JP2013154637A - 樹脂製ナノ構造体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】樹脂製ナノ構造体の製造方法は、樹脂と溶媒とを含有する樹脂溶液を調製する調製工程、該樹脂溶液を基材上に塗布し、塗布膜にモールドを押圧する型押し工程、前記モールドを押圧した状態で前記溶媒を除去する乾燥工程、及び前記モールドを剥離する剥離工程を含み、前記モールドとして、溶媒吸収能を有するゴムから形成された型を用いることを特徴とする。
【選択図】図1
Description
UV硬化の場合は、インプリント材料としてUV硬化性樹脂を使用する。基材上に樹脂を塗布し、モールドを押し付け、UV照射によって樹脂を硬化させた後、モールドを離型する。硬化前において、比較的低粘度な樹脂を選択する事で、低い押圧力でインプリントできることが特徴である。しかし、樹脂にUVを照射する必要が有るため、基板又はモールドは透明な材質を用いる必要が有る。また、UVが深部に到達する必要が有るため、UV硬化性樹脂自身も透明である必要がある。
従って、従来のインプリント法では、使用可能な材料の選択の幅が狭く、また耐熱性が高い樹脂のインプリントを行う事はできなかった。
また、ポリアミド酸を含む熱硬化性樹脂を基板に塗布、乾燥し、得られた塗膜にスタンパを押し当てた状態で、加熱することで、ポリイミド樹脂からなるパターンを形成する方法が提案されている(特許文献2(実施例1)参照)。
また、特許文献2に記載されている方法では、ポリアミド酸を含有する塗膜にスタンパを押圧した状態で加熱し、イミド化して熱硬化させている。しかし、イミド化の際に副生する水は、樹脂パターンとスタンパとの間に残留してしまうため、得られる樹脂パターンの表面にボイドが発生する問題がある。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、ガラス転移温度が高い熱可塑性樹脂、反応性を有さない樹脂を用いて、インプリント法により簡便に樹脂製ナノ構造体を製造できる方法を提供することを目的とする。
本発明では、溶媒吸収能を有するゴムから形成された型を用いており、型押し工程中に塗膜中の溶媒が型に吸収されるため、型押し前の塗膜の乾燥が不要となる。よって、塗膜に溶媒が多量に残存した状態(つまり、塗膜が非常に柔軟な状態)で型押し工程を行えるため、簡易な装置を用いて、弱い圧力により転写が行える。また、乾燥工程においても、溶媒が型に吸収除去されるため、賦形後の樹脂製ナノ構造体と型との間に溶媒が残存することが抑制され、より精度よくパターンを転写することができる。
前記調製工程では、樹脂と溶媒とを含有する樹脂溶液を調製する。
前記樹脂としては、室温(25℃)において固体状のものであれば、特に限定されない。前記樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン;ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル;環状オレフィン開環重合/水素添加体(COP)や環状オレフィン共重合体(COC)等の環状オレフィン系樹脂;ポリメタクリル酸メチル(PMMA)等のアクリル樹脂;エポキシ樹脂;AS樹脂(アクリロニトリル−スチレン共重合体)、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン樹脂、ポリ酢酸ビニル、ABS樹脂、ポリカーボネート樹脂、ビニルエーテル、ポリアセタール(POM)、ポリアミド、ポリフェニレンエーテル(PPE)、ポリアリールエーテル、ポリフェニレンスルファイド(PPS)、ポリスルホン(PS)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリアリールエーテルケトン(PEK)、ポリイミド(PI)、ポリアミド酸(PAA)、ポリアミドイミド、ポリエーテルニトリル(PEN)等が挙げられる。これらの中でも、ポリイミド(PI)、ポリアリールエーテルケトンが好ましい。
また、これらの他に、含フッ素樹脂(例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、パーフルオロアルコキシフッ素樹脂(PFA)、フッ素化ポリアリールエーテルケトン(FPEK)、フッ素化ポリイミド(FPI)、フッ素化ポリアミド酸(FPAA)、フッ素化ポリエーテルニトリル(FPEN))等が挙げられる。含フッ素樹脂を用いることにより、賦形後に型を剥離しやすくなる。
