JP2013163877A - インクジェット捺染方法、及び布帛 - Google Patents

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Abstract

【課題】実質的にpH調整剤およびヒドロトロピー剤を含まなくても、布帛に、滲み難く、発色濃度が高い画像を形成し得るインクジェット捺染方法、および、滲み難く、発色濃度が高い画像が形成された布帛を提供する。
【解決手段】高分子成分を含有し、ヒドロトロピー剤の含有量が1質量%未満であり、かつpH調整剤の含有量が1質量%未満である前処理剤を、布帛に付与する前処理工程と、
発色団を有し、解離により生じた負電荷が前記発色団と共役系を形成し得る解離状態の解離性基を前記発色団一個あたり一個有する着色剤及び水を含有する捺染用水性着色組成物を、インクジェット法により、前記前処理工程を経た布帛に付与する捺染工程と、
を有するインクジェット捺染方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、インクジェット捺染方法、及び布帛に関する。
インクジェット方式による画像の印刷方法は、インクの微小液滴をインクジェット記録ヘッドより飛翔させ、対象となる記録媒体に付着させて印刷を行う方法である。インクジェット方式は、その機構が比較的簡便で、安価であり、かつ高精細で高品位な画像を形成できることが利点である。
一方、現在の布帛印刷は、スクリーン印刷等で行われている。これらは、印刷に先だって、印刷用の版銅やスクリーン版を作製する必要がある。版の製作は、時間と人手が掛かり、非常に高価であり、一定量以上の生産を行わないと、コスト的に引き合わない為、小規模生産や見本作り等の目的に、無製版の印刷システムが要望されている。
これに対し、染料を布に直接供給できる上記のようなインクジェット方式を用いたインクジェット捺染が提案されている。インクジェット捺染は、従来の捺染とは異なり、版を作製する必要がなく、手早く階調性に優れた画像を形成できる利点を有しており、納期短縮、少量多品種生産対応、製版工程が必要ない等のメリットを備えている。更に、形成画像として必要な量のインクのみを使用するため、従来方法に比較すると廃液が少ない等の環境的利点も有する優れた画像形成方法であるといえる。
捺染においては、布帛中の繊維の種類により使用される染料の種類が限定され、絹、羊毛、ナイロンといったポリアミド繊維を主体とする布帛への画像形成する場合には、酸性染料を用いる方法が提案されている。
一般に、インクジェット捺染用インクに対しては、以下の特性が要求される。
(1)十分な濃度で発色していること
(2)色再現性に優れていること
(3)形成した画像がにじんだり、後処理工程や洗濯のときに非画像部や他の布帛を汚したりしないこと
(4)記録ヘッドのノズルを目詰りさせないこと
(5)インク保存中に物性上(例えば、粘度)の変化や固形分の析出がないこと
(6)長期間保存した後でも、吐出特性に変化がなく安定した吐出が行えること
(7)形成した画像が堅牢性(耐水性)に優れていること
上記(1)の課題に対しては、インク中の染料濃度を高くする手法が一般的であるが、高濃度染料インクでは、ノズル先端からの水や水性有機溶剤等の蒸発により高粘度化したり、あるいは固形分である染料が析出し、上記(4)に記載の問題を引き起こす結果となる。
そこで、モル吸光係数が高く熱安定性に優れたオキソノール染料を着色剤に用いて高い着色力を得る試みとして、特定構造の染料の溶解性を高めて疎水性高分子物質を印刷法によって着色する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
上記(2)の課題については、用いる染料の色相やインクの物性を調整することにより、同じパターンの印刷物を得る際に、安定した色再現性が得られるように工夫されてきた(例えば、特許文献2〜4参照)。
また、上記(3)の課題については、特定の化合物をインク中に存在させることによる改良が試みられている(例えば、特許文献5〜7参照)。しかし、発色濃度が不十分な着色剤ではインク中の固形分濃度が必然的に上がるために、上記(5)の課題及び(6)の課題の問題は避けられない。
上記(4)の課題に対しする改良方法としては、特定の水性溶剤等を用いる方法が提案されている。
例えば、トリメチロールプロパン、ペンタエチレングリコールを水性有機溶剤として用いる方法、あるいは特定のポリオキシエチレンアルキルエーテルをインクへ添加する方法が提案されている(例えば、特許文献8参照)。
着色剤の布帛への固定化をより高めるために、布帛にインクを付与する前に、pH調整剤や、尿素に代表されるヒドロトロピー剤を含有する前処理剤を布帛に付与することによる改良も行われている。
例えば、4級アンモニウムあるいはアミノ基含有化合物(例えば、特許文献9および特許文献10参照)、カチオン化デンプン(例えば、特許文献11参照)、水性合成高分子化合物(例えば、特許文献12参照)などを含有する前処理液による布帛の処理が提案されている。
また、前処理剤を用いる代わりに、インク中に水溶性樹脂を添加し、画像を形成した後、画像に尿素を塗布する方法も開示されている(例えば、特許文献13参照)。
特表2009−507083号公報 特表2004−515657号公報 特開2007−203741号公報 特開2009−227895号公報 特表2004−511610号公報 特開平6−57651号公報 特開2005−213484号公報 特開2010−229251号公報 特開平6−192976号公報 特許第4687523号公報 特開平7−173780号公報 特開2010−163507号公報 特開2010−069817号公報
しかしながら、例えば、特許文献1に示される技術は解離状態にあるアニオン性染料を有機溶剤に溶解させる技術であるために、オキソノール染料の発色団が持つ水性(水溶性)という基本特性を活用できていないばかりか、導入する疎水性基のために重量当りの発色濃度の低下を招いてしまう。従って、インクジェット捺染において十分な発色濃度を達成するためには、水性が高く重量当りの発色濃度が高い染料を適量布帛に供給し、後処理工程後の繊維への染着性ができる限り高い着色剤を開発することが特に重要となる。
また、前記特許文献2〜4に示される技術を用いた場合、色によっては発色濃度が不十分な着色剤が存在するために、未だ満足できる結果が得られていないというのが現状である。
前記特許文献8に示される技術を用いた場合、使用する染料と水性有機溶剤の極めて特異的な組み合わせ以外では満足な結果は得られず、特に発色濃度が不十分な着色剤ではインク中の固形分濃度が必然的に上がるために、大きな改良効果は望めない。
また、特許文献5〜7に記載の化合物を用いた場合でも、十分な発色濃度が得られない。
さらに、前記特許文献9〜12に示される技術を用いた場合、各色に用いられる染料の構造によっては前処理剤の作用が十分でない場合があり、発色濃度の観点等から満足できる結果が得られていないのが現状である。
また、環境への配慮が求められる昨今において、布帛の捺染後に生じる排水には、環境系の水に影響を及ぼすpH調整剤やヒドロトロピー剤が含まれていないことが望まれる。そのためには、捺染時に、pH調整剤やヒドロトロピー剤を用いないことが望ましい。
以上の様に、従来の技術範囲では、十分な発色濃度を実現でき滲み耐性も兼備したインクジェット捺染方法は未だ得られておらず、環境への配慮がなされつつも、発色濃度と滲み耐性を兼ね備えたインクジェット捺染方法の開発が待たれているのが現状である。
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、以下の目的を達成することを課題とする。
すなわち、前処理剤が、実質的にpH調整剤およびヒドロトロピー剤を含まなくても、布帛に、滲み難く、発色濃度が高い画像を形成し得るインクジェット捺染方法、および、滲み難く、発色濃度が高い画像が形成された布帛を提供することである。
本発明者は、上記課題に鑑み鋭意検討を行った結果、解離により生成した負電荷が発色団と共役した状態の着色剤を含有する捺染用水性着色組成物により、特にポリアミド繊維を捺染する際に十分な濃度の染着が可能で、形成した画像が滲み難い着色組成物を実現できることを見出した。
前記課題を解決するための具体的手段は以下の通りである。
<1> 高分子成分を含有し、ヒドロトロピー剤の含有量が1質量%未満であり、かつpH調整剤の含有量が1質量%未満である前処理剤を、布帛に付与する前処理工程と、
発色団を有し、解離により生じた負電荷が前記発色団と共役系を形成し得る解離状態の解離性基を前記発色団一個あたり一個有する着色剤及び水を含有する捺染用水性着色組成物を、インクジェット法により、前記前処理工程を経た布帛に付与する捺染工程と、
を有するインクジェット捺染方法である。
<2> 前記布帛が、ポリアミド繊維を含む前記<1>に記載のインクジェット捺染方法である。
<3> 前記着色剤が、下記一般式1で表されるアゾ色素である前記<1>または前記<2>に記載のインクジェット捺染方法である。
