JP2013163445A - 発電制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、燃料の消費量を抑制することができる発電制御装置を提供する。
【解決手段】発電制御装置100のPHEV−ECU70は、プラグインハイブリッド電気自動車10がシリーズモードで走行中、下り坂を走行していると判定し、フロントモータ23とリアモータ25とにより回生発電が実行されていると判定し、かつ、プラグインハイブリッド電気自動車10の現在位置から下り坂道を下り終える位置までに内燃機関35が消費する燃料の量が、内燃機関35の始動に必要な燃料の量より多いと判定すると、内燃機関35の駆動を停止させる。そして、フロントモータ23とリアモータ25とによる回生発電が終了すると、内燃機関用ECU36を制御して内燃機関35を再始動する。
【選択図】図1

Description

本発明は、走行用の駆動力を発生可能でありかつ回生エネルギで発電可能な電動機と、走行用の駆動力を発生する発電機と当該発電機を駆動する内燃機関とを備えるハイブリッド電動車に設けられる、発電制御装置に関する。
従来、走行用の動力を発生する駆動装置として電動機を備えるとともに、電動機を駆動する電力を発電するために発電機と内燃機関とを備えるハイブリッド電気自動車が提案されている。
この種のハイブリッド電気自動車では、バッテリから供給される電力で電動機を駆動して走行しながらバッテリの充電率が予め設定されている所定値以下になると内燃機関により発電機を駆動して発電するシリーズモードで走行可能なものがある。シリーズモードで発電された電力は、バッテリに充電される。発電機は内燃機関によって駆動されるため、発電時には内燃機関の燃料が消費される。
ハイブリッド電気自動車では、下り坂道を下っている際に、運転者からの要求出力がない場合、言い換えると、アクセルペダルが踏み込まれていない状態では、電動機は回生エネルギにより発電する。このため、上記のようにシリーズモードで下り坂道を走行中で運転者からの要求出力がない場合は、電動機による発電と、発電機による発電の2種類の発電が行われる。
一方、シリーズモードにおけるバッテリの充電は、バッテリの充電率を100パーセントにするために行われるのではなく、予め設定された値になるように行われており、例えば、充電率が30パーセントになると発電が開始され、バッテリの充電率が40パーセントまで上昇すると充電を終了するように設定されている。
このため、シリーズモードである状態において、下り坂道で電動機と発電機とを用いる2種類の発電が行われると、バッテリが必要以上に充電される場合があり、燃料が必要以上に消費される場合がある。
このため、燃料の消費を抑制するために、シリーズモードで下り坂道を走行する場合、回生エネルギにより電動機が発電する電力を考慮して、発電機による発電を開始する閾値である充電開始充電率を低く設定することが行われている。この技術により、回生による回収電力分発電機の駆動を停止できるので、その分の燃料の消費を抑えることができる(例えば、特許文献1参照)。
特開平11−8909号公報
一方、シリーズモードで走行中下り坂道で内燃機関を停止すると、下り坂道を下り終えた後、再び内燃機関を始動する必要がある。内燃機関の始動の際のクランキングで消費する燃料の量は、通常の内燃機関の運転時に比べて比較的多い。このため、下り坂道において発電機を停止することによって燃料の消費を抑えても、その後に内燃機関を始動の際のクランキングで多くの燃料を消費することによって、結果的に燃料の消費量が増加することが考えられる。
本発明は、ハイブリッド電動車の燃料の消費量を抑制することができる発電制御装置を提供することを目的とする。
請求項1に記載の発電制御装置は、走行用の動力を発生するとともに回生エネルギによって発電する電動機と、前記電動機に電力を供給するバッテリと、前記バッテリを充電するべく発電する発電機と、前記発電機を駆動する内燃機関とを備え、前記内燃機関によって前記発電機を駆動して発電しつつ走行する発電走行モードを有するハイブリッド電動車に設けられる発電制御装置である。
