JP2013164523A - 光学機能フィルム用ポリエステルフィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】 高度な光学特性を有し、例えばレンズ層のような光学機能層を賦形する時に接触する円筒金型の削れが起きにくい、光学機能フィルム用ポリエステルフィルムを提供する。
【解決手段】 2層以上の積層構造のポリエステルフィルムであり、一方の表層面(A層表面)ともう一方の表層面(C層表面)が下記式(1)〜(4)を同時に満足することを特徴とする光学機能シート用ポリエステルフィルム。
150≦RtA≦300 …(1)
20≦RzA≦40 …(2)
250≦RtC≦450 …(3)
30≦RzC≦60 …(4)
(上記式中、RtAはA層表面の最大断面高さ(nm)、RzAはA層表面の十点平均粗さ(nm)、RtCはC層表面の最大断面高さ(nm)、RzCはC層表面の十点平均粗さ(nm)をそれぞれ意味する)
【選択図】 なし

Description

本発明は、液晶ディスプレイ用途として好適に用いられる光学用ポリエステルフィルムに関するものである。
近年、急激に数量が伸びている液晶ディスプレイ装置は、光源からの光を視認側に集光し、かつ均一な面光源とする役割を果すバックライトユニットと、印加電圧を表示画素毎に調整し赤・緑・青の光を制御された光量表示させる液晶セル層ユニットの大きく分けて2つのユニットによって構成されている。
このうち、バックライトユニットは赤・緑・青の波長領域に発光特性を有する蛍光体を用いた冷陰極管や、LED等の光源を視認側から見て側面に配置し、光を視認側に効率よく導く役割を有する導光板、視認側に導かれた光をディスプレイ面内に均一に分散する拡散フィルム、ディスプレイの側面側に向いている光を視認側に集光し、ディスプレイの輝度を向上させるプリズムフィルム、また、拡散、集光機能を1枚に集約した複合フィルム等によって構成される。
一般的な液晶ディスプレイでは、導光板の上に、通常、下拡散フィルムと呼称される拡散フィルムを1枚配置し、その上に2枚のプリズムフィルムをそれぞれ集光方向が縦横方向および左右方向となるよう配置し、さらにその上に通常、上拡散フィルムと呼称される拡散フィルムを1枚配置することでバックライトユニットが構成されている。
このうち集光機能を有する、プリズムフィルムや複合フィルムの製造方法には、一般的に、ポリエステルフィルム等の透明シート状基材の上に活性エネルギー線硬化性組成物により、プリズム、フレネルレンズ、レンチキュラーレンズ等のレンズ層等の光学樹脂層を形成する方法が広く用いられている(特許文献1など)。また、特許文献2には、活性エネルギー線硬化性組成物と連続透明シート(例えば、PETシート、ポリカーボネートシート)を用い、これを円筒金型で賦形し、硬化することにより、連続的に光学シートを生産する方法が開示されている。
しかし、賦形に用いる円筒金型は、長時間使用することにより、エッジ部が削れてレンズ形状が崩れ、集光機能が落ちるため、再研磨や新しく金型を作成し直す等、製造コストに大きく影響し、問題となっている。
特公平1−35737号公報 特開平5−169015号公報
本発明は、このような問題点を改善しようとするものであり、その課題は、高度な光学特性を持ち、例えば、レンズ層を賦形する時に接触する円筒金型の削れが起きにくい、光学機能フィルム用ポリエステルフィルムを提供することにある。
本発明者らは、上記課題に鑑み鋭意検討した結果、特定の構成を有するポリエステルフィルムによれば、優れたフィルム特性を損なうことなく、光学機能フィルム用ポリエステルフィルムに特に好適であるポリエステルフィルムを提供できることを見いだし、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の要旨は、2層以上の積層構造のポリエステルフィルムであり、一方の表層面(A層表面)ともう一方の表層面(C層表面)が下記式(1)〜(4)を同時に満足することを特徴とする光学機能シート用ポリエステルフィルムに存する。
150≦RtA≦300 …(1)
20≦RzA≦40 …(2)
250≦RtC≦450 …(3)
30≦RzC≦60 …(4)
(上記式中、RtAはA層表面の最大断面高さ(nm)、RzAはA層表面の十点平均粗さ(nm)、RtCはC層表面の最大断面高さ(nm)、RzCはC層表面の十点平均粗さ(nm)をそれぞれ意味する)
