JP2013158569A - 内視鏡 - Google Patents

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康弘 岡本
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Abstract

【課題】牽引部材と駆動部との間に生じる駆動力伝達異常を検出し、異常検出時に駆動停止制御する機能を備えた内視鏡を提供する。
【解決手段】湾曲部2bを有する挿入部2と、湾曲部を湾曲させる牽引部材8と、牽引部材を牽引するための力量を入力する操作部材5と、牽引部材を牽引して湾曲部を湾曲させる駆動力を発生させる駆動部12と、牽引部材の牽引動作に連動して牽引部材に対して駆動力が伝達しない状態から牽引部材に対して駆動力が伝達する状態に切り換え可能な牽引部材設置部9と、駆動部から牽引部材設置部に対して伝達される駆動力の伝達状態を駆動力伝達状態情報として取得する検出部15bと、検出部が取得した駆動力伝達状態情報を用いて駆動力の伝達状態が異常であるか否かを判断し、異常であることを確認した場合には、駆動部を停止させる制御信号を駆動部へ出力する制御部15とを有する。
【選択図】図3

Description

この発明は、内視鏡挿入部に設けられた湾曲部を湾曲動作させる牽引部材と、この牽引部材を牽引するための駆動部との間に生じる駆動力伝達異常を検出し、異常検出時には駆動部を停止制御する異常停止制御機構に関するものである。
近年、医療分野或いは工業分野において、細長の挿入部を備える内視鏡が利用されている。医療分野の内視鏡においては、挿入部を口腔或いは肛門等から体内に挿入して観察等を行う。一方、工業分野の内視鏡においては、挿入部をボイラ等のプラント設備の配管内或いはエンジン内部等に挿入して観察等を行う。
一般に、内視鏡においては、挿入部の先端部に観察光学系が設けられている。また、挿入部の先端側には、前記観察光学系を所望の方向に向けるために、例えば上下左右方向に湾曲する湾曲部が設けられている。さらに、挿入部の基端には、湾曲操作装置を備えた操作部が設けられている。そして、湾曲操作装置の操作部材である湾曲操作ノブと、湾曲部を構成する先端湾曲駒とが牽引部材である湾曲ワイヤーによって連結されている。このように構成された内視鏡では、操作者が操作部を把持する手の指で湾曲操作ノブを回動操作して前記湾曲ワイヤーを牽引させたり弛緩させることによって湾曲部を湾曲動作させることができるようになっている。以下、このような構成の内視鏡を、従来の内視鏡と記載する。
一方、近年においては、内視鏡の操作部内部に駆動手段を設け、操作部に立設させた湾曲操作装置である操作子を例えば手指1本で操作することによって、湾曲部の湾曲動作を駆動手段の駆動力によって行うようにした内視鏡が提案されている。
この種の内視鏡においては、操作子の操作によって生じる電気的な指示信号を受けて駆動手段が動作するようになっているので、例えば電気的な不具合により操作者の意図に反して湾曲部の湾曲動作が開始されてしまう等といった異常動作の可能性がある。
そこで、従来においては、例えば下記特許文献1等によって、内視鏡の湾曲動作に関する異常状態の発生を監視して、異常状態が検出された場合には、電源オフ等の非常停止措置や、異常発生に対応する処理を行うように構成したものが提案されている。
特開2006−55348号公報
ところが、上記特許文献1等によって開示される内視鏡は、動作切換レバーを操作することによって駆動力伝達状態を切断状態と接続状態とに切り換えることができるようになっている。したがって、湾曲部の湾曲操作を行うためには、まず、前記動作切換レバーを操作して駆動力伝達状態を接続状態とした後、別途設けられるジョイスティック(操作子)若しくは回転ノブ等の操作部材を用いて湾曲操作を行うことになる。
このような従来の内視鏡に対し、近年、駆動力伝達状態の切換操作を行うことなく、ジョイスティック(操作子)若しくは回転ノブ等の操作部材を用いて湾曲部への操作入力指示を行うだけで、駆動力を伝達し得る接続状態に切り換えることのできる内視鏡がある。この種の内視鏡に対しては、上記特許文献1等によって開示される手段は適用し得ないという問題点がある。
プーリとCリングとの間に混入した異物やCリングの経年劣化等によってプーリとCリングとの摩擦が大きい摩擦摺動状態となってしまう場合がある。これにより想定している操作者の操作力量よりも軽い操作力量で湾曲部が湾曲することになる。したがって、操作者が意図せず操作部材に軽く接触しただけでも湾曲部が湾曲することがある。この意図しない湾曲部の湾曲を防ぐ必要がある。
本発明は、上述した点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、駆動力伝達状態の切換操作を行うことなく操作部材を用いて湾曲部への操作入力指示を行うだけで駆動力を伝達し得る接続状態に切り換え得る内視鏡において、湾曲部を湾曲動作させる牽引部材と、この牽引部材を牽引するための駆動部との間に生じる駆動力伝達異常を検出し、異常を検出した時には駆動部を停止させる異常停止機構を備えた内視鏡を提供することである。
上記目的を達成するために、本発明の一態様の内視鏡は、湾曲部を有する挿入部と、前記湾曲部を湾曲させる牽引部材と、前記牽引部材を牽引するための力量を入力する操作部材と、前記牽引部材を牽引して前記湾曲部を湾曲させる駆動力を発生させる駆動部と、前記牽引部材の牽引動作に連動して前記牽引部材に対して前記駆動力が伝達しない状態から前記牽引部材に対して前記駆動力が伝達する状態に切り換え可能な牽引部材設置部と、前記駆動部から前記牽引部材設置部に対して伝達される前記駆動力の伝達状態を駆動力伝達状態情報として取得する検出部と、前記検出部が取得した駆動力伝達状態情報を用いて前記駆動力の伝達状態が異常であるか否かを判断し、異常であることを確認した場合には、前記駆動部を停止させる制御信号を前記駆動部へ出力する制御部とを有する。
本発明によれば、駆動力伝達状態の切換操作を行うことなく操作部材を用いて湾曲部への操作入力指示を行うだけで駆動力を伝達し得る接続状態に切り換え得る内視鏡において、湾曲部を湾曲動作させる牽引部材と、この牽引部材を牽引するための駆動部との間に生じる駆動力伝達異常を検出し、異常を検出した時には駆動部を停止させる異常停止機構を備えた内視鏡を提供することができる。
本発明の第1の実施形態の内視鏡を含む内視鏡システム全体を示す概略構成図、 図1に示す内視鏡システムにおける内視鏡の内部構成のうち牽引部材操作装置を示す概略構成図、 図1に示す内視鏡システムの概略構成を示すブロック構成図、 図1に示す内視鏡システムの内視鏡における牽引部材操作装置のうち牽引部材設置部(回転体)のみを取り出して示す斜視図、 図1に示す内視鏡システムの内視鏡における牽引部材操作装置の配置構成を示す要部拡大構成図、 図1に示す内視鏡システムの内視鏡における牽引部材操作装置に連動する操作部材及び牽引部材の配置構成を示す要部拡大構成図、 図1に示す内視鏡システムの内視鏡の異常検出制御(電流値制御)時の作用を示すフローチャート、 図1に示す内視鏡システムの内視鏡の動作時の電流値の変位例を示すグラフ、 本発明の第2の実施形態の内視鏡における牽引部材操作装置のうち牽引部材設置部近傍の構成を示す概略構成図、 図9の[10]−[10]線に沿う概略断面図、 本発明の第2の実施形態の内視鏡を含む内視鏡システムの概略構成を示すブロック構成図、 本発明の第2の実施形態の内視鏡の異常検出制御(回転体の回転位置監視制御)時の作用を示すフローチャート、 本発明の第2の実施形態の内視鏡の動作時の回転体の回転位置の変位例を示すグラフ、 本発明の第3の実施形態の内視鏡の操作部材近傍の構成を示す概略構成図、 本発明の第3の実施形態の内視鏡を含む内視鏡システムの概略構成を示すブロック構成図、 本発明の第3の実施形態の内視鏡の通常動作時の回転体回転位置及び操作子移動量の変位例を示すグラフ、 本発明の第3の実施形態の内視鏡の異常検出制御動作時の回転体回転位置及び操作子回転量の変位例を示すグラフ、 本発明の第4の実施形態の内視鏡の牽引部材操作装置近傍の構成を示す概略構成図、 本発明の第4の実施形態の内視鏡を含む内視鏡システムの概略構成を示すブロック構成図、 本発明の第4の実施形態の内視鏡の異常検出制御(操作ワイヤ及び湾曲ワイヤの各移動量の監視制御)時の作用を示すフローチャート、 本発明の第4の実施形態の内視鏡の通常動作制御時の操作ワイヤ及び湾曲ワイヤの各移動量の変位例を示すグラフ、 本発明の第4の実施形態の内視鏡の異常検出制御時の操作ワイヤ及び湾曲ワイヤの各移動量の変位例を示すグラフ、 本発明の第5の実施形態の内視鏡における牽引部材操作装置の回動規制部材の概略構成(静止状態)を示す図、 図23の牽引部材操作装置の作動状態を示す図、 本発明の第5の実施形態の内視鏡における操作部材の操作子傾倒規制部材の概略構成を示す図、 本発明の第6の実施形態の内視鏡における牽引部材操作装置の概略構成を示す図、 本発明の第7の実施形態の内視鏡における牽引部材操作装置の概略構成を側面から示す図、 図27の牽引部材操作装置を上面から見たようすを示す図、 本発明の第8の実施形態の内視鏡における牽引部材操作装置の概略構成を側面から示す図、 図29の内視鏡を裏面から見たようすを示す図、 本発明の第9の実施形態の内視鏡の概略構成を示し、通常の無負荷時の牽引部材操作装置を示す図、 図31の内視鏡において、異常発生後の駆動停止時において湾曲部が湾曲状態で固着した状態の牽引部材操作装置を示す図、 図31の内視鏡において、工具を用いた固着解除操作時の牽引部材操作装置を示す図、 本発明の第10の実施形態の内視鏡における牽引部材操作装置の概略構成を示し、通常状態の牽引部材操作装置を上面側から見たようすを示す図、 図34の牽引部材操作装置において、異常発生後の駆動停止時においてプーリー11を抜去しているようすを示す図、 本発明の第11の実施形態の内視鏡における牽引部材操作装置の概略構成を示し、工具を用いて異常解除作業のようすを概念的に示す図、 本発明の第12の実施形態の内視鏡における牽引部材操作装置の概略構成を示し、通常状態の牽引部材操作装置を上面側から見たようすを示す図、 図37の牽引部材操作装置において、異常発生後の駆動停止時においてプーリーと回転体との固着状態を解除しているようすを示す図、 本発明の第13の実施形態の内視鏡における牽引部材操作装置の概略構成を側面から示し、異常発生後の駆動停止時においてプーリーと回転体とが固着した状態(湾曲部が湾曲している状態)を示す図、 図39の状態において、工具を作用させて固着状態を解除しているようすを示す図、 図40の状態を上面から見た際のようすを示す図、 本発明の第14の実施形態の内視鏡における牽引部材操作装置の概略構成を示し、通常状態の牽引部材操作装置を上面側から見たようすを示す図、 図42の牽引部材操作装置において、異常発生後の駆動停止時においてプーリーと回転体との固着状態を解除する際のようすを示す図、 本発明の第15の実施形態の内視鏡における牽引部材操作装置の概略構成を側面から示し、異常発生後の駆動停止時においてプーリーと回転体とが固着した状態(湾曲部が湾曲している状態)を示す図、 図44の牽引部材操作装置を上面側から見たようすを示し、異常発生後の駆動停止時においてプーリーと回転体との固着状態を解除する際のようすを示す図、
以下、図示の実施の形態によって本発明を説明する。なお、以下の説明に用いる各図面においては、各構成要素を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各構成要素毎に縮尺を異ならせて示している場合がある。したがって、本発明は、これらの図面に記載された構成要素の数量,構成要素の形状,構成要素の大きさの比率及び各構成要素の相対的な位置関係は、図示の形態のみに限定されるものではない。
[第1の実施形態]
図1〜図8は、本発明の第1の実施形態を説明する図である。まず、本発明の第1の実施形態の内視鏡を含む内視鏡システム全体の構成について、主に図1,図3を用いて以下に説明する。
本実施形態の内視鏡1を含む内視鏡システムは、内視鏡1と、制御装置15と、表示装置16と、光源装置17等によって主に構成される。
内視鏡1は、細長チューブ状の挿入部2と、挿入部2の基端側に連設される操作部3と、操作部3の側部から延出するユニバーサルコード4等によって構成されている。
挿入部2は、先端側から順に先端部2aと、例えば上下左右方向に湾曲可能に構成された湾曲部2bと、可撓性を有して長尺に形成された可撓管部2cとを連設して構成されている。先端部2aには撮像素子を有する撮像装置(不図示)が内蔵されている。
操作部3は、挿入部2に連設する把持部3aと、把持部3aに連設する操作部本体3bとを備えて構成されている。把持部3aの長手軸と、挿入部2の挿入軸は同軸若しくは平行な位置関係である。操作部本体3bの先端側の側部には、後述する牽引部材(湾曲ワイヤー8)を牽引するための力量を入力し湾曲部2bを湾曲動作させるための操作を行う操作部材である操作子5が設けられている。操作部本体3bの長手軸(即ち操作部3の長手軸)と、把持部3aの長手軸とは、同軸若しくは平行な位置関係である。
操作子5は、軸部5aと、軸部5aの先端に設けられる球状の指当て部5bとからなるいわゆるジョイスティック形態に形成されている。この操作子5は、操作部本体3bの一側面に設けた開口部(不図示)から外部に向けて、操作部3の長手軸に対して直交する方向に突出するように設けられている。操作子5が突出する開口部(不図示)には、カバー部材7が設けられている。このカバー部材7は、上記開口部を水密に塞ぎながら、操作子5の軸部5aに密着して、操作子5の傾倒操作を可能に保持している。
そして、この操作子5の傾倒方向(図1の矢印Yu,Yd,Yl,Yr)及び傾倒角度を含めた傾倒操作に応じて、後述する湾曲ワイヤー8を牽引又は弛緩することで、湾曲部2bを上下左右方向の任意の方向へと湾曲させることができるように構成されている。
本実施形態において、湾曲部2bは、上下左右の四方向に湾曲する構成としている。しかし、湾曲部2bは、上下方向にのみ湾曲する構成であってもよい。上記符号u,d,l,rは、湾曲部2bの湾曲方向である上下左右方向を表し、以下の説明において、例えば符号8uは上方向(u)用の湾曲ワイヤー8を表し、符号9dは下方向(d)用の回転体(牽引部材設置部)を表すものとする。なお、図面においては、小文字の「l(エル)」を筆記体で記載することによって、数字の「1(イチ)」と区別するようにしている。
操作部本体3bの外装には、操作子5の他に、例えば先端部2a内に設けられた撮像装置(不図示)の撮像動作等を指示するスイッチ6a,送気送水ボタン6b,吸引ボタン6c等が予め定めた位置に設けられている。また、把持部3aの外装には、把持部3a及び挿入部2の内部に挿通配置される処置具チャンネル(不図示)に連通するチャンネル挿入口6dが設けられている。
そして、操作者が操作部3の把持部3aを従来の内視鏡と同様に左手で把持した際、操作子5は、操作者の把持した手の親指で操作する位置に設けられ、送気送水ボタン6b及び吸引ボタン6cは操作者の把持した手の親指以外の指で操作する位置に設けられ、スイッチ6aは操作者の把持した手の親指または他の指で操作可能な位置に設けられている。 ユニバーサルコード4内には、撮像装置(不図示)に接続されている信号ケーブル(後述する図5の符号51),後述するモータ12(図2,図3参照)に対して電力を供給する電力線,光源装置17の照明光を伝送するライトガイドケーブル(後述する図5の符号52),送気用チューブ,送水用チューブ,吸引用チューブ、制御用ケーブル等が挿通している。そして、ユニバーサルコード4の先端には、コネクタ4aが設けられている。このコネクタ4aには、制御装置15,表示装置16,光源装置17がそれぞれ接続ケーブルを介して電気的に接続されている。なお、図示を省略しているが、上記送気用チューブ,送水用チューブ,吸引用チューブ等は、コネクタ4aを介して送気送水装置や吸引装置等に接続されている。