前記発電制御装置は、下り坂判定手段と、走行経路情報取得手段と、電動機回生判定手段と、燃料消費量算出手段と、比較手段と、内燃機関制御手段とを備える。前記下り坂判定手段は、前記ハイブリッド電動車が下り坂を走行中であるか否かを判定する。前記走行経路情報取得手段は、前記ハイブリッド電動車の走行経路の情報を取得する。前記電動機回生判定手段は、前記電動機により回生発電が実行されているか否かを判定する。前記燃料消費量算出手段は、前記ハイブリッド電動車が下り坂を走行していると判定されると、前記走行経路の情報に基づいて下り坂を下り終えるまでに前記内燃機関で消費される燃料の量を算出する。前記比較手段は、前記燃料消費量算出手段の算出量と、前記内燃機関の始動に必要な燃料量とを比較する。前記内燃機関制御手段は、前記ハイブリッド電動車が前記発電走行モードで走行中に前記電動機による回生発電が実行されていると判定した際に、前記比較手段の検出結果が、前記算出量が前記燃料量より多いという結果となると、前記内燃機関の駆動を停止させ、前記回生発電が終了すると前記内燃機関を再度駆動する。
請求項2に記載の発電制御装置では、請求項1の記載において、前記燃料消費量算出手段は、車速を検出する車速検出手段と、下り坂を下り終える地点までの距離と前記車速検出手段の検出結果とに基づいて下り坂を下り終えるまでの時間を算出する時間算出手段と、前記内燃機関の単位時間当たりの燃料消費量と前記時間算出手段の算出時間とに基づいて下り坂道を下り終えるまでに消費する燃料の量を算出する算出手段とを備える。
本発明では、ハイブリッド電動車の燃料の消費量を抑制することができる。
本発明の一実施形態に係る発電制御装置を備えるプラグインハイブリッド電気自動車を示す概略図。 同プラグインハイブリッド電気自動車のPHEV−ECUの動作を示すフローチャート。
本発明の一実施形態に係る発電制御装置を、図1,2を用いて説明する。図1は、本実施形態の発電制御装置100を備えるプラグインハイブリッド電気自動車10を示す概略図である。プラグインハイブリッド電気自動車10は、本発明の発電制御装置100を備えるハイブリッド電動車の一例である。図1に示すように、プラグインハイブリッド電気自動車10は、走行システム20と、充電システム40と、カーナビゲーション装置50と、Gセンサ90と、回転数センサ95と、PHEV―ECU70とを備えている。
走行システム20は、プラグインハイブリッド電気自動車10を走行可能とする機能を有する。走行システム20は、一対の前輪21と、一対の後輪22と、フロントモータ23と、フロントモータ用伝達機構24と、内燃機関35と、内燃機関用ECU36と、燃料タンク37と、リアモータ25と、リアモータ用伝達機構26と、フロントMCU(Motor Control Unit)27と、リアMCU28と、バッテリ29と、BMU(battery Management Unit)30と、アクセルペダル31と、アクセルペダルポジションセンサ32と、ブレーキペダル33と、ブレーキペダルポジションセンサ34とを備えている。
フロントモータ23は、電動機であり、バッテリ29から供給される電力によって駆動して回転軸23aを回転する。回転軸23aの回転は、フロントモータ用伝達機構24によって前輪21に伝達される。フロントモータ23は、プラグインハイブリッド電気自動車10が下り坂道を走行中に電力が供給されていない状態、つまり運転者からの要求出力が零以下である状態では回生エネルギによって発電する。
フロントMCU27は、インバータを備えており、PHEV―ECU70の制御によって、バッテリ29から供給される電力を要求される走行に適するよう変換した後、フロントモータ23に供給する。また、フロントMCU27は、フロントモータ23が回生エネルギによって発電した電力をバッテリ29に適したものに変換した後、バッテリ29に供給する。このことによって、バッテリ29が充電される。
リアモータ25は、電動機であり、バッテリ29から供給される電力によって駆動して回転軸25aを回転する。回転軸25aの回転は、リアモータ用伝達機構26によって後輪22に伝達される。リアモータ25は、プラグインハイブリッド電気自動車10が下り坂道を走行中に電力が供給されていない状態、つまり運転者からの要求出力が零以下である状態では回生エネルギによって発電する。