一般式1中、Wは、解離により生じた負電荷が発色団であるアゾ基と共役系を形成し得る解離状態の解離性基を表し、Xが構成する5員環、6員環、またはそれらに芳香環が縮環した縮合環に置換する基である。Dは、ジアゾ成分D−NHの残基を表し、前記Dは炭化水素環または複素環を表わすが、解離により生じた負電荷がアゾ基に共役する解離性基を持つことはない。AおよびBは、各々独立に、炭素原子、窒素原子、酸素原子、若しくは硫黄原子、または、炭素原子および窒素原子から選択される少なくとも1以上の原子を含む原子群を表す。Xは、アゾ基が結合した炭素原子と、Aと、Bと共に、5員環または6員環を形成し、かつ、炭素原子、窒素原子、酸素原子、及び硫黄原子から選択される少なくとも1以上の原子を含む原子群を表す。Xが構成する5員環または6員環はさらに芳香環が縮環していてもよい。
なお、一般式1におけるアゾ基が結合した炭素原子と、Aと、Bと、Xとにより構成される5員環または6員環は、ベンゼン、ナフタレン、シクロペンテン、シクロヘキセン、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、ピリダジン、トリアジン、キノリン、イソキノリン、キナゾリン、シンノリン、フタラジン、キノキサリン、ピロール、インドール、フラン、ベンゾフラン、チオフェン、ベンゾチオフェン、ピラゾール、イミダゾール、インダゾール、ベンゾイミダゾール、トリアゾール、ベンゾトリアゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、ベンゾオキサゾール、チアゾール、ベンゾチアゾール、イソチアゾール、ベンゾイソチアゾール、オキサジアゾール、チアジアゾール、ベンゾイソオキサゾール、バルビツール酸、チオバルビツール酸、イソオキサゾロン、ピリドン、ローダニン、ヒダントイン、チオヒンダントイン、オキサゾリジンジオン、ピラゾリジンジオン、インダンジオン、ジヒドロフラン−2−オン、ピロリン−2−オン、ピラゾロピリドン、及びメルドラム酸からなる群より選択されるいずれか1つの芳香環もしくはその互変異性体であることが好ましい。
<4> 前記着色剤が、下記一般式1−1で表されるアゾ色素である前記<1>〜前記<3>のいずれか1つに記載のインクジェット捺染方法である。
一般式1−1中、Dは、炭化水素環または複素環を表し、Eは水素原子、アシルアミノ基、または電子求引性基を表す。一般式1−1に示されるベンゼン環は、Xを含んで構成される環により縮環していてもよい。Gは、一般式1−1に示されるベンゼン環またはXを含んで構成される縮環に置換した置換基を表す。mは0〜4の整数を表す。Wは、−O、−S、−N(R)、−C(R)(R)より選ばれるアニオン性置換基を表し、R、及びRは、それぞれ独立に、ハメットのσp値が0.30以上の電子求引性基を表す。
<5> 前記一般式1−1中のWが、スルホンアミドまたは水酸基である前記<1>〜前記<4>のいずれか1つに記載のインクジェット捺染方法である。
<6> 前記一般式1−1中のGが、−NH−構造を有する基を少なくとも1つ有する前記<2>〜前記<5>のいずれか1つに記載のインクジェット捺染方法である。
<7> 前記一般式1−1中のDが、芳香族炭化水素環、または、硫黄原子と窒素原子の少なくとも一方を含む複素環である前記<1>〜前記<6>のいずれか1つに記載のインクジェット捺染方法である。
<8> 前記<1>〜前記<7>のいずれか1つに記載のインクジェット捺染方法によって捺染された布帛である。
本発明によれば、前処理剤が、実質的にpH調整剤およびヒドロトロピー剤を含まなくても、布帛に、滲み難く、発色濃度が高い画像を形成し得るインクジェット捺染方法、および、滲み難く、発色濃度が高い画像が形成された布帛を提供することができる。
<インクジェット捺染方法>
本発明のインクジェット捺染方法(単に「捺染方法」と称することもある)は、高分子成分を含有し、ヒドロトロピー剤の含有量が1質量%未満であり、かつpH調整剤の含有量が1質量%未満である前処理剤を、布帛に付与する前処理工程と、
発色団を有し、解離により生じた負電荷が前記発色団と共役系を形成し得る解離状態の解離性基を前記発色団一個あたり一個有する着色剤(以下、「特定着色剤」ともいう)及び水を含有する捺染用水性着色組成物を、インクジェット法により、前記前処理工程を経た布帛に付与する捺染工程と、
を有して構成される。
ここで、前処理工程において「高分子成分を含有し、ヒドロトロピー剤の含有量が1質量%未満であり、かつpH調整剤の含有量が1質量%未満である前処理剤」とは、前処理剤が、高分子成分を含むものの、ヒドロトロピー剤およびpH調整剤は、意図的に含有する成分ではなく、実質的に含まないことを意味する。
捺染により布帛に形成される画像は、布帛に着色剤が固定ないし固着することにより形成され、布帛に固定する量が多いほど発色濃度が高くなる傾向にある。着色剤の布帛への固定をより一層高めるため、従来は、着色組成物を布帛に付与する前に、予め、着色組成物を凝集させて着色剤が布帛に固定化することを促す作用を有するpH調整剤やヒドロトロピー剤を含有する前処理剤を、布帛に付与する前処理を行なうことがあった。
しかし、pH調整剤またはヒドロトロピー剤あるいは両方を前処理剤に含有していても、固定化の作用が弱く、着色剤が布帛に固定しないことがあるため、発色濃度の観点等から満足できる結果が得られていない。
また、近年は、環境への配慮が求められており、布帛の捺染後に生じる排水には、環境系の水の液性に影響を及ぼしたり、凝集作用のあるpH調整剤やヒドロトロピー剤が含まれていないことが望まれる。そのためには、捺染時に、pH調整剤やヒドロトロピー剤を用いないことが望ましい。
これに対し、本発明のインクジェット捺染方法では、前処理において、前処理剤が、実質的にpH調整剤およびヒドロトロピー剤を含まなくても、布帛に捺染用水性着色組成物を用いてインクジェット法で付与することで、捺染時に滲み難く、発色濃度が高い画像を布帛に形成することができる。
かかる理由は定かではないが、次の理由によるものと考えられる。
本発明における捺染用水性着色組成物に含まれる特定着色剤は、特定着色剤分子中の解離性基が解離することにより生成した負電荷が、特定着色剤分子中の発色団と共役した状態であり、発色団と共役系を形成し得る解離状態の解離性基を、発色団一個あたり一個有する。
特定着色剤分子中の解離性基が解離して、負電荷を生成することにより、発色団自身がアニオン性となっているため、着色組成物の調製に必要な、特定着色剤の水への溶解性に優れると考えられる。さらに、発色団自身が布帛等の繊維への染着に必要なアニオン構造をとるため、発色団が直接繊維に強く固定化されると考えられる。
そのため、本発明における捺染用水性着色組成物を用いることで、染料の溶解性向上と、着色剤の繊維上への十分な濃度での染着と固定化の機能を兼備することができると考えられる。
このように、解離により生成した負電荷が発色団と共役している特定着色剤は、発色団自体が染料の溶解性向上と繊維上への固定化の機能を兼備することができるため、従来の酸性染料に比べて、着色剤分子が有する酸基の必要数を減らすことができる。この結果、コンパクトな酸性染料分子の設計が可能となると考えられる。
その結果、繊維への親和性が向上し、染着性および固定化を高めることができると考えられる。これにより、十分な発色濃度の捺染が可能となると考えられる。また、色素の負電荷とポリアミド繊維が有する正電荷とが強いクーロン力で結合するため、形成した画像は滲み難いと考えられる。
このため、前処理剤にpH調整剤やヒドロトロピー剤を実質的に含有していなくても、特定着色剤の布帛への染着および固定化が強く、布帛に、着色組成物を付与しても滲み難く、発色濃度が高い画像を布帛に形成することができる。
よって、環境に優しい捺染を行なえるほか、前処理剤の調製を簡易にすることができるため、捺染効率(捺染された布帛の製造効率)も高い。
以下、本発明のインクジェット捺染方法について、詳細に説明する。
〔前処理工程〕
本発明のインクジェット捺染方法は、高分子成分を含有し、ヒドロトロピー剤の含有量が1質量%未満であり、かつpH調整剤の含有量が1質量%未満である前処理剤を、布帛に付与する前処理工程を有する。
前処理工程は、後述する捺染工程における特定着色剤の布帛への固定化が高まるようにするために、捺染の前に予め布帛に前処理剤を付与する工程である。
ただし、本発明の前処理工程において用いる前処理剤は、高分子成分を含有するが、ヒドロトロピー剤およびpH調整剤の含有量は、それぞれ1質量%未満である。
(前処理剤)
−ヒドロトロピー剤−
本発明において、ヒドロトロピー剤は、一般に、着色組成物が付与された布帛が蒸気下で加熱される際に、画像の発色濃度を高める役割を果たす。例えば、通常、尿素、アルキル尿素、エチレン尿素、プロピレン尿素、チオ尿素、グアニジン酸塩、ハロゲン価テトラアルキルアンモニウム等が挙げられる。
前処理剤の全質量に対するヒドロトロピー剤の含有量は1質量%未満であるが、0質量%であることが好ましい。
−pH調整剤−
pH調整剤は、一般に、着色剤の布帛への固定化反応を高める役割を果たす。
なお、pH調整剤とは、布帛に付与される捺染用水性着色組成物の液性(pH)を調整する化合物ないし組成物をいい、捺染用水性着色組成物の液性を変化させる成分のほか、捺染用水性着色組成物の液性変化を抑制するpH緩衝剤の如き成分も含む。
