JP2013155656A - 回生制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】回生制御装置に関し、回生発電のエネルギー効率及びエンジンの制御性を向上させる。
【解決手段】エンジンの吸気通路に介装され、吸気流量を調節する吸気絞り弁と、吸気通路及び排気通路を連通する環流路上に介装され、排気還流量を調節する還流弁とを備える。また、エンジンの動力伝達経路に連結され、駆動輪側から入力される駆動力で回生発電を行う発電機と、発電機の回生発電時に、吸気絞り弁及び還流弁の開度調節によりエンジンの摩擦損失を制御する制御手段とを備える。
制御手段は、摩擦損失を低減方向に制御する際には、吸気絞り弁の開度よりも還流弁の開度を優先して開放方向に作動させる。
【選択図】図1

Description

本発明は、エンジンの摩擦損失の調整により回生発電効率を制御する回生制御装置に関する。
従来、エンジンと発電機とを搭載した車両の燃費を向上させるための技術として、車両の減速時,制動時,惰性走行時等に回生発電を実施して、通常走行時の発電負荷を抑制する技術が知られている。すなわち、駆動輪側から伝達される駆動力を利用して電力を発生させ、これを蓄電することでエネルギーの再利用を可能としたものである。
例えば、エンジンと電動発電機との双方を用いて車両を駆動するハイブリッド電気自動車では、回収した電力を利用して電動発電機を駆動することで車両の走行距離や加速性を改善する技術が開発されている。また、車両の駆動源としてエンジンのみを搭載した通常の自動車においても、走行状態に応じてエンジンとオルタネーターとの接続状態を断接制御することで、エンジンに作用する発電負荷を低下させる技術が存在する。このように、車両の運動エネルギーの余剰分を電気エネルギーとして回収することで、エネルギー効率を改善することが可能となる。
一方、回生発電による発電効率は、エンジンでのエネルギー損失量に応じて変化する。例えば、車両の制動時にエンジンブレーキが強く作用しているときには、エンジンブレーキが弱いときよりもエンジンの吸排気損失(ポンピングロス)が大きく、その分、発電機で回収される電力量は減少する。つまり、車両の運動エネルギーの一部が熱エネルギーに変換されて失われた結果、回生発電で回収される電気エネルギーが相対的に減少することになる。
このような特性を踏まえて、回生発電時にエンジンで消費されるエネルギー損失量を抑制する技術が提案されている。例えば特許文献1には、エンジンの吸排気系通路を通過する空気の流れを制御することでエンジンのポンピングロスを変化させ、発電量を制御する技術が開示されている。この技術では、バッテリーへの充電量を十分に確保したいときに吸排気系通路上の各種バルブがオープン(開放状態)にされる。このようなバルブの制御により、エンジンの吸排気損失を最小にすることができ、回生エネルギーの効率的な回収が可能であるとされている。
特開2000−282908号公報
しかしながら、従来の技術では、エンジンでのエネルギー損失量を適切に制御することができない。例えば、特許文献1の技術では、吸排気系通路上に設けられた全てのバルブが同時に開閉制御される。そのため、エンジンでのエネルギー損失量を僅かに増加又は減少させたい場合に、バルブの開度を個別に設定することができず、効率的な制御を実施することができない。
また、従来の技術では、エンジンの吸排気系の通路上に設けられた各バルブの開度とエネルギー損失量との関係のみが考慮されており、個々のバルブの開度とエンジンの制御性との関係が考慮されていない。そのため、エンジンが連れ回されている回生発電中には支障が生じなくても、回生発電が終了した直後の加速性や排気浄化性能が低下する場合がある。このようなエンジンの制御上の課題は、吸排気系通路に過給機を備えたエンジンで顕著となる。
なお、エンジンの吸排気系の通路上に設けられた各バルブの開度特性は個々に相違し、エンジンの運転状態に与える影響の種類や影響の度合いもさまざまである。それゆえ、制御対象とするバルブの選択条件やその優先順位は、各バルブの特性等に応じて予め設定しておくことが望まれる。
本件の目的の一つは、上記のような課題に鑑み創案されたもので、回生発電のエネルギー効率を向上させつつエンジンの制御性を向上させることである。
なお、これらの目的に限らず、後述する発明を実施するための形態に示す各構成により導かれる作用効果であって、従来の技術によっては得られない作用効果を奏することも本件の他の目的として位置づけることができる。
(1)ここで開示する回生制御装置は、エンジンの吸気通路に介装され、吸気流量を調節する吸気絞り弁と、前記吸気通路及び排気通路を連通する環流路上に介装され、排気還流量を調節する還流弁とを備える。また、前記エンジンの動力伝達経路に連結され、駆動輪側から入力される駆動力で回生発電を行う発電機と、前記発電機の回生発電時に、前記吸気絞り弁及び前記還流弁の開度調節により前記エンジンの摩擦損失を制御する制御手段とを備える。さらに、前記制御手段は、前記摩擦損失を低減方向に制御する際に、前記吸気絞り弁の開度よりも前記還流弁の開度を優先して開放方向に作動させる。
なお、前記摩擦損失には、吸排気損失と機械損失とが含まれる。吸排気損失(ポンピングロス)とは、吸排気系の圧力変化に伴って生じる摩擦損失であり、圧力損失とも呼ばれる。また、機械損失(メカニカルロス)とは、過給機やピストン,バルブ,補機類の動作に伴って生じる摩擦損失である。
例えば、前記制御手段は、前記エンジンの摩擦損失を低減方向に制御するときに、前記吸気絞り弁を開放する制御よりも前記還流弁を開放する制御を優先する。前記還流弁の開度が所定開度以上でない場合には、前記吸気絞り弁の開度の大きさに関わらず、前記還流弁を開放方向に調節する。すなわち、前記吸気絞り弁を開放方向に調節するのは、前記還流弁が少なくとも前記所定開度以上開放されている場合のみとする。
また、前記還流弁の開度が前記所定開度以上である場合には、前記還流弁の開度が全開となるまでさらに開放方向に調節してもよいし、前記還流弁の開度を維持したまま前記吸気絞り弁を開放方向に調節してもよいし、あるいは、前記吸気絞り弁及び前記還流弁の両方を開放方向に調節してもよい。なお、前記吸気絞り弁を開放方向に調節するのは、前記還流弁の開度が全開である場合のみとしてもよい。
このように、前記制御手段での優先対象には、弁を開閉する順序及び弁開度の制御量の少なくとも何れか一方が含まれる。言い換えれば、前記制御手段は、複数の優先手法の少なくとも何れか一つの手法を用いて、弁の動作を優先させる。第一の優先手法は、開放順序に関する優先手法であり、優先順位の高い弁が優先順位の低い弁と同時かそれよりも早く開くことである。第二の優先手法は、開度の大きさに関する優先手法であり、優先順位の高い弁の開度(開放量)を優先順位の低い弁の開度よりも大きくすることである。
(2)また、前記制御手段は、前記摩擦損失を増大方向に制御する際に、前記還流弁の開度よりも前記吸気絞り弁の開度を優先して閉鎖方向に作動させることが好ましい。
つまり、前記制御手段は、前記エンジンの摩擦損失を増大方向に制御するときに、前記還流弁を閉鎖する制御よりも前記吸気絞り弁を閉鎖する制御を優先することが好ましい。例えば、前記吸気絞り弁の開度が第二所定開度未満でない場合には、前記還流弁の開度の大きさに関わらず、前記吸気絞り弁を閉鎖方向に調節する。すなわち、前記還流弁を閉鎖方向に調節するのは、前記吸気絞り弁の開度が少なくとも前記第二所定開度未満であるのみとするのが好ましい。
また、前記吸気絞り弁の開度が前記第二所定開度未満である場合には、前記吸気絞り弁が全閉となるまでさらに閉鎖方向に調節してもよいし、前記吸気絞り弁の開度を維持したまま前記還流弁を閉鎖方向に調節してもよいし、あるいは前記吸気絞り弁及び前記還流弁の両方を閉鎖方向に調節してもよい。なお、前記還流弁を閉鎖方向に調節するのは、前記吸気絞り弁の開度が全閉である場合のみとしてもよい。
