JP2013151850A - フィン付き鋼管杭を設置する方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】可能な限り小さい径の鋼管杭を採用したフィン付き鋼管杭をフィン付きケーシングを用いて設置するための方法を提供する。
【解決手段】ケーシング本体と、ケーシング本体の所定の位置に固定された第1のフィンと、ケーシング本体の底面に着脱可能に係合された第2のフィンと、第2のフィンをケーシング本体に係合するための少なくとも1つのフック機構とを備えるケーシングを回転圧入するステップ(a)と、鋼管杭をケーシング本体の地上側端部の開口から挿入し、第2のフィンの突出部に差し込むステップ(b)と、フック機構を解除して、第2のフィンをケーシング本体から解放するステップ(c)と、第2のフィンと鋼管杭を残置したまま、ケーシング本体を引き抜くステップ(d)と、ステップ(d)の過程において、ケーシング本体と鋼管杭の間の空間に土砂を埋戻すステップ(e)とを備える方法である。
【選択図】図1

Description

本発明は、地盤の支持力を改良するフィン付き鋼管杭を設置する方法に関する。
建物を建造する際に地盤中に設けられる基礎としては、ベタ基礎、布基礎、杭基礎など種々のものがある。これらは、建物の種類、地盤の状況、必要な費用などの諸条件に適したものが選択されるが、軟弱な表層土の厚みが相対的に深い箇所については、杭基礎が採用されることが多い。そして、杭基礎に用いられる杭としては鋼管杭やコンクリート杭があり、その設置方法としては、前者では回転圧入工法、後者では現場打設工法が用いられる例が多い。
これらのうち、鋼管杭の回転圧入工法においては、施工中は回転による圧入を容易にし、施工後は地盤の支持力を高めるため、鋼管杭の地盤側端部にフィン(翼)を装着することが有効な手段として知られている。これは、施工中は回転モータの回転力がフィンによる推進力となること、施工後は地盤の支持力を鋼管杭の本体のみならずフィンにも受けることによる。結果として、工期の短縮や杭の数を減ずることができ、コストの低減化にとって有用な手段となっている。
しかし、昨今の経済情勢においては、金属価格の高騰から、鋼管杭による杭基礎に要するコストのさらなる低減化が社会的な要請となっている。このことは、去る3月11日に発生した東日本大震災を契機として、一層拍車がかかるものと思われる。
そこで、施工後の所定の支持力を得られる範囲内で、鋼管杭として可能な限り細いものを採用してコストの低減化を図ることが考えられる。しかし、回転圧入工法においては、地盤からの反力を受けるため、一定以下の径の鋼管杭を使用すると、地盤の状況によっては、回転モータによる回転力と地盤からの反力によりひずみを生じ、最悪の場合には、ねじ切れてしまうことがある。このような状況を解決するため、フィンと径の細い鋼管杭を別個に地盤中に貫入して、フィン付き鋼管杭とする方法が考えられる。
ここで、杭基礎の大部分をコンクリート杭とする方法については、例えば、特許第3458116号(特許文献1)において、図11に示すように、短管外径の1.5〜3倍程度の大きさを有する翼が傾斜して取付けられた短管からなる鋼管杭、及び連結手段により前記鋼管杭にトルクの伝達可能かつ軸方向に着脱可能に連結されたケーシングからなる翼付き鋼管部材を地中にねじ込んで埋設する工程と、前記翼付き鋼管部材内に鉄筋を建込む工程と、前記鉄筋が建込まれた翼付き鋼管部材内にコンクリート又は固化剤を打設又は注入する工程と、前記コンクリート等の打設中又は打設後にケーシングを引抜く工程と、該ケーシングの引抜きに際してその下端部を杭頭部の水平抵抗に寄与する部分に保持し、その上部を切断する工程とを備えたことを特徴とする場所打ち杭の施工方法が開示されている。
また、特開2006−057404号公報(特許文献2)において、図12に示すように、筒状の本体の外周面に外方に拡がる翼体を設けてなり、且つ、筒状のケーシングにより地中に埋め込まれる基礎杭用の先端ヘッドであって、本体に設けられ且つケーシングに設けられた被係止部と係脱可能な係止部を備え、係止部及び被係止部の係止によって、ケーシング及び先端ヘッドをつれ回りさせつつ地中に埋め込めることができると共に、係止部及び被係止部の係止解除によって、先端ヘッドを地中の所定深さ位置に残したままケーシングを地中より引き抜くことができ、引き抜いたケーシングの中にコンクリートを打設する基礎杭が開示されている。
特許第3458116号 特開2006−057404号公報
しかしながら、前述のとおり、特許第3458116号(特許文献1)及び特開2006−057404号公報(特許文献2)ともに、地盤中に残置された短いフィン付き鋼管杭又は先端を有しているものの、杭全体としては現場打設するコンクリート杭を設置する方法であって、完全なフィン付き鋼管杭を設置する方法とすることはできないという問題がある。
従って、本発明は、施工後の所定の支持力を得られる範囲内で、可能な限り小さい径の鋼管杭を採用したフィン付き鋼管杭を設置できる方法を提供することを目的としている。
上述した課題を解決するため、本発明は、以下の方法を提供する。
