JP2013163617A - 炭化珪素単結晶の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】種基板の成長面および裏面の面方位をそれぞれ最適化することができる、炭化珪素単結晶の製造方法を提供する。
【解決手段】炭化珪素単結晶の製造方法は以下の工程を有している。成長面2と成長面2と反対側の裏面3とを有する種基板1が準備される。昇華法によって成長面2上に炭化珪素単結晶が成長される。成長面2と裏面3との成す角度は0.5°以上10°以下である。
【選択図】図1
【解決手段】炭化珪素単結晶の製造方法は以下の工程を有している。成長面2と成長面2と反対側の裏面3とを有する種基板1が準備される。昇華法によって成長面2上に炭化珪素単結晶が成長される。成長面2と裏面3との成す角度は0.5°以上10°以下である。
【選択図】図1
Description
この発明は、炭化珪素単結晶の製造方法に関し、より特定的には昇華法によって種基板の成長面上に炭化珪素単結晶を成長させる炭化珪素単結晶の製造方法に関する。
近年、半導体装置の製造用に炭化珪素基板が用いられ始めている。炭化珪素は珪素に比べて大きなバンドギャップを有する。そのため、炭化珪素基板を用いた半導体装置は、耐圧が高く、オン抵抗が低く、また高温環境下での特性の劣化が小さいといった利点を有する。
炭化珪素の結晶成長において、たとえば種基板の(0001)ジャスト面上に炭化珪素を成長させると、二次元核が種基板上に複数発生する。二次元核が種基板上に発生すると、種基板上に成長する炭化珪素結晶においてポリタイプが混在する場合がある。また、炭化珪素結晶において欠陥が増加したり、粒界が発生する場合がある。
二次元核の発生を抑制するために、たとえば米国特許第7192482号公報(特許文献1)において、種基板の成長面をメインの温度勾配が発生する方向(鉛直方向)に対して傾斜させて炭化珪素を成長する方向が記載されている。
米国特許第7192482号公報に記載の技術では、種基板の裏面と成長面とは平行である。それゆえ、上記二次元核を低減するために種基板の成長面をメインの温度勾配が発生する方向に対して傾斜させた場合、裏面の面方位も同様に傾斜してしまう。このように、当該技術では種基板の裏面の面方位を自由に制御することができなかった。
この発明は、上記のような課題を解決するために成されたものであり、種基板の成長面および裏面の面方位をそれぞれ最適化することができる、炭化珪素単結晶の製造方法を提供することである。
本発明に係る炭化珪素単結晶の製造方法は以下の工程を有している。成長面と成長面と反対側の裏面とを有する種基板が準備される。昇華法によって成長面上に炭化珪素単結晶が成長される。成長面と裏面との成す角度は0.5°以上10°以下である。
本発明に係る炭化珪素単結晶の製造方法によれば、種基板の成長面は裏面に対して傾斜している。それゆえ、種基板の成長面および裏面の面方位をそれぞれ最適化することができる。
上記の炭化珪素単結晶の製造方法において好ましくは、種基板1の裏面3は{0001}面である。種基板1の裏面3は{0001}面である。それゆえ、成長面2は{0001}面から0.5°以上10°以下傾斜した面である。成長面は(0001)面に対して傾斜しているので、炭化珪素単結晶の成長の初期段階において、成長面のステップに合わせて結晶が成長し、二次元核の発生を低減することができる。そのため、ポリタイプの混在、欠陥、粒界の少ない炭化珪素単結晶を得ることができる。
また、ミクロに観察すると種基板の成長面は裏面と平行なステップが何段も形成された構造をしている。成長面上に成長する炭化珪素単結晶は当該ステップに沿って成長するため、成長する炭化珪素単結晶の結晶面は裏面と平行になる。そのため、裏面が{0001}面である場合、成長面上に成長する炭化珪素単結晶の結晶面も{0001}面となる。{0001}面は他の面に比べて積層欠陥が発生しづらい。ルツボ内部の環境が安定した結晶成長の最終段階においては、結晶面が{0001}面に近づいてくるため、効率的に積層欠陥の発生を抑制することができる。それゆえ、積層欠陥の少ない炭化珪素単結晶を得ることができる。
上記の炭化珪素単結晶の製造方法において好ましくは、種基板の成長面は鏡面である。これにより、欠陥の少ない炭化珪素単結晶を得ることができる。
上記の炭化珪素単結晶の製造方法において好ましくは、種基板の成長面の表面粗さが1μm以下である。これにより、欠陥の少ない炭化珪素単結晶を得ることができる。
