JP2004315733A - インクジェット捺染用インクとインクジェット記録方法 - Google Patents

インクジェット捺染用インクとインクジェット記録方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明の目的は、インク出射性及びインク保存性に優れた高精彩インクジェット捺染プリントに適した分散染料を用いたインクジェット捺染用インクとそれを用いたインクジェット記録方法を提供することにある。
【解決手段】少なくとも分散染料、分散剤、水及び水溶性有機溶媒を含有するインクジェット捺染用インクにおいて、該水溶性有機溶媒としてエチレングリコールを全インク質量に対して10〜40質量%含有し、ジアルキルスルホコハク酸塩を含有し、かつ尿素骨格を有する化合物を含まないことを特徴とするインクジェット捺染用インク。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェット画像記録のための新規のインクジェット捺染用インクとそれを用いたインクジェット記録方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット方式による画像の印刷方法は、インクの微小液滴をインクジェット記録ヘッドより飛翔させ、対象となる記録媒体に付着させて印刷を行う方法である。インクジェット方式は、その機構が比較的簡便で、安価であり、かつ高精細で高品位な画像を形成できることが利点である。
【0003】
このインクジェット方式の利点を生かして、布帛への画像印字、いわゆるインクジェット捺染についても開発が進められている。インクジェット捺染は、従来の捺染とは異なり、版を作製する必要がなく、手早く階調性に優れた画像を形成できる利点を有している。更に、形成画像として必要な量のインクのみを使用するため、従来方法に比較すると廃液が少ない等の環境的利点も有する優れた画像形成方法であるといえる。
【0004】
ポリエステル等の繊維の染色に対しては、一般に分散染料が用いられる。インクジェット用インクとして分散染料を用いる場合、従来の捺染において必要な性能である、堅牢性、発色性等の他に、微細なノズルから吐出するために微細な粒子とするための分散適性や、インクを長期間保存しておいても沈降や凝集による粗大粒子が発生しない等の制約がある。また、長時間連続で出射する場合には、インク交換時にインク流路に残った気泡の排出性やノズル面の汚れによる出射不良といった問題も存在する。更には、キャップなしで放置された場合のノズルの再出射性といった問題も存在する。
【0005】
インクジェット用インクとして、尿素骨格を有する化合物、ジアルキルスルホコハク酸塩化合物を含有するインクジェット用インクが開示されている(例えば、特許文献1参照。)。このインクジェット用インクはインターバル特性には優れるが、インク保存時の性能に関しては一切言及がなされていない。また、尿素を含有したインクジェット用インクの高温環境下、あるいは長期的な保存状態下における目詰まり防止効果や吐出安定性の低下を改良する目的で、アンモニウム塩を添加する方法が開示されている(例えば、特許文献2参照。)。尿素の様に長期保存時にアンモニアや二酸化炭素といった気体を発生する化合物を含有することは、インク流路やヘッド内に気泡を発生させるため安定出射には好ましくない。この課題を解決する目的でアンモニウム塩を添加した場合、インク中の塩濃度が増加するため、水溶性有機溶媒も存在するインクジェット用インクにおいては析出等の問題を引き起こすため、アンモニウム塩を添加することは好ましい方法とは言い難い。
【0006】
一方、インクジェット用インクに、プリンタやインクジェットヘッド内のインク流路への濡れ性を改善し、流路内の気泡の排出性等を向上させ安定出射を実現するため、界面活性剤を添加することが知られている。しかしながら、分散剤によって分散された分散染料を色材とする分散染料インクにおいては、添加された界面活性剤に分散染料が溶解し、保存安定性を損なう問題を引き起こすことが判明した。
【0007】
【特許文献1】
特開平10−298466号公報 (特許請求の範囲)
【0008】
【特許文献2】
特開平5−17714号公報 (特許請求の範囲)
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、インク出射性及びインク保存性に優れた高精彩インクジェット捺染プリントに適した分散染料を用いたインクジェット捺染用インクとそれを用いたインクジェット記録方法を提供する。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、以下の構成により達成される。
【0011】