pH調整剤としては、アルカリ(塩基)、酸、又はアルカリ及び酸の組み合わせのほか、酸アンモニウム塩の如きpH緩衝作用のある成分が挙げられる。酸アンモニウム塩としては、例えば、硫酸アンモニウム、酒石酸アンモニウムが挙げられる。
前処理剤の全質量に対するpH調整剤の含有量は1質量%未満であるが、0質量%であることが好ましい。
−高分子成分−
高分子成分は、一般に、着色剤を布帛に粘着させる糊剤としての役割を果たす。
高分子成分としては、天然高分子であってもよいし、合成高分子であってもよい。また、水性(水溶性)高分子であっても、非水性高分子であってもよいが、本発明のインクジェット捺染方法に用いる着色組成物が、捺染用水性着色組成物であることから、水性高分子であることが好ましい。
水性高分子としては、例えば、トウモロコシ、小麦等のデンプン物質、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース系物質、アルギン酸ナトリウム、アラビヤゴム、ローカストビーンガム、トラントガム、グアーガム、タマリンド種子等の多糖類、ゼラチン、カゼイン等のタンパク質物質、タンニン系物質、リグニン系物質等の公知の天然水性高分子が挙げられる。
また、合成水性高分子としては、例えば、公知のポリビニルアルコール系化合物、ポリエチレンオキサイド系化合物、アクリル酸系水性高分子、無水マレイン酸系水性高分子等が挙げられる。これらの中でも多糖類系高分子やセルロース系高分子が好ましい。
前処理においては、絞り率5%〜150%、好ましくは10%〜130%の範囲で前処理剤をパッティングすることが好ましい。
前処理剤は、更に、水性金属塩、撥水剤、界面活性剤等を付与してもよい。
−水性金属塩−
水性(水溶性)金属塩としては、例えば、アルカリ金属、アルカリ土類金属のハロゲン化物のように、典型的なイオン結晶を形成するものであって、pH調整作用のない化合物
が挙げられる。
かかる化合物の代表的な例としては、例えば、アルカリ金属では、NaCl、NaSO、KCl等が挙げられ、アルカリ土類金属としては、CaCl、MgCl等が挙げられる。
−撥水剤−
撥水剤としては、例えば、パラフィン系、フッ素系化合物、ピリジニウム塩類、N−メチロールアルキルアミド、アルキルエチレン尿素、オキザリン誘導体、シリコーン系化合物、トリアジン系化合物、ジルコニウム系化合物、或はこれらの混合物が挙げられるが、特に限定されるものではない。これらの撥水剤の中でも、パラフィン系及びフッ素系撥水剤は、滲み防止、濃度の点において特に好ましい。撥水剤は、布帛の全質量に対して0.05質量%〜40質量%付与することが好ましく、より好ましくは0.5質量%〜10質量%の範囲である。これは、0.05質量%未満ではインクの過度の浸透を防止する効果が少なく、40質量%を超えて含有させても性能的に大きな変化がないからである。
−界面活性剤−
界面活性剤としては、陰イオン性、非イオン性や両性界面活性剤等が使用できる。
特に、HLB12.5以上、好ましくは14以上の非イオン系界面活性剤を用いることが好ましい。
両性界面活性剤としては、ベタイン型等を使用することができる。
界面活性剤は、布帛に対して0.01〜30質量%付与することが好ましい。更に、使用する染料の特性等に応じて還元防止剤、酸化防止剤、均染剤、濃染剤、キャリヤー、還元剤、酸化剤といった添加剤を入れることが好ましい。
前処理において、上記各前処理剤を布帛に含有させる方法は、特に制限されないが、通常行われる浸漬法、パッド法、コーティング法、スプレー法、インクジェット法等を挙げることができる。
(布帛;−捺染用布帛−)
本発明のインクジェット捺染方法で用いる布帛、すなわち、前処理工程および捺染工程を完了していない布帛を、「捺染用布帛」と称する。
捺染用布帛の種類は特に制限されず、レーヨン、綿、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維等、種々の繊維を含んで構成された布帛を用いることができる。中でも、本発明の効果をより十分に発揮できる観点から、ポリアミド繊維を含む布帛であることが好ましく、中でもナイロン、絹、羊毛が好ましい。上記ポリアミド繊維は、織物、編物、不織布等いずれの形態であってもよい。
ポリアミド繊維を含む布帛は、ポリアミド繊維100%のものが好適であるが、ポリアミド繊維以外の素材を含んでいてもよい。布帛がポリアミド繊維以外の繊維を含む場合、ポリアミド繊維の混紡率は、30%以上であることが好ましく、50%以上であることが好ましい。ポリアミド繊維以外の素材としては、例えば、レーヨン、綿、アセテ−ト、ポリウレタン、アクリル繊維等との混紡織布または混紡不織布等であってもよい。
布帛を構成するポリアミド繊維及びポリアミド繊維から構成される糸の物理特性には好適な範囲があり、例えば、ナイロンの場合、ナイロン繊維の平均太さが1〜10d(デニール)、更に好ましくは、2〜6dに制御され、該ナイロン繊維から構成されるナイロン糸の平均太さが20〜100d、更に好ましくは、25〜80d、更に好ましくは、30〜70dに制御されたものが好ましく用いられる。また、絹の場合は、繊維自体の特性として、絹繊維の平均太さが2.5〜3.5d、更に好ましくは2.7〜3.3dに制御され、該絹繊維から構成される絹糸の平均太さが14〜147d、更に好ましくは14〜105dに制御され、公知の方法により布帛としたものが好ましく用いられる。
〔捺染工程〕
本発明のインクジェット捺染方法は、発色団を有し、解離により生じた負電荷が前記発色団と共役系を形成し得る解離状態の解離性基を前記発色団一個あたり一個有する着色剤(特定着色剤)及び水を含有する捺染用水性着色組成物を、インクジェット法により、前記前処理工程を経た布帛に付与する捺染工程を有する。
捺染工程では、前処理工程により前処理剤が付与された布帛に、特定着色剤と水とを含有する捺染用水性着色組成物を付与することにより、特定着色剤を布帛に固定化する工程である。
ここで、インクジェット法とは、インクジェット記録ヘッドからインクを吐出させて、インクを布帛に付与し、画像を印字する方法である。
本発明のインクジェット捺染方法では、捺染工程にて、上記捺染用水性着色組成物を用いるため、前処理工程において、着色剤の布帛への固定化を促すヒドロトロピー剤やpH調整剤を実質的に含まない前処理剤を用いても、発色濃度が高く、捺染時に滲み難い画像を布帛に形成することができる。
また、捺染後の布帛の耐水性、例えば、洗濯堅牢性、耐汗堅牢性等にも優れる。
まず、捺染工程で用いる捺染用水性着色組成物および捺染用水性着色組成物が含有する特定着色剤について、詳細に説明する。
(捺染用水性着色組成物)
本発明における捺染用水性着色組成物は、発色団を有し、解離により生じた負電荷が前記発色団と共役系を形成し得る解離状態の解離性基を前記発色団一個あたり一個有する着色剤(特定着色剤)と、水とを含有して構成される。また、本発明における捺染用水性着色組成物を、以下、単に「着色組成物」と称することもある。
−着色剤(特定着色剤)−
本発明における捺染用水性着色組成物は、発色団を有し、解離により生じた負電荷が前記発色団と共役系を形成し得る解離状態の解離性基を前記発色団一個あたり一個有する着色剤を含有する。
特定着色剤は、繊維に対する染着性、色相、および得られる画像の滲み難さの観点から、解離により生成した負電荷が発色団と共役した状態の着色剤を用いる。
通常、捺染においては、例えば下記反応式1の左辺(L1)で示されるように、着色剤は、アゾ基などの発色団を電気的に中性である形で用いられる。これに対し、本発明の特定着色剤では、下記反応式1の右辺(R1)に示されるように、アゾ基の共役位に存在する解離性基(下記反応式1においては、水酸基)を解離させ、解離により生成した負電荷が発色団と共役したアニオン状態の色素を着色剤として用いる。

なお、発色団とは、不飽和結合系の原子団において、共役系を延長したり、電荷の偏りを偏重させる原子団であって、例えば、アゾ基、メチン鎖などが挙げられる。解離して生成するアニオンが発色団と共役し得る解離性基は、水酸基が代表的なものであるが、メルカプト基、スルホンアミド基、活性メチレン基、低pKaへテロ環(複素環)なども好ましく用いることができる。中でも好ましいものは水酸基とスルホンアミド基であり、水酸基が最も好ましい。
本発明の、発色団と共役しうる負電荷を生じる解離性基について説明する。

反応式2に示す(1)式は、アゾ基の共役位にある水酸基において、解離により生じた負電荷がアゾ基と共役する様子を電子の流れで示したものである。(2)式では、水酸基がアゾ基の共役位にないため、(1)式のような電子の流れは起きない。(3)式では、アゾ基の共役位に解離性基であるスルホ基が置換しているが、解離により生じた負電荷はベンゼン環と共役できない位置にあるため、スルホ基の負電荷はアゾ基と共役できない。
このことから、アゾ基と共役できる負電荷は、ベンゼン環の共役位(オルト位とパラ位)に置換した原子上になければならないことがわかる。
反応式3は、2種類の解離性基がアゾ基の共役位にある場合の例である。スルホ基が第1解離、水酸基が第2解離となるため、塩基で処理するとスルホ基が解離した後に水酸基が解離し、2つの負電荷を生成する。水酸基の解離により生じた負電荷はアゾ基と共役する一方、スルホ基はアゾ基と共役できる性質を持たないため、水酸基より生じた負電荷がアゾ基と共役して発揮される特性を持つことになる。