(3)また、前記エンジンの排気通路に介装され、排気流量を調節する排気絞り弁を備えることが好ましい。この場合、前記制御手段は、前記排気絞り弁の開度調節を行うとともに、前記摩擦損失を低減方向に制御する際に、前記排気絞り弁の開度よりも前記還流弁の開度を優先して開放方向に作動させることが好ましい。
(4)また、前記制御手段は、前記摩擦損失を増大方向に制御する際に、前記還流弁の開度よりも前記排気絞り弁の開度を優先して閉鎖方向に作動させることが好ましい。
(5)また、前記制御手段は、前記摩擦損失を低減方向に制御する際に、前記排気絞り弁の開度よりも前記吸気絞り弁の開度を優先して開放方向に作動させることが好ましい。
(6)また、前記制御手段は、前記摩擦損失を増大方向に制御する際に、前記吸気絞り弁の開度よりも前記排気絞り弁の開度を優先して閉鎖方向に作動させることが好ましい。
(7)また、前記還流弁が、低圧還流路上に介装された低圧還流弁と、高圧還流路上に介装された高圧還流弁とを有することが好ましい。この場合、前記制御手段は、前記低圧還流弁及び前記高圧還流弁の開度調節を行うとともに、前記摩擦損失を低減方向に制御する際に、前記高圧還流弁の開度よりも前記低圧還流弁の開度を優先して開放方向に作動させることが好ましい。
(8)また、前記制御手段は、前記摩擦損失を増大方向に制御する際に、前記低圧還流弁の開度よりも前記高圧還流弁の開度を優先して閉鎖方向に作動させることが好ましい。
(9)さらに、前記エンジンの温度を検出する検出手段を備えることが好ましい。この場合、前記制御手段は、前記検出手段で検出された前記温度が所定温度以下であるときに、前記弁を作動させる選択において前記高圧還流弁及び前記低圧還流弁の優先順位を逆転させることが好ましい。
開示の回生制御装置では、吸気絞り弁よりも還流弁を優先して開放することで、回生発電時の排気還流量を確保することができる。これにより筒内の酸素濃度を低下させやすくすることができ、例えば回生発電の終了時(加速時)におけるNOxスパイクを抑制することができる。したがって、排気性能を向上させることができ、エンジンの制御性を向上させることができる。
また、還流弁を開放することでエンジンの摩擦損失(吸排気損失,機械損失)を低減させることができ、発電機での回生発電のエネルギー効率を向上させることができる。
回生制御装置のブロック構成及び適用対象のエンジン構成を例示する図である。 回生制御装置での制御手順を例示するフローチャートである。 回生制御装置での制御手順を例示するフローチャートである。
図面を参照して回生制御装置について説明する。なお、以下に示す実施形態はあくまでも例示に過ぎず、以下の実施形態で明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。本実施形態の各構成は、それらの趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができるとともに、必要に応じて取捨選択することができ、あるいは適宜組み合わせることが可能である。
[1.装置構成]
[1−1.駆動源]
本実施形態の回生制御装置は、図1に示す車両20に適用される。この車両20は、エンジン10とモータージェネレーター6との双方を駆動源として走行可能なハイブリッド電気自動車である。エンジン10は、ガソリンや軽油を燃焼とする一般的な内燃機関(ガソリンエンジン,ディーゼルエンジン)として構成される。エンジン10の駆動力は、図示しないクラッチ装置や変速装置,ディファレンシャル装置等を介して駆動輪に伝達され、車両20を駆動する。
モータージェネレーター6は、モーター(電動機)としての機能とジェネレータ(発電機)としての機能を兼ね備えた電動発電機である。モータージェネレーター6の回転軸は、エンジン10から駆動輪までの動力伝達経路に対して断接自在に連結される。図1では、モータージェネレーター6の回転軸がエンジン10の駆動軸に直結したものを例示するが、駆動輪に対してエンジン10と並列にモータージェネレーター6を接続してもよい。モータージェネレーター6には、インバーター7を介してバッテリー8が接続される。このバッテリー8は動力用主電源となる蓄電装置であり、インバーター7は直流電力を交流電力に変換し、あるいは交流電力を直流電力に変換する電力変換装置である。
モータージェネレーター6がジェネレーターとして機能する時には、エンジン10から入力されるトルクや駆動輪側から入力される駆動力を利用した回生発電が実施され、モータージェネレーター6で発生した電力がインバーター7を介してバッテリー8に充電される。回生発電は、例えばアクセルペダルが踏み込まれていない惰性走行時や、ブレーキペダルが踏み込まれた減速時に実施される。
また、モータージェネレーター6がモーターとして機能する時には、バッテリー8の電力を利用して回転し、エンジン10の駆動力にモーター駆動力を付加して駆動輪側へと出力する。モーター駆動力の付加は、例えば車両20の発進時やエンジン10に作用する負荷が高い走行状態のときに実施される。なお、モータージェネレーター6で生じうるモーター駆動力が十分に大きい場合には、モーター駆動力のみで車両20を駆動することも可能である。
上記のようなモータージェネレーター6の電動/発電機能は、インバーター7からモータージェネレーター6への供給電力と、モータージェネレーター6からインバーター7への回生電力との大小関係で決まる。例えば、駆動輪側から入力される駆動力がモータージェネレーター6で発生する駆動力よりも大きく、モータージェネレーター6が駆動輪に連れ回されている状態では、回生電力が供給電力を上回り、モータージェネレーター6がジェネレーターとして機能する。反対に、モータージェネレーター6が駆動輪側に駆動力を与えている状態では、回生電力が供給電力を下回るため、モータージェネレーター6がモーターとして機能することになる。インバーター7は、モータージェネレーター6がモーターとして機能しているのか、それともジェネレーターとして機能しているのかを判断し、その情報を後述する電子制御装置9に伝達する。
バッテリー8は、例えばケース内に複数の電池モジュールが収容されてなる組電池であり、モータージェネレーター6との間で電力を入出力可能(充放電可能)に構成される。このバッテリー8には、予め使用(運用)することができる充電率の範囲(運用充電率範囲)が設定される。運用充電率範囲とは、例えばバッテリー8の耐久性や、バッテリー8を搭載した電気機器が要求する出力や、バッテリー8の運用上の要請等によって定められた電池内部の充電量の変動範囲である。
一般的な電気自動車やハイブリッド電気自動車に搭載されるバッテリー8では、運用充電率範囲内で充電率が変動するように充放電が実施される。なお、ここでいう充電率とは、電池に充電されている電力を簡便に把握するための指標の一つであり、例えば満充電時の容量に対する残容量の百分率で表現される。充電率はバッテリー8に内蔵された図示しないバッテリー制御装置で随時、推定演算がなされ、その値が電子制御装置9に伝達される。
また、モータージェネレーター6で生成される回生電力は、インバーター7を介してバッテリー8からモータージェネレーター6に供給される供給電力を増減させることによって、その大きさが調整可能である。供給電力の大きさは、後述する電子制御装置9で制御される。本実施形態では、モータージェネレーター6がジェネレーターとして機能しているときに電子制御装置9で実施される回生発電の制御について詳述する。
[1−2.吸排気系]
エンジン10の各シリンダーの上部には、吸気通路11及び排気通路12が接続される。ここでは、吸気管及びインテークマニホールドを含む吸気系全体のことを吸気通路11と呼び、エキゾーストマニホールド及び排気管を含む排気系全体のことを排気通路12と呼ぶ。