1.少なくとも分散染料、分散剤、水及び水溶性有機溶媒を含有するインクジェット捺染用インクにおいて、該水溶性有機溶媒としてエチレングリコールを全インク質量に対して10〜40質量%含有し、ジアルキルスルホコハク酸塩を含有し、かつ尿素骨格を有する化合物を含まないことを特徴とするインクジェット捺染用インク。
【0012】
2.前記ジアルキルスルホコハク酸塩を、全インク質量に対して0.01〜3.0質量%含有していることを特徴とする前記1項に記載のインクジェット捺染用インク。
【0013】
3.インクのpHが5.0〜9.0であることを特徴とする前記1または2項に記載のインクジェット捺染用インク。
【0014】
4.前記ジアルキルスルホコハク酸塩のアルキル基が、2−エチルヘキシル基であることを特徴とする前記1〜3項のいずれか1項に記載のインクジェット捺染用インク。
【0015】
5.前記1〜4項のいずれか1項に記載のインクジェット捺染用インクを、ノズル径が10〜100μmのインクジェットヘッドを用いて印字することを特徴とするインクジェット記録方法。
【0016】
6.前記1〜4項のいずれか1項に記載のインクジェット捺染用インクを、ポリエステル繊維を主体とする布帛に印字することを特徴とするインクジェット記録方法。
【0017】
本発明者は、上記課題に鑑み鋭意検討を行った結果、少なくとも分散染料、分散剤、水及び水溶性有機溶媒を含有するインクジェット捺染用インクにおいて、該水溶性有機溶媒としてエチレングリコールを全インク質量に対して10〜40質量%含有し、ジアルキルスルホコハク酸塩を含有し、かつ尿素骨格を有する化合物を含まないインクジェット捺染用インクにより、インク出射性及びインク保存性に優れた高精彩インクジェット捺染プリントに適した分散染料を用いたインクジェット捺染用インクを実現できることを見出し、本発明に至った次第である。
【0018】
更に、上記の本発明で規定する構成に加えて、ジアルキルスルホコハク酸塩を、全インク質量に対して0.01〜3.0質量%含有すること、インクのpHが5.0〜9.0であること、ジアルキルスルホコハク酸塩のアルキル基が2−エチルヘキシル基であるインクジェット捺染用インクにより、上記の本発明の目的効果がより一層発揮させることができる。
【0019】
また、上記構成からなる本発明のインクジェット捺染用インクを用いて、ノズル径が10〜100μmのインクジェットヘッドを用いて印字すること、あるいはポリエステル繊維を主体とする布帛に印字するインクジェット記録方法により、高精彩インクジェット捺染プリントに適した分散染料を用いたインクジェット記録方法を実現するものである。
【0020】
以下、本発明の詳細について説明する。
本発明のインクジェット捺染用インク(以下、単に本発明のインクともいう)は、上述のごとく、少なくとも分散染料、分散剤、水及び水溶性有機溶媒を含有するインクジェット捺染用インクにおいて、該水溶性有機溶媒としてエチレングリコールを全インク質量に対して10〜40質量%含有し、ジアルキルスルホコハク酸塩を含有し、かつ尿素骨格を有する化合物を含まないことを特徴とする。
【0021】
本発明のインクにおいては、エチレングリコールを全インク質量に対して10〜40質量%含有することが特徴の1つであるが、15〜40質量%含有することが好ましく、15〜24質量%含有することがより好ましい。
【0022】
エチレングリコールの添加量が10質量%以上であれば、インターバル特性の改良効果を得ることができ、また40質量%以下であれば、良好なインク保存安定性を得ることができる。エチレングリコールの添加量が40質量%を超えるとインク保存安定性が劣化するが、その劣化原因としては、過剰のエチレングリコールが染料を溶解し、析出させてしまうこと、不純物等で存在する無機塩の析出等が考えられる。
【0023】
本発明のインクでは、ジアルキルスルホコハク酸塩を含有することが特徴の1つである。
【0024】
本発明で用いるジアルキルスルホコハク酸塩としては、そのアルキル基が2−エチルヘキシル基、ジヘキシル基、ジヘプチル基、ジオクチル基、ジノニル基、ジデシル基等が挙げられ、その中でも2−エチルヘキシル基が好ましい。その対塩としては、アルカリ金属イオン、アンモニウムイオン、4級アンモニウムイオン等が挙げられ、アルカリ金属イオン、アンモニウムイオンが好ましい。
【0025】
ジアルキルスルホコハク酸塩の添加量としては、全インク質量に対して0.01〜3.0質量%が好ましい。添加量が0.01質量%以上であれば本発明の改良効果が得ることができ、3.0質量%以下であれば出射安定性を実現することができる。ジアルキルスルホコハク酸塩の添加量が3.0質量%を超えると、インクの出射安定性が低下する。その原因としては、ノズル面を濡らしやすくなり、その結果、インク滴が付着し曲がり出射を発生しやすくなると考えている。ジアルキルスルホコハク酸塩は、分散染料の分散時に添加してもよく、分散後のインク調製時に添加してもよい。