(1)地盤の支持力を改良するフィン付き鋼管杭を設置するための方法であって、中空の管であるケーシング本体と、ケーシング本体の地盤側端部の所定の位置に固定された第1のフィンと、ケーシング本体の地盤側端部の底面にその開口を覆うように着脱可能に係合された第2のフィンと、第2のフィンをケーシング本体に着脱可能に係合するための少なくとも1つのフック機構とを備えるケーシングを地盤中に回転圧入するステップ(a)と、所定の位置に達して回転圧入を止めた後、鋼管杭をケーシング本体の地上側端部の開口から挿入し、第2のフィンに当接するまで、第2のフィンのケーシング本体側の面の中央に突設されケーシング本体の内部に貫入された突出部に差し込むステップ(b)と、フック機構を解除することにより、第2のフィンをケーシング本体から解放するステップ(c)と、第2のフィンとそれに当接した鋼管杭を残置したまま、ケーシング本体を逆回転させつつ引き抜くステップ(d)と、ステップ(d)の過程において、ケーシング本体と鋼管杭の間の空間に土砂を埋戻すステップ(e)とを備える方法を提供する。
(2)さらに、本発明は、ステップ(a)において、第1のフィンがケーシング本体の地盤側端部の外周に固定されている(1)に記載の方法を提供する。
(3)さらに、本発明は、ステップ(a)において、第1のフィンがケーシング本体の地盤側端部の底面に固定されており、ケーシング本体の開口のうち中央の所定の範囲に対応する貫通口を有する(1)に記載の方法を提供する。
(4)さらに、本発明は、ステップ(c)において、フック機構が、第1のフィンの表面下部に取付けられた基体部と、基体部の先端に設けられ第2のフィンを係合する爪部とを備えており、ケーシング本体が逆回転することにより、爪部が第2のフィンから離脱する(1)ないし(3)のいずれか1つに記載の方法を提供する。
(5)さらに、本発明は、ステップ(c)において、フック機構が、垂直方向に回動可能であってケーシング本体の内部の支点に軸支された第1の腕部と、第1の腕部の外側の端部に関節結合されケーシング本体の外側に延伸する第2の腕部と、第2の腕部の先端に設けられ第2のフィンを係合する爪部とを備えており、鋼管杭が突出部に差し込まれる過程で突出部の近傍に位置決めされた第1の腕部をその円周部によって押し込むことにより、第2の腕部が持ち上がり、爪部が第2のフィンから離脱する(1)ないし(3)のいずれか1つに記載の方法を提供する。
(6)さらに、本発明は、地盤の支持力を改良するフィン付き鋼管杭を設置するための方法であって、中空の管であるケーシング本体と、ケーシング本体の地盤側端部の所定の位置に固定された第1のフィンと、ケーシング本体の地盤側端部の底面にその開口を覆うように着脱可能に係合された第2のフィンと、第1の端部が第1のフィンに蝶番を介して回動可能に軸支され、反対側の第2の端部の先端が第2のフィンよりも下方に位置するように配置された第3のフィンと、第2のフィンをケーシング本体に着脱可能に係合するための少なくとも1つのフック機構とを備えるケーシングを地盤中に回転圧入するステップ(f)と、所定の位置に達して回転圧入を止めた後、鋼管杭をケーシング本体の地上側端部の開口から挿入し、第2のフィンに当接するまで、第2のフィンのケーシング本体側の面の中央に突設されケーシング本体の内部に貫入された突出部に差し込み、突出部に設けられた係止部に鋼管杭を嵌合させるステップ(g)と、フック機構を解除することにより第2のフィンをケーシング本体から解放し、第2のフィンとそれに当接した鋼管杭を残置したまま、ケーシング本体を逆回転させつつ引き抜くステップ(h)と、ステップ(h)の過程において、ケーシング本体と鋼管杭の間の空間に土砂を埋戻すステップ(i)とを備える方法を提供する。
(7)さらに、本発明は、ステップ(f)において、第1のフィンがケーシング本体の地盤側端部の外周に固定されている(6)に記載の方法を提供する。
(8)さらに、本発明は、ステップ(f)において、第2のフィンがその下面に縦板を有する(6)又は(7)に記載の方法を提供する。
(9)さらに、本発明は、ステップ(f)において、第3のフィンが複数設けられ、第1のフィンが螺旋形状を有し第3のフィンの少なくとも1つに当接する(6)ないし(8)のいずれか1つに記載の方法を提供する。
(10)さらに、本発明は、ステップ(h)において、フック機構が、第2のフィンの所定の位置に水平方向に延伸させた延伸部と、延伸部を係合するため第3のフィンの所定の位置に設けられた凸部を備えており、ケーシングが逆回転することにより延伸部と凸部が離脱する(6)ないし(9)のいずれか1つに記載の方法を提供する。
(11)さらに、本発明は、所定の角度に設定された遠位端部を有する脚部を備えるケーシングを地盤中に挿入し、残置された第2のフィンの下面に遠位端部を差し込んで回転させることにより、第2のフィンを地上に回収するステップ(j)を備える(1)又は(6)に記載の方法を提供する。
(12)さらに、本発明は、ステップ(c)において、鋼管杭の地上側端面にケーシング本体の内部を介して確認棒を備え、確認棒が、鋼管杭が第2のフィンから離脱してケーシング本体の逆回転に伴い回転すると、鋼管杭に合わせて回転する(1)に記載の方法を提供する。
