JP2013159143A - 空気入りタイヤ - Google Patents

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Abstract

【課題】陸部にサイプを設けた空気入りタイヤにおいて、サイプエッジの欠損の発生を抑制しつつ、氷雪路面及び乾燥路面の双方において、制動・駆動性能等を十分に向上させる。
【解決手段】トレッド部に陸部(3)を複数有し、該陸部(3)にサイプ(6)を設けた空気入りタイヤであって、サイプの長手方向と直交する断面において、サイプ(6)は、陸部の踏面Sから深さ方向に向かって、垂直部(10)と、一方側及び他方側に屈曲する屈曲部(11)とを有し、該屈曲部(11)は、深さ方向に順に、D/7より深くD/2以下の深さ領域に第一副屈曲点Q1と、D/4以上3D/4以下の深さ領域に主屈曲点Pと、D/2以上6D/7以下の深さ領域に第二副屈曲点Q2とを有するとともに、第一傾斜部(12)と、第二傾斜部(13)とを形成し、角度θ1は30°≦θ1≦60°であり、角度θ2は30°≦θ2≦60°である。
【選択図】図3

Description

この発明は、トレッド部に陸部を有し、該陸部に一本以上のサイプを設けた空気入りタイヤに関する。
従来、空気入りタイヤにおいて、氷雪路面上で良好な走行性能を発揮するために、トレッド部に設けられた陸部に対して複数本のサイプを設けて、エッジ成分を増加することが行われている。
しかし、サイプの本数を増加すると、エッジ成分は増加するものの、陸部の剛性が低下してしまう。そうすると、制動・駆動又は旋回時にタイヤへ荷重負荷がかかった際、陸部に倒れ込み変形が生じ、タイヤと路面との接地面積が減少して、接地性が悪化するという問題が生じる。
そこで、特許文献1では、陸部に形成するサイプの形状を、踏面側から深さ方向に複数回屈曲してジグザグ状に延びる形状にすることで、陸部の倒れ込み変形を抑制して、接地性を維持した空気入りタイヤを提案している。
ところが、氷雪路面上のみならず、摩擦係数が高くて大きな力が入力される乾燥路面上でも使用するオールシーズン用タイヤへの適用を考慮した場合には、特許文献1のサイプ形状では、特に乾燥路面での入力時、踏面近傍のサイプエッジが踏面と路面との間に巻き込まれて、サイプエッジが欠損してしまう場合がある。
これに対し特許文献2では、図4に示すような、陸部の踏面から法線方向に延びる垂直部と、該垂直部に続いて踏面の接線の前後方向に屈曲しながら陸部の底部方向に延びる屈曲部とを有するサイプを使用することを提案している。かかる構成によれば、屈曲部にて陸部の倒れ込み変形を抑制するとともに、垂直部にてサイプエッジの欠損を抑制することができる。
特開平11−170817号公報 特開2006−341816号公報
ここで近年、氷雪路面及び乾燥路面の双方における走行性能をより高い次元で向上させることが切望されており、陸部に設けるサイプ形状にあっては、さらなる改善の余地が残されていた。
そこで本発明は、トレッド部の陸部に一本以上のサイプを設けた空気入りタイヤにおいて、サイプエッジの欠損の発生を抑制しつつ、陸部の倒れ込み変形を十分に抑制して陸部の接地性を向上させ、氷雪路面及び乾燥路面の双方において、制動・駆動性能等をより向上させることを目的とする。
発明者が、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねたところ、特許文献2のサイプ形状では、タイヤ転動時に、陸部に対する踏面からの入力方向によって、陸部の倒れ込みを支え合う箇所がサイプ深さ方向で異なり、支え合いの効果が分散することを発見した。
