JP2013151933A - 燃料噴射補助装置及び燃料噴射補助装置を備える燃料噴射ポンプ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】燃料噴射ポンプ10のカム駆動されるタペットローラ40aの動作をプランジャ25に伝達する燃料噴射補助装置100は、プランジャ25に連結された加速ピストン114と、加速ピストン114を収容する加速シリンダ112と、タペットローラ40aに連結された油圧ピストン113と、油圧ピストン113を収容する油圧シリンダ111と、油圧通路113cとを備える。加速ピストン114は、加速シリンダ112内に加速ピストン油圧室123を形成し、油圧ピストン113は、油圧シリンダ111内に油圧ピストン油圧室121を形成する。加速ピストン油圧室123及び油圧ピストン油圧室121は、内部に潤滑油を含み、油圧通路113cを通じて互いに連通する。
【選択図】図3
Description
なお、燃焼状態が悪い場合、特にエンジンから排出される黒煙及び未燃燃焼生成物(パティキュレートマター:PM)の発生量が著しく多くなり、また燃料が充分に燃えてないせいで燃費も非常に悪い。このため、特許文献1の燃料噴射装置では、エンジンの低回転時には、黒煙の発生を抑制することが困難であり、且つPMの排出量を低減することが困難である。
加速弁体は、加速弁収容部内で加速弁体を挟んで加速弁油圧室と反対側に背圧室を形成し、背圧室は、加速弁油圧室油排出路に連通してもよい。
上記燃料噴射補助装置は、油圧弁油圧室を燃料噴射補助装置の外部に連通する油圧逃がし路と、油圧逃がし路の流路断面積を調節する油圧制御弁とをさらに備えてもよい。
加速弁体は、加速弁収容部内で加速弁体を挟んで加速弁油圧室と反対側に背圧室を形成し、背圧室には、背圧室の内部を燃料噴射補助装置の外部に連通可能な背圧室連通路が形成され、加速弁体は、背圧室の容積が最大のときに少なくとも、背圧室を背圧室連通路に連通させ、背圧室の容積が最小のときに少なくとも、背圧室と背圧室連通路との連通を遮断してもよい。
加速弁油圧室及び油圧弁油圧室は対向して設けられ、加速弁体又は油圧弁体は、油圧弁油圧室内又は加速弁油圧室内に突出し、油圧弁体又は加速弁体に当接可能に設けられてもよい。
油圧弁体は、油圧弁体とタペットとの距離を変更可能な距離調節部材を介して連結されてもよい。
作動油として、燃料噴射ポンプを使用する内燃機関の潤滑油が用いられてもよい。
加速弁油圧室油排出路は、内燃機関の潤滑油ポンプの吸入側に連通し、加速弁油圧室油排出路は、潤滑油ポンプから加速弁油圧室に向かう作動油の流れを阻止する排出路逆止弁と、排出路逆止弁及び潤滑油ポンプの間に設けられた蓄圧器とを有してもよい。
上記燃料噴射補助装置は、アセンブリとして既存の燃料噴射ポンプに取り付けられてもよい。
また、この発明に係る燃料噴射ポンプは、上記燃料噴射補助装置を一体に備えるものである。
実施の形態1.