リアMCU28は、インバータを備えており、PHEV−ECU70の制御によって、バッテリ29から供給される電力を走行に適するように変換した後、リアモータ25に供給する。また、リアMCU28は、リアモータ25が回生エネルギによって発電した電力をバッテリ29に適したものに変換した後、バッテリ29に供給する。このことによって、バッテリ29が充電される。
バッテリ29は、例えば複数のバッテリセル29aを備えている。バッテリセル29aは、例えば互いに直列に電気的に接続されている。各バッテリセル29aには、CMU(Cell Monitor Unit)29bが設けられている。CMU29bは、バッテリセル29aの電圧値、温度などを検出する。BMU30は、各CMU29bの検出結果が送信される。BMU30は、各CMU29bから送信される各バッテリセル29aの情報に基づいて、バッテリ29の充電率を検出する。
内燃機関35は、一例として、ガソリンを燃料とするレシプロ式内燃機関である。内燃機関35の出力軸35aは、クラッチ装置38を介して、フロントモータ用伝達機構24に伝達される。クラッチ装置38が接続状態になると、出力軸35aの回転がフロントモータ用伝達機構24を介して前輪21に伝達される。クラッチ装置38が非接続状態であると、内燃機関35の出力軸35aの回転は、フロントモータ用伝達機構24に伝達されなくなり、それゆえ、出力軸35aの回転は前輪21に伝達されない。内燃機関用ECU36は、PHEV−ECU70の制御に基づいて、内燃機関35の駆動を制御する。
燃料タンク37には、内燃機関35の燃料であるガソリンが蓄えられている。燃料タンク37内の燃料が内燃機関35のインジェクタに供給される。内燃機関35に供給される燃料の量は、内燃機関用ECU36によって制御される。
アクセルペダル31は、プラグインハイブリッド電気自動車10を走行する際に踏み込む。アクセルペダルポジションセンサ32は、運転者によるアクセルペダル31に対する踏力を検出する。アクセルペダル31が踏み込まれたということは、運転者からの出力要求があったということである。つまり、出力要求が零より大きいことを示す。
ブレーキペダル33は、プラグインハイブリッド電気自動車10を減速する際に運転者が踏み込む。ブレーキペダルポジションセンサ34は、運転者によるブレーキペダル33に対する踏力を検出する。ブレーキペダル33が踏み込まれたということは、運転者からの出力要求が零未満であることを示す。
充電システム40は、発電機41と、発電機用CU(Control Unit)42と、内燃機関35と、内燃機関用ECU36とを備えている。発電機用CU42は、インバータを備えており、発電機41によって発電された電力を、バッテリ29に適したものに変換した後、バッテリ29に供給する。このことによって、バッテリ29が充電される。
内燃機関35は、発電機41を駆動する。具体的には、内燃機関35の出力軸35aの回転は、発電機41の回転軸41aに伝達機構43を介して伝達される。内燃機関35が駆動すると、出力軸35aの回転は、伝達機構43を介して発電機41の回転軸41aに伝達される。回転軸41aが回転することによって、発電機41は、発電する。
発電機41を駆動する際の内燃機関用ECU36について具体的に説明する。本実施形態のプラグインハイブリッド電気自動車10は、EVモードとシリーズモード(発電走行モード)とパラレルモードとのいずれかで走行する。EVモードは、バッテリ29から供給される電力によって駆動するフロントモータ23とリアモータ25とによって走行する走行モードである。
シリーズモードは、バッテリ29の充電率が予め決定されている充電開始閾値以下になると、フロントモータ23とリアモータ25とによって走行しながら、発電機41によって発電された電力をバッテリ29に充電する走行モードである。このため、内燃機関用ECU36は、シリーズモードになると、発電機41を駆動するべく内燃機関35を始動する。
