を残して読み出す処理や、次のフレーム画像の取得時に残留させた信号電荷を用いた処理が実行される。以下、第1実施形態では、各画素のフォトダイオードに信号電荷の一部を残留させながら各フレーム画像を取得することで、残像効果を付与した動画撮影を実行する場合について説明する。
周知のように、デジタルカメラ10は、撮像光学系15によって取り込まれた被写体光を撮像素子16に設けられた複数の画素毎に光電変換し、各画素における光電変換により得られる信号電荷を画像信号として取得する。
撮像光学系15は、図示を省略したズームレンズやフォーカスレンズなどを含むレンズ群から構成される。これらズームレンズやフォーカスレンズは図示を省略したレンズ駆動機構によって光軸L方向に移動する。撮像素子16は、CMOSイメージセンサが用いられる。なお、撮像素子16の構成については後述する。この撮像素子16は、タイミングジェネレータ(TG)17から出力される制御信号に基づいて動作する。
AFE(Analog Front End)回路18は、撮像素子16から出力される画像信号に対して相関二重サンプリング処理やゲインコントロール処理などを施した後、アナログの画像信号をデジタルの画像信号に変換する。デジタルの画像信号は、DFE回路18に出力される。
DFE(Digital Front End)回路19は、AFE回路18から出力される画像信号に対して欠陥補正処理やノイズ補正処理を行う。このDFE回路19によって欠陥補正処理やノイズ補正処理が施された画像信号はバッファメモリ25に書き込まれる。
画像処理回路30は、バッファメモリ25に記憶される画像信号に対して、ホワイトバランス(WB)処理、色補間処理、輪郭補償処理、ガンマ処理などの画像処理を施す。これら処理の後、画像処理回路30は、予め設定された圧縮率を用いた圧縮符号化処理を施す。この圧縮符号化処理が実行されることで、例えばJPEG方式の画像データが生成される。
接続I/F32は、メモリカードや光学ディスク、或いは磁気ディスクなどの記憶媒体33が接続される。この接続I/F32を介して、記録媒体33への画像データの記録や、記憶媒体33からの画像データの読み出しが実行される。
表示装置35は、LCDや、有機ELディスプレイなどから構成される。この表示装置35は、スルー画像、撮影時に得られた画像やデジタルカメラ10の設定を行う際の設定用の画像を表示する。なお、符号36は、表示装置35の駆動制御を行う表示制御回路である。
CPU41は、バス42を介して、バッファメモリ25、画像処理回路30、接続I/F32、表示制御回路36、内蔵メモリ43などと電気的に接続される。このCPU41は、内蔵メモリ43に記憶された制御プログラムに基づいて、デジタルカメラ10の各部を制御する。また、CPU41は、レリーズボタン45、残像付与ボタン46、設定操作部47などの操作部材からの操作信号に基づいた処理を実行する。
レリーズボタン45は、撮影時にユーザにより操作されるボタンである。このレリーズボタン45は、例えば全押し操作されたときに、CPU41によるAE処理やAF処理などの後、撮像処理が実行されるものであってもよいし、半押し操作されたときに上述したAE処理やAF処理などが実行され、全押し操作されたときにAE処理やAF処理に基づいた撮像処理を実行するものであってもよい。
残像付与ボタン46は、取得されるスルー画像や、動画像、或いは連続撮影により得られる静止画像に対して残像効果を付与する場合、或いは残像効果の付与を停止する場合に操作されるボタンである。この残像付与ボタン46を操作することで、撮像素子16の駆動制御が変更される。なお、動画撮影を行う直前に、この残像付与ボタン46を操作することで、残像効果を付与する動画撮影を行うか否かを切り替えるようにしてもよいし、動画撮影中に残像付与ボタン46を操作することで実行している動画撮影を、残像効果を付与する動画撮影とするか否かを切り替えるようにしてもよい。また、残像付与ボタン46の操作により残像効果を付与する動画撮影を行うか否かを切り替えているが、この他に、設定操作部47の操作により予め残像効果を付与する撮影を行うか否かを設定しておき、残像付与ボタン46の操作により、残像効果を付与する、又は残像効果の付与を停止するようにしてもよい。
図2に示すように、撮像素子16は、二次元状に配列された複数の画素Aij(i=1,2,・・、j=1,2,・・・)、垂直走査回路51、水平走査回路52、垂直線選択用トランジスタ53、カラムアンプ54、CDS回路55及び出力アンプ56を備えている。なお、垂直走査回路51、水平走査回路52及びCDS回路55は、それぞれタイミングジェネレータ17からの制御信号に基づいて動作する。
複数の画素Aijは、光電変換によって信号電荷を生成するフォトダイオード(PD)61、フォトダイオード61により生成された信号電荷を電圧として蓄積するフローティングディフュージョン(FD)62、フォトダイオード61に蓄積された信号電荷をフローティングディフュージョン62に転送する転送トランジスタ(TX−Tr)63、ゲートがフローティングディフュージョン62と接続されてフローティングディフュージョン62の電位変動を電気信号に変換する増幅トランジスタ(AMI−Tr)64、信号電荷を読み出す画素を行単位で選択するための選択トランジスタ(SEL−Tr)65、フローティングディフュージョン62の電位を電源電位にリセットするためのリセットトランジスタ(FDRST−Tr)66を有している。
複数の画素Aijは、垂直走査回路21から水平方向に延びる複数の信号線71,72,73,74によって電気的にそれぞれ接続される。これら複数の信号線のうち、信号線71は転送用の信号線、信号線72はリセット用の信号線、信号線73は行選択用の信号線、信号線74は電源用の信号線である。また、信号線75は垂直信号線である。
垂直走査回路51は、タイミングジェネレータ17からの制御信号を受けて、転送信号、リセット信号、選択信号などを各画素Aijに出力する。また、水平走査回路52は、垂直線選択トランジスタ53に列選択信号を出力する。
垂直線選択用トランジスタ53は、水平走査回路52からの選択信号を受けてオンとなり、読み出し対象となる列に配置されている画素Aijの画素信号をカラムアンプ54に入力させる。このカラムアンプ54により増幅された画素信号は、CDS回路55に入力される。CDS回路55は、入力される画素信号に対して相関二重サンプリング処理を施すことで、各画素に設けられたトランジスタのばらつきによるノイズ成分を除去する。なお、このCDS回路55から出力される画素信号は、水平信号線76、出力アンプ56を介して出力される。なお、全ての画素から出力される画素信号をまとめたものが画像信号となる。