着色剤の解離基が解離状態であるか否かは、着色剤の極大吸収波長を比較することで容易に判断することが可能である。一般に、着色剤、特に、色素は、助色団の電子供与性を高めることで極大吸収波長がシフトするが、アニオン(負電荷)は最も強力な電子供与性基であるために、負電荷を生成している着色剤は、電気的に中性である着色剤に比べて、極大吸収波長を大きくシフトすることが可能である。
従って、上記反応式1の左辺(L1)に示された電気的に中性の着色剤に対して、本発明の解離により生成した負電荷が発色団と共役した状態の着色剤(特定着色剤)は、極大吸収波長が大きく深色シフトする。
このため、本発明の着色剤は、広い範囲での色相調整が可能となるが、極大吸収波長が長波となる着色剤ほど有効性が高まることになり、例えば、シアン色素、青色素、紫色素、マゼンタ色素、赤色素に特に好ましく適用される。
また、本発明では、解離性基の解離により、極大吸収波長が20nm以上深色シフトする着色剤を用いることが好ましい。
本発明における捺染用水性着色組成物は、経時における安定性、取り扱い上の安全性、使用する機器類の腐食防止の観点から、着色組成物のpHは中性付近であることが好ましく、具体的にはpH5.0〜pH9.0であることが好ましく、pH6.0〜pH8.0であることが更に好ましい。着色組成物のpHが中性付近の着色組成物中で、着色剤の助色団が解離状態であるためには、助色団の水中におけるpKaが6.0以下であることが好ましく、5.5以下であることが更に好ましく、5.0以下であることが最も好ましい。
解離により生成した負電荷が発色団と共役している着色剤(特定着色剤)としては、具体的には、例えば、後述する一般式1で示されるアゾ色素、後述する一般式2で示されるオキソノール色素、後述する一般式3で示される色素等が挙げられる。
以下、一般式1で示されるアゾ色素、一般式2で示されるオキソノール色素、及び一般式3で示される色素について、順次説明する。
(一般式1で示されるアゾ色素)
一般式1中、Wは、解離により生じた負電荷が発色団であるアゾ基と共役系を形成し得る解離状態の解離性基を表し、Xが構成する5員環、6員環、またはそれらに芳香環が縮環した縮合環に置換する基である。Dは、ジアゾ成分D−NHの残基を表し、前記Dは炭化水素環または複素環を表すが、解離により生じた負電荷がアゾ基に共役する解離性基を持つことはない。AおよびBは、各々独立に、炭素原子、窒素原子、酸素原子、若しくは硫黄原子、または、炭素原子および窒素原子から選択される少なくとも1つの原子を含む原子群を表す。Xは、アゾ基が結合した炭素原子と、Aと、Bと共に、5員環または6員環を形成し、かつ、炭素原子、窒素原子、酸素原子、及び硫黄原子から選択される少なくとも1つの原子を含む原子群を表す。Xが構成する5員環または6員環はさらに芳香環が縮環していてもよい。
一般式1におけるDで表される炭化水素環としては、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、シクロアルキニル基、アリール基等の炭化水素環が挙げられ、中でも、芳香族炭化水素環であるアリール基が好ましい。芳香族炭化水素環(アリール基)としては、フェニル基、ナフチル基などが好ましい。
一般式1におけるDで表される複素環としては、環を構成する構成員として、炭素原子および水素原子以外に、窒素原子、硫黄原子、リン原子、酸素原子等のヘテロ原子を少なくとも1つ含む環であればよい。具体的には、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、トリアジン、キノリン、イソキノリン、キナゾリン、シンノリン、フタラジン、キノキサリン、ピロール、インドール、フラン、ベンゾフラン、チオフェン、ベンゾチオフェン、ピラゾール、インダゾール、イミダゾール、ベンゾイミダゾール、トリアゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、ベンゾオキサゾール、チアゾール、ベンゾチアゾール、イソチアゾール、ベンゾイソチアゾール、オキサジアゾール、チアジアゾール、ベンゾイソオキサゾール、バルビツール酸、ピリドン、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、イミダゾリジン、チアゾリンなどが挙げられる。
中でも、ピリジン、キノリン、チオフェン、ベンゾチオフェン、ピラゾール、イミダゾール、ベンゾイミダゾール、トリアゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、ベンゾオキサゾール、チアゾール、ベンゾチアゾール、イソチアゾール、ベンゾイソチアゾール、オキサジアゾール、チアジアゾール、ベンゾイソオキサゾールが好ましく、ピリジン、キノリン、チオフェン、ピラゾール、イミダゾール、ベンゾオキサゾール、チアゾール、ベンゾチアゾール、イソチアゾール、チアジアゾール、ベンゾイソオキサゾール、がさらに好ましく、ピラゾール、イミダゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾオキサゾール、1,2,4−チアジアゾール、及び1,3,4−チアジアゾールが特に好ましい。
一般式1におけるDで表される炭化水素環および複素環は、それぞれ独立に、更に置換基を有していてもよい。
また、炭化水素環および複素環は、それぞれ独立に、縮環していてもよい。
一般式1におけるAおよびBは、各々独立に、炭素原子、窒素原子、酸素原子、若しくは硫黄原子、または、炭素原子および窒素原子から選択される少なくとも1つの原子を含む原子群を表す。
「炭素原子、及び窒素原子から選択される少なくとも1つの原子を含む原子群」とは、−CH−、−C(R)H−、−CH=、−NH−、−NR−などの態様を表す。なお、−C(R)H−、および−NR−において、Rは、アルキル基、アリール基、アシル基、アルコキシ基、水酸基、ハロゲン原子等の置換基を表す。
一般式1におけるAおよびBは、同じであっても、異なっていてもよい。
一般式1におけるXは、アゾ基が結合した炭素原子と、Aと、Bと共に、5員または6員の芳香環を形成し、かつ、炭素原子、窒素原子、酸素原子、及び硫黄原子から選択される少なくとも1つの原子を含む原子群を表す。
一般式1におけるXを含んで構成される芳香環が5員環であるときは、Xは、少なくとも2つの原子(群)により構成される原子群であり、一般式1におけるXを含んで構成される芳香環が6員環であるときは、Xは、少なくとも3つの原子(群)により構成される原子群である。このときXで表される原子群は、1種の原子(群)から構成されていてもよいし、2種以上の原子(群)から構成されていてもよい。
1種の原子(群)から構成される原子群としては、例えば、−CH=CH−が挙げられ、2種の原子(群)から構成される原子群としては、例えば、−O−CH=が挙げられる。
一般式1におけるXを含んで構成される芳香環は、炭化水素環であってもよいし、複素環であってもよいし、さらに、単環構造であっても2以上の環が縮合した多環構造(縮環)であってもよい。また、一般式1におけるXを含んで構成される芳香環は、環上に更に置換基を有していてもよい。
一般式1におけるXを含んで構成される芳香環としては、具体的には、ベンゼン、ナフタレンなどの環が、好ましく挙げられる。
また、一般式1におけるXを含んで構成される複素環としては、具体的には、一般式1におけるDで表される複素環のほか、ローダニン、ピラゾリジンジオン、ピラゾロピリドン、メルドラム酸等の複素環が、好ましく挙げられる。
一般式1におけるXを含んで構成される芳香環、すなわち、一般式1におけるアゾ基が結合した炭素原子と、Aと、Bと、Xとにより構成される5員または6員の芳香環は、
ベンゼン、ナフタレン、シクロペンテン、シクロヘキセン、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、ピリダジン、トリアジン、キノリン、イソキノリン、キナゾリン、シンノリン、フタラジン、キノキサリン、ピロール、インドール、フラン、ベンゾフラン、チオフェン、ベンゾチオフェン、ピラゾール、イミダゾール、インダゾール、ベンゾイミダゾール、トリアゾール、ベンゾトリアゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、ベンゾオキサゾール、チアゾール、ベンゾチアゾール、イソチアゾール、ベンゾイソチアゾール、オキサジアゾール、チアジアゾール、ベンゾイソオキサゾール、バルビツール酸、チオバルビツール酸、イソオキサゾロン、ピリドン、ローダニン、ヒダントイン、チオヒンダントイン、オキサゾリジンジオン、ピラゾリジンジオン、インダンジオン、ジヒドロフラン−2−オン、ピロリン−2−オン、ピラゾロピリドン、及びメルドラム酸からなる群より選択されるいずれか1つの芳香環もしくはその互変異性体が好ましく、
