JP2004293257A - 断熱材、断熱材充填建築用パネルおよび断熱材充填建築用パネルの製造方法 - Google Patents
断熱材、断熱材充填建築用パネルおよび断熱材充填建築用パネルの製造方法 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】断熱材を外壁パネル等の建築用パネル内において、所定の位置に確実に保持しておくことができる断熱材、断熱材充填建築用パネルおよび断熱材充填建築用パネルの製造方法を提供する。
【解決手段】枠体6内に断熱材11,12,13を圧縮した状態で充填するこことによって、この断熱材11,12,13は弾性復帰力によって枠体6や他の断熱材に圧接し、よって断熱材11,12,13は枠体6内で保持されてその位置ずれが防止される。
【選択図】 図2
【解決手段】枠体6内に断熱材11,12,13を圧縮した状態で充填するこことによって、この断熱材11,12,13は弾性復帰力によって枠体6や他の断熱材に圧接し、よって断熱材11,12,13は枠体6内で保持されてその位置ずれが防止される。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、建物の壁となる壁パネルを構成する枠体内に充填される断熱材、この断熱材が充填された断熱材充填建築用パネルおよび断熱材充填建築用パネルの製造方法に関する。
【0002】
【背景の技術】
近年、住宅の構築についてはその工業化が進み、例えば壁や床、屋根といった構成要素を予め工場にてパネル化しておき、施工現場でこれらのパネルを組み立てることにより、住宅を構築するといったパネル工法が一部に採用されている。このようなパネル工法に用いられるパネルとして、例えば、外壁パネルは、縦框材と横框材とを矩形状に組み付け、この矩形枠の内部に補強桟材を縦横に組み付けてなる枠体の表裏両面に合板等の面材を取付けることで構成されており、枠体内には、グラスウール等の断熱材(図示省力)を充填するようにしている。
【0003】
この断熱材は枠体を構成する縦框材と横框材や補強桟材で画成された矩形のスペース内に充填するようにしているが、従来、この断熱材を充填する場合、前記スペースの大きさにカットされた断熱材をあらかじめ用意しておき、これらを前記スペースに挿入するか、または前記スペースの大きさに合わせて断熱材をカッター等によって切断し、この切断された断熱材を前記スペースに挿入することにより充填を行っていた。
このような技術としては、特許文献1に記載されているものが知られている。この技術は、断熱材の厚さ方向に直交する一方の面に、他方の面にまで達さない程度の深さを有する切込みを、断熱材の一方の面における一縁から他縁まで連続的に延在するようにして形成することで、断熱材を該切込みで切断して所望の大きさの断熱材に形成できるものである。
【0004】
【特許文献1】
特開2000−352131号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、外壁パネルを基礎上に立設する場合、基礎から突出しているアンカーボルトを外壁パネルの横框材に設けられた挿通孔に挿通し、該外壁パネル内でアンカーボルトにナットを螺合して締め付ける必要があり、このため、外壁パネルの表裏面のうち屋内側の面材には、ナットを締め付けるための穴が形成されている。また、この外壁パネルは、基礎との連結のみならず2階の外壁パネルとも胴差しボルトで連結される。したがって、穴は2階の外壁パネルとの連結時にも必要なため、穴は面材の四つの隅部に形成されることが一般的である。
【0006】
しかしならが、前記公報に記載された断熱材を面材の四つの隅部に穴が形成された外壁パネル内に充填すると、この外壁パネル内の四隅まで断熱材が充填され、外壁パネル内の四隅に必要とされるアンカーボルトや胴差しボルトを締め付けるための空間が塞がれることになる。よって、面材の四つの隅部に穴が形成された外壁パネル内に該断熱材を充填する際には、外壁パネル内の四隅には断熱材を充填しないようにしている。
この場合、例えば、断熱材を複数のパーツで構成しておき、外壁パネル内の隅に位置するパーツを短く形成して、アンカーボルトや胴差しボルトを締め付けるための空間を確保するようにしているが、この場合、断熱材が充填された外壁パネルを工場から現場に輸送する際に生じる振動(トラック積み下ろしや走行によって生じる振動)や、現場での外壁パネルの組み付けの際に生じる振動(クレーンによる吊り込み時や外壁パネルの組み付け時にハンマー等で叩く際に生じる振動)によって、外壁パネル内に充填した断熱材がずれてしまい、前記アンカーボルトや胴差しボルトを締め付けるための空間の少なくともを一部を塞いでしまう場合があり、その場合、断熱材の位置修正に手間がかかっていた。
【0007】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、断熱材を外壁パネル等の建築用パネル内において、所定の位置に確実に保持しておくことができる断熱材、断熱材充填建築用パネルおよび断熱材充填建築用パネルの製造方法を提供することを課題としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、例えば図1および図2に示すように、矩形枠状をなす枠体6に充填される断熱材11,12,13であって、
断熱性と弾力性を有する複数の棒状体2が互いに平行に設けられ、かつ、互いに隣接する棒状体2どうしが剥離可能に接着されることによって束状になっていることを特徴とする。
【0009】
棒状体2どうしを剥離可能に接着するには、例えば、複数の棒状体2を同時に押出成形し、この成形の際において、成形体(棒状体)が冷えて固まらないうちに、棒状体が束になってものを外側から圧縮することによって、棒状体どうしを圧着してもよいし、単独で成形された棒状体どうしを弱い接着力の接着剤等で接着してもよい。
【0010】
請求項1に記載の発明によれば、枠体2内のスペース8より充填材12,13を大きく形成しておき、この枠体2内のスペース8に断熱材12,13を圧縮した状態で充填することによって、この断熱材12,13は弾性復帰力によって枠体2や他の断熱材に圧接するので、断熱材12,13は枠体2内で保持されてその位置ずれが防止される。
また、断熱材12,13は複数の棒状体2が互いに平行に設けられ、かつ、互いに隣接する棒状体2どうしが剥離可能に接着された構造となっているので、適宜棒状体2を剥離することによって断熱材12,13の形状、大きさを容易に調整できる。
【0011】
請求項2に記載の発明は、例えば図2〜図4に示すように、矩形枠状をなす枠体6と、この枠体6内に充填された請求項1に記載の断熱材11,12,13とを備えた断熱材充填建築用パネル(断熱材充填外壁パネル)10であって、