まず、この発明の実施の形態1に係る燃料噴射補助装置100を備える燃料噴射装置101及びその周辺の構成を説明する。なお、以下の実施の形態では、燃料噴射装置101は、ジャーク式とする。
燃料噴射ポンプ10は、ポンプハウジング11を有し、ポンプハウジング11の内部には、第二嵌入孔14を介して互いに連通するプランジャ室13及びカム室15が形成されている。さらに、ポンプハウジング11には、プランジャ室13を外部に連通する第一嵌入孔12が形成され、第一嵌入孔12は、第一開口部12aでポンプハウジング11の外部に開口している。そして、第一嵌入孔12、プランジャ室13、第二嵌入孔14及びカム室15は、一列に並んで配置されている。
また、第一嵌入孔12には、フューエルチャンバ16からプランジャ室13にわたって、筒状のポンプシリンダ17が嵌入され、ポンプハウジング11に対して固定されている。これにより、フューエルチャンバ16は、ポンプハウジング11の内表面とポンプシリンダ17の筒状の外周面との間に形成される空間によって構成される。さらに、ポンプシリンダ17は、その筒状の内部と外部のフューエルチャンバ16とを連通する燃料流入路18を壁部に有している。
また、コントロールスリーブ19の周囲には、円環状のアッパースプリングシート27が固定されており、アッパースプリングシート27とロワースプリングシート28との間には、プランジャ25の周囲を取り囲むプランジャスプリング29が設けられている。プランジャスプリング29は、ロワースプリングシート28及びプランジャ25を第二嵌入孔14に向かって付勢する。
また、プランジャ室13において、ポンプ取付台41とロワースプリングシート28との間には、燃料噴射補助装置100が設けられている。燃料噴射補助装置100は、ロワースプリングシート28及びタペット40と連結されている。
ポンプ取付台41は、内部に空間41aを形成する有底円筒状の形状を有しており、タペット40においてタペットローラ40aを支持するタペット軸40bを貫通させて支持するタペット支持孔41cと、タペット支持孔41cに対向する位置に形成された油圧シリンダ嵌合孔41bとを有している。
ここで、加速シリンダ油排出路112d及び第二潤滑油路111eは、加速弁油圧室油排出路を構成している。
そして、油圧ピストン113は、第一油圧シリンダ孔部111aと、油圧ピストンスカート部113a及び油圧ピストン突起部113bとによって囲まれる油圧弁油圧室である油圧ピストン油圧室121を形成している。
なお、カム30aが回転することによってタペット40と共に油圧ピストン113が往復運動するが、この往復運動の際に、第二開口113c2は、第三油圧シリンダ孔部111c内に位置するように構成されている。さらに、油圧ピストン突起部113bは、第二開口113c2よりも先端側で外径が小さくなっている。
そして、加速ピストン114は、第一加速シリンダ孔部112aと、加速ピストンスカート部114a及び加速ピストン突起部114bとによって囲まれる背圧室122を形成している。
そして、加速ピストンスカート部114aは、凹部114c側において、第一加速シリンダ孔部112a及び油圧ピストン突起部113bとの間に隙間又は空間を形成し、この隙間又は空間は加速弁油圧室である加速ピストン油圧室123を構成する。
また、油圧シリンダ111の第二潤滑油路111eは、図示しない潤滑油戻り配管に連通している。
燃料供給回路140では、ディーゼル機関1の駆動力によって駆動されるフィードポンプ(燃料圧送ポンプ)4は、燃料タンク3内の燃料を、その途中に圧力制御弁142が設けられた燃料圧送配管141を介して、燃料噴射ポンプ10に圧送するように構成されている。圧力制御弁142は、燃料噴射ポンプ10に送る燃料の圧力を所定の圧力となるように調節し、調節の際に生じる余分な燃料を燃料タンク3に戻す。