ベンゼン、ナフタレン、ピリジン、キノリン、チオフェン、ピラゾール、イミダゾール、ベンゾオキサゾール、チアゾール、ベンゾチアゾール、イソチアゾール、チアジアゾール、ベンゾイソオキサゾール、バルビツール酸、ピリドン、ローダニン、ピラゾリジンジオン、ピラゾロピリドン、及びメルドラム酸からなる群より選択されるいずれか1つの芳香環もしくはその互変異性体がより好ましく、
ベンゼン、ナフタレン、ピラゾール、イミダゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾオキサゾール、1,2,4−チアジアゾール、及び1,3,4−チアジアゾール、バルビツール酸、ピリドン、ローダニン、ピラゾリジンジオン、及びメルドラム酸からなる群より選択されるいずれか1つの芳香環もしくはその互変異性体がさらに好ましい。
一般式1におけるWは、解離により生じた負電荷が発色団であるアゾ基と共役系を形成し得る解離状態の解離性基を表し、Xが構成する5員環、6員環、もしくはそれらに芳香環が縮環した縮合環に置換する解離状態の解離性基であって、前記解離性基の負電荷はアゾ基と共役する。
解離状態にある解離性基の負電荷のカウンターカチオンは、任意のものを使用することができる。例えば、無機化合物由来のカチオン(無機カチオン)であってもよいし、有機化合物由来のカチオン(有機カチオン)であってもよい。
無機カチオンの例としては、リチウム,ナトリウム,カリウムのようなアルカリ金属カチオン、マグネシウム、カルシウムのようなアルカリ土類金属カチオン、アンモニウムなどのカチオンが挙げられる。ただし、遷移金属は、遷移金属錯体を形成してd−d遷移(中心金属内のd軌道間の電子遷移)やCT遷移(配位子と中心金属環の電子遷移)を起こして本発明による分光特性(負電荷が発色団と共役したもの)とは別の分光特性を発現するので、カウンターカチオンが遷移金属であることはない。
カウンターカチオンが遷移金属の場合の例として、以下のアゾキレート化合物をあげることができるが、本発明のように解離により極大吸収波長が長波化することはない。

上記アゾキレート化合物Bは、極大吸収波長が、非解離状態のアゾ化合物Aより長波化しない(むしろ短波化する)理由は、先述のように、水酸基より生じた二つの負電荷とアゾ基が銅イオンと配位結合を形成していて、負電荷としてアゾ基と共役できないためである。
有機カチオンの例としては、ピリジニウム、テトラメチルアンモニウム、グアニジニウム、テトラメチルグアニジニウム、アミジニウム、トリエチルアンモニウムなどが挙げられる。
一般式1におけるWの好ましい例としては、−O、−S、−N(R)、及び−C(R)(R)が挙げられる。ここで、R、およびRは、それぞれハメットのσp値が0.30以上の電子求引性基を表し、具体的には、例えば、シアノ基、スルホニル基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、スルファモイル基、ジシアノエチレン基等が挙げられる。
一般式1で表される特定着色剤においては、一般式1におけるWで表される解離状態の解離性基の負電荷(アニオン性基ともいう)によって発色団自体が水性を有するが、必要に応じて、分子内に、更に水性基を有していてもよい。
好ましい水性基としては、スルホ基およびその塩、カルボキシル基の塩、リン酸基およびその塩、ポリオキシエチレン基などが挙げられる。
既述のように、一般式1におけるDで表される炭化水素環および複素環は、それぞれ独立に、更に置換基を有していてもよく、また、一般式1におけるXを含んで構成される炭化水素環および複素環も、それぞれ独立に、更に置換基を有していてもよい。
かかる置換基としては、ハロゲン原子、アルキル基(シクロアルキル基を含む)、アルケニル基(シクロアルケニル基を含む)、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基(複素環基)、シアノ基、水酸基、ニトロ基、カルボキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、ヘテロ環オキシ基(複素環オキシ基)、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ、アミノ基(アニリノ基を含む)、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキル及びアリールスルホニルアミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基(複素環チオ基)、スルファモイル基、スルホ基、アルキル及びアリールスルフィニル基、アルキル及びアリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アリール及びヘテロ環アゾ基(複素環アゾ基)、イミド基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基、シリル基等が挙げられる。中でも、電子求引性基がより好ましい。
一般式1におけるD、A、B、X、及びWの好ましい組み合わせは、既述の各々の好ましい態様の組み合わせである。
(一般式2で示されるオキソノール色素)
一般式2において、AおよびAは、それぞれ独立に、酸性核を表し、L、LおよびLは、各々メチン基を表し、nは0、1、2または3を表す。
特定着色剤が一般式2で示されるオキソノール色素である場合、一般式2におけるAおよびAで表される酸性核はそれぞれケト体とエノール体の構造をとるが、エノール体の解離により生じた負電荷が、発色団であるL1、L2,L3から構成されるポリメチン基と共役する。例えば酸性核が5−ピラゾロンである場合の例を下記に示す。

一般式2におけるAおよびAで表される酸性核としては、環状のケトメチレン化合物由来の酸性核、または電子吸引性基によって挟まれたメチレン基を有する化合物由来の酸性核が好ましい。
前記「環状のケトメチレン化合物」としては、5−ピラゾロン、ロダニン、ヒダントイン、チオヒンダントイン、2,4−オキサゾリジンジオン、イソオキサゾロン、バルビツール酸、チオバルビツール酸、インダンジオン、ジオキソピラゾロピリジン、ピリドン、ピラゾリジンジオン、2,5−ジヒドロフラン−2−オン、ピロリン−2−オンなどが挙げられる。前記環状のケトメチレン化合物は、さらに、置換基を有していてもよい。中でも、5−ピラゾロン、バルビツール酸、ジオキソピラゾロピリジン、及びピリドンが好ましい。なお、置換基としては、一般式1におけるDで表される複素環が有していてもよい置換基が挙げられる。
前記「電子吸引性基によって挟まれたメチレン基を有する化合物」は、Z−CH−Zで表すことができる。ここで、ZおよびZは、それぞれ独立に、−CN、−SO、−COR、−COOR、−CONHR、−SONHR、−C〔=C(CN)〕NHRまたは−CR〔=(CN)〕であることが好ましい。Rはアルキル基、アリール基または複素環基を表し、Rは水素原子、アルキル基、アリール基または複素環基を表すのが好ましい。RおよびRで各々表されるアルキル基、アリール基または複素環基は置換基を有していてもよい。なお、複素環基としては、一般式1におけるDで表される複素環から水素原子を1つ取り除いた基が挙げられ、置換基としては、一般式1におけるDで表される複素環が有していてもよい置換基が挙げられる。
(一般式3で示される色素)
特定着色剤は、下記一般式3で示される色素であってもよい。一般式3で示される色素は、一般式3におけるmが1のとき、一般にトリフェニルメタン色素と称される。
一般式3において、Gは酸素原子または硫黄原子を表し、nは0または1を表す。Arは芳香族炭化水素環または複素環を表し、mは0または1を表す。Arが結合する炭素原子は、mが0であるときは、Arに代わり水素原子と結合する。
一般式3において、ケトン(O=)が結合する環、解離性基(O−)が結合する環、nが1である場合におけるGを含んで構成される環、およびArは、それぞれ独立に、更に置換基を有していてもよい。
一般式3で示される色素においては、ケトン(O=)およびケトンが結合する環と、解離性基(O−)が結合する環と、両者を連結しmが1であるときにArと結合する炭素原子を含む連結基と、によって構成される骨格が発色団である。
特定着色剤が一般式3で示される色素である場合、一般式3における−Oが、解離状態にある解離性基であり、解離により負電荷Oを生成している。かかる負電荷が、上記骨格である発色団と共役して負電荷が非局在化している。その状態を下反応式に示す。
なお、下記反応式に示す構造式において、G、n、Ar、およびmは、それぞれ、一般式3におけるG、n、Ar、およびmと同じである。
一般式3で示される色素としては、フェノールフタレインが挙げられる。
以上説明した一般式1〜3で示される各種特定着色剤の中でも、高耐光性の観点から、一般式1で示されるアゾ色素が好ましく用いられる。
一般式1で示されるアゾ色素の中でも、下記一般式1−1で示されるアゾ色素が更に好ましく用いられる。

一般式1−1において、Dは、ジアゾ成分D−NHの残基を表し、Dは炭化水素環であっても複素環であってもよい。Eは水素原子、アシルアミノ基、または電子求引性基を表す。一般式1−1に示されるベンゼン環は、Xを含んで構成される環により縮環していてもよい。Gは、一般式1−1に示されるベンゼン環またはXを含んで構成される縮環に置換した置換基を表す。mは0〜4の整数を表す。Wは、−O、−S、−N(R)、−C(R)(R)より選ばれるアニオン性置換基を表し、R、及びRは、それぞれ独立に、ハメットのσp値が0.30以上の電子求引性基を表す。
