JP2013155511A - 断熱材 - Google Patents

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Abstract

【課題】断熱性能の低下を抑制しつつ排水あるいは排湿が可能となる断熱材を提供する。
【解決手段】発泡材料を押し出し発泡した棒状の発泡体11が、一方向に配向し該一方向の位置を重ねつつ隣り合うもの同士が溶着により一体化されてなる断熱材10であって、発泡体11の表面は発泡により不規則な凹凸形状に形成されており、隣り合う発泡体11,11同士は溶着が前記一方向に不連続となっている。これにより、隣り合う発泡体11,11間に極微細な隙間21が形成され、この隙間21を介して排水および排湿が可能となる。
【選択図】図3

Description

本発明は、建物の床下、天井、壁、屋根等に施工される断熱材に関する。
一般に、住宅等の建物の床下、天井、壁、屋根等には、ポリスチレン等の樹脂製発泡体からなる断熱材が施工されている。この樹脂発泡系の断熱材は、防湿性および防水性があり、優れた断熱効果を発揮するものである。
例えば、建物の床構造では、上記のような樹脂発泡系の断熱材を、床の大引や根太等の構造材の間に配置することになるが、建築施工中に雨水が断熱材の上面に溜まることがある。このままの状態で合板や床板を貼り付けるとカビが発生してしまうことがあるため、合板や床板を貼り付ける前に、断熱材上に溜まった水を拭き取って乾燥させる必要があり、施工上手間となってしまう。また、合板や床板と断熱材との間に隙間があると、この空間で結露を生じてしまうことがあり、結露水がカビ発生の原因となってしまう。このため、貫通孔を有する断熱材を用いて雨水および結露水を排水することが行われている(例えば、特許文献1参照)。
また、壁や屋根の構造材間に断熱材を施工する場合に、壁内および屋根裏の湿気を屋外に排出したいとの要望があり、貫通孔を有する断熱材を用いて湿気を屋外に排出することが行われている(例えば、特許文献2参照)。
なお、湿気の排出つまり排湿には、繊維系の断熱材を使用する方法もある(例えば、特許文献3参照)。
実公平07−54449号公報 実開平03−130805号公報 特開2002−228086号公報
上記特許文献1,2に記載された断熱材では、貫通孔を有するため、断熱性能が低下してしまうという課題がある。
また、特許文献3に記載されたような繊維系の断熱材では、それ自体の剛性が低いため、吸湿すると荷重で変形して垂れ下がる等してしまい、断熱性能が低下してしまうという課題がある。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、断熱性能の低下を抑制しつつ排水あるいは排湿が可能となる断熱材を提供すること目的とする。
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明は、発泡材料を押し出し発泡した棒状の発泡体が、一方向に配向し該一方向の位置を重ねつつ隣り合うもの同士が溶着により一体化されてなる断熱材であって、前記発泡体の表面は前記発泡により不規則な凹凸形状に形成されており、隣り合う前記発泡体同士は前記溶着が前記一方向に不連続となっていることを特徴とする。
また、請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明において、前記発泡体が、間に空洞を形成するように複数列および複数段に配置されており、前記空洞が前記一方向の端面に開口していることを特徴とする。
また、請求項3に係る発明は、請求項1または2に係る発明において、前記発泡体は少なくとも前記一方向とは直交する方向に防水性および防湿性を有することを特徴とする。
請求項1に係る発明によれば、表面が不規則な凹凸形状に形成されてなる棒状の発泡体を、一方向に配向しこの一方向の位置を重ねつつ隣り合うもの同士をこの一方向に不連続に溶着して一体化するため、隣り合う発泡体間に極微細な隙間が形成され、この隙間を介して排水あるいは排湿が可能となる。しかも、貫通孔を形成する場合と比べて隙間を極微細にでき、また繊維系と比べて変形しにくい構造となるため、断熱性能の低下を抑制することができる。
請求項2に係る発明によれば、水あるいは湿気が隣り合う発泡体間の極微細な隙間から、発泡体間の空洞を介して前記一方向の端面に排出される。よって、水あるいは湿気を円滑に外部に排出することができる。
請求項3に係る発明によれば、発泡体は少なくとも前記一方向とは直交する方向に防水性および防湿性を有するため、発泡体内への水および湿気の滲入を抑制することができる。