(13)さらに、本発明は、ステップ(h)において、鋼管杭の地上側端面にケーシング本体の内部を介して確認棒を備え、確認棒が、鋼管杭が第2のフィンから離脱してケーシング本体の逆回転に伴い回転すると、鋼管杭に合わせて回転する(6)に記載の方法を提供する。
本発明によれば、施工後の所定の支持力を得られる範囲内で、可能な限り小さい径の鋼管杭を採用したフィン付き鋼管杭を設置できる方法を提供することができる。
本発明の第一の実施形態に用いるケーシングの正面図である。(a)はフック機構が第1のフィンの表面下部に設けられている第一例を、(b)はフック機構がケーシング本体の内部から外部へ延在して設けられている第二例を示す。 本発明の第一の実施形態に用いるケーシングの先端の拡大斜視図である。(a)及び(b)はフック機構が第1のフィンの表面下部に設けられている第一例を、(c)及び(d)はフック機構がケーシング本体の内部から外部へ延在して設けられている第二例を示す。(a)及び(c)はそれぞれのフック機構が解除される前の状態、(b)及び(d)はそれぞれのフック機構が解除された後の状態を示す図である。 本発明の第一の実施形態に係るケーシングを用いてフィン付き鋼管杭を設置する方法を示す断面図である。(a)がケーシングを所定の位置まで回転圧入した状態を示す図、(b)がケーシングを逆回転させて引き抜いている状態を示す図である。 本発明の第二の実施形態に用いるケーシングの正面図である。 本発明の第三の実施形態に係るケーシングを用いてフィン付き鋼管杭を設置する方法を示す概念図であって、(a)が掘削中の状態を示す図、(b)がケーシングを逆回転させて引き抜いている状態を示す図である。 本発明の第三の実施形態に係る第2のフィンの斜視図である。 本発明の第四の実施形態に係るケーシングを用いてフィン付き鋼管杭を設置する方法を示す概念図であって、掘削中の状態を示す図 本発明の第五の実施形態に係るケーシングを用いてフィン付き鋼管杭を設置する方法を示す概念図であって、掘削中の状態を示す図 本発明の第六の実施形態に係るケーシングを用いて第2のフィンを引き抜いている状態を示す図 本発明の第四ないし六の実施形態に係る第2のフィンの斜視図である。 従来技術の一例を示す図である。 従来技術の他の例を示す図である。
(第一の実施形態)
図1及び図2に示すように、第一の実施形態に係るケーシング1は、中空の管であるケーシング本体2と、ケーシング本体2の地盤側端部の外周に固定して取り付けられた第1のフィン3と、ケーシング本体の地盤側端部の底面にその開口を覆うように着脱可能に係合された第2のフィン4と、第2のフィン4をケーシング本体2に着脱可能に係合するための少なくとも1つのフック機構5とから構成されている。フック機構5の詳細は後述するが、図1(a)並びに図2(a)及び(b)は、フック機構5が第1のフィン3の表面下部に設けられている第一例を、図1(b)並びに図2(c)及び(d)は、フック機構5がケーシング本体2の内部から外部に延在して設けられている第二例を示している。なお、図1(a)並びに図2(a)及び(b)では、煩雑さを避けるためフック機構5を可視できる手前側のみを図示しているが、反対側の第1のフィン3にも同様のフック機構5を対に設けている。
ここでは、ケーシング本体2は円筒形状をなしているが、中空の筒状をなしている限り、ケーシング本体2の横断面は円形には限定されない。例えば、丸角の正方形などであってもよい。また、ケーシング本体2を形成する材質は、金属製(例えば、鋼製)や塩化ビニル製であってもよい。塩化ビニル製のケーシング本体2の強度は、例えば鋼管からなるケーシング本体2の強度よりも若干低いが、工事現場の地盤の状況などに適応したものを選択すればよい。
第1のフィン3は、ケーシング本体2の地盤側端部の外周に2葉の略扇形状の翼状部31,32が所定の角度をもってケーシング本体2を中心として対称的に配置されている。第1のフィン3の形状はこれに限定されるものではなく、例えば、1葉の環形状のものを螺旋に設けてもよい。さらに、上下に複数の段にわたって設けてもよい。また、第1のフィン3を形成する材質は、金属製(例えば、鋼製)や塩化ビニル製などであってもよく、ケーシング本体2の材質を勘案して適切なものを選択すればよい。
第2のフィン4は、ケーシング本体2の地盤側端部の底面に当接してその開口を覆う略正方形をなす中央部41と、中央部41の4つの辺の各々から外側に延びる4個の翼状部42とから構成されている。中央部41のケーシング本体側の面の中央には略三角形の突出部43が突設されている。後述するように、突出部43は、小さい径の鋼管杭6をケーシング本体2の中に挿入する際のガイドとなるものである。
4個の翼状部42の各々は中央部41に対して交互に上方及び下方に曲折されているが、やや詳しく説明すると、第1の翼状部42aは中央部41に対して上方に、第1の翼状部42aに隣接する第2の翼状部42bは中央部41に対して下方に、第2の翼状部42bに対向する第3の翼状部42cは中央部41に対して上方に、第3の翼状部42cに対向する第4の翼状部42dは中央部41に対して下方に、それぞれ曲折されている。換言すると、対角線上に位置する翼状部42が同じ方向に、すなわち、第1及び第3の翼状部42a、42cはともに中央部41に対して上方に、第2及び第4の翼状部42b、42dはともに中央部41に対して下方に、それぞれ曲折されている。