前記樹脂溶液には、樹脂及び溶媒に加えて、金属粒子、金属酸化物粒子、金属フッ化物粒子、フッ素化樹脂、分散剤、無機充填材、離型剤、カップリング剤、難燃剤等を添加してもよい。
前記型押し工程では、まず前記樹脂溶液を基材上に塗布する。
前記基材としては、例えば、石英;ホウ珪酸ガラス、ソーダガラス等の無機ガラス;カーボン;金、銀、銅、シリコン、ニッケル、チタン、アルミニウム、タングステン等の金属;ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン;ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル;環状オレフィン開環重合/水素添加体(COP)、環状オレフィン共重合体(COC)等の環状オレフィン系樹脂;ポリメタクリル酸メチル(PMMA)等のアクリル樹脂;エポキシ樹脂;AS樹脂(アクリロニトリル−スチレン共重合体)、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン樹脂、ポリ酢酸ビニル、ABS樹脂、ポリカーボネート樹脂、ビニルエーテル、ポリアセタール(POM)、ポリアミド、ポリフェニレンエーテル(PPE)、ポリアリールエーテル、ポリフェニレンスルファイド(PPS)、ポリスルホン(PS)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリアリールエーテルケトン(PEK)、ポリイミド(PI)、ポリアミド酸(PAA)、ポリアミドイミドアクリル樹脂、スチレン樹脂、フェノール樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、ポリエーテルニトリル(PEN)樹脂等の樹脂;上記金属、又はその酸化物若しくは混合酸化物等を表面に有するガラス、金属、樹脂等が挙げられる。前記混合酸化物としては、例えば、ITO(酸化インジウムスズ)等の透明導電性酸化物、SiO2等が挙げられる。混合酸化物等を表面に有する金属としては、SiO2付きSi基板等が挙げられる。基材は、板状、フィルム状のいずれも使用できる。
ここで、本発明では、モールドとして、溶媒吸収能を有するゴムから形成された型を用いることが重要である。
これらの中でも、離型性に優れ、より精度よくパターンを転写できることからシリコーンゴムから形成された型が好ましい。特に、微細なパターンの形成が可能であること、加工性等の観点から、ポリジメチルシロキサンが好ましい。
なお、シリコーンゴムを形成する際には、硬化剤等を用いてもよく、シリコーンゴム/硬化剤の質量比は、例えば10/1程度であれば、シリコーンゴムを迅速に硬化させることができる。
前記マスター型を構成する材料としては、一般に使用される物であれば限定されないが、石英、Si、SiC、Ni等が挙げられる。
前記乾燥工程では、前記モールドを押圧した状態で前記溶媒を除去する。溶媒の除去は室温で行うことができる。なお、溶媒の除去を促進するため、加温してもよい。溶媒を除去する際の乾燥温度は、250℃以下が好ましく、より好ましくは200℃以下、さらに好ましくは150℃以下である。前記乾燥温度の下限は特に限定されないが、通常20℃程度である。乾燥時間は、1分以上が好ましく、より好ましくは2分以上であり、60分以下が好ましく、より好ましくは50分以下、さらに好ましくは30分以下である。
なお、型押し工程と乾燥工程は、上記の要件を満たす限り、明確に区別されなくともよく、型押し工程は、例えば乾燥工程を含むものと見なしてもよい。
前記剥離工程では、溶媒を除去することで形成された樹脂製ナノ構造体から、前記モールドを剥離する。モールドを剥離した後、樹脂製ナノ構造体に対して、熱処理、紫外線照射処理を施してもよい。
前記凸部又は凹部は、基材上に、規則的に配されていてもよいし、不規則に配されていてもよい。凸部又は凹部の配列態様としては、格子状、千鳥状等が挙げられる。
樹脂の重量平均分子量
樹脂をテトラヒドロフランに溶解させ、濃度0.2質量%のテトラヒドロフラン溶液を調製した。この溶液について、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(東ソー株式会社製、型式「HLC−8320GPC」)(溶離液:テトラヒドロフラン)を用いて、ポリスチレン換算での重量平均分子量を測定した。
示差熱−熱重量測定装置(株式会社リガク製、型式「DSC8230」)を用いて、リファレンスにアルミナを用い、窒素雰囲気下で10℃/minの速度で昇温を行い樹脂のガラス転移温度を測定した。