次に、動画撮影時のデジタルカメラの撮像処理について説明する。このデジタルカメラの撮像処理では、走査ライン毎に順次シャッタを切る、所謂、ローリングシャッタ方式を用いた撮像処理が実行される。この撮像処理が実行されると、残像効果を付与する動画撮影を行うモード、又は残像効果を付与しない一般的な動画撮影(以下、通常の動画撮影)を行うモードに関係なく、(1)画素リセット処理、(2)電荷蓄積処理、(3)電荷転送処理、(4)電荷読出処理が、二次元に配列された複数の画素のうち、各行に配列された画素毎、つまり走査ライン毎に実行される。
(1)画素リセット処理
動画撮影が開始されると、通常の動画撮影を行うモードであれば、垂直走査回路51は、タイミングジェネレータ17からの制御信号を受けて、転送信号及びリセット信号を転送信号、リセット信号の順で出力する。転送信号を受けると、転送トランジスタ63がオンとなる。この状態でリセット信号が出力されることで、リセットトランジスタ68がオンとなり、フォトトランジスタ61及びフローティングディフュージョン62にリセット電圧が印加される。これにより、フォトトランジスタ61及びフローティングディフュージョン62がリセットされる。
なお、残像効果を付与する動画撮影を行うモードの場合には、撮影が開始された直後に得られる1フレーム目のフレーム画像については、通常の動画撮影を行うモードと同様の処理が実行される。そして、2フレーム目以降のフレーム画像を取得する場合には撮像素子16の制御が変更される。詳細には、垂直走査回路51は、上述した信号のうち、転送信号を出力せずに、リセット信号のみを出力する。つまり、2フレーム目以降のフレーム画像の取得時には、フローティングディフュージョン62のみがリセットされ、フォトダイオード61に蓄積される信号電荷はリセットされずに、そのまま残留する。
(2)電荷蓄積処理
被写体光は、撮像光学系15を介して撮像素子16の各画素Aijに対して入射されている。フォトダイオード61は、被写体光を受光し、受光した被写体光を光電変換する。なお、光電変換された信号電荷はフォトダイオード61に蓄積されていく。
(3)電荷転送処理
垂直走査回路51は、タイミングジェネレータ17からの制御信号を受けて転送信号を出力する。この転送信号の出力により転送トランジスタ63がオンとなるので、フォトダイオード61に蓄積された信号電荷がフローティングディフュージョン62に転送される。ここで、転送トランジスタ63がオンとなる時間、言い換えれば、信号電荷がフォトダイオード61からフローティングディフュージョン62に転送される時間(転送時間)は一定時間である。つまり、フォトダイオード61からフローティングディフュージョン62に転送される単位時間当たりの転送量(転送速度)は、蓄積された信号電荷の電荷量に比例して速くなる。
例えば通常の動画撮影を行うモードが選択された場合の転送時間T0とした場合、残像効果を付与する動画撮影を行うモードが選択された場合の転送時間T1は、T1=αT0(係数α<1)となるように設定される。なお、転送時間T0は、フォトダイオード61に蓄積された全ての信号電荷をフローティングディフュージョン62に転送するための時間である。また、係数αは、フォトダイオード61に蓄積された信号電荷の一部を、フローティングディフュージョン62に転送せずにフォトダイオード61に残留させるための係数であり、その値が1に近いほど残留させる信号電荷の電荷量が少なくなる。つまり、フォトダイオード61に残留させる信号電荷量が少なければ少ないほど、各フレーム画像に対する残像効果が低くなる。
以下では、係数αをα=0.9に設定した場合について説明する。なお、この係数αは、撮影前に得られるスルー画像の明るさ(輝度)や、動画撮影により得られたフレーム画像の明るさ(輝度)に基づいて自動的に決定されるものであってもよいし、ユーザの設定操作により決定されるものであってもよい。また、転送トランジスタ63がオンとなった直後は、フォトダイオード61からフローティングディフュージョン62に転送される信号電荷の転送速度は安定しないことから、信号電荷の転送時間T1が、転送速度が安定するまでの不足分を加味した値となるように係数αを設定することも可能である。
(4)電荷読出処理
垂直走査回路51は、タイミングジェネレータ17からの制御信号を受けて選択信号を出力する。この選択信号の出力により、選択トランジスタ65がオンとなり、フローティングディフュージョン62により変換された電圧が、増幅トランジスタ64、選択トランジスタ65を介して、画素信号として垂直信号線75に出力される。なお、この電荷読出処理では、タイミングジェネレータ17からの制御信号が水平走査回路52及びCDS回路55に出力されている。つまり、垂直信号線75に出力された画素信号は、垂直線選択用トランジスタ53を介して、カラムアンプ54に入力される。なお、カラムアンプ54に入力された画素信号は、カラムアンプ54により増幅された後、CDS回路55に入力される。CDS回路55は、入力される画素信号に対して相関二重サンプリング処理を施し、水平信号線76に出力する。水平信号線76に出力された画素信号は、出力アンプ56を介して出力される。
次に、残像効果を付与した動画撮影を行った場合の具体例を説明する。図3は、nフレーム目のフレーム画像FInから(n+6)フレーム目のフレーム画像FIn+6に対して、残像効果を付与した動画撮影を行った場合について示している。なお、被写体Vは、図3中左方から右方に向けて移動する動体とし、被写体Vの光量に基づく信号電荷の電荷量(以下、被写体Vにおける信号電荷の電荷量)が10e−、背景の光量に基づく信号電荷の電荷量(以下、背景における信号電荷の電荷量)が5e−となる場合について説明する。
まず、図3〜図5を用いて、画素Oについて説明する。画素リセット処理により、画素Oのフォトダイオード61及びフローティングディフュージョン62に残留する信号電荷がリセットされる。つまり、フォトダイオード61及びフローティングディフュージョン62の信号電荷の電荷量はそれぞれ0となる。取得されるフレーム画像FInにおいては、画素Oは被写体Vの領域に含まれる画素であることから、フォトダイオード61には被写体Vにおける信号電荷の電荷量10e−が蓄積される。上述したように、残像効果を付与した動画撮影では、電荷転送処理における信号電荷の転送時間が変更される、つまり、転送時間がT1(=0.9T0)に変更される。つまり、電荷転送処理が実行されると、フォトダイオード61に蓄積された信号電荷の電荷量10e−のうち、信号電荷の電荷量9e−がフローティングディフュージョン62に転送され、信号電荷の電荷量1e−がフォトダイオード61に残留する。最後に、電荷読出処理が実行されることで、フローティングディフュージョン61にて変換された信号電荷(電荷量9e−)に基づく電圧が画素信号として出力される。