シリーズモードでは、内燃機関35の発生する動力は、前輪21に供給されない。具体的には、クラッチ装置38が非接続状態である。このため、内燃機関用ECU36は、内燃機関35を、発電効率がよい状態で運転する。このため、内燃機関35で消費される燃料の単位時間当たりの量は、一定である。本実施形態では、単位時間を1秒としたとき、量aを消費する。量aは、一定である。言い換えると、内燃機関用ECU36は、内燃機関35のインジェクタから単位時間、つまり本実施形態では1秒当たり噴射される燃料は、aとなる。なお、内燃機関35を始動する際のクランキングで消費される燃料の量をbとすると、bは、量aよりも多くなる、つまり、b>aとなる。量a,bは、予め求められており、内燃機関用ECU36とPHEV−ECU70が記憶している。
また、シリーズモードは、バッテリ29の充電率が充電開始閾値以下になると開始され、その後、充電終了閾値以上になると中止される。充電終了閾値は、充電開始閾値よりも大きい。一例としては、充電開始閾値は、30パーセントであり、充電終了閾値は、40パーセントである。プラグインハイブリッド電気自動車10の走行開始時のバッテリ29の充電率が100パーセントであると、EVモードが選択される。そして、走行するにしたがいバッテリ29の充電率が低下する。バッテリ29の充電率が30パーセント以下になる際、PHEV−ECU70は、EVモードからシリーズモードに切り替える。シリーズモードに切り替わることによって、バッテリ29の充電率が上昇する。バッテリ29の充電率が40パーセント以上になると、PHEV−ECU70は、シリーズモードからEVモードに切り替える。そして、その後、バッテリ29の充電率が低下して再び充電開始閾値である30パーセント以下になると、シリーズモードに切り替わり、充電が開始される。
なお、上記の説明は、運転者からの出力要求に対して、フロントモータ23とリアモータ25との出力でまかなえる場合である。このように、シリーズモードで行われる充電は、バッテリ29の充電率を100パーセントに戻すために行われるのではなく、予め設定される充電終了閾値まで戻すために行われる。充電終了閾値は、100パーセント未満の値である。
パラレルモードは、運転者による要求出力を、フロントモータ23とリアモータ25との出力ではまかなえないとき、内燃機関35の出力軸35aの回転を前輪21に伝達して内燃機関35をアシストとして用いる走行モードである。このため、内燃機関35の出力軸35aは、フロントモータ用伝達機構24によって前輪21に伝達される。パラレルモードでの走行時では、内燃機関35で消費される燃料の量は、走行状態に応じて変化する。
カーナビゲーション装置60は、ナビ用ECU61と、GPS(Global Positioning System)62と、地図情報記憶部63と、モニタ64とを備えている。GPS62は、プラグインハイブリッド電気自動車10の現在位置を検出する手段の一例として用いられる。GPS62は、地球の周囲に打ち上げられている人口衛星からの電波を受信して、プラグインハイブリッド電気自動車10の位置を地球表面上での緯度および経度で表す座標として検出する。
地図情報記憶部63は、地図情報が記憶されている。地図情報は、道路情報を有している。道路情報は、下り坂の情報を有している。下り坂の情報とは、下り開始地点の位置情報、下り終える地点の位置情報、下り開始地点から下り終える地点までの距離の情報とを有している。本実施形態では、一例として、プラグインハイブリッド電気自動車10は、日本国で用いられる。このため、地図情報として、日本国の道路情報などが記憶されている。
ナビ用ECU61は、GPS62から、検出結果であるプラグインハイブリッド電気自動車10の現在位置の情報が送信される。ナビ用ECU61は、プラグインハイブリッド電気自動車10の現在位置の情報と、地図情報記憶部63から供給される地図情報とに基づいて、プラグインハイブリッド電気自動車10の地図上での位置を算出する。また、現在地から目的地までの最短ルートなどを算出する。ナビ用ECU61は、上記算出結果をモニタ64に出力する。ナビ用ECU61は、GPS62によって検出されるプラグインハイブリッド電気自動車10の現在位置の情報と、地図情報記憶部63に記憶される地図情報とをPHEV−ECU70に送信する。
モニタ64は、プラグインハイブリッド電気自動車10の走行中に運転者が視認しやすい位置に設けられている。モニタ64は、地図情報を示すとともに、地図情報上でのプラグインハイブリッド電気自動車10の現在位置を示す。