図1及び図4をあわせて参照すると、ディーゼル機関1の稼動時、フィードポンプ4は、燃料タンク3内の燃料を、燃料フィルタ5及び圧力制御弁142を順次介して、燃料噴射装置101の燃料噴射ポンプ10に供給する。また、オイルポンプ1cは、オイルパン1b内の潤滑油をディーゼル機関1及び燃料噴射ポンプ10の燃料噴射補助装置100に供給する。そして、燃料噴射ポンプ10では、供給された燃料が高圧に昇圧され、昇圧後の燃料がディーゼル機関1のシリンダ1aに取り付けられた燃料噴射弁2を介して、シリンダ1a内に噴射される。
また、ディーゼル機関1(図1参照)によってカムシャフト30が回転駆動され、それにより、プランジャスプリング29によってカム30aのカム面30a1に押し付けられているタペットローラ40aが、カム面30a1上を転動する。タペットローラ40aがカム面30a1上にならって転動することによって、タペットローラ40a及びタペット軸40bが、カム30aの断面形状(カムプロフィール)にあわせてタペット軸40bの軸方向に往復動作即ちピストン動作する。
プランジャ25は、カム30aに最も近づく下死点では、燃料加圧室26を燃料流入路18に連通させ、そして、バルブ室23aに最も近づく上死点に向かって移動するに伴い、燃料流入路18を閉鎖し燃料加圧室26の容積を減少させて内部の燃料を圧縮する。
1)絞り弁133を制御して高圧の潤滑油が油圧ピストン油圧室121に供給される場合(以下、高圧モードと呼ぶ)
図5を参照すると、タペットローラ40aがカム30aの円筒部30aa上にありカム山部30ab上にかかる直前の燃料噴射補助装置100の状態Aが示されている。なお、図中で第一潤滑油路111d及び第二潤滑油路111eに記載された矢印は、潤滑油の流通方向を示す。
また、油圧通路113cは、油圧ピストン油圧室121及び加速ピストン油圧室123に連通している。さらに、加速ピストン114の加速ピストンスカート部114aは、加速シリンダ112に設けた加速シリンダ油排出路112dを閉鎖している。
このとき、油圧ピストン113は、カム30aと反対方向のプランジャ25(図2参照)に向かう方向に移動し始め、それにより、加速ピストン114をプランジャ25と共に押し上げる。同時に、油圧ピストン113によって油圧ピストン油圧室121内の潤滑油が圧縮されて逆止弁132が作動し、油圧ピストン油圧室121内の油圧は、潤滑油圧送配管131(図3参照)から供給されていた潤滑油の油圧からさらに上昇し高圧になる。この高圧になった油圧は、油圧ピストン油圧室121よりも流路断面が小さい油圧通路113cと容積が小さくなっている加速ピストン油圧室123とを介して、加速ピストン114に弾性的に作用するため、加速ピストン114は、油圧ピストン113から離れる方向にその上昇速度を加速度的に増加させて押し上げられる。そして、プランジャ25が加速ピストン114と共に加速度的に動作して燃料加圧室26(図2参照)内の燃料を圧縮し、これにより燃料噴射ポンプ10の燃料噴射孔23b(図2参照)から燃料が高圧で噴射される。また、このとき、加速ピストン114の加速ピストンスカート部114aは、加速シリンダ112の加速シリンダ油排出路112dを閉鎖したままである。
図6をあわせて参照すると、状態Aから状態Bに遷移する過程では、加速ピストン114は上昇した油圧によって急瞬に加速され、背圧はかなり遅れて立ち上がる。この背圧の遅れは加速ピストン114の速度上昇抵抗を軽減するので、油圧ピストン113より加速ピストン114が非常に速く立ち上がれる要因となる。すなわち、油圧の上昇によって生まれた油圧エネルギーは、加速ピストン114及びプランジャ25の上昇に十分有効に活用されている。
図6をあわせて参照すると、状態Aから状態Bに遷移する過程では、図11に示すように加速ピストン114の速度の立ち上がりが早いため、加速ピストン114の位置は、油圧ピストン113より早くにピストン位置が高くなる。そして、立ち上がり時の加速ピストン114と油圧ピストン113とのピストン位置の差は、両ピストン間の上記断面積比に対して比例関係に近い関係を有している。
タペットローラ40aがカム山部30abに乗りカム山部30abの頂部に至るまでの間、加速ピストン114は背圧室122の頂部表面122aに押し付けられるように動作し、背圧室122の油圧が最大値に達する。同時に、プランジャ25(図2参照)が燃料加圧室26(図2参照)内の燃料を圧縮するように加速ピストン114と共に動作する。