この状態で、次のフレーム画像FIn+1が取得される。フレーム画像FIn+1においても、画素Oは被写体Vの領域に含まれる画素となる。なお、フレーム画像FIn+1の取得時には、フォトダイオード61に信号電荷の電荷量1e−が残留された状態で、電荷蓄積処理が行われる。この電荷蓄積処理が実行されることで、フォトダイオード61に蓄積される信号電荷の電荷量は11e−となる。そして、本実施形態においては、電荷転送処理が実行されると、フォトダイオード61に蓄積された信号電荷の電荷量11e−のうち、信号電荷の電荷量9.9e−がフォトダイオード61からフローティングディフュージョン62に転送され、信号電荷の電荷量1.1e−がフォトダイオード61に残留する。なお、上述および後述される本実施形態におけるこれら数値においては、本実施形態を具体的に説明するために用いる一例でありこれら数値に限るものではない。最後に、電荷読出処理が実行されることで、フローティングディフュージョン61にて変換された信号電荷(電荷量9.9e−)に基づく電圧が画素信号として出力される。
さらに、フレーム画像FIn+2が取得された場合も、フレーム画像FIn+1と同様に、画素Oは、被写体Vの領域に含まれる画素となる。このフレーム画像FIn+2の取得時には、フォトダイオード61に信号電荷の電荷量1.1e−が残留された状態で、電荷蓄積処理が行われる。この電荷蓄積処理が実行されることで、フォトダイオード61に蓄積される信号電荷の電荷量は11.1e−となる。そして、電荷転送処理が実行されると、フォトダイオード61に蓄積された信号電荷の電荷量11.1e−のうち、信号電荷の電荷量9.99e−がフローティングディフュージョン62に転送され、信号電荷の電荷量1.11e−がフォトダイオード61に残留する。最後に、電荷読出処理が実行されることで、フローティングディフュージョン61にて変換された信号電荷(電荷量9.99e−)に基づく電圧が画素信号として出力される。
フレーム画像FIn+3が取得されるときには、画素Oは、被写体Vの領域に含まれる画素ではなく、背景の領域に含まれる画素となる。このフレーム画像FIn+3の取得時には、フォトダイオード61に信号電荷の電荷量1.1e−が残留された状態で電荷蓄積処理が行われる。上述したように、背景における信号電荷の電荷量は5e−であることから、電荷蓄積処理が実行されることで、フォトダイオード61に蓄積される信号電荷の電荷量は6.11e−となる。そして、電荷転送処理が実行されると、フォトダイオード61に蓄積された信号電荷の電荷量6.11e−のうち、信号電荷の電荷量5.499e−がフローティングディフュージョン62に転送され、信号電荷の電荷量0.611e−がフォトダイオード61に残留する。最後に、電荷読出処理が実行されることで、フローティングディフュージョン61にて変換された信号電荷(電荷量5.499e−)に基づく電圧が画素信号として出力される。
このフレーム画像FIn+3の後に取得されるフレーム画像FIn+4においては、フレーム画像FIn+3と同様に、画素Oは背景の領域に含まれる画素となる。このフレーム画像FIn+4の取得時には、フォトダイオード61に信号電荷の電荷量0.611e−が残留された状態で電荷蓄積処理が行われる。この電荷蓄積処理が実行されることで、フォトダイオード61に蓄積される信号電荷の電荷量は5.611e−となる。そして、電荷転送処理が実行されると、フォトダイオード61に蓄積された信号電荷の電荷量5.611e−のうち、信号電荷の電荷量5.0499e−がフローティングディフュージョン62に転送され、信号電荷の電荷量0.5611e−がフォトダイオード61に残留する。最後に、電荷読出処理が実行されることで、フローティングディフュージョン61にて変換された信号電荷(電荷量5.0499e−)に基づく電圧が画素信号として出力される。
同様にして、フレーム画像FIn+5においても、画素Oは、背景の領域に含まれる画素となる。このフレーム画像FIn+5の取得時には、フォトダイオード61に信号電荷の電荷量0.5611e−が残留された状態で電荷蓄積処理が行われる。この電荷蓄積処理が実行されることで、フォトダイオード61に蓄積される信号電荷の電荷量は5.5611e−となる。そして、電荷転送処理が実行されると、フォトダイオード61に蓄積された信号電荷の電荷量5.5611e−のうち、信号電荷の電荷量5.00499e−がフローティングディフュージョン62に転送され、信号電荷の電荷量0.55611e−がフォトダイオード61に残留する。最後に、電荷読出処理が実行されることで、フローティングディフュージョン61にて変換された信号電荷(電荷量5.00499e−)に基づく電圧が画素信号として出力される。
さらに、フレーム画像FIn+6の場合、信号電荷の電荷量0.55611e−が残留した状態で、電荷蓄積処理が実行される。つまり、フォトダイオード61に蓄積される信号電荷の電荷量は、5.55611e−となる。この場合、フォトダイオード61に蓄積された信号電荷の電荷量5.55611e−のうち、信号電荷の電荷量5.000499e−がフローティングディフュージョン62に転送され、信号電荷の電荷量0.555611e−がフォトダイオード61に残留する。最後に、電荷読出処理が実行されることで、フローティングディフュージョン61にて変換された信号電荷(電荷量5.000499e−)に基づく電圧が画素信号として出力される。
このように、画素Oから出力される各フレーム画像における信号電荷の電荷量(読出光量)は、9e−→、9.9e−→9.99e−→5.499e−→5.0499e−→5.00499e−→5.000499e−と変化し、背景の領域における光量に基づく電荷量5e−に収束していく。つまり、フレーム画像FIn+3以降のフレーム画像において、残像効果が徐々に低減されていることから、フレーム画像FIn+3以降のフレーム画像において、残像効果を適切に付与することができる。
次に、画素Pについて、図3、図6及び図7を用いて説明する。フレーム画像FIn及びフレーム画像FIn+1の取得時においては、画素Pは被写体Vの領域に含まれる画素であることから、これらフレーム画像の取得時に読み出される信号電荷の電荷量や、フォトダイオード61に残留する信号電荷の電荷量は、画素Oと同一の値となる。フレーム画像FIn+2の取得時には、画素Pは、被写体Vの領域ではなく、背景の領域に含まれる画素となる。このため、電荷蓄積処理では、背景における信号電荷の電荷量5e−がフォトダイオード61に蓄積される。つまり、本実施形態においては、フォトダイオード61には、信号電荷の電荷量6.1e−が蓄積される。電荷蓄積処理の後の電荷転送処理が実行されることで、フォトダイオード61に蓄積される信号電荷の電荷量6.1e−のうち、信号電荷の電荷量5.49e−がフローティングディフュージョン62に転送され、信号電荷の電荷量0.61e−がフォトダイオード61に残留する。最後に、電荷読出処理が実行されることで、フローティングディフュージョン61にて変換された信号電荷(電荷量5.49e−)に基づく電圧が画素信号として出力される。
