JP2013154497A - ラグ付きタイヤの製造方法および加硫金型 - Google Patents
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Abstract
【課題】ラグ付きタイヤを製造する際の加硫によって引き起こされる、タイヤ表面に現れる凹凸やタイヤ内部に発生するカーカスプライまたはベルトのウェーブを軽減する。
【解決手段】ラグ付きタイヤ1の加硫金型を用いた製造方法および加硫金型であって、加硫金型は、トレッド部7を成形する環状のトレッドリング21を備え、トレッドリング21は、周方向および幅方向の少なくとも一方に複数のピース23に分割可能とされ、且つ、ラグ1bを成形する凹部25を内周面に有し、凹部25は各ピース23内で終端し、ラグ付きタイヤ1のラグ1bとなるラグ部材5を凹部25に配置する配置工程と、ラグ付きタイヤ1のタイヤ本体部1aとなるグリーンケース3を加硫金型に装填する装填工程と、ラグ部材5とグリーンケース3を結合させる加硫工程とを含むことを特徴とする。
【選択図】図1
【解決手段】ラグ付きタイヤ1の加硫金型を用いた製造方法および加硫金型であって、加硫金型は、トレッド部7を成形する環状のトレッドリング21を備え、トレッドリング21は、周方向および幅方向の少なくとも一方に複数のピース23に分割可能とされ、且つ、ラグ1bを成形する凹部25を内周面に有し、凹部25は各ピース23内で終端し、ラグ付きタイヤ1のラグ1bとなるラグ部材5を凹部25に配置する配置工程と、ラグ付きタイヤ1のタイヤ本体部1aとなるグリーンケース3を加硫金型に装填する装填工程と、ラグ部材5とグリーンケース3を結合させる加硫工程とを含むことを特徴とする。
【選択図】図1
Description
本発明は、トレッド部に複数のラグを備えるラグ付きタイヤの製造方法および加硫金型に関するものである。
湿田や軟弱地等で使用される農業用車両や不整地を走行する建設車両に取付けられるタイヤにおいて、トラクションを得るためにトレッド部に複数のラグを形成したラグ付きタイヤが使用されている。従来、タイヤにラグを形成する方法としては、ラグに対応した凹部を備える加硫金型を用いて、この加硫金型に生タイヤを装填して加硫を行うことで、加硫金型内のゴムを凹部に流動させてタイヤ本体部の外表面からラグを突出させる方法が採用されている(例えば、特許文献1参照)。
上記のようなタイヤについて、図4を参照しながら説明する。図中のラグ付きタイヤ41は、タイヤ本体部の外表面43から立ち上がるラグ45の高さが大きいため、生タイヤを加硫金型に装填して加硫する際には、ラグに対応する加硫金型の凹部にタイヤ本体部のゴムが大量に流動することになる(図中の矢印f)と同時に、溝の部分47は加硫金型に強く押さえつけられる。このため加硫成形時にラグ周辺は大きく変形し、タイヤ表面に凹凸ができて外観品質が低下してしまったり、またタイヤ内部のカーカスプライやベルトにウェーブが発生してタイヤの耐久性に影響を及ぼしたりする虞があった。
このような加硫時に生じる表面の凹凸やカーカスプライまたはベルトのウェーブを抑制するため、タイヤ本体部の厚みを大きくすることで対策が行われていたが、重量の増大を招くという問題があった。そのため、重量の増大を抑えながらも、タイヤの外観や性能が損なわれることの無い、新たなラグ付きタイヤの製造方法が要望されていた。