前記前記枠体6内には、前記断熱材11,12,13が圧縮された状態で充填されていること特徴とする。
【0012】
ここで、断熱材充填建築用パネルが外壁を構成する断熱材充填外壁パネルである場合は、枠体6の両面に合板等で形成された面材7を取付ける。また、断熱材充填床パネルや断熱材充填屋根パネルの場合は、枠体6の上面に面材7を取付ける。
【0013】
請求項2に記載の発明によれば、枠体6内に断熱材11,12,13が圧縮した状態で充填されているので、この断熱材11,12,13は弾性復帰力によって枠体6や他の断熱材に圧接し、よって断熱材11,12,13は枠体6内で保持されてその位置ずれが防止される。
また、複数の棒状体2のうち、断熱材11,12の表面側に位置する棒状体2を剥離することによって、断熱材11,12の表面には溝16,17が形成されるので、この溝16,17に電気配線を挿入することによって、断熱材充填建築用パネル10内に容易に電気配線を施すことができる。
【0014】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の断熱材充填建築用パネルにおいて、
前記断熱材11,12,13は、その棒状体2を前記枠体6の長手方向と平行にして、該枠体6内に充填されていることを特徴とする。
【0015】
請求項3に記載の発明によれば、断熱材11,12,13を構成する棒状体2が枠体6の長手方向と平行であるので、複数の棒状体6のうち、断熱材11,12の表面側に位置する棒状体2を剥離することによって、断熱材11,12の表面には枠体6の長手方向に沿う長い溝16,17が形成されるので、この長い溝16,17に電気配線を挿入することによって、断熱材充填建築用パネル10内に容易に長い電気配線を施すことができる。
【0016】
請求項4に記載の発明は、請求項2または3に記載の断熱材充填建築用パネルにおいて、
前記断熱材12には、前記棒状体2の軸方向と直交する切込み15が、前記棒状体2の軸方向に所定間隔で形成されていることを特徴とする。
【0017】
請求項4に記載の発明によれば、断熱材12には切込み15が棒状体2の軸方向に所定間隔で形成されているので、この切込み15,15間または切込み15と断熱材12の端面間に位置する断熱材12の部分を容易に切り外すことができる。したがって、例えば、断熱材充填建築用パネル10の内の四隅に必要とされるアンカーボルトや胴差しボルトを締め付けるための空間14を容易に形成できる。
【0018】
請求項5に記載の発明は、矩形枠状をなす枠体6と、この枠体6内に充填された請求項1に記載の断熱材11,12,13とを備えた断熱材充填建築用パネル(断熱材充填外壁パネル)10を製造する方法であって、
前記枠体6内に、前記断熱材11,12,13を圧縮した状態で充填することを特徴とする。
【0019】
請求項5に記載の発明によれば、枠体6内に断熱材11,12,13を圧縮した状態で充填するので、この断熱材11,12,13は弾性復帰力によって枠体6や他の断熱材に圧接し、よってこの断熱材11,12,13は枠体6内で保持されてその位置ずれが防止される。
【0020】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の断熱材充填建築用パネルの製造方法において、
前記枠体6内に、前記断熱材11,12,13を圧縮した状態で充填する前に、断熱材11,12,13の外周角部に位置する棒状体2を剥離することを特徴とする。
【0021】
請求項6に記載の発明によれば、枠体6内に、断熱材11,12,13を圧縮した状態で充填する前に、断熱材11,12,13の外周角部に位置する棒状体2を剥離するので、枠体6内に断熱材11,12,13を圧縮して充填する際に、断熱材11,12,13がスムーズに枠体6内に充填されるとともに、断熱材11,12,13の外周角部と枠体6の入隅部との間の隙間が生じ、この隙間に断熱材11,12,13が圧縮されて隙間無く充填される。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
本実施の形態に係る断熱材は、パネル工法における外壁パネルの内部に充填される断熱材である。
この断熱材1は、図1に示すように、断熱性と弾力性を有する多数の棒状体2が互いに平行に設けられ、かつ、互いに隣接する棒状体2,2どうしが剥離可能に接着されることによって束状になっているものである。
【0023】
棒状体2は発泡体であり、この発泡体は、廃紙と、ポリプロピレン樹脂とを含有して構成されるものである。
発泡体の材料となる廃紙は、例えば、はがき、切手、コピー紙等、繊維状にできるものであれば良い。また、ポリプロピレン樹脂には、廃材、バージン材ともに使用できる。具体的には、例えば、出光PP H700などが使用され、また、融点170℃〜200℃のグレードのものが好ましい。
また、発泡体には、廃紙が50重量%〜70重量%含まれており、また、ポリプロピレン樹脂が30重量%〜50重量%含まれている。また、発泡体の密度は、20kg/m3〜100kg/m3に設定されている。
【0024】
次に、前記発泡体の製造方法について説明する。発泡体の製造方法は、廃紙を粉砕する粉砕工程と、粉砕された廃紙とポリプロピレン樹脂とを混合する混合工程と、混合工程で得られた混合物を、水蒸気で加熱して押し出し発泡する発泡工程と、を含んでいる。
【0025】
(1)粉砕工程粉砕工程は、第1の工程と、第2の工程と、を含んでいる。
まず、第1の工程において、はがきなどの廃紙を細かく切断する。次に、第2の工程において、第1の工程で得られた切断物に、でんぷんと水を加えて造粒物にする。でんぷんには、例えば、トウモロコシ由来のでんぷんなど、各種のでんぷんを使用でき、具体的には、ホーネンコーポレーション製のでんぷんなどが用いられる。でんぷんは、廃紙に含有されるセルロース中、1〜3重量%分だけ混合され、凝固剤として機能する。
【0026】
次に、得られた造粒物を、例えば、ボールミルなどの粉砕器により粉砕する。その後、粉砕物を、200〜400メッシュ、好ましくは300メッシュの篩でふるい、粉砕物を得る。
【0027】
(2)混合工程
次に、粉砕工程で得られた粉砕された状態の廃紙(セルロース)を、ポリプロピレン樹脂と混合する。廃紙とポリプロピレン樹脂とを混練し、ペレット状に形成する。
【0028】
(3)発泡工程