制御装置15は、本実施形態の内視鏡1及びこれを含む内視鏡システム全体を統括的に制御する制御回路等を有して構成される制御手段である。制御装置15内には、具体的には例えば、モータ制御部15aと、電流値検出部15bと、喰い付き判定部15cと、記憶部15d等を有して構成される。
モータ制御部15aは、後述するモータ12の駆動制御を行う駆動制御部である。
電流値検出部15bは、モータ12(駆動部)から回転体9(牽引部材設置部)に対して伝達される駆動力の伝達状態を駆動力伝達状態情報として取得する検出部であり検出手段である。具体的には、電流値検出部15bは、駆動力伝達状態情報として、モータ12へ供給される電流値を電気的に検出する。
記憶部15dは、予め設定された各種のパラメータ、例えば異常検出制御を行う際の電流値のしきい値や、通常動作時にモータ12へ供給される電流値等が記憶される記憶媒体(例えば半導体メモリ等)を含む電気回路部である。
喰い付き判定部15cは、上記電流値検出部15bによって検出された電流値(絶対値や単位時間当たりの変位量等。詳細は後述する)や上記記憶部15dに記憶されたパラメータ、例えば上記異常検出制御に関する電流値のしきい値等に基いて牽引部材操作装置10(後述)の喰い付き状態を判定する回路部である。つまり、喰い付き判定部15cは、電流値検出部15b(検出部)が取得したモータ12の電流値(駆動力伝達状態情報)を用いて駆動力の伝達状態が異常であるか否かを判断する判定手段である。
なお、制御装置15のモータ制御部15aは、上記喰い付き判定部15cが駆動力の伝達状態が異常であることを確認した場合には、モータ12(駆動部)を停止させる制御信号を該モータ12(駆動部)へと出力する制御部として機能する。
なお、本実施形態においては、モータ制御部15a,電流値検出部15b,喰い付き判定部15cを制御装置15に含めて構成しているが、これらの構成部は、内視鏡1の内部(例えば操作部3の内部)に配設するようにしてもよい。
表示装置16は、例えば液晶表示装置(LCD)モニタ等からなる表示用機器と、この表示用機器を駆動すると共に、内視鏡1の撮像装置(不図示)からの出力信号を受信して上記表示用機器を用いて映像を表示するための映像信号を生成する表示用プロセッサ16aを有して構成される。
光源装置17には、上記ライトガイドケーブル(図5の符号52)がコネクタ4aを介して接続されている。ライトガイドケーブル(図5の符号52)は、上述したようにユニバーサルコード4内に挿通され、さらに操作部3,挿入部2内を挿通し、挿入部2の先端の照明光出射窓(不図示)まで到達している。したがって、この構成により、光源装置17からの照明光は、ライトガイドケーブル(図5の符号52)を介して挿入部2の先端の照明光出射窓より前方に向けて出射して、所望の被検体を照明し得るようになっている。
次に、操作部3の内部構成のうち本発明に関連する部分、即ち牽引部材操作装置10の構成について、図2〜図6を用いて以下に詳述する。
操作部3の内部には、操作子5を操作して牽引部材である湾曲ワイヤー8を牽引することで湾曲部2bを湾曲させる牽引部材操作装置10が設けられている。
牽引部材操作装置10は、牽引部材である4本の湾曲ワイヤー8と、これらの湾曲ワイヤー8の中途部分がそれぞれ巻回される4つの牽引部材設置部である回転体9と、これら回転体9を回動自在に保持する円筒状のプーリー11と、プーリー11を所定の回転トルクで回転駆動することによって所定の条件下で4つの回転体9を回転駆動させることによって湾曲ワイヤー8(牽引部材)を牽引して湾曲部2bを湾曲させる駆動力を発生させる駆動部であるモータ12と、4本の湾曲ワイヤー8の基端部がそれぞれ連結されるワイヤー取付部を有し略十字形状からなる吊り枠13と、吊り枠13に軸部5aが一体に連結された操作子5と、4本の湾曲ワイヤー8の走行経路を操作部3内で変更するワイヤー走行経路変更部材であり複数のガイドローラーを備えたガイドローラー組21等によって主に構成されている。
なお、図5に示す符号51は信号ケーブルであり、符号52はライトガイドケーブルであり、符号53はコイルパイプ止めであり、符号59は仕切り板である。本実施形態においては、操作部3の重心が把持部3a内に位置するように構成されている。
4本の湾曲ワイヤー8は、図5,図6に示すように、上下方向湾曲操作用の一対の湾曲ワイヤー(上用湾曲ワイヤー8u,下用湾曲ワイヤー8d)と、左右方向湾曲操作用の一対の湾曲ワイヤー(左用湾曲ワイヤー8l,右用湾曲ワイヤー8r)とによって構成される。
本実施形態においては、図5に示すように、プーリー11の長手軸とモータ12の長手軸とは交差している。具体的には、モータ12の駆動軸12aは、把持部3aの長手軸と平行な位置関係になるように把持部3a内に配置されている。そして、モータ12の駆動軸12aを延長した仮想線12bと、プーリー11の回転軸であるプーリー軸11aを延長した仮想線11bとが直交するように、モータ12とプーリー11との位置関係が設定されている。
また、プーリー11とモータ12とは、操作部3内において内部固定部材である仕切板59によって仕切られた二つの空間のそれぞれに、仕切板59を挟んで配置されている。
モータ12の駆動力は、第1カサ歯車31,第2カサ歯車32からなる駆動力伝達機構部30を介してプーリー11へと伝達されるように構成されている。第1カサ歯車31は、モータ12の駆動軸12aの先端部に一体に固設されており、第2カサ歯車32はプーリー11のプーリー軸11aの先端部に一体に固設されている。この構成によって、モータ12の駆動力は、第1カサ歯車31,第2カサ歯車32を介してプーリー軸11aへと伝達され、これにより、プーリー11は、プーリー軸11a回りに回転するように構成されている。
回転体9は、図4に示すように環状部9aと、回転量調整部9bとを備えて、弾性変形可能に形成されている。環状部9aには隙間9cが形成されている。環状部9a及び回転量調整部9bには、周溝状のワイヤー案内部9s,9tが形成されている。ワイヤー案内部9s,9tは、湾曲ワイヤー8を図4の符号Sで示す巻取開始位置から巻取終了位置Eまでスムースに導くように予め定めた形状で形成されている。そして、回転体9は、湾曲部2bを上下左右方向のそれぞれに湾曲させるための4本の湾曲ワイヤー8(u,d,l,r)に対応させて4つ用意されている。即ち、4つの回転体9u,9d,9l,9rは、図5に示すようにプーリー11の外周面に対して予め定めた遊嵌状態で並べて配置されており、それぞれは独立して回転自在となっている。なお、4つの回転体9(u,d,l,r)は、図5に示すように、プーリー11に対して駆動力入力側、即ち第2カサ歯車32の側から符号9r,9d,9u,9lの順で配置されている。
吊り枠13は、操作部本体3bの先端側の空き空間内に配置されている。図6に示すように吊り枠13は、中心Oから端部までが同じ長さの4つの枠13u,13d,13l,13rを備えて略十字形状に構成されている。一対の湾曲ワイヤー8u,8dに対応する上用枠13uと下用枠13dとは、操作子5の軸部5aを挟んで一直線状に配置され、上用枠13uの端部には上用ワイヤー取付部13u2が設けられ、下用枠13dの端部には下用ワイヤー取付部13d2が設けられている。
上用枠13uの端部には上下用枠中心線13aに対して一方向に折曲した上用枠先端屈曲部13ubを設け、下用枠13dの端部には上下用枠中心線13aに対して他方向に折曲した下用枠先端屈曲部13dbを設けている。そして、上用枠先端屈曲部13ubに上用ワイヤー取付部13u2を設け、下用枠先端屈曲部13dbに下用ワイヤー取付部13d2を設けている。上用ワイヤー取付部13u2と下用ワイヤー取付部13d2との操作部3の長手軸に直交する方向の間隔w1は予め定められた寸法に設定されている。
一方、一対の湾曲ワイヤー8l,8rに対応する左用枠13lと右用枠13rとは、上下用枠中心線13aに直交して軸部5aを挟んで一直線状に配置され、左用枠13lの端部には左用ワイヤー取付部13l2が設けられ、右用枠13rの端部には右用ワイヤー取付部13r2が設けられている。
上用枠13u及び上用ワイヤー取付部13u2等は、操作子5の傾倒方向と湾曲部2bの湾曲方向とを考慮した上で設定されるものである。即ち、本実施形態においては、操作子5が図1の矢印Yu方向に傾倒されると上用ワイヤー取付部13u2が揺動して図6の矢印Yu方向に傾けられて湾曲部2bが上方向に湾曲する構成になっている。一方、操作子5が同様に図1の矢印Yd方向に傾倒されると下用ワイヤー取付部13d2が揺動して図6の矢印Yd方向に傾けられて湾曲部2bが下方向に湾曲する。また、操作子5が図1の矢印Yl方向に傾倒されると左用ワイヤー取付部13l2が揺動して図6の矢印Yl方向に傾けられて湾曲部2bが左方向に湾曲する。他方、操作子5が図1の矢印Yr方向に傾倒されると右用ワイヤー取付部13r2が揺動して図6の矢印Yr方向に傾けられて湾曲部2bが右方向に湾曲する。本実施形態において、吊り枠13は、上下用枠中心線13aと把持部3aの長手軸とが平行になるように操作部3内に配置されている。
図2,図5に示すように、ガイドローラー組21は、支持体である例えば円柱状のローラー軸21pと、ローラー軸21pに回動自在に配置される4つのガイドローラー21u,21d,21l,21rとを備えて構成されている。4つのガイドローラー21u,21d,21l,21rは、4本の湾曲ワイヤー8u,8d,8l,8rに対応し、プーリー11及び吊り枠13から予め定めた距離だけ離間して設けられている。4つのガイドローラー21u,21d,21l,21rは、4本の湾曲ワイヤー8u,8d,8l,8rを吊り枠13のワイヤー取付部13u2,13d2,13l2,13r2に導く取付経路設定部材となっている。
ローラー軸21pは、把持部3aの長手軸と直交する位置関係で、軸部5aの直下に配置されている。そして、ローラー軸21pの中心は、直立状態の軸部5aの中心軸上に位置している。
なお、図6においては、湾曲ワイヤー8u,8d,8l,8rとワイヤー取付部13u2,13d2,13l2,13r2との位置関係を説明するために、吊り枠13の位置をローラー軸21pに対して図中右方向に位置をずらして示している。
湾曲ワイヤー8u,8d,8l,8rは、ガイドローラー21u,21d,21l,21rによって走行経路を変更されて、吊り枠13の上用ワイヤー取付部13u2,下用ワイヤー取付部13d2,左用ワイヤー取付部13l2,右用ワイヤー取付部13r2に至るように構成されている。
図6に示すように、ガイドローラー21u,21d,21l,21rは、ローラー軸21pに対して一端から図6に示すように符号21r,21d,21u,21lの順に配置されている。
ローラー軸21pの両端に配置されたガイドローラー21r,21lと、ローラー軸21pの中心を挟んで上記ガイドローラー21r,21lの内側に配置されたガイドローラー21u,21dとでは径寸法または幅寸法を異ならせて構成している。本実施形態においては、ガイドローラー21l,21rの径寸法及び幅寸法は、ガイドローラー21u,21dの径寸法及び幅寸法より大となるように予め定めた寸法に設定されている。
ここで、図2,図5,図6を参照して湾曲ワイヤー8u,8d,8l,8rの操作部3内における走行経路について説明する。図6に示すように、4本の湾曲ワイヤー8u,8d,8l,8rの基端部は、吊り枠13に予め定められた位置、即ちワイヤー取付部13u2,13d2,13l2,13r2に固定されている。
一方、湾曲ワイヤー8u,8d,8l,8rの先端部は、例えば金属製でワイヤーが進退自在に挿通可能な貫通孔を有するコイルパイプで形成され、各ワイヤーに対応する4本のガイド24(図5参照)内を挿通して湾曲部2bを構成する図示しない先端湾曲駒の上下左右に対応する位置に固定されている。先端湾曲駒は、湾曲部2bを構成する複数の図示しない湾曲駒を連接して上下左右方向に湾曲するように構成された湾曲部組の最先端を構成する湾曲駒である。
先端部が先端湾曲駒に固定された湾曲ワイヤー8u,8d,8l,8rは、ガイド24を介して操作部3内に延出されている。湾曲ワイヤー8u,8d,8l,8rは、プーリー11に対し弛緩状態で配置されている回転体9u,9d,9l,9rに巻回されている。即ち、湾曲ワイヤー8u,8d,8l,8rは、それぞれの巻取開始位置S(図4参照)から予め定めた弛緩状態となるように回転体9u,9d,9l,9rに巻回され、巻取終了位置E(図4参照)からガイドローラー21u,21d,21l,21rに向けて導出されている。
回転体9u,9d,9l,9rから導出された湾曲ワイヤー8u,8d,8l,8rは、ガイドローラー21u,21d,21l,21rに導かれてワイヤー走行経路を変更されている。そして、湾曲ワイヤー8u,8d,8l,8rの各基端部は、吊り枠13の各対応するワイヤー取付部13u2,13d2,13l2,13r2に固定される。
なお、操作子5の軸部5aと吊り枠13の中心軸である枠凸部13f(図2参照)とは、フレーム(不図示)に回動自在に配設されるユニバーサルジョイント14(図2参照)を介して同軸に取付け固定されている。そして、操作子5の軸部5aが直立状態にあるとき、ガイドローラー21u,21d,21l,21rから延出して吊り枠13に向かう湾曲ワイヤー8u,8d,8l,8rは全て所定の弛緩状態になっている。また、操作子5の軸部5aの先端には、球状の指当て部5bが一体に固設されている。
本実施形態の内視鏡1の構成は以上の通りである。なお、操作部3の内部には、上記牽引部材操作装置10,駆動部であるモータ12等の他に、内視鏡としての基本的な機能を成さしめるための各種の構成部材が設けられている。しかしながら、それら各種の構成部材は、本発明に直接関連しない部分である。したがって、本実施形態の内視鏡1においては、従来の内視鏡と同様の各種構成部材を有するものとし、その詳細な説明及び図示を省略する。
このように構成された本実施形態の内視鏡1の作用を以下に説明する。
例えば、湾曲部2bを上方向に湾曲動作させる際の作用を説明する。まず、上記内視鏡システムに通電し起動状態とする。これにより、制御装置15のモータ制御部15aは、モータ12を駆動させる。モータ12の駆動力は、駆動力伝達機構部30の第1カサ歯車31,第2カサ歯車32を介してプーリー11へと伝達される。これにより、プーリー11は常時回転している状態となる。
この状態において、操作者は、左手で把持部3aを把持した状態で操作子5の指当て部5bに親指の腹を当接させて軸部5aを図1の矢印Yu方向に傾倒操作する。すると、この操作子5の傾倒操作に伴って、吊り枠13が傾いて、上用ワイヤー取付部13u2に固定されている上用湾曲ワイヤー8uが弛んだ状態から徐々に引っ張られた状態に変化する。一方、その他の湾曲ワイヤー8d,8l,8rはさらに弛んだ状態に変化する。
そして、プーリー11の回転体9u,9d,9l,9rに弛緩状態で巻回されていた湾曲ワイヤー8u,8d,8l,8rのうち、上用湾曲ワイヤー8uだけが牽引されて上用回転体9uの隙間9cが弾性力に抗して狭められて縮径され、上用回転体9uとプーリー11とが密着状態になる。すると、上用回転体9uとプーリー11との間に摩擦抵抗が発生して上用回転体9uがプーリー11と同じ方向に、プーリー11に対して滑りながら回転されて、上用回転体9uより挿入部2側に配置されている上用湾曲ワイヤー8uが牽引移動されて湾曲部2bが上方向に湾曲する動作を開始する。
ここで、操作者は引き続き上用回転体9uをプーリー11に密着させるように軸部5aを同方向に傾倒操作し続ける。これによって、密着状態の上用回転体9uはさらにプーリー11との摩擦力が増加して、この上用回転体9uより挿入部2側に配置されている上用湾曲ワイヤー8uがさらに牽引移動されて湾曲部2bがさらに上方向に湾曲する。
