JP2011218907A - 更生タイヤ - Google Patents

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Abstract

【課題】 更生時の成形作業性を損なうことなく、ショルダー部への凸部の付加を容易にした更生タイヤを提供する。
【解決手段】 トレッド部11が研磨された台タイヤ1に対して、溝パターンを有する踏面用のプレキュアトレッド2をトレッド部11の外周上に接着用のゴム層4aを介して接合する一方で、凸部形成用のプレキュアトレッド3をトレッド部11の側壁上に接着用のゴム層4bを介して接合する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、更生タイヤに関し、更に詳しくは、更生時の成形作業性を損なうことなく、ショルダー部への凸部の付加を容易にした更生タイヤに関する。
例えば、トレーラー用のタイヤにおいては、雨水や雪の飛散を抑制するために、ショルダー部にタイヤ周方向に延在する凸部を設けることが提案されている。また、荒れ地走行用のタイヤにおいては、ショルダー部にプロテクターとして凸部を形成することが行われている。このようにタイヤのショルダー部に所定の機能を有する凸部を設けることは有用である。
ところで、使用済みのタイヤを更生する場合、使用済みのタイヤのトレッド部を研磨して台タイヤを成形し、そのトレッド部が研磨された台タイヤに対して新たなトレッドを貼り合わせることが行われているが、上述のような凸部をショルダー部に備えていない台タイヤに対して更生時に凸部を付加することができれば、更生タイヤの付加価値を高めることができる。
しかしながら、リモールド方式やプレキュアトレッド方式の更生方法では、タイヤのショルダー部に比較的大きな凸部を設けることは難しいのが現状である。つまり、リモールド式の更生方法においては、タイヤ径方向外側からトレッド成形用のモールドを押し付けた状態でトレッド部の加硫を行うが、そのモールドにショルダー部の凸部を成形するための凹部を設けた場合、加硫後の型抜きが極めて困難になる。また、ショルダー部の凸部を形成するために、タイヤ更生用モールドの構造を通常のタイヤ加硫用モールドに近付けることが考えられるが、その場合、更生設備が大掛かりになるという欠点がある。
一方、プレキュアトレッド方式の更生方法(例えば、特許文献1参照)においては、プレキュアトレッドのショルダー部に対応する位置に凸部を一体的に形成することが考えられる。ところが、プレキュアトレッドのショルダー部に対応する位置に凸部を一体的に設けた場合、凸部をタイヤ径方向内側に向かって倒し込む必要があり、その成形作業が極めて困難になる。特に、凸部が厚肉であって高剛性である場合、そのような凸部をタイヤ径方向内側に向かって倒し込むことは難しい。また、凸部をタイヤ周方向に複数の部分に分割することが考えられるが、その場合、凸部に期待される所定の機能を発揮することが難しくなるばかりでなく、タイヤの外観が悪化したり、凸部が剥がれ易くなるという欠点がある。
特開2005−112010号公報
本発明の目的は、更生時の成形作業性を損なうことなく、ショルダー部への凸部の付加を容易にした更生タイヤを提供することにある。
上記目的を達成するための本発明の更生タイヤは、トレッド部が研磨された台タイヤに対して、溝パターンを有する踏面用のプレキュアトレッドを前記トレッド部の外周上に接着用のゴム層を介して接合する一方で、凸部形成用のプレキュアトレッドを前記トレッド部の側壁上に接着用のゴム層を介して接合したことを特徴とするものである。
本発明では、トレッド部が研磨された台タイヤに対して、溝パターンを有する踏面用のプレキュアトレッドをトレッド部の外周上に接着用のゴム層を介して接合する一方で、凸部形成用のプレキュアトレッドをトレッド部の側壁上に接着用のゴム層を介して接合することにより、更生時の成形作業性を損なうことなく、ショルダー部への凸部の付加を容易に実施することができる。
踏面用のプレキュアトレッドがタイヤ周方向に延びる複数本の主溝を含む場合、凸部形成用のプレキュアトレッドはタイヤ子午線断面において複数本の主溝の溝底を通る円弧よりもタイヤ径方向内側かつタイヤ最大幅位置よりもタイヤ幅方向内側に配置することが好ましい。つまり、凸部形成用のプレキュアトレッドは摩耗進行の影響を受けず、しかもタイヤ総幅を超えない領域に配置するのが良い。