次に、混合工程で得られた混合物であるペレットを、水蒸気で加熱して押し出し発泡する。発泡する際には、混合物を二軸スクリューなどにより混和して、水蒸気で170℃〜190℃、好ましくは180℃に加熱し、また、0.51MPa〜0.71MPaに加圧する。押し出し速度および押し出し金型の形状をコントロールするなどして、発泡物の密度を20kg/m3〜100kg/m3に設定する。
また、押出成形する場合は、多数の孔が隣接して形成された金型を使用し、この金型から押出された棒状体(発泡体)に、これらを束ねるようにして外側から圧力をかけることによって、互いに隣接する棒状体2,2どうしが剥離可能に接着されて束状となる。
【0029】
このようにして形成された断熱材1は、廃紙に含まれるセルロース繊維一本一本がネットのように支え合うことで、急冷による発泡体のしぼみが抑えられるとともに、発泡体の内部に空気が閉じこめられて断熱効果が得られ、さらに弾力性を有するものとなる。
また、材料には、廃紙や、ポリプロピレン樹脂の廃材を利用するので、資源の有効活用に貢献できる。また、はがきや切手、コピー紙、その他、雑誌、文庫本など、あらゆる廃紙を材料とすることができるので、資材の調達が比較的容易である。
【0030】
上記のような断熱材1は、外壁パネルの内部に充填される。この外壁パネルは、図2に示すように、縦框材6aと横框材6bとを矩形枠状に組立てるとともに、この矩形枠の内部に補強桟材6c,6dを縦横に組み付けて枠体6を構成し、この枠体6の両面に合板等からなる面材7,7を取付けてなるものである。また、面材7,7のうち、建物の内側を向く面側に位置する面材7の四つの隅部には、外壁パネルを立設する際に、アンカーボルトにナットを螺合して締め付けるための穴7aが形成されている。
【0031】
そして、枠体6を構成する縦横の框材6a,6bおよび補強桟材6c,6dに画成される矩形の6つのスペース8,9に断熱材1が圧縮された状態で充填されることによって、本発明に係る断熱材充填外壁パネル(断熱材充填建築用パネル)10が構成される。なお、スペース8は枠体6内に合計で4つ、スペース9は枠体6内に合計で二つある。
また、前記断熱材1は、押出成形によって形成され、押出し方向に長尺なものであるので、前記スペース8,9に充填される断熱材は、断熱材1に適宜切断加工等を施して、スペース8,9に充填可能な大きさにしたものである。
【0032】
前記枠体6のスペース9内には、前記断熱材1から作られた断熱材11が充填される。断熱材11は、その縦の寸法がスペース9の縦の寸法とほぼ等しく、横の寸法がスペース9の横の寸法より所定長さ長く形成されたものである。このような断熱材11を得る場合、例えば、スペース9の横断面形状より横方向の長さが長い横断面形状の断熱材1を押出成形によって形成し、この押出された成形品をスペース9の縦方向の寸法と等しい寸法で切断すればよい。
また、断熱材11は、図1(b)に示すように、その外周角部に位置する棒状体2の数本が剥離されることによって、外周角部が面取りされている。
【0033】
そして、このような断熱材11は、横方向において圧縮された状態でかつその棒状体2を枠体6の長手方向(縦方向)と平行にして枠体6のスペース9に充填される。すると、断熱材11は横方向においてその弾性復帰力によって、縦框材6aと補強桟材6cとに圧接して、スペース9内で保持される。
また、断熱材11は、その外周角部に位置する棒状体2の数本が剥離されることによって、外周角部が面取りされているので、この断熱材11を圧縮してスペース9内に充填する際に、断熱材11がスムーズにスペース9内に充填されるとともに、断熱材11の外周角部とスペース9の入隅部との間の隙間が生じ、この隙間に断熱材が圧縮されて充填されるので、断熱材11を圧縮した状態でスペース9内に隙間無く充填できる。
なお、スペース9は2つあるので、もう一方のスペース9内にも上記と同様にして断熱材9を充填する。
また、断熱材11をスペース9に充填する前に、表面側にある棒状体2の一部を剥離することによって、断熱材11の横の長さを調整してもよい。
【0034】
また、前記枠体6のスペース8内には、図2〜図4に示すように、前記断熱材1から作られた二つの断熱材12,13が圧縮された状態で充填される。なお、スペース8はその横の長さが、スペース9の横の長さと等しく、縦の長さがスペース9の縦の長さより所定長さ短く形成されている。したがって、前記断熱材1から作られた断熱材11は縦横の長さが、スペース8の縦横の長さより所定長さ長くなっている。
断熱材12,13は、前記断熱材11を二つに切断することによって形成されたものであり、スペース8内において、縦框材6aに圧接した状態でかつその棒状体2を枠体6の長手方向と平行にして充填される断熱材12と、補強桟材6cに圧接した状態でかつその棒状体2を枠体6の長手方向と平行にして充填される断熱材13とから構成されている。
【0035】
断熱材12には、その棒状体2の軸方向と直交する切込み15が、棒状体2の軸方向に所定間隔で形成されている。この切込み15は、断熱材12に、成形後の後加工で形成されたものであり、断熱材12の表面から所定深さまで達しており、所望の切込み15で容易に切断できるようになっている。
【0036】
また、断熱材12,13は、それぞれその外周角部に位置する棒状体2の数本が剥離されることによって、外周角部が面取りされている。
そして、このような断熱材12,13は、圧縮された状態でかつその棒状体2を枠体6の長手方向と平行にして枠体6のスペース8に充填される。断熱材12を充填する前に、前記切込み15のうち断熱材12の端部に近い方の切込み15から切断して、断熱材12を断熱材13より短くしておき、この断熱材12の端部を補強桟材6dに当接するようにして、スペース8内に充填する。
このように、断熱材12には切込み15が形成されているので、この切込み15と端面間に位置する断熱材12の部分を容易に切り外すことができる。したがって、断熱材充填外壁パネル10の内の四隅に必要とされるアンカーボルトや胴差しボルトを締め付けるための空間14を容易に形成できる。
【0037】
断熱材12,13がスペース8内に充填されると、断熱材12,13は横方向においてその弾性復帰力によって、互いに圧接するとともに縦框材6aと補強桟材6cとにそれぞれ圧接して、スペース9内で保持される。また、縦方向においては断熱材13がその弾性復帰力によって、横框材6bと補強桟材6dとに圧接してスペース8内で保持される。
なお、断熱材12,13をスペース8に充填する前に、断熱材12,13の表面側にある棒状体2の一部を剥離することによって、断熱材12,13の横の長さを調整してもよい。
【0038】
また、スペース8は4つあるので、残り3のスペース8内にも上記と同様にして断熱材12,13を充填する。このようにして断熱材12,13充填することによって、枠体6の四つの隅部には、それぞれアンカーボルトや胴差ボルトを締め付けるための空間14が形成される。