上記の炭化珪素単結晶の製造方法において好ましくは、炭化珪素単結晶を成長させる工程の前に、種基板が台座によって保持される。炭化珪素単結晶を成長させる工程において、種基板を保持している台座の種基板と接している面の中心部と、台座の種基板と接している面の端部から中心部に向かって2mmの位置との間の温度勾配は10°/cm以下である。
これにより、炭化珪素単結晶の成長方向と垂直な面内における炭化珪素単結晶の結晶品質ばらつきを低減することができる。
本発明によれば、種基板の成長面および裏面の面方位をそれぞれ最適化することができる。
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態について説明する。なお、以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照番号を付しその説明は繰返さない。
また、本明細書中の結晶学的記載においては、個別方位を[]、集合方位を<>、個別面を()、集合面を{}でそれぞれ示している。また、負の指数については、結晶学上、”−”(バー)を数字の上に付けることになっているが、本明細書中では、数字の前に負の符号を付けている。また角度の記載には、全方位角を360度とする系を用いている。
図1を参照して、本実施の形態に係る炭化珪素単結晶の製造装置10について説明する。図1に示すように、本実施の形態に係る炭化珪素単結晶の製造装置10は、ルツボ11と、台座5と、蓋部12とを主に有している。ルツボ11は、内部に炭化珪素原料4および種基板1を収容している。ルツボ11はたとえばグラファイトから成る。台座5は、種基板1を保持するためのものである。種基板1は、たとえば接着剤によって台座5に保持されている。台座5は蓋部12により保持されている。
本実施の形態の炭化珪素の製造装置10は、昇華法により炭化珪素単結晶を成長させるための装置である。つまり、製造装置10は、炭化珪素を含む炭化珪素原料4を昇華させ、昇華させた原料ガスを種基板1の成長面2上に再結晶させることにより炭化珪素単結晶を製造可能である。
図1〜図4を参照して、本実施の形態に係る炭化珪素単結晶の製造方法について説明する。本実施の形態に係る炭化珪素単結晶の製造方法は、種基板を準備する工程と、炭化珪素単結晶を成長させる工程とを主に有している。
種基板1は、炭化珪素単結晶が成長するための成長面2と、当該成長面と反対側の裏面3とを有している。種基板1は炭化珪素単結晶から成る。種基板1はたとえば接着剤によって台座5に保持されている。種基板1は蓋部12によって保持されていてもよい。種基板1の成長面2は裏面3に対して傾斜しており、成長面2と裏面3の成す角度は0.5°以上10°以下である。
裏面3は、たとえば{0001}面であり、好ましくは(0001)面である。裏面3の面方位は、成長面2上に成長する結晶の面方位に影響する。言い換えれば、成長面2上に成長する結晶の面方位は裏面3の面方位と平行となる。
上述した様に、成長面2は裏面3に対して傾斜している。裏面が(0001)面である場合、成長面2は(0001)面に対して0.5°以上10°以下傾斜している。成長面2の裏面3に対する傾斜角度が0.5°以下であれば、成長面2上に二次元核成長が発生しやすくなる。成長面2の裏面3に対する傾斜角度が10°以上であれば、炭化珪素単結晶に積層欠陥が発生しやすくなる。そのため、成長面2の裏面に対する傾斜角度が0.5°以上10°以下であることが好ましい。
好ましくは、成長面2は(0001)面に対して0.5°以上5°以下傾斜している。また好ましくは、成長面2は(0001)面に対して0.5°以上1°以下傾斜している。面方位が<0001>を有する面は、面方位が<1−100>や<11−20>などを有する面と比較して、積層欠陥が発生しにくい。そのため、成長面2を(0001)面に近づけると、積層欠陥の少ない炭化珪素単結晶を製造することができる。
本実施の形態において、種基板1の成長面2は鏡面である。ここで鏡面とは、例えば、蛍光灯の直下で、目視により成長面2に蛍光灯の反射像が見える状態の面のことである。また、種基板1の成長面2の平均表面粗さ(Ra)は1μm以下である。
種基板1が準備された後、炭化珪素単結晶を成長させる工程が実施される。炭化珪素単結晶を成長させる工程では、まず炭化珪素原料4がルツボ11内に配置される。炭化珪素原料4とは、たとえば多結晶の炭化珪素粉末である。次に、ルツボ11の外部に配置された加熱部(図示せず)によりルツボ11が加熱される。加熱部(図示せず)とは、たとえばグラファイトヒーターである。