エンジン10の吸排気系には、各気筒から排出される排気圧を利用して空気をシリンダー内に過給するターボチャージャー13が設けられる。このターボチャージャー13は、吸気通路11と排気通路12との両方に跨がるように介装された過給機であり、吸気通路11内に配置されたコンプレッサー13aの回転軸と排気通路12内に配置されたタービン13bの回転軸とを接続してなる。
タービン13bは、排気通路12内を流通する排気の圧力を受けて回転し、その回転力をコンプレッサー13aに伝達する。また、コンプレッサー13aは、吸気通路11内の空気を圧縮して下流側へと送出する圧縮機であり、ここで加圧された空気がエンジン10のシリンダー内に過給される。なお、コンプレッサー13aよりも吸気通路11の下流側には、図示しないインタークーラーが配置され、圧縮された空気が冷却される。
図1に示すように、コンプレッサー13aよりも上流側の吸気通路11には、スロットル弁1(吸気絞り弁の一つ)が介装される。スロットル弁1は、吸気通路11を流通する空気量を制御するための絞り弁である。スロットル弁1の開度(スロットル開度)は、エンジン10に要求されるエンジン出力に応じて電子制御装置9で制御される。また、モータージェネレーター6の回生発電時には、エンジン10の摩擦損失を制御するための開度調節が実施される。
吸気通路11には、スロットル弁1を迂回してその上流側と下流側とを連通するバイパス通路14が設けられる。このバイパス通路14は、吸気通路11よりも断面積が小さく形成された通路であり、その中途には吸気バイパス弁2(吸気絞り弁の一つ)が介装される。吸気バイパス弁2は、シリンダーに導入される空気量を微調整するための補助的な吸気絞り弁である。
一般に、吸気バイパス弁2を介してバイパス通路14から導入される吸気は補助空気と呼ばれる。補助空気はおもに、吸入空気量の変動に対してエンジン10の燃焼性や回転安定性が大きく変動する運転領域(低負荷低回転時やアイドリング時等)で、スロットル弁1を通過する空気量を補正するために用いられる。エンジン10のシリンダーに導入される吸入空気量は、スロットル弁1を通過した空気量と吸気バイパス弁2を通過した空気量との和となる。吸気バイパス弁2の開度は、エンジン10の冷却水温度や油温,補機類の作動状態等に応じて電子制御装置9で制御される。モータージェネレーター6の回生発電時には、スロットル弁1と同様に、エンジン10の摩擦損失を制御するための開度調節が実施される。
排気通路12には、排気を浄化するための排気浄化装置17及び消音装置18が介装される。排気浄化装置17は、排気中に含まれる物質に対する酸化能を持つ三元触媒や酸化触媒,排気中の粒子状物質(PM,パティキュレートマター)を捕集するためのフィルター等を含み、ターボチャージャー13のタービン13bよりも下流側に設けられる。また、消音装置18は、エンジン10の排気音を緩和するマフラーであり、例えば排気通路12の最後端部近傍に設けられる。
排気浄化装置17と消音装置18との間の排気通路12には、排気絞り弁3が介装される。排気絞り弁3は、排気通路12を流通する空気量を制御するための絞り弁である。排気絞り弁3の開度は、スロットル弁1や吸気バイパス弁2の開度と同様に、エンジン10の摩擦損失を制御するために電子制御装置9で調節される。
また、吸気通路11と排気通路12との間には、二種類の還流路が設けられる。第一の還流路は高圧ループ還流路15であり、第二の還流路は低圧ループ還流路16である。これらの還流路15,16はいわゆるEGR(Exhaust Gas Recirculation)通路であり、排気通路12側の排気の一部を吸気通路11側へと再循環させるための通路である。
高圧ループ還流路15は、吸気通路11のコンプレッサー13aよりも下流側(エンジン10側)と、排気通路12のタービン13bよりも上流側(エンジン10側)とを接続する通路である。高圧ループ還流路15を流通する排気は、低圧ループ還流路16を流通する排気よりも高温かつ高圧である。
一方、低圧ループ還流路16は、吸気通路11のコンプレッサー13aよりも上流側と排気通路12のタービン13bよりも下流側とを接続する通路である。低圧ループ還流路16は、例えば図1に示すように、排気浄化装置17と排気絞り弁3との間の排気通路12から分岐形成される。また、低圧ループ還流路16の上流端の位置は、吸気通路11のコンプレッサー13aよりも上流側であって、バイパス通路14の下流端が吸気通路11に接続される位置よりも下流側に設定される。低圧ループ還流路16を流通する排気は、高圧ループ還流路15を流通する排気よりも低温かつ低圧である。
高圧ループ還流路15の中途には高圧還流弁4が介装され、低圧ループ還流路16の中途には低圧還流弁5が介装される。これらの還流弁4,5は、それぞれの還流路15,16を通過するEGRガスの流量を制御するための絞り弁であり、電子制御装置9で個々の開度が制御される。高圧還流弁4及び低圧還流弁5のそれぞれの開度も、他の弁1〜3の開度と同様、エンジン10の摩擦損失を制御するために電子制御装置9で調節される。
[1−3.検出系]
エンジン10のクランクシャフトには、その回転角を検出するエンジン回転速度センサー21が設けられる。回転角の単位時間あたりの変化量(角速度)はエンジン10の実回転速度Ne(単位時間あたりの実回転数)に比例する。したがって、エンジン回転速度センサー21は、エンジン10の実回転速度Neを取得する機能を持つものといえる。エンジン回転速度センサー21は、検出された回転角に基づいてエンジン10の実回転速度Neを算出し、その情報を電子制御装置9に伝達する。なお、エンジン回転速度センサー21で検出された回転角の情報に基づいて、電子制御装置9の内部で実回転速度Neを算出する構成としてもよい。
エンジン10のウォータージャケット内には、エンジン冷却水の温度(冷却水温)を検出する冷却水温センサー22が設けられる。冷却水温は、エンジン10のシリンダー内の気体温度や壁面温度に相関するパラメーターである。したがって、冷却水温センサー22は、エンジン10の燃焼室温度Tを取得する機能を持つものといえる。冷却水温センサー22は、検出された冷却水温に基づいて燃焼室温度Tを算出し、その情報を電子制御装置9に伝達する。なお、冷却水温センサー22で検出された冷却水温の情報に基づいて、電子制御装置9の内部で燃焼室温度Tを算出する構成としてもよい。
車両の任意の位置(例えばアクセルペダルやブレーキペダルの近傍)には、アクセルペダルの踏み込み操作量(アクセル開度APS)を検出するアクセル開度センサー23と、ブレーキペダルの踏み込み操作量(ブレーキ開度BRK)を検出するブレーキセンサー24とが設けられる。アクセル開度APSは、運転者の加速要求に対応するパラメーターであり、ブレーキ開度BRKは、運転者の減速要求に対応するパラメーターである。これらのアクセル開度APS及びブレーキ開度BRKの情報は、ともに電子制御装置9に伝達され、エンジン10への出力要求に反映される。
また、車両20の任意の位置には、車速Vを検出する車速センサー25が設けられる。車速センサー25は、車軸の回転角や回転数に比例するパルス信号に基づいて車速Vを検出(又は算出)するものである。ここで検出された車速Vの情報は、電子制御装置9に伝達される。
[2.制御装置]
[2−1.制御の概要]
上記のエンジン10を搭載する車両には、電子制御装置9(Engine Electronic Control Unit,エンジンECU)が設けられる。この電子制御装置9は、例えばマイクロプロセッサやROM,RAM等を集積したLSIデバイスや組み込み電子デバイスとして構成され、車両に設けられた車載ネットワーク網の通信ラインに接続される。なお、車載ネットワーク上には、例えばブレーキ制御装置,変速機制御装置,車両安定制御装置,空調制御装置,電装品制御装置といったさまざまな公知の電子制御装置が、互いに通信可能に接続される。電子制御装置9以外の電子制御装置のことを外部制御システムと呼び、外部制御システムによって制御される装置のことを外部負荷装置と呼ぶ。