【0039】
このようにして断熱材12,13をスペース8内に充填することによって、断熱材12,13は枠体6のスペース8内で保持されてその位置ずれが防止される。したがって、スペース8内で断熱材12がずれて、前記空間14の少なくともを一部を塞いでしまうのを防止できる。
【0040】
また、断熱材12,13は、その外周角部に位置する棒状体2の数本が剥離されることによって、外周角部が面取りされているので、この断熱材12,13を圧縮してスペース8内に充填する際に、断熱材12,13がスムーズにスペース8内に充填されるとともに、断熱材12,13の外周角部とスペース8の入隅部との間の隙間が生じ、この隙間に断熱材が圧縮されて充填されるので、断熱材12,13を圧縮した状態でスペース8内に隙間無く充填できる。
【0041】
そして、枠体6のスペース8,9に断熱材を充填し終えたならば、面材7をそれの4つの隅部に形成された穴7aを、枠体6の四つの隅部に形成された空間14に対向させて、枠体6に取付けることによって断熱材充填外壁パネル10の製造を終了する。
【0042】
この断熱材充填外壁パネル10は、現場で基礎や床パネル上に立設されて外壁を構成するが、外壁を構成する一部の断熱材充填外壁パネル10内には、電気配線を通す場合がある。
この場合、前記枠体6のスペース8,9に断熱材を充填してから面材7を取付けるまでの間に、例えば断熱材12と断熱材11の表面部からそれぞれ所定本数の棒状体2を剥離することによって、断熱材12と断熱材11の表面部にそれぞれ、電気配線を通すための溝16,17を容易に形成することができる。
【0043】
この場合、溝16,17は一直線上に位置するようにして形成し、スペース8,9を仕切る補強桟材6dに、溝18を形成し、溝16,17,18を一直線上に連続させる。そして、溝16,17,18に通された電気配線は枠体6の隅部に形成された前記空間から面材7に形成された穴7aを通して外部に引き出される。
このように、断熱材12,11の表面には枠体6の長手方向に沿う長い溝16,17が形成されるので、この長い溝16,17に電気配線を挿入することによって、断熱材充填建築用パネル10内に容易に長い電気配線を施すことができる。
【0044】
なお、本実施の形態では、本発明に係る断熱材充填建築用パネルとして、枠体6とこの枠体6の両面に取付けられた面材7,7とを備えた断熱材充填外壁パネルを例にとって説明したが、本発明は、これに限ることなく、枠体と、この枠体内に充填された断熱材とを備えた断熱材充填建築用パネルであれば、例えば床パネルや屋根パネルに適用してもよい。また、本発明に係る断熱材は建築用パネルに充填するものに限らず、例えば現場で軸組みによって形成された壁内に充填するものにも適用できる。
【0045】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1に記載の発明によれば、枠体内のスペースに断熱材を圧縮した状態で充填することによって、この断熱材は弾性復帰力によって枠体や他の断熱材に圧接するので、断熱材は枠体内で保持されてその位置ずれが防止される。
また、断熱材は複数の棒状体が互いに平行に設けられ、かつ、互いに隣接する棒状体どうしが剥離可能に接着された構造となっているので、適宜棒状体を剥離することによって断熱材の形状、大きさを容易に調整できる。
【0046】
請求項2に記載の発明によれば、枠体内に圧縮した状態で充填された断熱材は弾性復帰力によって枠体や他の断熱材に圧接し、よって断熱材は枠体内で保持されてその位置ずれが防止される。したがって、枠体内で断熱材がずれて、枠体内でボルト締め等の作業用として必要な空間の少なくともを一部を塞いでしまうのを防止できる。
また、表面側に位置する棒状体を剥離することによって、断熱材の表面に溝が形成されるので、この溝に電気配線を挿入することによって、断熱材充填建築用パネル内に容易に電気配線を施すことができる。
【0047】
請求項3に記載の発明によれば、表面側に位置する棒状体を剥離することによって、断熱材の表面には枠体の長手方向に沿う長い溝が形成されるので、この長い溝に電気配線を挿入することによって、断熱材充填建築用パネル内に容易に長い電気配線を施すことができる。
【0048】
請求項4に記載の発明によれば、断熱材には切込みが棒状体の軸方向に所定間隔で形成されているので、この切込み間または切込みと端面間に位置する断熱材の部分を容易に切り外すことができる。したがって、例えば、断熱材充填建築用パネルの内の四隅に必要とされるアンカーボルトや胴差しボルトを締め付けるための空間を容易に形成できる。
【0049】
請求項5に記載の発明によれば、枠体内に断熱材を圧縮した状態で充填するので、この断熱材は弾性復帰力によって枠体や他の断熱材に圧接し、よってこの断熱材は枠体内で保持されてその位置ずれが防止される。したがって、枠体内で断熱材がずれて、枠体内でボルト締め等の作業用として必要な空間の少なくともを一部を塞いでしまうのを防止できる。
【0050】
請求項6に記載の発明によれば、枠体内に、断熱材を圧縮した状態で充填する前に、断熱材の外周角部に位置する棒状体を剥離するので、断熱材をスムーズに枠体内に充填できるとともに、断熱材の外周角部と枠体の入隅部との間の隙間が生じ、この隙間に断熱材が圧縮されて充填されるので、枠体内に断熱材を隙間無く充填できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る断熱材の一例を示す斜視である。
【図2】本発明に係る断熱材充填建築用パネルの一例を示すもので、その分解斜視図である。
【図3】同、要部の平面図である。
【図4】同、断熱材充填建築用パネルの枠体内に充填される断熱材を示す図である。
【符号の説明】
1,11,12,13 断熱材
2 棒状体
6 枠体
8,9 スペース
10 断熱材充填外壁パネル(断熱材充填建築用パネル)
15 切込み
【発明の属する技術分野】
本発明は、建物の壁となる壁パネルを構成する枠体内に充填される断熱材、この断熱材が充填された断熱材充填建築用パネルおよび断熱材充填建築用パネルの製造方法に関する。
【0002】
【背景の技術】
近年、住宅の構築についてはその工業化が進み、例えば壁や床、屋根といった構成要素を予め工場にてパネル化しておき、施工現場でこれらのパネルを組み立てることにより、住宅を構築するといったパネル工法が一部に採用されている。このようなパネル工法に用いられるパネルとして、例えば、外壁パネルは、縦框材と横框材とを矩形状に組み付け、この矩形枠の内部に補強桟材を縦横に組み付けてなる枠体の表裏両面に合板等の面材を取付けることで構成されており、枠体内には、グラスウール等の断熱材(図示省力)を充填するようにしている。
