JP2013158213A - 回転電機 - Google Patents

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Abstract

【課題】円筒状のコア基準面の周方向に複数のスロットが分散配置されているコアに、高い占積率でコイル用導体線が巻き付けられた回転電機を提供する。
【解決手段】円筒状のコア基準面の周方向に複数のスロット22が分散配置されていると共にスロット22のそれぞれがコア基準面の径方向内側又は径方向外側のいずれかに向かう方向を開口方向とするスロット開口部22bを有しているコアと、コアに巻きつけられたコイル用導体線4とを備えた回転電機であって、コイル用導体線4は、断面形状が変形可能であって、断面形状を円形状とした状態での直径φがスロット開口部22bの周方向の幅であるスロット開口幅W1よりも大きく、スロット開口幅W1以下に扁平化可能となる可撓性を有している。
【選択図】図5

Description

本発明は、円筒状のコア基準面の周方向に複数のスロットが分散配置されているコアと、当該コアに巻きつけられたコイル用導体線とを備えた回転電機に関する。
電動機又は発電機としての回転電機に備えられ、電機子として機能するステータやロータは、複数のスロットを有するコア(ステータコアやロータコア)にコイルが取り付けられて構成される。例えば、電機子として構成されるステータは、ステータコアの周方向に分散配置された複数のスロットに、断面が円形の導体線が多数回巻き付けられたコイルを備えて構成される。しかし断面が円形の導体線では、当該導体線がステータに取り付けられる際にスロット内において導体線間に隙間が生じ易く、コイルの占積率を高めることが難しい。導体線間の隙間を小さくして占積率を高めるためには、導体線の径を小さくすることも有効である。しかし、導体線の径を小さくする場合には、コアに巻き付ける際に断線しないような工夫が必要となったり、コアへの巻き付け回数が多くなって巻き付け工程に長い時間を要したりする等の課題がある。一方、占積率を高めるためには、断面が矩形状の導体素線を用いてコイルを構成することも有効である。しかし、この場合には、スロットの形状も導体線の断面形状に対応する形状に限定され、スロット或いはティースの形状を必ずしも最適な形状とすることができない可能性がある。
特開2002−125338号公報(特許文献1)には、断面形状が円形の導体線をスロット内に装着し、装着後に押圧することによって導体線の断面形状を矩形状に成形し、コイルの占積率を向上させる技術が開示されている(第65−66段落、図16等)。また、特開2011−91943号公報(特許文献2)には、導体を複数本まとめて束ねた導体束を絶縁体で覆ったものを断面形状が変形可能な導体線として用いることが開示されている。特許文献2では、ティースごとに分割された分割コアに巻き付けられた導体線が成形型によって所望のコイル形状に成形される(第50−52段落、図5−9等)。
特許文献1及び特許文献2に開示された技術は、コイルの占積率を向上させることのできる優れた技術である。しかし、スロットの形状には、スロットの開口部の周方向幅が、スロットの内部空間の周方向幅よりも狭いセミオープンスロットと称されるものもある。特許文献1のように、スロットの開口部の周方向幅とスロットの内部空間の周方向幅とが同じオープンスロット(フルオープンスロット)の場合には、径方向から導体線をスロット内に挿入することができるが、セミオープンスロットでは軸方向から導体線をスロット内に挿入する必要がある。このため、連続して導体線を巻き付けることができず、複数箇所で導体線を溶接する必要が生じて工数が増加したり、溶接によって損失が増加したり、回転電機の小型化が阻害されたりする可能性がある。また、特許文献2の技術は、分割コアには適用可能であるが、例えば円筒状に形成された一体型のコアに適用することは困難である。
特開2002−125388号公報 特開2011−91943号公報
上記背景に鑑みて、円筒状のコア基準面の周方向に複数のスロットが分散配置されているコアに、高い占積率でコイル用導体線が巻き付けられた回転電機が望まれる。
上記課題に鑑みた本発明に係る回転電機の特徴構成は、
円筒状のコア基準面の周方向に複数のスロットが分散配置されていると共に前記スロットのそれぞれが前記コア基準面の径方向一方側に向かう方向を開口方向とするスロット開口部を有しているコアと、当該コアに巻きつけられたコイル用導体線とを備えた回転電機であって、
前記コイル用導体線は、断面形状が変形可能であって、当該断面形状を円形状とした状態での直径が前記スロット開口部の前記周方向の幅であるスロット開口幅よりも大きく、前記スロット開口幅以下に扁平化可能となる可撓性を有している
点にある。
この特徴構成によれば、コイル用導体線が、断面形状が円形状の場合にその直径がスロット開口幅よりも大きく、スロット開口幅以下に扁平化可能となる可撓性を有している。このため、断面形状が円形状の場合に、そのままではスロット内に挿入することができないコイル用導体線も、例えば、その周方向線幅がスロット開口幅以下となった状態であれば、スロット開口部からスロット内に挿入することができる。従って、線径の太い導体線をコイル用導体線として用いることができ、スロット内における導体線の数を低減することによりスロット内の絶縁被覆を減らすことが可能となり占積率を低減でき、かつ断線の可能性を低くできると共に、コアへの巻き付け回数が多くなることが抑制される。よって、高い信頼性及び高い生産効率を有する回転電機を得ることができる。また、コイル用導体線は、可撓性を有しているため、スロット内においては、例えば、その線幅を可撓性の範囲内で、スロット内の周方向幅まで広げることも可能である。従って、スロット内におけるコイル用導体線の占積率も高められる。このように、本特徴構成によれば、円筒状のコア基準面の周方向に複数のスロットが分散配置されているコアに、高い占積率でコイル用導体線が巻き付けられた回転電機を提供することができる。
上述したように、コイル用導体線は可撓性を有している。一般的に可撓性を有している物体が安定する形状は、円形や球形である。コイル用導体線のように、長尺の物体では、その長尺方向(延在方向)に直交する面である断面の形状が円形の場合に安定することが多い。従って、スロット内におけるコイル用導体線の断面形状は、コイル用導体線に外力が印加されない状態では、円形状となる可能性が高い。スロット内のコイル用導体線に外力を印加して、占積率を高めることも考慮すれば、外力が印加されない状態において、コイル用導体線が安定形状となっており、自由な変形が可能な状態となっていることが望ましい。このためには、スロット内の少なくとも一部分であっても、その周方向幅は、コイル用導体線の断面形状が円形状の状態での直径よりも大きいことが望ましい。1つの態様として、本発明に係る回転電機において、前記スロットは、前記周方向のスロット幅の最大値である最大スロット幅が前記スロット開口幅よりも大きい形状とされ、前記コイル用導体線は、断面形状を円形状とした状態での直径が、前記最大スロット幅以下であると好適である。
ここで、本発明に係る回転電機の前記コイル用導体線は、導体素線を複数本集合させてなる導体素線束と、前記導体素線束の周囲を被覆する可撓性の絶縁被覆材とを備え、前記導体素線束の延在方向に直交する延在直交平面での前記絶縁被覆材の断面形状が変形可能な導体線であると好適である。ここで、導体素線束の周囲とは、当該導体素線束の延在直交平面での断面の周囲のことである。絶縁被覆材が可撓性を有していることにより、最大変形範囲がある集合被覆線(導体素線束及びそれを被覆する絶縁被覆材により構成される導体線)において、その断面形状が円形に対して柔軟な形状に変形可能となる。従って、このコイル用導体線を用いることにより、高い占積率でコイル用導体線が巻き付けられた回転電機を得ることができる。