発明者が行った実験によれば、翼状部42が中央部41に対して曲折する角度は15度乃至45度の範囲内にあることが好ましく、15度乃至30度の範囲内にあることがより好ましい。なお、第2のフィン4の形状はここで述べた形状に限定されるものではなく、例えば、中央部41は正方形でなくても、ケーシング本体2の開口を覆うことができれば、任意の形状で差し支えない。翼状部42についても、長方形を斜めに曲折した形状でなくても、扇形状や環形状であってもよく、翼状部の枚数も適宜とすることができる。また、第2のフィン4を形成する材質は、金属製(例えば、鋼製)や塩化ビニル製などであってもよく、ケーシング本体2の材質を勘案して適切なものを選択すればよい。
フック機構5は、ケーシング本体2と第2のフィン4を着脱可能に係合するためのものであって、前述したとおり、ここでは2つの例を記載している。すなわち、図2(a)及び(b)は、フック機構5が第1のフィン3の表面下部に設けられている第一例を、図2(c)及び(d)は、フック機構5がケーシング本体2の内部から外部に延在して設けられている第二例を示している。
第一例は、フック機構5が、第1のフィン3の表面下部に取付けられた基体部55と、基体部55の先端に設けられ第2のフィン4を係合する爪部56とから構成されている。ケーシング1が回転圧入工法によって地盤中に回転圧入する際には、その正回転によって爪部56は自動的に第2のフィン4に係合し、ケーシング1が地上に引き抜かれるため逆回転する際には、爪部56は自動的に第2のフィン4から離脱する。
これに対し、第二例は、ケーシング本体2の内部の支点54に垂直方向に回動可能に軸支された第1の腕部51と、第1の腕部の外側の端部51aに関節結合されケーシング本体の外側に延伸する第2の腕部52と、第2の腕部の先端に設けられ第2のフィンを係合する爪部53とから構成されている。ケーシング1を回転圧入工法によって地盤中に回転圧入する際、及び、何らかの理由により中途でケーシング1を逆回転させて引き抜く際には、このフック機構5によって係合された第2のフィン4はケーシング本体2とともに同一方向に回転することとなる。
第二例では、第1の腕部51の内側の端部51bは、小さい径の鋼管杭6が第2のフィン4の中央部41に突設された突出部43にガイドされた際に、鋼管杭6の円周部が接触するように位置決めされている。従って、ケーシング1が地盤中の所定の位置に達し、鋼管杭6がケーシング本体2の中空部分に挿入されると、鋼管杭6の円周部が第1の腕部51の内側の端部51bを押し込むことにより、第2の腕部52が持ち上がり、爪部53が第2のフィン4から離脱することとなる。
ここでは、第一例及び第二例いずれの場合もフック機構5が2つある例を示しているが、地盤の状況、第2のフィン4の形状などを勘案して、フック機構5を1つ又は3つ以上としてもよい。
次に、本実施形態に係るフィン付きケーシング1を用いてフィン付き鋼管杭を設置し、地盤を改良する工法を説明する。
先ず、ケーシング本体2の地盤側端部の外周に第1のフィン3を固定したケーシング1を用意する。固定にあたっては、ケーシング本体2及び第1のフィン3の材料に応じ、溶接等の方法を適宜に選択できる。
次いで、ケーシング本体2の地盤側端部の底面に第2のフィン4をその中央部41がケーシング本体2の開口を覆うように当接させる。そして、フック機構5の爪部53を第2のフィン4の翼状部42に係合させる。
次に、重機A(図示せず)に搭載された回転圧入装置B(図示せず)にケーシング1の杭頭部を連結する。ここまでが、準備行為である。
以上の構成及び準備行為を踏まえて、以下の方法により、フィン付きケーシングを用いてフィン付き鋼管杭を設置する。図3を参照しつつ、フック機構5が第二例の場合について説明する。中空の管であるケーシング本体2と、ケーシング本体2の地盤側端部の所定の位置に固定された第1のフィン3と、ケーシング本体2の地盤側端部の底面にその開口を覆うように着脱可能に係合された第2のフィン4と、第2のフィン4をケーシング本体2に着脱可能に係合するための少なくとも1つのフック機構5とを備えるケーシング1を地盤中に回転圧入する(ステップ(a))。ねじ込みに際しては、第2のフィン4の中央部41によってケーシング本体2の地盤側端部の底面は覆われているため、土砂はケーシング本体2の中空部分にほとんど侵入することはない。
次いで、所定の位置に達して回転圧入を止めた後、鋼管杭6をケーシング本体2の地上側端部の開口から挿入し、第2のフィン4に当接するまで、第2のフィン4のケーシング本体側の面の中央に突設されケーシング本体の内部に貫入された突出部43に差し込む(ステップ(b))。このときの状態を図3(a)に示す。鋼管杭としては、ケーシングの中に挿入できる径を有し、施工後の強度を保てるものであれば特に限定はないが、例えば、単管パイプを好適な一例として使用することができる。そして、ステップ(b)の過程において、鋼管杭6がフック機構5を解除することにより、第2のフィン4をケーシング本体2から解放する(ステップ(c))。