凸部形成用のプレキュアトレッドは予め円環状に加硫されたものであることが好ましい。凸部形成用のプレキュアトレッドを円環状の加硫物とした場合、更生時の成形作業性を高めることができる。また、凸部形成用のプレキュアトレッドを円環状の加硫物とした場合、その周上にスプライス部が存在しないため、凸部形成用のプレキュアトレッドのスプライス部に起因する重量の偏りを抑えることができる。
凸部形成用のプレキュアトレッドが予め帯状に加硫されたものである場合、踏面用のプレキュアトレッドのスプライス位置と凸部形成用のプレキュアトレッドのスプライス位置とを互いにタイヤ周方向にずらすことが好ましい。これにより、踏面用のプレキュアトレッドのスプライス部に起因する重量の偏りと凸部形成用のプレキュアトレッドのスプライス部に起因する重量の偏りとが一致するのを回避し、タイヤ全体としての重量の偏りを抑えることができる。
凸部形成用のプレキュアトレッドの一部は台タイヤと踏面用のプレキュアトレッドとの間に挟み込むことが好ましい。この場合、踏面用のプレキュアトレッドにより凸部形成用のプレキュアトレッドが台タイヤに対して固定されるため、更生時の成形作業性を高めることができる。
凸部形成用のプレキュアトレッドは踏面用のプレキュアトレッドとは異なるゴム組成物から構成することが好ましい。凸部形成用のプレキュアトレッドは、踏面用のプレキュアトレッドとは異なる目的で配置されているので、その目的に応じて所望のゴム組成物を使用することができる。
本発明の実施形態からなる更生タイヤを示す子午線半断面図である。 本発明の他の実施形態からなる更生タイヤの要部を示す子午線断面図である。 本発明の更に他の実施形態からなる更生タイヤの要部を示す子午線断面図である。 本発明の更に他の実施形態からなる更生タイヤの要部を示す子午線断面図である。 本発明の更に他の実施形態からなる更生タイヤの要部を示す子午線断面図である。 本発明の更に他の実施形態からなる更生タイヤの要部を示す子午線断面図である。 本発明の更に他の実施形態からなる更生タイヤの要部を示す子午線断面図である。 本発明の更に他の実施形態からなる更生タイヤの要部を示す子午線断面図である。 本発明の更に他の実施形態からなる更生タイヤを示す子午線半断面図である。 本発明の更に他の実施形態からなる更生タイヤを示す子午線半断面図である。
以下、本発明の構成について添付の図面を参照しながら詳細に説明する。図1は本発明の実施形態からなる更生タイヤを示すものである。
図1において、台タイヤ1は使用済タイヤのトレッド部を研磨(バフ加工)して成形されたものであり、11はトレッド部、12はサイドウォール部、13はビード部である。このトレッド部11が研磨された台タイヤ1に対して、踏面用のプレキュアトレッド2がトレッド部11の外周上に接着用のゴム層4aを介して接合される一方で、凸部形成用のプレキュアトレッド3がトレッド部11の側壁上に接着用のゴム層4bを介して接合されている。接着用のゴム層4の厚さは、例えば、0.5mm〜2.0mmである。
踏面用のプレキュアトレッド2は、タイヤ外周長に相当する長さを持つ帯材であり、その踏面には溝2aのパターンを有している。溝2aはタイヤ周方向に延びる複数本の主溝を含んでいる。一方、凸部形成用のプレキュアトレッド3は、タイヤショルダー部の周長に相当する長さを持つ帯材、又は、タイヤショルダー部の周長に相当する長さを持つ円環状部材である。これら踏面用のプレキュアトレッド2及び凸部形成用のプレキュアトレッド3はいずれも更生作業に先駆けて加硫されたものである。
図1に示すように、凸部形成用のプレキュアトレッド3はタイヤ子午線断面において複数本の主溝の溝底を通る円弧Aよりもタイヤ径方向内側かつタイヤ最大幅位置Bよりもタイヤ幅方向内側に配置されている。凸部形成用のプレキュアトレッド3を上記範囲内に配置した場合、凸部形成用のプレキュアトレッド3が摩耗進行の影響を受けることはなく、また、タイヤ総幅を超えないため走行時の障害となることもない。