【0026】
本発明のインクでは、インク中に尿素骨格を有する化合物を含まない。
この尿素骨格を有する化合物は、インクを長期間保存した際に、アンモニアや二酸化炭素といった気体を発生し、インク流路やヘッド内に気泡を発生させるため、出射安定性を損なう要因となるため、インク中に存在することは好ましくない。
【0027】
本発明に用いることができる分散染料としては、アゾ系分散染料、キノン系分散染料、アントラキノン系分散染料、キノフタロン系分散染料等種々の分散染料を用いることができるが、以下にその具体例を列挙するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0028】
〔C.I.Disperse Yellow〕
3、4、5、7、9、13、23、24、30、33、34、42、44、49、50、51、54、56、58、60、63、64、66、68、71、74、76、79、82、83、85、86、88、90、91、93、98、99、100、104、108、114、116、118、119、122、124、126、135、140、141、149、160、162、163、164、165、179、180、182、183、184、186、192、198、199、202、204、210、211、215、216、218、224、227、231、232、
〔C.I.Disperse Orange〕
1、3、5、7、11、13、17、20、21、25、29、30、31、32、33、37、38、42、43、44、45、46、47、48、49、50、53、54、55、56、57、58、59、61、66、71、73、76、78、80、89、90、91、93、96、97、119、127、130、139、142、
〔C.I.Disperse Red〕
1、4、5、7、11、12、13、15、17、27、43、44、50、52、53、54、55、56、58、59、60、65、72、73、74、75、76、78、81、82、86、88、90、91、92、93、96、103、105、106、107、108、110、111、113、117、118、121、122、126、127、128、131、132、134、135、137、143、145、146、151、152、153、154、157、159、164、167、169、177、179、181、183、184、185、188、189、190、191、192、200、201、202、203、205、206、207、210、221、224、225、227、229、239、240、257、258、277、278、279、281、288、298、302、303、310、311、312、320、324、328、
〔C.I.Disperse Violet〕
1、4、8、23、26、27、28、31、33、35、36、38、40、43、46、48、50、51、52、56、57、59、61、63、69、77、
〔C.I.Disperse Green〕
9、
〔C.I.Disperse Brown〕
1、2、4、9、13、19、
〔C.I.Disperse Blue〕
3、7、9、14、16、19、20、26、27、35、43、44、54、55、56、58、60、62、64、71、72、73、75、79、81、82、83、87、91、93、94、95、96、102、106、108、112、113、115、118、120、122、125、128、130、139、141、142、143、146、148、149、153、154、158、165、167、171、173、174、176、181、183、185、186、187、189、197、198、200、201、205、207、211、214、224、225、257、259、267、268、270、284、285、287、288、291、293、295、297、301、315、330、333、
〔C.I.Disperse Black〕
1、3、10、24、
等が挙げられる。
【0029】
インク中の分散染料の含有量は、3〜20質量%であることが好ましく、5〜13質量%がより好ましい。
【0030】
分散染料の粒径としては、平均粒径として0.1〜0.3μmが好ましい。0.1μmより小さくなると全粒子表面積が大きくなり分散が不安定となる。また、0.3μmより大きくなると凝集等の発生により目詰まりが発生しやすくなり、安定出射できなくなるためである。
【0031】
平均粒径は、光散乱法、電気泳動法、レーザードップラー法等を用いた市販の粒径測定機により求めることができる。具体的粒径測定装置としては、例えば、マルバーン社製ゼーターサイザー1000等を挙げることができる。
【0032】