本発明によれば、高度な光学特性を持ち、例えば、レンズ層を賦形する時に接触する円筒金型の削れが起きにくい、光学機能フィルム用ポリエステルフィルムを提供することができ、本発明の工業的価値は高い。
本発明で言うポリエステルフィルムとは、押出口金から溶融押出される、いわゆる押出法により押出した溶融ポリエステルシートを冷却した後、必要に応じ、延伸、熱処理を施したフィルムである。
本発明のフィルムを構成するポリエステルとは、芳香族ジカルボン酸と脂肪族グリコールとを重縮合させて得られるものである。芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸などが挙げられ、脂肪族グリコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。代表的なポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート(PEN)等が例示される。また、用いるポリエステルは、ホモポリエステルであっても共重合ポリエステルであってもよい。共重合ポリエステルの場合は、30モル%以下の第三成分を含有した共重合体であればよい。
かかる共重合ポリエステルのジカルボン酸成分としては、イソフタル酸、フタル酸、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸およびオキシカルボン酸(例えば、P−オキシ安息香酸など)等から選ばれる一種または二種以上が挙げられ、グリコール成分としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール等から選ばれる一種または二種以上が挙げられる。
本発明におけるポリエステルは、従来公知の方法で、例えばジカルボン酸とジオールの反応で直接低重合度ポリエステルを得る方法や、ジカルボン酸の低級アルキルエステルとジオールとを従来公知のエステル交換触媒で反応させた後、重合触媒の存在下で重合反応を行う方法で得ることができる。重合触媒としては、アンチモン化合物、ゲルマニウム化合物、チタン化合物等公知の触媒を使用してよいが、好ましくはアンチモン化合物の量を零またはアンチモンとして100ppm以下にすることによりフィルムのくすみを低減したものが好ましい。
なお、本発明で用いるポリエステルは、溶融重合後これをチップ化し、加熱減圧下または窒素等不活性気流中に必要に応じてさらに固相重合を施してもよい。得られるポリエステルの固有粘度は0.40dl/g以上であることが好ましく、0.40〜0.90dl/gであることがさらに好ましい。
本発明で得られるポリエステルフィルムには、本発明の要旨を損なわない範囲で、耐候剤、耐光剤、帯電防止剤、潤滑剤、遮光剤、抗酸化剤、蛍光増白剤、マット化剤、熱安定剤、および染料、顔料などの着色剤などを配合してもよい。
本発明のポリエステルフィルムの一方の表層面(通常、当該面にプリズム・拡散・レンズ層等の光学機能層が設けられる:A層表面)の粗さは、最大断面高さ(RtA)は150〜300であり、十点平均粗さ(RzA)は20〜40である必要がある。RtAが300を超えたり、RzAが40を超えたりすると、レンズ層賦形時に金型が削れやすくなり、問題となる。またRtAが150未満であったり、RzAが20未満であったりすると、基材となるポリエステルフィルムのハンドリング性が悪くなり、キズ等の外観品質が損なわれる。
また、本発明のポリエステルフィルムのもう一方の表層面(C層表面)の最大断面高さ(RtC)は250〜450であり、十点平均粗さ(RzC)は30〜60である必要がある。RtCが450を超えたり、RzAが60を超えたりすると、光の散乱が激しくなり、光学フィルムとしての光学特性が保てなくなる。またRtCが250未満であったり、RzAが30未満であったりすると、基材となるポリエステルフィルムのハンドリング性が悪くなり、キズ等外観品質が損なわれる。特に、C層側は基材上が何の処理を施されない場合があり、A層側よりも高度な外観品質が求められる。