なお、本実施形態においては、フレーム画像FIn+3以降(フレーム画像FIn+3、フレーム画像FIn+4、フレーム画像FIn+5及びフレーム画像FIn+6)においては、画素Pは背景の領域に含まれる画素となることから、フレーム画像FIn+2と同様に、背景の領域の光量に基づく電荷量5e−がフォトダイオード61にて受光され、フォトダイオード61に蓄積される信号電荷の90%がフローティングディフュージョン62に転送され、残りの10%がフォトダイオード61に残留する。そして、電荷読出処理が実行されることで、フローティングディフュージョン61にて変換された信号電荷に基づく電圧が画素信号として出力される。
このように、画素Pから出力される各フレーム画像における信号電荷の読出光量は、9e−→、9.9e−→5.49e−→5.049e−→5.0049e−→5.00049e−→5.000049e−と変化し、背景の領域における光量に基づく電荷量5e−に収束していく。つまり、画素Pは、フレーム画像FIn+2以降のフレーム画像において、残像効果が徐々に低減されていることから、フレーム画像FIn+2以降のフレーム画像において、残像効果を適切に付与することができる。
最後に、画素Qについて、図3、図8及び図9を用いて説明する。この画素Qは、被写体Vの領域ではなく、背景の領域に含まれる画素である。つまり、本実施形態においては、この画素Qには、各フレーム画像の取得時には、背景の領域における光量に基づく電荷量5e−が、フォトダイオード61に蓄積され、この画素Qにおいても、画素O、画素Pと同一の処理が実行されることから、フォトダイオード61に蓄積される信号電荷の90%がフローティングディフュージョン62に転送され、残りの10%がフォトダイオード61に残留する。そして、電荷読出処理が実行されることで、フローティングディフュージョン61にて変換された信号電荷に基づく電圧が画素信号として出力される。なお、この画素Qから出力される各フレーム画像における信号電荷の読出光量は、4.5e−→、4.95e−→4.995e−→4.9995e−→4.99995e−→4.999995e−→4.9999995e−と背景の領域における光量に基づく電荷量5e−に収束する。なお、この画素Qは、動画撮影時には背景の領域に含まれる画素となることから、この画素Qにおいては、残像効果が付与されないことがわかる。
このようにして、撮像素子16から出力される画像信号は、残像効果が付与された画像信号となる。図10に示すように、取得された動画像を表示すると、移動する被写体に対しては適切な残像効果が付与され、背景の領域には、残像効果は付与されない動画像として表示される。これによれば、通常の動画撮影により得られた複数のフレーム画像を合成する処理を行わなくとも、撮像素子16に対する制御を変更するだけで、残像効果を付与した動画像を容易に取得することができる。また、画像処理回路30においては、通常の動画像に対する画像処理を行えば済むので、画像処理回路30における処理負荷を増加させなくて済む。
第1実施形態では、残像効果を付与する動画撮影を開始した直後のフレーム画像において、各画素から読み出される光量に基づく信号電荷の電荷量が実際の電荷量よりも低くなっていることから、残像効果を付与する動画撮影の開始から得られる2,3フレーム目までのフレーム画像は記録せずに削除することも可能である。
また、残像効果を付与する動画撮影の開始から得られる2,3フレーム目までのフレーム画像を削除せずに、フレーム画像における各画素の画素値(撮像素子16の各画素から出力される画素信号の出力値)を増幅させることも可能である。この場合、上述したカラムアンプ54や出力アンプ56において各画素の画素値を増幅させる、AFE回路18におけるゲインコントロール処理によって各画素の画素値を増幅させる、或いは画像処理回路30における階調変換処理などの際に、2,3フレーム目までのフレーム画像に対して階調値を補正するなどの処理のいずれかを行えばよい。
第1実施形態では、撮像素子の各画素に信号電荷を残留させる一形態として、フォトダイオード61に信号電荷の一部を残留させる場合を挙げて説明したが、これに限定される必要はなく、撮像素子の各画素のフローティングディフュージョンを複数設け、複数のフローティングディフュージョンのいずれかに信号電荷を残留させることも可能である。以下、撮像素子に設けられた複数のフローティングディフュージョンのいずれかに信号電荷を残留させる場合について、第2実施形態として説明する。
<第2実施形態>
なお、第2実施形態におけるデジタルカメラにおいては、撮像素子以外の構成は同一となる。以下、第2実施形態においては、第1実施形態に示す撮像素子16の代わりに、図に示す撮像素子81が用いられる。以下、第1実施形態と同様の構成については、同一の符号を付して説明する。
図11に示すように、撮像素子81は、二次元状に配列された複数の画素Bij(i=1,2,・・、j=1,2,・・・)、垂直走査回路82、水平走査回路83、垂直線選択用トランジスタ84、カラムアンプ85、CDS回路86及び出力アンプ87を備えている。なお、垂直走査回路82、水平走査回路83及びCDS回路85は、それぞれタイミングジェネレータ17からの制御信号に基づいて作動する。
これら複数の画素Bijは、フォトダイオード(PD)91、フローティングディフュージョン(FD1)92、フローティングディフュージョン(FD2)93、フローティングディフュージョン(FD3)94、転送トランジスタ(TX−Tr)95、スイッチングトランジスタ(SW1)96、スイッチングトランジスタ(SW2)97、スイッチングトランジスタ(SW3)98、増幅トランジスタ(AMI−Tr)99、選択トランジスタ(SEL−Tr)100、リセットトランジスタ(FDRST−Tr)101から構成される。なお、フローティングディフュージョン92、フローティングディフュージョン93、フローティングディフュージョン94の容量比は、例えば9:1:1となるように、各フローティングディフュージョンが設定される。なお、各フローティングディフュージョンの容量比は一例であり、適宜設定されるものとする。
複数の画素Bijは、垂直走査回路82から水平方向に延びる複数の信号線102,103,104,105,106,107,108によって電気的にそれぞれ接続される。これら複数の信号線のうち、信号線102は転送用の信号線、信号線103はリセット用の信号線、信号線104,105,106は、スイッチングトランジスタ96,97,98のオンオフを個別に切り替える切替用の信号線、信号線107は行選択用の信号線、信号線108は電源用の信号線である。また、信号線109は垂直信号線である。