すなわち、特許文献2のサイプ形状にあっては、図4に示すように、陸部が、踏面Sからの接地反力のもと、図面左から右へ向かう方向に入力を受けた場合は、深さ中央部の屈曲部100でサイプの壁面同士が接触し、紙面左側の陸部の倒れ込みを支える。一方、陸部が、踏面Sからの接地反力のもと、図面右から左へ向かう方向に入力を受けた場合は、屈曲部101及び屈曲部102でサイプの壁面同士が接触し、紙面右側の陸部の倒れ込みを支えることになる。このように、踏面からの入力方向に依存して、陸部の倒れ込みを支持する箇所はサイプ深さ方向に亘って異なることになる。特に、図示例において、陸部が図面右から左へ向かう方向に入力を受けた場合には、陸部の倒れ込みの支持箇所は屈曲部101と屈曲部102の両者となり、支持箇所がサイプ深さ方向で分散してしまうことになる。
そこで発明者は、支え合いの効果がサイプ深さ方向に分散することを回避できれば、より有効に陸部の倒れ込みを抑制できるとの着想に基づき、さらに研究を重ねた。その結果、サイプを、サイプ深さの中央領域で屈曲させて、サイプ深さの中央領域にて2つの比較的大きな面を設ける形状とすることによれば、陸部への入力方向に依存することなく、どちらの入力方向であっても同程度の深さ位置で陸部の支え合いを実現できること、しかも、支え合う深さ位置をサイプ深さの中央領域に集中させることで、陸部の倒れ込み変形を有効に抑制して、制動・駆動性能又は旋回時のコーナリング性能を格段に向上できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の要旨は以下の通りである。
(1)トレッド部に形成した陸部に、一本以上のサイプを設けた空気入りタイヤにおいて、
前記陸部の踏面における前記サイプの長手方向と直交する断面において、前記サイプは、前記踏面から深さ方向に向かって、前記踏面から該踏面の法線方向に延びる垂直部と、該法線方向に対し一方側及び他方側に屈曲する屈曲部とを有し、
前記屈曲部は、前記サイプの深さをDとした場合、深さ方向に順に、前記踏面からD/7より深くD/2以下の深さ領域に在る第一副屈曲点と、前記踏面からD/4以上3D/4以下の深さ領域に在る主屈曲点と、前記踏面からD/2以上6D/7以下の深さ領域に在る第二副屈曲点とを有して、前記第一副屈曲点及び前記主屈曲点を結ぶ第一傾斜部と、前記主屈曲点及び前記第二副屈曲点を結ぶ第二傾斜部とを形成し、
前記第一傾斜部が、前記サイプの開口端における前記踏面の接線方向と成す鋭角側の角度θ1は30°≦θ1≦60°であり、前記第二傾斜部が、前記サイプの開口端における前記踏面の接線方向と成す鋭角側の角度θ2は30°≦θ2≦60°である
ことを特徴とする空気入りタイヤ。
本発明による空気入りタイヤによれば、タイヤ転動時、サイプを挟んで対向する凹凸部同士が噛み合い、陸部の倒れ込みを抑制することができる。しかも、サイプの深さ中央領域に大きな2つの面が形成され、各面で陸部の倒れ込みを支持するため、倒れ込み抑制程度を、踏面からの入力方向に依存することなく同程度にできるとともに、陸部の深さ中央領域で陸部を支持することから、倒れ込み抑制の効果を格段に向上させることが可能となる。
一方、垂直部では、タイヤ接地時における陸部踏面の巻き込みを防止して、サイプエッジの欠損を回避することができる。
なお、本発明において、「踏面の法線方向に延びる垂直部」は、数学的な意味で厳密に踏面と直交している必要はなく、タイヤ接地時における陸部踏面の巻き込みを防止してサイプエッジの欠損を回避することができる範囲内で、法線方向に向かって延びていれば良い。従って、垂直部の延在方向と踏面とのなす角度は、鋭角側から測定して、例えば80°以上90°以下とすることもできる。
(2)前記断面において、前記第一傾斜部の、前記踏面の接線方向の距離W1は0<W1≦D/3であり、前記第二傾斜部の、前記踏面の接線方向の距離W2は0<W2≦D/3であることを特徴とする、前記(1)に記載の空気入りタイヤ。
かかる構成によれば、サイプを挟んで対向する陸部同士がより有効に噛み合って、陸部の倒れ込みをより効果的に抑制することができる。
(3)前記陸部には前記サイプが二本以上設けられ、隣接するサイプ間の、前記踏面における、サイプの長手方向に対する直交方向の最短距離はD以上であることを特徴とする、前記(1)又は(2)に記載の空気入りタイヤ。