本発明に用いられる分散剤としては、例えば、クレオソート油スルホン酸ナトリウムのホルマリン縮合物(例えば、花王社製のデモールC)、クレゾールスルホン酸ナトリウムと2−ナフトール−6−スルホン酸ナトリウムのホルマリン縮合物、クレゾールスルホン酸ナトリウムのホルマリン縮合物、フェノールスルホン酸ナトリウムのホルマリン縮合物、β−ナフトールスルホン酸ナトリウムのホルマリン縮合物、β−ナフタリンスルホン酸ナトリウム(例えば、花王社製のデモールN)とβ−ナフトールスルホン酸ナトリウムのホルマリン縮合物、リグニンスルホン酸塩(例えば、日本製紙製のバニレックスRN)、パラフィンスルホン酸ナトリウム(例えば、松本油脂社製のエフコール214)、α−オレフィンと無水マレイン酸の共重合物(例えば、共栄化学社製のフローレンG−700)等が挙げられ、リグニンスルホン酸塩が好ましい。
【0033】
分散剤の使用量は、分散染料に対して、20〜200質量%が好ましい。分散剤が少ないと微粒子化や分散安定性が劣り、分散剤が多いと微粒子化や分散安定性が劣り、粘度が高くなり好ましくない。これらの分散剤は単独で使用してもよいが、併用しても良い。
【0034】
使用する分散染料の構造により、分散中に発泡したり、ゲル化したり、流動性が悪くなることが有るので、微粒子化能力や分散安定性の他、分散時の発泡、分散液のゲル化、分散液の流動性等を考慮して分散剤を選定する必要がある。分散時の発泡を改良するため、消泡剤を添加してもよい。また、分散剤は、布帛への染色性、染着率、均染性、移染性、色の冴え、堅牢度などに及ぼす影響や、高温で発色させる際には分散剤や湿潤剤のタール化により染色が不均一になること等も考慮して選定されることが好ましい。
【0035】
上記の要求を全て満たす分散剤は無いので、分散する染料に合わせて、最適な分散剤を選定して、必要に応じて、消泡剤等を添加する必要がある。
【0036】
本発明に係る水溶性有機溶媒としては、例えば、多価アルコール類(例えば、グリセリン、2−エチル−2−(ヒドロキシメチル)−1,3−プロパンジオール、テトラエチレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2,4−ブタントリオール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,2−ペンタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール等)、アミン類(例えば、エタノールアミン、2−(ジメチルアミノ)エタノール等)、一価アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、ブタノール等)、多価アルコールのアルキルエーテル類(例えば、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル等)、2,2′−チオジエタノール、アミド類(例えば、N,N−ジメチルホルムアミド等)、複素環類(例えば、2−ピロリドン等)、アセトニトリル等が挙げられる。
【0037】
本発明のインクにおいて、pHとしては5〜9が好ましい。pHが低い場合、添加したジアルキルスルホコハク酸塩が酸による加水分解を受け、その改良効果がなくなるためである。pHが高い場合も、添加したジアルキルスルホコハク酸塩がアルカリによる加水分解を受け、その改良効果がなくなるためである。インクpHとしては6〜8であることがより好ましい。pHの調整には、酸、アルカリのいずれを用いることができる。
【0038】
本発明のインクにおいては、上記構成に加えて、更に種々の性能向上のための添加剤を用いることができる。添加剤としては、公知の防腐剤、防黴剤、粘度調整剤、金属キレート剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等を用いることができる。
【0039】
インクの長期保存安定性のため、防腐剤、防黴剤を添加してもよく、防腐剤、防黴剤としては芳香族ハロゲン化合物、メチレンジチオシアナート、含ハロゲン窒素硫黄化合物、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン等が挙げられるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0040】
次いで、本発明のインクジェット記録方法について説明する。
本発明のインクジェット記録方法においては、インクジェットヘッドのノズル径が10〜100μmであることが特徴であり、画像の粒状性から100μm以下が好ましく、液滴体積が小さくなりすぎて気流の影響を受けやすくなるため10μm以上が好ましい。より好ましくは10μm以上50μm以下である。
【0041】