原子間力顕微鏡(株式会社島津製作所製 SFT−3500)、SEM(日本電子株式会社製 JSM7600F)を用いて、型の形状(ピッチ、深さ)に相当する反転した形状が形成されている場合、転写性良好と評価した。
Si製のピラミッドアレイマスター型
10mm角のSiウエハ上に、頂角90°のV溝を深さ25μm、ピッチ50μmとなるようにダイシングソーで機械加工し、基板の方向を90°回転し同様に機械加工することで、一辺50μmで高さ25μmのピラミッド形状(四角錐)が規則的に配列したピラミッドアレイ型のマスター型を作製した。
上記マスター型の表面に、スピンコーターを用いて離型剤(フロロテクノロジー社製、「フロロサーフ(登録商標) FG5020」)を塗布製膜(塗布条件:slope 5sec→1500rpm 30sec)した後、80℃のホットプレート上で5分乾燥した。
上記で得られた離型処理した型をマスター型として、ポリジメチルシロキサン(PDMS)製のモールドを作製した。具体的には、ポリジメチルシロキサン(信越シリコーン社製、「SIM−360」)と触媒(信越シリコーン社製、「CAT−360」)を10:1(質量比)で混合し、脱泡を行った。この混合物を、上記マスター型上へ流し込み、上からモールド用の支持基板(石英板)を設置した。そのまま、室温にて24時間放置した後、オーブンにて150℃で30分間保持した。その後、マスター型を離型し、PDMS製のピラミッドアレイモールド(凹四角錐が規則的に配列した型)を作製した。なお、「SIM−360」と「CAT−360」とから形成されるPDMS製のモールドは、ガラス転移温度が−140〜−120℃、25℃における弾性率が7.8MPaであった。
ピラミッドアレイのマスター型の代わりに、モスアイのマスター型(NTTアドバンステクノロジ社製、「MES−P270H350/C」ピッチ270nm、深さ300nm)を用いた以外は、(1)PDMS製のピラミッドアレイモールドと同様の方法で、PDMS製のモスアイモールドを作製した。
3−1.実施例1
4,4’−ビス(ペンタフルオロベンゾイル)ジフェニルエーテル 150.7g、4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ビスフェノール 90.8g及びモレキュラーシーブ3A 70gを、メチルエチルケトン 650gを混合した。その後、炭酸カリウム 50.4gを投入して、79℃で重合を7.5時間行い、フッ素含有ポリアリールエーテルケトンを作製した。その後、反応液にメチルイソブチルケトン 700gを投入した。
冷却後、500メッシュの金網を用いて加圧濾過した。濾液をメチルイソブチルケトンと水を用いて分液洗浄し、メチルイソブチルケトンを濃縮することで、固形分30質量%の樹脂溶液1を得た。
得られたフッ素含有ポリアリールエーテルケトンの重量平均分子量は63,000であった。また、溶媒を除去して樹脂のガラス転移温度を測定したところ193℃であった。
モールドを押圧した状態で、室温(25℃)にて10分間静置し、溶媒を除去した。その後、モスアイモールドを剥離して、樹脂製ナノ構造体を得た。Siウエハ上に形成された樹脂製ナノ構造体を走査型電子顕微鏡(SEM)により撮影した。このSEM像を図1に示した。図1に示すように、転写性は良好であった。
100mL容の三つ口フラスコに、1,3−ジアミノ−2,4,5,6−テトラフルオロベンゼン4.48g、4,4’−[(2,3,5,6−テトラフルオロ−1,4−フェニレン)ビス(オキシ)](3,5,6−トリフルオロフタル酸無水物)14.51g及びN,N−ジメチルアセトアミド31gを入れた。これらを窒素雰囲気中、室温で攪拌して均一溶液とした後、さらに4日間静置することによって、ポリアミド酸溶液を得た。
上記ポリアミド酸溶液20gを、100mL容のポリプロピレン製容器に移し、さらに1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン0.03gと無水酢酸2.0gとを加え、自転・公転方式ミキサー(シンキー社製、AR−250)を用いて急速に混合した後、24時間静置することによりイミド化を行なった。
得られたポリイミド溶液20gをアセトン20gで2倍量に希釈した後、メタノール:水=1:1の混合液へゆっくり滴下し、ポリイミド粉末を析出させた。得られたポリイミド粉末を濾別した後に、真空乾燥機により70℃で一晩乾燥することによって、ポリイミド(ガラス転移温度320℃、重量平均分子量20万)の粉末を得た。