タイヤ回転時に陸部の踏面が路面からの接地反力を受けた場合、特に、陸部内のサイプ密度が比較的小さいと、陸部の壁面が大きく膨出変形し易く、隣接する陸部同士が接触する。従って、上記のようにサイプ密度の比較的小さい陸部に対し、本発明に特徴的なサイプ形状を適用することで、サイプ形状による陸部の倒れ込み変形の抑制効果をより有効に発揮させることが可能となる。
(4)前記垂直部の前記踏面の法線方向の長さは、D/7以上であることを特徴とする、前記(1)〜(3)のいずれか一に記載の空気入りタイヤ。
かかる構成によれば、サイプの深さ方向内に、陸部踏面の巻き込みを防止する垂直部を設けつつ、同時に、陸部の倒れ込みを抑制する屈曲部を充分に確保することができる。
(5)前記サイプの長手方向は、タイヤ幅方向であることを特徴とする、前記(1)〜(4)のいずれか一に記載の空気入りタイヤ。
かかる構成によれば、サイプの垂直部及び屈曲部による上述の機能を、より効果的に発揮することができる。
本発明によれば、トレッド部の陸部に一本以上のサイプを設けた空気入りタイヤにおいて、サイプエッジの欠損の発生を抑制しつつ、陸部の倒れ込み変形を十分に抑制して陸部の接地性を向上させ、氷雪路面及び乾燥路面の双方において、制動・駆動性能等をより向上させることができる。
本発明に従う空気入りタイヤの一実施形態の、トレッド部の部分展開図である。 図1の陸部を、サイプの長手方向と直交する面で切断した際の断面図である。 図2のサイプのうちの一つの、拡大図である。 従来の空気入りタイヤの陸部を、サイプの長手方向と直交する面で切断した際の断面図である。
以下、本発明に従う空気入りタイヤの一実施形態を、図面を参照しながら説明する。
図1は、本実施形態の空気入りタイヤ1(以下、「タイヤ」と言う。)のトレッド部2の部分展開図を示す。
なお、図示は省略するが、このタイヤ1は、左右のサイドウォールと、両サイドウォール間に跨ってトレッド部2を備えるクラウン部が連なり、一方のサイドウォール部からクラウン部を通り、他方のサイドウォール部にわたって延びる、有機繊維コード或いはスチールコードのプライからなるカーカスと、このカーカスとトレッド間に配置したスチールコード層からなるベルト層を備える。
トレッド部2は、リブ状、ラグ状又はブロック状の陸部3を有する。図1の例では、タイヤ周方向(図1で示すY方向)に延びる周方向溝4と、この周方向溝4と交差してタイヤ幅方向(図1で示すX方向)に延びる複数本の横溝5とによって、ブロック状の陸部3が複数区画形成されている。
なお、図示例では、周方向溝4および横溝5によって区画されるブロック状の陸部を示しているが、陸部3は、周方向溝4のみによって形成される、タイヤ周方向に連続するリブ状陸部であってもよい。また、陸部3は、横溝5のみによって形成される、タイヤ幅方向に連続するラグ状陸部であってもよい。なお、周方向溝4は、図示例では直線状であるが、例えば、ジグザグ状、鋸歯状、波状等の非直線状であってもよい。また、横溝5は、図示例では、タイヤ幅方向と完全に平行、換言すればタイヤ周方向に対して垂直な方向に直線状に延在しているが、横溝5は、タイヤ幅方向に対し傾斜して延在していてもよく、また、例えばジグザグ状、鋸歯状、波状等の非直線状であってもよい。
そして、陸部3には、一本以上のサイプ6、ここではタイヤ幅方向(X方向)に延びる4本のサイプ6a〜6dが、一方の周方向溝4から他方の周方向溝4まで陸部3を横断するように、且つ、タイヤ周方向(Y方向)に一定の間隔を空けて形成されている。
ここで、本発明で言うサイプ6とは、陸部3の接地時にサイプの溝壁の少なくとも一部が互いに接触する(閉じる)、幅0.1〜1.0mmの切込みのことを言う。
図2は、図1の陸部3を、サイプ6の長手方向と直交する面で切断した際の断面図である。すなわち、この実施形態では、図1で示すように陸部3を直線A−Aで切断した、タイヤ周方向に沿う断面図を示している。