一方、操作者が、操作子5の傾倒位置を保持し続けると、上用回転体9uとプーリー11との密着力が維持される。そして、上用回転体9uより先端側に配置されていた上用湾曲ワイヤー8uに引張力が生じた状態で上用湾曲ワイヤー8uの牽引移動が停止状態となる。このとき、他の湾曲ワイヤー8d,8l,8rは弛緩状態である。したがって、操作子5をこの傾倒操作状態に保持し続けることによって、上用湾曲ワイヤー8uが引っ張られた状態及び湾曲ワイヤー8d,8l,8rの弛緩状態が保持されて湾曲部2bの上方向への湾曲状態が保持される。
操作者が操作子5の傾倒操作を解除すると、操作子5は、湾曲部の復元力により軸部5aが直立状態となる中立位置に復帰する。これにより、引っ張られた状態にあった上用湾曲ワイヤー8uは、他の湾曲ワイヤー8d,8l,8rと同様の弛緩状態となり、湾曲部2bの湾曲状態も解除される。
以上の作用を簡略に説明すると、本実施形態の内視鏡1においては、上述したように、操作者が操作子5の傾倒操作を行うことによって湾曲部2bを所望の方向へと湾曲させることができるように構成されている。この場合において、操作子5の傾倒操作は、湾曲ワイヤー8を牽引する。湾曲ワイヤー8が牽引されると、湾曲ワイヤー8は回転体9を締め付ける作用をする。回転体9はプーリー11の外周面上に弛緩状態で配置されている。したがって、上記湾曲ワイヤー8が回転体9を締め付け方向に作用すると、回転体9のプーリー11に対する弛緩状態は、湾曲ワイヤー8の牽引量、即ち操作子5の傾倒角度に応じて締付状態へと変位する。プーリー11は、上述したように常に回転状態にある。したがって、回転体9がプーリー11を締め付ける状態へと移行すると、回転体9とプーリー11との間に生じる摩擦力によって回転体9が所定の回転量で回転する。これにより、湾曲部2bが湾曲する。
牽引部材設置部である回転体9は、換言すると、駆動部であるモータ12と牽引部材である湾曲ワイヤー8との間に設けられている。そして、湾曲ワイヤー8(牽引部材)の牽引動作に連動して湾曲ワイヤー8(牽引部材)に対して駆動力が伝達しない状態(回転体9とプーリー11との弛緩状態)から湾曲ワイヤー8(牽引部材)に対して駆動力が伝達する状態へと切り換えを可能とする構成部材である。
上述したように、内視鏡システムが起動された状態では、プーリー11は常に回転状態にあり、操作子5が中立位置にある時は、プーリー11の外周面上の4つの回転体9はプーリー11に対して弛緩状態で配置されている。
この状態において、例えばプーリー11と回転体9との隙間等に、例えば塵埃等の異物が入り込んだとすると、操作者が操作子5を操作していないのにも関らず、プーリー11から回転体9を介して湾曲ワイヤー8へと駆動力が伝達されやすくなる。なお、このような状態、即ち、プーリー11と回転体9若しくは湾曲ワイヤー8との間に異物が挟み込まれることに起因してプーリー11と回転体9若しくは湾曲ワイヤー8との摩擦が大きい摩擦摺動状態となり想定している操作者の操作力量よりも軽い操作力量で、例えば、操作者が意図せず操作部材に軽く接触しただけでも、湾曲部が湾曲することになる。このように意図せずに駆動力が伝達されてしまう状態を、喰い付き状態というものとする。
そこで、本実施形態の内視鏡1においては、上述したように、制御装置15内に電流値検出部15bを設け、この電流値検出部15bによってモータ12に供給される電流値を駆動力伝達状態情報として監視(モニタリング)している。そして、電流値検出部15bによって検出した電流値に基いてプーリー11と湾曲ワイヤー8若しくは回転体9との喰い付き状態を、喰い付き判定部15cによって判定する。
その場合において、喰い付き判定部15cは、記憶部15dに予め記憶されている通常動作時の電流値若しくはしきい値と、電流値検出部15bによって検出した電流値との比較を行うことによって、喰い付き状態であるか否か、即ち異常が発生したか否かの判定を行う。
そして、制御装置15のモータ制御部15aは、喰い付き判定部15cの判定結果によって異常検出がなされた場合には、モータ12の駆動を停止する制御を行う。
このような異常検出制御(電流値制御)の作用は、図7のフローチャートに示す通りである。
図7のステップS1において、制御装置15は、モータ12へ供給される電流値の監視(モニタリング)を電流値検出部15bによって行い、その検出結果が正常範囲内にあるか否かを喰い付き判定部15cによって判定する。この場合において、モータ12の電流値が正常範囲内であることが確認された場合には、同ステップS1の処理を繰り返す。一方、異常を確認した場合には、次のステップS2の処理に進む。
ここで、図8は、本実施形態の内視鏡1の動作時におけるモータ12へ供給される電流値の変位を示すグラフである。図8において縦軸は電流値Aの変位を、横軸は時間Tを示す。また、図8において、点線は通常動作時(喰い付きなし状態)の電流値の変位を示し、実線は異常動作時(喰い付き状態発生時)の電流値の変位を示している。そして、符号Th1のレベルで示す点線は、予め設定され記憶部15dに記憶されている電流値のしきい値(スレッショルド;Threshold)を示している。なお、この場合におけるしきい値とは、異常状態(異物挟持状態等)が発生した時の予め定義した電流値をいう。
図8に示すように、通常動作時(喰い付きなし状態)には、まず所定の電流値でプーリー11を定常回転させており、図8の符号A1で示すタイミングで湾曲操作が開始されたものとする。すると、この符号A1時点から操作子5の傾倒角度に従って徐々に電流値が上昇する。その上昇率はグラフの傾きで示されるが、その傾きは図示のように比較的緩やかなものである。そして、符号A2で示すタイミングで湾曲操作が解除されたものとする。すると、操作子5は、傾倒状態から湾曲部2bの復元力によって中立状態へと復帰する。この場合には、操作子5は比較的速やかに中立状態へと復帰するので、電流値の変位は比較的急に変位した後、定常状態に戻る。
一方、異常時(喰い付き状態発生時)には、同様にプーリー11が定常回転している時には所定の電流値が検出されるが、例えば、図8の符号B0で示す時点で喰い付きが発生したものとすると、この符号B0時点から急激に電流値が上昇する変位が生じる。この場合も、その上昇率がグラフの傾きで示され、その傾きは図8の符号B1で示すように比較的急傾斜なものとなる。電流値検出部15bは、単位時間当たりの変位量(傾き)を検出し、喰い付き判定部15cは、その変位量に応じて異常か否かの判定をする(図7のステップS1)。
このように、電流値の単位時間当たりの変位量(傾き)を喰い付き判定基準の条件とするほかに、例えば、予め設定された電流値のしきい値を判定基準条件としてもよい。
この場合においては、喰い付き判定部15cは、電流値検出部15bによって検出された電流値と、図8の符号Th1で示される電流値のしきい値とを比較し、検出値がしきい値を超えた時に異常が発生したと判定する。
ステップS2において、制御装置15は、モータ制御部15aによってモータ12の駆動を停止させる制御信号をモータ12へと出力するモータ停止制御を行う。
続いて、ステップS3において、制御装置15は、モータ制御部15aによってモータ12を逆方向への回転駆動を実行する。このモータ逆回転制御は、上述のステップS1の処理にて喰い付き状態であると判定されているので、その喰い付き状態を解消するための措置である。したがって、この逆回転制御は所定時間だけ行う。若しくは、逆回転制御を続けて行なうようにしてもよい。その後、ステップS4の処理に進む。
ステップS4において、制御装置15の電流値検出部15bは、モータ12へ供給される電流値の監視(モニタリング)を再開し、その検出結果が既定値以下になったか否かを確認する。ここで、電流値の既定値とは、例えばプーリー11に対する無負荷状態におけるモータ12の電流値である。この既定値情報は、記憶部15dに予め記憶された情報のうちの一つである。ここで、既定値以下になったことが確認された場合には、次のステップS5の処理に進む。また、既定値以下ではないことが確認された場合には、未だ喰い付き状態が解消されていないものと判断されて、上述のステップS3の処理に進み、以降の処理を繰り返す。
つまり、図8の符号S1で示すタイミングで、上記ステップS2のモータ停止制御処理が行われると、図8に示すように検出される電流値は急激に減少する。続くステップS3のモータ逆回転処理が行なわれると、例えば図8の符号B2で示す電流値が検出される。そして、ステップS4においては、このときの電流値が既定値以下であるか否かを判定する。
ステップS5において、制御装置15は、モータ制御部15aによってモータ12の駆動を停止させる制御信号をモータ12へと出力するモータ停止制御を行う。その後、一連の処理を終了し、元の処理シーケンス(不図示)へと復帰する。
なお、上述のステップS5においては、制御装置15はモータ停止制御を行うのみとしているが、これと同時に、例えば表示装置16を制御して、異常停止した旨の警告表示や、その異常状態は解消された旨の表示等、各種のメッセージを表示させるような制御を行ってもよい。
以上説明したように上記第1の実施形態によれば、制御装置15内に電流値検出部15bを設け、この電流値検出部15bによってモータ12に供給される電流値を駆動力伝達状態情報として監視(モニタリング)している。そして、電流値検出部15bによって検出した電流値と、予め記憶部15dに記憶された所定の情報(通常時の電流値,設定されたしきい値等)に基いて、プーリー11と湾曲ワイヤー8若しくは回転体9との喰い付き状態を喰い付き判定部15cによって判定し、異常判定時には、モータ12を停止させる制御を行うようにしている。なお、記憶部15dに記憶される情報としては、異常状態にない通常状態において駆動させた場合における、
(1)湾曲部2bとプーリー11の間における湾曲ワイヤー8の張力と、プーリー11と操作子5の間における湾曲ワイヤー8の張力の相関関係の通常状態、
(2)湾曲部2bとプーリー11の間における湾曲ワイヤー8の張力と、プーリー11の回転駆動量の相関関係の通常状態、
(3)湾曲部2bとプーリー11の間における湾曲ワイヤー8の張力と、操作子5への入力量の相関関係の通常状態、
(4)湾曲部2bとプーリー11の間における湾曲ワイヤー8の張力と、プーリー11と操作子5の間における湾曲ワイヤー8の移動量の相関関係の通常状態、
(5)湾曲部2bの湾曲角度と、プーリー11と操作子5の間における湾曲ワイヤー8の張力の相関関係の通常状態、
(6)湾曲部2bの湾曲角度と、プーリー11の回転駆動量の相関関係の通常状態、
(7)湾曲部2bの湾曲角度と、操作子5への入力量の相関関係の通常状態、
(8)湾曲部2bの湾曲角度と、プーリー11と操作子5の間における湾曲ワイヤー8の移動量の相関関係の通常状態、
(9)湾曲部2bの湾曲速度と、プーリー11と操作子5の間における湾曲ワイヤー8の張力の増加速度の相関関係の通常状態、
(10)湾曲部2bの湾曲速度と、プーリー11の回転速度の相関関係の通常状態、
(11)湾曲部2bの湾曲速度と、操作子5への入力速度の相関関係の通常状態、
(12)湾曲部2bの湾曲速度と、プーリー11と操作子5の間における湾曲ワイヤー8の移動速度の相関関係の通常状態、
(13)湾曲部2bの湾曲加速度と、プーリー11と操作子5の間における湾曲ワイヤー8の張力の増加速度の相関関係の通常状態、
(14)湾曲部2bの湾曲加速度と、プーリー11の回転加速度の相関関係の通常状態、
(15)湾曲部2bの湾曲加速度と、操作子5への入力加速度の相関関係の通常状態、
(16)湾曲部2bの湾曲加速度と、プーリー11と操作子5の間における湾曲ワイヤー8の移動加速度の相関関係の通常状態、
のいずれかであっても良い。これらの場合、湾曲ワイヤー8に取り付けられた張力センサによって検出される張力、張力の増加速度、張力の増加加速度や、移動状態検出センサによって検出される湾曲ワイヤー8の移動量、移動速度、移動加速度や、プーリー11に設けられた回転駆動状態検出センサによって検出される回転駆動量、回転速度、回転加速度や、操作子5に設けられた操作入力状態検出センサにより検出される操作入力量、操作入力速度、操作入力加速度を用いて、上述の相関関係を算出し、通常状態からの乖離状態を算出し、所定の乖離状態を越えた場合に喰い付き状態と判定を行う。
したがって、このような構成により、本実施形態の内視鏡1においては、プーリー11と回転体9との隙間に、例えば塵埃等の異物が入り込むことに起因して、プーリー11と回転体9との摩擦が大きい摩擦摺動状態となってしまい、操作者が意図せず操作部材に軽く接触しただけにも関らず意図せずに湾曲ワイヤー8が牽引されて湾曲部2bの湾曲動作が行われてしまうことを避けることができる。
[第2の実施形態]
図9〜図13は、本発明の第2の実施形態を説明する図である。本発明の第2の実施形態の基本的な構成は、上述の第1の実施形態と略同様である。上述の第1の実施形態の内視鏡1においては、モータ12(駆動部)から回転体9(牽引部材設置部)に対して伝達される駆動力の伝達状態の駆動力伝達状態情報として、モータ12へ供給される電流値を電流値検出部15bによって検出するように構成した。
これに対し、本発明の第2の実施形態の内視鏡1Aにおいては、モータ12(駆動部)から回転体9A(牽引部材設置部)に対して伝達される駆動力の伝達状態の駆動力伝達状態情報として、モータ12や回転体9Aの回転(駆動トルク)を検出し、これによって導き出されるモータ12と回転体9Aの各回転量、若しくは各回転速度等の情報を取得する。
そのために、本実施形態における内視鏡1Aは、モータ12の回転を検出する検出センサであるエンコーダ12cと、回転体9Aの回転角度を検出する検出センサであるポテンショメータ18とを有している。また、制御装置15Aは、エンコーダ12cの出力を受けてモータ12の回転量若しくは回転速度等の情報を取得するモータ回転量検出部15eと、ポテンショメータ18の出力を受けて回転体9Aの回転角度,回転位置若しくは回転量,回転速度等の情報を取得する回転体回転量検出部15fを有している。
その他の構成は、上述の第1の実施形態と同様である。したがって、以下の説明においては、上述の第1の実施形態と異なる構成のみを詳述し、その他の同様の構成については、その説明を省略する。
本実施形態の内視鏡1Aを含む内視鏡システム全体の概略構成は、図11のブロック構成図に示す通りである。上述したように、本実施形態の内視鏡1Aにおいては、エンコーダ12cとポテンショメータ18とを有している。これに対応させて、制御装置15Aは、モータ回転量検出部15eと回転体回転量検出部15fとを有している。
ポテンショメータ18は、図9,図10に示すように、プーリー11の回転軸11aと同軸上に設けられ、プーリー11とは別体に構成されてプーリー11の回転に従動しないように構成された円板18cと、この円板18cの外周から円周方向に突出する腕部18aと、この腕部18aの先端からプーリー11の回転軸11aと略平行方向に延出し後述する回転体9Aの突起9Aaに係止される被係止腕部18bとによって形成されている。ここで、腕部18aと被係止腕部18bとは、図10に示すように断面が略L字形状に形成されている。なお、本実施形態においては、ポテンショメータ18は、回転体9Au,9Adに対応するものと、回転体9Ar,9Alに対応するものとの2つ配設されている。
一方、回転体9Aには、外周面上において円周方向に突出する突起9Aaが一体に形成されている。この突起9Aaは、所定の条件下で回転体9Aが回転した時、ポテンショメータ18の被係止腕部18bを係止して、該ポテンショメータ18を同方向へと回動させる係止部材である。