絶縁被覆材が可撓性を有している前記コイル用導体線は、さらに、前記絶縁被覆材の径方向内側に前記導体素線同士が相対移動可能な被覆内隙間を有していると好適である。絶縁被覆材が可撓性を有すると共に絶縁被覆材の径方向内側に被覆内隙間が存在することにより、この被覆内隙間において導体素線同士が相対移動可能となる。従って、絶縁被覆材が高い伸縮性を有していない場合であっても、延在直交平面での導体線の断面形状を比較的自由に変形させることができる。従って、このコイル用導体線を用いることにより、高い占積率でコイル用導体線が巻き付けられた回転電機を得ることができる。
ここで、本発明に係る回転電機は、前記コアが、前記スロット開口部を含む開口側領域と、当該開口側領域に対して前記開口方向とは反対方向である奥行方向側の奥側領域とで、前記スロットの形状を異ならせて形成されており、前記開口側領域では、前記周方向に隣り合う2つの前記スロットの間に形成されたティースのそれぞれの前記周方向の両側面が互いに平行に形成され、前記奥側領域では、前記スロットのそれぞれの前記周方向に対向する内面が互いに平行に形成されていると好適である。スロットがこのような形状で構成されていると、コイル用導体線の最大線幅と最大スロット幅とを効果的に対応させることによって、スロット内におけるコイル用導体線の占積率を高めることができる。また、ティースの先端部に対応するスロットの開口側領域では、ティースの幅を確保できるため、磁路となるコアの幅も良好に確保することができ、高い磁気性能を得ることができる。
上述したように、スロット内のコイル用導体線に外力を印加して、断面形状を変形させることによって、スロット内における隙間を減少させて占積率を高めることができる。ここで、コイル用導体線が最大スロット幅以上に幅広化可能であると、一方向からの外力に印加によって、スロット内の周方向の空間をコイル用導体線で満たすことが可能となる。例えば、スロット開口部から奥行方向に向かい、径方向に沿って外力(押圧力)を印加することによって、複数のコイル用導体線を径方向に一列に並べることも可能となる。この際のコイル用導体線の断面形状の変化は、ほぼ一方向(周方向)に集約されるから、大きい変形を必要とせず、コイル用導体線を径方向に整列させることが可能となる。
コアにおける電気的性能及び磁気的性能を安定的に確保する上では、複数のスロットのそれぞれにおけるコイル用導体線の配列がほぼ同じ状態であることが望ましい。1つの態様として、本発明に係る回転電機において、前記スロット内には、複数本の前記コイル用導体線が前記コア基準面の径方向に積み重ねて配列されていると好適である。尚、ここで、“複数本のコイル用導体線”とは、独立したコイル用導体線が複数本存在することに限定されるものではない。スロット外で切断されることなくつながっている(連続する)1本のコイル用導体線の各部分が、同一のスロット内に存在する状態も、当然ながら“複数本のコイル用導体線”に含まれる。
実施形態に係る回転電機の斜視図 ステータの部分拡大断面図 導体線の構造を示す斜視図 導体線の構造を示す断面図 スロットの周方向幅と導体線の線幅との関係の一例を示す図 コイルユニットとしてのステータの製造方法の一例を示すフローチャート 1つのスロットに対する製造工程の一例を示す説明図 スロットの周方向幅と導体線の線幅との関係の他の例を示す図 スロットの周方向幅と導体線の線幅との関係の他の例を示す図 スロットの周方向幅と導体線の線幅との関係の他の例を示す図 平行スロット及び平行ティースの一例を示す拡大断面図 スロットの周方向幅と導体線の線幅との関係の他の例を示す図 被覆内隙間を説明するための導体線の仮想断面図 被覆内隙間を説明するための導体線の仮想断面図 1つのスロットに対する製造工程の他の例を示す説明図 スロット内の導体線の配列の他の例を示す図
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。ここでは、本発明を、図1に示すような、インナーロータ型の回転電機100に適用した場合を例として説明する。尚、以下の説明で用いる、「軸方向L」、「周方向C」、「径方向R」は、特に断らない限り、後述するステータコア2の円筒状のコア基準面21(例えばステータコア2の内周面)の軸心を基準として定義されたものである(図1参照)。
回転電機100のステータ1においてコイル3(ステータコイル)を構成する導体線4(コイル用導体線)は、断面形状が変形可能である。本実施形態では、この導体線4は、図3に示すように、導体素線41が複数本集合して構成された導体素線束42と、導体素線束42の周囲を被覆する可撓性の絶縁被覆材46とを備えて構成されている。即ち、導体線4は、導体素線41が複数本集合した導体素線束42の周囲を、可撓性を有する絶縁被覆材46により被覆した構造を有している。本実施形態では、このような導体線4を用いた回転電機を例として説明する。具体的には、このような導体線4を用いて構成されたコイルユニットを、電機子(ステータ又はロータ、本実施形態ではステータ1)とする回転電機100を例として説明する。
はじめに、本実施形態に係る回転電機100の全体構成について説明する。図1に示すように、回転電機100は、ステータ1と、このステータ1の径方向Rの内側に回転可能に設けられたロータ6とを備えている。ステータ1は、ステータコア2と、このステータコア2に取り付けられたコイル3(ステータコイル)とを備えて構成される。本実施形態では、コイル3は導体線4を用いて構成されている。尚、図1では、煩雑さを避けるために、コイル3の内、ステータコア2から軸方向Lに突出する部分に相当するコイルエンド部については、一対のスロット22から突出する部分のみを示し、他の部分については図示を省略している。図1では、残りのスロット22の軸方向Lの端部には、コイル3を構成する複数本の導体線4の断面が表れている。また、図1では、ロータ6の一部が透視的に描かれている。
ステータコア2(コア)は、磁性材料を用いて形成されている。ステータコア2は、例えば、円環板状の電磁鋼板を複数枚積層した積層構造体として、或いは磁性材料の粉体を加圧成形してなる圧粉材を主な構成要素として、形成することができる。ステータコア2は、導体線4を巻き付け可能とすべく、複数のスロット22を有する。ここでは、スロット22は、ステータコア2の円筒状のコア基準面21の軸方向Lに延在する空間を有すると共に、当該コア基準面21の周方向Cに複数、分散配置されている。また、複数のスロット22は、ステータコア2の軸心から放射状に、径方向Rに延在する空間を有して形成されている。尚、「円筒状のコア基準面21」とは、スロット22の配置や構成に関して基準となる仮想的な面である。本実施形態では、図1に示すように、隣接する2つのスロット22の間に形成される複数のティース23の径方向Rの内側の端面を含む仮想的な円筒状の面であるコア内周面を、コア基準面21としている。尚、円筒状のコア内周面と同心であって、軸方向L視(軸方向Lに沿って見た場合)における断面形状が当該コア内周面の軸方向L視における断面形状と相似の関係にある円筒状の面(仮想面を含む)も、本発明における「円筒状のコア基準面21」になり得る。本実施形態では、図1に示すように、ステータコア2は円筒状に形成されているため、例えば、ステータコア2の外周面を「円筒状のコア基準面21」とすることもできる。