サイプ6は、陸部の踏面Sから深さ方向に向かって、順に、踏面Sに対して垂直な垂直部10と、一方側及び他方側に屈曲する屈曲部11を有しており、陸部3をタイヤ周方向に分割するように、陸部3の底部近傍まで連続して形成されている。屈曲部11は、垂直部10に対してタイヤ周方向の前後方向、図示例で言えば、左右方向に傾斜して折り返すように形成されている。
次に示す図3は、図2のサイプ6a〜6dのうちの一つ、サイプ6aの拡大断面図である。この図3を用いて、サイプ6の垂直部10、そして、本発明において特徴となる屈曲部11の構成をより具体的に説明する。
なお、以下で説明するサイプ6の各寸法は、図3で示すように、サイプ6のサイプ幅の幅方向中央線(一点鎖線)により規定されるものである。
また、以下の説明における図3の断面上の「点」、「部」は、実際には、それぞれ「線」、「面」を成すものである。
本発明のタイヤにあっては、屈曲部11が、サイプ6のタイヤ径方向深さをDとした場合に、深さ方向に向かって順に、陸部の踏面SからD/7より深くD/2以下の深さ領域に在る第一副屈曲点Q1と、踏面SからD/4以上3D/4以下の深さ領域に在る主屈曲点Pと、踏面SからD/2以上6D/7以下の深さ領域に在る第二副屈曲点Q2とを有し、第一副屈曲点Q1及び主屈曲点Pを結ぶ第一傾斜部12と、主屈曲点P及び第二副屈曲点Q2を結ぶ第二傾斜部13とを形成することが肝要である。さらに、第一傾斜部12が、サイプ6の開口端における踏面Sの接線方向Yと成す鋭角側の角度θ1が30°≦θ1≦60°、第二傾斜部13が、サイプ6の開口端における踏面Sの接線方向Yと成す鋭角側の角度θ2が30°≦θ2≦60°を満たすことが肝要である。
具体的に、図3に示すサイプ6aでは、まず、垂直部10が、踏面Sから深さD/4のタイヤ径方向領域にて、陸部3の踏面Sに開口し、踏面Sから陸部の底部に向かって法線方向(図3で示すZ方向)に沿って直線状に形成されている。
そして、踏面SからD/4からD/3の深さ領域にて、垂直部10から、踏面Sの法線方向に対し一方側に向かって傾斜する面、ここでは紙面右下側に向かって傾斜する傾斜部14が形成されている。続いて、踏面SからD/3からD/2の径方向領域にて、深さD/3の位置に在る第一屈曲点Q1を介して、前記一方側とは反対の他方側に向かって傾斜する面、ここでは紙面左下側に向かって傾斜する第一傾斜部12が形成されている。第一傾斜部12の、サイプ6の長手方向に対する直交方向(図3で示すY方向)の距離W1は例えばD/6であり、第一傾斜部12が踏面Sと成す鋭角側の角度θ1は例えば45°である。続いて、踏面SからD/2から2D/3の径方向領域にて、深さD/2の位置に在る主屈曲点Pを介して前記一方側に傾斜する面、ここでは紙面右下側に向かって傾斜する第二傾斜部13が形成されている。第二傾斜部13の、サイプ6の長手方向に対する直交方向(図3で示すY方向)の距離W2は例えばD/6であり、第二傾斜部13が踏面Sと成す鋭角側の角度θ2は例えば45°である。続いて、踏面Sから2D/3から3D/4の径方向領域にて、深さ2D/3の位置に在る第二屈曲点Q2を介して、前記他方側に向かって傾斜する面、ここでは紙面左下側に向かって傾斜する傾斜部15が形成されている。さらに、傾斜部15の陸部底部側端から陸部の底部に向かって、法線方向(Z方向)に沿って直線状となる部分16が形成されている。
このように、サイプ6は、主屈曲点P、第一副屈曲点Q1、第二副屈曲点Q2の屈曲点を介して、踏面Sの接線方向に屈曲する形状を有するため、タイヤの転動時に、サイプ6により分断された対向する壁面同士が互いに接触して、陸部の倒れ込みを抑制することができる。
そして本発明にあっては、サイプ6が、サイプ6の深さDの中央領域において、上記3つの屈曲点により形成される比較的大きな2つの面、すなわち第一傾斜部12及び第二傾斜部13を有し、これらの面でサイプ6の壁面同士が強く接触し合って、陸部の倒れ込みが抑制されることになる。