ルツボ11が加熱されることにより、ルツボ11内に収容された炭化珪素原料が昇華を開始する。ルツボ11の図1中上下方向には温度勾配が設けられており、種基板1が配置されている位置の温度は炭化珪素原料が配置されている位置の温度よりも低い。そのため、昇華した原料ガスは種基板1の成長面2上において再結晶することで、成長面2上に炭化珪素単結晶が成長する。
図2を参照して、本実施の形態の炭化珪素単結晶の製造方法に用いられる種基板1は、成長面2が裏面3に対して角度θだけ傾斜している。角度θは、0.5°以上10°以下である。また、種基板1の成長面2のある端部(位置a)における厚みLaは、種基板1の成長面2の別の端部(位置b)における厚みLbよりも小さい。
図1に示すように、種基板1の位置aから蓋部12の種基板1と反対側の面(つまり図中上面)までの距離は、種基板1の位置bから蓋部12の種基板1と反対側の面(つまり図中上面)までの距離よりも短い。蓋部12の種基板1が配置されている側(ルツボ11内)の温度は、種基板1が配置されている側と反対側(ルツボ11外)の温度よりも高くなっている。位置aにおける種基板1の厚みは位置bにおける種基板1の厚みよりも小さい。それゆえ、位置aは位置bよりも熱が逃げやすいため、位置aにおける温度は、位置bにおける温度よりも低くなる。
本実施の形態の炭化珪素単結晶の製造方法に用いられる種基板1は、一方の端部の厚みが他方の端部の厚みよりも小さい形状をしているが、この形状に限定されない。たとえば、種基板1の形状は、中央部から端部にかけて厚みが小さくなるような円錐と当該円錐の下に円柱を組合わせた形状であってもよい。
図3を参照して、時間の経過とともに炭化珪素単結晶がどのように成長するかについて説明する。上述したように、位置a(種基板1の厚みが小さい部分)における温度は、位置b(種基板1の厚みが大きい部分)における温度よりも低くなる。それゆえ、炭化珪素単結晶は、厚みが大きい位置bに比べ厚みが小さい位置aの方に優先的に成長する。炭化珪素単結晶の成長の初期段階においては、位置a付近に成長する炭化珪素単結晶の厚みと、位置b付近に成長する炭化珪素単結晶の厚みはそれほど違いがない。言い換えれば、成長の初期段階における炭化珪素単結晶の結晶面6iは、種基板1の成長面2と同様に種基板1の裏面に対して傾斜している。成長が進むにつれて、位置a付近に成長する炭化珪素単結晶の厚みは位置b付近に成長する炭化珪素単結晶の厚みよりも大きくなる。成長の最終段階においては、位置a付近に成長した炭化珪素単結晶の厚みと位置aにおける種基板1の厚みLaとの合計の厚みは、位置b付近に成長した炭化珪素単結晶の厚みと位置bにおける種基板の厚みLbとの合計の厚みとほぼ同じになる。言い換えれば、炭化珪素単結晶の結晶面6fは種基板1の裏面3とほぼ平行になる。
図4を参照して、種基板1の裏面3の面内における温度勾配について説明する。図4に示すように、種基板1は台座5により保持されている。台座5は蓋部12により保持されている。種基板1が台座5に保持された後に、ヒーターによってルツボ11(図1参照)が加熱されて炭化珪素単結晶が種基板1の成長面2上に成長する。本実施の形態において、ヒーターはルツボ11の側面部を包囲するように配置されている。そのため、炭化珪素単結晶を成長させる工程において、種基板1の中心部eの位置における温度は、種基板1の端部cにおける温度よりも低くなっている。すなわち、種基板1の裏面3の面内方向に温度勾配が存在する。当該温度勾配は小さい方が好ましい。具体的には、炭化珪素単結晶を成長させる場合において、種基板1を保持している台座5の種基板1と接している面の中心部eと、台座5の種基板1と接している面の端部cから中心部eに向かって2mmの位置dとの間の温度勾配は10°/cm以下である。
図5を参照して、本実施の形態の炭化珪素単結晶の製造方法に用いられる種基板1の作製方法について説明する。まず、昇華法により成長面と裏面とが平行である種基板1上に炭化珪素単結晶(インゴット)を成長させる。図5に示すように、当該炭化珪素単結晶が、特殊な冶具7により鉛直方向に対してある角度だけ傾斜された状態で保持される。その後、たとえばワイヤーソーにより炭化珪素単結晶が破線の方向に沿って切断される。これにより、一方の端部の厚みが他方の端部の厚みよりも小さく、成長面2と裏面3とを有する種基板1が得られる。
次に、本実施の形態の炭化珪素単結晶の製造方法の作用効果について説明する。
本実施の形態の炭化珪素単結晶の製造方法において、成長面2と裏面3との成す角度が傾斜している種基板1が使用される。それゆえ、種基板1の成長面2および裏面3の面方位をそれぞれ最適化することができる。