ステータコア2は、周方向Cに沿って一定間隔で分散配置された複数のスロット22を有している。これら複数のスロット22は互いに同じ形状である。また、ステータコア2は、スロット22のそれぞれがコア基準面21の径方向Rの一方側に向かう方向を開口方向とするスロット開口部(後述する「径方向開口部22b」)を有している。具体的には、ステータコア2は、コア基準面21の径方向Rの内側方向(軸心方向)又は径方向Rの外側方向(外周方向)の何れかに向かう方向を開口方向とするスロット開口部を有している。ステータコア2は、このようなコアに導体線4を巻き付けて、コイルユニットとして製造される。
上述したように、ステータコア2は、周方向Cに互いに隣接する2つのスロット22の間に形成される複数のティース23を有する。図2に示すように、各ティース23の先端部には、ティース側面23aの他の部分(先端部よりも径方向Rの外側方向の部分)に対して周方向Cに突出する周方向突出部23bが形成されている。本実施形態では、図2に示すように、各ティース23において互いに周方向Cに沿って逆方向を向く2つのティース側面23aは、周方向突出部23bを形成するための段差部を除いた大部分が、互いに平行となるように形成されている。図2から明らかなように、これらの2つのティース側面23aは径方向Rに沿った方向において、互いに平行に配置されている。つまり、ティース23は平行ティースとして形成されている。
軸方向L及び径方向Rに延在する空間を有するスロット22は、換言すれば、周方向Cに所定の幅を有する溝状に形成されている。また、スロット22は、隣接する平行ティースの間に形成されているため、各スロット22は、周方向Cの幅が径方向Rの外側へ向かうに従って次第に広くなるように形成されている。つまり、各スロット22の内壁面22aは、周方向Cに互いに対向すると共に径方向Rの外側へ向かうに従って互いの間隔が広くなるように形成された2つの平面と、当該2つの平面よりも径方向Rの外側に形成されて軸方向Lに延びる断面円弧状の曲面とを有している。また、各スロット22は、径方向開口部22b(図2参照)を有すると共に、軸方向開口部22c(図1参照)を有するように形成されている。ここで、径方向開口部22bは、図2に示すように、ステータコア2の径方向Rの内側(コア基準面21に対応するステータコア2の内周面)に開口する部分である。また、軸方向開口部22cは、図1に示すように、ステータコア2の軸方向Lの両側(軸方向両端面)に開口する部分である。スロット22の内壁面22aには、スロット絶縁部24が設けられている。本実施形態では、内壁面22aの全体に絶縁粉体塗装が施されており、この絶縁粉体塗装の塗膜によってスロット絶縁部24が形成されている。
上述したように、各ティース23が先端部に周方向突出部23bを備えることにより、各スロット22の径方向開口部22bの開口幅(スロット開口幅W1)は、周方向突出部23bが対向する部分よりもスロット22の奥行方向側(径方向Rの外側)の部分に比べて狭くなっている。ここで、スロット開口幅W1は、径方向開口部22bにおける周方向Cの幅、即ち径方向Rに直交する方向の幅である。つまり、スロット開口幅W1は、図2に示されるように、ステータ1の軸方向Lに直交する面内における径方向開口部22b(スロット開口部)の幅である。図2に示すように、各スロット22は、スロット開口幅W1が、導体線4が配置される部分における周方向Cの幅(図5に基づいて後述する“スロット幅W”)よりも狭くなっている。換言すれば、スロット22は、径方向開口部22b(スロット開口部)よりも奥行方向側に、径方向開口部22bよりも周方向の幅が広い内部空間を備えている。つまり、本実施形態に係るステータコア2は、セミオープン型のスロット22を有して構成されている。また、このようなセミオープン型のスロット22は、当然ながら、周方向Cのスロット幅Wの最大値である最大スロット幅W9(図5参照)が、スロット開口幅W1よりも大きい形状を有している。
ところで、本実施形態では、回転電機100は三相交流(U相、V相、W相)で駆動される三相交流電動機又は三相交流発電機である。従って、ステータ1のコイル3(ステータコイル)は、三相(U相、V相、W相)のそれぞれに対応して、U相コイル、V相コイル、W相コイルに分けられている。そのため、ステータコア2には、U相用、V相用及びW相用のスロット22が、周方向Cに沿って繰り返し現れるように配置されている。上述したように、本実施形態の回転電機100は、インナーロータ型であり、電機子としてのステータ1の径方向Rの内側には、永久磁石や電磁石(図示せず)を備えた界磁としてのロータ6が、ステータ1に対して相対回転可能に配置されている。つまり、回転電機100は、ステータ1から発生する回転磁界によりロータ6が回転する回転界磁型の回転電機である。
本実施形態では、ステータコア2には、界磁の1極及び三相の1相当たり(毎極毎相当たり)のスロット数が“2”となるように、U相コイルが挿入される2つのU相用スロットと、V相コイルが挿入される2つのV相用スロットと、W相コイルが挿入される2つのW相用スロットとが、記載の順に周方向Cに沿って繰り返し現れるように配置されている。尚、毎極毎相あたりのスロット数は適宜変更可能であり、例えば“1”や“3”等とすることができる。また、回転電機100を駆動する交流電源の相数も適宜変更可能であり、例えば“1”、“2”、“4”等とすることも可能である。また、ステータコア2への導体線4の巻き方としては、公知の各種方法を用いることができる。例えば、重ね巻及び波巻のいずれか一方と集中巻及び分布巻のいずれか一方との組み合わせにより導体線4をステータコア2に巻き付けてステータ1(コイルユニット)を構成することができる。
ところで、図1に示すように、1つのスロット22内に収容された複数本の導体線4は、ステータコア2の軸方向Lの端部から突出し、周方向Cに延びて他のスロット22内に収容される。図示の例では、ステータコア2は周方向Cに分散して48個のスロット22を有しており、毎極毎相あたりのスロット数が“2”に設定されている。そして、1つのスロット22内の導体線4は、当該スロット22から6スロット離れて配置された他のスロット22内の導体線4に接続されている。図1では一対のスロット22間を結ぶ導体線4の部分のみを示しているが、他のスロット22についても同様である。つまり、実際には、ステータコア2から軸方向Lに突出した導体線4が、スロット22間を結んで周方向Cに延びるように配置される。ステータコア2から軸方向Lに突出する導体線4は、コイルエンド部を構成する。このコイルエンド部における導体線4の具体的な配置構成は、重ね巻や波巻等の具体的なコイル3の巻き方によって異なる。
次に、各相のコイル3を構成する導体である導体線4について説明する。この導体線4は、断面形状が変形可能であり、図5に示すように、当該断面形状を円形状とした状態での直径φ(線幅D1)は、径方向開口部22b(スロット開口部)の周方向の幅であるスロット開口幅W1よりも大きい。本実施形態では、図3に示すように、導体素線41を複数本集合させて構成される導体素線束42と、当該導体素線束42の周囲を被覆する可撓性の絶縁被覆材46とを有して構成される導体線4を例として説明する。