つまり、図3を用いて説明すれば、陸部3が、路面から、紙面左から右へ向かう方向の入力を受けた場合には、第一傾斜部12でサイプ6により分断された陸部の壁面同士が強く接触し、その摩擦力によって、路面からの入力側、ここでは紙面左側の陸部が支えられて、倒れ込み変形が抑制される。一方、陸部3が、路面から、紙面右から左へ向かう方向の入力を受けた場合には、第二傾斜部13でサイプ6により分断された陸部の壁面同士が強く接触し、その摩擦力によって、路面からの入力側、ここでは紙面右側の陸部が支えられて、倒れ込み変形が抑制される。
このように、サイプ6は、陸部3の深さD/7から6D/7の中央領域内に、深さD/4から3D/4の領域内に在る主屈曲点Pを挟んでそれぞれ1回のみ屈曲することで形成される大きな2つの傾斜面を有している。そして、サイプ6では、この傾斜面の各面で、二方向からの入力による陸部の倒れ込みを、それぞれ支持している。従って、どちら側からの入力であっても、陸部の深さ方向中央領域において陸部の倒れ込みを支持することができ、入力方向間での倒れ込み変形の抑制程度を同程度とすることができる。換言すれば、回転方向に依存することなく、双方向とも同程度に、陸部の倒れ込み変形を抑制することができる。しかも、いずれの入力方向であっても、陸部の支持位置が陸部3の深さ中央付近となるため、従来のように、支持位置が深さ方向に分散してしまうことがない。その結果、倒れ込み抑制の効果が格段に向上し、陸部の剛性を確保して接地性が増して、タイヤ全体の制動・駆動性能を高めることが可能となるのである。
さらに、第一傾斜部12及び第二傾斜部13の各傾斜角度θ1及びθ2が、踏面Sと成す鋭角側の角度が60°以下となるように、一定以上の角度を与えることで、分断された陸部の壁面間での噛み合い効果を有効に発揮させることができるため、接触面での摩擦力が増加し、陸部の倒れ込み変形をより有効に抑制することができる。また、前記角度を30°以上とすれば、タイヤ加硫後に、金型が抜け難くなるのを回避することができ、製造上有利である。
また、サイプ6内に、第一副屈曲点Q1及び第二副屈曲点Q2を設け、主屈曲点P以外でも、分断された陸部の壁面間での噛み合い箇所を形成することで、第一傾斜部12及び第二傾斜部13の壁面同士が強く接触し合うこととなり、倒れ込み変形をより効果的に抑制することができる。
以上の通り、主屈曲点Pが踏面からの深さD/4から3D/4の領域内に、第一副屈曲点Q1が踏面からの深さD/7からD/2の領域内に、第二副屈曲点Q2が踏面からの深さD/2から6D/7の領域内に在り、且つ、30°≦θ1≦60°及び30°≦θ2≦60°であることを全て満たした場合に初めて、製造上の問題もなく、上述の効果、すなわち、入力方向に依存することなく倒れ込みを抑制し、タイヤの制動・駆動性能を十分向上させることが可能となる。
さらに、サイプ6は、垂直部10を有しているため、踏面S付近の剛性が確保され、タイヤ接地時においても、サイプのエッジが踏面と路面との間に巻き込まれるのを防止することができる。従って、氷雪路面のみならず、摩擦係数が高く大きな力が入力される乾燥路面においても、サイプエッジが欠損するのを回避することが可能となる。
なお、上記サイプ6において、第一傾斜部12の、踏面Sの接線方向の距離、すなわちサイプの長手方向に対する直交方向の距離W1は、0<W1≦D/3であることが好ましく、第二傾斜部13の、踏面Sの接線方向の距離、すなわちサイプの長手方向に対する直交方向の距離W2は、0<W2≦D/3であることが好ましい。
距離W1及びW2を0より大きくすることで、サイプを挟んで対向する陸部同士が接触する第一傾斜部12及び第二傾斜部13が形成され、上記の通り、陸部の倒れ込み変形を抑制することができるからである。また、距離W1及びW2をD/3以下とするのは、タイヤ加硫後に、金型が抜け難くなるのを回避することができ、製造上有利だからである。
また、上述のサイプ形状は、一つの陸部3に対してサイプ6が二本以上設けられている場合に、隣接するサイプ間の、踏面Sにおける、サイプの長手方向に対する直交方向の最短距離がD以上である際に、特に、効果的である。