次に、第2のフィン4とそれに当接した鋼管杭6を残置したまま、ケーシング本体2を逆回転させつつ引き抜く(ステップ(d))。ステップ(d)の過程において、ケーシング本体2と鋼管杭6の間の空間に土砂を埋戻す(ステップ(e))。このときの状態を図3(b)に示す。引抜いたケーシング1は再使用することができる。
ここで、フック機構5が解除されるプロセスは次のとおりである。鋼管杭6が、突出部43に差し込まれる過程で、突出部43の近傍に位置決めされた第1の腕部51の内側の端部51bをその円周部によって押し込むことにより、第2の腕部52が持ち上がり、爪部53が第2のフィン4から離脱する。
図3では、フック機構5が前述した第二例の場合を図示したが、第一例の場合も、前述したフック機構5と第2のフィン4との係合及び離脱に係る具体的構成を除き、ケーシング1を回転圧入及び引き抜いている状態は同様である。すなわち、フック機構5が第一例の場合にあっては、ケーシング本体2が逆回転することにより爪部56は第2のフィン4から自動的に離脱してフック機構5が解除されることにより、第2のフィン4をケーシング本体2から解放する(ステップ(c))。
これにより、地中に残置された第2のフィン4とそれに当接した小さい径の鋼管杭6は、フィン付き鋼管杭として作用することとなる。
(第二の実施形態)
上述の第一の実施形態において、第1のフィン3を、ケーシング本体2の地盤側端部の底面に固定されており、ケーシング本体2の開口のうち中央の所定の範囲に対応する貫通口33を有する第1のフィン3’としたこと以外は、第一の実施形態と同じである。以下に、第一の実施形態と異なる点のみを説明する。
この形態では、第1のフィン3’を現場でケーシング本体2に固定できる。例えば、図4に示すように、ケーシング本体2の地盤側端部の底面にボルト21を取り付けておき、ボルト21を貫通させる孔34を予め設けてある第1のフィン3’をボルト21に貫通させ、反対側をナット22で締め付けることにより固定することができる。
ボルト21に対するナット22の締め付けは、溶接と比較して、作業としてははるかに容易であり、かつ、より短い時間で行うことが可能である。本願発明に係るケーシング1そのものは鋼管杭として地盤中に残置されるものではなく、原則として何回も使用可能なものであり、現場あたり必要となるその本数は鋼管杭よりも少なくて済む。しかし、多くのケーシングが必要となるような工事現場であるときには、外周にあらかじめフィンが固定されたケーシングよりも、本実施形態ではケーシング本体2と第1のフィン3’をそれぞれ別個に運搬できることから、運搬効率の向上を図ることができる。
第1のフィン3’に設けられた貫通口33は、第2のフィン4の突出部43をケーシング本体2の中空部分へ挿入するのに妨げとならないようにするため設けられているものである。
第1のフィン3’の形状は所望のものとすることができ、特に限定されない。例えば、上述の第2のフィン4と同じ形状のものであっても差し支えない。また、第1のフィン3’をケーシング本体2に固定する手段も、回転圧入する際や逆回転させて引き抜く際にケーシング本体2から脱落しない手段であれば、特に限定されることはなく、上述のボルト・ナットによる締め付けのほか、適切なオス・メスを設けて嵌合させてもよい。
(第三の実施形態)
次に第三の実施形態について説明する。第三の実施形態は、上述の第一の実施形態において、第2のフィン4を略長方形の平板である第2のフィン4’とし、さらに第1のフィン3に蝶番71を介して回動可能に軸支された第3のフィン7を配置したものである。以下に、第一の実施形態と異なる点のみを説明する。
この形態では、第3のフィン7が第2のフィン4’に代えて又は加えてその他のフィンと協調して土を掘削していくものである。すなわち、図5(a)に示すように、第3のフィン7は、その第1の端部7aが蝶番71を介して回動可能に第1のフィン3に取り付けられており、反対側の第2の端部7bの先端が第2のフィン4’よりも下方に位置するように配置されている。後述するように、第2のフィン4’は第3のフィン7に係合されており、ケーシング1が回転すると、第3のフィン7に押されて第2のフィン4’も一緒に回転する。第3のフィン7の取付け角度は掘削する場所の地質条件などを考慮して設定することができるが、水平方向に対し概ね60度の設定が好適である。第3のフィン7の所定の位置には、第2のフィン4’を係合するための凸部72が設けられており、この形態のフック機構を構成している。
図5(b)は、ケーシング1を逆回転させて引抜いている状態を示している。逆回転することによって第2のフィン4’は第3のフィン7から離脱し、挿入された鋼管杭6とともに土中に残留する。引抜いていく状態では、蝶番71が回動可能なことにより第3のフィン7はほぼ水平位置をとる。この際、第1のフィン3は鋼管杭6の周辺の土を下方に締め固める働きをする。ここで、ケーシング1の上部に螺旋8を設けて、ケーシング1の上方にある土を下方に移動させてもよい。