また、本発明のフィルム中に用いる粒子の粒径は、特に限定されるものではないが、通常0.5〜10μmの範囲である。平均粒子径が0.5μm未満では、所望の突起高さを得ることができず、干渉縞の発生を抑えることができないことがある。一方、平均粒子径が10μmを超える場合は、フィルム製膜工程において、フィルターの圧力上昇が大きくなり、生産性を悪化させることがある。また、フィルムの破断を起こしやすくなる傾向がある。この場合、フィルターの目を大きくすることも考えられるが、フィルム中の異物が増加し高品質な画像を得られにくくなる場合がある。
本発明のフィルムの総厚みは、フィルムとして製膜可能な範囲で有れば特に限定されるものではないが、通常4〜500μm、好ましくは25〜350μmの範囲である。
次に本発明のフィルムの製造方法に関して具体的に説明するが、本発明の要旨を満足する限り、本発明は以下の例示に特に限定されるものではない。
まず、本発明で使用するポリエステルの製造方法の好ましい例について説明する。ここではポリエステルとしてポリエチレンテレフタレートを用いた例を示すが、使用するポリエステルにより製造条件は異なる。常法に従って、テレフタル酸とエチレングリコールからエステル化し、または、テレフタル酸ジメチルとエチレングリコールとをエステル交換反応させ、その生成物を重合槽に移送し、減圧しながら温度を上昇させ、最終的に真空下で280℃に加熱して重合反応を進め、ポリエステルを得る。
例えば上記のようにして得、公知の手法により乾燥したポリエステルチップを共押出法により、溶融押出装置に供給し、それぞれのポリマーの融点以上である温度に加熱し溶融する。次いで、溶融したポリマーをダイから押出し、回転冷却ドラム上でガラス転移温度以下の温度になるように急冷固化し、実質的に非晶状態の未配向シートを得る。この場合、シートの平面性を向上させるため、シートと回転冷却ドラムとの密着性を高めることが好ましく、本発明においては静電印加密着法および/または液体塗布密着法が好ましく採用される。本発明においては、このようにして得られたシートを2軸方向に延伸してフィルム化する。
延伸条件について具体的に述べると、前記未延伸シートを好ましくは縦方向に70〜145℃で2〜6倍に延伸し、縦1軸延伸フィルムとした後、横方向に90〜160℃で2〜6倍延伸を行い、150〜240℃で1〜600秒間熱処理を行うことが好ましい。さらにこの際、熱処理の最高温度ゾーンおよび/または熱処理出口のクーリングゾーンにおいて、縦方向および/または横方向に0.1〜20%弛緩する方法が好ましい。また、必要に応じて再縦延伸、再横延伸を付加することも可能である。さらに、前記の未延伸シートを面積倍率が10〜40倍になるように同時二軸延伸を行うことも可能である。
本発明のポリエステルフィルムは、本発明の効果を損なわない範囲であれば、コーティング層やアンカーコート層を、プリズム・拡散・レンズ層等の光学機能層との密着性を高めるために設けることもできる。
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、実施例および比較例中「部」とあるのは「重量部」を示す。また、本発明で用いた測定法は次のとおりである。
(1)ポリエステルの極限粘度の測定
ポリエステル1gを精秤し、フェノール/テトラクロロエタン=50/50(重量比)の混合溶媒100mlを加えて溶解させ、30℃で測定した。
(2)平均粒径(μm)
島津製作所製遠心沈降式粒度分布測定装置(SA−CP3型)を用いて測定した等価球形分布における積算体積分率50%の粒径を平均粒径とした。
(3)フィルムの最大断面高さ(nm)、十点平均粗さ中心線平均粗さ(nm)
小坂研究所社製表面粗さ測定機 SE3500型を用いて、JIS B0601−1994に準じて測定した。
(4)加工特性
ポリエステルフィルムのA層側に円筒金型を用いてレンズ層を賦形し、賦形スタート時の輝度から、1%輝度が低下した時点の賦形長さを、後に示す比較例3の賦形長さと相対比較し、百分率で示す。
加工特性(%)=輝度が1%低下するまでの賦形長さ÷比較例3における同賦形長さ×100
(5)加工後のフィルム外観
レンズ層賦形後のフィルムを、蛍光灯反射下にて目視検査し、傷の発生状況を下記分類にて評価した。
◎:傷の発生が目視で観察されない
△:傷の発生が目視で観察される
×:傷の発生が全面にはっきりと観察される
上記判定基準中、△以上のものが実使用上問題なく使用できるレベルである。
実施例および比較例で用いた原料は以下のようにして準備した。
<ポリエステル(a)の製造方法>