なお、ポテンショメータ18は、例えば腕部18aと不図示の固定部との間に設けられた付勢部材18d(図9参照)によって、該ポテンショメータ18を図9において時計方向に付勢されている。これにより、ポテンショメータ18の腕部18aは、回転体9Aの突起9Aaと常に当接している。したがって、回転体9Aが所定の条件下で回転した時、突起9Aaがポテンショメータ18の腕部18aを付勢部材18dの付勢力に抗して押圧し、これを図9において反時計方向に回動させるように構成されている。
このように構成された本実施形態の内視鏡1Aの通常使用時の作用は、上述の第1の実施形態と略同様である。
次に、本実施形態の内視鏡1Aにおける異常検出動作時の作用を、図12,図13を用いて以下に説明する。
図12のステップS11において、制御装置15Aのモータ回転量検出部15eと回転体回転量検出部15fとは、エンコーダ12cとポテンショメータ18とからの出力信号を受けてモータ12と回転体9Aのそれぞれの回転量若しくは回転速度,回転角度等の情報を検出し、その検出結果を比較して両者の差が正常範囲内にあるか否かを喰い付き判定部15cによって判定する。この場合において、両者の差が正常範囲内にあることが確認された場合には、同ステップS11の処理を繰り返す。一方、異常を確認した場合には、次のステップS2の処理に進む。
ここで、図13は、本実施形態の内視鏡1Aの動作時におけるモータ12の回転速度変位及び回転体9Aの回転位置(回転角度)の変位を示すグラフである。図13において縦軸は回転速度V若しくは回転体の回転位置(回転角度)の変位を、横軸は時間Tを示す。図13において、点線は通常動作時(喰い付きなし状態)の回転体9Aの回転位置(回転角度)の変位を示し、実線は異常動作時(喰い付き状態発生時)の回転体9Aの回転位置(回転角度)の変位を示している。そして、図13の符号Th2のレベルで示す点線は、予め設定され記憶部15dに記憶されている回転体9Aの回転位置(回転角度)のしきい値(スレッショルド;Threshold)を示している。なお、この場合におけるしきい値とは、回転体9Aの回転し得る回転角度の最大値としている。また、図13の符号P1で示す点線は、プーリ11が一定速で回転している時の回転速度値を示している。
図13に示すように、通常動作時(喰い付きなし状態)には、まず所定の回転速度でプーリー11が定常回転(符号P1参照)している。プーリー11の回転はモータ12の回転量をエンコーダ12cで検出することによって監視される。このとき、図13の符号A1で示すタイミングで湾曲操作が開始されたものとする。すると、この符号A1時点から操作子5の傾倒角度に従って徐々に回転体9Aの回転位置(回転角度)が変位する。その変位率はグラフの傾きで示されるが、その傾きは図示のように比較的緩やかなものである。そして、符号A2で示すタイミングで湾曲操作が解除されたものとする。すると、操作子5は、傾倒状態から湾曲部の復元力によって中立状態へと復帰する。この場合には、操作子5は比較的速やかに中立状態へと復帰するので、回転速度値の変位は比較的急に変位した後、定常状態に戻る。
一方、異常時(喰い付き状態発生時)には、例えば図13の符号C0で示す時点で喰い付きが発生したものとすると、この符号C0時点から急激に回転体9Aの回転位置(回転角度)が変位する。この場合も、その上昇率がグラフの傾きで示され、その傾きは図13の符号C1で示すように比較的急傾斜なものとなる。回転体回転量検出部15fは、単位時間当たりの変位量(傾き)を検出し、喰い付き判定部15cは、その変位量に応じて異常か否かの判定をする(図12のステップS11)。
このように、回転体9Aの回転位置の変位量(単位時間当たりの回転角度の変位;傾き)を喰い付き判定基準の条件とするほかに、例えば、予め設定された回転位置(回転角度)のしきい値を判定基準条件としてもよい。
この場合においては、喰い付き判定部15cは、回転体回転量検出部15fによって検出された回転体9Aの回転位置(回転角度)と、図13の符号Th2で示されるしきい値とを比較し、検出値がしきい値に到達したか若しくは超えた時に異常が発生したと判定する。
ステップS12において、制御装置15Aは、モータ制御部15aによってモータ12の駆動を停止させる制御信号をモータ12へと出力するモータ停止制御を行う。
続いて、ステップS13において、制御装置15Aは、モータ制御部15aによってモータ12を逆方向への回転駆動を実行する。このモータ逆回転制御は、喰い付き状態を解消するために行われる措置である(上述の第1の実施形態の処理シーケンスと同様。図7の説明参照)。その後、ステップS14の処理に進む。
ステップS14において、制御装置15Aの回転体回転量検出部15fは、ポテンショメータ18の出力信号を受けて回転体9Aの回転位置(回転角度)が既定値以内にあるか否かを確認する。つまり、通常状態に復帰したか否かを確認する。ここで、回転体9Aが規定値内にあることが確認された場合には、次のステップS15の処理に進む。また、既定値内ではないことが確認された場合には、未だ喰い付き状態が解消されていないものと判断されて、上述のステップS13の処理に進み、以降の処理を繰り返す。
つまり、図13の符号S2で示すタイミングで、上記ステップS12のモータ停止制御処理が行われると、図13に示すように回転体9Aの回転位置(回転角度)は急激に反対方向(復帰する方向)へと戻る。続いてステップS13のモータ逆回転処理が行なわれると、例えば図13の符号C2で示す回転位置(回転角度)を維持する状態になる。そして、ステップS14においては、このときの回転体9Aの回転位置(回転角度)が既定値以内にあるか否かを判定する。
ステップS15において、制御装置15Aは、モータ制御部15aによってモータ12の駆動を停止させる制御信号をモータ12へと出力するモータ停止制御を行う。その後、一連の処理を終了し、元の処理シーケンス(不図示)へと復帰する。
以上説明したように上記第2の実施形態によれば、モータ12と回転体9Aの回転状態(回転量,回転位置,回転角度等)を監視することによって、プーリー11と湾曲ワイヤー8若しくは回転体9Aとの喰い付き状態を判定し、異常判定時には、モータ12を停止させる制御を行うようにしている。したがって、本実施形態においても、上述の第1の実施形態と略同様の効果を得ることができる。
[第3の実施形態]
図14〜図17は、本発明の第3の実施形態を説明する図である。本発明の第3の実施形態の基本的な構成は、上述の第2の実施形態と略同様である。上述の第2の実施形態の内視鏡1Aにおいては、モータ12(駆動部)から回転体9A(牽引部材設置部)に対して伝達される駆動力の伝達状態の駆動力伝達状態情報として、モータ12や回転体9Aの回転(駆動トルク)を検出し、これによって導き出されるモータ12と回転体9Aの各回転量、若しくは各回転速度等の情報を取得するように構成していた。
これに対し、本発明の第3の実施形態の内視鏡1Bにおいては、第2の実施形態と同様の回転体9Aの回転角度を検出する検出センサであるポテンショメータ18に加えて、操作子5の傾倒角度を検出する検出センサであるポテンショメータ19を有している。また、制御装置15Bは、第2の実施形態と同様の回転体回転量検出部15fと、ポテンショメータ19の出力を受けて操作子5の傾倒状態(傾倒角度,傾倒位置若しくは傾倒量,傾倒速度等の情報)を取得する操作子移動量検出部15gを有している。なお、第2の実施形態におけるエンコーダ12c,モータ回転量検出部15eは廃してもよい(図15では省略している)。
その他の構成は、上述の第2の実施形態と同様である。したがって、以下の説明においては、上述の第1,第2の実施形態と異なる構成のみを詳述し、その他の同様の構成については、その説明を省略する。
本実施形態の内視鏡1Bを含む内視鏡システム全体の概略構成は、図15のブロック構成図に示す通りである。上述したように、本実施形態の内視鏡1Bにおいては、ポテンショメータ18,19を有している。これに対応させて、制御装置15Bは、回転体回転量検出部15fと操作子移動量検出部15gを有している。
ポテンショメータ18は、上記第2の実施形態で適用されるものと同じものを適用する(図示および詳細説明は省略し、以下の説明では同じ符号を用いる)。
ポテンショメータ19は、図14に示すように、例えば操作子5の基端部に設けられるユニバーサルジョイント14の近傍に配設されていて、操作子5が傾倒操作されると、その傾倒角度等を検出する。その検出結果は制御装置15Bの操作子移動量検出部15gへと送られ、ここで、操作子5の傾倒移動量が算出され、所定のデータ形態で出力される。
このように構成された本実施形態の内視鏡1Bの通常使用時の作用は、上述の第1の実施形態と略同様である。
次に、本実施形態の内視鏡1Bにおける異常検出動作時の作用を、図16,図17を用いて以下に説明する。なお、本実施形態における異常検出動作時のフローチャートは、上述の第2の実施形態と同様である。したがって、図12を参照しながら以下に説明する。
図12のステップS11において、制御装置15Bの操作子移動量検出部15gと回転体回転量検出部15fとは、ポテンショメータ18,19からの出力信号を受けて操作子5と回転体9Aのそれぞれの回転量若しくは回転速度,回転角度等の情報を検出し、その検出結果を比較して両者の差が正常範囲内にあるか否かを喰い付き判定部15cによって判定する。この場合において、両者の差が正常範囲内にあることが確認された場合には、同ステップS11の処理を繰り返す。一方、異常を確認した場合には、次のステップS2の処理に進む。
ここで、図16は、本実施形態の内視鏡1Bの通常動作時(喰い付きなし状態)における操作子5の傾倒角度の変位と回転体9Aの回転位置(回転角度)の変位を示すグラフである。図16において縦軸は角度Rの変位を、横軸は時間Tを示す。図16において、点線は操作子5の傾倒角度の変位を示し、実線は回転体9Aの回転位置(回転角度)の変位を示している。
図16の符号A1で示すタイミングで湾曲操作が開始されたものとする。すると、この符号A1時点から操作子5の傾倒角度に従って徐々に回転体9Aの回転位置(回転角度)も変位する。そして、符号A2で示すタイミングで湾曲操作が解除されたものとする。すると、操作子5は、傾倒状態から自身の復元力によって中立状態へと復帰する。これに伴って、回転体9Aの回転位置(回転角度)も徐々に変位して所定の中立位置へと復帰する。
一方、図17は、本実施形態の内視鏡1Bの異常動作時(喰い付き状態発生時)における操作子5の傾倒角度の状態と回転体9Aの回転位置(回転角度)の変位を示すグラフである。図17においても縦軸は角度Rの変位を、横軸は時間Tを示す。また、図17においても、符号Nで示す点線は操作子5の傾倒角度の状態を示し、実線は回転体9Aの回転位置(回転角度)の変位を示している。
図17に示すように、操作子5の傾倒操作がなされていない、即ち点線Nがフラット状態であり操作子5の傾倒角度に変化がないとき、回転体9Aの回転位置(回転角度)にも変化はない。この場合において、操作子5の傾倒操作がなされていないのにも関らず、図17の符号K1で示す時点で喰い付きが発生したものとする。すると、回転体9Aの回転位置(回転角度)は、この符号K1時点から急激に変位する。この場合、その変位率はグラフの傾きで示され、その傾きは図17の符号D1で示すように比較的急傾斜なものとなる。そこで、回転体回転量検出部15fは、単位時間当たりの変位量(傾き)を検出し、喰い付き判定部15cは、その変位量に応じて異常か否かの判定をする(図12のステップS11の処理と同様)。
その後、図12のステップS12のモータ停止制御処理(図17の符号S3のタイミング)と、同図ステップS13のモータ逆回転制御処理(図17の符号D2)と、同図ステップS14の確認処理と、同図ステップS15のモータ停止制御処理を、同様に実行する。
以上説明したように上記第3の実施形態によれば、操作子5の傾倒角度と回転体9Aの回転状態(回転量,回転位置,回転角度等)を監視することによって、プーリー11と湾曲ワイヤー8若しくは回転体9Aとの喰い付き状態を判定し、異常判定時には、モータ12を停止させる制御を行うようにしている。したがって、本実施形態においても、上述の第1の実施形態と略同様の効果を得ることができる。
[第4の実施形態]
図18〜図22は、本発明の第4の実施形態を説明する図である。本発明の第4の実施形態の基本的な構成は、上述の第1の実施形態と略同様である。上述の第1の実施形態の内視鏡1に対し、本発明の第4の実施形態の内視鏡1Cにおいては、湾曲ワイヤー8のうち操作子5と回転体9との間に配設される操作側ワイヤー8Caの移動を検出する検出センサである操作ワイヤ移動検出センサ20aと、湾曲ワイヤー8のうち回転体9と湾曲部2bとの間に配設される湾曲側ワイヤー8Cbの移動を検出する検出センサである湾曲ワイヤ移動検出センサ20bとを有している。また、制御装置15Cは、操作ワイヤ移動検出センサ20aからの出力を受けて操作側ワイヤー8Caの移動量を検出する操作ワイヤ移動量検出部15hと、湾曲ワイヤ移動検出センサ20bからの出力を受けて湾曲側ワイヤー8Cbの移動量を検出する湾曲ワイヤ移動量検出部15iとを有している。
その他の構成は、上述の第1の実施形態と同様である。したがって、以下の説明においては、上述の第1の実施形態と異なる構成のみを詳述し、その他の同様の構成については、その説明を省略する。
本実施形態の内視鏡1Cを含む内視鏡システム全体の概略構成は、図19のブロック構成図に示す通りである。上述したように、本実施形態の内視鏡1Cにおいては、操作ワイヤ移動検出センサ20aと、湾曲ワイヤ移動検出センサ20bとを有している。これに対応させて、制御装置15Cは、操作ワイヤ移動量検出部15hと、湾曲ワイヤ移動量検出部15iとを有している。
操作ワイヤ移動検出センサ20a,湾曲ワイヤ移動検出センサ20bは、湾曲ワイヤー8(符号8Ca,8Cb)が牽引若しくは弛緩方向に移動する時、その移動を検出する検出センサである。その検出結果は制御装置15Cの操作ワイヤ移動量検出部15h,湾曲ワイヤ移動量検出部15iのそれぞれに送られて、各ワイヤ8Ca,8Cbの移動量が算出され、所定のデータ形態で出力される。
このように構成された本実施形態の内視鏡1Cの通常使用時の作用は、上述の第1の実施形態と略同様である。
次に、本実施形態の内視鏡1Cにおける異常検出動作時の作用を、図20のフローチャート及び図21,図22のグラフを用いて以下に説明する。
図20のステップS21において、制御装置15Cの操作ワイヤ移動量検出部15hと湾曲ワイヤ移動量検出部15iとは、操作ワイヤ移動検出センサ20a,湾曲ワイヤ移動検出センサ20bからの出力信号を受けて湾曲ワイヤー8の操作側ワイヤー8Ca及び湾曲側ワイヤー8Cbのそれぞれの移動量情報を検出し、その検出結果を比較して両者の差が正常範囲内にあるか否かを喰い付き判定部15cによって判定する。この場合において、両者の差が正常範囲内にあることが確認された場合には、同ステップS21の処理を繰り返す。一方、異常を確認した場合には、次のステップS22の処理に進む。
ここで、図21は、本実施形態の内視鏡1Cの通常動作時(喰い付きなし状態)における湾曲ワイヤー8の移動量の変位を示すグラフである。図21において縦軸はワイヤー移動量Wの変位を、横軸は時間Tを示す。図21において、点線は湾曲側ワイヤー8Cbの移動量の変位を示し、実線は操作側ワイヤー8Caの移動量の変位を示している。
図21の符号A1で示すタイミングで湾曲操作が開始されたものとする。すると、この符号A1時点から操作側ワイヤー8Ca及び湾曲側ワイヤー8Cbは徐々に所定の牽引方向へと変位する。そして、符号A2で示すタイミングで湾曲操作が解除されたものとする。すると、操作子5が傾倒状態から中立状態へと復帰するのに伴って、湾曲ワイヤー8も徐々に変位して所定の中立位置へと復帰する。
一方、図22は、本実施形態の内視鏡1Cの異常動作時(喰い付き状態発生時)における湾曲ワイヤー8の移動量の変位を示すグラフである。図22においても縦軸は移動量Wの変位を、横軸は時間Tを示す。また、図22においては、点線は操作側ワイヤー8Caの移動状態を示し、実線は湾曲側ワイヤー8Cbの移動量の変位を示している。