電子制御装置9の入力側には、図1に示すように、エンジン回転速度センサー21,冷却水温センサー22,アクセル開度センサー23,ブレーキセンサー24,インバーター7及びバッテリー8が接続される。また、電子制御装置9の出力側には、スロットル弁1,吸気バイパス弁2,排気絞り弁3,高圧還流弁4及び低圧還流弁5が接続される。
電子制御装置9は、モータージェネレーター6とエンジン10に関する点火系,燃料系,吸排気系及び動弁系といった広汎なシステムを総合的に制御する電子制御装置であり、モータージェネレーター6での回生発電量や、エンジン10の各シリンダーに供給される空気量,燃料噴射量,各シリンダーの点火時期等を制御する。
また、電子制御装置9は、モータージェネレーター6の回生発電時に、スロットル弁1,吸気バイパス弁2,排気絞り弁3,高圧還流弁4及び低圧還流弁5のそれぞれの開度を調節し、エンジン10の摩擦損失を制御する。ここでいう摩擦損失には、吸排気損失と機械損失とが含まれる。吸排気損失(ポンピングロス)とは、吸排気系の圧力変化に伴って生じる摩擦損失であり、圧力損失とも呼ばれる。また、機械損失(メカニカルロス)とは、ピストンやバルブ,補機類の動作に伴って生じる摩擦損失である。
回生発電時に得られる制動力(回生制動力)は、回生発電によってバッテリー8に蓄電された電力に対応したものとなる。つまり、発電量が少なければ回生制動力が弱く、発電量が多いほど回生制動力が強くなる。一方、モータージェネレーター6での発電量は、インバーター7から出力される制御電流に応じて変化する。したがって、制御電流を調整して回生制動力を増加させれば発電量が増大し、エネルギー効率を高められる。しかし、車両20に作用する制動力は、回生制動力とエンジン10の吸排気損失や機械損失に由来する制動力(エンジンブレーキ力)とを合算したものに相当するため、発電量を増大させるほど制動力が過剰となってしまう。
そこで、電子制御装置9は、モータージェネレーター6で発電可能な最大の発電量に対応する回生制動力を発生させることを前提として、回生制動力とエンジンブレーキ力との合算値が車両20に要求されている要求制動力に一致するように、エンジンブレーキ力の大きさを増減制御する。つまり、電子制御装置9は、車両20の要求制動力に対する実際の制動力が過剰でもなく不足もない状態にするために、回生制動力を最大にしたうえで、エンジンブレーキ力を調節する。
また、このエンジンブレーキ力を制御するための手段として、スロットル弁1,吸気バイパス弁2,排気絞り弁3,高圧還流弁4及び低圧還流弁5の開度を調節する。さらに、エンジン10の制御性を考慮して設定された開度調節の優先順位に従って、各絞り弁1〜5の開度を調節する。
[2−2.演算要素]
図1中に示すように、電子制御装置9には、要求制動力演算部9a,回生能力演算部9b,吸排気損失力演算部9c及びバルブ制御部9dが設けられる。これらの各要素は、電子回路(ハードウェア)の形態で実現してもよいし、ソフトウェアの形態でプログラミングされたものとしてもよいし、あるいはこれらの機能のうちの一部をハードウェアとして設け、他部をソフトウェアとしたものであってもよい。
要求制動力演算部9aは、回生発電時に、車両20に要求されている要求制動力F1を演算するものである。ここでは、例えばエンジン10の実回転速度Ne,車速V,アクセル開度APS及びブレーキ開度BRKに基づき、予め設定された制御マップや演算式等から要求制動力F1が演算される。ここで演算された要求制動力F1の情報は、バルブ制御部9dに伝達される。
回生能力演算部9bは、その時点の車両20の走行状態で、モータージェネレーター6で発生させることができる最大の制動力(最大回生制動力)を回生可能能力F2として演算するものである。ここでは、例えばエンジン10の実回転速度Ne,車速V及びバッテリー8の充電量に基づき、予め設定された制御マップや演算式等から回生可能能力F2が演算される。ここで演算された回生可能能力F2の情報は、バルブ制御部9dに伝達される。
吸排気損失力演算部9cは、エンジン10で発生しうるエンジンブレーキ力F3を演算するものである。ここでは、各絞り弁1〜5の制御状態,実回転速度Ne,車速V,アクセル開度APS及びブレーキ開度BRKに基づき、予め設定された制御マップや演算式等からエンジンブレーキ力F3が演算される。ここで演算されたエンジンブレーキ力F3の情報は、バルブ制御部9dに伝達される。
なお、要求制動力演算部9a,回生能力演算部9b,吸排気損失力演算部9cでの具体的な要求制動力F1,回生可能能力F2,エンジンブレーキ力F3の演算手法に関しては、上記の手法に限らず種々の公知の手法を適用してもよい。
[2−3.制御要素]
バルブ制御部9dは、要求制動力演算部9aで演算された要求制動力F1,回生能力演算部9bで演算された回生可能能力F2,吸排気損失力演算部9cで演算されたエンジンブレーキ力F3及び燃焼室温度Tに基づき、スロットル弁1,吸気バイパス弁2,排気絞り弁3,高圧還流弁4及び低圧還流弁5の開度を調節するものである。ここではまず、以下に示す式1に従って、要求制動力F1と回生可能能力F2との差に相当する制動力が、目標エンジンブレーキ力F4として演算される。
(目標エンジンブレーキ力F4)=(要求制動力F1)−(回生可能能力F2) …式1
また、バルブ制御部9dは、エンジンブレーキ力F3と目標エンジンブレーキ力F4との大小関係に基づき、以下の表1,表2に示す優先順位で、各絞り弁1〜5の開度の目標値を設定する。表1はエンジンブレーキ力F3が目標エンジンブレーキ力F4以上(F3≧F4)のときの優先順位であり、左段は燃焼室温度Tが所定温度T0以上である場合、右段は燃焼室温度Tが所定温度T0未満である場合のものである。
なお、スロットル弁1及び吸気バイパス弁2の優先順位は不定であり、スロットル弁1を吸気バイパス弁2よりも優先して開放してもよいし、吸気バイパス弁2をスロットル弁1よりも優先して開放してもよい。また、スロットル弁1及び吸気バイパス弁2の何れか一方のみの開度を調節してもよいし、双方を同時に調節してもよい。
Figure 2013155656
エンジンブレーキ力F3が目標エンジンブレーキ力F4以上であるときは、モータージェネレーター6の回生発電で賄いうる回生制動力に対して、エンジン10で発生しているエンジンブレーキ力F3が強すぎる状態であるといえる。そこで、バルブ制御部9dは、各絞り弁1〜5を開放方向に調節して摩擦損失を減少させる制御を実施する。このときバルブ制御部9dは、開放する優先順位が高いものから順に、弁開度を開放方向に調節する弁を選択する。つまり、バルブ制御部9dは、優先順位が高い弁の開度を優先して開放する。
ここでいう「優先して開放する」との表現には、二つの意味が込められている。第一の意味は、開放順序に関して、優先順位の高い弁が優先順位の低い弁と同時かそれよりも早く開くことである。この意味では、優先順位に関わらず、各々の弁に対して任意の開度設定が可能である。一方、第二の意味は、優先順位の高い弁の開度(開放量)を優先順位の低い弁の開度よりも大きくすることである。この意味では、優先順位に関わらず、各々の弁が開放されるタイミングを任意に設定することが可能となる。
本実施形態では、優先順序の高い弁の開放タイミングが優先順序の低いものよりも早くなる(又は同時となる)ように制御されるものとするが、少なくとも開度の大きさ又は開放順序の何れか一方が優先されればよい。例えば、バルブ制御部9dは、燃焼室温度Tが所定温度T0以上であれば、まず低圧還流弁5の開度を開放方向に調節する。