上述した更生タイヤでは、トレッド部11が研磨された台タイヤ1に対して、踏面用のプレキュアトレッド2をトレッド部11の外周上に接着用のゴム層4aを介して接合し、それとは別に、凸部形成用のプレキュアトレッド3をトレッド部11の側壁上に接着用のゴム層4bを介して接合しているので、凸部形成用のプレキュアトレッド3が帯材又は円環状部材のいずれであっても、更生時の成形作業性を損なうことなく、ショルダー部への凸部の付加を容易に実施することができる。
凸部形成用のプレキュアトレッド3が踏面用のプレキュアトレッド2から分離された帯材である場合、その帯材が厚肉で高剛性であっても容易に変形させることができる。つまり、踏面用のプレキュアトレッド2及び凸部形成用のプレキュアトレッド3の断面形状に対応する一体物のプレキュアトレッドを用いた場合、一体物のプレキュアトレッドを台タイヤ1の周囲に巻き付ける際にその外周面と内周面との径差が大きくなることによりプレキュアトレッドに歪みを生じて成形性が悪化することになる。これに対して、上述のように踏面用のプレキュアトレッド2と凸部形成用のプレキュアトレッド3とを互いに分離した場合、プレキュアトレッド2,3の各々における外周面と内周面との径差が小さくなるため更生時の成形性が悪化することはない。
一方、凸部形成用のプレキュアトレッド3が円環状部材である場合、その円環状のプレキュアトレッド3を変形させることなくトレッド部11の側壁上に貼り合わせるだけで良いため更生時の成形性が悪化することはない。この場合、円環状のプレキュアトレッド3は周上にスプライス部を持たないため重量の偏りが小さいという利点もある。
なお、凸部形成用のプレキュアトレッド3が帯材である場合、踏面用のプレキュアトレッド2のスプライス位置と凸部形成用のプレキュアトレッド3のスプライス位置とを互いにタイヤ周方向にずらすことが望ましい。特に、踏面用のプレキュアトレッド2のスプライス部に対して凸部形成用のプレキュアトレッド3のスプライス部をタイヤ回転軸を挟んでタイヤ周上の反対側の位置に配置すると良い。これにより、踏面用のプレキュアトレッド2のスプライス部に起因する重量の偏りと凸部形成用のプレキュアトレッド3のスプライス部に起因する重量の偏りとが一致するのを回避し、より好ましくは、両者に起因する重量の偏りを相殺し、タイヤ全体としての重量の偏りを抑えることができる。
図2〜図10は本発明に係る更生タイヤの変形例を示すものである。図2において、凸部形成用のプレキュアトレッド3は断面形状が三角形になっている。図3において、凸部形成用のプレキュアトレッド3は先端が細くなる形状を有している。図4において、凸部形成用のプレキュアトレッド3はトレッド側に向かって徐々に厚くなっている。図5〜図7において、凸部形成用のプレキュアトレッド3は複数の小突起がタイヤ径方向に並ぶ蛇腹形状になっている。このように凸部形成用のプレキュアトレッド3の断面形状はその目的に応じて適宜選択することができる。
図8において、凸部形成用のプレキュアトレッド3の一部は台タイヤ1と踏面用のプレキュアトレッド2との間に挟み込まれている。この場合、踏面用のプレキュアトレッド2により凸部形成用のプレキュアトレッド3が台タイヤ1に対して固定されるため、更生時の成形作業性を高めることができる。また、凸部形成用のプレキュアトレッド3の一部を台タイヤ1と踏面用のプレキュアトレッド2との間に挟み込むことにより、凸部形成用のプレキュアトレッド3の剥がれを防止することができる。更に、凸部形成用のプレキュアトレッド3上に踏面用のプレキュアトレッド2を配置した構造であるので、台タイヤ1のトレッド幅よりも広い踏面用のプレキュアトレッド2を載せることができるという利点もある。このような挟み込み構造の場合においても、凸部形成用のプレキュアトレッド3の断面形状はその目的に応じて適宜選択することができる(図9及び図10参照)。
上述した各実施形態において、凸部形成用のプレキュアトレッド3は踏面用のプレキュアトレッド2とは異なるゴム組成物から構成することができる。凸部形成用のプレキュアトレッド3は、踏面用のプレキュアトレッド2とは異なる目的で配置されているので、その目的に応じて所望のゴム組成物を使用することができる。例えば、プレキュアトレッド3により形成される凸部の目的は、路面上の雨水や雪の飛散を抑制すること、或いは、ショルダー部を保護することであるが、そのような目的に鑑みて凸部形成用のプレキュアトレッド3を耐カット性に優れたゴム組成物から構成することが望ましい。