一般式1−1におけるDとしては、芳香族炭化水素環、または、複素環であることが好ましく、さらに、少なくとも1つの電子求引性基を有する芳香族炭化水素環、または少なくとも1つの電子求引性基を有する複素環であることが好ましい。
芳香族炭化水素環および複素環には、ベンゼン環や複素環が縮環していてもよく、さらに置換基を有していてもよい。
で表される好ましい複素環としては、一般式1におけるDで表される複素環として例示した複素環が挙げられ、硫黄原子と窒素原子の少なくとも一方を含む複素環等が好適である。
一般式1−1におけるGとしては、具体的には、アシルアミノ基、または電子求引性基であることが好ましい。mが2以上であるとき、Gは、同じでも異なっていてもよい。電子求引性基は、具体的には、一般式1におけるWで説明した電子求引性基と同様の基が挙げられる。一般式1−1におけるGは、より好ましくは、アシルアミノ基、または、アミノスルホニル基(−SONH)である。
一般式1−1に示されるベンゼン環は、Xを含んで構成される環により縮環していなくてもよく、その場合、一般式1−1におけるW、E、及びアゾ基(−N=N)が結合する環はベンゼン環である。
一般式1−1におけるXを含んで構成される環としては、芳香族炭化水素環、脂肪族炭化水素環、複素環等が挙げられる。従って、一般式1−1に示されるベンゼン環が、Xを含んで構成される環により縮環している場合、当該縮環は、ベンゼン環を1つ含む環であり、例えば、ナフタレン環、インドール環、キノリン環が挙げられる。当該縮環としては、ナフタレン環が好ましい。
一般式1−1におけるWが−N(R)、−C(R)(R)より選ばれるアニオン性置換基で表されるときのR、及びRについて、ハメットのσp値が0.30以上の電子求引性基としては、具体的には、シアノ基、スルホニル基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、スルファモイル基、ジシアノエチレン基が挙げられる。
各アニオン性基は、一般式1におけるWの説明において記載した無機化合物由来のカチオン(無機カチオン)、または、有機化合物由来のカチオン(有機カチオン)であるカウンターカチオンを有する。一般式1−1におけるWは、以上の中でも、−O、−N(R)から選ばれるアニオン性基がより好ましく、−Oが最も好ましい。
また、捺染用布帛として、ポリアミド繊維を含む布帛を用いる場合は、特定着色剤は、分子中に、アミド結合(−NHCO−)を有する基、アミノ基、−NH−SOCO等の、−NH−構造を有する基を、少なくとも1つ有することが好ましい。特定着色剤が、分子構造中に、ポリアミド繊維が有するアミド結合と水素結合を結合し易い基を有することで、特定着色剤とポリアミド繊維とが水素結合を結び易くなると考えられる。その結果、特定着色剤のポリアミド繊維を含む布帛への固定化がより一層高まり、滲み難く、発色濃度の高い画像を得ることができると考えられる。
特定着色剤が、「分子内に−NH−構造を有する基を、少なくとも1つ有すること」は、一般式1や一般式1−1で表される色素に限らず、一般式2で表される色素、一般式3で表される色素にも当てはまる。
特に、一般式1−1においては、Gが、−NH−構造を有する基であることが好ましい。
本発明の、解離により生成した負電荷が発色団と共役した状態の着色剤は、例えばレーキ顔料のように、水に難溶な多価金属塩にして水性着色剤中に分散状態で使用することもできるが、染料のように、水に溶解する形で用いることが好ましい。
以下に、特定着色剤の具体例を示すが、これらに限るものではない。
まず、一般式1で示される赤染料、マゼンタ染料、紫染料の具体例を、具体例1〜具体例46に示す。なお、具体例1〜具体例46は、解離した解離性基上の負電荷記号を省略し、カウンターカチオンを伴った形で示されている(カウンターカチオンの正電荷記号も省略している)。具体例1〜具体例38においては、各表上に示される一般式のAで示される基が解離した基であり、具体例39、40、42〜46は、−ONaが解離した基であり、具体例41および44は、−OKが解離した基である。





次に、一般式1で示される青染料、シアン染料の具体例を、具体例47〜具体例90に示す。なお、具体例47〜具体例90は、いずれも解離した解離性基上の負電荷記号を省略し、カウンターカチオンを伴った形で示されている(カウンターカチオンの正電荷記号も省略している)。具体例54〜具体例90においては、各表上に示される一般式のAで示される基が解離した基であり、具体例47および具体例51は、−ONaが解離した基であり、具体例48は、−OKが解離した基である。
具体例49は、−C(CN) Naが解離した基であり、解離性基−CH(CN)が−C(CN) となって負電荷を生成し、アゾ基と共役している構造となっており、カウンターカチオンがNaであることを示している。
具体例50は、−OKがアゾ基と共役した解離した基であり、具体例52は、環を形成している−NNa−が解離した基であり、アゾ基と共役している構造となる。
具体例53は、−NSO−(Na)が解離した基であり、解離性基である−NHSO−が、−NSO−となって負電荷を生成し、アゾ基と共役している構造となる。



一般式1で示される他の具体例を、具体例91〜具体例94に示す。なお、具体例91〜具体例94は、いずれも解離した解離性基上の負電荷記号を省略し、カウンターカチオンを伴った形で示されている(カウンターカチオンの正電荷記号も省略している)。具体例91および具体例92は、−ONaが解離した基であり、具体例93は、環を形成している−NNa−が解離した基であり、具体例94は、アゾ基が直結した解離性基NC−CH−CO−が解離して生成したNC−C(K)―CO−、もしくはそのエノール体NC−C=CO(K)−が解離した基である。
各解離性基の解離の態様は既述のとおりである。
次に、一般式2で示されるオキソノール色素の具体例を、具体例95〜具体例115に示す。なお、具体例95〜具体例115は、いずれも解離した解離性基上の負電荷記号を省略し、カウンターカチオンを伴った形で示されている(カウンターカチオンの正電荷記号も省略している)。具体例95〜具体例103においては、−ONaが解離した基であり、具体例104〜具体例115においては、−OKが解離した基である。
次に、一般式3で示される色素の具体例を、具体例116〜具体例127に示す。なお、具体例116〜具体例127は、いずれも解離した解離性基上の負電荷記号を省略し、カウンターカチオンを伴った形で示されている(カウンターカチオンの正電荷記号も省略している)。
具体例116〜119及び121〜127においては、−ONaが解離した基であり、具体例120においては、−OKが解離した基である。
上記のほか、下記具体例128〜具体例135も、特定着色剤として好適である。
なお、具体例128〜具体例134は、いずれも解離した解離性基上の負電荷記号を省略し、カウンターカチオンを伴った形で示されている(カウンターカチオンの正電荷記号も省略している)。
具体例128〜具体例135においては、いずれも−ONaが解離した基である。
既述の特定着色剤は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明における捺染用水性着色組成物は、着色剤として、既述の特定着色剤のみを含有するものであってもよいが、本発明の効果を損なわない範囲で、さらに、特定着色剤以外の着色剤を含有していてもよい。
本発明における捺染用水性着色組成物が、特定着色剤以外の着色剤を含有する場合、全着色剤中の特定着色剤の含有量は、全着色剤質量に対して、50質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましい。さらには、本発明における捺染用水性着色組成物が含有する着色剤は、100質量%特定着色剤であることが特に好ましい。
本発明における捺染用水性着色組成物中の特定着色剤の含有量は、十分な発色濃度を得ると共に、捺染用水性着色組成物の保存安定性を考慮すると、捺染用水性着色組成物の全質量に対して、0.1質量%〜20質量%であることが好ましく、0.2質量%〜15質量%であることがより好ましい。
本発明における捺染用水性着色組成物は、既述の特定着色剤のほか、さらに水を含有し、必要に応じて、有機溶媒、界面活性剤などの成分を含有していてもよい。
−水−
本発明における捺染用水性着色組成物が含有し得る水は、特に制限されず、イオン交換水でも、水道水でもよい。
水の含有量は、捺染用水性着色組成物が、水以外に既述の特定着色剤のみを含む場合は、捺染用水性着色組成物の全質量から特定着色剤の含有量を差し引いた残部であり、捺染用水性着色組成物が、他に、後述する成分を含む場合は、特定着色剤と当該他の成分との全含有量を差し引いた残部である。
−有機溶媒−