Gセンサ90は、プラグインハイブリッド電気自動車10の加速度を検出する。回転数センサ95は、前輪21に設けられている。回転数センサ95は、前輪21の回転数を検出する。
PHEV−ECU70は、プラグインハイブリッド電気自動車10のメイン制御部である。プラグインハイブリッド電気自動車10は、BMU30の検出結果と、アクセルペダルポジションセンサ32の検出結果と、ブレーキペダルポジションセンサ34の検出結果が送信される。PHEV−ECU70は、BMU30が検出するバッテリ29の充電率と、アクセルペダルポジションセンサ32とブレーキペダルポジションセンサ34との検出結果に基づいて、プラグインハイブリッド電気自動車10の走行モードを選択する。
具体的には、バッテリ29の充電率が十分確保されており、アクセルペダルポジションセンサ32の検出結果基づいて運転者による要求出力をフロントモータ23とリアモータ25との出力でまかなえると判断すると、EVモードを選択する。
PHEV−ECU70は、EVモードでは、フロントMCU27とリアMCU28に、運転者からの出力要求を送信する。フロントMCU27とリアMCU28とは、PHEV−ECU70から送信された出力要求を出力するように、フロントモータ23とリアモータ25とを制御する。
運転者からの出力要求に対してフロントモータ23とリアモータ25の出力でまかなえると判断した場合において、バッテリ29の充電率が予め設定されている充電開始閾値以下になると、シリーズモードを選択する。PHEV−ECU70は、シリーズモードでは、フロントMCU27とリアMCU28に、運転者からの出力要求を送信する。フロントMCU27とリアMCU28とは、PHEV−ECU70から送信された出力要求を出力するように、フロントモータ23とリアモータ25とを制御する。
また、発電機41による発電を行うべく、内燃機関用ECU36に、内燃機関35を発電用の運転を行わせるよう指示を出す。内燃機関用ECU36は、PHEV−ECU70から、シリーズモードでの発電用の制御を行うべく信号を受信すると、シリーズモードでの発電用の運転を行うように内燃機関35を制御する。
また、PHEV−ECU70は、パラレルモードでは、アクセルペダルポジションセンサ32の検出結果に基づいて、走行に必要な出力を内燃機関35でアシストするために、内燃機関35で出力すべき要求出力を算出する。そして、算出結果を内燃機関用ECU36に送信する。また、内燃機関35の出力が前輪21に伝達されるように、フロントモータ用伝達機構24のクラッチ装置38を接続状態にする。内燃機関用ECU36は、PHEV―ECU70から送信された要求出力を出力するように内燃機関35を制御する。
また、PHEV−ECU70は、シリーズモードで走行中に、ナビ用ECU61とGセンサ90とから送信される情報に基づいてプラグインハイブリッド電気自動車10が下り坂道を走行していると判定し、かつ、運転者からの要求出力が零以下であると、内燃機関35の駆動を停止する制御を行う。この点について、具体的に説明する。図2は、PHEV―ECU70の発電制御を示すフローチャートである。
図2に示すように、PHEV−ECU70は、プラグインハイブリッド電気自動車10が走行可能な状態になると、ステップST1に進む。走行可能な状態とは、運転者がアクセルペダル31を踏み込むとプラグインハイブリッド電気自動車10が走行可能な状態である。
ステップST1では、PHEV−ECU70は、アクセルペダルポジションセンサ32と、ブレーキペダルポジションセンサ34との検出結果とに基づいて、運転者要求出力が零以下であるか否かを判定する。つまり、フロントモータ23とリアモータ25とに電力を供給して駆動する必要があるか否かを判定する。
運転者がアクセルペダル31を踏み込んでいるおりブレーキペダル33を踏み込んでいない状態では、要求出力が零より大きくなる。アクセルペダル31とブレーキペダル33とが踏み込まれていない状態では、運転者要求出力は零以下になる。アクセルペダル31が踏み込まれておらず、かつ、ブレーキペダル33が踏み込まれている状態では、運転者要求出力は、零未満となる。PHEV−ECU70は、運転者要求出力が零以下であると判定すると、ステップST2に進む。