【0003】
この断熱材は枠体を構成する縦框材と横框材や補強桟材で画成された矩形のスペース内に充填するようにしているが、従来、この断熱材を充填する場合、前記スペースの大きさにカットされた断熱材をあらかじめ用意しておき、これらを前記スペースに挿入するか、または前記スペースの大きさに合わせて断熱材をカッター等によって切断し、この切断された断熱材を前記スペースに挿入することにより充填を行っていた。
このような技術としては、特許文献1に記載されているものが知られている。この技術は、断熱材の厚さ方向に直交する一方の面に、他方の面にまで達さない程度の深さを有する切込みを、断熱材の一方の面における一縁から他縁まで連続的に延在するようにして形成することで、断熱材を該切込みで切断して所望の大きさの断熱材に形成できるものである。
【0004】
【特許文献1】
特開2000−352131号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、外壁パネルを基礎上に立設する場合、基礎から突出しているアンカーボルトを外壁パネルの横框材に設けられた挿通孔に挿通し、該外壁パネル内でアンカーボルトにナットを螺合して締め付ける必要があり、このため、外壁パネルの表裏面のうち屋内側の面材には、ナットを締め付けるための穴が形成されている。また、この外壁パネルは、基礎との連結のみならず2階の外壁パネルとも胴差しボルトで連結される。したがって、穴は2階の外壁パネルとの連結時にも必要なため、穴は面材の四つの隅部に形成されることが一般的である。
【0006】
しかしならが、前記公報に記載された断熱材を面材の四つの隅部に穴が形成された外壁パネル内に充填すると、この外壁パネル内の四隅まで断熱材が充填され、外壁パネル内の四隅に必要とされるアンカーボルトや胴差しボルトを締め付けるための空間が塞がれることになる。よって、面材の四つの隅部に穴が形成された外壁パネル内に該断熱材を充填する際には、外壁パネル内の四隅には断熱材を充填しないようにしている。
この場合、例えば、断熱材を複数のパーツで構成しておき、外壁パネル内の隅に位置するパーツを短く形成して、アンカーボルトや胴差しボルトを締め付けるための空間を確保するようにしているが、この場合、断熱材が充填された外壁パネルを工場から現場に輸送する際に生じる振動(トラック積み下ろしや走行によって生じる振動)や、現場での外壁パネルの組み付けの際に生じる振動(クレーンによる吊り込み時や外壁パネルの組み付け時にハンマー等で叩く際に生じる振動)によって、外壁パネル内に充填した断熱材がずれてしまい、前記アンカーボルトや胴差しボルトを締め付けるための空間の少なくともを一部を塞いでしまう場合があり、その場合、断熱材の位置修正に手間がかかっていた。
【0007】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、断熱材を外壁パネル等の建築用パネル内において、所定の位置に確実に保持しておくことができる断熱材、断熱材充填建築用パネルおよび断熱材充填建築用パネルの製造方法を提供することを課題としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、例えば図1および図2に示すように、矩形枠状をなす枠体6に充填される断熱材11,12,13であって、
断熱性と弾力性を有する複数の棒状体2が互いに平行に設けられ、かつ、互いに隣接する棒状体2どうしが剥離可能に接着されることによって束状になっていることを特徴とする。
【0009】
棒状体2どうしを剥離可能に接着するには、例えば、複数の棒状体2を同時に押出成形し、この成形の際において、成形体(棒状体)が冷えて固まらないうちに、棒状体が束になってものを外側から圧縮することによって、棒状体どうしを圧着してもよいし、単独で成形された棒状体どうしを弱い接着力の接着剤等で接着してもよい。
【0010】
請求項1に記載の発明によれば、枠体2内のスペース8より充填材12,13を大きく形成しておき、この枠体2内のスペース8に断熱材12,13を圧縮した状態で充填することによって、この断熱材12,13は弾性復帰力によって枠体2や他の断熱材に圧接するので、断熱材12,13は枠体2内で保持されてその位置ずれが防止される。
また、断熱材12,13は複数の棒状体2が互いに平行に設けられ、かつ、互いに隣接する棒状体2どうしが剥離可能に接着された構造となっているので、適宜棒状体2を剥離することによって断熱材12,13の形状、大きさを容易に調整できる。
【0011】
請求項2に記載の発明は、例えば図2〜図4に示すように、矩形枠状をなす枠体6と、この枠体6内に充填された請求項1に記載の断熱材11,12,13とを備えた断熱材充填建築用パネル(断熱材充填外壁パネル)10であって、
前記前記枠体6内には、前記断熱材11,12,13が圧縮された状態で充填されていること特徴とする。
【0012】
ここで、断熱材充填建築用パネルが外壁を構成する断熱材充填外壁パネルである場合は、枠体6の両面に合板等で形成された面材7を取付ける。また、断熱材充填床パネルや断熱材充填屋根パネルの場合は、枠体6の上面に面材7を取付ける。
【0013】
請求項2に記載の発明によれば、枠体6内に断熱材11,12,13が圧縮した状態で充填されているので、この断熱材11,12,13は弾性復帰力によって枠体6や他の断熱材に圧接し、よって断熱材11,12,13は枠体6内で保持されてその位置ずれが防止される。
また、複数の棒状体2のうち、断熱材11,12の表面側に位置する棒状体2を剥離することによって、断熱材11,12の表面には溝16,17が形成されるので、この溝16,17に電気配線を挿入することによって、断熱材充填建築用パネル10内に容易に電気配線を施すことができる。
【0014】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の断熱材充填建築用パネルにおいて、
前記断熱材11,12,13は、その棒状体2を前記枠体6の長手方向と平行にして、該枠体6内に充填されていることを特徴とする。
【0015】
請求項3に記載の発明によれば、断熱材11,12,13を構成する棒状体2が枠体6の長手方向と平行であるので、複数の棒状体6のうち、断熱材11,12の表面側に位置する棒状体2を剥離することによって、断熱材11,12の表面には枠体6の長手方向に沿う長い溝16,17が形成されるので、この長い溝16,17に電気配線を挿入することによって、断熱材充填建築用パネル10内に容易に長い電気配線を施すことができる。
【0016】