本発明における捺染用水性着色組成物が含有し得る有機溶媒は、水性有機溶媒であることが好ましく、例えば、多価アルコール類(例えば、エチレングリコール、グリセリン、2−エチル−2−(ヒドロキシメチル)−1,3−プロパンジオール、テトラエチレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2,4−ブタントリオール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,2−ペンタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール等)、アミン類(例えば、エタノールアミン、2−(ジメチルアミノ)エタノール等)、一価アルコール類(例えばメタノール、エタノール、ブタノール等)、多価アルコールのアルキルエーテル類(例えば、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル等)、2,2′−チオジエタノール、アミド類(例えばN,N−ジメチルホルムアミド等)、複素環類(2−ピロリドン等)、アセトニトリル等が挙げられる。
本発明における捺染用水性着色組成物中の有機溶媒の含有量は、捺染用水性着色組成物の全質量に対して、1質量%以上60質量%以下であることが好ましく、2質量%以上50質量%以下であることがより好ましい。
−界面活性剤−
本発明における捺染用水性着色組成物は、保存安定性、吐出安定性、吐出精度等を高める観点から、各種界面活性剤を用いることができる。界面活性剤としては、陽イオン性、陰イオン性、両性、非イオン性のいずれの界面活性剤も用いることができる
陽イオン性界面活性剤としては、例えば、脂肪族アミン塩、脂肪族4級アンモニウム塩、ベンザルコニウム塩、塩化ベンゼトニウム、ピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩等が挙げられる。
陰イオン性界面活性剤としては、例えば、脂肪酸石鹸、N−アシル−N−メチルグリシン塩、N−アシル−N−メチル−β−アラニン塩、N−アシルグルタミン酸塩、アルキルエーテルカルボン酸塩、アシル化ペプチド、アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ジアルキルスルホ琥珀酸エステル塩、アルキルスルホ酢酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、N−アシルメチルタウリン、硫酸化油、高級アルコール硫酸エステル塩、第2級高級アルコール硫酸エステル塩、アルキルエーテル硫酸塩、第2級高級アルコールエトキシサルフェート、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、モノグリサルフェート、脂肪酸アルキロールアミド硫酸エステル塩、アルキルエーテルリン酸エステル塩、アルキルリン酸エステル塩等が挙げられる。
両性界面活性剤としては、例えば、カルボキシベタイン型、スルホベタイン型、アミノカルボン酸塩、イミダゾリニウムベタイン等が挙げられる。
非イオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン2級アルコールエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンステロールエーテル、ポリオキシエチレンラノリン誘導体、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油、硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、脂肪酸モノグリセリド、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、脂肪酸アルカノールアミド、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルキルアミンオキサイド、アセチレングリコール、アセチレンアルコール等が挙げられる。
これらの各界面活性剤を使用する場合、界面活性剤を1種単独で用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。
本発明における捺染用水性着色組成物中の界面活性剤の含有量は、捺染用水性着色組成物の全質量に対して、0.001質量%〜5.0質量%の範囲であることが好ましく、かかる範囲で捺染用水性着色組成物の表面張力を任意に調整することが好ましい。
−防腐剤、防黴剤−
本発明における捺染用水性着色組成物は、長期保存安定性を保つため、防腐剤、及び防黴剤の少なくとも一方を含有していてもよい。防腐剤及び防黴剤としては、芳香族ハロゲン化合物(例えば、Preventol CMK;ランクセス社製)、メチレンジチオシアナート、含ハロゲン窒素硫黄化合物、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン(例えば、PROXEL GXL;アーチケミカルズ社製)などが挙げられる。
−各種添加剤−
本発明における捺染用水性着色組成物は、その他に従来公知の添加剤を含有していてもよい。例えば、酸塩基や緩衝液等のpH調整剤、蛍光増白剤、消泡剤、潤滑剤、増粘剤、帯電防止剤、マット剤、酸化防止剤、比抵抗調整剤、防錆剤、無機顔料、還元防止剤等である。
本発明における捺染用水性着色組成物は、発色濃度が高く、かつ滲み耐性にも優れるため、布帛上への着色剤供給量に制約があるインクジェット記録用インクとして好適である。
すなわち、本発明におけるインクジェット記録用インクは、発色団を有し、解離により生じた負電荷が前記発色団と共役系を形成し得る解離状態の解離性基を前記発色団一個あたり一個有する着色剤(特定着色剤)と、水とを含有する。
インク中の特定着色剤および水の含有量は、本発明における捺染用水性着色組成物中の含有量として示した記述の範囲であることが好ましい。
本発明のインクジェット捺染方法においては、布帛にインクを付与して印字した後、印字された布帛を巻き取り、布帛を加熱して発色させ、布帛を洗浄し、乾燥することが望ましい。
インクジェット法による捺染において、上記手順を踏むことで、インクを布帛に印字し、そのまま放置しておく場合に比べ、特定着色剤の染着が充分に行なわれ、発色濃度が高く、また滲み難い画像を得ることができる。特に、長尺の布帛をローラー等で搬送しながら長時間印字し続ける場合などは、印字された布帛が延々と搬送されて出てくるため、床などに印字した布帛が重なっていってしまうことがある。このため、場所をとるばかりでなく不安全でありまた予期せず汚れてしまう場合がある。そのため、印字後、印字された布帛を巻き取る操作を行うことが好ましい。この巻き取り操作時に、布帛と布帛の間に紙や布、ビニール等の印字に関わらない媒体を挟んでもかまわない。ただし、印字された布帛を途中で切断する場合や、印字された布帛が短い場合は必ずしも巻き取る必要はない。
〔後処理工程〕
捺染工程を経た布帛は、好ましくは後処理に付され、特定着色剤の繊維への固定化を促進させ、その後、定着しなかった着色剤、その他の成分、及び前処理剤を十分除去する後処理工程を経ることが好ましい。
後処理工程はいくつかの工程に分かれる。
後処理は、例えば、予備乾燥工程、スチーム工程、洗浄工程、及び乾燥工程を、この順に行なうことによって構成することができる。
−予備乾燥工程−
まず、捺染工程の後、特定着色剤を含有する着色組成物(インクジェット記録用インク)が付与された布帛を、常温〜150℃に0.5分〜30分放置し、インクを予備乾燥することが好ましい。この予備乾燥により印捺濃度を向上させ、かつ滲みを有効に防止できる。なお、この予備乾燥とはインクが布帛中に浸透することも含む。
本発明のインクジェット捺染方法によれば、予備乾燥を連続工程で加熱乾燥することも可能である。布帛をロール状にしてインクジェット印捺機に供給して印捺(印字して捺染)し、その後、印字した布帛を巻き取る以前に、乾燥機を用いて乾燥する。乾燥機は印捺機に直結したものでも、分離したものであってもよい。乾燥機における印字した布帛の乾燥は常温〜150℃で0.5分〜30分行われることが好ましい。また、好ましい乾燥方法としては、空気対流方式、加熱ロール直付け方式、照射方式等が挙げられる。
−スチーム工程−
スチーム工程は、インクが付与された布帛を、飽和蒸気中に曝すことで、特定着色剤の布帛への固定化を促進する工程である。
本発明のインクジェット捺染方法によれば、後処理のうちスチーム工程は、布帛の種類によってその条件、特に、その時間を変化させることが好ましい。
例えば、布帛が羊毛である場合、スチーム工程の時間は1分〜120分が好ましく、より好ましくは3分〜90分程度である。また、布帛が絹である場合、時間は1分〜40分が好ましく、より好ましくは3分〜30分程度である。さらに、布帛がナイロンである場合、1分〜90分程度が好ましく、より好ましくは3分〜60分程度である。
−洗浄工程−
このようにして、布帛にインクジェット記録されたインクのうち、大部分は布帛に固着するが、この中の一部の着色剤は繊維に染着しないものがある。この未固着の着色剤は洗い流しておくことが好ましい。未固着の着色剤の除去は、従来公知の洗浄方法が採用できる。例えば常温から100℃の範囲の水もしくは温水を使用したり、アニオン、ノニオン系のソーピング剤を使用することが好ましい。未固着の色材が完全に除去されていないと、種々の耐水性、例えば、洗濯堅牢性、耐汗堅牢性等において良好な結果が得られない場合がある。