第2のフィン4’は、図6に示すように、その中央部44に突出部45を有している。突出部45はケーシング1の開口内に挿入されるが、本形態の突出部45は、小さい径の鋼管杭6がケーシング1に上方から差し込まれた際に、鋼管杭6を係止するための逆L字型の係止部45aが設けられている。鋼管杭6として、その内部の所定の位置に内径方向に跨るピンが設けられているものを用いれば、当該ピンをこの係止部45aに嵌合させることができる。当該ピンを設けている鋼管杭6は図示されていないが、一般的に知られているものを使用すればよい。この嵌合により、所定の深度まで掘削した後、鋼管杭6をケーシング1内に挿入させ、鋼管杭6を土中に残留させたままケーシング1を掘削時とは逆回転させて引抜く際、逆L字の横辺の延長方向と同じ方向に逆回転させることにより、鋼管杭6は突出部45から外れることはない。
また、第2のフィン4’には、所定の方向に延伸部46が設けられている。この延伸部46を第3のフィン7の凸部72に係合させることにより、第2のフィン4’はケーシング1から脱落せずに一緒に回転していく。図6では、底面側の短辺方向に棒状のものを差し渡して延伸部46を設けているが、その形成方法はこれに限るものではない。例えば、第2のフィン4’の一部を一体成型して同様の延伸部46を設けてもよい。また、図6では、延伸部46に水平方向に対し傾きを設けているが、これは、逆回転させたときに延伸部46が第3のフィン7の凸部72から外れやすくするためである。傾きを設けなくても外れるが、掘削対象の地質状況などに応じて設定すればよい。
(第四の実施形態)
次に第四の実施形態について説明する。第四の実施形態は、図7及び図10に示すように、上述の第三の実施形態において、略長方形の平板である第2のフィン4’の下面の長手方向に、第2のフィン4’との交差状態を略T字状となるようにして縦板47を配置したものである。以下に、第三の実施形態と異なる点のみを説明する。
この形態でも、第三の実施形態と同じように、第3のフィン7が第2のフィン4’に代えて又は加えてその他のフィンと協調して土を掘削していくのであるが、掘削する地層の土質によっては第2のフィン4’が撓んでしまうことがある。すなわち、第2のフィン4’の短辺周辺が土の圧力に負けて塑性変形し、めくれ上がるような状態を呈することがある。そのようになると、第2のフィン4’の短辺によって土を掻くことが困難となり、掘削効率に悪影響を与えるばかりでなく、掘削終了後の第2のフィン4’による支持力にもマイナスの要因となる。
そこで、図7及び図10に示すように、第2のフィン4’の撓みを防止又は抑制するため、その下面の長手方向に、第2のフィン4’との交差状態を略T字状となるようにして縦板47を配置したものである。図7では、縦板47は、第2のフィン4’の長手方向の中心線に沿って2つの短辺に接するように配置されている。その形状は略長方形であり、第2のフィン4’に接する上部端面の中央部は切欠けとなっており、第2のフィン4’の延伸部46を跨いでいる。図10に縦板47を配置した第2のフィン4’の斜視図を示した。
縦板47の上部端面を第2のフィン4’の下面に固定する手段としては溶接が好適であるが、実施にあたっては溶接に限る必要はなく、例えば縦板47をフランジ付きのものとし、フランジを第2のフィン4’にボルトによって取り付けてもよい。また、縦板47の形状や数量はそれぞれ略長方形や1枚に限るものではなく、第2のフィン4’の撓みを防止するに十分な形状や数量を掘削現場の状況に応じて適宜選択することができる。さらに、ここでは、第2のフィン4’の延伸部46を跨ぐために縦板47の上部端面に切欠けを設けているが、延伸部46が第2のフィン4’と一体成形され、その下面に張出していないような場合には、縦板に切欠けを設ける必要はない。
(第五の実施形態)
次に第五の実施形態について説明する。第五の実施形態は、図8に示すように、上述の第四の実施形態において、複数の別々の螺旋片で構成されている第1のフィン3を1枚の連続する螺旋形状のフィン33とし、その下部端を複数ある第3のフィン7の少なくとも1つに当接して配置したものである。以下に、第四の実施形態と異なる点のみを説明する。
この形態でも、第四の実施形態と同じように、第3のフィン7が第2のフィン4’に代えて又は加えてその他のフィンと協調して土を掘削していくのであるが、掘削する地層の土質によっては掘削の速度が低下することがある。
そこで、図8に示すように、地層の土質に応じて第1のフィン33と第3のフィン7との協調を促進させるため、第1のフィン33を第四の実施形態に比して大きな1枚の連続する螺旋形状としたものである。このように構成することにより、第四の実施形態では相対的に困難な掘削現場であっても、第1のフィン33の螺旋形状によってケーシング本体2を下端方向へ押し込む力が強化され、ひいては第3のフィン7の掘削力も強化されることとなる。第1のフィン33の最終的な大きさや螺旋の角度などは掘削現場の状況に対し適宜対応することができるが、大きさはケーシング本体2を一周する程度、その螺旋角度は40°ないし50°が好ましい。