それゆえ本発明は、トレッド部にラグを備えるラグ付きタイヤを製造する際の加硫によって引き起こされる、タイヤ表面に現れる凹凸やタイヤ内部に発生するカーカスプライまたはベルトのウェーブを軽減することが可能となる、新たなラグ付きタイヤの製造方法および加硫金型を提供することを目的とする。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、本発明のラグ付きタイヤの製造方法は、タイヤ本体部のトレッド部のタイヤ径方向外側にラグを備えるラグ付きタイヤを、加硫金型を用いて製造するラグ付きタイヤの製造方法であって、前記加硫金型は、前記トレッド部を成形する環状のトレッドリングを備え、前記トレッドリングは、周方向および幅方向の少なくとも一方に複数のピースに分割可能とされ、且つ、前記ラグを成形する凹部を内周面に有し、前記凹部は、前記各ピース内で終端しており、前記ラグ付きタイヤの前記ラグとなるラグ部材を前記凹部に配置する配置工程と、前記ラグ付きタイヤの前記タイヤ本体部となるグリーンケースを前記加硫金型に装填する装填工程と、前記ラグ部材と前記グリーンケースを結合させる加硫工程とを含むことを特徴とするものである。ここで、「凹部は、前記各ピース内で終端しており」とは、トレッドリングの内周面に形成された凹部が、隣接するピースの境界である分割境界面に開口しないことをいう。すなわち、隣接するピースの境界である分割境界面は、凹部を避けるように形成される。
かかるラグ付きタイヤの製造方法にあっては、ラグ付きタイヤの前記ラグとなるラグ部材を前記凹部に配置する配置工程と、前記ラグ付きタイヤの前記タイヤ本体部となるグリーンケースを前記加硫金型に装填する装填工程と、前記ラグ部材と前記グリーンケースを結合させる加硫工程とを含むので、加硫中にグリーンケースのゴムが凹部へ大きく流動することを抑制し、その結果、ラグ付きタイヤ表面の凹凸やカーカスプライまたはベルトのウェーブを軽減することが可能となる。したがって、タイヤ本体部の厚みを厚くする必要がないので、重量の増大を招くこともない。さらに、加硫金型は、前記トレッド部を成形する環状のトレッドリングを備え、前記トレッドリングは、周方向および幅方向の少なくとも一方に複数のピースに分割可能とされ、且つ、前記ラグを成形する凹部を内周面に有し、前記凹部は、前記各ピース内で終端する構造としたことにより、凹部内に配置したラグ部材がピースの外側に大きく突出することがなく、型閉めの際にラグ部材を加硫金型のピース間で挟むことによる加硫装置の故障等を防止することができる。
なお、本発明のラグ付きタイヤの製造方法にあっては、前記ラグ部材が予め加硫または半加硫された加硫済みラグ部材であり、前記配置工程の後に前記装填工程を実施することが好ましく、これによれば、ラグ部材とグリーンケースを結合する際の加硫時間が、従来の製造方法と比べて短くなり、生産効率の改善が可能となる。
また、本発明のラグ付きタイヤの製造方法にあっては、前記ラグ部材が、該ラグ部材の側壁から突出する少なくとも1つの突起を有することが好ましく、これによれば、ラグ部材が凹部に配置される際にこの突起がつぶれて抵抗となり、ラグ部材の抜け落ちを抑えることができる。
また、本発明のラグ付きタイヤの製造方法にあっては、前記凹部が、前記突起に係合する窪みを有することが好ましく、これによれば、ラグ部材の側壁の突起が金型の凹部の窪みと係合し、配置したラグ部材の抜け落ちをより確実に抑制することができる。
また、本発明の加硫金型は、タイヤ本体部のトレッド部のタイヤ径方向外側にラグを備えるラグ付きタイヤを加硫成形する際に用いる加硫金型であって、前記加硫金型は、前記トレッド部を成形する環状のトレッドリングを備え、前記トレッドリングは、周方向および幅方向の少なくとも一方に複数のピースに分割可能とされ、且つ、前記ラグを成形する凹部を内周面に有し、前記凹部は、前記各ピース内で終端してなることを特徴とするものである。