本発明の一実施形態に係る断熱材の施工例としての床構造を示す斜視図である。 本発明の一実施形態に係る断熱材を示す支持材への嵌合前の正面図である。 本発明の一実施形態に係る断熱材を示す支持材への嵌合後の正面図である。 本発明の一実施形態に係る断熱材のロールフォーミング工程を行う製造装置の側面図である。 本発明の一実施形態に係る断熱材のロールフォーミング工程を行う製造装置の背面図である。
以下、本発明の一実施形態に係る断熱材について、図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係る断熱材10の施工例としての床構造を示す斜視図であり、断熱材10は、互いに平行に延びる大引あるいは根太等の断面矩形状の支持材110,110間に配置される。
図2に示すように、断熱材10は、発泡材料を押し出し発泡した複数の棒状の発泡体11が、一定の配向方向(一方向:図2の紙面直交方向)に配向しこの配向方向の位置を重ねつつ、この配向方向に直交する配向直交方向に隣り合うもの同士が溶着されて一体化されてなるものである。発泡体11の配向方向は、押し出し方向と同じであり、長さ方向と同じである。断熱材10は、発泡体11の一の配向直交方向に板厚方向(図2の上下方向)を有し、この板厚方向と直交する他の配向直交方向(図2の左右方向)に板幅方向を有する板状に形成されている。
複数の発泡体11は、間に空洞20を形成するように、板厚方向に複数段、板幅方向に複数列配置されている。言い換えれば、空洞20は、環状に配置された複数(四本)の発泡体11の接合面以外の部分に囲まれて形成されており、具体的には、板幅方向の位置が合い板厚方向に隣り合う二本の発泡体11,11と、これらの両方に隣り合って板厚方向の位置が合い板幅方向に隣り合う二本の発泡体11,11とで囲まれて形成されている。なお、断熱材10は、発泡体11の配向方向(つまり長さ方向)の両方(図2および図3にて一方のみ図示)の端面12が切断により形成されることになる。すべての空洞20は、断熱材10を発泡体11の配向方向に貫通し、この配向方向の両方の端面12にそれぞれ開口している。
断熱材10は、図2に示す状態から図3に示す状態となるように、支持材110,110の互いに平行に延びて対向する支持面111,111間に板幅方向両端において嵌合されることになり、より詳しくは、支持材110,110の両方の中心線を含む面に対し直交する方向(図2に示す矢印Z方向)に、この方向に板厚方向を沿わせた姿勢で嵌合されることになる。断熱材10は、板幅が支持面111,111間の距離よりも大きく、嵌合時に潰れることにより発生する弾発力で一対の支持材110,110間に保持される。ここでは、互いに平行に延びる支持材110,110のそれぞれの中心線を含む面に対し直交する方向Zを断熱材10の嵌合方向とし、よって、断熱材10における嵌合方向は板厚方向となる。
断熱材10の、板厚方向つまり嵌合方向の両側にある一対の大面15,15は、全体的に板厚方向に直交する平坦な形状をなしている。また、板幅方向の両端に位置する一対の嵌合面16,16は、板厚方向つまり嵌合方向の中間部が、板厚方向つまり嵌合方向の前部および後部よりも外側に位置するように膨出する弧状をなしている。具体的に、嵌合面16,16は、それぞれが、板厚方向の中央が最も板幅方向の外側に位置し、大面15,15側ほど板幅方向の内側に位置するように同等に傾斜する一対の傾斜面17,17からなっている。この断熱材10は、上記した発泡体11の配向方向と直交する方向に位置するこれら一対の嵌合面16,16にて一対の支持材110,110間に嵌合されて保持される。なお、嵌合面16,16の形状は、上記膨出する弧状以外であっても良い。例えば、嵌合面16,16の少なくともいずれか一方を大面15,15に直交する平坦面としたり、嵌合面16,16の少なくともいずれか一方を片側の大面15が他方の大面15よりも板幅方向の外側に位置するようにテーパ状に傾斜する平坦面としたりすることができる。
ここで、発泡体11を成形するために使用される発泡材料としては、ポリオレフィン樹脂と、セルロースと、でんぷんとを含む材料を用いるのが好ましい。
ポリオレフィン樹脂としては、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂などが挙げられる。
セルロースとしては、新聞紙や雑誌等の古紙を原料として用いることができる。古紙は粉砕機により所望の大きさに粉砕されて用いられる。
でんぷんとしては、とうもろこし澱粉(コーンスターチ)、小麦澱粉、米澱粉などを用いることができる。
また、上記した発泡材料の100質量%中の各成分の割合は、ポリオレフィン樹脂が30〜50質量%であることが好ましく、セルロースが10〜40質量%であることが好ましく、でんぷんが20〜40質量%であることが好ましい。
また、発泡材料には、必要に応じて酸化防止剤、防かび剤、顔料など、断熱材に用いられる各種添加剤を含有させてもよい。