請求項4に記載の発明は、請求項2または3に記載の断熱材充填建築用パネルにおいて、
前記断熱材12には、前記棒状体2の軸方向と直交する切込み15が、前記棒状体2の軸方向に所定間隔で形成されていることを特徴とする。
【0017】
請求項4に記載の発明によれば、断熱材12には切込み15が棒状体2の軸方向に所定間隔で形成されているので、この切込み15,15間または切込み15と断熱材12の端面間に位置する断熱材12の部分を容易に切り外すことができる。したがって、例えば、断熱材充填建築用パネル10の内の四隅に必要とされるアンカーボルトや胴差しボルトを締め付けるための空間14を容易に形成できる。
【0018】
請求項5に記載の発明は、矩形枠状をなす枠体6と、この枠体6内に充填された請求項1に記載の断熱材11,12,13とを備えた断熱材充填建築用パネル(断熱材充填外壁パネル)10を製造する方法であって、
前記枠体6内に、前記断熱材11,12,13を圧縮した状態で充填することを特徴とする。
【0019】
請求項5に記載の発明によれば、枠体6内に断熱材11,12,13を圧縮した状態で充填するので、この断熱材11,12,13は弾性復帰力によって枠体6や他の断熱材に圧接し、よってこの断熱材11,12,13は枠体6内で保持されてその位置ずれが防止される。
【0020】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の断熱材充填建築用パネルの製造方法において、
前記枠体6内に、前記断熱材11,12,13を圧縮した状態で充填する前に、断熱材11,12,13の外周角部に位置する棒状体2を剥離することを特徴とする。
【0021】
請求項6に記載の発明によれば、枠体6内に、断熱材11,12,13を圧縮した状態で充填する前に、断熱材11,12,13の外周角部に位置する棒状体2を剥離するので、枠体6内に断熱材11,12,13を圧縮して充填する際に、断熱材11,12,13がスムーズに枠体6内に充填されるとともに、断熱材11,12,13の外周角部と枠体6の入隅部との間の隙間が生じ、この隙間に断熱材11,12,13が圧縮されて隙間無く充填される。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
本実施の形態に係る断熱材は、パネル工法における外壁パネルの内部に充填される断熱材である。
この断熱材1は、図1に示すように、断熱性と弾力性を有する多数の棒状体2が互いに平行に設けられ、かつ、互いに隣接する棒状体2,2どうしが剥離可能に接着されることによって束状になっているものである。
【0023】
棒状体2は発泡体であり、この発泡体は、廃紙と、ポリプロピレン樹脂とを含有して構成されるものである。
発泡体の材料となる廃紙は、例えば、はがき、切手、コピー紙等、繊維状にできるものであれば良い。また、ポリプロピレン樹脂には、廃材、バージン材ともに使用できる。具体的には、例えば、出光PP H700などが使用され、また、融点170℃〜200℃のグレードのものが好ましい。
また、発泡体には、廃紙が50重量%〜70重量%含まれており、また、ポリプロピレン樹脂が30重量%〜50重量%含まれている。また、発泡体の密度は、20kg/m3〜100kg/m3に設定されている。
【0024】
次に、前記発泡体の製造方法について説明する。発泡体の製造方法は、廃紙を粉砕する粉砕工程と、粉砕された廃紙とポリプロピレン樹脂とを混合する混合工程と、混合工程で得られた混合物を、水蒸気で加熱して押し出し発泡する発泡工程と、を含んでいる。
【0025】
(1)粉砕工程粉砕工程は、第1の工程と、第2の工程と、を含んでいる。
まず、第1の工程において、はがきなどの廃紙を細かく切断する。次に、第2の工程において、第1の工程で得られた切断物に、でんぷんと水を加えて造粒物にする。でんぷんには、例えば、トウモロコシ由来のでんぷんなど、各種のでんぷんを使用でき、具体的には、ホーネンコーポレーション製のでんぷんなどが用いられる。でんぷんは、廃紙に含有されるセルロース中、1〜3重量%分だけ混合され、凝固剤として機能する。
【0026】
次に、得られた造粒物を、例えば、ボールミルなどの粉砕器により粉砕する。その後、粉砕物を、200〜400メッシュ、好ましくは300メッシュの篩でふるい、粉砕物を得る。
【0027】
(2)混合工程
次に、粉砕工程で得られた粉砕された状態の廃紙(セルロース)を、ポリプロピレン樹脂と混合する。廃紙とポリプロピレン樹脂とを混練し、ペレット状に形成する。
【0028】
(3)発泡工程
次に、混合工程で得られた混合物であるペレットを、水蒸気で加熱して押し出し発泡する。発泡する際には、混合物を二軸スクリューなどにより混和して、水蒸気で170℃〜190℃、好ましくは180℃に加熱し、また、0.51MPa〜0.71MPaに加圧する。押し出し速度および押し出し金型の形状をコントロールするなどして、発泡物の密度を20kg/m3〜100kg/m3に設定する。
また、押出成形する場合は、多数の孔が隣接して形成された金型を使用し、この金型から押出された棒状体(発泡体)に、これらを束ねるようにして外側から圧力をかけることによって、互いに隣接する棒状体2,2どうしが剥離可能に接着されて束状となる。
【0029】
このようにして形成された断熱材1は、廃紙に含まれるセルロース繊維一本一本がネットのように支え合うことで、急冷による発泡体のしぼみが抑えられるとともに、発泡体の内部に空気が閉じこめられて断熱効果が得られ、さらに弾力性を有するものとなる。
また、材料には、廃紙や、ポリプロピレン樹脂の廃材を利用するので、資源の有効活用に貢献できる。また、はがきや切手、コピー紙、その他、雑誌、文庫本など、あらゆる廃紙を材料とすることができるので、資材の調達が比較的容易である。
【0030】
上記のような断熱材1は、外壁パネルの内部に充填される。この外壁パネルは、図2に示すように、縦框材6aと横框材6bとを矩形枠状に組立てるとともに、この矩形枠の内部に補強桟材6c,6dを縦横に組み付けて枠体6を構成し、この枠体6の両面に合板等からなる面材7,7を取付けてなるものである。また、面材7,7のうち、建物の内側を向く面側に位置する面材7の四つの隅部には、外壁パネルを立設する際に、アンカーボルトにナットを螺合して締め付けるための穴7aが形成されている。
【0031】
そして、枠体6を構成する縦横の框材6a,6bおよび補強桟材6c,6dに画成される矩形の6つのスペース8,9に断熱材1が圧縮された状態で充填されることによって、本発明に係る断熱材充填外壁パネル(断熱材充填建築用パネル)10が構成される。なお、スペース8は枠体6内に合計で4つ、スペース9は枠体6内に合計で二つある。