ステップST2では、PHEV−ECU70は、プラグインハイブリッド電気自動車10の走行モードがシリーズモード(発電走行モード)であるか否かを判定する。PHEV−ECU70は、シリーズモードであると判定すると、ステップST3に進む。
ステップST3では、PHEV−ECU70は、フロントモータ23とリアモータ25が回生発電を実行しているか否かを判定する。本実施形態では、判定の方法の一例として、プラグインハイブリッド電気自動車10が下り坂道を走行しているか否かを判定する。ステップST1では、運転者要求出力が零以下である判定がなされている。このため、プラグインハイブリッド電気自動車10が下り坂道を走行すると、フロントモータ23とリアモータ25とは回生発電を実行する。PHEV−ECU70は、ナビ用ECU61とGセンサ90から送信される情報に基づいて、プラグインハイブリッド電気自動車10が走行している道路が下り坂であるか否かを判定する。PHEV−ECU70は、プラグインハイブリッド電気自動車10が下り坂道を走行していると判定すると、ステップST4に進む。
ステップST4では、PHEV−ECU70は、プラグインハイブリッド電気自動車10が下り坂道を下り終えるまでに要する時間を算出する。まず、PHEV−ECU70は、地図情報記憶部63に記憶される地図情報とGPS62から供給されるプラグインハイブリッド電気自動車10の現在地情報とに基づいて、プラグインハイブリッド電気自動車10の現在位置から下り坂道が終了する位置までの距離を算出する。ついで、PHEV−ECU70は、回転数センサ95の検出結果に基づいて、プラグインハイブリッド電気自動車10の車速を検出する。ついで、検出した車速と、上記距離の算出結果とに基づいて、下り坂道を下り終えるまでに要する時間を算出する。車速をVとし、距離をDとすると、下り終えるまでに要する時間Tは、T=D/Vとなる。ついで、ステップST5に進む。
ステップST5では、PHEV−ECU70は、内燃機関35を始動する際のクランキングで消費される燃料の量と、シリーズモードで走行中、下り坂道を下り終えるまでに消費される燃料の量とを比較する。クランキングで消費される燃料の量は、bであり、予め求められている。シリーズモードでは、内燃機関35は、発電機41を駆動するのみに用いられる。そして、単位時間、本実施形態では1秒間に消費される燃料の量は、aであり、予め求められている。
PHEV−ECU70は、まず、下り坂道を下り終えるまでに消費される燃料の量Mを算出する。M=T×aとなる。PHEV−ECU70は、b<Mであると判定すると、ステップST6に進む。
ステップST6では、PHEV−ECU70は、発電機41を用いる発電を中止するべく、内燃機関35の駆動を停止する。言い換えると、シリーズモードからEVモードに切り替える。
ステップST1においてPHEV−ECU70が、運転者要求出力が零より大きいと判定すると、または、ステップST2においてPHEV−ECU70が、走行モードがEVモードまたはパラレルモードであると判定すると、ステップST7に進む。
ステップST7では、PEHV−ECU70は、その時点での走行モードを保持して走行を続けるよう、各種装置を制御する。例えば、ステップST2において、EVモードまたはパラレルモードであると判定されると、判定された走行モードでの走行が保持される。
また、ステップST3において、プラグインハイブリッド電気自動車10が下り坂道を走行していないと判定されると、ステップST8に進み、シリーズモードでの走行が継続される。
ステップST1〜ST8の制御は、予め設定された間隔をおいて実行される。このため、プラグインハイブリッド電気自動車10がシリーズモードで長い下り坂道を走行中に、アクセルペダル31を踏み込んでいない状態、つまりドライバの要求出力が零以下の場合は、重力の作用により加速する場合がある。このような場合であっても、PHEV−ECU70が、予め設定された所定間隔おきにステップST1〜ST8の制御を実行することによって、ステップST5での判定を適したものに更新することができる。