垂直走査回路82は、タイミングジェネレータ17からの制御信号を受けて、転送信号、リセット信号、切替信号、行選択信号などを各画素Bijに出力する。また、水平走査回路83は、垂直線選択トランジスタ84に列選択信号を出力する。以下、スイッチングトランジスタ96に対する切替信号を第1切替信号、スイッチングトランジスタ97に対する切替信号を第2切替信号、スイッチングトランジスタ98に対する切替信号を第3切替信号と称して説明する。
垂直線選択用トランジスタ84は、水平走査回路83からの選択信号を受けてオンとなり、読み出し対象となる列に配置されている画素Bijの画素信号をカラムアンプ85に入力させる。このカラムアンプ85により増幅された画素信号は、CDS回路86に入力される。CDS回路86は、入力される画素信号に対して相関二重サンプリング処理を施すことで、各画素に設けられたトランジスタのばらつきによるノイズ成分を除去する。なお、このCDS回路86から出力される画素信号は、水平信号線110、出力アンプ87を介して出力される。
次に、動画撮影時のデジタルカメラの撮像処理について説明する。このデジタルカメラの撮像処理では、走査ライン毎に順次シャッタを切る、所謂、ローリングシャッタ方式を用いた撮像処理が実行される。なお、通常の動画撮影を行うモードが選択されている場合には、撮像処理として、画素リセット処理、電荷蓄積処理、電荷転送処理、電荷読出処理が実行される。
画素リセット処理が実行されると、垂直走査回路82から転送信号、第1切替信号、第2切替信号、第3切替信号、リセット信号を順次出力される。転送信号が出力されることで転送トランジスタがオンとなり、第1〜第3切替信号が出力されることでスイッチングトランジスタ96,97,98がそれぞれオンとなる。この状態でリセット信号が出力されると、リセットトランジスタ95がオンとなり、フォトダイオード91及びフローティングディフュージョン92,93,94のそれぞれにリセット電圧が印加される。これにより、フォトダイオード91及びフローティングディフュージョン92,93,94がリセットされる。
画素リセット処理の後に、実行される電荷蓄積処理においては、第1実施形態の電荷蓄積処理と同様にして、フォトダイオード91により光電変換が実行され、光電変換により生成される信号電荷が蓄積されていく。
電荷転送処理が実行されると、垂直走査回路82は第1切替信号を出力し、スイッチングトランジスタ96をオンにする。その後、垂直走査回路82は転送信号を出力し、転送トランジスタをオンにする。これにより、フォトダイオード91に蓄積された信号電荷がフローティングディフュージョン92に転送される。
電荷読出処理が開始されると、垂直走査回路82は、第1切替信号を出力する。同時に垂直走査回路82は行選択信号を出力し、選択トランジスタ96をオンにする。これにより、フローティングディフュージョン92により転送された信号電荷に基づく画素信号が垂直信号線109に出力される。水平走査回路83は、選択信号を出力するので、水力信号線109に出力された画素信号が、カラムアンプ85に入力される。なお、カラムアンプ85に入力された画素信号は、カラムアンプ85により増幅された後、CDS回路86に入力される。CDS回路86は、入力される画素信号に対して相関二重サンプリング処理を施し、水平信号線110に出力する。水平信号線110に出力された画素信号は、出力アンプ87を介して出力される。
なお、通常の動画撮影においては、フローティングディフュージョン92にのみ信号電荷を転送させているが、これに限定される必要はなく、全てのフローティングディフュージョン92,93,94に対して信号電荷を転送し、これらフローティングディフュージョン92,93,94に転送された信号電荷を電荷読出処理時に画素信号としてよみだすことも可能である。
一方、残像効果を付与する動画撮影を実行するモードが選択されている場合には、(5)画素リセット処理、(6)電荷蓄積処理、(7)電荷転送処理、(8)電荷分配処理、(9)電荷読出処理が走査ライン毎に順次実行される。
(5)画素リセット処理
残像効果を付与する動画撮影においても、通常の動画撮影と同様に、画素リセット処理が実行される。残像効果を付与する動画撮影が開始された直後、言い換えれば1フレーム目のフレーム画像を取得する場合には、通常の動画撮影と同様の処理が実行される。
動画撮影が開始されてから2フレーム目以降のフレーム画像を取得する場合、画素リセット処理が変更される。つまり、垂直走査回路82は上述した第1切替信号、第2切替信号、第3切替信号、リセット信号のうち、第3切替信号以外の信号を出力する。つまり、2フレーム目以降のフレーム画像の取得時には、フォトトランジスタ91、フローティングディフュージョン92,93がリセット処理され、フローティングディフュージョン94はリセットされない。つまり、フローティングディフュージョン94に転送された信号電荷は、そのまま残留される。
(6)電荷蓄積処理
残像効果を付与する動画撮影においても、通常の動画撮影と同一の電荷蓄積処理が実行される。
(7)電荷転送処理
垂直走査回路82は、タイミングジェネレータ17からの制御信号を受けて、第1切替信号及び第2切替信号を出力する。これを受けて、スイッチングトランジスタ96,97がそれぞれオンとなる。これら切替信号が出力された後、垂直走査回路82は転送信号を出力する。この転送信号の出力により転送トランジスタ95がオンとなるので、フォトダイオード91に蓄積された信号電荷がフローティングディフュージョン92,93にそれぞれ転送される。なお、フローティングディフュージョン92及びフローティングディフュージョン93の容量比は、9:1に設定されていることから、フォトダイオード91に蓄積される信号電荷の電荷量の90%がフローティングディフュージョン92に転送され、フォトダイオード91に蓄積される信号電荷の電荷量の10%がフローティングディフュージョン93に転送される。
(8)電荷分配処理
上述したように、電荷転送処理が行われることで、フローティングディフュージョン93に信号電荷が転送されている。垂直走査回路82は、タイミングジェネレータ17からの制御信号を受けて、第2切替信号及び第3切替信号を出力する。これにより、スイッチングトランジスタ97及びスイッチングトランジスタ98がそれぞれオンとなる。上述した電荷転送処理が終了した直後においては、フローティングディフュージョン93には信号電荷が蓄積され、フローティングディフュージョン94には信号電荷は転送されていない。第2切替信号及び第3切替信号の出力により、スイッチングトランジスタ97及びスイッチングトランジスタ98がオンとなると、フローティングディフュージョン93,94がそれぞれ等電位となる。これらフローティングディフュージョン93及びフローティングディフュージョン94の容量比は1:1であることから、フローティングディフュージョンに転送される信号電荷の電荷量が等しくなるまで、フローティングディフュージョン93からフローティングディフュージョン94へ信号電荷が転送される。これにより、信号電荷がフローティングディフュージョン93からフローティングディフュージョン94に分配される。なお、この処理が終了すると、上述した各信号の出力が停止される。