導体素線41は、例えば銅やアルミニウム等により構成された線状の導体である。図4に示すように、本実施形態では、各導体素線41は、延在方向Aに直交する平面である延在直交平面P(図3を参照)での断面形状が円形状であり、比較的小径のものが用いられる。例えば、好適には、直径(素線径)が0.2mm以下の導体素線41が用いられる。また、本実施形態では、導体素線41として、裸線を用いている。裸線による導体素線41は、銅やアルミニウム等の導体の表面が絶縁体によって覆われておらず、導体表面がむき出しとなっている。ところで、導体の表面が酸化してできる酸化皮膜は弱い電気的絶縁性を有する場合があるが、このような酸化皮膜はここでいう絶縁体には含まれない。従って、導体の表面に酸化皮膜が形成されたものも、この裸線による導体素線41に含まれる。尚、本実施形態では、導体素線41として裸線を用いているが、導体素線41の表面に、樹脂(例えばポリアミドイミド樹脂やポリイミド樹脂等)等の電気的絶縁材料からなる絶縁皮膜が形成されている構成を妨げるものではない。この絶縁皮膜は、後述する絶縁被覆材46とは異なり、各導体素線41の表面を覆う皮膜として形成されるものである。
導体素線束42を構成する導体素線41の本数は、最終的な導体線4の太さ(断面積)と、各導体素線41の太さ(断面積)及び形状とによって決定される。本実施形態では、図2に示すように、各スロット22内の空間を6本の導体線4によって満たすように、各導体線4の太さ(断面積)が設定されており、それに合わせて導体素線束42の太さ(断面積)、並びに導体素線41の本数及び太さ(断面積)等が設定されている。図3に示すように、本実施形態では、複数本の導体素線41を撚って束ねることにより1束の導体素線束42が構成されている。当然ながら、複数本の導体素線41を撚ることなく束ねることにより1束の導体素線束42が構成されてもよい。
絶縁被覆材46は、可撓性を有する電気的絶縁部材であり、導体素線束42の周囲を被覆するように設けられている。ここで、導体素線束42の周囲とは、延在直交平面Pでの導体素線束42の断面の周囲(外周)のことであり、導体素線束42の延在方向Aの端部は含まれない。即ち、絶縁被覆材46は、導体素線束42の周囲の全周を覆うように設けられる。但し、1つの導体線4を他の導体線4又は他の導体に電気的に接続するために、導体素線束42の延在方向Aの端部に接続部が設けられる場合には、当該接続部を除いて延在方向Aに沿った全域を覆うように絶縁被覆材46が設けられる。尚、導体素線束42の延在方向Aは、導体線4の延在方向と等しいため、導体素線束42の延在方向も、導体線4の延在方向も、同じ符号“A”で表す。
絶縁被覆材46としては、可撓性を有すると共に電気的絶縁性を有する材質が用いられ、例えば、フッ素系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリフェニレンスルファイド等の各種合成樹脂が用いられる。ここで、「可撓性」とは、曲げたり撓ませたりすることができる性質のことである。また、本実施形態に係る絶縁被覆材46は、導体線4を曲げたり撓ませたりしてステータコア2に巻き付けるために必要充分な伸縮性を有していれば良く、伸縮性はあまり高くなくても良い。ここで、「伸縮性」とは、伸びたり縮んだりすることができる性質のことである。ここでは特に、絶縁被覆材46の径方向における伸縮性は特に要求されない。例えば、外力が作用していない状態での真円状態における周長を基準とする伸長後の周長が130%以下、その中でも120%以下、更には110%以下に抑えられるような材料を用いて、絶縁被覆材46を構成することができる。このような絶縁被覆材46は、本実施形態では、導体素線束42の周囲を包む可撓性のシート状材料又は筒状材料によって構成されている。
上述したように、本実施形態では、導体素線41として、延在方向に直交する断面の形状が円形状のものを用いている。このため、導体素線束42を構成する複数の導体素線41同士の間には、図4に示すように、隙間Gが形成される。また、絶縁被覆材46の内周面46aと導体素線束42との間にも隙間Gが形成される。このように、導体線4は、絶縁被覆材46に囲まれた内部に隙間Gを有して構成されている。
このような構造を有する導体線4は、絶縁被覆材46の中で複数本の導体素線41の相対移動が可能である。このため、導体線4は、延在方向Aに直交する断面の形状を比較的自由に変形させることができる。つまり、導体線4は、絶縁被覆材46に囲まれた内部に形成された隙間Gによって、導体線4の断面形状が容易に変形可能なように構成されている。従って、この導体線4は、延在方向A(長さ方向)に沿って撓ませて変形させることが容易なだけでなく、延在方向Aに直交する断面の形状を変形させることも容易である。このように優れた可撓性を有する導体線4の詳細な構造については後述する。
本実施形態では、図5に示すように、導体線4の延在方向Aに直交する断面形状を円形状とした状態での導体線4(4N)の直径φ(線幅D1)は、径方向開口部22b(スロット開口部)の周方向Cの幅であるスロット開口幅W1よりも大きい。一方、少なくとも最大扁平時の導体線4(4F)の断面形状の短軸長D9は、スロット開口幅W1以下である。つまり、断面形状が変形可能な導体線4は、その線幅がスロット開口幅W1以下に扁平化可能な可撓性を有しており、その線幅Dも可変である。ところで、本実施形態のスロット22は、セミオープン型のスロットである。上述したように、周方向Cのスロット幅Wの最大値である最大スロット幅W9は、スロット開口幅W1よりも大きい。この場合、導体線4は、断面形状を円形状とした状態での直径φ(線幅D1)が、最大スロット幅W9以下であると好適である。
一般的に可撓性を有している物体が安定する形状は、円形や球形である。導体線4のように、長尺の物体では、その長尺方向(延在方向)に直交する面である断面の形状が円形の場合に安定することが多い。従って、スロット22内における導体線4の断面形状は、導体線4に外力が印加されない状態では、円形状となる可能性が高い。後述するように、スロット22内の導体線4に外力を印加して、スロット22内の導体線4の占積率が高められる。このことも考慮すれば、外力が印加されない状態において、導体線4が安定形状となり易く、自由な変形が可能な状態となっていることが望ましい。このためには、スロット22内の一部分であっても、その周方向の幅(スロット幅W)が、導体線4の断面形状が円形状の状態での直径φ(線幅D1)よりも大きいことが望ましい。つまり、導体線4は、断面形状を円形状とした状態での直径φ(線幅D1)が、最大スロット幅W9以下であると好適である。
また、この場合において、最大扁平時の導体線4(4F)の長軸長D5が最大スロット幅W9以上であると好適である(図5参照)。つまり、断面形状が変形可能な可撓性を有する導体線4は、その線幅がスロット開口幅W1以下に扁平化可能であると共に、最大スロット幅W9以上まで幅広化可能(スロット開口幅W1以下に扁平化する際と異なる方向に扁平化可能)であると好適である。例えば、線幅がスロット開口幅W1以下に扁平化する際の扁平方向(線幅が狭い部分の方向)を第1扁平方向として、第1扁平方向に対して直交する方向(第2扁平方向)に扁平化することを、幅広化と称する。尚、ここで、直交する方向とは、真に直交する方向に対して±約45度のずれを許容する概念である。
上述したように、スロット22内の導体線4に外力を印加して、断面形状を変形させることによって、スロット22内における隙間を減少させて導体線4の占積率を高めることができる。ここで、導体線4の最大扁平時の長軸長D5が最大スロット幅W9以上であると、一方向からの外力の印加によって、スロット22内の周方向Cの空間を導体線4で満たすことが可能となる。例えば、径方向開口部22b(スロット開口部)から奥行方向に向かい、径方向Rに沿って外力(押圧力)を印加することによって、複数の導体線4を径方向に一列に並べて配置することも可能となる。この際の導体線4の断面形状の変化は、ほぼ一方向(周方向)に集約されるから、大きい変形を必要とせず、導体線4を径方向Rに沿って整列させることが可能となる。また、各スロット22において、ほぼ共通の配列で導体線4を整列させることも可能となる。