また、本発明のインクジェット記録方法においては、記録媒体としてポリエステル繊維を主体とする布帛が好ましい。ポリエステル繊維を主体とする繊維を織物、編物、不織物等いずれの形態にしたものでもよい。布帛としては、ポリエステル繊維が100%であることが好ましいが、レーヨン、綿、ポリウレタン、アクリル、ナイロン、羊毛及び絹等との混紡織布又は混紡不織布等も使用することができる。また、上記布帛を構成する糸の太さとしては10〜100dの範囲が好ましい。
【0042】
本発明のインクジェット記録方法においては、均一な染色物を得るために、水溶性高分子類を布帛に前処理する前に、布帛繊維に付着した天然不純物(油脂、ロウ、ペクチン質、天然色素等)、布帛製造過程で用いた薬剤の残留分(のり剤等)、よごれ等を洗浄しておくことが望ましい。
【0043】
洗浄に用いられる洗浄剤としては、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウムといったアルカリ、陰イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤といった界面活性剤、酵素等が用いられる。
【0044】
本発明のインクジェット記録方法においては、画像の滲み防止として公知の方法による前処理を行うことができる。前処理としては、水溶性高分子類、水溶性金属塩、ポリカチオン化合物、界面活性剤、撥水剤等の化合物の少なくとも1つの物質を、0.2〜50質量%付与する方法を用いることができる。だたし、繊維素材に適した方法を適宜選択すればよく、特に限定されるものではない。
【0045】
水溶性金属塩としては、KCl、CaCl等のアルカリ金属又はアルカリ土類金属の無機塩、有機酸塩等を用いることができる。また、ポリカチオン化合物としては、各種の4級アンモニウム塩のポリマー又はオリゴマー、ポリアミン塩等を用いることができる。ただし、水溶性金属塩、ポリカチオン化合物の中には染色物の色調を変化させたり、耐光堅牢度を低下させるものがあるため、目的とする染色物に応じて選択することが望ましい。
【0046】
水溶性高分子類としては、天然高分子類(例えば、トウモロコシ、小麦等のデンプン類、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体、アルギン酸ナトリウム、グアーガム、タマリンドガム、ローカストビーンガム、アラビアゴム等の多糖類、ゼラチン、カゼイン、ケラチン等の蛋白質物質等)、合成高分子類(例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、アクリル酸系ポリマー等)を用いることができる。
【0047】
界面活性剤としては、例えば、アニオン系、カチオン系、両性、ノニオン系のものが使用され、代表的にはアニオン系の界面活性剤としては、高級アルコール硫酸エステル塩、ナフタレン誘導体のスルホン酸塩等、カチオン系の界面活性剤としては、第4級アンモニウム塩等、両性界面活性剤としてはイミダゾリン誘導体等、ノニオン系の界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンプロピレンブロックポリマー、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、アセチレンアルコールのエチレンオキサイド付加物等が挙げられる。
【0048】
撥水剤としては、例えば、シリコン、フッ素系及びワックス系のものが挙げられる。
【0049】
これらのあらかじめ布帛に付与される水溶性高分子や界面活性剤は、インクジェットプリントを行った後、高温で発色させる際に、タール化等による汚れの原因とならないために、高温環境に対して安定であることが好ましい。また、これらのあらかじめ布帛に付与される水溶性高分子や界面活性剤は、インクジェットプリントを行って、高温で発色させた後の洗浄処理で布帛から取り除きやすいものが好ましい。
【0050】
また、染色性の観点より、キャリヤーを布帛に付与しておくこともできる。キャリヤーとして用いられる化合物は、染色促進が大きい、使用法が簡便、安定、人体や環境に対して負荷が少ない、繊維からの除去が簡単、染色堅牢度に影響しないといった特徴を持つものが好ましい。キャリヤーの例としては、o−フェニルフェノール、p−フェニルフェノール、メチルナフタリン、安息香酸アルキル、サリチル酸アルキル、クロロベンゼン、ジフェニルといったフェノール類、エーテル類、有機酸類、炭化水素類等を挙げることができる。これらはポリエステル等の繊維の膨潤と可塑化を促進し、分散染料を繊維内に入りやすくする働きがある。
【0051】
また、染着助剤を布帛に付与しておくこともできる。染着助剤は、捺染布を蒸熱する際に、布上に凝集した水と共融化合物を作り、再蒸発する水分の量を抑え、昇温時間を短縮する作用がある。更にこの共融化合物は、繊維上の染料を溶解し染料の繊維への拡散速度を助長する作用がある。染着助剤としては尿素が挙げられる。