加速ピストンスカート部114aが背圧室122の頂部表面122a付近に達する近傍では、ピストンバルブが開弁状態となり、頂部表面122a付近に達する時点では、背圧は既に急激に低下し始めている。加速ピストン114の位置はオイルクッション効果を受け少し下降し、直ぐに全ストローク位置に落ち着く。
このため、タペットローラ40aに作用する荷重は一瞬立ち下り、その後、加速ピストン114は最大カムリフト位置に達するまでプランジャ25を押し上げるため、タペットローラ40aに作用する荷重が再度立ち上がる。最大荷重に立ち上がる近傍でピストンバルブが開弁状態となる。
カム30aが回転し、状態Cから状態Dに遷移するタペットローラ40aがカム山部30abの頂部に達する過程において、油圧通路113cを通って油圧ピストン油圧室121から加速ピストン油圧室123に圧送された潤滑油は全て、開放された加速シリンダ油排出路112dを通って燃料噴射ポンプ10(図2参照)の外部、つまりディーゼル機関1のオイルパン1b(図4参照)に排出される。
すなわち、油圧ピストン113はカム山部30abに沿った速度で動作し、加速ピストン114はプランジャ25のプランジャスプリング29の付勢力の作用による速度で動作し、互いの速度が平衡速度に達した点で当接する。その後、油圧ピストン113と加速ピストン114とは、以下で詳細を説明する状態Eから状態Fを経て状態Aに至るまで、速度ゼロを維持する。
油圧ピストン113と加速ピストン114とが当接する位置(状態D)に達した時点で両ピストンに作用する荷重は一致する。この荷重の一致点では両ピストンに接触に伴う大きな荷重差は生じない。従って、油圧ピストン113及び加速ピストン114が一体化することに伴う大きな衝撃は起こらず両ピストンに損傷は生じないため耐久性が確保される。
カム30aが回転し、タペットローラ40aがカム山部30abの頂部から円筒部30aaに向かう過程では、一体となった油圧ピストン113と加速ピストン114とが、カム山部30abの形状に沿って下降するように動作する。
また、潤滑油の圧送圧によって、油圧ピストン113に受圧力が発生する。
よって、燃料噴射補助装置100は、可動部品である油圧ピストン113及び加速ピストン114に起因する慣性質量の増加分に対して、上述のように軽減された負荷抵抗と受圧力の作用とによって、プランジャスプリング29(図2参照)の付勢力の作用を妨げない。従って、燃料噴射補助装置100は、カム30a上でのタペットローラ40aの動作に対するプランジャ25の動作遅れを低減している。
さらに、油圧ピストン113の受圧力は、タペットローラ40aがカム面30a1から離脱しないように押し付ける作用も有している。このため、タペットローラ40aがカム面30a1から離脱しないように押し付けるためのばねを別途設ける必要はない。
タペットローラ40aがカム30aの円筒部30aa上にある間、油圧ピストン油圧室121は逆止弁132を通って圧送された潤滑油で十分に充填される。そして、この充填状態は、図5の状態Aまで継続する。そして、カム30aが回転し、タペットローラ40aが円筒部30aaからカム山部30abに差し掛かると状態Aの動作に入り、以降、同じ行程動作を繰り返す。
図3を参照すると、低圧モード時は、燃料噴射補助装置100を備える燃料噴射ポンプ10(図2参照)は、タペット軸40bがロワースプリングシート28に直接連結される従来の燃料噴射ポンプと同様の動作を行う。つまり、油圧ピストン113及び加速ピストン114の摺動部には潤滑のために潤滑油が供給されるが、油圧ピストン113と加速ピストン114との間には互いに異なる動作をさせるような油圧が作用せず、両ピストンは一体となって動作する。このとき、潤滑油圧送配管131から供給される潤滑油の油圧は、油圧ピストン113及び加速ピストン114に上述の一体となった動作をさせるような低い油圧に調節される。一方、高圧モードでは、油圧ピストン113と加速ピストン114とを互いに異なる動作をさせるような高い油圧に調節される。