続いて、導体線4のステータコア2に対する配置構成について説明する。図2に示すように、ステータコア2が有する複数のスロット22のそれぞれの中には、複数本(本例では6本)の導体線4が配置され、当該複数本の導体線4の内の隣り合う導体線4が互いに接するように配置されている。本実施形態では、各スロット22内の複数本の導体線4の全てが、周方向Cの同じ位置において径方向Rに沿って一列に並ぶように配置されている。つまり、スロット22内には、複数本の導体線4がコア基準面21の径方向Rに積み重ねて配列されており、本実施形態のステータ1は複数層巻構造(本例では6層巻構造)を有している。各導体線4は、各スロット22内において、当該スロット22に沿って軸方向Lに平行な方向を延在方向Aとして直線状に配置されているということもできる。
ここで、各スロット22内に配置された導体線4の本数は、各スロット22内に配置される部分のみに着目して数える。本実施形態では、ステータコア2から取り外した状態で1本につながっている導体線4を同じスロット22に6回巻き付けることにより、各スロット22内に6本の導体線4が配置された構成である。尚、ステータコア2から取り外した状態で2本の導体線4を同じスロット22に3回ずつ巻き付け、或いはステータコア2から取り外した状態で3本の導体線4を同じスロット22に2回ずつ巻き付けることにより、各スロット22内に6本の導体線4が配置された構成としてもよい。また、各スロット22内の6本の導体線4が、ステータコア2から取り外した状態でも6本独立している構成としてもよい。何れにしても、ステータコア2が有する複数のスロット22のそれぞれの中に、複数本(本例では6本)の導体線4が配置されるように導体線4がステータコア2に巻き付けられていればよい。
上述したように、導体線4は、延在直交平面Pでの断面形状を変形させることが容易な、可撓性を有した導体線である。従って、各スロット22内において、当該スロット22の形状に合わせて導体線4を変形させ、複数本の導体線4同士の隙間及び導体線4とスロット22の内壁面22aとの隙間を小さく抑え、導体線4の占積率を高めることができる。このように隙間が小さい状態を実現するため、各スロット22内において、隣り合う導体線4同士が互いに接した状態となっている。より詳しくは、図2に示すように、複数本の導体線4のそれぞれが、隣接する他の導体線4の接触面に沿った形状の接触面を有し、当該接触面において互いに面接触で接触している。また、本実施形態では、各スロット22内に配置された複数本の導体線4の全てが、スロット22の内壁面22aに沿った形状の部分を有し、当該部分において内壁面22aに面接触で接触している。即ち、各導体線4は、内壁面22aに平行であって当該内壁面22aに面接触で接触する接触面を有する。
上記のような導体線4の接触面は、スロット22内において、複数の導体線4のそれぞれが、内壁面22a又は他の導体線4に押し付けられて変形することにより形成されている。本実施形態では、各スロット22内において、複数本の導体線4が、径方向開口部22b側から押圧された状態での形状を保って配置されている。即ち、複数本の導体線4は、これらに外力が全く作用していない自然状態に比べて変形した状態となっている。
また、本実施形態においては、各スロット22内の空間が、複数本(本例では6本)の導体線4によって満たされるように、各導体線4の太さ(延在直交平面Pにおける断面積)が設定されている。従って、複数本の導体線4がスロット22内に収容された状態では、図2に示すように、各導体線4が互いに接触して或いはスロット22の内壁面22aと接触して変形し、複数本の導体線4同士の隙間及び導体線4とスロット22の内壁面22aとの隙間が非常に小さい状態となる。この状態では、複数本の導体線4の断面形状を合わせた形状は、スロット22の軸方向Lに直交する断面の形状に適合している。
本実施形態では、各スロット22の内壁面22aは、互いに非平行状態で対向する2つの平面や軸方向Lに延びる断面円弧状の面を有している。このようなスロット22に、断面形状が固定され、比較的その線幅が太い線状導体を配置すると、当該線状導体とスロット22の内壁面22aとの間の隙間が大きくなり易い。しかし、本実施形態の構成によれば、各導体線4の断面形状がスロット22の内壁面22aの形状に追従して変形することにより、内壁面22aとの隙間を小さくすることが容易になっている。このように各導体線4の断面形状が変形することによって、隣接する導体線4同士が密着し、或いは導体線4と内壁面22aとが密着して隙間が小さくなる。この際、各導体線4の断面形状が内壁面22aの形状に追従して変形することにより、或いは、断面形状が変形容易な導体線4同士が互いに押圧されることにより、複数本の導体線4のそれぞれの断面形状は様々に変形する。このため、同じスロット22の中に配置された複数本の導体線4は、断面形状がそれぞれ異なるものとなり得る。
上述したように隙間が少ない状態で複数本の導体線4がスロット22内に収容されるためには、各スロット22内において、複数本の導体線4がスロット22の径方向開口部22b側から押圧された状態での形状を保っていると好適である。本実施形態では、径方向開口部22bからの導体線4の飛び出しを抑えるために、スロット22の径方向開口部22bに、当該径方向開口部22bを塞ぐための閉塞部材25が配置されている。このような部材は、いわゆるウェッジと称される。この閉塞部材25は、ティース23の先端部に形成された周方向突出部23bの径方向Rの外側の面に当接することにより、導体線4を径方向Rの内側から支持する。このため、閉塞部材25は、スロット22の径方向開口部22bのスロット開口幅W1より大きい周方向Cの幅を有し、ステータコア2の軸方向Lの長さ以上の軸方向Lの長さを有する。この閉塞部材25は、各種合成樹脂等、磁気抵抗及び電気抵抗の比較的大きい材質により形成されていると好適である。これにより、複数本の導体線4が、径方向開口部22b側から押圧された状態での形状を保って配置される。尚、径方向開口部22bに閉塞部材25を配置しない構成とすることも、好適な実施形態の1つである。この場合には、例えば、径方向開口部22bに最も近い導体線4が、スロット22内で、径方向開口部22bのスロット開口幅W1よりも周方向Cに大きくなるように変形することによって、閉塞部材25の役割を担うことが可能である。
続いて、コイルユニットとしてのステータ1の製造方法について図6のフローチャートも利用して説明する。ステータ1を製造する一連の工程には、少なくとも、導体線4を、径方向開口部22b(スロット開口部)からスロット22内に挿入する挿入工程#2と、スロット22内に挿入された導体線4を押圧して導体線4の断面形状を変形させる押圧工程#3とが含まれる。尚、導体線4は、断面形状を円形状とした状態での直径φ(線幅D1)がスロット開口幅W1よりも大きいので、挿入工程#2では、スロット開口幅W1に平行な方向の線幅Dである周方向線幅がスロット開口幅W1以下となった状態の導体線4が、径方向開口部22b(スロット開口部)からスロット22内に挿入される。続く押圧工程#3では、スロット22内に挿入された導体線4が開口方向とは反対方向である奥行方向に押圧される。そして、周方向Cの線幅Dが、挿入工程#2において径方向開口部22b(スロット開口部)に挿入される際の周方向Cの線幅Dよりも大きくなるように導体線4の断面形状が変形される。また、挿入工程#2に先だって、導体線4の周方向Cの線幅Dとなる少なくとも一方向の線幅Dをスロット開口幅W1以下に変形させる扁平化工程#1が実施されると好適である。