かかる加硫金型にあっては、トレッドリングの内周面に形成されたラグを成形する凹部がピース内で終端しているため、予めラグ部材を凹部に配置した後に加硫工程によりラグ部材とグリーンケースを結合させる場合に、凹部内に配置したラグ部材が、ピースの外側に大きく突出して、型閉めの際にラグ部材を加硫金型のピース間で挟むことによる加硫装置の故障等を防止することができる。
なお、本発明の加硫金型にあっては、前記凹部の最大深さが、前記加硫金型の内周面における最大幅の10%以上である場合に、特に本発明の効果を奏する。従来の加硫方法の場合、凹部の深さが深いほど加硫成型時のゴム流れが大きくなるため凹凸が発生し易くなるが、本発明の効果は特に深さが金型内周面における最大幅の10%以上の場合に有効に働くものである。
また、本発明の加硫金型にあっては、前記凹部の側壁に少なくとも1つの窪みを有することが好ましく、これによれば、突起を有するラグ部材を凹部に配置した場合に、ラグ部材の突起と、金型における凹部側壁の窪みを係合させてラグ部材の抜け落ちを抑制することができる。なお、ここでいう「凹部の側壁」とは、凹部の底面を除いた壁面のこという。
さらに、本発明の加硫金型にあっては、周方向に分割可能とされていることが好ましく、これによれば、幅方向のみに分割可能な金型と比較して、ラグ部材の配置が容易で、配置したラグ部材の抜け落ちを低減することができる。
本発明によれば、トレッド部にラグを備えるラグ付きタイヤを製造する際の加硫によって引き起こされる、タイヤ表面に現れる凹凸やタイヤ内部に発生するカーカスプライまたはベルトのウェーブを軽減することが可能となる、新たなラグ付きタイヤの製造方法および加硫金型を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき詳細に例示して説明する。
図1は、本発明に従って製造されるタイヤの一例である、農業用のラグ付きタイヤである。このラグ付きタイヤ1は、タイヤの主要部となるタイヤ本体部1aと、このタイヤ本体部1aの外周面にタイヤ周方向に沿って間隔をおいて形成される複数のラグ1bからなり、別々に形成したタイヤ本体部1aとなるグリーンケース3と、ラグ1bとなるラグ部材5とを加硫により結合させたものである。
図1は、本発明に従って製造されるタイヤの一例である、農業用のラグ付きタイヤである。このラグ付きタイヤ1は、タイヤの主要部となるタイヤ本体部1aと、このタイヤ本体部1aの外周面にタイヤ周方向に沿って間隔をおいて形成される複数のラグ1bからなり、別々に形成したタイヤ本体部1aとなるグリーンケース3と、ラグ1bとなるラグ部材5とを加硫により結合させたものである。
ラグ付きタイヤ1は、慣例に従うタイヤ構造を備えるものであり、具体的には、図2(a)に示すように、トレッド部7からサイドウォール部9を経てビード部11までトロイダル状に延在するとともに、両側のビード部11内に埋設した一対のビードコア13にその端部を巻き返してなるカーカスプライ15と、トレッド部7においてこのカーカスプライ15のタイヤ径方向外側に配設したベルト17とを有するものである。また、上記トレッド部7、サイドウォール部9、ビード部11からなるタイヤ本体部1aの最も外側には、最外側ゴム層19が配置されている。カーカスプライ15およびベルト17はそれぞれ、ゴムシートにスチールや有機繊維等のコードを所定の向きに延在するように埋設したものであり、タイヤの種類に応じて、1枚または積層させた複数枚のシートが用いられる。
本実施形態に係るラグ付きタイヤ1の製造方法に用いる、加硫後にタイヤ本体部1aとなるグリーンケース3について説明する。グリーンケース3は未加硫の部材からなる円筒状の生ケースであり、種々の形成方法が選択可能であるが、例えば、カーカスプライ15を成型ドラムに巻き回し、巻き回したカーカスプライ15の両側にビードコア13を取付け、次いで、ベルト17および最外層ゴム19をカーカスプライ15の上部に順に巻き回す方法を採用することができる。