PHEV−ECU70は、フロントモータ23とリアモータ25とによる回生発電が終了したと判定すると、内燃機関35を始動するべく、内燃機関用ECU36に指示を出す。内燃機関ECU36は、PHEV−ECU70から指示を受信すると、内燃機関35を始動する。本実施形態では、フロントモータ23とリアモータ25とによる回生発電の終了の判定方法の一例として、PHEV―ECU70は、アクセルペダルポジションセンサ32の検出結果に基づいて運転者の要求出力があると判定すると、要求出力つまり零より大きいと判定すると回生発電が終了したと判定する。
本実施形態では、カーナビゲーション装置60と、PHEV−ECU70と、内燃機関用ECU36と、Gセンサ90と、回転数センサ95とは、発電を制御する発電制御装置100を構成している。
このように構成されるプラグインハイブリッド電気自動車10では、燃料の消費を抑制することができる。この点について、具体的に説明する。上記したように、フロントモータ23とリアモータ25とは、プラグインハイブリッド電気自動車10が下り坂道を走行している際、フロントMCU27とリアMCU28とから出力するよう制御を受けていない状態では、回生エネルギによって発電する。そして、発電した電力は、バッテリ29に充電される。さらに、シリーズモードで走行中は、発電機41が発電している。
このため、シリーズモードでの下り坂道を走行中、運転者から要求出力が零以下の場合は、走行用の電動機による回生発電と、発電機41による発電の2種類の発電が行われる。シリーズモードでは、バッテリ29の充電率を充電開始閾値から充電終了閾値まで戻すためのものである。このため、上記のように2種類の発電が同時に行われると、必要以上に発電されてしまい、燃料が多く消費されることになる。
このため、下り坂道を下り終えるまでに発電機を駆動するために内燃機関35が消費する燃料の量と、内燃機関35の始動の際のクランキングで消費される燃料の量とを比較し、下り坂道を下り終えるまでに発電機41を駆動するために内燃機関35が消費する燃料の量が、内燃機関35の始動の際のクランキングで消費される燃料の量より大きいと判定すると、内燃機関35の駆動を停止することによって、発電量を確保しつつ、下り坂道を下り終えた後、つまり回生発電を終了した後に内燃機関35を再度始動しても、全体的に消費される燃料の量を抑制することができる。
また、下り坂道を下り終えるまでに発電機41を駆動するために内燃機関35が消費する燃料の量を算出するために、もともと備えている回転数センサ95と、カーナビゲーション装置60とを利用しているので、プラグインハイブリッド電気自動車10のコストが高騰化することを抑制できる。
本実施形態では、フロントモータ23とリアモータ25とは、走行用の動力を発生するとともに回生エネルギによって発電する電動機の一例である。ハイブリッド電気自動車は、ハイブリッド電動車の一例である。
地図情報記憶部63は、ハイブリッド電動車の走行経路の情報を取得する走行経路情報取得手段の一例である。PHEV−ECU70とGPS62と地図情報記憶部63とは、ハイブリッド電動車が下り坂を走行中であるか否かを判定する下り坂判定手段の一例を構成している。
PHEV−ECU70とアクセルペダルポジションセンサ32とは、電動機による出力の要否を判定して電動機が回生駆動しているか否かを判定する、つまり電動機により回生発電が実行されているか否かを判定する電動機回生判定手段の一例を構成している。PHEV−ECU70とGPS62と地図情報記憶部63と回転数センサ95とは、走行経路の情報に基づいて下り坂を下り終えるまでつまり、回生発電が終了するまでに内燃機関が消費する燃料の量を算出する燃料消費量算出手段の一例を構成している。
PHEV−ECU70は、燃料消費量算出手段の算出量と、内燃機関の始動に必要な燃料量とを比較する比較手段の一例である。PHEV−ECU70と内燃機関用ECU36とは、ハイブリッド電動車が発電走行モードで走行中に、回生発電が実行されていると判定した際に、比較手段の検出結果が、燃料消費算出手段の算出量が内燃機関の始動に必要な燃料量より多いという結果であると、内燃機関の駆動を停止し、回生発電が終了した際に内燃機関を再度駆動する内燃機関制御手段の一例を構成している。