タイヤ回転時に陸部3の踏面Sが路面からの接地反力を受けた場合、特に、陸部内のサイプ密度が比較的小さいと、陸部の壁面が大きく膨出変形し易く、隣接する陸部同士が接触し易くなる。従って、屈曲部11を有する本発明の特徴的なサイプ形状の、陸部の倒れ込み変形を抑制するという上述までの効果は、特に、陸部3に対してかかるサイプ密度範囲(上記最短距離がD以上となる密度範囲)でサイプ6を設けた場合に、有利に作用する。なお、サイプの配設密度の低下に伴うエッジ成分の減少を抑制する観点からは、上記最短距離は10D以下とすることが好ましい。
また、垂直部10の踏面Sの法線方向の長さHは、D/7以上であることが好ましい。
垂直部10の踏面Sからの法線方向の長さHが、サイプ6の深さDの1/7より短い場合には、サイプエッジ付近の剛性が不足して、巻き込み変形によりサイプエッジが欠損する恐れがあるからである。
なお、図2及び図3に示す例では、サイプ6は、傾斜部15の陸部底部側端から陸部の底部に向かって、法線方向に沿って直線状となる部分16を有するが、当該部分16を有することなく、第二屈曲点Q2から、陸部の底部に向かって直線状であってもよい。
また、図1に示すトレッド部の部分展開図では、サイプ6は、タイヤ幅方向と完全に平行な状態で延在しているが、タイヤ幅方向に対し傾斜したり、タイヤ周方向に延在していてもよい。タイヤ周方向に延びるサイプ6の場合には、特に旋回時のコーナリング性能を向上させることができ、タイヤ幅方向に対し傾斜して延びるサイプ6の場合には、直進時及び旋回時の両性能を持たせることができる。
さらに、図1では、サイプ6は踏面S上でストレート状であるが、他の形状、例えばジグザグ型、波型であってもよい。また、図1では、1つの陸部3に対して4本のサイプを設けた例を示しているが、サイプ6の本数は、1〜3本、5本以上であってもよい。さらに図1では、サイプ6が、陸部3の両端に開口する例を示しているが、サイプ6は、少なくとも一方の端が陸部3内で終端していてもよい。
本発明の効果を確認するため、本発明に従う発明例タイヤ1〜5と、従来例に従う従来例タイヤと、比較例タイヤ1〜3を試作し、各タイヤの性能評価を行った。
発明例タイヤ1は、タイヤサイズ205/55R16であって、トレッド部に図1のトレッドパターンを有し、1つのブロック状の陸部に対し、図2及び図3に示した実施形態のサイプを4本ずつ形成したタイヤである。サイプは、図1に示すように、踏面上でタイヤ幅方向にストレート状に延びている。サイプの各諸元は、表1に示す通りである。
発明例タイヤ2〜発明例タイヤ5は、サイプの各諸元を表1の通りに変化させたこと以外は、発明例タイヤ1と同様である。
従来例タイヤは、陸部を、踏面におけるサイプの長手方向と直交する面で切断した際の断面図におけるサイプ形状が、図4に示す、従来のサイプ形状であること以外は、発明例タイヤ1と同様である。
比較例タイヤ1及び2は、サイプの各諸元を表1の通りに変化させたこと以外は、発明例タイヤ1と同様である。
また、比較例タイヤ3は、サイプの形状を、垂直部を設けることなく踏面側から深さ方向に6回屈曲してジグザグ状(振幅一定の三角波形状)に延びる屈曲部を有する形状としたこと以外は、発明例タイヤ1と同様である。なお、サイプの屈曲方向と、法線に直交する方向とのなす角度は30.256°であり、サイプは、屈曲部の陸部底部側端から陸部の底部に向かって法線方向に沿って延びる長さ0.49Dの部分を有している。
Figure 2013159143
性能評価としては、一定荷重条件下で大きなせん断力を与えたときに、サイプ壁面同士の接触により発揮される陸部摩擦係数を比較することにより、タイヤの制動・駆動性能評価を行った。この際、陸部に対して双方向からのせん断力、すなわち、図3及び図4に示すサイプを境界に、紙面右側及び左側の双方向からの入力となるようにせん断力を与え、その平均摩擦係数を比較した。
結果を表2に示す。なお、表2に示す摩擦係数は、従来例を100とする指数表示で表したものであり、数値が大きいほど性能が良いことを示す。