ここでの開放量の演算手法は任意であり、例えばエンジンブレーキ力F3と目標エンジンブレーキ力F4との差が大きいほど、開放量を増大させる制御とする。開度の開放量が大きいほどエンジン10の摩擦損失が減少するため、エンジンブレーキ力F3が低下する。したがって、エンジンブレーキ力F3と目標エンジンブレーキ力F4とが一致するように開度を設定すればよい。なお、開度の開放量とエンジンブレーキ力F3の低下量との関係は、各絞り弁1〜5毎に予め把握しておくことが好ましい。
また、低圧還流弁5の開度を全開まで調節してもなお、エンジンブレーキ力F3が目標エンジンブレーキ力F4以上である場合、バルブ制御部9dは高圧還流弁4の開度を開放方向に調節する。さらに、低圧還流弁5及び高圧還流弁4の開度を全開まで調節してもなお、エンジンブレーキ力F3が目標エンジンブレーキ力F4以上である場合には、スロットル弁1又は吸気バイパス弁2の開度を開放方向に調節する。
このように、バルブ制御部9dは、弁開度を開放方向に調節する弁の選択において、排気絞り弁3よりもスロットル弁1又は吸気バイパス弁2を優先し、これらよりも高圧還流弁4や低圧還流弁5を優先する。したがって、回生発電時には高圧還流弁4や低圧還流弁5が開放されやすくなる。
また、表2はエンジンブレーキ力F3が目標エンジンブレーキ力F4未満(F3<F4)のときの優先順位であり、左段は燃焼室温度Tが所定温度T0以上(T≧T0)である場合、右段は燃焼室温度Tが所定温度T0未満(T<T0)である場合のものである。
Figure 2013155656
エンジンブレーキ力F3が目標エンジンブレーキ力F4未満であるときは、モータージェネレーター6の回生発電で賄いうる回生制動力に対して、エンジン10で発生しているエンジンブレーキ力F3が弱すぎる状態であるといえる。そこで、バルブ制御部9dは、各絞り弁1〜5を閉鎖方向に調節して摩擦損失を増加させる制御を実施する。このときバルブ制御部9dは、閉鎖する優先順位が高いものから順に、弁開度を閉鎖方向に調節する弁を選択する。つまり、バルブ制御部9dは、優先順位が高い弁の開度を優先して閉鎖する。
ここでいう「優先して閉鎖する」との表現にも、二つの意味が込められている。第一の意味は、閉鎖順序に関して、優先順位の高い弁が優先順位の低い弁と同時かそれよりも早く閉じることである。この意味では、優先順位に関わらず、各々の弁に対して任意の開度設定が可能である。一方、第二の意味は、優先順位の高い弁の開度を優先順位の低い弁の開度よりも小さくする(閉鎖方向への制御量を大きくする)ことである。この意味では、優先順位に関わらず、各々の弁が閉鎖されるタイミングを任意に設定することが可能となる。
本実施形態では、優先順序の高い弁の閉鎖タイミングが優先順序の低いものよりも早くなる(又は同時となる)ように制御されるものとするが、少なくとも開度の大きさ又は開放順序の何れか一方が優先されればよい。例えば、バルブ制御部9dは、燃焼室温度Tが所定温度T0以上であれば、まず排気絞り弁3の開度を閉鎖方向に調節する。
ここでの閉鎖量の演算手法は、開放量の演算手法に準じたものとすればよく、例えばエンジンブレーキ力F3と目標エンジンブレーキ力F4との差が大きいほど、減少量を増大させる制御とする。開度の閉鎖量が大きいほどエンジン10の摩擦損失が増加するため、エンジンブレーキ力F3が上昇する。したがって、開度の開放時と同様に、エンジンブレーキ力F3と目標エンジンブレーキ力F4とが一致するような開度を求めればよい。
また、排気絞り弁3の開度を全閉まで調節してもなお、エンジンブレーキ力F3が目標エンジンブレーキ力F4未満である場合、バルブ制御部9dはスロットル弁1又は吸気バイパス弁2の開度を閉鎖方向に調節する。さらに、排気絞り弁3,スロットル弁1及び吸気バイパス弁2の開度を全て全閉まで調節してもなお、エンジンブレーキ力F3が目標エンジンブレーキ力F4未満である場合には、高圧還流弁4の開度を閉鎖方向に調節する。
このように、バルブ制御部9dは、弁開度を閉鎖方向に調節する弁の選択において、高圧還流弁4や低圧還流弁5よりもスロットル弁1又は吸気バイパス弁2を優先し、これらよりも排気絞り弁3を優先する。したがって、回生発電時には、排気絞り弁3が閉鎖されやすくなる。
[3.フローチャート]
[3−1.制動力等の演算]
図2,図3は、電子制御装置9で実行される回生発電時のバルブ開度設定手順を説明するためのフローチャートである。このフローチャートに示される制御は、予め設定された所定周期(例えば、数十[ms]サイクル)で繰り返し実施される。
ステップA10では、モータージェネレーター6の作動状態に関する情報(回生モード情報)が、インバーター7から電子制御装置9に伝達される。ここでは、例えばモータージェネレーター6での回生電力及び供給電力に関する情報が電子制御装置9に入力される。
ステップA20では、モータージェネレーター6がジェネレーターとして機能しうる走行状態であるか否か(すなわち、回生発電を実施できる走行状態であるか否か)が判定される。ここで、回生発電が実施できる走行状態の場合にはステップA30へ進む。一方、回生発電が実施できる走行状態でない場合にはステップA170へ進み、回生発電が不実施とされる。また、スロットル弁1,吸気バイパス弁2,排気絞り弁3,高圧還流弁4及び低圧還流弁5の開度が予め設定された通常時の開度に調整され、このフローは終了する。
ステップA30では、要求制動力演算部9aにおいて、実回転速度Ne,車速V,アクセル開度APS及びブレーキ開度BRKに基づき、車両20に要求されている要求制動力F1が演算される。また、ステップA40では、回生能力演算部9bにおいて、実回転速度Ne,車速V及びバッテリー8の充電量に基づき、その時点の車両20の走行状態での回生可能能力F2が演算される。続くステップA50では、吸排気損失力演算部9cにおいて、各絞り弁1〜5の制御状態,実回転速度Ne,車速V,アクセル開度APS及びブレーキ開度BRKに基づき、その時点の車両20の走行状態でのエンジンブレーキ力F3が演算される。また、ステップA60では、バルブ制御部9dにおいて、要求制動力F1と回生可能能力F2との差に相当する目標エンジンブレーキ力F4が演算される。
ステップA70では、エンジンブレーキ力F3が目標エンジンブレーキ力F4以上であるか否かが判定される。エンジンブレーキ力F3が目標エンジンブレーキ力F4に等しければ、その時点の車両20の走行状態で最も効率よく回生発電を実施させたときに、実際の制動力が要求制動力F1となる。一方、エンジンブレーキ力F3が目標エンジンブレーキ力F4よりも大きければ制動力が過剰な状態であり、エンジンブレーキ力F3が目標エンジンブレーキ力F4よりも小さければ制動力が過小な状態である。ここでF3≧F4のときにはステップA80へ進み、F3<F4のときには図3のAに進む。
[3−2.損失を低減させる場合]
ステップA80〜A160は、エンジンブレーキ力F3を減少させるためのバルブ開放量を演算するステップ群である。まず、ステップA80では、エンジン10の燃焼室温度Tが所定温度T0以上であるか否かが判定される。ここでT≧T0の場合にはステップA90へ進み、エンジンブレーキ力F3と目標エンジンブレーキ力F4との差(F3−F4)に基づき、低圧還流弁5の開放量が演算される。また、吸排気損失力演算部9cでは、ここで演算された開放量の通りに低圧還流弁5を開放したときに、エンジンブレーキ力F3がどの程度減少するのかが演算される。
続くステップA100では、エンジンブレーキ力F3と目標エンジンブレーキ力F4との差(F3−F4)に基づき、高圧還流弁4の開放量が演算される。また、吸排気損失力演算部9cでは、ここで演算された開放量の通りに高圧還流弁4を開放したときに、エンジンブレーキ力F3がどの程度減少するのかが演算される。なお、前ステップの操作によってエンジンブレーキ力F3が十分に減少する場合には、このステップはスキップされる。つまり、低圧還流弁5が演算された開放量で開放されたとしても、エンジンブレーキ力F3の減少量が足りない場合(エンジンブレーキ力F3をさらに減少させたい場合)に、高圧還流弁4の開放量が演算される。