ラグ部材5は、図2(b)に示すようにタイヤ本体部となるグリーンケース3とは分離して形成される。ラグ部材5を形成する方法としては、例えば、押出機(図示せず)による押出し加工により形成することができる。加硫により最外層ゴム19と結合するラグ部材5の底面5aは、タイヤ本体部1aの外周面に適合するように、この外周面に沿う形状となっている。本実施形態においてラグ部材5は、湾曲した底面5aから径方向外側に向けて突き出すような形状であるが、例えば底面の形状は矩形状でもよく、要求に応じてラグの形状を決定することができる。ラグ部材5は、未加硫のものでも、加硫済みのものでも良いが、加硫済みである場合には、グリーンケース3とラグ部材5を結合する際の加硫時間を短縮することが可能となる。
ここで、本実施形態における加硫装置について一例を説明する。加硫装置は、図示は省略するが、加硫金型を備えた加硫機と、加硫金型の内側中央に位置するブラダーとを備える。加硫金型は、トレッド部を成形する環状のトレッドリング、タイヤ両側のサイドウォール部を形成する一対のサイドリング、両側のビード部を形成する一対のビードリングを備え、トレッドリングは周方向および幅方向の少なくとも一方に複数のピースに分割可能とされ、本実施形態においては周方向に分割される。また、ピースの内周面には凹部が形成され、凹部はピース内で終端する。すなわち、図3(a)に示すA線のように、隣接するトレッドリング21のピース23間の境界が、ラグを形成する凹部25上を横断するのではなく、図3(b)に示すB線のように、凹部25を避けるように形成される。なお、トレッドリング21を幅方向に分割する場合にも同様に、図3(c)に示すC線のように凹部25を避けて境界面を設定する。トレッドリングは周方向に分割されることが好ましく、これによれば、幅方向のみに分割可能な金型と比較して、ラグ部材の配置が容易で、配置したラグ部材の抜け落ちを低減することができる。
また、加硫金型を閉じた際に形成される内部空間は、ラグ付きタイヤ1に対応した形状となっている。加硫機は、タイヤの種類や大きさに応じた加硫条件(加硫時間、加硫温度)を選定することができる。
以下、本実施形態におけるラグ付きタイヤ1の製造工程について説明する。
先ず、上述したラグ部材5を、タイヤの加硫金型に手作業で配置する。加硫金型のトレッドリング21の内周面には、ラグ1bに対応する位置に凹部25が形成されており、適度な柔軟性を有するラグ部材5は、凹部25に隙間なく挿入される。なお、挿入されたラグ部材5の高さは、必ずしも凹部25の深さと完全に等しくする必要はない。すなわち、挿入されたラグ部材5の底面5aが、凹部25からわずかに突出するか、または内周面まで達していなくてもよい。
先ず、上述したラグ部材5を、タイヤの加硫金型に手作業で配置する。加硫金型のトレッドリング21の内周面には、ラグ1bに対応する位置に凹部25が形成されており、適度な柔軟性を有するラグ部材5は、凹部25に隙間なく挿入される。なお、挿入されたラグ部材5の高さは、必ずしも凹部25の深さと完全に等しくする必要はない。すなわち、挿入されたラグ部材5の底面5aが、凹部25からわずかに突出するか、または内周面まで達していなくてもよい。
次いで、グリーンケース3を加硫金型に装填する。このとき、ブラダーは収縮しているので、グリーンケース3の装填が妨げられることはない。その後加硫金型を閉じて所定の加硫条件で加硫が行われる。加硫中はグリーンケース3の内側からブラダーが膨らんで、グリーンケース3を拡張させて、グリーンケース3の外周面をラグ部材5の底面5aに押付けるので、相互に結合させることができる。