本実施形態の断熱材10は、セルロース(古紙)やでんぷんを含むので、環境に十分配慮している。
断熱材10は、例えば以下のようにして形成される。
まず、上述した紙発泡材料を押出成形機の複数の細孔を有する口金より押し出しながら発泡させることで、細孔の数に応じた複数の円柱棒状(ストランド状)の発泡体11が同じ一方向に配向しながら成形されることになり、口金から束状に押し出された多数の発泡体11は、発泡直後の溶融粘着性により隣り合うもの同士が溶着して集合状態に一体化されて図4に示す中間成形体10Aとなる(押出発泡工程)。なお、発泡の際は、発泡剤として水を用いるのが好ましい。
ここで、図示は略すが、発泡体11の配向方向に対し直交する方向にある表皮11aの表面は発泡により微細かつ不規則な凹凸形状に形成されており、また、発泡直後の溶融粘着性により隣り合うもの同士が溶着する際に、発泡体11の配向方向である押し出しの方向の全長が溶着されることはなく、各部分毎に異なる発泡の状況により断続的に溶着されるようになっている。つまり、隣り合う発泡体11,11同士は溶着が配向方向に不連続となっている。これにより、隣り合って溶着される発泡体11,11の間にこれらを結ぶ方向に対して直交する方向に貫通する微細な隙間21が形成されている。隙間21は、発泡体11,11の接合面に形成されており、空洞20に開口し、隙間21を間に挟んで隣り合う空洞20,20同士を連通させている。
また、このとき、発泡体11は、表皮11aが他の発泡体11との溶着部分を含めて樹脂材を主体に構成されることになり、防水性および防湿性を有する。他方、発泡体11の表皮11aよりも内側の内部構成部11bは吸湿性および吸水性を有している。発泡体11の切断された両端面12は、複数の発泡体11の切断された両端面11cで構成されており、これら発泡体11は、端面11cにて内部構成部11bが露出しており、よって配向方向に吸湿性および吸水性を有している。つまり、発泡体11は配向方向とは直交する方向に防水性および防湿性を有しており、この方向には透水および透湿しないようになっている。なお、別途の防水性および防湿性を有するシール材を両端面11cに塗布して配向方向にも防水性および防湿性を持たせても良い。
上記の押出発泡工程で用いられる押出成形機の口金は、中間成形体10Aの板厚方向における位置を合わせた複数の断面円形の細孔からなる細孔列が複数列(具体的には11列)、板厚方向に等ピッチで形成された形状をなしている。板厚方向の中央位置の細孔列を基準列(第1列)とすると、基準列および基準列から板厚方向に一つおきに配置される、板厚方向両側の奇数列(具体的には第1列,第3列,第5列)の細孔列は、細孔の数がすべて同じとなっている。他方、基準列に対し板厚方向両側に隣り合うものおよびこれらに対し一つおきに配置される、板厚方向両側の偶数列(具体的には第2列,第4列,第6列)の細孔列は、奇数列に対し、奇数列の隣り合う細孔間に一つの細孔が配置されるように板幅方向に略半ピッチずれ、細孔の数が、すべて同じで奇数列の細孔列よりも一つ少なくなっている。
そして、図4および図5に示すように、上流側にあって外周面が円筒面状をなす一対の平行なローラ200,200を回転させ、これらの間に、これらに板厚方向両側において接触するように上記した中間成形体10Aを連続して通す。続けて、下流側にあって外周面が軸方向両側ほど大径となる二つのテーパ面201,201からなる一対の平行なローラ202,202を回転させ、これらの間に、これらに板幅方向両側において接触するように中間成形体10Aを連続して通す。このようにして、上記の一対のローラ200,200と一対のローラ202,202とで中間成形体10Aを加熱および加圧することになる。ここで、ローラ202の二つのテーパ面201,201は、テーパ率が同じで軸方向長さも同じとなっており、互いの境界位置がローラ200,200間の中央位置に配置されている。
すると、上流側の一対のローラ200,200で、中間成形体10Aの板厚方向両側に一対の略平坦な大面15,15が形成され、下流側の一対のローラ202,202で中間成形体10Aの板幅方向両側に一対の山形の嵌合面16,16が形成されて板形状となり(ロールフォーミング工程)、その後は、適宜の長さで発泡体11の配向方向の両方の端面12,12が切断により形成されて断熱材10が形成される。なお、一対のローラ202,202の外周面の形状は、嵌合面16,16の形状に応じて適宜変更されることになる。例えば、嵌合面16が大面15,15に直交する平坦面の場合、円筒面状をなし、嵌合面16がテーパ状に傾斜する平坦面の場合、一定に傾斜するテーパ面状をなす。