図22に示すように、操作子5の傾倒操作がなされていない、即ち操作側ワイヤー8Caの移動量に変化がない状態では、湾曲側ワイヤー8Cbの移動量にも変化はない。この場合において、操作子5の傾倒操作がなされていないのにも関らず、図22の符号K2で示す時点で喰い付きが発生したものとする。すると、湾曲側ワイヤー8Cbの移動量は、この符号K2時点から急激に変位する。この場合、その変位率はグラフの傾きで示され、その傾きは図22の符号E1で示すように比較的急傾斜なものとなる。そこで、湾曲ワイヤ移動量検出部15iは、単位時間当たりの変位量(傾き)を検出し、喰い付き判定部15cは、その変位量に応じて異常か否かの判定をする(図20のステップS21の処理)。
その後、図20のステップS22のモータ停止制御処理(図22の符号S4のタイミング)と、同図ステップS23のモータ逆回転制御処理(図22の符号E2)が実行される。これらの処理ステップは、上述の第1の実施形態において説明した図7のステップS2,S3の処理と同様である。
続いて、図20のステップS24において、制御装置15Cの湾曲ワイヤ移動量検出部15iは、湾曲側ワイヤー8Cbの移動量を検出し、その検出結果が既定値以内であるか否かを確認する。ここで、湾曲側ワイヤー8Cbの位置の既定値とは、無負荷状態における湾曲側ワイヤー8Cbの所定の基準位置をいうものとする。既定値情報は、記憶部15dに予め記憶された情報のうちの一つである。ここで、既定値以内であることが確認された場合には、次のステップS25の処理に進む。また、既定値以内ではないことが確認された場合には、未だ喰い付き状態が解消されていないものと判断されて、上述のステップS23の処理に進み、以降の処理を繰り返す。
そして、図20のステップS25のモータ停止制御処理が実行される。この処理ステップは、上述の第1の実施形態において説明した図7のステップS5の処理と同様である。
以上説明したように上記第4の実施形態によれば、湾曲ワイヤー8の移動量を監視することによって、プーリーと湾曲ワイヤー若しくは回転体との喰い付き状態を判定し、異常判定時には、モータ12を停止させる制御を行うようにしている。したがって、本実施形態においても、上述の第1の実施形態と略同様の効果を得ることができる。
[第5の実施形態]
ところで、通常の内視鏡においては、湾曲部の湾曲角度について、機械的に可能な最大湾曲角度に対し、通常使用時の常用湾曲角度の範囲を抑えて構成されるのが普通である。例えば、湾曲部の機械的に可能な最大湾曲角度が角度210度程度であるのに対し、使用時の湾曲角度として角度160度〜180度程度とされている。
しかしながら、上述したような異常状態、例えばプーリーと湾曲ワイヤー若しくは回転体とに喰い付き状態が生じるような異常状態の発生時には、操作子の操作に関らず湾曲部が急激に勢いよく湾曲する可能性がある。そのような状況となった場合、湾曲部は、機械的に可能な最大湾曲角度まで一気に湾曲してしまうこともあり、これに起因して、湾曲部が損壊してしまうようなことも起り得る。
そこで、次に説明する第5の実施形態では、このような事態が発生しても湾曲部が必要以上に湾曲するのを抑止する機構を設け、異常発生時等における湾曲部の損壊を抑え得るように構成している。
図23,図24,図25は、本発明の第5の実施形態を示す図である。このうち、図23,図24は、内視鏡における牽引部材操作装置のうち回転体,プーリー,湾曲ワイヤーの配置構成の概略を示している。なお、図23は湾曲ワイヤーが牽引されていない静止状態を示し、図24は牽引部材操作装置の作動状態を示している。また、図25は、牽引部材操作装置に連動する操作部材近傍の概略構成を示している。
本実施形態の内視鏡における牽引部材操作装置は、プーリー11及び回転体9の近傍であって、回転体9が図23,図24において回転した時、回転体9の外周面が当接する位置に、回転体9の回動範囲を規制する回動規制部材であるストッパ部材41が配設されている。ストッパ部材41は、牽引部材操作装置を内蔵する内視鏡把持部(不図示)内の固定部位に固定配置されている。その他の構成は、上述の第1の実施形態と同様である。
このように、ストッパ部材41を配設することによって、本実施形態の内視鏡においては、プーリー11が図23に示すように例えば反時計方向(矢印CCW方向)回転している状態において、操作子(不図示)が操作されることによって湾曲ワイヤー8が牽引されると、回転体9の内周がプーリー11の外周に接触して摩擦力が生じ、よって図24に示すように回転体9が同方向(矢印CCW方向)に回動する。回転体9の外周径は次第に大となるように形成されていることから、回転体9が回動すると、やがてその外周面がストッパ部材41に当接する。これにより、プーリー11の回転が継続している一方、回転体9の回動は停止する。これに伴って湾曲ワイヤー8による牽引力も所定の力量以上の力量が作用しない。したがって、湾曲部(不図示)の湾曲角度は、所定の湾曲角度以内に規制される。
一方、図25に示す例は、操作子5の近傍に、操作子5の傾倒角度(傾倒量)を規制する操作子傾倒規制部材であるストッパ部材42を設けた例である。ストッパ部材42は、内視鏡操作部本体3b内の固定部位に固定配置されている。その他の構成は、上述の第1の実施形態と同様である。
このように、ストッパ部材42を配設すれば、操作子5の傾倒角度(傾倒量)を規制することができるので、湾曲ワイヤー8の牽引量を規制し、よって湾曲部(不図示)の湾曲角度は、所定の湾曲角度以内に規制される。
以上説明したように上記第5の実施形態によれば、ストッパ部材41,42を設けることによって、湾曲部の湾曲角度を所定の湾曲角度以内となるように規制することができる。したがって、例えばプーリーと湾曲ワイヤー若しくは回転体とに喰い付き状態が生じるような異常状態が発生したとしても、湾曲部が必要以上に湾曲してしまうこともなく、よって湾曲部の損壊等を抑止することができる。
なお、上記第5の実施形態では、ストッパ部材41,42を設けた例を示しているが、いずれか一方が設けられておれば、所望の効果を得ることができる。そして、上記第5の実施形態のストッパ部材41,42は、上述の第1〜第5の実施形態の内視鏡のいずれに対しても適用することが可能であり、同様の効果を得ることができる。
[第6の実施形態]
図26は、本発明の第6の実施形態の内視鏡における牽引部材操作装置の概略構成を示す図である。本実施形態の内視鏡における牽引部材操作装置は、上述の第1の実施形態における回転体に代えて押圧板を用いて構成した例を示している。本実施形態の内視鏡の基本的な構成は、上述の第1の実施形態と略同様であるので、以下の説明においては、異なる構成のみを詳述し、同様の構成は同じ符号を用いて簡単に説明するものとする。
本実施形態の内視鏡1Dは、細長チューブ状の挿入部2と、挿入部2の基端に連設される操作部3D等を備えて主に構成されている。
挿入部2は、先端側から先端部2a,湾曲部2b,可撓管部2cとを連設して構成されているのは、上述の各実施形態と同様である。また、このうち湾曲部2bは、上下左右の四方向に湾曲するように構成されている点も同様である。なお、湾曲部2bは、上下左右の四方向に湾曲するのに対し、湾曲方向を例えば上下の二方向のみとする構成でもよい。
操作部3Dには棒状の操作子5Dが設けられている。この操作子5Dは、傾倒方向及び傾倒角度を変化させる傾倒操作を行うことによって湾曲部2bを所望の方向へ所望の角度だけ湾曲動作させる操作指示を行える湾曲操作装置の一部を構成する操作部材である。操作子5Dは、操作部3Dの一面に設けた開口(操作子突出口)から、例えば操作部3Dの長手軸に直交する方向に突出するように配設されている。湾曲部2bは、操作子5Dを、例えば図26の矢印Yu方向に傾倒させることによって、その傾倒操作に伴って実線に示す直線状態から破線に示す湾曲状態へと変化するように構成されている。
操作部3D内には、操作子5Dの軸部5aと、駆動力伝達部100と、牽引部材である4本の湾曲ワイヤー8u,8d,8l,8rと、プーリー11とが主に設けられている。
プーリー11は、操作部3D内に配設されており、図26の矢印Yc方向(時計周り(CW)方向)へと駆動モータ(不図示)によって回転される駆動部である。プーリー11のプーリー軸11aは、操作子5Dの軸部5aの略直下であって、操作部3Dの長手軸に対して直交する位置関係で横向きに配置されている。プーリー11の外周面11cは、牽引部材移動面であって、外周面11cに接触した湾曲ワイヤー8u,8d,8l,8rにプーリー11の回転駆動力を伝達する。
例えば、図26に示すように、操作子5Dが直立状態のとき(実線)、プーリー11のプーリー軸11aは、軸部5aの中心軸延長線近傍に配置されている。
また、図2に示すように、プーリー11は、駆動モータ(不図示)によって回転させられる。本実施形態において、モータのモータ軸は、操作部3Dの長手軸に対して平行に配置されている。モータ軸にはモータ側笠歯車(不図示)が設けられ、プーリー軸11aにはモータ側笠歯車に噛合するプーリー側笠歯車(不図示)が設けられている。そして、モーター軸の回転がモーター側笠歯車からプーリー側笠歯車に伝達されて、プーリー11を時計周り(CW方向)へと回転する。
湾曲ワイヤー8u,8d,8l,8rは、湾曲部2bの四つの湾曲方向に対応するワイヤーであって、上用湾曲ワイヤー8u,下用湾曲ワイヤー8d,左用湾曲ワイヤー8l,右用湾曲ワイヤー8rである。
各湾曲ワイヤ8u,8d,8l,8rの一端は、湾曲部2bの先端側の予め定めた位置に固定されている。一方、各湾曲ワイヤー8u,8d,8l,8rの他端は、コイルバネ115の一端側に固定されている。コイルバネ115は弛み取り機構であり、予め定めたバネ定数を備えている。コイルバネ115は、各湾曲ワイヤー8u,8d,8l,8rに対応して1つずつ設けられている。各湾曲ワイヤー8u,8d,8l,8rに対応するコイルバネ115の他端は、操作部3D内に設けられた隔壁3cに一列に配列して固定されている。
各湾曲ワイヤー8u,8d,8l,8rは、操作部3Dに導入された後、例えば複数のガイドローラー119によって走行経路を変更され、プーリー11の操作子5D側の外周面11c近傍をプーリー軸11aに対して直交する位置関係で通過している。各湾曲ワイヤー8u,8d,8l,8rは、湾曲部2bが直線状態において予め定めた張力で張られていて、プーリー11の外周面11cに近接あるいは当接している。
湾曲部2bが直線状態において、各コイルバネ115は、弾性範囲内において伸長状態である。そして、湾曲部2bが図2の破線に示すように上方向に湾曲された状態のとき、上用湾曲ワイヤー8uが固定されているコイルバネ115は、元の伸長状態に対して弾性範囲内で収縮し、対向する下用湾曲ワイヤー8dが固定されているコイルバネ115は元の伸長状態に対して弾性範囲内でさらに伸長する。一方、左用湾曲ワイヤー8l及び右用湾曲ワイヤー8rがそれぞれ固定されているコイルバネ115は、元の伸長状態と略同じ状態である。
駆動力伝達部100は、吊り枠13と、押圧板108と、操作入力伝達ワイヤー109とを備えて構成されている。吊り枠13は、湾曲部2bの上下左右の湾曲方向にそれぞれ対応する4つの枠を備え略十字形状に構成されている。吊り枠13には、中心軸部である枠軸が立設している。操作子5Dの軸部5aと吊り枠13の枠軸とはユニバーサルジョイント14を介して同軸に取付け固定されている。
ユニバーサルジョイント14は、操作部3D内に設けられたフレーム(不図示)に回動自在に配設されている。このように構成された吊り枠13は、操作子5Dの傾倒操作に伴って揺動する。
押圧板108は、各湾曲ワイヤー8u,8d,8l,8rをプーリー11の外周面11cに押しつける部材である。押圧板108は、4つの湾曲ワイヤー8u,8d,8l,8rに対応して1つずつ設けられている。4つの押圧板108は、操作部3D内に設けられた図示しないフレームに固定されプーリー軸11aに対して平行に配置された固定軸部に回動自在に配設される。
押圧板108は、例えば金属製の板部材である。押圧板108は、軸孔108aと、連結部108bと、接触面108cとを有している。軸孔108aは、連結部108bと接触面108cとの間の予め定めた位置に形成されている。軸孔108aは、上記固定軸部が挿通される貫通孔である。各連結部108bには操作入力伝達ワイヤー109の一端である先端が固設される。接触面108cは、外周面11c近傍を通過している各湾曲ワイヤー8u,8d,8l,8rを挟んで外周面11cに対向するように配置されている。
このような構成により、例えば操作者が湾曲部2bを上方向に湾曲させる操作、即ち操作子5Dを矢印Yu方向へ傾倒操作したとき、吊り枠13が揺動されて操作入力伝達ワイヤー109のうち揺動方向に対応する上用操作入力伝達ワイヤーが牽引される。すると、該ワイヤー109の先端が固定された押圧板108が軸孔108a(固定軸部)を中心に回動し、この回動に伴って接触面108cが上用湾曲ワイヤー8uに接触する。その後、操作子5Dの傾倒操作の傾倒角度が増大されるにしたがって、接触面108cは上用湾曲ワイヤー8uを外周面11cに押し付ける。
上用湾曲ワイヤー8uが接触面108cによってプーリー11の外周面11cに押圧されると、外周面11cと上用湾曲ワイヤー8uとの間に摩擦抵抗が発生する。この摩擦抵抗の発生に伴ってプーリー11の回転駆動力は、外周面11cを介して上用湾曲ワイヤー8uに伝達される。その結果、上用湾曲ワイヤー8uは、摩擦抵抗の大きさに対応してプーリー11の回転方向に移動する。つまり、プーリー11の外周面11cから上用湾曲ワイヤー8uに伝達されていく回転駆動力によって、上用湾曲ワイヤー8uによる牽引が開始され湾曲部2bが湾曲動作する。
このような構成の牽引部材操作装置を有する本実施形態の内視鏡1Dにおいても、上述の第1の実施形態で例示した制御装置15(不図示;図3参照)と同様のものを有している。つまり、本実施形態の内視鏡1Dは、図示していないがモータ制御部(15a),電流値検出部(15b),喰い付き判定部(15c)等を含んで構成される制御装置15(不図示)によって電気的に制御される。そして、制御装置15の電流値検出部15bによって異常状態が検出されたときには、モータ制御部15aを介してモータ(12)の駆動を停止させる制御がなされる。なお、異常状態検出時の作用は、上述の第1の実施形態と全く同様である。
以上のように構成された上記第6の実施形態においても、上述の第1の実施形態と全く同様の効果を得ることができる。
なお、本実施形態においては、上述の第1の本実施形態で例示した異常状態検出手段を適用した例を示している。しかしながら、この例に限られることはなく、本実施形態の内視鏡1Dに対しても、上述の第2〜第4の実施形態で示したそれぞれの異常状態検出手段を同様に適用して構成することが可能である。その場合においては同様の作用効果を得ることができる。また、上記第5の実施形態で示す操作子傾倒規制部材(ストッパ部材)を適用することが可能である。
[第7の実施形態]
図27,図28は本発明の第7の実施形態の内視鏡における牽引部材操作装置の概略構成を示す図である。なお、図27は側面から見たようすを示し、図28は上面から見たようすを示している。本実施形態の内視鏡における牽引部材操作装置は、上述の第1の実施形態における回転体に代えて摩擦板を用いて構成した例を示している。本実施形態の内視鏡の基本的な構成は、上述の第1の実施形態と略同様である。以下の説明においては、上記第1の実施形態と異なる構成のみを詳述し、同様の構成は同じ符号を用いて簡単に説明する。
本実施形態の内視鏡1Eは、細長チューブ状の挿入部2と、挿入部2の基端に連設される操作部3E等を備えて主に構成されている。