従来のように、ラグ部材を分離して配置せずに生タイヤを加硫金型に装填して加硫する場合には、ラグに対応する加硫金型の凹部にタイヤ本体部のゴムが大量に流動することになり、カーカスプライやベルトにウェーブが生じる懸念があるが、本発明に従いラグ部材5とグリーンケース3をそれぞれ加硫金型に装填して加硫を行うことで、グリーンケース3は均一に拡張し、カーカスプライ15やベルト17のウェーブを抑制し、またタイヤ表面に凹凸が発生するのを防止することができる。さらに、グリーンケース3のゴムが上記凹部25に流動して大きく変形することがないため、タイヤ本体部1aを厚くする必要がなく、重量の増大を抑えることができる。さらに、トレッドリング21の内周面に形成されたラグ1bを成形する凹部25がピース23内で終端しているため、凹部25内に配置したラグ部材5が、ピース23の外側に大きく突出することや、型閉めの際にラグ部材5を隣接するピース23間に挟み込み、加硫装置が故障すること等を防止することができる。
また、本実施形態のラグ付きタイヤ1の製造方法にあっては、図5(a)に示すようにラグ部材5の側壁5bに少なくとも一つ(この例では2つ)の突起5cを有することが好ましく、これによれば、ラグ部材5が凹部25に配置される際にこの突起5cがつぶれて抵抗となり、ラグ部材5の抜け落ちを抑えることができる(図5(b)、(c)参照)。さらに、加硫金型の凹部25にラグ部材5の突起5cに対応した窪み25cが形成されていると、ラグ部材5が凹部25に配置される際に、ラグ部材5の突起5cと、加硫金型の凹部25の側壁25bにある窪み25cが係合して、ラグ部材5の抜け落ちをより確実に抑制することができる(図5(d)、(e)参照)。
本発明の他の実施形態として、未加硫のラグ部材をインジェクションにより金型の外部から自動的に配置する、ラグ付きタイヤの製造方法について説明する。本実施形態に用いる装置は、図示は省略するが、内周面の凹部の壁面または底面に、金型の外側表面に連通する注入孔を有し、該注入孔によって未加硫のゴムを加硫金型の凹部内に注入してラグ部材を配置することができる加硫金型を備えたものである。
本実施形態のタイヤ製造工程は、先ず、上述の実施形態と同様の構成を有するグリーンケースを金型内に装填し、金型を閉める。次いで、ブラダーにより内部から圧力を加えてグリーンケースの外表面を金型に押付け、そのグリーンケースの外表面と金型の凹部とに囲まれた、製造後のタイヤのラグに対応する空間に、金型に形成された注入孔から、インジェクションにより未加硫のゴムを射出して、未加硫のラグ部材を配置し、その後加硫してグリーンケースとラグ部材を相互に結合させるものである。
本実施形態の製造方法に従い、インジェクションによりラグ部材を加硫金型に配置することで、先の実施形態の方法のように予め所定形状のラグ部材を形成する工程を省略でき、また、ラグ部材の配置時間を短縮できるので、より効率良くタイヤを製造することが可能になる。さらに、インジェクションによりラグ部材を配置することで、金型内に注入された未加硫のラグ部材の温度が低下する前に加硫を開始して、グリーンケースとラグ部材を相互に結合させることで、加硫時間を短縮することも可能となる。
上述の本発明に従うラグ付きタイヤの製造方法および加硫金型を用いることで、加硫によって引き起こされる、タイヤ表面に現れる凹凸やタイヤ内部に発生するカーカスプライまたはベルトのウェーブを軽減し、ラグ付きタイヤの外観および耐久性を低下させずに、所望のラグ形状を有するタイヤを形成することができる。また、ラグとタイヤ本体部を異なる材料で構成することも可能となり、製造後のラグのゴム硬度が、タイヤ本体部の最外層ゴムのゴム硬度よりも高くなるように材料を選択すると、トラクション性能を高める効果が得られる。さらに、泥等水分の多い場所を走行するタイヤに対しては、ラグまたはタイヤ本体部の最外層ゴムに発泡ゴムを採用すれば、泥の付着を低下させることが可能となる。