続くステップA110では、エンジンブレーキ力F3と目標エンジンブレーキ力F4との差(F3−F4)に基づき、スロットル弁1(又は吸気バイパス弁2)の開放量が演算される。また、吸排気損失力演算部9cでは、ここで演算された開放量の通りにスロットル弁1を開放したときに、エンジンブレーキ力F3がどの程度減少するのかが演算される。つまり、低圧還流弁5及び高圧還流弁4を開放するだけではエンジンブレーキ力F3の減少量が足りない場合に、スロットル弁1の開放量が演算される。なお、低圧還流弁5及び高圧還流弁4を開放することによってエンジンブレーキ力F3が十分に減少する場合には、このステップはスキップされる。
同様に、続くステップA120では、エンジンブレーキ力F3と目標エンジンブレーキ力F4との差(F3−F4)に基づき、排気絞り弁3の開放量が演算される。また、吸排気損失力演算部9cでは、ここで演算された開放量の通りに排気絞り弁3を開放したときに、エンジンブレーキ力F3がどの程度減少するのかが演算される。つまり、低圧還流弁5,高圧還流弁4及びスロットル弁1を開放してもエンジンブレーキ力F3の減少量が足りない場合に、排気絞り弁3の開放量が演算される。なお、低圧還流弁5,高圧還流弁4及びスロットル弁1を開放することによってエンジンブレーキ力F3が十分に減少する場合には、このステップはスキップされる。
ステップA130では、ステップA90〜A120で演算された開放量に従って、スロットル弁1(又は吸気バイパス弁2),排気絞り弁3,高圧還流弁4及び低圧還流弁5の開度が制御される。燃焼室温度Tが所定温度T0以上であるときにエンジン10の摩擦損失を減少させる場合には、低圧還流弁5が最も開放されやすくなり、次いで高圧還流弁4,スロットル弁1の順に開放されやすくなる。また、最も開放されにくいのは排気絞り弁3となる。
続くステップA140では、モータージェネレーター6で発生する回生制動力が最大となるように、電子制御装置9からインバーター7への指令が出力され、このフローは終了する。なお、ステップA120で排気絞り弁3の開放量が演算された場合であって、低圧還流弁5,高圧還流弁4,スロットル弁1及び排気絞り弁3の全てを開放してもエンジンブレーキ力F3の減少量が足りない場合には、その余剰分のエンジンブレーキ力F3を回生可能能力F2から減じた値が、実際にモータージェネレーター6で発生する回生制動力の大きさとなる。
また、ステップA80で燃焼室温度Tが所定温度未満(T<T0)であった場合には、ステップA150へ進む。ステップA150では、エンジンブレーキ力F3と目標エンジンブレーキ力F4との差(F3−F4)に基づき、高圧還流弁4の開放量が演算される。また、吸排気損失力演算部9cでは、ここで演算された開放量の通りに高圧還流弁4を開放したときに、エンジンブレーキ力F3がどの程度減少するのかが演算される。つまりここでは、燃焼室温度Tが所定温度T0以上(T≧T0)であった場合に実施されるステップA100と同様の開度演算がなされる。ただし、T≧T0の場合とは異なり、高圧還流弁4の開度演算が低圧還流弁5の開度演算よりも優先される。したがって、高圧還流弁4の方が低圧還流弁5よりも開放されやすくなる。
続くステップA160では、エンジンブレーキ力F3と目標エンジンブレーキ力F4との差(F3−F4)に基づき、低圧還流弁5の開放量が演算される。また、吸排気損失力演算部9cでは、ここで演算された開放量の通りに高圧還流弁4を開放したときに、エンジンブレーキ力F3がどの程度減少するのかが演算される。なお、前ステップの操作によってエンジンブレーキ力F3が十分に減少する場合には、このステップはスキップされる。つまり、高圧還流弁4が演算された開放量で開放されたとしても、エンジンブレーキ力F3の減少量が足りない場合(エンジンブレーキ力F3をさらに減少させたい場合)に、低圧還流弁5の開放量が演算される。
その後、ステップA110へ進み、スロットル弁1(又は吸気バイパス弁2)の開放量の演算が実施される。以降の制御は、ステップA80で燃焼室温度Tが所定温度以上(T≧T0)であった場合と同一である。
上記の通り、エンジンブレーキ力F3が目標エンジンブレーキ力F4よりも大きい場合には、エンジン10の吸排気系に設けられた各絞り弁1〜5の開度が開放方向に制御され、エンジンブレーキ力F3を減少させる制御が実施される。これにより、その時点の車両20の走行状態で最も効率のよい回生発電を実施しつつ、車両20に要求されている要求制動力F1を確保することが可能となる。また、低圧還流弁5や高圧還流弁4がスロットル弁1よりも優先して開放されるため、回生発電時のEGR量が確保され、シリンダー内の酸素濃度が低下する。したがって、例えばアクセルペダルが踏み込まれて回生発電が終了したときに生じやすいNOxスパイクが抑制され、排気性能が向上する。
[3−3.損失を増大させる場合]
続いて、ステップA70でエンジンブレーキ力F3が目標エンジンブレーキ力F4よりも小さい(F3<F4)と判定された場合について説明する。図3のステップA180〜A260は、エンジンブレーキ力F3を増加させるためのバルブ閉鎖量を演算するステップ群である。以下、ステップA180〜A260の制御内容を、ステップA80〜160の制御内容と対比しながら説明する。
まず、ステップA180では、エンジン10の燃焼室温度Tが所定温度T0以上であるか否かが判定される。ここでT≧T0の場合にはステップA190へ進み、エンジンブレーキ力F3と目標エンジンブレーキ力F4との差(F4−F3)に基づき、排気絞り弁3の閉鎖量が演算される。また、吸排気損失力演算部9cでは、ここで演算された閉鎖量の通りに排気絞り弁3を閉鎖したときに、エンジンブレーキ力F3がどの程度増加するのかが演算される。
続くステップA200では、エンジンブレーキ力F3と目標エンジンブレーキ力F4との差(F4−F3)に基づき、スロットル弁1(又は吸気バイパス弁2)の閉鎖量が演算される。また、吸排気損失力演算部9cでは、ここで演算された閉鎖量の通りに排気絞り弁3を閉鎖したときに、エンジンブレーキ力F3がどの程度増加するのかが演算される。なお、前ステップの操作によってエンジンブレーキ力F3が十分に増加する場合には、このステップはスキップされる。つまり、排気絞り弁3の開度を閉鎖方向に調節するだけではエンジンブレーキ力F3の増加量が足りない場合(エンジンブレーキ力F3をさらに増加させたい場合)に、スロットル弁1の閉鎖量が演算される。
続くステップA210では、エンジンブレーキ力F3と目標エンジンブレーキ力F4との差(F4−F3)に基づき、高圧還流弁4の閉鎖量が演算される。また、吸排気損失力演算部9cでは、ここで演算された開放量の通りに高圧還流弁4を閉鎖したときに、エンジンブレーキ力F3がどの程度増加するのかが演算される。つまり、排気絞り弁3及びスロットル弁1を開放するだけではエンジンブレーキ力F3の増加量が足りない場合に、高圧還流弁4の閉鎖量が演算される。なお、排気絞り弁3及びスロットル弁1を閉鎖することによってエンジンブレーキ力F3が十分に増加する場合には、このステップはスキップされる。
同様に、続くステップA220では、エンジンブレーキ力F3と目標エンジンブレーキ力F4との差(F4−F3)に基づき、低圧還流弁5の閉鎖量が演算される。また、吸排気損失力演算部9cでは、ここで演算された閉鎖量の通りに低圧還流弁5を閉鎖したときに、エンジンブレーキ力F3がどの程度増加するのかが演算される。つまり、排気絞り弁3,スロットル弁1及び高圧還流弁4を閉鎖してもエンジンブレーキ力F3の増加量が足りない場合に、低圧還流弁5の閉鎖量が演算される。なお、高圧還流弁4,排気絞り弁3及びスロットル弁1を閉鎖することによってエンジンブレーキ力F3が十分に増加する場合には、このステップはスキップされる。