また、前記断熱材1は、押出成形によって形成され、押出し方向に長尺なものであるので、前記スペース8,9に充填される断熱材は、断熱材1に適宜切断加工等を施して、スペース8,9に充填可能な大きさにしたものである。
【0032】
前記枠体6のスペース9内には、前記断熱材1から作られた断熱材11が充填される。断熱材11は、その縦の寸法がスペース9の縦の寸法とほぼ等しく、横の寸法がスペース9の横の寸法より所定長さ長く形成されたものである。このような断熱材11を得る場合、例えば、スペース9の横断面形状より横方向の長さが長い横断面形状の断熱材1を押出成形によって形成し、この押出された成形品をスペース9の縦方向の寸法と等しい寸法で切断すればよい。
また、断熱材11は、図1(b)に示すように、その外周角部に位置する棒状体2の数本が剥離されることによって、外周角部が面取りされている。
【0033】
そして、このような断熱材11は、横方向において圧縮された状態でかつその棒状体2を枠体6の長手方向(縦方向)と平行にして枠体6のスペース9に充填される。すると、断熱材11は横方向においてその弾性復帰力によって、縦框材6aと補強桟材6cとに圧接して、スペース9内で保持される。
また、断熱材11は、その外周角部に位置する棒状体2の数本が剥離されることによって、外周角部が面取りされているので、この断熱材11を圧縮してスペース9内に充填する際に、断熱材11がスムーズにスペース9内に充填されるとともに、断熱材11の外周角部とスペース9の入隅部との間の隙間が生じ、この隙間に断熱材が圧縮されて充填されるので、断熱材11を圧縮した状態でスペース9内に隙間無く充填できる。
なお、スペース9は2つあるので、もう一方のスペース9内にも上記と同様にして断熱材9を充填する。
また、断熱材11をスペース9に充填する前に、表面側にある棒状体2の一部を剥離することによって、断熱材11の横の長さを調整してもよい。
【0034】
また、前記枠体6のスペース8内には、図2〜図4に示すように、前記断熱材1から作られた二つの断熱材12,13が圧縮された状態で充填される。なお、スペース8はその横の長さが、スペース9の横の長さと等しく、縦の長さがスペース9の縦の長さより所定長さ短く形成されている。したがって、前記断熱材1から作られた断熱材11は縦横の長さが、スペース8の縦横の長さより所定長さ長くなっている。
断熱材12,13は、前記断熱材11を二つに切断することによって形成されたものであり、スペース8内において、縦框材6aに圧接した状態でかつその棒状体2を枠体6の長手方向と平行にして充填される断熱材12と、補強桟材6cに圧接した状態でかつその棒状体2を枠体6の長手方向と平行にして充填される断熱材13とから構成されている。
【0035】
断熱材12には、その棒状体2の軸方向と直交する切込み15が、棒状体2の軸方向に所定間隔で形成されている。この切込み15は、断熱材12に、成形後の後加工で形成されたものであり、断熱材12の表面から所定深さまで達しており、所望の切込み15で容易に切断できるようになっている。
【0036】
また、断熱材12,13は、それぞれその外周角部に位置する棒状体2の数本が剥離されることによって、外周角部が面取りされている。
そして、このような断熱材12,13は、圧縮された状態でかつその棒状体2を枠体6の長手方向と平行にして枠体6のスペース8に充填される。断熱材12を充填する前に、前記切込み15のうち断熱材12の端部に近い方の切込み15から切断して、断熱材12を断熱材13より短くしておき、この断熱材12の端部を補強桟材6dに当接するようにして、スペース8内に充填する。
このように、断熱材12には切込み15が形成されているので、この切込み15と端面間に位置する断熱材12の部分を容易に切り外すことができる。したがって、断熱材充填外壁パネル10の内の四隅に必要とされるアンカーボルトや胴差しボルトを締め付けるための空間14を容易に形成できる。
【0037】
断熱材12,13がスペース8内に充填されると、断熱材12,13は横方向においてその弾性復帰力によって、互いに圧接するとともに縦框材6aと補強桟材6cとにそれぞれ圧接して、スペース9内で保持される。また、縦方向においては断熱材13がその弾性復帰力によって、横框材6bと補強桟材6dとに圧接してスペース8内で保持される。
なお、断熱材12,13をスペース8に充填する前に、断熱材12,13の表面側にある棒状体2の一部を剥離することによって、断熱材12,13の横の長さを調整してもよい。
【0038】
また、スペース8は4つあるので、残り3のスペース8内にも上記と同様にして断熱材12,13を充填する。このようにして断熱材12,13充填することによって、枠体6の四つの隅部には、それぞれアンカーボルトや胴差ボルトを締め付けるための空間14が形成される。
【0039】
このようにして断熱材12,13をスペース8内に充填することによって、断熱材12,13は枠体6のスペース8内で保持されてその位置ずれが防止される。したがって、スペース8内で断熱材12がずれて、前記空間14の少なくともを一部を塞いでしまうのを防止できる。
【0040】
また、断熱材12,13は、その外周角部に位置する棒状体2の数本が剥離されることによって、外周角部が面取りされているので、この断熱材12,13を圧縮してスペース8内に充填する際に、断熱材12,13がスムーズにスペース8内に充填されるとともに、断熱材12,13の外周角部とスペース8の入隅部との間の隙間が生じ、この隙間に断熱材が圧縮されて充填されるので、断熱材12,13を圧縮した状態でスペース8内に隙間無く充填できる。
【0041】
そして、枠体6のスペース8,9に断熱材を充填し終えたならば、面材7をそれの4つの隅部に形成された穴7aを、枠体6の四つの隅部に形成された空間14に対向させて、枠体6に取付けることによって断熱材充填外壁パネル10の製造を終了する。
【0042】
この断熱材充填外壁パネル10は、現場で基礎や床パネル上に立設されて外壁を構成するが、外壁を構成する一部の断熱材充填外壁パネル10内には、電気配線を通す場合がある。
この場合、前記枠体6のスペース8,9に断熱材を充填してから面材7を取付けるまでの間に、例えば断熱材12と断熱材11の表面部からそれぞれ所定本数の棒状体2を剥離することによって、断熱材12と断熱材11の表面部にそれぞれ、電気配線を通すための溝16,17を容易に形成することができる。
【0043】
この場合、溝16,17は一直線上に位置するようにして形成し、スペース8,9を仕切る補強桟材6dに、溝18を形成し、溝16,17,18を一直線上に連続させる。そして、溝16,17,18に通された電気配線は枠体6の隅部に形成された前記空間から面材7に形成された穴7aを通して外部に引き出される。