なお、本発明の加硫金型に形成された凹部の最大深さは、加硫金型の内周面における最大幅の10%以上であることが好ましく、従来の方法の場合、凹部の深さが深いほど加硫成型時のゴム流れが大きくなるため凹凸が発生し易くなるが、本発明の効果は特に深さが金型内周面における最大幅の10%以上の場合に有効に働くものである。
本発明のラグ付きタイヤの製造方法および加硫金型は、とりわけ高さの大きなラグを有する農業用タイヤ等において有効であるがこれに限定されるものではなく、トレッド部にラグを備えたタイヤであれば適用可能であり、同様の効果を得ることができる。
本発明によれば、トレッド部にラグを備えるラグ付きタイヤを製造する際の加硫によって引き起こされる、タイヤ表面に現れる凹凸やタイヤ内部に発生するカーカスプライまたはベルトのウェーブを軽減することが可能となる、新たなラグ付きタイヤの製造方法および加硫金型を提供することができる。
1 タイヤ(ラグ付きタイヤ)
1a タイヤ本体部
1b ラグ
3 グリーンケース
5 ラグ部材
7 トレッド部
9 サイドウォール部
11 ビード部
13 ビードコア
15 カーカスプライ
17 ベルト
19 最外側ゴム層
21 トレッドリング
23 ピース
25 凹部
1a タイヤ本体部
1b ラグ
3 グリーンケース
5 ラグ部材
7 トレッド部
9 サイドウォール部
11 ビード部
13 ビードコア
15 カーカスプライ
17 ベルト
19 最外側ゴム層
21 トレッドリング
23 ピース
25 凹部
Claims (8)
- タイヤ本体部のトレッド部のタイヤ径方向外側にラグを備えるラグ付きタイヤを、加硫金型を用いて製造するラグ付きタイヤの製造方法であって、
前記加硫金型は、前記トレッド部を成形する環状のトレッドリングを備え、
前記トレッドリングは、周方向および幅方向の少なくとも一方に複数のピースに分割可能とされ、且つ、前記ラグを成形する凹部を内周面に有し、
前記凹部は、前記各ピース内で終端しており、
前記ラグ付きタイヤの前記ラグとなるラグ部材を前記凹部に配置する配置工程と、
前記ラグ付きタイヤの前記タイヤ本体部となるグリーンケースを前記加硫金型に装填する装填工程と、
前記ラグ部材と前記グリーンケースを結合させる加硫工程とを含むことを特徴とするラグ付きタイヤの製造方法。 - 前記ラグ部材が予め加硫または半加硫された加硫済みラグ部材であり、
前記配置工程の後に前記装填工程を実施する、請求項1に記載のラグ付きタイヤの製造方法。 - 前記ラグ部材が、該ラグ部材の側壁から突出する少なくとも1つの突起を有する、請求項2に記載のラグ付きタイヤの製造方法。
- 前記凹部が、前記突起に係合する窪みを有する、請求項3に記載のラグ付きタイヤの製造方法。
- タイヤ本体部のトレッド部のタイヤ径方向外側にラグを備えるラグ付きタイヤを加硫成形する際に用いる加硫金型であって、
前記加硫金型は、前記トレッド部を成形する環状のトレッドリングを備え、
前記トレッドリングは、周方向および幅方向の少なくとも一方に複数のピースに分割可能とされ、且つ、前記ラグを成形する凹部を内周面に有し、
前記凹部は、前記各ピース内で終端してなることを特徴とする加硫金型。 - 前記凹部の最大深さが、前記加硫金型の内周面における最大幅の10%以上である、請求項5に記載の加硫金型。
- 前記加硫金型は、前記凹部の側壁に少なくとも1つの窪みを有する、請求項5または6に記載の加硫金型。
- 前記加硫金型は、周方向に分割可能とされている、請求項5〜7の何れか一項に記載の加硫金型。
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