また、図12を図3とあわせて参照すると、低圧モードでの加速ピストン114は、状態A〜状態Fにわたって、油圧ピストン113と共に、油圧ピストン変位線に沿って位置を変える。なお、油圧ピストン113の位置は、低圧モード及び高圧モードで同じである。
また、タペットローラ40aに作用する荷重は、状態A以降において、低圧モードよりも、油圧による荷重を受ける高圧モードの方が早く立ち上がる。さらに、高圧モードでの立ち上がり時の荷重は低圧モードの立ち上がり時の荷重より、立ち上がりの傾斜が緩やかになり、これにより、高圧モードでは穏やかな傾斜分だけタペットローラ40aとカム30aとの面圧荷重が軽減される。そして、面圧荷重が軽減されることによってタペットローラ40a及びカム30aの磨耗が低減されるため、潤滑油の劣化が低減して使用可能時間が向上し、タペットローラ40a及びカム30aの磨耗の耐久寿命時間が向上する。
また、図14を参照すると、低圧モードでは、高圧モードより燃料の噴射圧力が低く噴射開始時期も遅くなりさらに噴射期間が長くなる。
そして、図15では、ディーゼル機関1の回転数を極低回転(数十rpm程度)、中低回転(100rpm程度)、及び高低回転(150rpm程度)の3つに変化させている。このとき、回転数を変えても、噴射時期は変わらず、回転数を増加させると、噴射圧力と噴射期間とが増加する。なお、油圧ピストン油圧室121(図3参照)に圧送する潤滑油の圧力を低い一定の値とした低圧モードでディーゼル機関1の回転数を変える場合は、燃料噴射補助装置100を備えない従来の燃料噴射ポンプと同様の状態になる。
また、燃料噴射補助装置100において、加速ピストン114は、加速シリンダ112内で加速ピストン114を挟んで加速ピストン油圧室123と反対側に背圧室122を形成し、背圧室122は、潤滑油戻り配管136に連通する。これによって、背圧室122は、動作する加速ピストン114のクッションとして作用し、加速ピストン114が加速シリンダ112と衝突して損傷することを防ぐことが可能になる。
また、燃料噴射補助装置100において、潤滑油戻り配管136は、ディーゼル機関1のオイルポンプ1cの吸入側に連通し、潤滑油戻り配管136は、オイルポンプ1cから加速ピストン油圧室123に向かう潤滑油の流れを阻止する逆止弁137と、逆止弁137及びオイルポンプ1cの間に設けられた蓄圧器138とを有している。これによって、燃料噴射補助装置100から排出された潤滑油の脈流が逆止弁137及び蓄圧器138によって整流されるため、この潤滑油に含まれる残圧等によるエネルギーがオイルポンプ1cの駆動に利用され、省エネを図ることもできる。
この発明の実施の形態2に係る燃料噴射補助装置200は、実施の形態1の燃料噴射補助装置100において、油圧ピストン油圧室121を第二潤滑油路111eに連通する油圧室油圧逃がし油路211を形成し、油圧室油圧逃がし油路211にこの油路を開放又は閉鎖する油圧制御弁221を設けたものである。
なお、以下の実施の形態において、前出した図における参照符号と同一の符号は、同一または同様な構成要素であるので、その詳細な説明は省略する。
また、油圧シリンダ111の第三油圧シリンダ孔部111cの孔壁面と加速シリンダ112との間には、第二潤滑油路111eよりもプランジャ25側に、加速シリンダ112の外周面を取り囲むように環状の隙間212が形成されている。環状隙間212は、背圧絞り路112e、油圧室油圧逃がし油路211及び第二潤滑油路111eに連通する。よって、油圧ピストン油圧室121内の潤滑油は、油圧室油圧逃がし油路211、環状隙間212及び第二潤滑油路111eを通って、燃料噴射補助装置200の外部に流出することができる。ここで、油圧室油圧逃がし油路211、環状隙間212及び第二潤滑油路111eは、油圧逃がし路を構成している。
弁室222内では、油圧室油圧逃がし油路211における油圧ピストン油圧室121から弁室222に向かう部位が、開口部(弁口)223aで開口し、弁口223aの周縁は弁座223を構成している。