−乾燥工程(洗浄後の乾燥)−
印字した布帛を洗浄した後は乾燥が必要である。洗浄した布帛を絞ったり脱水した後、干したりあるいは乾燥機、ヒートロール、アイロン等を使用して乾燥させる。
<布帛>
本発明の布帛は、本発明のインクジェット捺染方法によって捺染された布帛であれば、特に制限されず、布帛の種類は、既述の捺染用布帛の種類と同様であり、好ましい態様も同様である。すなわち、ポリアミド繊維を含む布帛であることが好ましい。
本発明の布帛は、特定着色剤を含有する捺染用水性着色組成物を用いて捺染されているため、捺染により形成された画像は、滲み難く、発色濃度が高い。
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその主旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」及び「%」は質量基準である。
〔実施例1〜実施例10、比較例1〜比較例7、および、参考例1〜参考例2〕
<前処理工程>
−前処理剤1〜前処理剤3、および前処理剤101の調製−
(1)高分子
・グアーガム〔日晶株式会社製、MEYPRO GUM NP〕
・アルギン酸ナトリウム〔和光純薬社製〕
・ヒドロキシエチルセルロース(HEC)
〔ダイセルファインケム社製、SP400〕
(2)ヒドロトロピー剤
・尿素〔和光純薬社製〕
(3)pH調整剤
・硫酸アンモニウム〔和光純薬社製〕
(4)水
上記(1)〜(4)に示す成分を表1に示す量〔%〕混合して、前処理剤1〜前処理剤3、および前処理剤101を調製した。
−捺染用布帛−
捺染用布帛として、絹製布帛、及びナイロン製布帛を用意した。
得られた前処理剤1〜前処理剤3、および前処理剤101を用い、絞り率を90%として、絹製布帛およびナイロン製布帛をパッティングして、処理済み布帛を得た。
<捺染工程>
(インク組成物の調製)
下記の組成に従い各成分を混合し、得られた混合液を孔径10μmのメンブランフィルターでろ過することにより、インク1〜8、およびインク101〜104を調製した。
・表2に示す染料(特定着色剤、または、比較用着色剤) 2%
・グリセリン〔和光純薬社製〕(水性有機溶媒) 10%
・トリエチレングリコールモノブチルエーテル〔和光純薬社製〕(水性有機溶媒)10%
・オルフィンE1010〔日信化学社製〕(アセチレングリコール系界面活性剤) 1%
・水 77%

なお、表1に示すインク1〜8で用いた各具体例の染料(特定着色剤)は、特開昭55−60559号公報を参考にして合成した。
インクジェットプリンター(セイコーエプソン社製、PX−V630)に、得られた各インク(インク1〜8または101〜104)をセットした上、得られた前処理済み布帛にベタ画像を印捺した。
なお、捺染用布帛(絹製布帛、またはナイロン製布帛)に対して用いた前処理剤と、インクの組み合わせを、表3に示す。
<後処理工程>
印捺した布帛を乾燥した後、スチーム工程にて飽和蒸気中、30分間スチームをかけ、着色剤を布帛の繊維に固着させた後、乾燥した。
<評価>
1.発色濃度の評価
各布帛に形成された各ベタ画像について、発色濃度(OD値;Optical Density値)を、反射濃度測定計(Xrite社製、「Xrite938」)にて測定した。OD値の許容範囲は、1.0<OD値である。
2.滲み評価
ベタ画像が形成された各布帛を目視で確認し、下記評価基準に従って評価した。許容範囲は、○以上である。
−評価基準−
◎ : 滲みなし
○ : 僅かに滲みあり
△ : 部分的に滲みあり
× : 全体的に滲みあり
××: 著しく滲みあり
以上により得られた各実施例、比較例、及び参考例における発色濃度の評価および滲み評価の結果を、それぞれ、表3に示す。
〔比較例8〕
特表2004−511610号公報に記載の適用例Dに従って、下記染料IVを用いたインク105を調製した。
実施例1において、インク1に代えてインク105を用いたほかは同様にして布帛に捺染し、得られた布帛を、実施例1と同じ評価基準で、発色濃度の評価と滲み評価を行なった。評価結果を表3に示す。
表3からわかるように、実施例のインクジェット捺染方法によれば、捺染された布帛は、絹製、ナイロン性とも、滲みにくく、発色濃度の高い画像が形成されていることがわかった。染料として特定着色剤を用いたインクは、特定着色剤の解離性基が解離し負電荷を生成することにより、発色団自身がアニオン性となっているため、染色を促進する前処理剤中のヒドロトロピー剤やpH調整剤がなくても滲み無く高濃度で発色できると考えられる。
一方、従来の着色剤を用いたインクにおいては、ヒドロトロピー剤やpH調整剤を含まない前処理剤で前処理を行なうと、滲み易く発色濃度が高くならなかった。比較例では、インクに用いられる染料構造が特定着色剤と異なるため、滲みが発生し、発色濃度を示すOD値も1以下の低濃度となっていると考えられる。
また、参考例1、および参考例2からわかるように、前処理剤を、従来のヒドロトロピー剤及びpH調整剤も含有する前処理剤に代えれば、発色濃度を高くすることはできたが、滲み耐性が不十分であった。参考例は、前処理剤に高分子成分、ヒドロトロピー剤、尿素を含んだ場合には、染料の構造に関係なく染色可能であることを示している。
このように、比較例および参考例に示すインクジェット捺染方法による布帛の捺染では、高発色濃度と滲み耐性とを両立することができなかった。
〔比較例9〕
特表2009−507083号公報に記載の染料A(下記構造式)を、特表2009−507083号公報を参考に合成した。実施例1のインク1の調製において、具体例128の染料に代えて、得られた染料Aを用いた他は同様にして、比較例9のインク106の調製を試みたが、染料Aが水に十分溶解しなかったため、上記発色濃度の評価および滲み評価はできなかった。

Claims (8)

  1. 高分子成分を含有し、ヒドロトロピー剤の含有量が1質量%未満であり、かつpH調整剤の含有量が1質量%未満である前処理剤を、布帛に付与する前処理工程と、
    発色団を有し、解離により生じた負電荷が前記発色団と共役系を形成し得る解離状態の解離性基を前記発色団一個あたり一個有する着色剤及び水を含有する捺染用水性着色組成物を、インクジェット法により、前記前処理工程を経た布帛に付与する捺染工程と、
    を有するインクジェット捺染方法。
  2. 前記布帛が、ポリアミド繊維を含む請求項1に記載のインクジェット捺染方法。
  3. 前記着色剤が、下記一般式1で表されるアゾ色素である請求項1または請求項2に記載のインクジェット捺染方法。

    〔一般式1中、Wは、解離により生じた負電荷が発色団であるアゾ基と共役系を形成し得る解離状態の解離性基を表し、Xが構成する5員環、6員環、またはそれらに芳香環が縮環した縮合環に置換する基である。Dは、ジアゾ成分D−NHの残基を表し、前記Dは炭化水素環または複素環を表すが、解離により生じた負電荷がアゾ基に共役する解離性基を持つことはない。AおよびBは、各々独立に、炭素原子、窒素原子、酸素原子、若しくは硫黄原子、または、炭素原子および窒素原子から選択される少なくとも1つの原子を含む原子群を表す。Xは、アゾ基が結合した炭素原子と、Aと、Bと共に、5員環または6員環を形成し、かつ、炭素原子、窒素原子、酸素原子、及び硫黄原子から選択される少なくとも1つの原子を含む原子群を表す。Xが構成する5員環または6員環はさらに芳香環が縮環していてもよい。〕
  4. 前記着色剤が、下記一般式1−1で表されるアゾ色素である請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のインクジェット捺染方法。

    〔一般式1−1中、Dは、炭化水素環または複素環を表し、Eは水素原子、アシルアミノ基、または電子求引性基を表す。一般式1−1に示されるベンゼン環は、Xを含んで構成される環により縮環していてもよい。Gは、一般式1−1に示されるベンゼン環またはXを含んで構成される縮環に置換した置換基を表す。mは0〜4の整数を表す。Wは、−O、−S、−N(R)、−C(R)(R)より選ばれるアニオン性置換基を表し、R、及びRは、それぞれ独立に、ハメットのσp値が0.30以上の電子求引性基を表す。〕
  5. 前記一般式1−1中のWが、スルホンアミドまたは水酸基である請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のインクジェット捺染方法。
  6. 前記一般式1−1中のGが、−NH−構造を有する基を少なくとも1つ有する請求項2〜請求項5のいずれか1項に記載のインクジェット捺染方法。
  7. 前記一般式1−1中のDが、芳香族炭化水素環、または、硫黄原子と窒素原子の少なくとも一方を含む複素環である請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載のインクジェット捺染方法。
  8. 請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載のインクジェット捺染方法によって捺染された布帛。
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