以上に述べた本実施形態に係る断熱材10によれば、表皮11aの表面が不規則な凹凸形状に形成されてなる棒状の発泡体11を、一の配向方向に配向しこの配向方向の位置を重ねつつ隣り合うもの同士を配向方向に不連続に溶着して一体化するため、隣り合う発泡体11,11間に極微細な隙間21が形成され、この隙間21を介して例えば図3に矢印Xで示すように排水および排湿が可能となる。つまり、本実施形態に係る断熱材10は排水性および排湿性を有する。しかも、貫通孔を形成する場合と比べて隙間21を極微細にでき、また繊維系と比べて変形しにくい構造となるため、断熱性能の低下を抑制することができる。具体的には、建築施工中に雨水が断熱材10の上面に溜まることがあっても、この溜まった雨水は、隙間21を介して排水されるため、拭き取って乾燥させる必要がなくなり、施工性が向上する。また、断熱材10と合板や床板と断熱材との間に隙間があってこの空間で結露を生じても、結露水を隙間21を介して排水することができる。
また、水および湿気が隣り合う発泡体11,11の接合面にある極微細な隙間21から、発泡体11,11間の接合面ではない部分に形成された空洞20を介して発泡体11の配向方向の端面12から排出される。よって、水および湿気を円滑に外部に排出することができる。
また、発泡体11は少なくとも配向方向とは直交する方向に防水性および防湿性を有するため、発泡体11内への水あるいは湿気の滲入を抑制することができる。
なお、以上の実施形態の断熱材10は、屋根の垂木間、あるいは壁の柱間等にも適用可能であり、その場合も、湿気を外部に排出することができる効果が得られる。
また、発泡素材として、上記以外にも、ポリスチレン、ポリプロピレン等の合成樹脂発泡素材を用いることも可能である。
参考技術ではあるが、上記隙間21を形成しないように隣り合う発泡体11,11同士を連続溶着とし、断熱材10の表面から空洞20に連通する貫通孔を穿設しても、排水および排湿は可能である。
実施例として、厚さ80mmの上記した断熱材10を100mm×100mmに切断し、上面の中央部にパイプを立設固定した試験体を用意した。その際にパイプの下端部は止水のためホットメルトで断熱材10に接着した。そして、パイプに所定量の水を入れ、水の減少量を測定した。また、比較例としてポリスチレン製の厚さ65mmの一体板状の断熱材に対し同様の測定を行った。結果は、以下の通りである。
Figure 2013155511
実施例1,2には、パイプに水100mlを入れた。1日経過後に、実施例1では56g、実施例2では60g、それぞれ水が減少し、2日経過後に、実施例1では70g、実施例2では75g、それぞれ水が減少し、5日経過後に、実施例1では81g、実施例2では85g、それぞれ水が減少した。また、実施例3,4には、パイプに水を30ml入れた。1日経過後に、実施例3では2g、実施例4では3g、それぞれ水が減少し、2日経過後に、実施例3では10g、実施例4では15g、それぞれ水が減少し、5日経過後に、実施例3では22g、実施例4では29g、それぞれ水が減少した。なお、実施例1〜4のいずれにも、隙間21に水分が検出される一方、発泡体11の内部構成部11bに水分が検出されることはなかった。
他方、比較例1,2には、パイプに水を100ml入れた。1日経過後に、比較例1,2共に水が1g減少し、2日経過後に、比較例1,2共に水が2g減少し、5日経過後に、比較例1,2共に水が5g減少した。また、比較例3,4には、パイプに水を30mlを入れた。1日経過後に、比較例3,4ともに水が減少せず、2日経過後に、比較例3,4共に水が1g減少し、5日経過後に、比較例3,4共に水が3g減少した。なお、比較例5として、下部が閉塞されたパイプに水を100ml入れた場合、1日経過後に水が1g減少し、2日経過後に水が2g減少し、5日経過後に水が6g減少した。
以上の実施例1〜4と比較例1〜4との比較から、本実施形態の断熱材10は、良好な排水性および排湿性があることがわかる。また、比較例1〜4と比較例5との比較からポリスチレンの板状の断熱材は排水性および排湿性がないことがわかる。
10 断熱材
11 発泡体
12 端面
20 空洞

Claims (3)

  1. 発泡材料を押し出し発泡した棒状の発泡体が、一方向に配向し該一方向の位置を重ねつつ隣り合うもの同士が溶着により一体化されてなる断熱材であって、
    前記発泡体の表面は前記発泡により不規則な凹凸形状に形成されており、
    隣り合う前記発泡体同士は前記溶着が前記一方向に不連続となっていることを特徴とする断熱材。
  2. 前記発泡体が、間に空洞を形成するように複数列および複数段に配置されており、
    前記空洞が前記一方向の端面に開口していることを特徴とする請求項1に記載の断熱材。
  3. 前記発泡体は少なくとも前記一方向とは直交する方向に防水性および防湿性を有することを特徴とする請求項1または2に記載の断熱材。
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