タイヤサイズ11R22.5の使用済みタイヤ(ショルダー部に凸部を持たないもの)をプレキュアトレッド方式により更生し、そのショルダー部に凸部を付加するにあたって、プレキュアトレッドの構造を表1のように異ならせることにより、従来例1及び実施例1〜5の更生タイヤを得た。
表1において、「トレッド一体型」とは、踏面用のプレキュアトレッド及び凸部形成用のプレキュアトレッドの断面形状に対応する一体物のプレキュアトレッドを用いた場合を意味する。「トレッド分割型」とは、踏面用のプレキュアトレッドと凸部形成用のプレキュアトレッドとを分離した場合を意味する。「帯状」とは凸部形成用のプレキュアトレッドが帯状である場合を意味し、「円環状」とは凸部形成用のプレキュアトレッドが円環状である場合を意味する。「スプライスずらし」とは、踏面用のプレキュアトレッドのスプライス位置と凸部形成用のプレキュアトレッドのスプライス位置とを互いにタイヤ周方向にずらしたことを意味する。「挟み込み」とは凸部形成用のプレキュアトレッドの一部を台タイヤと踏面用のプレキュアトレッドとの間に挟み込んだ構造を意味する。いずれの項目についても、その構造を適用した場合を「○」にて示す。
これら試験タイヤについて、下記の評価方法により、製造の容易さ及び重量アンバランスを評価し、その結果を表1に併せて示した。
製造の容易さ:
各試験タイヤの更生時の組み立て時間を測定した。評価結果は、測定値の逆数を用い、従来例1を100とする指数にて示した。この指数値が大きいほど更生時の成形作業性が優れていることを意味する。
重量アンバランス:
各試験タイヤについてラジアル・フォースバリエーション(RFV)を測定した。評価結果は、測定値の逆数を用い、従来例1を100とする指数にて示した。この指数値が大きいほど重量アンバランスが少ないことを意味する。
Figure 2011218907
表1から明らかなように、実施例1〜5のタイヤは、従来例1に比べて更生時の成形作業性が優れていた。また、凸部形成用のプレキュアトレッドを帯状とし、踏面用のプレキュアトレッドのスプライス位置と凸部形成用のプレキュアトレッドのスプライス位置とを互いにタイヤ周方向にずらした場合、及び、凸部形成用のプレキュアトレッドを円環状とした場合、スプライス部に起因する重量の偏りを抑えて重量アンバランスを低減することができた。
1 台タイヤ
2 踏面用のプレキュアトレッド
2a 溝
3 凸部形成用のプレキュアトレッド
4a,4b 接着用のゴム層
11 トレッド部
12 サイドウォール部
13 ビード部

Claims (6)

  1. トレッド部が研磨された台タイヤに対して、溝パターンを有する踏面用のプレキュアトレッドを前記トレッド部の外周上に接着用のゴム層を介して接合する一方で、凸部形成用のプレキュアトレッドを前記トレッド部の側壁上に接着用のゴム層を介して接合したことを特徴とする更生タイヤ。
  2. 前記踏面用のプレキュアトレッドがタイヤ周方向に延びる複数本の主溝を含み、前記凸部形成用のプレキュアトレッドをタイヤ子午線断面において前記複数本の主溝の溝底を通る円弧よりもタイヤ径方向内側かつタイヤ最大幅位置よりもタイヤ幅方向内側に配置したことを特徴とする請求項1に記載の更生タイヤ。
  3. 前記凸部形成用のプレキュアトレッドが予め円環状に加硫されたものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の更生タイヤ。
  4. 前記踏面用のプレキュアトレッドのスプライス位置と前記凸部形成用のプレキュアトレッドのスプライス位置とを互いにタイヤ周方向にずらしたことを特徴とする請求項1又は2に記載の更生タイヤ。
  5. 前記凸部形成用のプレキュアトレッドの一部を前記台タイヤと前記踏面用のプレキュアトレッドとの間に挟み込んだことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の更生タイヤ。
  6. 前記凸部形成用のプレキュアトレッドを前記踏面用のプレキュアトレッドとは異なるゴム組成物から構成したことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の更生タイヤ。
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