このように、断熱材12,11の表面には枠体6の長手方向に沿う長い溝16,17が形成されるので、この長い溝16,17に電気配線を挿入することによって、断熱材充填建築用パネル10内に容易に長い電気配線を施すことができる。
【0044】
なお、本実施の形態では、本発明に係る断熱材充填建築用パネルとして、枠体6とこの枠体6の両面に取付けられた面材7,7とを備えた断熱材充填外壁パネルを例にとって説明したが、本発明は、これに限ることなく、枠体と、この枠体内に充填された断熱材とを備えた断熱材充填建築用パネルであれば、例えば床パネルや屋根パネルに適用してもよい。また、本発明に係る断熱材は建築用パネルに充填するものに限らず、例えば現場で軸組みによって形成された壁内に充填するものにも適用できる。
【0045】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1に記載の発明によれば、枠体内のスペースに断熱材を圧縮した状態で充填することによって、この断熱材は弾性復帰力によって枠体や他の断熱材に圧接するので、断熱材は枠体内で保持されてその位置ずれが防止される。
また、断熱材は複数の棒状体が互いに平行に設けられ、かつ、互いに隣接する棒状体どうしが剥離可能に接着された構造となっているので、適宜棒状体を剥離することによって断熱材の形状、大きさを容易に調整できる。
【0046】
請求項2に記載の発明によれば、枠体内に圧縮した状態で充填された断熱材は弾性復帰力によって枠体や他の断熱材に圧接し、よって断熱材は枠体内で保持されてその位置ずれが防止される。したがって、枠体内で断熱材がずれて、枠体内でボルト締め等の作業用として必要な空間の少なくともを一部を塞いでしまうのを防止できる。
また、表面側に位置する棒状体を剥離することによって、断熱材の表面に溝が形成されるので、この溝に電気配線を挿入することによって、断熱材充填建築用パネル内に容易に電気配線を施すことができる。
【0047】
請求項3に記載の発明によれば、表面側に位置する棒状体を剥離することによって、断熱材の表面には枠体の長手方向に沿う長い溝が形成されるので、この長い溝に電気配線を挿入することによって、断熱材充填建築用パネル内に容易に長い電気配線を施すことができる。
【0048】
請求項4に記載の発明によれば、断熱材には切込みが棒状体の軸方向に所定間隔で形成されているので、この切込み間または切込みと端面間に位置する断熱材の部分を容易に切り外すことができる。したがって、例えば、断熱材充填建築用パネルの内の四隅に必要とされるアンカーボルトや胴差しボルトを締め付けるための空間を容易に形成できる。
【0049】
請求項5に記載の発明によれば、枠体内に断熱材を圧縮した状態で充填するので、この断熱材は弾性復帰力によって枠体や他の断熱材に圧接し、よってこの断熱材は枠体内で保持されてその位置ずれが防止される。したがって、枠体内で断熱材がずれて、枠体内でボルト締め等の作業用として必要な空間の少なくともを一部を塞いでしまうのを防止できる。
【0050】
請求項6に記載の発明によれば、枠体内に、断熱材を圧縮した状態で充填する前に、断熱材の外周角部に位置する棒状体を剥離するので、断熱材をスムーズに枠体内に充填できるとともに、断熱材の外周角部と枠体の入隅部との間の隙間が生じ、この隙間に断熱材が圧縮されて充填されるので、枠体内に断熱材を隙間無く充填できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る断熱材の一例を示す斜視である。
【図2】本発明に係る断熱材充填建築用パネルの一例を示すもので、その分解斜視図である。
【図3】同、要部の平面図である。
【図4】同、断熱材充填建築用パネルの枠体内に充填される断熱材を示す図である。
【符号の説明】
1,11,12,13 断熱材
2 棒状体
6 枠体
8,9 スペース
10 断熱材充填外壁パネル(断熱材充填建築用パネル)
15 切込み
Claims (6)
- 矩形枠状をなす枠体に充填される断熱材であって、
断熱性と弾力性を有する複数の棒状体が互いに平行に設けられ、かつ、互いに隣接する棒状体どうしが剥離可能に接着されることによって束状になっていることを特徴とする断熱材。 - 矩形枠状をなす枠体と、この枠体内に充填された請求項1に記載の断熱材とを備えた断熱材充填建築用パネルであって、
前記前記枠体内には、前記断熱材が圧縮された状態で充填されていること特徴とする断熱材充填建築用パネル。 - 請求項2に記載の断熱材充填建築用パネルにおいて、
前記断熱材は、その棒状体を前記枠体の長手方向と平行にして、該枠体内に充填されていることを特徴とする断熱材充填建築用パネル。 - 請求項2または3に記載の断熱材充填建築用パネルにおいて、
前記断熱材には、前記棒状体の軸方向と直交する切込みが、前記棒状体の軸方向に所定間隔で形成されていることを特徴とする断熱材充填建築用パネル。 - 矩形枠状をなす枠体と、この枠体内に充填された請求項1に記載の断熱材とを備えた断熱材充填建築用パネルを製造する方法であって、
前記枠体内に、前記断熱材を圧縮した状態で充填することを特徴とする断熱材充填建築用パネルの製造方法。 - 請求項5に記載の断熱材充填建築用パネルの製造方法において、
前記枠体内に、前記断熱材を圧縮した状態で充填する前に、断熱材の外周角部に位置する棒状体を剥離することを特徴とする断熱材充填建築用パネルの製造方法。
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---|---|---|---|---|
JP2008238557A (ja) * | 2007-03-27 | 2008-10-09 | Furukawa Electric Co Ltd:The | 複合板 |
JP2013155511A (ja) * | 2012-01-27 | 2013-08-15 | Fukuvi Chem Ind Co Ltd | 断熱材 |
-
2003
- 2003-03-28 JP JP2003090625A patent/JP2004293257A/ja active Pending
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JP2008238557A (ja) * | 2007-03-27 | 2008-10-09 | Furukawa Electric Co Ltd:The | 複合板 |
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