弁体225は、先端がテーパー状に先細になった略円柱状の形状を有し、テーパー状の先端を弁室222内に挿入している。弁体225は、スライドすることによって、弁室222の内側から油圧室油圧逃がし油路211内に先端を挿入するようにして弁座223に当接し、弁口223aを閉鎖することができる。
ここで、弁室222、弁座223、弁口223a、弁孔224、弁体225及びアクチュエータ226は、油圧制御弁221を構成している。
さらに、実施の形態2における燃料噴射補助装置200では、上記の効果に加え、実施の形態1の燃料噴射補助装置100と同様な効果も得られる。
また、実施の形態2の燃料噴射補助装置200において、アクチュエータ226を用いて弁体225を弁孔224内でスライドさせていたが、これに限定されるものでなく、弁体225を手動でスライドさせるようにしてもよい。このとき、弁体225の外周面に雄ねじを形成し、弁孔224の内周面に雌ねじを形成し、弁体225を弁孔224にねじ嵌合させてもよい。これにより、手動で弁体225をねじ回転させれば、弁体225を弁孔224の孔軸方向の両方向に自在にスライドさせることができる。
この発明の実施の形態3に係る燃料噴射補助装置300では、実施の形態1の燃料噴射補助装置100において、油圧ピストン油圧室121を油圧シリンダ111の外部に連通する作動油排出路321を油圧シリンダ111に形成し、作動油排出路321の出口の開放及び閉鎖をスプール型の制御弁323で制御するようにしている。さらに、実施の形態1の燃料噴射補助装置100において、加速シリンダ112の第二加速シリンダ孔部112bの近傍で背圧室122を第二潤滑油路111eに連通する共に背圧室122からの入口を絞る背圧絞り路112eを設けていたが、燃料噴射補助装置300では、その代わりに、プランジャ25が下死点の状態にあるときに第二加速シリンダ孔部112bよりも加速ピストン114の加速ピストンスカート部114a側に近い位置で背圧室122に開口し且つ絞りのない第一背圧逃がし路312eを設けている。
第一加速シリンダ部材312aは、実施の形態1の加速シリンダ112と同様に、第一加速シリンダ孔部112aと、第二加速シリンダ孔部112bの一部とを形成している。そして、第一加速シリンダ部材312aにおける第一加速シリンダ孔部112aの周壁を構成する部位が、油圧シリンダ111の第三油圧シリンダ孔部111cの内側に嵌合している。
また、第一加速シリンダ部材312aの第一加速シリンダ孔部112aには、実施の形態1の場合と同様にして、加速シリンダ油排出路112dが、第一加速シリンダ孔部112aから放射状に複数形成されている。複数の加速シリンダ油排出路112dは、第一加速シリンダ部材312aの外周に形成された周溝を介して互いに連通すると共に、周溝を介して第二潤滑油路111eに連通する。
また、燃料噴射補助装置300では、絞り弁133が設けられておらず、油圧シリンダ111の第一潤滑油路111dは、逆止弁132を介して潤滑油圧送配管131に連通する。
また、燃料噴射補助装置300における状態Cの後、制御弁323を開放して第一作動油排出路321を第二作動油排出路322に連通させると、油圧ピストン油圧室121内の油圧の低下が促進されるため、加速ピストン114に作用する上下の押圧力が釣り合うようにする調節を制御することができる。つまり、制御弁323は、加速ピストン114の動作の制御にも用いることができる。
さらに、実施の形態3における燃料噴射補助装置300では、上記の効果に加え、実施の形態1の燃料噴射補助装置100と同様な効果も得られる。
また、実施の形態3の燃料噴射補助装置300において、制御弁323は、スプール弁式に限定されるものでなく、開閉弁又は流量調整弁のいかなる弁が用いられてもよい。
また、実施の形態1〜3の燃料噴射ポンプ10は、タペットをローラ式としていたが、これに限定されるものでなくシム式であってもよい。
また、実施の形態1〜3の燃料噴射補助装置100〜300では、油圧通路113cは油圧ピストン113に設けられていたが、これに限定されるものでなく、油圧シリンダ111を貫通する通路として設けられてもよい。
また、本発明による燃料噴射補助装置は、実施の形態1〜3の燃料噴射補助装置100〜300に含まれる構成を組み合わせて構成されてもよい。