【0052】
上記の前処理剤を、布帛素材、布帛構造に対応して適宜選択し、布帛中に0.2〜50質量%含有するように、パッド法、コーティング法、スプレー法等で付与せしめるのが好ましい。本発明のインクジェット記録方法では、上述の分散染料で染色することが可能な繊維から構成されている布帛上に、本発明のインクを用いてインクジェット記録方法で画像を形成した後(インク付与工程)、インクが付与されている布帛を熱処理し(熱処理工程)、更に熱処理された布帛を洗浄すること(洗浄工程)によって布帛への捺染が完了し、捺染物が得られる。本発明のインクジェット記録方法において、分散染料を繊維に定着させるには、インクが付与されている布帛を熱処理する方法等により行う。更に、未定着の染料を布帛上から除去する洗浄工程に関しては、従来公知の洗浄方法を用いることができるが、特に還元洗浄を用いることが好ましい。
【0053】
布帛に印字を行うインクジェット捺染方法は、インク出射後印字された布帛を巻き取り、加熱により発色し、布帛を洗浄、乾燥させることが望ましい。インクジェット捺染において、インクを布帛に印字しただ放置しておくだけではうまく染着しない。また、長尺の布帛に長時間印字し続ける場合等は、布帛が延々と出てくるため床等に、印字した布帛が重なっていき場所をとり、不安全であり、予期せず汚れてしまう場合がある。そのために印字後、巻き取る操作が必要となる。この操作時に布帛と布帛の間に紙や布、ビニール等の印字に関わらない媒体を挟んでもかまわない。ただし途中で切断する場合や短い布帛に対しては必ずしも巻き取る必要はない。
【0054】
印字された布帛はすぐに加熱処理しても、しばらくおいてから加熱処理してもよく、用途に合わせて乾燥・発色処理すればよい。加熱処理法としては、オーブン、ヒートロール、スチーム等、用途にあった方法を選択すればよい。
【0055】
加熱処理後は、洗浄が必要である。なぜならば、染着に関与しなかった染料が残留することで、色の安定性が悪くなり堅牢度が低下するからである。また、布帛に施した前処理物を除去することも必要である。そのままにしておくと、堅牢性の低下ばかりでなく布帛が変色する。そのため除去対象物や目的に応じた洗浄が必要である。
【0056】
洗浄後は、乾燥が必要である。洗浄した布帛を絞ったり脱水した後、干したりあるいは乾燥機、ヒートロール、アイロン等を使用して乾燥させる。
【0057】
この一連の工程により、インクジェット捺染用のインクとしての特徴が生かされ、美しい図柄が印字された布帛を得ることができる。
【0058】
【実施例】
以下、本発明の実施例を挙げて説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。なお、記載の「部」は、特に断りがない限りは、質量部を表す。
【0059】
《インクの調製》
〔分散液の調製〕
(分散液−1の調製)
下記各添加剤を混合した後、サンドグラインダーを用いて分散し、平均粒径0.2μmのイエロー分散染料を含む分散液−1を得た。
【0060】
C.I.Disperse Yellow 149 30部
グリセリン 10部
イオン交換水 30部
リグニンスルホン酸ナトリウム(バニレックスRN 日本製紙(株)製)
30部
(分散液−2の調製)
下記各添加剤を混合した後、サンドグラインダーを用いて分散し、平均粒径0.2μmのマゼンタ分散染料を含む分散液−2を得た。
【0061】
C.I.Disperse Red 302 30部
グリセリン 10部
イオン交換水 30部
クレオソート油スルホン酸ナトリウム(デモールC 花王(株)製)30部
(分散液−3の調製)
下記各添加剤を混合した後、サンドグラインダーを用いて分散し、平均粒径0.2μmのシアン分散染料を含む分散液−3を得た。
【0062】
C.I.Disperse Blue 60 30部
グリセリン 10部
イオン交換水 30部
リグニンスルホン酸ナトリウム(バニレックスRN 日本製紙(株)製)
30部
(インク1〜26の調製)
上記調製した各分散液を用いて、表1に記載の組成でインク1〜26を調製した。なお、各インクの調製に際し、インクpHを調整するため、アルカリとして水酸化ナトリウム、酸として硝酸を所望のpHとなるように添加した。
【0063】
なお、表1に記載の各添加剤の詳細は、以下の通りである。
溶媒1:エチレングリコール
溶媒2:グリセリン
活性剤1:ジ(2−エチルヘキシル)スルホコハク酸ナトリウム
活性剤2:ジヘキシルスルホコハク酸ナトリウム
活性剤3:ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル(エチレンオキサイドの繰り返し単位は20)