PHEV−ECU70と回転数センサ95とは、車速を検出する車速検出手段の一例を構成している。PHEV−ECU70は、下り坂を下り終える地点までの距離と車速検出手段の検出結果とに基づいて下り坂を下り終えるまでの時間を算出する時間算出手段の一例である。
PHEV―ECU70は、内燃機関の単位時間当たりの燃料消費量と時間算出手段の算出時間とに基づいて下り坂道を下り終えるまでに消費する燃料の量を算出する算出手段の一例である。
また、本実施形態では、カーナビゲーション装置60を用いており、GPS62を用いて、プラグインハイブリッド電気自動車10が走行している走行路が下り坂であるか否かを検出している。他の例としては、カーナビゲーション装置を利用しなくてもよい。例えば、下り坂の情報を有する記憶部を備えるとともに、プラグインハイブリッド電気自動車の現在位置を、操舵角や車速などから地図情報に基づいて算出してもよい。この場合であっても、プラグインハイブリッド電気自動車10が下り坂を走行しているか否かを判定することができる。
この発明は、上述した実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上述した実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより種々の発明を形成できる。例えば、上述した実施の形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除しても良い。
10…プラグインハイブリッド電気自動車(ハイブリッド電動車)、23…フロントモータ(電動機)、25…リアモータ(電動機)、29…バッテリ、32…アクセルポジションセンサ(電動機回生判定手段)、35…内燃機関、36…内燃機関用ECU(内燃機関制御手段)、62…GPS(下り坂判定手段)、63…地図情報記憶部(走行経路情報取得手段、下り坂判定手段)、70…HEV−ECU(下り坂判定手段、電動機回生判定手段、燃料消費量算出手段、比較手段、時間算出手段、算出手段、内燃機関制御手段、車速検出手段)、95…回転数センサ(車速検出手段)、100…発電制御装置。

Claims (2)

  1. 走行用の動力を発生するとともに回生エネルギによって発電する電動機と、前記電動機に電力を供給するバッテリと、前記バッテリを充電するべく発電する発電機と、前記発電機を駆動する内燃機関とを備え、前記内燃機関によって前記発電機を駆動して発電しつつ走行する発電走行モードを有するハイブリッド電動車に設けられる発電制御装置であって、
    前記ハイブリッド電動車が下り坂を走行中であるか否かを判定する下り坂判定手段と、
    前記ハイブリッド電動車の走行経路の情報を取得する走行経路情報取得手段と、
    前記電動機により回生発電が実行されているか否かを判定する電動機回生判定手段と、
    前記ハイブリッド電動車が下り坂を走行していると判定されると、前記走行経路の情報に基づいて下り坂を下り終えるまでに前記内燃機関で消費される燃料の量を算出する燃料消費量算出手段と、
    前記燃料消費量算出手段の算出量と、前記内燃機関の始動に必要な燃料量とを比較する比較手段と、
    前記ハイブリッド電動車が前記発電走行モードで走行中に前記電動機による回生発電が実行されていると判定した際に、前記比較手段の検出結果が、前記算出量が前記燃料量より多いという結果となると、前記内燃機関の駆動を停止させ、前記回生発電が終了すると前記内燃機関を再度駆動する内燃機関制御手段と
    を具備することを特徴とする発電制御装置。
  2. 前記燃料消費量算出手段は、
    車速を検出する車速検出手段と、
    下り坂を下り終える地点までの距離と前記車速検出手段の検出結果とに基づいて下り坂を下り終えるまでの時間を算出する時間算出手段と、
    前記内燃機関の単位時間当たりの燃料消費量と前記時間算出手段の算出時間とに基づいて下り坂道を下り終えるまでに消費する燃料の量を算出する算出手段と
    を具備することを特徴とする請求項1に記載の発電制御装置。
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