挿入部2は、先端側から先端部2a,湾曲部2b,可撓管部2cとを連設して構成されているのは、上述の各実施形態と同様である。また、このうち湾曲部2bは、上下左右の四方向に湾曲するように構成されている点も同様である。なお、湾曲部2bは、上下左右の四方向に湾曲するのに対し、湾曲方向を例えば上下の二方向のみとする構成でもよい。
操作部3Eには棒状の操作子5Eが設けられている。この操作子5Eは、傾倒方向及び傾倒角度を変化させる傾倒操作を行うことによって湾曲部2bを所望の方向へ所望の角度だけ湾曲動作させる操作指示を行える湾曲操作装置の一部を構成する操作部材である。操作子5Eは、操作部3Eの一面に設けた開口(操作子突出口)から、例えば操作部3Eの長手軸に直交する方向に突出するように配設されている。
操作部3E内には、操作子5Eの軸部5aと、吊り枠13Eと、4つの円板状のプーリー11EU,11ED,11EL,11ERと、モータ12と、モータ12のモータ軸12aに固設される駆動ギア115と、牽引部材である4本の湾曲ワイヤー8u,8d,8l,8rと、駆動力伝達部等からなる牽引部材操作装置が設けられている。
駆動力伝達部は、従動ギア119U,119D,119L,119Rと、伝達力調整部119AU,119AD,119AL,119ARとからなる。
湾曲ワイヤー8u,8d,8l,8rは、湾曲部2bの4つの湾曲方向に対応する4本のワイヤーであり、上用湾曲ワイヤー8u,下用湾曲ワイヤー8d,左用湾曲ワイヤー8l,右用湾曲ワイヤー8rである。
各湾曲ワイヤー8u,8d,8l,8rの一端は、湾曲部2bの先端側の予め定めた位置に固定されている。また、各湾曲ワイヤー8u,8d,8l,8rの他端は、4つのプーリー11EU,11ED,11EL,11ERに固定されている。即ち、上用湾曲ワイヤー8uの他端は上用プーリー11EUに、下用湾曲ワイヤー8dの他端は下用プーリー11EDに、左用湾曲ワイヤー8lの他端は左用プーリー11ELに、右用湾曲ワイヤー8rの他端は右用プーリー11ERに、それぞれ固定されている。そして、各湾曲ワイヤー8u,8d,8l,8rは、操作部3E内に導入された後、複数のガイドローラー120によって走行経路を変更されて、予め定めた張力で張られている。
一方、モータ12のモータ軸12aには、上述したように駆動ギア115が一体に固設されている。この駆動ギア115は、従動ギア119U,119D,119L,119Rに噛合している。なお、従動ギア119U,119D,119L,119Rは、4つのプーリー11EU,11ED,11EL,11ERの外周縁部に一体に形成されている。したがって、モータ12の回転駆動力は、モータ軸12a,駆動ギア115を介して従動ギア119U,119D,119L,119Rへと伝達され、これにより、各プーリー11EU,11ED,11EL,11ERへと伝達される構成になっている。本実施形態においては、モーター12,駆動ギア115,従動ギア119U,119D,119L,119Rが駆動部として機能している。
また、上記駆動力伝達部のうち伝達力調整部119AU,119AD,119AL,119ARは、従動ギア119U,119D,119L,119Rとプーリー11EU,11ED,11EL,11ERとの間に配置されて、各従動ギア119U,119D,119L,119Rのそれぞれの回転を、各プーリー11EU,11ED,11EL,11ERのそれぞれに伝達するよう構成されている。
なお、従動ギア119U,119D,119L,119Rは、上従動ギア119U,下従動ギア119D,左従動ギア119L,右従動ギア9Rである。
上従動ギア119Uは上軸116uに、下従動ギア119Dは下軸116dに、左従動ギア119Lは左軸116lに、右従動ギア119Rは右軸116rに、回動自在となるようにそれぞれ取り付けられている。なお、各軸116u,116d,116l,116rは、操作部3E内の固定部であるフレームに固設されている。
各伝達力調整部119AU,119AD,119AL,119ARは、複数の皿バネ119sを重ねて構成され、予め定めた付勢力を有するように構成されている。上伝達力調整部(以下、上調整部と略記する)119AUは、上従動ギア119U上に配設されている。同様に、下伝達力調整部(以下、下調整部と略記する)119ADは、下従動ギア119D上に配設され、左伝達力調整部(以下、左調整部と略記する)119ALは左従動ギア119L上に配設され、右伝達力調整部(以下、右調整部と略記する)119ARは右従動ギア119R上に配設されている。
そして、上調整部119AU上には上用プーリー11EUが、下調整部119AD上には下用プーリー11EDが、左調整部119AL上には左用プーリー11ELが、右調整部119AR上には右用プーリー11ERが、それぞれ配置されている。
各調整部119AU,119AD,119AL,119ARは、予め定めた荷重で予め定めた量圧縮されるように、例えば異なる厚み寸法、異なる縦弾性係数、或いは異なる撓み量の皿バネ119sを適宜、直列に組み合わせて構成されている。なお、各皿バネ119sが有する軸方向の貫通孔には、各軸116u,116d,116l,116rが挿通している。
本実施形態において、駆動ギア115は、図28において反時計周り(CCW方向)に回転する。したがって、各従動ギア119U,119D,119L,119Rは、時計周り(CW方向)に回転する。
吊り枠13Eは、湾曲操作装置の一部を構成し、湾曲部2bの上下左右の湾曲方向にそれぞれ対応する4つの腕部を備えてなり、図28に示すように略十字形状に形成されている。吊り枠13Eの中心軸部は、操作子5Eの軸部5aとユニバーサルジョイント14を介して同軸に連結固定されている。ユニバーサルジョイント14は、操作部3E内に設けられた固定部であるフレーム(不図示)に対し回動自在に配設されている。このように構成された吊り枠13Eは、操作子5Eの傾倒操作に伴って揺動する。
このような構成により、例えば操作者が湾曲部2bを所定方向へ湾曲させる操作、即ち操作子5Eを所定方向へ傾倒操作すると、吊り枠13Eが揺動されて吊り枠13Eの4つの腕部のいずれかが対応するプーリー11Eに当接する。さらに、操作子5Eの傾倒操作を行うと、腕部が当接したプーリー11Eは、対応する伝達力調整部119Aの付勢力に抗して対応する軸116に沿って移動し、従動ギア119の方向に押し下げられる。プーリー11Eが押し下げられるのに従って、伝達力調整部119Aは圧縮される。そして、プーリー11Eと従動ギア119との距離が初期状態から圧縮状態へと変化する。すると、所定の距離になると、従動ギア119の回転が伝達力調整部119Aを介してプーリー11Eへと伝達される。これによりプーリー11Eが回転し、4本の湾曲ワイヤー8u,8d,8l,8rのうちの対応する1本が牽引されて湾曲部2bを対応する所定方向に湾曲させる。
このような構成の牽引部材操作装置を有する本実施形態の内視鏡1Eにおいても、上述の第1の実施形態で例示した制御装置15(不図示;図3参照)と同様のものを有している。つまり、本実施形態の内視鏡1Eは、図示していないがモータ制御部15a,電流値検出部15b,喰い付き判定部15c等を含んで構成される制御装置15(図1参照)によって電気的に制御される。そして、制御装置15の電流値検出部15bによって異常状態が検出されたときには、モータ制御部15aを介してモータ12の駆動を停止させる制御がなされる。なお、異常状態検出時の作用は、上述の第1の実施形態と全く同様である。
以上のように構成された上記第7の実施形態においても、上述の第1の実施形態と全く同様の効果を得ることができる。
なお、本実施形態においては、上述の第1の本実施形態で例示した異常状態検出手段を適用した例を示している。しかしながら、この例に限られることはなく、本実施形態の内視鏡1Eに対しても、上述の第2〜第4の実施形態で示したそれぞれの異常状態検出手段を同様に適用して構成することが可能である。その場合においては同様の作用効果を得ることができる。また、上記第5の実施形態で示す操作子傾倒規制部材(ストッパ部材)を適用することが可能である。
[第8の実施形態]
図29,図30は本発明の第8の実施形態の内視鏡における牽引部材操作装置の概略構成を示す図である。図29は本実施形態の内視鏡を側面から見たようすを示し、図30は、内視鏡の裏面から見たようすを示す。
本実施形態の内視鏡における湾曲操作装置として、上述の第1の実施形態における操作子に代えて回転ノブを用いて構成した例を示している。本実施形態の内視鏡の基本的な構成は、上述の第1の実施形態と略同様である。以下の説明においては、上記第1の実施形態と異なる構成のみを詳述し、同様の構成は同じ符号を用いて簡単に説明する。
本実施形態の内視鏡1Fは、細長チューブ状の挿入部2と、挿入部2の基端に連設される操作部3F等を備えて主に構成されている。
本実施形態の内視鏡1Fの操作部3Fの外周面には操作ダイヤルである上下湾曲ノブ(以下、上下ノブと略記する)5UDと、操作ダイヤルである左右湾曲ノブ(以下、左右ノブと略記する)5LRとが配置されている。
一方、操作部3F内には、上下ノブ5UDの上下軸部5UDaと、左右ノブ5LRの左右軸部5LRaと、上下カムシャフト35と、左右カムシャフト36と、カムシャフトギア33と、上下プーリー40と、左右プーリー50と、駆動力伝達部90Aと、モータ12と、湾曲ワイヤー8u,8d,8l,8r等からなる牽引部材操作装置が設けられている。
各湾曲ワイヤー8u,8d,8l,8rの一端は、湾曲部2bの先端側の予め定めた位置に固定されている。また、上用湾曲ワイヤー8u及び下用湾曲ワイヤー8dの各他端は、上下プーリー40の予め定めた各位置に固定されている。また、左用湾曲ワイヤー8l及び右用湾曲ワイヤー8rの各他端は、左右プーリー50の予め定めた各位置に固定されている。そして、各湾曲ワイヤー8u,8d,8l,8rは、操作部3F内に導入された後、複数のガイドローラー99によって走行経路を変更されて、予め定めた張力で張られている。
駆動力伝達部90Aは、第1従動ギア91,第2従動ギア92,第1摩擦板93,第2摩擦板94を備えて構成されている。第1従動ギア91と第2従動ギア92とは、伝達軸95の両端にそれぞれ一体に固設されている。第1摩擦板93と第2摩擦板94とは、左右プーリー50及び上下プーリー40を挟んで対向するように配置されている。
一方、モータ12のモーター軸12aには駆動ギア115が固定されている。駆動ギア115には第1従動ギア91が噛合すると共に、第1摩擦板93の外周面に形成された外歯車である第1歯車が噛合している。また、第2従動ギア92には第2摩擦板94の外周面に形成された外歯車である第2歯車が噛合している。なお、本実施形態においては、モータ12と、駆動ギア115と、この駆動ギア115によって回転される第1摩擦板93と、第2従動ギア92によって回転される第2摩擦板94とが駆動部として機能する。
駆動ギア115は、例えば反時計周りに回転する。すると、第1従動ギア91,第2従動ギア92及び第1摩擦板93は時計周りに回転する。一方、第2摩擦板94は、反時計周りに回転する。
本実施形態において、上下ノブ5UDは上下用湾曲操作装置を構成する。上下用湾曲操作装置は、上下ノブ5UDと、カムシャフトギア33と、上下カムシャフト35と、上下プーリー40とによって構成される。また、左右ノブ5LRは、左右用湾曲操作装置を構成する。左右用湾曲操作装置は、左右ノブ5LRと、左右カムシャフト36と、左右プーリー50とによって構成される。
ノブ5UD,5LRは、時計周り又は反時計回りに回転操作可能である。ノブ5UD,5LRは、回動自在に設けられ、上下ノブ5UDを回動することにより湾曲部2bを上方向或いは下方向に所望する角度だけ湾曲動作させる操作指示を行うことができる。一方、左右ノブ5LRを回動することにより湾曲部2bを左方向或いは右方向に所望する角度だけ湾曲動作させる操作指示を行うことができる。
上下ノブ5UDは上下軸部5UDaを備えている。上下軸部5UDaの外周面の予め定めた位置には外歯車5gが形成されている。上下軸部5UDaには軸方向貫通孔34が形成されている。この軸方向貫通孔34には、左右ノブ5LRの左右軸部5LRaが挿通される。
カムシャフトギア33はギア部33aを備えている。ギア部33aは、上記外歯車5gと噛合するように構成されている。カムシャフトギア33の予め定めた位置には予め定めた形状の上下用係合凹部36bが形成されている。
上下カムシャフト35は外周面に突起35aを有する。突起35aは、フレーム60に形成されている上下カムシャフト配置孔60aの内周面に形成されている上下カム溝60b内に摺動自在に嵌合している。
また、上下カムシャフト35は、上下用係合凹部36b内に配置される上下用係合凸部35bを備えている。上下用係合凸部35bが上下用係合凹部36bに係合した状態において、上下カムシャフト35は、カムシャフトギア33と一体に回転する構成になっている。
この構成によれば、上下ノブ5UDの回転は、外歯車5gを有する上下軸部5UDaと、ギア部33aを有するカムシャフトギア33と、係合状態の上下用係合凹部36bと、上下用係合凸部35bとを介して上下カムシャフト35に伝達される。その結果、上下ノブ5UDの回動操作に伴って上下カムシャフト35は、フレーム60の上下カムシャフト配置孔60aに対して矢印Y方向に移動する。
一方、上下軸部5UDaの軸方向貫通孔34に配置される左右軸部5LRaの予め定めた位置には予め定めた形状の左右用係合凹部38fが形成されている。左右カムシャフト36は外周面に突起36aを有する。突起36aは、フレーム60に形成されている左右カムシャフト配置孔60cの内周面に形成されている左右カム溝60d内に摺動自在に配置される。
また、左右カムシャフト36は、左右用係合凹部38f内に配置される左右用係合凸部36bを備えている。左右用係合凸部36bが左右用係合凹部38fに係合された状態において、左右カムシャフト36は、左右軸部5LRaと一体に回転する構成になっている。
この構成によれば、左右ノブ5LRの回転は、係合状態の左右用係合凹部38fと左右用係合凸部36bとを介して左右カムシャフト36に伝達される。その結果、左右ノブ5LRの回動操作に伴って、左右カムシャフト36は、フレーム60の左右カムシャフト配置孔60cに対して矢印Y方向に移動する。
上下プーリー40は、一面側に突出する第1軸である上下伝達軸42と、他面側に突出する第2軸である上下支持軸43とを備えて形成されている。上下伝達軸42の端部には駆動力伝達部を構成する上下突起42aが設けられている。上下突起42aは、駆動力伝達部を構成する上下伝達穴35c内に配置される。上下支持軸43の端部は、固定部(不図示)に対し回動自在に軸支されている。
一方、左右プーリー50は、一面側に突出する左右伝達軸52と、他面側に突出する左右支持軸53とを備えて形成されている。左右伝達軸52の端部には駆動力伝達部を構成する左右突起52aが設けられている。左右突起52aは、駆動力伝達部を構成する左右伝達穴36c内に配置される。左右支持軸53の端部は、固定部(不図示)に対し回動自在に軸支されている。
この構成によれば、例えば操作者が湾曲部2bを上方向に湾曲させる操作、即ち、図30に示す上下ノブ5UDを矢印9Y1方向へ回転させる操作を行ったとき、上下ノブ5UDは、同方向への回転に伴って上下軸部5UDaの外歯車5gに噛合するギア部33aを有するカムシャフトギア33が逆方向に回転する。このカムシャフトギア33の回転に伴って、上下カムシャフト35が上下カムシャフト配置孔60aに対して矢印Y1方向に移動する。上下カムシャフト35が矢印Y1方向に移動すると、上下突起42aを介して上下プーリー40を同方向(Y1方向)に移動させる。これにより、上下プーリー40の一面が第2摩擦板94の一面に当接する。これにより、第2摩擦板94の回転が上下プーリー40に伝達されて所定方向への回転を開始する。その結果、上下プーリー40に固定されている上用湾曲ワイヤー8uが牽引される一方、下用湾曲ワイヤー8dは弛緩されて湾曲部2bの上方向への湾曲が開始される。なお、湾曲部2bを下方向若しくは左右方向に湾曲させる際の操作も略同様であるので、その詳細説明は省略する。