以上の構成を踏まえて、以下の方法により、フィン付きケーシングを用いてフィン付き鋼管杭を設置する。図5を参照しつつ、説明する。中空の管であるケーシング本体2と、ケーシング本体2の地盤側端部の所定の位置に固定された第1のフィン3と、ケーシング本体2の地盤側端部の底面にその開口を覆うように着脱可能に係合された第2のフィン4’と、第1の端部が第1のフィン3に蝶番71を介して回動可能に軸支され、反対側の第2の端部の先端が第2のフィン4’よりも下方に位置するように配置された第3のフィン7と、第2のフィン4’をケーシング本体2に着脱可能に係合するための少なくとも1つのフック機構とを備えるケーシングを地盤中に回転圧入する(ステップ(f))。ねじ込みに際しては、第2のフィン4’の中央部44によってケーシング本体2の地盤側端部の底面は覆われているため、土砂はケーシング本体2の中空部分にほとんど侵入することはない。
次いで、所定の位置に達して回転圧入を止めた後、鋼管杭6をケーシング本体2の地上側端部の開口から挿入し、第2のフィン4’に当接するまで、第2のフィン4’のケーシング本体2側の面の中央に突設されケーシング本体2の内部に貫入された突出部45に差し込み、突出部45に設けられた係止部45aに鋼管杭6を嵌合させる(ステップ(g))。鋼管杭6としては、ケーシングの中に挿入できる径を有し、施工後の強度を保てるものであれば特に限定はないが、例えば、単管パイプを好適な一例として使用することができる。
次に、フック機構を解除することにより第2のフィン4’を前記ケーシング本体2から解放し、第2のフィン4’とそれに当接した鋼管杭6を残置したまま、ケーシング本体2を逆回転させつつ引き抜く(ステップ(h))。ステップ(h)の過程において、ケーシング本体2と鋼管杭6の間の空間に土砂を埋戻す(ステップ(i))。この際、第3のフィン7は、フック機構が解除されることにより、蝶番71の働きによってほぼ水平の位置をとる。
フック機構が解除されるプロセスは次のとおりである。フック機構が、第2のフィン4’の所定の位置に水平方向に延伸させた延伸部46と、延伸部46を係合するため第3のフィン7の所定の位置に設けられた凸部72を備えており、ケーシングが逆回転することにより延伸部46と凸部72が離脱する。
これにより、地中に残置された第2のフィン4’とそれに当接した小さい径の鋼管杭6は、フィン付き鋼管杭として作用することとなる。
(第六の実施形態)
地中に残置された第2のフィン4’は、前述のとおり、建物等の基礎として支持力を提供するものであるが、地盤の状況の変化に伴い設置場所を変更したり、不要となったものを再利用するなどのため、回収の必要が生じることがある。このような場合、図9に示すように、地中の第2のフィン4’の下面に差し込めるように構成した遠位端部92を有する脚部91を備えたケーシング本体9を活用することができる。第2のフィン4’は地上と鋼管杭6を介して地上と繋がっており、ケーシング本体9をこの鋼管杭6に被せるように地中に回転しながら挿入し、脚部91の遠位端部92が第2のフィン4’の下面に差し込まれた後も引き続き回転を加えることにより、第2のフィン4’を回収することができる。
図9では、第三ないし第五の実施形態に採用している第2のフィン4’を回収するためのものとして図示しているが、第六の実施形態は第一及び第二の実施形態に採用している第2のフィン4を回収するためにも適用できることはもちろんである。すなわち、第一及び第二の実施形態に係るステップ(e)又は第三ないし第五の実施形態に係るステップ(i)の次に、第六の実施形態に係るケーシング本体9を用いた第2のフィン4又は4’を回収するステップ(j)を行うことができる。
(第七の実施形態)
以上述べた第一ないし第六の実施形態では、第2のフィン4又は4’とともに鋼管杭6が地中に残置されることにより、基礎地盤が改良されることとなる。ところで、このためには、ケーシング本体2を逆回転させて地中から引き抜く際に、例えば、異物の混入などの理由により鋼管杭6が第2のフィン4又は4’から離脱してしまい、ケーシング本体2とともに地上に回収されてしまうような事態は避けねばならない。地盤改良の意味がなく、また第2のフィン4又は4’も無駄になってしまうからである。鋼管杭6が第2のフィン4又は4’から離脱していないことを確認するためには、例えばその内部にCCDカメラを挿入して確認することなどが考えられるが、そのコストや手間を考えると、工事現場でそのような手段を採用することは現実的でない。
そこで、例えば図2(b)及び(d)に模式的に図示したように、鋼管杭6の地上側端面に確認棒61をケーシング本体2の内部を介して載置し、鋼管杭6が第2のフィン4又は4’から離脱してケーシング本体2の逆回転に伴い回転すると確認棒61も合わせて回転するようにすれば、地上にいる作業員が鋼管杭6と第2のフィン4又は4’との離脱の有無を容易に視認できることとなる。確認棒61が回転していないときは、鋼管杭6も回転しておらず第2のフィン4又は4’から離脱していないと判定することができる。このようにすれば、図3(b)に示したように、鋼管杭6の地上側端面と地盤の表面とがほぼ面一な関係にあるためケーシング本体2に遮られて視認できない鋼管杭6の動きを確認棒61を通じて確認でき、ケーシング本体2が引き抜かれた後に鋼管杭6も回収されてしまっていたことが判明するような事態を予め避けることができる。確認棒61は、鋼管杭6と同じ材質や径のものを採用することができるが、それに限定される必要はなく、鋼管杭6に同調して回転するように構成されたものであればよい。確認棒61の頭部には、作業員が視認しやすいように、例えば色違い及び/又は大きさ・形状違いのキャップ61aを被せればより好ましい。なお、ここでは図2(b)及び(d)のみに確認棒61を図示して説明したが、前述のとおり、確認棒61はすべての実施形態に適用できることは当然である。