上述した挿入工程#2及び押圧工程#3(或いは、扁平化工程#1〜押圧工程#3)は、スロット22内に配列させる導体線4の数が、規定数(本実施形態では“6”)となるまで繰り返される。規定数に達しているか否かは、反復判定工程#4によって判定される。スロット22内の空間が、複数本(6本)の導体線4によって満たされると、ここではスロット22の径方向開口部22bに、当該径方向開口部22bを塞ぐための閉塞部材25が配置される(閉塞工程#5)。上述したように、閉塞部材25は省略することも可能であり、その際には、この閉塞工程#5は省略することも可能である。このように、挿入工程#2において導体線4が1本ずつスロット22に挿入され、スロット22内には、複数本の導体線4がコア基準面21の径方向Rに積み重ねて配列される。
図7は、1つのスロットに対する一連の工程を模式的に示している。図7では、ステータコア2が備える複数のスロット22の中の1つのみを示しているが、他のスロット22についても同様の工程が実行される。図7の左側の模式図は、扁平化工程#1及び挿入工程#2を表したものである。図7に示すように、扁平化治具51を利用して、導体線4の周方向Cの線幅Dが、スロット開口幅W1以下の線幅D2となるように扁平化される。そして、周方向Cにおいて線幅D2に扁平化された導体線4が、径方向開口部22bを通って、スロット22の内部に挿入される。
この挿入工程#2は、1つの態様として、導体線4が不図示の挿入治具によって径方向Rに沿って奥行方向に押し込まれることによって実行されてもよい。或いは、ステータコア2の軸方向Lの両端の外側において不図示の挿入治具によって導体線4を保持し、当該挿入治具を径方向Rに沿って奥行方向に移動させることによって導体線4を径方向開口部22bからスロット22の内部に挿入させてもよい。何れにせよ、挿入工程#2では、導体線4が、スロット22の内部において進行可能な最も奥行側まで挿入される。つまり、スロット22に最初に挿入される導体線4は、本実施形態では、断面円弧状の内壁面22aまで挿入される。2本目以降に挿入される導体線4は、既に挿入されている導体線4の絶縁被覆材46に接する位置まで挿入されることになる。
図7の中央及び右側の模式図は、押圧工程#3を示している。図7の中央の模式図は、押圧工程#3において導体線4の押圧を開始する直前までの様子を示し、右側の模式図は、導体線4の押圧を完了した時点の様子を示している。押圧工程#3では、導体線4の周方向の線幅Dがスロット開口幅W1よりも大きい線幅D3となるように、導体線4の断面形状が変形される。このため、好ましくは、押圧のための押圧治具53は、径方向開口部22b(スロット開口部)よりも周方向Cの幅が広い押圧部52を有して構成される。当然ながら、このような押圧部52を有する押圧治具53は、径方向Rに沿って、スロット22の外部から径方向開口部22bを通ってスロット22の内部へ移動させることはできない。従って、押圧工程#3では、このような押圧部52を有する押圧治具53がコア基準面21の軸方向Lに沿ってスロット22内に挿入された後に、導体線4が奥行方向に押圧される。尚、当然ながら、押圧治具53は、押圧部52と押圧支持部54とが独立した部材で構成されていてもよい。この場合には、押圧部52のみがコア基準面21の軸方向Lに沿ってスロット22内に挿入されてもよい。そして、径方向Rに沿って、スロット22の外部から径方向開口部22bを通ってスロット22の内部へ挿入された押圧支持部54が押圧部52を奥行方向に押圧することによって、導体線4を押圧してもよい。
ところで、本発明が適用可能なコアの形状は、種々の形態を採り得るものである。上記の実施形態では、各ティース23は、各ティース23の2つティース側面23aが互いに平行な平行ティースであり、各スロット22は、その周方向Cの幅が径方向Rの外側へ向うに従って次第に広くなるように形成されている構成を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこのような構成に限定されない。例えば、図8に示すように、スロット22の周方向Cの幅が径方向Rの外側へ向うに従って次第に狭くなるように形成されたスロット22も本発明の好適な実施形態の1つである。この場合、各スロット22の内壁面22aは、周方向Cに互いに対向すると共に径方向Rの外側へ向うに従って互いの間隔が狭くなるように形成された2つの平面を有する。また、図8に示す形態は、ステータ1に対して径方向Rの外側にロータが配置されるアウターロータ型の回転電機に適用し、スロット22の周方向Cの幅が径方向Rの内側へ向うに従って次第に狭くなるように形成されたスロット22とするのに適している。
また、例えば、図9に示すように、スロット22の周方向Cの幅が径方向Rの位置に関わらず一定とされた、いわゆる平行スロットとすることも、本発明の好適な実施形態の1つである。この場合、各スロット22の内壁面22aは、周方向Cに互いに対向すると共に互いに平行に形成された2つの平面を有する。尚、図9の例では、スロット22は、内壁面22aにおける径方向R外側の部分に、径方向Rに直交する平面を有するように形成されている。
また、図10に示すように、ステータコア2は、径方向開口部22b(スロット開口部)を含む開口側領域R1と、当該開口側領域R1に対して開口方向とは反対方向である奥行方向側の奥側領域R2とで、スロット22の形状を異ならせて形成されていてもよい。具体的には、ステータコア2は、開口側領域R1では、周方向Cに隣り合う2つのスロット22の間に形成されたティース23のそれぞれの周方向Cの両側面が互いに平行に形成されている。また、ステータコア2は、奥側領域R2では、スロット22のそれぞれの周方向Cに対向する内面が互いに平行に形成されている。
上記の実施形態では、各ティース23が先端部に周方向突出部23bを備え、各スロット開口幅W1が他の部分に比べて狭く形成されて、スロット22がいわゆるセミオープンスロットとして構成される場合を例として説明した。しかし、本発明の適用に際しては、断面形状が変形可能であって、当該断面形状を円形状とした状態での直径φ(線幅D1)が径方向開口部22b(スロット開口部)の周方向Cの幅であるスロット開口幅W1よりも大きい導体線4が用いられれば足りる。従って、本発明の実施形態は上述した実施形態に係る構成に限定されるものではない。
例えば、図11に示すように、各ティース23の先端部に周方向突出部23bが形成されておらず、スロット22の内壁面22aが平面のまま径方向開口部22bまで連続している構成であってもよい。即ち、スロット22をいわゆるオープンスロットとすることも、本発明の好適な実施形態の1つである。この場合において、径方向開口部22bを塞ぐためのウェッジ等の閉塞部材25が設けられてもよいが、図11に示すように、このような閉塞部材25を備えない構成としてもよい。同様に、スロット開口幅W1よりも大きい導体線4が用いられれば、図12に示すように、平行スロットにおいてオープンスロットとしてもよい。平行スロット且つオープンスロットであり、導体線4の線幅Dがスロット開口幅W1と等価な幅で挿入工程が実施された場合には、押圧工程において押圧されても、挿入時の周方向線幅よりもその線幅が大きくならないことがある。しかし、可撓性を有する導体線4は、押圧によって、その断面形状が挿入時と比べて多少変形する。従って、このような形態も、本発明の好適な実施形態の1つとすることができる。