本実施の形態の炭化珪素単結晶の製造方法において、成長面2と裏面3との成す角度が傾斜している種基板1が使用される。それゆえ、種基板1の成長面2および裏面3の面方位をそれぞれ最適化することができる。
炭化珪素単結晶の成長の初期段階は、ルツボ11の昇温や減圧作業などが行われる。そのため、種基板1周りの雰囲気が不安定であり、かつ変動しやすい状況にある。このような場合に、(0001)ジャスト面付近の成長面に炭化珪素単結晶が成長すると、二次元核が発生しやくすく炭化珪素単結晶の結晶品質に悪影響を与えてしまう。
本実施の形態の炭化珪素単結晶の製造方法によれば、種基板1の裏面3は{0001}面である。それゆえ、成長面2は{0001}面から0.5°以上10°以下傾斜した面である。成長面2は{0001}面に対して傾斜しているので、ルツボ11内部の環境が不安定な結晶成長の初期段階において、成長面のステップに合わせて結晶が成長するため、効率的に二次元核の発生を抑制することができる。そのため、ポリタイプの混在、欠陥、粒界の少ない炭化珪素単結晶を得ることができる。
また、ミクロに観察すると種基板1の成長面2は裏面3と平行なステップが何段も形成された構造をしている。成長面2上に成長する炭化珪素単結晶は当該ステップに沿って成長するため、成長する炭化珪素単結晶の結晶面は裏面3と平行になる。そのため、裏面3が{0001}面である場合、成長面2上に成長する炭化珪素単結晶の結晶面も{0001}面となる。{0001}面は他の面に比べて積層欠陥が発生しづらい。ルツボ11内部の環境が安定した結晶成長の最終段階においては、結晶面が{0001}面に近づいてくるため、効率的に積層欠陥の発生を抑制することができる。それゆえ、積層欠陥の少ない炭化珪素単結晶を得ることができる。
本実施の形態の炭化珪素単結晶の製造方法によれば、種基板1の成長面2は鏡面である。これにより、欠陥の少ない炭化珪素単結晶を得ることができる。
本実施の形態の炭化珪素単結晶の製造方法によれば、種基板1の成長面2の表面粗さが1μm以下である。これにより、欠陥の少ない炭化珪素単結晶を得ることができる。
本実施の形態の炭化珪素単結晶の製造方法によれば、炭化珪素単結晶を成長させる工程において、種基板1を保持している台座5の種基板1と接している面の中心部と、台座5の種基板1と接している面の端部から中心部に向かって2mmの位置との間の温度勾配は10°/cm以下である。これにより、炭化珪素単結晶の成長方向と垂直な面内における炭化珪素単結晶のばらつきを低減することができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味、および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 種基板、2 成長面、3 裏面、4 炭化珪素原料、5 台座、6 成長面、7 冶具、10 炭化珪素単結晶の製造装置、11 ルツボ、12 蓋部。
Claims (5)
- 成長面と前記成長面と反対側の裏面とを有する種基板を準備する工程と、
昇華法によって前記成長面上に炭化珪素単結晶を成長させる工程とを備え、
前記成長面と前記裏面との成す角度は0.5°以上10°以下である、炭化珪素単結晶の製造方法。 - 前記種基板の前記裏面は{0001}面である、請求項1に記載の炭化珪素単結晶の製造方法。
- 前記種基板の前記成長面は鏡面である、請求項1または2に記載の炭化珪素単結晶の製造方法。
- 前記種基板の前記成長面の平均表面粗さが1μm以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の炭化珪素単結晶の製造方法。
- 前記炭化珪素単結晶を成長させる工程の前に、前記種基板を台座によって保持する工程をさらに備え、
前記炭化珪素単結晶を成長させる工程において、前記種基板を保持している前記台座の前記種基板と接している面の中心部と、前記台座の前記種基板と接している面の端部から前記中心部に向かって2mmの位置との間の温度勾配は10°/cm以下である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の炭化珪素単結晶の製造方法。
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CN116815320B (zh) * | 2023-06-28 | 2024-01-12 | 通威微电子有限公司 | 碳化硅晶体生长装置、方法及碳化硅晶体 |
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