Claims (13)
- カム駆動されるタペットを介して動作するプランジャを用いて燃料を噴射する燃料噴射ポンプで前記タペットの動作を前記プランジャに伝達する燃料噴射補助装置において、
前記プランジャに連結された加速弁体と、
前記加速弁体を移動可能に収容する加速弁収容部と、
前記タペットに連結された油圧弁体と、
前記油圧弁体を移動可能に収容する油圧弁収容部と、
連通路とを備え、
前記加速弁体は、前記加速弁収容部内に前記加速弁体が移動することによって容積が変動する加速弁油圧室を形成し、
前記油圧弁体は、前記油圧弁収容部内に前記油圧弁体が移動することによって容積が変動する油圧弁油圧室を形成し、
前記加速弁油圧室及び前記油圧弁油圧室は、内部に作動油を含み、前記連通路を通じて互いに連通する燃料噴射補助装置。 - 前記油圧弁油圧室に前記作動油を供給する油圧弁油圧室油供給路と、
前記油圧弁油圧室油供給路に設けられて前記油圧弁油圧室に供給される前記作動油の圧力を調節する圧力調整弁と、
前記加速弁油圧室から前記作動油を排出する加速弁油圧室油排出路とをさらに備え、
前記加速弁体は、移動することによって前記加速弁油圧室を前記加速弁油圧室油排出路に連通又は連通遮断する請求項1に記載の燃料噴射補助装置。 - 前記加速弁体は、前記加速弁収容部内で前記加速弁体を挟んで前記加速弁油圧室と反対側に背圧室を形成し、
前記背圧室は、前記加速弁油圧室油排出路に連通する請求項2に記載の燃料噴射補助装置。 - 前記油圧弁油圧室を前記燃料噴射補助装置の外部に連通する油圧逃がし路と、
前記油圧逃がし路の流路断面積を調節する油圧制御弁とをさらに備える請求項2または3に記載の燃料噴射補助装置。 - 前記油圧弁油圧室に前記作動油を供給する油圧弁油圧室油供給路と、
前記加速弁油圧室から前記作動油を排出する加速弁油圧室油排出路と、
前記油圧弁油圧室の前記作動油を排出する油圧弁油圧室油排出路と、
前記油圧弁油圧室油排出路を開放又は閉鎖する制御弁と
をさらに備え、
前記加速弁体は、移動することによって前記加速弁油圧室を前記加速弁油圧室油排出路に連通又は連通遮断する請求項1に記載の燃料噴射補助装置。 - 前記加速弁体は、前記加速弁収容部内で前記加速弁体を挟んで前記加速弁油圧室と反対側に背圧室を形成し、
前記背圧室には、前記背圧室の内部を前記燃料噴射補助装置の外部に連通可能な背圧室連通路が形成され、
前記加速弁体は、前記背圧室の容積が最大のときに少なくとも、前記背圧室を前記背圧室連通路に連通させ、前記背圧室の容積が最小のときに少なくとも、前記背圧室と前記背圧室連通路との連通を遮断する請求項5に記載の燃料噴射補助装置。 - 前記油圧弁油圧室から前記油圧弁油圧室油供給路に向かう前記作動油の流れを阻止する逆止弁をさらに備える請求項2〜6のいずれか一項に記載の燃料噴射補助装置。
- 前記加速弁油圧室及び前記油圧弁油圧室は対向して設けられ、
前記加速弁体又は前記油圧弁体は、前記油圧弁油圧室内又は前記加速弁油圧室内に突出し、前記油圧弁体又は前記加速弁体に当接可能に設けられる請求項1〜7のいずれか一項に記載の燃料噴射補助装置。 - 前記油圧弁体は、前記油圧弁体と前記タペットとの距離を変更可能な距離調節部材を介して連結される請求項8に記載の燃料噴射補助装置。
- 前記作動油として、前記燃料噴射ポンプを使用する内燃機関の潤滑油が用いられる請求項1〜9のいずれか一項に記載の燃料噴射補助装置。
- 前記加速弁油圧室油排出路は、前記内燃機関の潤滑油ポンプの吸入側に連通し、
前記加速弁油圧室油排出路は、前記潤滑油ポンプから前記加速弁油圧室に向かう前記作動油の流れを阻止する排出路逆止弁と、前記排出路逆止弁及び前記潤滑油ポンプの間に設けられた蓄圧器とを有する請求項2を引用する請求項10に記載の燃料噴射補助装置。 - アセンブリとして既存の燃料噴射ポンプに取り付けられる請求項1〜11のいずれか一項に記載の燃料噴射補助装置。
- 請求項1〜11のいずれか一項に記載の燃料噴射補助装置を一体に備える燃料噴射ポンプ。
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