上述したように、本発明は、断面形状が変形可能であって、当該断面形状を円形状とした状態での直径φ(線幅D1)が径方向開口部22b(スロット開口部)の周方向Cの幅であるスロット開口幅W1よりも大きい導体線4が用いられることに特徴を有する。以下、図4にその概要を示した優れた可撓性を有する導体線4の詳細な構造について詳述する。
図4に示すように、絶縁被覆材46の径方向内側(絶縁被覆材46の内部)に配置される導体素線41の密集度は、導体素線束42の径方向内側領域に比べて径方向外側領域の方が低くなる傾向がある。ここでは、導体素線束42を、導体素線41の密集度に応じて2層に分けて考える。図4に示すように、これらの2層には、絶縁被覆材46の中央部に位置する第一集合層43と、第一集合層43の周囲に位置する第二集合層44とが含まれる。
第一集合層43では、複数の導体素線41は、互いに密着し合って高い密集度で集合している。第一集合層43に含まれる複数の導体素線41は、このように互いに密着し合うことで、大きな外力が作用しない限り互いに相対移動しにくくなっている。即ち、複数の導体素線41は、それぞれの導体線4の径方向及び周方向に互いに相対移動しにくくなっている。本実施形態では、導体素線41として、延在直交平面Pでの断面形状が円形状のものを用いている。このため、導体素線束42の第一集合層43を構成する複数の導体素線41同士の間には、隙間Gとしての線間隙間G1が形成される。線間隙間G1は、それぞれ独立して、その周囲が互いに密接する複数(例えば3本)の導体素線41の外表面によって囲まれて軸方向Lに延びるように形成される。
第二集合層44では、複数の導体素線41は、ある程度は密集しているものの完全には互いに密着し合うことなく第一集合層43よりも低い密集度で集合している。導体素線束42の第二集合層44を構成する複数の導体素線41同士の間には、線間隙間G1とは異なる被覆内隙間G2が隙間Gとして形成される。このような被覆内隙間G2は、軸方向Lに延びる比較的大きい隙間Gとして形成される。被覆内隙間G2は、第一集合層43における線間隙間G1に相当する隙間Gが、互いに所定間隔を空けて隣接する導体素線41の間を介して互いにつながったものとして形成される。また、本実施形態では、導体素線束42と絶縁被覆材46とが完全には接着されておらず、非接着状態である。そのため、導体素線41同士の間だけでなく、導体素線41と絶縁被覆材46との間にも被覆内隙間G2が形成される。第二集合層44に含まれる複数の導体素線41は、被覆内隙間G2を介して互いに離間して配置されることで、大きな外力が作用しなくても容易に、互いに相対移動可能となっている。複数の導体素線41は、それぞれの導体線4の径方向及び周方向の少なくとも一方に、互いに相対移動可能である。
ここで、延在直交平面Pでの断面において、互いに隣接する導体素線41同士を接触させた状態で導体素線束42に外接する仮想外接円CCを想定する。図4に示すように、導体線4の通常状態では、仮想外接円CCの直径(外接円径C1)は絶縁被覆材46の真円状態での内径(真円内径C2)に合致する。すなわち、“C1=C2”の関係が成立する。一方、上述したように、導体線4は、絶縁被覆材46の径方向内側に被覆内隙間G2を有している。このため、第二集合層44に含まれる複数の導体素線41は互いに相対移動して、図13に示すように、その全体が中央部に密集することも可能である。この場合、仮想外接円CCの外接円径C1は最小(最小外接円径C1n)となる。延在直交平面Pでの断面における、仮想外接円CCの最小外接円径C1nと絶縁被覆材46の真円内径C2とを比較すると、図13から明らかなように、仮想外接円CCの最小外接円径C1nは絶縁被覆材46の真円内径C2よりも小さい。すなわち、“C1n<C2”の関係が成立する。
1つの態様として、仮想外接円CCの最小外接円径C1nと絶縁被覆材46の真円内径C2との差は、導体素線41の素線径C3以上であると好適である。即ち、“C2−C1n≧C3”の関係が成立するように設定されていると好適である。図13に示す例では、仮想外接円CCの最小外接円半径(C1n/2)と絶縁被覆材46の真円半径(C2/2)との差が、導体素線41の素線径C3に合致している。従って、図13に示す例では、仮想外接円CCの最小外接円径C1nと絶縁被覆材46の真円内径C2との差が、導体素線41の素線径C3の2倍程度である。このように、仮想外接円CCの最小外接円径C1nを、絶縁被覆材46の真円内径C2よりも導体素線41の素線径C3分を超えて小さくすることで、有意な大きさを有する被覆内隙間G2を、適切且つ確実に形成することができる。なお、延在直交平面Pでの断面における、絶縁被覆材46内の断面積に対する被覆内隙間G2の断面積の割合(隙間割合)は、例えば5%〜35%であると好適である。その中でも、特に、隙間割合を15%〜30%等とすると、被覆内隙間G2が過大にならず、高い占積率を有すると共に、高い可撓性を有した導体線4を構成することができる。
尚、1つの態様として、絶縁被覆材46の内周面46aの周長は、図14に示すように全ての導体素線41を互いに接触させて一列に配置した状態での導体素線束42に外接する長円(外接長円)Eの周長以下とすると好適である。外接長円Eの周長は、全ての導体素線41を互いに接触させて一列に配置した状態で最も長くなる。よって、絶縁被覆材46の内周面46aの周長をそのような外接長円Eの周長と同じにすれば、導体線4の変形自由度を最大限に確保することができる。逆に、絶縁被覆材46の内周面46aの周長をこのような導体素線束42の外接長円Eの周長より長くすることは、無駄に被覆内隙間G2が大きくなるだけであって適切ではない。従って、絶縁被覆材46の内周面46aの周長を、このような導体素線束42の外接長円Eの周長以下の範囲内で設定することにより、絶縁被覆材46の周長を適切に設定することができる。換言すれば、外接長円Eの周長以下の範囲内で絶縁被覆材46の内周面46aの周長を設定することによって、被覆内隙間G2の大きさを適切に設定することができ、上記の隙間割合を所望の範囲内に収めることができる。
このように、導体線4には、絶縁被覆材46の径方向内側に被覆内隙間G2が存在するので、この被覆内隙間G2の部分において導体素線41同士が導体線4の径方向及び周方向の少なくとも一方に相対移動可能である。特に、絶縁被覆材46が真円状態である場合には、被覆内隙間G2が相対的に大きく、絶縁被覆材46の中で導体素線41同士の相対移動が容易である。これに加えて、絶縁被覆材46は可撓性を有しているため、当該絶縁被覆材46自体は容易に変形可能である。これにより、導体線4(導体素線束42及び絶縁被覆材46)は、延在直交平面Pでの断面形状を比較的自由に変形可能な構成となる。即ち、絶縁被覆材46の変形に追従して、その内部の被覆内隙間G2の部分において導体素線41同士が相対移動することで、導体線4の断面形状は容易に変形可能である。
以上、説明したように、本発明によれば、円筒状のコア基準面の周方向に複数のスロットが分散配置されているコアに、高い占積率でコイル用導体線が巻き付けられた回転電機を提供することができる。
〔その他の実施形態〕
以下、本発明のその他の実施形態について説明する。尚、以下に説明する各実施形態の構成は、それぞれ単独で適用されるものに限られず、矛盾が生じない限り、他の実施形態の構成と組み合わせて適用することも可能である。
(1)上記説明においては、断面形状が変形可能な導体線4が、導体素線41を複数本集合させて構成された導体素線束42と、導体素線束42の周囲を被覆する可撓性の絶縁被覆材46とを備えて構成されている場合を例として説明した。しかし、導体線4の構成は、その断面形状が変形可能であれば、この例に限定されるものではない。例えば、絶縁被覆材46の内部に、断面形状が変形可能な1つの導体を有して構成されていてもよい。このような導体は、例えば、導電性ポリマーなどによって構成されると好適である。