(9)電荷読出処理
垂直走査回路82は、タイミングジェネレータ17からの制御信号を受けて、第1切替信号、第2切替信号を出力する。これにより、スイッチングトランジスタ96,97がそれぞれオンとなる。これら切替信号が出力された後、垂直走査回路82は行選択信号を出力する。この行選択信号の出力により、選択トランジスタ100がオンとなり、フローティングディフュージョン92及びフローティングディフュージョン93に蓄積される信号電荷が画素信号として垂直信号線109に出力される。なお、この電荷読出処理では、タイミングジェネレータ17からの制御信号が水平走査回路83及びCDS回路86に出力されている。つまり、垂直信号線109に出力された画素信号は、垂直線選択用トランジスタ84を介して、カラムアンプ85に入力される。なお、カラムアンプ85に入力された画素信号は、カラムアンプ85により増幅された後、CDS回路86に入力される。CDS回路86は、入力される画素信号に対して相関二重サンプリング処理を施し、水平信号線110に出力する。水平信号線110に出力された画素信号は、出力アンプ87を介して出力される。
次に、残像効果を付与した動画撮影を行った場合の具体例を説明する。なお、第2実施形態の残像効果を付与した動画撮影は、第1実施形態と同様に、被写体Vが図3中左方から右方に向けて移動する動体とし、被写体Vにおける信号電荷の電荷量が10e−、背景における信号電荷の電荷量が5e−となる場合を例に取り上げて説明する。
まず、図3、図12及び図13を用いて、画素Oについて説明する。画素リセット処理により、画素Oのフォトダイオード91及びフローティングディフュージョン92,93,94に残留する信号電荷がリセットされる。つまり、フォトダイオード91及びフローティングディフュージョン92,93,94の信号電荷の電荷量はそれぞれ0となる。取得されるフレーム画像FInにおいて、画素Oは被写体Vの領域に含まれる画素である。つまり、電荷蓄積処理が実行されると、フォトダイオード91には被写体Vにおける信号電荷の電荷量10e−が蓄積される。この処理の後、電荷転送処理が実行されると、フォトダイオード91に蓄積された信号電荷は、フローティングディフュージョン92,93に転送される。このとき、フローティングディフュージョン92及びフローティングディフュージョン93の容量比は9:1であることから、フォトダイオード91に蓄積される信号電荷の電荷量10e−のうち、信号電荷の電荷量9e−がフローティングディフュージョン92に転送され、信号電荷の電荷量1e−がフローティングディフュージョン93に転送される。
電荷分配処理が実行されると、フローティングディフュージョン93,94が等電位になることから、それぞれのフローティングディフュージョン93からフローティングディフュージョン94に信号電荷が分配(転送)される。つまり、フローティングディフュージョン93及びフローティングディフュージョン94には、電荷量0.5e−の信号電荷に基づく電圧がそれぞれ蓄積される。最後に、電荷読出処理が実行されることで、フローティングディフュージョン92,93に転送された信号電荷(電荷量9.5e−)に基づく電圧が画素信号として出力される。なお、フローティングディフュージョン94に分配された電荷量0.5e−の信号電荷は、そのまま残留する。
この状態で、次のフレーム画像FIn+1が取得される。フレーム画像FIn+1においても、画素Oは被写体Vの領域に含まれる画素となる。なお、このフレーム画像FIn+1を取得する際に実行される電荷リセット処理では、フローティングディフュージョン94に対して電荷リセット処理は実行されない。この画素リセット処理の後に実行される電荷蓄積処理により、フォトダイオード91には、電荷量10e−の信号電荷が蓄積される。そして、電荷転送処理が実行されると、フォトダイオード91に蓄積された信号電荷の電荷量10e−のうち、信号電荷の電荷量9e−がフォトダイオード91からフローティングディフュージョン92に転送され、信号電荷の電荷量1e−がフォトダイオード91からフローティングディフュージョン93に転送される。この電荷蓄積処理が行われた直後において、フローティングディフュージョン93には電荷量1e−の信号電荷が、フローティングディフュージョン94には、電荷量0.5e−の信号電荷がそれぞれ蓄積されている。電荷分配処理が実行されると、フローティングディフュージョン93,94が等電位になることから、それぞれのフローティングディフュージョン93からフローティングディフュージョン94に信号電荷が分配(転送)される。この信号電荷の分配により、フローティングディフュージョン93及びフローティングディフュージョン94には電荷量0.75e−の信号電荷がそれぞれ蓄積される。最後に、電荷読出処理が実行されることで、フローティングディフュージョン92,93に転送された信号電荷(電荷量9.75e−)が画素信号として出力される。なお、フローティングディフュージョン94に分配された電荷量0.75e−の信号電荷は、そのまま残留する。
さらに、フレーム画像FIn+2が取得された場合も、フレーム画像FIn+1と同様に、画素Oは、被写体Vの領域に含まれる画素となる。このフレーム画像FIn+2の取得時には、フローティングディフュージョン94に電荷量0.75e−の信号電荷が残留された状態で、リセット処理、電荷蓄積処理、電荷転送処理が実行される。つまり、フォトダイオード91に蓄積された信号電荷の電荷量10e−のうち、信号電荷の電荷量9e−がフローティングディフュージョン92に転送され、信号電荷の電荷量1e−がフローティングディフュージョン93に転送される。その後の電荷分配処理が実行されることで、フローティングディフュージョン93及びフローティングディフュージョン94には、電荷量0.875e−の信号電荷が蓄積された状態となる。最後に、電荷読出処理が実行されることで、フローティングディフュージョン92,93に転送された信号電荷(電荷量9.875e−)が画素信号として出力される。なお、フローティングディフュージョン94に分配された電荷量0.875e−の信号電荷は、そのまま残留する。