防腐剤1:プロキセルGXL(アビシア社製)
【0064】
【表1】
Figure 2004315733
【0065】
《インクの評価》
(出射性の評価)
上記調製した各インクについて、ノズル直径45μm、駆動周波数5kHz、ノズル数64のピエゾ型ヘッドを用いて、連続出射を行い下記の各出射性を評価した。なお、駆動電圧は各インク滴が70plとなるように調整した。
【0066】
〈インターバル出射性の評価〉
25℃、相対湿度50%の環境下において、各インクが充填されたインクジェットヘッドをキャップなしで10分放置した後、再出射を行い、下記の基準に則りインターバル出射性の評価を行った。
【0067】
○:全ノズル(64ノズル)が出射又は1〜5ノズルで欠射が認められた
×:6ノズル以上で欠射が認められた
〈連続出射性の評価〉
25℃、相対湿度50%の環境下において、30分連続で出射を行った。30分後の出射の状態、ノズル面の状態を目視観察し、下記の基準に則り連続出射性の評価を行った。
【0068】
○:全ノズル(64ノズル)が出射又は1〜5ノズルで欠射又は曲がり出射がみとめられた
×:6ノズル以上で、欠射又は曲がり出射が認められた
〈保存後連続出射性の評価〉
各インクを40℃で1週間保存した後、上記連続出射性と同様の評価を行い、下記の基準に則り保存後の連続出射性の評価を行った。
【0069】
○:全ノズル(64ノズル)が出射又は1〜5ノズルで欠射又は曲がり出射がみとめられた
×:6ノズル以上で、欠射又は曲がり出射が認められた
(平均粒径の測定)
各インクをイオン交換水で1000倍に希釈し、マルバーン社製のゼーターサイザー1000を用いて、分散染料の平均粒径を測定した。
【0070】
以上により得られた結果を表2に示す。
【0071】
【表2】
Figure 2004315733
【0072】
表2より明らかなように、本発明の構成からなるインクジェット捺染用インクは、比較例に対し、インターバル出射性、連続出射性及び保存後連続性に優れ、欠射や曲がり出射が無いことが分かる。
【0073】
《インクジェット画像形成及び画像評価》
(布帛の前後処理)
ポリエステル繊維100%で糸の太さ50dをあらかじめ、前処理剤(高分子カチオン化合物とグアーガム)に浸し、絞り、乾燥したものを使用した。印字後、布帛を180℃で10分間熱処理を行い、水洗、乾燥した。
【0074】
(印字評価)
上記調製した各インクをインクジェットプリンタ(ナッセンジャーKS−1600II コニカ株式会社製)に搭載し、液滴速度が6m/sとなるように駆動条件を調整した。
【0075】
(印字画像の評価)
上記方法により形成した画像について目視観察を行った結果、本発明のインク1〜4、9〜12、17〜20及び25を用いて画像形成した布帛は、比較例に対し、ノズル欠射による抜けの発生がない高精彩インクジェット捺染プリントを得ることができた。
【0076】
【発明の効果】
本発明により、インク出射性及びインク保存性に優れた高精彩インクジェット捺染プリントに適した分散染料を用いたインクジェット捺染用インクとそれを用いたインクジェット記録方法を提供することができた。

Claims (6)

  1. 少なくとも分散染料、分散剤、水及び水溶性有機溶媒を含有するインクジェット捺染用インクにおいて、該水溶性有機溶媒としてエチレングリコールを全インク質量に対して10〜40質量%含有し、ジアルキルスルホコハク酸塩を含有し、かつ尿素骨格を有する化合物を含まないことを特徴とするインクジェット捺染用インク。
  2. 前記ジアルキルスルホコハク酸塩を、全インク質量に対して0.01〜3.0質量%含有していることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット捺染用インク。
  3. インクのpHが5.0〜9.0であることを特徴とする請求項1または2に記載のインクジェット捺染用インク。
  4. 前記ジアルキルスルホコハク酸塩のアルキル基が、2−エチルヘキシル基であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のインクジェット捺染用インク。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のインクジェット捺染用インクを、ノズル径が10〜100μmのインクジェットヘッドを用いて印字することを特徴とするインクジェット記録方法。
  6. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のインクジェット捺染用インクを、ポリエステル繊維を主体とする布帛に印字することを特徴とするインクジェット記録方法。
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