(2)上記の実施形態では、図6及び図7に示したように、導体線4が1本ずつスロット22に挿入され、挿入工程#2及び押圧工程#3が規定回数繰り返されて、複数本の導体線4がコア基準面21の径方向Rに積み重ねて配列される例を示した。しかし、この形態に限定されることなく、図15に示すように、導体線4が1本ずつスロット22に挿入され、挿入工程#2が規定回数繰り返された後、押圧工程#3が実施されて、複数本の導体線4がコア基準面21の径方向Rに積み重ねて配列される形態を採用することも可能である。この場合には、図2や図15に示すように、スロット22内の隣り合う導体線4同士の接触面が、径方向Rに直交する方向(周方向C)に延びる面とはならない可能性が高くなる。即ち、隣り合う導体線4同士の接触面が、図2や図15に示すように整然と配置されることなく、例えば図16に示すように、スロット22内の隣り合う導体線4同士の接触面が、無作為に様々な方向を向くように配置される場合が多くなると考えられる。このような構成であっても、上記の実施形態と同様に、複数本の導体線4が径方向開口部22b側から押圧された状態での形状を保って配置されることにより、スロット22内の隙間は小さく抑えることができるので、スロット22内における導体線4の占積率を高めることができる。従って、このような構成も本発明の好適な実施形態の1つである。
(3)上記の実施形態では、スロット22の内壁面22aに設けられるスロット絶縁部24が、絶縁粉体塗装により形成されている場合を例として説明した。しかし、スロット絶縁部24の構成はこれに限定されない。例えば、スロット絶縁シートをスロット22の内壁面22aに沿って配置することにより、スロット絶縁部24を形成することも、本発明の好適な実施形態の1つである。スロット絶縁部24は、基本的には導体線4が配置される領域だけに形成されれば充分である。従って、このようなスロット絶縁シートを用いる場合、スロット22の径方向開口部22bにまでスロット絶縁シートを配置しなくてもよい。例えば、図9に示したスロット22は、このようなスロット絶縁部24の一例を示している。また、図示は省略するが、スロット22の内壁面22aにスロット絶縁部24が全く設けられない構成とすることも、本発明の好適な実施形態の1つである。導体線4は、その外周面が絶縁被覆材46により被覆されているため、ステータコア2との間の電気的絶縁性を確保することは可能である。
(4)上記の実施形態では、導体素線束42と絶縁被覆材46とが非接着状態とされた構成を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。即ち、導体素線束42と絶縁被覆材46とが接着状態とされた構成としても良い。このような構成は、例えば、絶縁被覆材46を構成する樹脂材料を溶融させて導体素線束42の周囲に適量供給しつつ、導体素線束42を延在方向Aに移動させることにより実現できる。つまり、絶縁被覆材46の内周面46aを、導体素線束42の周囲の形状に適合した凹凸を有する形状とすることで、導体素線束42と絶縁被覆材46とを接着状態とすることができる。この場合、上記の実施形態とは異なり、被覆内の隙間Gは、導体素線41と絶縁被覆材46との間には形成されず導体素線41同士の間にのみ形成される。しかし、この場合であっても、導体素線41同士の間に形成される隙間Gを利用して導体素線41同士の相対移動が可能であるから、導体線4の断面形状は容易に変形可能である。
(5)上記の実施形態では、複数のスロット22が径方向Rの内側に開口する径方向開口部22b(スロット開口部)を備える構成を例として説明した。このような構成は、ステータ1に対して径方向Rの内側にロータが配置されるインナーロータ型の回転電機に適している。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。例えば、複数のスロット22が径方向Rの外側に開口する径方向開口部22bを備える構成とすることも、本発明の好適な実施形態の1つである。このような構成は、ステータ1に対して径方向Rの外側にロータが配置されるアウターロータ型の回転電機に適している。また、本発明は、これらのラジアルギャップ型の回転電機に限らず、アキシャルギャップ型の回転電機にも好適に利用可能である。また、当然ながら、コイルユニットは、電機子として構成されたステータ又はロータに適用可能なものであるから、本発明は、ステータに限らずロータにも適用することができる。
本発明は、円筒状のコア基準面の周方向に複数のスロットが分散配置されているコアと、このコアに巻きつけられたコイル用導体線とを備えた回転電機に適用することができる。
2 :ステータコア(コア)
4 :導体線(コイル用導体線)
21 :コア基準面
22 :スロット
22b :径方向開口部(スロット開口部)
23 :ティース
100 :回転電機
φ :断面形状を円形状とした状態での直径
C :周方向
D :線幅
R :径方向
R1 :開口側領域
R2 :奥側領域
W :スロット幅
W1 :スロット開口幅
W9 :最大スロット幅

Claims (7)

  1. 円筒状のコア基準面の周方向に複数のスロットが分散配置されていると共に前記スロットのそれぞれが前記コア基準面の径方向一方側に向かう方向を開口方向とするスロット開口部を有しているコアと、当該コアに巻きつけられたコイル用導体線とを備えた回転電機であって、
    前記コイル用導体線は、断面形状が変形可能であって、当該断面形状を円形状とした状態での直径が前記スロット開口部の前記周方向の幅であるスロット開口幅よりも大きく、前記スロット開口幅以下に扁平化可能となる可撓性を有している回転電機。
  2. 前記スロットは、前記周方向のスロット幅の最大値である最大スロット幅が前記スロット開口幅よりも大きい形状とされ、
    前記コイル用導体線は、断面形状を円形状とした状態での直径が、前記最大スロット幅以下である請求項1に記載の回転電機。
  3. 前記コイル用導体線は、導体素線を複数本集合させてなる導体素線束と、前記導体素線束の周囲を被覆する可撓性の絶縁被覆材と、を備え、
    前記導体素線束の延在方向に直交する延在直交平面での前記絶縁被覆材の断面形状が変形可能な導体線である請求項2に記載の回転電機。
  4. 前記コイル用導体線は、前記絶縁被覆材の径方向内側に前記導体素線同士が相対移動可能な被覆内隙間を有している請求項3に記載の回転電機。
  5. 前記コアは、前記スロット開口部を含む開口側領域と、当該開口側領域に対して前記開口方向とは反対方向である奥行方向側の奥側領域とで、前記スロットの形状を異ならせて形成されており、
    前記開口側領域では、前記周方向に隣り合う2つの前記スロットの間に形成されたティースのそれぞれの前記周方向の両側面が互いに平行に形成され、
    前記奥側領域では、前記スロットのそれぞれの前記周方向に対向する内面が互いに平行に形成されている請求項2から4の何れか一項に記載の回転電機。
  6. 前記コイル用導体線は、前記最大スロット幅以上に幅広化可能である請求項2から5の何れか一項に記載の回転電機。
  7. 前記スロット内には、複数本の前記コイル用導体線が前記コア基準面の径方向に積み重ねて配列されている請求項1から6の何れか一項に記載の回転電機。
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