ステップA230では、ステップA190〜A220で演算された閉鎖量に従って、スロットル弁1(又は吸気バイパス弁2),排気絞り弁3,高圧還流弁4及び低圧還流弁5の開度が制御される。燃焼室温度Tが所定温度T0以上であるときにエンジン10の摩擦損失を増加させる場合には、排気絞り弁3が最も閉鎖されやすくなり、次いでスロットル弁1,高圧還流弁4の順に閉鎖されやすくなる。また、最も閉鎖されにくいのは低圧還流弁5となる。
続くステップA240では、モータージェネレーター6で発生する回生制動力が最大となるように、電子制御装置9からインバーター7への指令が出力される。なお、ステップA220で低圧還流弁5の閉鎖量が演算された場合であって、低圧還流弁5,高圧還流弁4,スロットル弁1及び排気絞り弁3の全てを閉鎖してもエンジンブレーキ力F3が足りない場合には、不足分の制動力を油圧ブレーキ装置で発生させる自動制動制御を実施してもよい。
また、ステップA180で燃焼室温度Tが所定温度未満(T<T0)であった場合には、ステップA250へ進む。ステップA250では、ステップA190と同様に、エンジンブレーキ力F3と目標エンジンブレーキ力F4との差(F4−F3)に基づき、排気絞り弁3の閉鎖量が演算される。また、続くステップA260では、ステップA200と同様に、スロットル弁1(又は吸気バイパス弁2)の閉鎖量が演算される。
一方、続くステップA270では、エンジンブレーキ力F3と目標エンジンブレーキ力F4との差(F4−F3)に基づき、低圧還流弁5の閉鎖量が演算される。つまり、T≧T0の場合とは異なり、高圧還流弁4よりも先に低圧還流弁5の閉鎖量が演算される。したがって、低圧還流弁5の方が高圧還流弁4よりも閉鎖されやすくなる。その後、ステップA280では、エンジンブレーキ力F3と目標エンジンブレーキ力F4との差(F4−F3)に基づき、高圧還流弁4の閉鎖量が演算される。
上記の通り、エンジンブレーキ力F3が目標エンジンブレーキ力F4よりも小さい場合には、エンジン10の吸排気系に設けられた各絞り弁1〜5の開度が閉鎖方向に制御され、エンジンブレーキ力F3を増加させる制御が実施される。これにより、その時点の車両20の走行状態で最も効率のよい回生発電を実施しつつ、車両20に要求されている要求制動力F1を確保することが可能となる。また、排気絞り弁3やスロットル弁1が低圧還流弁5や高圧還流弁4よりも優先して閉鎖されるため、回生発電時のEGR量が確保され、シリンダー内の酸素濃度が低下する。したがって、回生発電の終了時に生じうるNOxスパイクが抑制され、排気性能が向上する。
[4.効果]
(1)上記の回生制御装置では、回生発電時にエンジン10の摩擦損失を低減させる場合に、吸排気系に設けられた各絞り弁1〜5が開放方向に制御される。これにより、吸排気系での吸排気損失や圧力変化に伴って生じうる機械損失が減少する。したがって、車両20に作用する制動力をほぼ一定に保ったまま、発電によって生じる回生制動力を増加させることができ、発電量及び発電効率を向上させることができる。
また、各絞り弁1〜5の開度制御に際し、スロットル弁1や吸気バイパス弁2よりも高圧還流弁4や低圧還流弁5の方が優先して開放されるため、高圧ループ還流路15や低圧ループ還流路16を介したEGRガスの流通が阻害されにくくなる。つまり、回生発電中にEGRガスを流通させておくことができるため、EGRガスの流動を停止させる制御を実施する場合よりも、回生発電が終了した直後に応答よくEGRガスをシリンダー内に導入することができる。また、回生発電中にアクセルペダルが踏み込まれて車両20が加速するときのEGRガス量が確保され、シリンダー内の酸素濃度の急上昇が抑制されるため、NOxスパイクを抑制することができる。
また、上記の回生制御装置では、燃焼室温度Tが所定温度T0以上である通常の運転状態において、各絞り弁1〜5のうち低圧還流弁5が最も開放されやすい(又は、開放された状態で維持されやすい)ことになる。これにより、回生制御時にターボチャージャー13の上流圧を増大させておくことが容易となり、上流圧と下流圧との差圧に伴うターボチャージャー13の駆動ロスを減少させることができる。したがって、エンジン10の機械損失をさらに低減させることができ、回生発電効率をさらに向上させることができる。なお、ターボチャージャー13の代わりに機械式過給機(エンジン10の駆動力を利用してコンプレッサー13aを回転駆動するタイプのスーパーチャージャー)を用いた場合であっても、過給機の駆動に係るエネルギー損失量が減少するため、回生発電効率を向上させることができる。
また、低圧還流弁5を開放することで、ターボチャージャー13のタービン13bを通過する排気流量が低圧ループ還流路16を流通するEGRガス量の分だけ増加する。したがって、回生発電時のタービン13bの回転数を比較的高いまま維持しておくことが可能となり、再加速時の加速性を向上させることができる。
(2)一方、回生発電時にエンジン10の摩擦損失を増加させる場合であっても、高圧還流弁4や低圧還流弁5よりもスロットル弁1や吸気バイパス弁2の方が優先して閉鎖されるため、高圧ループ還流路15や低圧ループ還流路16を介したEGRガスの流通が阻害されにくくなる。つまり、エンジン10の摩擦損失をどのように制御する場合であっても、回生発電中にEGRガスを流通させておくことができ、回生発電が終了した直後に応答よくEGRガスをシリンダー内に導入することができる。したがって、回生発電中にアクセルペダルが踏み込まれて車両20が加速するときのEGRガス量が確保され、シリンダー内の酸素濃度の急上昇が抑制されるため、NOxスパイクを抑制することができる。
(3)また、上記の回生制御装置では、エンジン10の摩擦損失を低減させる場合に、排気系に設けられた排気絞り弁3よりも吸気系に設けられたスロットル弁1や吸気バイパス弁2,高圧還流弁4,低圧還流弁5の方が優先して開放される。これにより、回生制動時のEGRガスの流動を維持しやすくすることができる。上記の(1)に記載されたEGRガス量の増加に由来する効果をさらに強化することができる。
(4)エンジン10の摩擦損失を増加させる場合においても、吸気系に設けられたスロットル弁1や吸気バイパス弁2,高圧還流弁4,低圧還流弁5よりも排気系に設けられた排気絞り弁3の方が優先して閉鎖されるため、回生制動時のEGRガスの流動を維持しやすくすることができる。したがって、EGRガス量の増加に由来する効果をさらに強化することができ、例えば回生発電時からその後の加速時にかけての排気浄化性能を向上させることができる。
(5)さらに、上記の回生制御装置では、エンジン10の摩擦損失を低減させる場合に、排気系よりも吸気系の絞り弁開度が優先的に開放される。したがって、回生制動時の排気圧を高めに維持しやすくすることができ、すなわち、EGRガス量の増加に由来する効果をさらに強化しつつ、排気浄化性能を向上させることができる。
(6)エンジン10の摩擦損失を増加させる場合も同様であり、吸気系の絞り弁開度よりも排気系の絞り弁開度が優先的に閉鎖されるため、回生制動時の排気圧を高めに維持しやすくすることができ、EGRガス量の増加に由来する効果をさらに強化しつつ、排気浄化性能を向上させることができる。
(7)また、燃焼室温度Tが所定温度T0以上である通常の運転状態での二種類の還流弁4,5に関して、上記の回生制御装置では、摩擦損失を低減方向に制御する際に、低圧還流弁5の方が高圧還流弁4よりも優先して開放される。このように、EGRガス量についての制御応答性が比較的低い低圧還流弁5の開度が開放されやすくすることで、低圧ループ還流路16内のEGRガスの流れを維持しやすくすることができる。これにより、再加速時のEGR量の応答性を確保しながら、NOxスパイクの発生を効果的に抑制することができ、排気性能を向上させることができる。