得られた粉末を、メチルイソブチルケトン(MIBK)に溶解させ、樹脂溶液2(固形分濃度30質量%)を調製した。
モールドを押圧した状態で、室温(25℃)にて10分間静置し、溶媒を除去した。その後、モスアイモールドを剥離して、樹脂製ナノ構造体を得た。Siウエハ上に形成された樹脂製ナノ構造体を走査型電子顕微鏡(SEM)により撮影した。このSEM像を図2に示した。図2に示すように、転写性は良好であった。
モスアイモールドの代わりに前記PDMS製のピラミッドアレイモールドを用いた以外は、実施例2と同様にして樹脂製ナノ構造体を得た。Siウエハ上に形成された樹脂製ナノ構造体をSEMにより撮影し、このSEM像を図3に示した。図3に示すように、転写性は良好であった。
Siウエハ上に、実施例1で得た樹脂溶液1を滴下し、前記Si製のピラミッドアレイマスター型を設置し、室温(25℃)にて10分間静置した。その後、Si製のマスター型を剥離した所、Siウエハ及びマスター型の両方に樹脂が残り、転写不良となった。
Siウエハ上に、実施例2で得たポリアミド酸溶液を滴下し、前記Si製のピラミッドアレイマスター型を設置し、室温(25℃)にて10分間静置した。その後、Si製のマスター型を剥離した所、Siウエハ及びマスター型の両方に樹脂が残り、転写不良となった。
Siウエハ上に、実施例2で得たポリアミド酸溶液を滴下し、スピンコーターを用いて成膜し、50℃で3分間乾燥して塗膜を形成した。この塗膜上に、前記PDMS製のピラミッドアレイモールドを設置し、150℃の加熱下で10分間静置した。その後ピラミッドアレイモールドを離型して、樹脂製ナノ構造体を得た。Siウエハ上に形成された樹脂製ナノ構造体をSEMにより撮影し、このSEM像を図4に示した。図4に示すように、得られた樹脂製ナノ構造体は、その表面にボイドが発生した。
100ml容量の三口フラスコに4,4−ジアミノジフェニルエーテル2.39g、無水ピロメリット酸2.61g、N−メチルピロリドン45.0gを仕込んだ。窒素雰囲気下、室温で、5日間攪拌することで、ポリアミド酸溶液(固形分濃度10.0質量%)を得た。
得られたポリアミド酸溶液20gを100ml容のポリプロピレン製容器に移し、1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン0.02g、無水酢酸1.07gを加え、自転・公転方式ミキサー(シンキー社製、AR−250)を用いて急速に混合した後、24時間静置することによりイミド化を行なった。
得られたポリイミド溶液20gをアセトン20gで2倍量に希釈した後、メタノール:水=1:1の混合液へゆっくり滴下し、ポリイミド粉末を析出させた。得られたポリイミド粉末を濾別した後に、真空乾燥機により70℃で一晩乾燥することによって、ポリイミド(ガラス転移温度417℃、重量平均分子量10万)の粉末を得た。
得られた粉末を、メチルイソブチルケトン(MIBK)に溶解させ、樹脂溶液3(固形分濃度30質量%)を調製した。
Siウエハ上に、上記で得た樹脂溶液3を滴下し、前記PDMS製のモスアイモールドを設置し、簡易インプリント装置を用いて荷重0.1MPaで押圧した。
モールドを押圧した状態で、室温(25℃)にて10分間静置し、溶媒を除去した。その後、モスアイモールドを剥離して、樹脂製ナノ構造体を得た。パターンに一部欠けが見られるものの転写性は良好であった。
Claims (5)
- 樹脂と溶媒とを含有する樹脂溶液を調製する調製工程、
該樹脂溶液を基材上に塗布し、塗布膜にモールドを押圧する型押し工程、
前記モールドを押圧した状態で前記溶媒を除去する乾燥工程、及び
前記モールドを剥離する剥離工程を含み、
前記モールドとして、溶媒吸収能を有するゴムから形成された型を用いることを特徴とする樹脂製ナノ構造体の製造方法。 - 前記ゴムから形成された型が、シリコーンゴムから形成されたものである請求項1に記載の樹脂製ナノ構造体の製造方法。
- 前記樹脂が、ガラス転移温度が150℃以上の非反応性ポリマーを含有する請求項1又は2に記載の樹脂製ナノ構造体の製造方法。
- 前記樹脂が、ポリイミド又はポリエーテルケトンを含有する請求項1〜3のいずれか1項に記載の樹脂製ナノ構造体の製造方法。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の製造方法により製造された樹脂製ナノ構造体。
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