このような構成の牽引部材操作装置を有する本実施形態の内視鏡1Fにおいても、上述の第1の実施形態で例示した制御装置15(不図示;図3参照)と同様のものを有している。つまり、本実施形態の内視鏡1Fは、図示していないがモータ制御部15a,電流値検出部15b,喰い付き判定部15c等を含んで構成される制御装置15(図1参照)によって電気的に制御される。そして、制御装置15の電流値検出部15bによって異常状態が検出されたときには、モータ制御部15aを介してモータ12の駆動を停止させる制御がなされる。なお、異常状態検出時の作用は、上述の第1の実施形態と全く同様である。
以上のように構成された上記第8の実施形態においても、上述の第1の実施形態と全く同様の効果を得ることができる。
なお、本実施形態においては、上述の第1の本実施形態で例示した異常状態検出手段を適用した例を示している。しかしながら、この例に限られることはなく、本実施形態の内視鏡1Eに対しても、上述の第2〜第4の実施形態で示したそれぞれの異常状態検出手段を同様に適用して構成することが可能である。その場合においては同様の作用効果を得ることができる。また、上記第5の実施形態で示す操作子傾倒規制部材(ストッパ部材)を適用することが可能である。
[第9の実施形態]
ところで、上述の第1〜第8の実施形態による内視鏡においては、異常状態検出手段によって異常検出がなされた場合には、モータ12の駆動を停止させる制御を行うようにしている。例えば喰い付き状態が検出された場合にモータ駆動が停止されると、湾曲部は湾曲状態が維持されたままの状態になってしまう。内視鏡の使用中に、そのような状態になってしまった場合、大きく湾曲した湾曲部を復帰させなければ、内視鏡を体腔外へ引き出すことができなくなってしまう。
そこで、上述の第1〜第8の実施形態による内視鏡では、喰い付き状態を解消するための措置として、モータの逆回転制御処理を行うようにもしている。しかしながら、このような制御処理のみで、確実に喰い付き状態等の異常状態を解消することができるとは限らない。
以下に説明する各実施形態は、牽引部材を駆動部材(アクチュエータ)の駆動力を用いて牽引することによって湾曲部の湾曲操作を補助する内視鏡において、駆動力伝達異常を検出し、異常検出時に駆動部を停止制御する異常停止制御機構を備え、異常検出制御によって駆動部を停止した時に、湾曲状態で固着してしまった湾曲部の湾曲状態を解除する手段を、さらに具備する内視鏡についての例示である。
図31〜図33は、本発明の第9の実施形態の内視鏡の概略構成を示す図である。図31は、通常の無負荷時の牽引部材操作装置を示している。図32は、異常発生後の駆動停止時において湾曲部が湾曲状態で固着した状態の牽引部材操作装置を示している。図33は、工具を用いた固着解除操作時の牽引部材操作装置を示している。
本実施形態の内視鏡1Gの基本的な構成は、上述の第1の実施形態の内視鏡1と略同様である。図31に示すように、本実施形態の内視鏡1Gにおいては、牽引部材操作装置の構成部材のうち回転体9Gの切欠部近傍の一側面に、二個の固着解除用工具穴9Gdを形成した点が、上述の第1の実施形態とは異なる。
また、これに対応させて、本実施形態においては、操作部3Gの把持部側面の外装に開口3Gwを設け、その開口3Gwを開閉自在とする蓋部材を配設して構成している。該開口3Gwは、操作部3Gの把持部内部の回転体9Gの側面が対向する部位に形成されている。なお、図31〜図33においては、操作部3Gの把持部側面に形成される開口3Gwを点線で図示している。
また、図31〜図33において、符号21a,21bは湾曲ワイヤー8の走行経路を操作部3内で変更するワイヤー走行経路変更部材であるガイドローラーである。
このように、本実施形態の内視鏡1Gにおいては、操作部3Gの把持部側面に開口3Gw及び蓋部材を設け、必要に応じてその蓋部材を取り外すことにより、内部構成ユニットのうちプーリー11及び回転体9Gに関するメンテナンスを容易に行なうことができるようにしている。
例えば、本実施形態の内視鏡1Gを使用中に、プーリー11と湾曲ワイヤー8若しくは回転体9Gとの間で喰い付き状態(異常状態)が発生し、その異常検出がなされた後、駆動停止制御が実行されることによって、図32に示すような状態、即ち湾曲部2bが湾曲状態で固着した状態となったとする。
この状態において、まず、操作部3Gの把持部側面より蓋部材を取り外すと、プーリー11及び回転体9Gの側面が開口3Gwより視認可能状態になる。そこで、回転体9Gの固着解除用工具穴9Gdに対し、所定の固着解除用工具151を用いて回転体9Gの固着状態を解除すればよい。この固着解除用工具151は、把持部を握ることで先端側の二つの作用腕が開く方向に作用するように構成された工具である。つまり、図33に示すように、固着解除用工具151の二つの作用腕の先端を回転体9Gの二つの固着解除用工具穴9Gdのそれぞれに挿入し、固着解除用工具151は、把持部を握る。これにより回転体9Gは、切欠部を挟んだ各端部が図33の矢印Op方向に開く。よって、プーリー11と回転体9Gとの喰い付き状態(固着状態)が解消され、湾曲ワイヤー8が弛緩状態となり、操作子5は直立状態に復帰する。同時に、湾曲部2bの湾曲状態が解消されるので、湾曲部2bは、元の直線状態に復帰する。
以上説明したように上記第9の実施形態によれば、内視鏡1Gの使用中に異常状態が検出された後、駆動停止制御がなされることで、湾曲部2bの湾曲状態が固着してしまっても、固着解除用工具穴9Gdを用いて容易にその固着状態を解除することができる。したがって、体腔内に挿入された状態で異常停止してしまった状況においても、内視鏡1Gの挿入部2をスムースに抜去することができる状態に復帰させることができる。
[第10の実施形態]
図34,図35は、本発明の第10の実施形態の内視鏡における牽引部材操作装置の概略構成を示す図である。図34は、通常状態の牽引部材操作装置を上面側から見たようすを示す。図35は、図34と同方向から見た際のようすを示し、異常発生後の駆動停止時においてプーリー11を抜去しているようすを示す。
本実施形態の内視鏡の基本的な構成は、上述の第9の実施形態の内視鏡1Gと略同様である。図34に示すように、本実施形態の内視鏡においては、牽引部材操作装置の構成部材のうちプーリー11を抜去可能な構成とした点が、上述の第9の実施形態とは異なる。
即ち、操作部の把持部内部において、プーリー11は、内部固定部材である仕切板59,59aを挟んで配設されている。図34に示すように、仕切板59aには、プーリー11の直径よりも大となる開口幅を有する開口59wが形成されている。この開口59wは、蓋部材59bによって覆われるようになっている。ここで蓋部材59bは、ビス59cによって着脱自在に配設されている。
そして、仕切板59の所定の部位には、プーリー11の回転軸の一端を回動自在に軸支する軸受70が設けられている一方、この軸受70に対向する位置に設けられる蓋部材59bには、プーリー11の回転軸の他端を回動自在に軸支する軸受71が設けられている。
また、仕切板59aの蓋部材59bに対向する部位には、上述の第9の実施形態で示す操作部3Gの把持部側面の開口3Gwの蓋部材と同様の蓋部材が設けられている。
このように構成された本実施形態の内視鏡においては、操作部把持部側面の蓋部材と、仕切板59aの蓋部材59bとを取り外すことによって、プーリー11をスムースに抜去することができるようになっている。なお、プーリー11を抜去するのに際しては、プーリー軸11aを、所定の工具等を用いて掴んだ状態で、図35の矢印X方向に引き出せばよい。
以上説明したように上記第10の実施形態によれば、上述の第9の実施形態と同様の効果を得ることができる。また、本実施形態においては、さらにプーリー11を抜去することもできるので、例えばプーリー11と回転体9との喰い付き状態に起因してプーリー11が損傷したとしても、容易に交換作業を行なうことができる。
[第11の実施形態]
図36は、本発明の第11の実施形態の内視鏡における牽引部材操作装置の概略構成を示す図であって、工具を用いて異常解除作業のようすを概念的に示している。
本実施形態の内視鏡1Hの基本的な構成は、上述の第9の実施形態の内視鏡1Gと略同様である。図36に示すように、本実施形態の内視鏡1Hにおいては、操作部3Hの把持部上面の外装に開口3Hwを設け、その開口3Hwを開閉自在とする蓋部材(不図示)を配設するように構成した点が、上述の第9の実施形態とは異なる。その他の構成は、上述の第9の実施形態と同様である。
この構成においては、固着解除用工具152は、上述の第9の実施形態の固着解除用工具151と略同様の構成であるが、先端側の二つの作用腕の先端部が腕部に対して略直角に突設して形成されている点が異なる。この構成は、把持部上面側の開口3Hwから固着解除用工具152を挿入した後、作用腕の先端部を回転体9Gの二つの固着解除用工具穴9Gdに挿入し易くするための工夫である。
以上説明したように上記第11の実施形態によれば、上述の第9の実施形態と同様の効果を得ることができる。また、本実施形態においては、さらに把持部上面側に設けた開口3Hwから固着解除用工具152を挿入するようにしたので、上下左右の各方向への湾曲に対応させて設けられる4つの回転体9G(u,d,l,r)のそれぞれに対し個別に大暑することが容易にできる。
[第12の実施形態]
図37,図38は、本発明の第12の実施形態の内視鏡における牽引部材操作装置の概略構成を示す図である。図37は、通常状態の牽引部材操作装置を上面側から見たようすを示す。図38は、図37と同方向から見た際のようすを示し、異常発生後の駆動停止時においてプーリーと回転体との固着状態を解除しているようすを示す。
本実施形態の内視鏡の基本的な構成は、上述の第10の実施形態と略同様である。図37に示すように、本実施形態の内視鏡においては、牽引部材操作装置の構成部材のうちのプーリー11の回転軸を手動回動させることで固着解除可能とした点が、上述の第10の実施形態とは異なる。
即ち、本実施形態においては、操作部3Jの把持部内部において、プーリー11が内部固定部材である仕切板59,59aを挟んで配設されている。図37に示すように、仕切板59には、プーリー11の回転軸の一端を回動自在に軸支する軸受70が設けられている。なお、プーリー11の回転軸の一端の端部には第2カサ歯車32が固設されている。一方、軸受70に対向する位置に設けられる仕切版59aには、プーリー11の回転軸の他端を回動自在に軸支する軸受71が設けられている。これにより、プーリー11は回動自在に軸支されている。
また、プーリー11の回転軸の他端は、仕切版59aの軸受71より外部に向けて若干突出するように形成されている。プーリー11の回転軸の他端の先端には、径方向の一部を切り欠いて対向する二つの平面によって形成されるツマミ部11aが形成されている。このツマミ部11aは、後述する固着解除用工具153によって摘み易い形状に形成されている。
そして、仕切板59aの対向する部位、即ち操作部3Jの把持部側面の所定の部位には、ネジ開口3Jwが形成されている。ネジ開口3Jwには雌ネジが形成されている。このネジ開口3Jwに対応させて、蓋部材3Jfが配設される。蓋部材3Jfは、略中央部分に突設する雄ネジ部を有し、ネジ開口3Jwを開閉自在とする蓋部材である。蓋部材3Jfの雄ネジ部は、ネジ開口3Jwの雌ネジに螺合することで、蓋部材3Jfを操作部3Jの把持部側面に固定し得るように構成される。なお、蓋部材3Jfと操作部3Jの把持部側面との間には、シール部材72が配設されており、水密構造を構成している。
このように構成された本実施形態の内視鏡においては、操作部3Jの把持部側面の蓋部材3Jfを取り外すと、プーリー11の回転軸のツマミ部11aが外部に向けて露呈されるようになっている。したがって、異常検出後、駆動停止制御が行われて、プーリー11と回転体9とが固着状態となった時には、蓋部材3Jfを操作部3Jの把持部側面から取り外した後、固着解除用工具153を用いてプーリー11の回転軸のツマミ部11aを摘まみ、手動にてこれを回動させればよい。これにより、プーリー11と回転体9との固着状態は容易に解除させることができる。
以上説明したように上記第12の実施形態によれば、上述の第9の実施形態と同様の効果を得ることができる。
[第13の実施形態]
図39〜図41は、本発明の第13の実施形態の内視鏡における牽引部材操作装置の概略構成を示す図である。図39は、内視鏡における牽引部材操作装置を側面から見たようすを示し、異常発生後の駆動停止時においてプーリーと回転体とが固着した状態(湾曲部が湾曲している状態)を示している。図40は、図39の状態において、工具を作用させて固着状態を解除しているようすを示す。図41は、図40の状態を上面から見た際のようすを示す。
本実施形態の内視鏡1Kの基本的な構成は、上述の第1の実施形態と略同様である。本実施形態の内視鏡1Kにおいては、図39に示すように、牽引部材操作装置の構成部材のうちの回転体9Kの構成が上述の第1の実施形態とは異なる。また、これに対応して、異常時に喰い付き状態を解除するための固着解除用工具154の形態及びこの固着解除用工具154を内視鏡1Kに装着するための構成が異なる。
即ち、本実施形態の内視鏡1Kにおける牽引部材操作装置の回転体9Kは、外周面上の所定の部位に所定の範囲に渡って歯車部9Khが形成されている。この歯車部9Khは、後述する固着解除用工具154の平ギヤー154aの歯車部154aa(図40,図41参照)が噛合する部位である。
また、内視鏡1Kの内部固定部(フレーム)の所定部位には、固着解除用工具154を回動自在に配設するための工具着脱用穴部3Khが形成されている。そして、この工具着脱用穴部3Khに対向する部位であって、内視鏡1Kの操作部外装の側面部位には、工具着脱用開口3Kwが設けられている。なお、工具着脱用開口3Kwは、内視鏡1Kの操作部外装と同じ部材によって着脱自在に形成される蓋部材によって開閉自在となっている。
したがって、本実施形態の内視鏡1Kは、通常使用時には図39に示す状態で使用される。そして、例えば内視鏡1Kの使用中等に異常動作が検出されて、駆動停止制御が実行された場合には、内視鏡1Kの操作部外装の上記蓋部材を取り外して、上記工具着脱用開口3Kwより上記固着解除用工具154を内視鏡1Kの操作部内部に挿入し、固着解除用工具154の回転軸154cを工具着脱用穴部3Khに嵌合させる。これによって、固着解除用工具154の平ギヤー154aの歯車部154aaは回転体9Kの歯車部9Khに噛合する。
固着解除用工具154は、歯車部154aaを外周面上に有する平ギヤー154aと、この平ギヤー154aの回転軸154cと、この回転軸154cの一端に軸支されるハンドル部154bとによって主に構成されている。上記平ギヤー154aは、回転軸154cの他端寄りの部位に、該回転軸154aと一体に固設されている。なお、回転軸154cの他端は、上記平ギヤー154aよりも外部に突出している。
このように構成された固着解除用工具154は、上述したように異常検出後の駆動停止制御がなされた状態の内視鏡1Kに対し、工具着脱用穴部3Khを介して取り付けられる。固着解除用工具154を内視鏡1Kの操作部内部の所定の部位に取り付けた状態を図40に示している。なお、図39,図40においては、工具着脱用開口3Kwを点線で示している。