(8)一方、摩擦損失を増大方向に制御する際にも、高圧還流弁4が低圧還流弁5よりも優先して閉鎖される。このように、制御応答性が比較的高い高圧還流弁4が閉鎖されやすくすることで、エンジン10の摩擦損失を迅速に増大させることができ、エンジン10の回生効率の制御応答性を高めることができる。
(9)また、上記の回生制御装置では、燃焼室温度Tに応じて高圧還流弁4と低圧還流弁5との優先順位を逆転させており、例えば燃焼室温度Tが所定温度T0に満たないエンジン10の冷態始動時には、高圧還流弁4の方が低圧還流弁5よりも開放されやすい設定となっている。つまり、エンジン10のシリンダーに再導入されるEGRガスの温度が比較的高めに維持されることになり、燃焼のロバスト性を向上させることができる。これにより、再加速時のNOxスパイクの発生を抑制しつつ、加速性能を向上させることができる。
[5.変形例]
上述した実施形態に関わらず、それらの趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。本実施形態の各構成は、必要に応じて取捨選択することができ、あるいは適宜組み合わせてもよい。
上述の電子制御装置9は、エンジンブレーキ力F3と目標エンジンブレーキ力F4との大小関係に基づいて、各絞り弁1〜5の開度を開放方向に制御するのか、それとも閉鎖方向に制御するのかを判断しているが、各絞り弁1〜5の具体的な開度設定に係る判断手法はこれに限定されない。例えば、エンジン10に要求されている要求トルクや、回生発電によって回収されるトルク等に基づいてエンジンブレーキ相当のトルクを演算してもよい。少なくとも、エンジン10の摩擦損失を低減方向に制御すべき運転状態であるのか、それとも増大方向に制御すべき運転状態であるのかが把握される手法を用いればよい。
なお、上述の実施形態では、予め設定された優先順位の順番で、各絞り弁1〜5の個々の弁開度が一つずつ演算されている。例えば、図2のステップA110でのスロットル弁1の開放量は、低圧還流弁5,高圧還流弁4を開放しただけではエンジンブレーキ力F3の減少量が足りない(エンジンブレーキ力F3が強すぎる)場合に、初めて演算されることになる。つまり、還流弁4,5のみの開放によってエンジンブレーキ力F3の減少量が賄われる場合には、スロットル弁1が開放されない。しかし、スロットル弁1を開放させたい場合も考えられる。
そこで、スロットル弁1の開放量の演算条件に変更を加えて、還流弁4,5のみでエンジンブレーキ力F3を十分に低下させることができる状態であっても、スロットル弁1を開放するような制御にすることも一案である。例えば、還流弁4,5の開度が所定開度未満である場合に、スロットル弁1よりも還流弁4,5を優先して開放する制御としてもよい。言い換えると、還流弁4,5の開度が所定開度以上の場合には、優先順位に関わらずスロットル弁1を開放してもよいし、スロットル弁1及び還流弁4,5をすべて開放してもよいこととする。このような開度設定により、各絞り弁1〜5の開度特性に応じた柔軟なエンジンフリクションの制御を実現することができる。
また、上述の実施形態では、各絞り弁1〜5の開放順序や閉鎖順序(すなわち、制御対象として選択する順序)を優先する制御を例示したが、これに加えてあるいは代えて、各絞り弁1〜5の開度を優先する(すなわち、優先順位が高いものほど開放量や閉鎖量を大きくする)制御を実施してもよい。つまり、各絞り弁1〜5の「開放されやすさ,閉鎖されやすさ」に加えてあるいは代えて、各絞り弁1〜5の「開放の度合い,閉鎖の度合い」を制御してもよい。これにより、上述の実施形態と同様に、エンジン10の摩擦損失を増減させることができ、回生発電時の排気還流量を確保することができるとともに、回生発電のエネルギー効率を向上させることができる。
また、上述の実施形態では、車両20に搭載されたエンジン10を制御する電子制御装置9とその制御対象である吸排気系の各絞り弁1〜5等を有する回生制御装置を例示したが、電子制御装置9の制御対象はこれに限定されない。上記の電子制御装置9は、例えば車両や船舶,航空機,産業用機械等に搭載されるガソリンエンジン,ディーゼルエンジン等の内燃機関の制御装置として適用することが可能である。
また、上述の実施形態では、ハイブリッド車両のモータージェネレーター6による回生発電時の吸排気系の開度制御について詳述したが、本発明の適用対象はハイブリッド車両のみに限定されない。少なくとも、駆動輪側から伝達される駆動力を利用して回生発電を実施する発電機やオルタネーターを備えた車両であれば、上述の実施形態の制御を実施することができる。
1 スロットル弁(吸気絞り弁の一つ)
2 吸気バイパス弁(吸気絞り弁の一つ)
3 排気絞り弁
4 高圧還流弁(還流弁の一つ)
5 低圧還流弁(還流弁の一つ)
6 モータージェネレーター(発電機)
9 電子制御装置(制御手段)
22 冷却水温センサー(検出手段)

Claims (9)

  1. エンジンの吸気通路に介装され、吸気流量を調節する吸気絞り弁と、
    前記吸気通路及び排気通路を連通する環流路上に介装され、排気還流量を調節する還流弁と、
    前記エンジンの動力伝達経路に連結され、駆動輪側から入力される駆動力で回生発電を行う発電機と、
    前記発電機の回生発電時に、前記吸気絞り弁及び前記還流弁の開度調節により前記エンジンの摩擦損失を制御する制御手段とを備え、
    前記制御手段は、前記摩擦損失を低減方向に制御する際に、前記吸気絞り弁の開度よりも前記還流弁の開度を優先して開放方向に作動させる
    ことを特徴とする、回生制御装置。
  2. 前記制御手段は、前記摩擦損失を増大方向に制御する際に、前記還流弁の開度よりも前記吸気絞り弁の開度を優先して閉鎖方向に作動させる
    ことを特徴とする、請求項1記載の回生制御装置。
  3. 前記エンジンの排気通路に介装され、排気流量を調節する排気絞り弁を備え、
    前記制御手段は、前記排気絞り弁の開度調節を行うとともに、前記摩擦損失を低減方向に制御する際に、前記排気絞り弁の開度よりも前記還流弁の開度を優先して開放方向に作動させる
    ことを特徴とする、請求項1又は2記載の回生制御装置。
  4. 前記制御手段は、前記摩擦損失を増大方向に制御する際に、前記還流弁の開度よりも前記排気絞り弁の開度を優先して閉鎖方向に作動させる
    ことを特徴とする、請求項3記載の回生制御装置。
  5. 前記制御手段は、前記摩擦損失を低減方向に制御する際に、前記排気絞り弁の開度よりも前記吸気絞り弁の開度を優先して開放方向に作動させる
    ことを特徴とする、請求項3又は4記載の回生制御装置。
  6. 前記制御手段は、前記摩擦損失を増大方向に制御する際に、前記吸気絞り弁の開度よりも前記排気絞り弁の開度を優先して閉鎖方向に作動させる
    ことを特徴とする、請求項3〜5の何れか1項に記載の回生制御装置。
  7. 前記還流弁が、低圧還流路上に介装された低圧還流弁と、高圧還流路上に介装された高圧還流弁とを有し、
    前記制御手段は、前記低圧還流弁及び前記高圧還流弁の開度調節を行うとともに、前記摩擦損失を低減方向に制御する際に、前記高圧還流弁の開度よりも前記低圧還流弁の開度を優先して開放方向に作動させる
    ことを特徴とする、請求項1〜6の何れか1項に記載の回生制御装置。
  8. 前記制御手段は、前記摩擦損失を増大方向に制御する際に、前記低圧還流弁の開度よりも前記高圧還流弁の開度を優先して閉鎖方向に作動させる
    ことを特徴とする、請求項7記載の回生制御装置。
  9. 前記エンジンの温度を検出する検出手段を備え、
    前記制御手段は、前記検出手段で検出された前記温度が所定温度以下であるときに、前記弁を作動させる選択において前記高圧還流弁及び前記低圧還流弁の優先順位を逆転させる
    ことを特徴とする、請求項7又は8記載の回生制御装置。
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