フレーム画像FIn+3が取得されるときには、画素Oは、被写体Vの領域に含まれる画素ではなく、背景の領域に含まれる画素となる。このフレーム画像FIn+3の取得時には、このフレーム画像FIn+2の取得時には、フローティングディフュージョン94に電荷量0.875e−の信号電荷が残留された状態で、リセット処理、電荷蓄積処理、電荷転送処理が実行される。この場合、信号電荷の電荷量5e−がフォトダイオード91に蓄積される。この信号電荷の電荷量5e−のうち、信号電荷の電荷量4.5e−がフローティングディフュージョン92に転送され、信号電荷の電荷量0.5e−がフローティングディフュージョン93に転送される。その後の電荷分配処理が実行されることで、フローティングディフュージョン93及びフローティングディフュージョン94には、電荷量0.6875e−の信号電荷が蓄積された状態となる。最後に、電荷読出処理が実行されることで、フローティングディフュージョン92,93に転送された信号電荷(電荷量5.1875e−)が画素信号として出力される。なお、フローティングディフュージョン94に分配された電荷量0.6875e−の信号電荷は、そのまま残留する。
このフレーム画像FIn+3の後に取得されるフレーム画像FIn+4においては、フレーム画像FIn+3と同様に、画素Oは背景の領域に含まれる画素となる。このフレーム画像FIn+4の取得時には、フローティングディフュージョン94に信号電荷の電荷量0.6875e−が残留された状態で、リセット処理、電荷蓄積処理、電荷転送処理が実行される。この場合も、信号電荷の電荷量5e−がフォトダイオード91に蓄積される。この信号電荷の電荷量5e−のうち、信号電荷の電荷量4.5e−がフローティングディフュージョン92に転送され、信号電荷の電荷量0.5e−がフローティングディフュージョン93に転送される。その後の電荷分配処理が実行されることで、フローティングディフュージョン93及びフローティングディフュージョン94には、電荷量0.59375e−の信号電荷が蓄積された状態となる。最後に、電荷読出処理が実行されることで、フローティングディフュージョン92,93に転送される信号電荷(電荷量5.09375e−)が画素信号として出力される。なお、フローティングディフュージョン94に分配された電荷量0.59375e−の信号電荷は、そのまま残留する。
同様にして、フレーム画像FIn+5においても、フローティングディフュージョン94に信号電荷の電荷量0.59375e−が残留された状態でリセット処理、電荷蓄積処理、電荷転送処理及び電荷読出処理が実行される。このフレーム画像FIn+5の取得時には、上述した電荷分配処理により、電荷量0.546875e−の信号電荷がフローティングディフュージョン93及びフローティングディフュージョン94に蓄積される。この場合には、電荷読出処理によりフローティングディフュージョン92,93に転送された信号電荷(電荷量5.046875e−)が画素信号として出力される。なお、フローティングディフュージョン94に分配された電荷量0.546875e−の信号電荷は、そのまま残留する。また、フレーム画像FIn+6もフローティングディフュージョン94に信号電荷の電荷量0.546875e−が残留された状態でリセット処理、電荷蓄積処理、電荷転送処理及び電荷読出処理が実行される。このフレーム画像FIn+6の取得時には、上述した電荷分配処理により、電荷量0.5234375e−の信号電荷がフローティングディフュージョン93及びフローティングディフュージョン94に蓄積される。この場合には、電荷読出処理によりフローティングディフュージョン92,93に転送された信号電荷(電荷量5.0234375e−)が画素信号として出力される。なお、フローティングディフュージョン94に分配された電荷量0.5234375e−の信号電荷は、そのまま残留する。
このように、画素Oから出力される各フレーム画像における信号電荷の電荷量は、9.5e−→、9.75e−→9.9.875e−→5.1875e−→5.09375e−→5.046875e−→5.0234375e−と変化し、背景の領域における光量に基づく電荷量5e−に収束していく。つまり、フレーム画像FIn+3以降のフレーム画像において、残像効果が徐々に低減されていることから、フレーム画像FIn+3以降のフレーム画像において、残像効果を適切に付与することができる。
次に、画素Pについて、図3、図14及び図15を用いて説明する。フレーム画像FIn及びフレーム画像FIn+1の取得時においては、画素Pは被写体Vの領域に含まれる画素であることから、これらフレーム画像FIn,FIn+1の取得時に読み出される信号電荷の電荷量や、フローティングディフュージョン94に残留する信号電荷の電荷量(読出光量)は、画素Oと同一の値となる。フレーム画像FIn+2の取得時には、画素Pは、被写体Vの領域ではなく、背景の領域に含まれる画素となる。このため、電荷蓄積処理では、背景における信号電荷の電荷量5e−がフォトダイオード91に蓄積される。つまり、電荷転送処理が行われると、信号電荷の電荷量4.5e−がフローティングディフュージョン92に転送され、信号電荷の電荷量0.5e−がフローティングディフュージョン93に転送される。このとき、フローティングディフュージョン94には、信号電荷の電荷量0.75e−が蓄積されていることから、電荷分配処理によりフローティングディフュージョン93及びフローティングディフュージョン94に蓄積される信号電荷は、電荷量0.625e−となる。つまり、電荷読出処理が実行されると、フローティングディフュージョン92及びフローティングディフュージョン93に転送された信号電荷(電荷量5.125e−)が画素信号として出力される。このとき、フローティングディフュージョン94に蓄積される信号電荷は、そのまま残留される。
なお、フレーム画像FIn+3以降(フレーム画像FIn+3、フレーム画像FIn+4、フレーム画像FIn+5及びフレーム画像FIn+6)においては、画素Pは背景の領域に含まれる画素となることから、フレーム画像FIn+2と同様に、背景の領域の光量に基づく電荷量5e−がフォトダイオード91にて受光され、フォトダイオード91に蓄積される信号電荷の90%がフローティングディフュージョン92に転送され、残りの10%がフローティングディフュージョン93に転送される。その後、電荷分配処理により、フローティングディフュージョン93及びフローティングディフュージョン94に蓄積された信号電荷は、等しくされた後、電荷読出処理により、フローティングディフュージョン92及びフローティングディフュージョン93に蓄積された信号電荷に基づく電圧が画素信号として出力される。