Figure 2013159143
表2から分かるように、発明例タイヤ1〜5はいずれも、従来例タイヤに比べて、平均摩擦係数が大きくなった。このことから、発明例タイヤ1〜5はいずれも、従来例タイヤに比べて、制動・駆動性能等が高くなることが確認できた。また、比較例タイヤ1及び2は、平均摩擦係数が小さいことから、主屈曲部が陸部の踏面からD/4以上3D/4以下の深さ領域に在る場合に、特に、制動・駆動性能等を向上できることが確認された。更に、比較例タイヤ3では、サイプエッジの欠損の発生が確認された。
この発明によれば、トレッド部の陸部に一本以上のサイプを設けた空気入りタイヤにおいて、サイプエッジの欠損の発生を抑制しつつ、陸部の倒れ込み変形を抑制して陸部の接地性を十分に向上させ、氷雪路面及び乾燥路面の双方において、制動・駆動性能等をより向上させることが可能となり、本発明は、オールシーズン用タイヤ等、サイプの配置数が比較的少ないタイヤに適用した場合に特に好適である。
1 空気入りタイヤ
2 トレッド部
3 陸部
4 周方向溝
5 横溝
6、6a、6b、6c、6d サイプ
10 垂直部
11 屈曲部
12 第一傾斜部
13 第二傾斜部
14、15 傾斜部
D サイプ深さ
P 主屈曲点
1 第一副屈曲点
2 第二副屈曲点
S 陸部3の踏面
θ1 第一傾斜部12が踏面Sと成す鋭角側の角度
θ2 第二傾斜部13が踏面Sと成す鋭角側の角度
1 第一傾斜部12の、サイプの長手方向に対する直交方向の距離
2 第二傾斜部13の、サイプの長手方向に対する直交方向の距離
H 垂直部10の踏面Sの法線方向の長さ
X タイヤ幅方向
Y タイヤ周方向
Z 踏面Sから陸部の底部に向かう法線方向(タイヤ径方向)

Claims (5)

  1. トレッド部に形成した陸部に、一本以上のサイプを設けた空気入りタイヤにおいて、
    前記陸部の踏面における前記サイプの長手方向と直交する断面において、前記サイプは、前記踏面から深さ方向に向かって、前記踏面から該踏面の法線方向に延びる垂直部と、該法線方向に対し一方側及び他方側に屈曲する屈曲部とを有し、
    前記屈曲部は、前記サイプの深さをDとした場合、深さ方向に順に、前記踏面からD/7より深くD/2以下の深さ領域に在る第一副屈曲点と、前記踏面からD/4以上3D/4以下の深さ領域に在る主屈曲点と、前記踏面からD/2以上6D/7以下の深さ領域に在る第二副屈曲点とを有して、前記第一副屈曲点及び前記主屈曲点を結ぶ第一傾斜部と、前記主屈曲点及び前記第二副屈曲点を結ぶ第二傾斜部とを形成し、
    前記第一傾斜部が、前記サイプの開口端における前記踏面の接線方向と成す鋭角側の角度θ1は30°≦θ1≦60°であり、前記第二傾斜部が、前記サイプの開口端における前記踏面の接線方向と成す鋭角側の角度θ2は30°≦θ2≦60°である
    ことを特徴とする空気入りタイヤ。
  2. 前記断面において、前記第一傾斜部の、前記踏面の接線方向の距離W1は0<W1≦D/3であり、前記第二傾斜部の、前記踏面の接線方向の距離W2は0<W2≦D/3であることを特徴とする、請求項1に記載の空気入りタイヤ。
  3. 前記陸部には前記サイプが二本以上設けられ、隣接するサイプ間の、前記踏面における、サイプの長手方向に対する直交方向の最短距離はD以上であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の空気入りタイヤ。
  4. 前記垂直部の前記踏面の法線方向の長さは、D/7以上であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の空気入りタイヤ。
  5. 前記サイプの長手方向は、タイヤ幅方向であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の空気入りタイヤ。
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