このように構成された本実施形態の内視鏡1Kにおいては、操作部外装側面の蓋部材を取り外すと、工具着脱用穴部3Khに固着解除用工具154を取り付け可能な状態になる。したがって、異常検出後、駆動停止制御が行われて、プーリー11と回転体9とが固着状態となった場合には、上記蓋部材を操作部外装側面から取り外した後、固着解除用工具154を内視鏡1Kの操作部内部に挿入し、固着解除用工具154の回転軸154cを工具着脱用穴部3Khに嵌合させ、平ギヤー154aの歯車部154aaと回転体9Kの歯車部9Khとを噛合させる。この状態で、使用者はハンドル部154bを掴んで固着解除用工具154を、例えば図40の符号CW方向に回動させる。すると、回転体9Kは、図40の符号CCW方向に回動する。これにより、プーリー11と回転体9Kとの固着状態を解除することができる。
以上説明したように上記第13の実施形態によれば、上述の第9の実施形態と同様の効果を得ることができる。
[第14の実施形態]
図42,図43は、本発明の第14の実施形態の内視鏡における牽引部材操作装置の概略構成を示す図である。図42は、通常状態の牽引部材操作装置を上面側から見たようすを示す。図43は、図42と同方向から見た際のようすを示し、異常発生後の駆動停止時においてプーリーと回転体との固着状態を解除する際のようすを示す。
本実施形態の内視鏡の基本的な構成は、上述の第12の実施形態と略同様である。図42に示すように、本実施形態の内視鏡においては、牽引部材操作装置の構成部材のうちのプーリー11と第2歯車32Lとの連結を解除し得るように構成した点が、上述の第12の実施形態とは異なる。
即ち、本実施形態においては、操作部把持部の内部において、プーリー11は、内部固定部材である仕切板59,59aを挟んで配設されている。図42に示すように、仕切板59にはプーリー11の回転軸の一端を回動自在に軸支する軸受70が設けられており、仕切版59aにはプーリー11の回転軸の他端を回動自在に軸支する軸受71が設けられている。これにより、プーリー11は回動自在に軸支されている。
なお、本実施形態においては、モータ12と、プーリー11の回転軸との間の駆動力伝達部材を、平歯車からなる第1歯車31L,第2歯車32Lによって構成するようにしているが、この駆動力伝達部材の構成は、上述の各実施形態にて例示した第1カサ歯車31,第2カサ歯車32とは形態が異なるのみであり、略同様の機能を備えるものである。
また、プーリー11の回転軸の一端は、仕切板59の軸受70を貫通して延出されていて、その先端部に第2歯車32Lが固設されている。
第2歯車32Lは、平歯車32Laと、フランジ部32Lbによって形成されている。フランジ部32Lbには、プーリー11の回転軸が貫通する貫通穴と、この貫通穴に直交するピン穴32cが形成されている。このピン穴32cに対応させて、プーリー11の回転軸にも、該回転軸の軸方向に直交するピン穴11dが穿設されている。
そして、図42に示すように、プーリー11の回転軸の一端に、第2歯車32Lを取り付けた状態、即ちプーリー11の回転軸を上記第2歯車32Lのフランジ部32Lbの貫通に貫通させた状態とし、かつピン穴32cとピン穴11dとを一致させたる状態としたとき、ここに、ピン61が挿通配置されるようになっている。このピン61の先端側には抜け止め部材であるEリング62を係合させる周溝が形成されている。
つまり、ピン61をピン穴32c及びピン穴11dに挿通配置することにより、第2歯車32Lとプーリー11の回転軸とは一体化される。したがって、第2歯車32Lがモータ32からの駆動力を受けて回転させられると、プーリー11も回転するように構成される。なお、この状態でピン61が抜去してしまわないように、Eリング62がピン61の周溝に係合配置されている。一方、プーリー11の回転軸の他端は、上述の第12の実施形態と同様にツマミ部11aが形成されている。
また、操作部把持部の上面側の所定の部位には、牽引部材操作装置のうち上記プーリー11のツマミ部11aから、上記第2歯車32Lとプーリー11の回転軸との連結部位(ピン61及びEリング62の近傍部位)までの範囲が外部に露呈され得るサイズの開口(不図示)が形成されている。この開口は不図示の蓋部材にて開閉自在となっている。
このように構成された本実施形態の内視鏡においては、操作部把持部の上面の蓋部材を取り外すと、プーリー11の回転軸のツマミ部11aと、上記第2歯車32Lとプーリー11の回転軸との連結部位(即ちピン61及びEリング62の近傍部位)とが外部に向けて露呈される。したがって、異常検出後、駆動停止制御が行われて、プーリー11と回転体9とが固着状態となった時には、まず蓋部材を操作部把持部の上面から取り外した後、例えば上述の第12の実施形態で例示した固着解除用工具153等を用いて、上記Eリング62を取り外し、ピン61を抜去する。これによってプーリー11は第2歯車32Lに対して自由状態になる。即ち、モータ12からプーリー11までの間の駆動力伝達経路が遮断される。したがって、プーリー11も回動方向に自由状態になる。
しかしながら、このときプーリー11と回転体9とが固着状態になっていることからプーリー11は自由に回動しない状態となっている。そこで、プーリー11の回転軸のツマミ部11aを、例えば上述の第12の実施形態で例示した固着解除用工具153等を用いて摘まんだ上で手動にてこれを回動させる。これにより、プーリー11と回転体9との固着状態を解除することができる。
以上説明したように上記第14の実施形態によれば、上述の第12の実施形態と同様の効果を得ることができる。
[第15の実施形態]
図44,図45は、本発明の第15の実施形態の内視鏡における牽引部材操作装置の概略構成を示す図である。図44は、内視鏡における牽引部材操作装置を側面から見たようすを示し、異常発生後の駆動停止時においてプーリーと回転体とが固着した状態(湾曲部が湾曲している状態)を示している。図45は、牽引部材操作装置を上面側から見たようすであって、異常発生後の駆動停止時においてプーリーと回転体との固着状態を解除する際のようすを示す。
本実施形態の内視鏡1Mの基本的な構成は、上述の第12の実施形態と略同様である。本実施形態の内視鏡1Mにおいては、図44に示すように、牽引部材操作装置の構成部材のうちのプーリー11Mの形態が、上述の第12の実施形態とは若干異なる。また、モータ12とプーリー11Mの回転軸との間の駆動力伝達部材(平歯車からなる第1歯車31M,第2歯車32M;図45参照)の構成は上述の第14の実施形態と略同様としている。
本実施形態においては、プーリー11Mに複数(図44の例では4つ)の固着解除用工具穴11Mhを設けて構成している。固着解除用工具穴11Mhは、プーリー11Mの側面に向けた開口を有し、プーリー11Mの回転軸11aと平行方向に延出し所定の深さを有するように形成されている。
プーリー11Mの回転軸11aの一端は、軸受70によって回動自在に軸支されている。このプーリー11Mの回転軸11aの一端の先端寄りの部位には、過負荷保護装置であるトルクリミッタ32Maを介して第2歯車32Mが固設されている。トルクリミッタ32Maは、所定の設計値以上の過大なトルクが作用したときに滑りが生じて、そのトルクの伝達を遮断する構成部である。本実施形態におけるトルクリミッタ32Maは、後述するように、異常検出後の駆動停止時において、プーリー11Mと回転体9との固着状態を解除するための作業を行う際に、プーリー11Mと第2歯車32Mとの間の伝達が遮断されて、プーリー11Mを手動にて回動させ得るようにするために設けられる。
本実施形態において、プーリー11Mの回転軸11aの他端は、仕切版59a設けられた軸受71によって回動自在に軸支されている。ここで、本実施形態において、仕切版59aは、図45に示すように、プーリー11Mの回転軸11aを軸支しつつ、プーリー11Mの側面に形成された固着解除用工具穴11Mhを覆うことのないような形状に形成されている。
なお、図示を省略しているが、操作部把持部の側面に開口を設け、この開口を蓋部材によって開閉自在とする構成等については、上述の第12の実施形態等と略同様である。
このように構成された本実施形態の内視鏡1Mにおいては、操作部把持部の側面の蓋部材を取り外すと、プーリー11Mの側面(の固着解除用工具穴11Mh)が外部に向けて露呈される。したがって、異常検出後、駆動停止制御が行われて、プーリー11Mと回転体9とが固着状態となった時には、蓋部材を操作部把持部の側面から取り外した後、図45に示すように、固着解除用工具155をプーリー11Mの固着解除用工具穴11Mhのうち、回転軸11aを挟んで対向する位置にある一対の穴に対して挿入し、手動にてプーリー11Mを回動させる。これにより、プーリー11Mと回転体9との固着状態は容易に解除させることができる。
以上説明したように上記第15の実施形態によれば、上述の第12の実施形態と同様の効果を得ることができる。また、本実施形態では、プーリー11Mの側面に固着解除用工具穴11Mhを形成したので、上述の第12の実施形態等の例(軸部を摘んでプーリーを回動させる場合)に比べて、より少ない力量でプーリー11Mを回動させることができる。したがって、プーリーと回転体との固着状態を解消させる作業をより容易に行うことができる。
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲内において種々の変形や応用を実施し得ることが可能であることは勿論である。さらに、上記実施形態には、種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組み合わせによって、種々の発明が抽出され得る。例えば、上記一実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題が解決でき、発明の効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
本発明は、医療分野の内視鏡だけでなく、工業分野の内視鏡にも適用することができる。
1,1A,1B,1C,1D,1E,1F,1G,1H,1K,1M……内視鏡
2……挿入部,2a……先端部,2b……湾曲部,2c……可撓管部
3,3D,3E,3F,3G,3H,3J……操作部
3a……把持部,3b……操作部本体,4……ユニバーサルコード
5,5D,5E……操作子,5LR……左右ノブ,5UD……上下ノブ
8……湾曲ワイヤー
8d……下用湾曲ワイヤー,8l……左用湾曲ワイヤー,8r……右用湾曲ワイヤー,8u……上用湾曲ワイヤー,8Ca……操作側ワイヤー,8Cb……湾曲側ワイヤー
9,9A,9G,9K……回転体
9a……環状部,9b……回転量調整部,9c……隙間
10……牽引部材操作装置
11,11E,11M……プーリー,11a……プーリー軸
12,32……モータ,12a……モータ軸,12c……エンコーダ
13……吊り枠13,14……ユニバーサルジョイント
15,15A,15B,15C……制御装置
15a……モータ制御部,15b……電流値検出部,15c……喰い付き判定部,15d……記憶部,15e……モータ回転量検出部,15f……回転体回転量検出部,15g……操作子移動量検出部,15h……操作ワイヤ移動量検出部,15i……湾曲ワイヤ移動量検出部
16……表示装置,17……光源装置
18,19……ポテンショメータ
20a……操作ワイヤ移動検出センサ,20b……湾曲ワイヤ移動検出センサ
30……駆動力伝達機構部,31……第1カサ歯車,32……第2カサ歯車,32Ma……トルクリミッタ
41,42……ストッパ部材
59,59a……仕切板,59b……蓋部材,60……フレーム,70,71……軸受
90A,100……駆動力伝達部
108……押圧板
109……操作入力伝達ワイヤー
151,152,153,154,155……固着解除用工具

Claims (8)

  1. 湾曲部を有する挿入部と、
    前記湾曲部を湾曲させる牽引部材と、
    前記牽引部材を牽引するための力量を入力する操作部材と、
    前記牽引部材を牽引して前記湾曲部を湾曲させる駆動力を発生させる駆動部と、
    前記牽引部材の牽引動作に連動して前記牽引部材に対して前記駆動力が伝達しない状態から前記牽引部材に対して前記駆動力が伝達する状態に切り換え可能な牽引部材設置部と、
    前記駆動部から前記牽引部材設置部に対して伝達される前記駆動力の伝達状態を駆動力伝達状態情報として取得する検出部と、
    前記検出部が取得した駆動力伝達状態情報を用いて前記駆動力の伝達状態が異常であるか否かを判断し、異常であることを確認した場合には、前記駆動部を停止させる制御信号を前記駆動部へ出力する制御部と、
    を有することを特徴とする内視鏡。
  2. 前記検出部は、前記伝達状態として前記駆動部の駆動トルク又は電流を取得することを特徴とする請求項1に記載の内視鏡。
  3. 前記検出部は、前記駆動部の駆動量と前記駆動部と共に連動する前記牽引部材設置部の駆動量を取得し、前記伝達状態として前記駆動部及び前記牽引部材設置部のそれぞれの駆動量の差分を算出することを特徴とする請求項1に記載の内視鏡。
  4. 前記検出部は、前記操作部材の操作入力量と前記駆動部と共に連動する前記牽引部材設置部の駆動量を取得し、前記伝達状態として前記操作入力量と前記駆動量の差分を算出することを特徴とする請求項1に記載に内視鏡。
  5. 前記検出部は、前記牽引部材の前記湾曲部と前記牽引部材設置部との間の張力として湾曲部側張力と、前記牽引部材の前記牽引部材設置部と前記操作部材の間の張力として操作部側張力又は、前記牽引部材設置部の駆動量又は、前記操作部材への前記入力の入力量又は、前記牽引部材設置部と前記操作部材の間における前記牽引部材の移動量を取得し、前記湾曲部側張力と操作部側張力の相関関係の変化又は、前記湾曲部側張力と駆動量の相関関係の変化又は、前記湾曲部側張力と前記駆動量の相関関係の変化又は、前記湾曲部側張力と前記入力量の相関関係の変化又は、前記湾曲部側張力と前記移動量の相関関係の変化を前記伝達状態として算出することを特徴とする請求項1に記載の内視鏡。
  6. 前記検出部は、前記湾曲部の湾曲角度と、前記牽引部材の前記牽引部材設置部と前記操作部材の間の張力として操作部側張力又は、前記牽引部材設置部の駆動量又は、前記操作部材への前記入力の入力量又は、前記牽引部材設置部と前記操作部材の間における前記牽引部材の移動量を取得し、前記湾曲角度と前記操作部側張力の相関関係の変化又は、前記湾曲角度と前記駆動量の相関関係の変化又は、前記湾曲角度に対する前記駆動量の相関関係の変化又は、前記湾曲角度と前記入力量の相関関係の変化又は、前記湾曲角度と前記移動量の相関関係の変化を前記伝達状態として算出することを特徴とする請求項1に記載の内視鏡。
  7. 前記検出部は、前記湾曲部の湾曲速度と、前記牽引部材の前記牽引部材設置部と前記操作部材の間の張力として操作部側張力の増加速度又は、前記牽引部材設置部の駆動速度又は、前記操作部材への前記入力の入力速度又は、前記牽引部材設置部と前記操作部材の間における前記牽引部材の移動速度を取得し、前記湾曲速度と前記増加速度の相関関係の変化又は、前記湾曲速度と前記駆動速度の相関関係の変化又は、前記湾曲速度と前記駆動速度の相関関係の変化又は、前記湾曲速度と前記入力速度の相関関係の変化又は、前記湾曲速度と前記移動速度の相関関係の変化を前記伝達状態として算出することを特徴とする請求項1に記載の内視鏡。
  8. 前記検出部は、前記湾曲部の湾曲加速度と、前記牽引部材の前記牽引部材設置部と前記操作部材の間の張力として操作部側張力の増加加速度又は、前記牽引部材設置部の駆動加速度又は、前記操作部材への前記入力の入力加速度又は、前記牽引部材設置部と前記操作部材の間における前記牽引部材の移動加速度を取得し、前記湾曲加速度と前記増加加速度の相関関係の変化又は、前記湾曲加速度と前記駆動加速度の相関関係の変化又は、前記湾曲加速度と前記駆動加速度の相関関係の変化又は、前記湾曲加速度と前記入力加速度の相関関係の変化又は、前記湾曲加速度と前記移動加速度の相関関係の変化を前記伝達状態として算出することを特徴とする請求項1に記載の内視鏡。
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