このように、画素Pから出力される各フレーム画像における信号電荷の電荷量は、9.5e−→、9.75e−→5.125e−→5.0625e−→5.03125e−→5.015625e−→5.0078125e−と変化し、背景の領域における光量に基づく電荷量5e−に収束していく。つまり、画素Pは、フレーム画像FIn+2以降のフレーム画像において、残像効果が徐々に低減されていることから、フレーム画像FIn+2以降のフレーム画像において、残像効果を適切に付与することができる。
最後に、画素Qについて、図3、図16及び図17を用いて説明する。この画素Qは、被写体Vの領域ではなく、背景の領域に含まれる画素である。つまり、この画素Qには、各フレーム画像の取得時には、背景の領域における光量に基づく電荷量5e−が、フォトダイオード91に蓄積される。この画素Qにおいても、画素O、画素Pと同一の処理が実行されることから、フォトダイオード91に蓄積される信号電荷の90%がフローティングディフュージョン92に転送され、残りの10%がフローティングディフュージョン93に残留する。そして、電荷分配処理が行われることで、フローティングディフュージョン93及びフローティングディフュージョン94に蓄積される信号電荷が等しくされる。最後に、電荷読出処理によりフローティングディフュージョン92及びフローティングディフュージョン93に蓄積された信号電荷に基づく電圧が、画素信号として出力される。この画素Qから出力される各フレーム画像における信号電荷の電荷量は、4.75e−→、4.875e−→4.9375e−→4.96875e−→4.984375e−→4.9921875e−→4.99609375e−と背景の領域における光量に基づく電荷量5e−に収束する。なお、この画素Qは、動画撮影時には背景の領域に含まれる画素となることから、この画素Qにおいては、残像効果が付与されないことがわかる。
このようにして、撮像素子16から出力される画像信号は、残像効果が付与された画像信号となる。図10に示すように、取得された動画像を表示すると、移動する被写体に対しては適切な残像効果が付与され、背景の領域には、残像効果は付与されない動画像として表示される。つまり、撮像素子の各画素の構成、言い換えればフローティングディフュージョンの数を増やし、また、撮像素子16に対する制御を変更することで、残像効果を付与した動画像を容易に取得することができる。この場合も、通常の動画撮影により得られた動画像に対して残像効果を付与する画像処理を行わずに済む。これにより、画像処理回路30の処理負荷を増加させなくとも、残像効果を付与した動画像を容易に取得することが可能となる。
この第2実施形態においても、第1実施形態と同様に、残像効果を付与する動画撮影を開始した直後のフレーム画像において、各画素から読み出される光量に基づく信号電荷の電荷量が実際の電荷量よりも低くなっていることから、残像効果を付与する動画撮影の開始から得られる2,3フレーム目までのフレーム画像は記録せずに削除することも可能である。また、この他に、残像効果を付与する動画撮影の開始から得られる2,3フレーム目までのフレーム画像に対しては、例えば撮像素子81に設けられるカラムアンプ85や出力アンプ87において、その出力値を増幅させることも可能である。また、この他に、AFE回路18におけるゲインコントロール処理によって各画素からの出力値を増幅させることも可能である。さらに、画像処理回路30における階調変換処理などの際に、2,3フレーム目までのフレーム画像を補正することも可能である。
この第2実施形態では、フローティングディフュージョン94を、残留させる信号電荷を次のフレーム画像の取得時にまで蓄積させておく実施形態としているが、これに限定される必要はなく、フローティングディフュージョン93に蓄積される信号電荷を蓄積させることも可能である。また、この他に、フレーム画像毎に、次のフレーム画像の取得時まで残留させる信号電荷を蓄積させておくフローティングディフュージョンを切り替えることも可能である。
上述した第2実施形態では、各画素に設けられるフローティングディフュージョンの数を3個としているが、これに限定される必要はなく、各画素に設けられるフローティングディフュージョンは2個以上であればよい。なお、各画素に設けられるフローティングディフュージョンの数を2個とした場合には、上述した電荷分配処理を行う必要はない。例えば、画素に設けられるフローティングディフュージョンを、フローティングディフュージョンX、フローティングディフュージョンYとした場合、フローティングディフュージョンXとフローティングディフュージョンYの容量比を9:1とする。この場合、上述した電荷転送処理時にフォトダイオードに蓄積された信号電荷をフローティングディフュージョンX,Yに転送すると、フローティングディフュージョンXには90%の信号電荷が転送され、フローティングディフュージョンYには10パーセントの信号電荷が転送される。そして、電荷読出処理が実行されたときには、フローティングディフュージョンXに蓄積された信号電荷を画素信号として出力し、フローティングディフュージョンYに蓄積された信号電荷を残留させる。そして、次のフレーム画像を取得するときに、フォトダイオードに蓄積される信号電荷をフローティングディフュージョンX,Yのそれぞれに転送する。このとき、フローティングディフュージョンYに信号電荷が蓄積されている。また、フローティングディフュージョンX,Yには等電位となることから、フォトダイオードに蓄積される信号電荷とフローティングディフュージョンYに蓄積される信号電荷との総和が、容量比9:1となるようにフローティングディフュージョンX,Yに分配される。そして、電荷読出処理においてフローティングディフュージョンXに転送された信号電荷に基づく電圧を画素信号として出力すればよい。なお、フローティングディフュージョンYに転送された信号電荷は、次のフレーム画像の取得時まで残留される。
この場合も、撮像素子の各画素の構成、言い換えればフローティングディフュージョンの数を増やし、また、撮像素子16に対する制御を変更することで、残像効果を付与した動画像を容易に取得することができるので、画像処理による残像効果を付与する必要はなく、画像処理回路の処理負荷を低減させることができる。
第1実施形態及び第2実施形態においては、動画撮影を例に挙げているが、撮影待機状態のときに得られるスルー画像や、静止画像を連続的に撮影する、所謂連写撮影にて得られる画像を取得する場合にも、本発明を適用することができる。
第1実施形態及び第2実施形態における撮像装置として、CMOSイメージセンサを備えたデジタルカメラを挙げて説明しているが、これに限定される必要はなく、CCDイメージセンサを用いることも可能である。
本発明は、撮像装置として、デジタルカメラを例に取り上げて説明しているが、これに限定される必要はなく、例えば携帯型電話機などの携帯型電子機器にカメラ機能が付加されていれば、そのような携帯型電子機器に対して本発明を用いることが可能である。