テレフタル酸ジメチル100重量部とエチレングリコール60重量部とを出発原料とし、触媒として酢酸マグネシウム・四水塩0.09重量部を反応器にとり、反応開始温度を150℃とし、メタノールの留去とともに徐々に反応温度を上昇させ、3時間後に230℃とした。4時間後、実質的にエステル交換反応を終了させた。この反応混合物にエチルアシッドフォスフェート0.04部を添加した後、三酸化アンチモン0.03部を加えて、4時間重縮合反応を行った。すなわち、温度を230℃から徐々に昇温し280℃とした。一方、圧力は常圧より徐々に減じ、最終的には0.3mmHgとした。反応開始後、反応槽の攪拌動力の変化により、極限粘度0.65に相当する時点で反応を停止し、窒素加圧下ポリマーを吐出させた。得られたポリエステル(a)の極限粘度は0.65であった。
<ポリエステル(b)の製造方法>
ポリエステル(a)の製造方法において、エチルアシッドフォスフェート0.04部を添加後、エチレングリコールに分散させた平均粒径3μmの不定形シリカ粒子を0.3部、三酸化アンチモン0.03部を加えて、ポリエステル(a)の製造方法と同様の方法を用いてポリエステル(b)を得た。得られたポリエステル(b)は、極限粘度0.63であった。
<水性塗布剤の調整>
水性塗布剤は下記I、II、III、IVの化合物を各々47/20/30/3の重量比で混合した混合物である。
I:テレフタル酸/イソフタル酸/5−ソジウムスルホイソフタル酸/エチレングリコール/1.4−ブタンジオール/ジエチレングリコールを各々28/20/2/35/10/5のモル比で反応させたポリエステル水分散体。
II:メチルメタクリレート/エチルアクリレート/アクリロニトリル/N−メチロールメタアクリルアミドを各々45/45/5/5のモル比で重合された重合物水分散体(乳化剤:アニオン系界面活性剤)
III:メラミン系架橋剤(ヘキサメトキシメチルメラミン)
IV:平均粒径0.06μmの酸化ケイ素の水分散体
実施例1〜6、比較例1〜6:
前述のポリエステル(a)、(b)を原料として、3台のベント式二軸押出機に各々を供給し、それぞれ285℃で溶融し、A層、C層を最外層とする、3種3層(A/B/C)の層構成で共押出して口金から押出し静電印加密着法を用いて表面温度を40℃に設定した冷却ロール上で冷却固化して未延伸シートを得た。次いで、ロール周速差を利用してフィルム温度81℃で縦方向に3.2倍延伸した後、水性塗布剤を塗布した後テンターに導き、横方向に120℃で4.1倍延伸し、230℃で熱処理を行った後、横方向に9%弛緩し、厚さ250μmの積層ポリエステルフィルムを得た。結果を表1、表2に示す。
Figure 2013164523
Figure 2013164523
比較例6のフィルムは、白濁したフィルムとなり、光学用として用いることができないフィルムとなった。
本発明のフィルムは、例えば、光学機能フィルム用として好適に利用することができる。

Claims (1)

  1. 2層以上の積層構造のポリエステルフィルムであり、一方の表層面(A層表面)ともう一方の表層面(C層表面)が下記式(1)〜(4)を同時に満足することを特徴とする光学機能シート用ポリエステルフィルム。
    150≦RtA≦300 …(1)
    20≦RzA≦40 …(2)
    250≦RtC≦450 …(3)
    30≦RzC≦60 …(4)
    (上記式中、RtAはA層表面の最大断面高さ(nm)、RzAはA層表面の十点平均粗さ(nm)、RtCはC層表面の最大断面高さ(nm)、RzCはC層表面の十点平均粗さ(nm)をそれぞれ意味する)
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2017068830A (ja) * 2015-09-30 2017-04-06 南昌欧菲光科技有限公司Nanchang O−Film Tech. Co., Ltd. タッチディスプレイ装置
CN106648192A (zh) * 2015-10-29 2017-05-10 南昌欧菲光科技有限公司 触摸显示装置
KR20190076464A (ko) 2017-12-22 2019-07-02 서울대학교산학협력단 그래핀 나노리본을 포함하는 폴리올레핀 나노복합재료 및 그 제조방법

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