本発明に係るケーシングは、建物、特に、一般家屋や比較的小規模の建築物の基礎地盤を改良するため、小さい径のフィン付き鋼管杭の設置に利用することができる。ひいては、低廉なコストで安全な住環境を提供することができる。
1 ケーシング
2 第一ないし第五の実施形態に係るケーシング本体
3 第一及び第三の実施形態に係る第1のフィン
31,32 第1のフィン3の翼状部
3’ 第二の実施形態に係る第1のフィン
33 第四及び第五の実施形態に係る第1のフィン
33 第1のフィン3’の貫通口
4 第一及び第二の実施形態に係る第2のフィン
41 第2のフィン4の中央部
42 第2のフィン4の翼状部
43 第2のフィン4の突出部
4’ 第三の実施形態に係る第2のフィン
44 第2のフィン4’の中央部
45 第2のフィン4’の突出部
46 第2のフィン4’の延伸部
47 縦板
5 第一及び第二の実施形態に係るフック機構
51 フック機構5(第二例)の第1の腕部
51a フック機構5(第二例)の第1の腕部の外側の端部
51b フック機構5(第二例)の第1の腕部の内側の端部
52 フック機構5(第二例)の第2の腕部
53 フック機構5(第二例)の爪部
54 フック機構5(第二例)の支点
55 フック機構5(第一例)の基体部
56 フック機構5(第一例)の爪部
6 小さい径の鋼管杭
61 確認棒
61a キャップ
7 第3のフィン
71 第3のフィン7の蝶番
72 第3のフィン7の凸部
8 螺旋
9 第六の実施形態に係るケーシング本体
91 ケーシング本体9の脚部
92 脚部91の遠位端部
A 重機
B 回転圧入装置

Claims (13)

  1. 地盤の支持力を改良するフィン付き鋼管杭を設置するための方法であって、
    中空の管であるケーシング本体と、前記ケーシング本体の地盤側端部の所定の位置に固定された第1のフィンと、前記ケーシング本体の地盤側端部の底面にその開口を覆うように着脱可能に係合された第2のフィンと、前記第2のフィンを前記ケーシング本体に着脱可能に係合するための少なくとも1つのフック機構とを備えるケーシングを地盤中に回転圧入するステップ(a)と、
    所定の位置に達して回転圧入を止めた後、鋼管杭を前記ケーシング本体の地上側端部の開口から挿入し、前記第2のフィンに当接するまで、前記第2のフィンの前記ケーシング本体側の面の中央に突設され前記ケーシング本体の内部に貫入された突出部に差し込むステップ(b)と、
    前記フック機構を解除することにより、前記第2のフィンを前記ケーシング本体から解放するステップ(c)と、
    前記第2のフィンとそれに当接した前記鋼管杭を残置したまま、前記ケーシング本体を逆回転させつつ引き抜くステップ(d)と、
    前記ステップ(d)の過程において、前記ケーシング本体と前記鋼管杭の間の空間に土砂を埋戻すステップ(e)とを備える方法。
  2. 前記ステップ(a)において、前記第1のフィンが前記ケーシング本体の地盤側端部の外周に固定されている請求項1に記載の方法。
  3. 前記ステップ(a)において、前記第1のフィンが前記ケーシング本体の地盤側端部の底面に固定されており、前記ケーシング本体の開口のうち中央の所定の範囲に対応する貫通口を有する請求項1に記載の方法。
  4. 前記ステップ(c)において、前記フック機構が、前記第1のフィンの表面下部に取付けられた基体部と、前記基体部の先端に設けられ前記第2のフィンを係合する爪部とを備えており、前記ケーシング本体が逆回転することにより、前記爪部が前記第2のフィンから離脱する請求項1ないし3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 前記ステップ(c)において、前記フック機構が、垂直方向に回動可能であって前記ケーシング本体の内部の支点に軸支された第1の腕部と、前記第1の腕部の外側の端部に関節結合され前記ケーシング本体の外側に延伸する第2の腕部と、前記第2の腕部の先端に設けられ前記第2のフィンを係合する爪部とを備えており、前記鋼管杭が前記突出部に差し込まれる過程で前記突出部の近傍に位置決めされた前記第1の腕部をその円周部によって押し込むことにより、前記第2の腕部が持ち上がり、前記爪部が前記第2のフィンから離脱する請求項1ないし3のいずれか1項に記載の方法。
  6. 地盤の支持力を改良するフィン付き鋼管杭を設置するための方法であって、
    中空の管であるケーシング本体と、前記ケーシング本体の地盤側端部の所定の位置に固定された第1のフィンと、前記ケーシング本体の地盤側端部の底面にその開口を覆うように着脱可能に係合された第2のフィンと、第1の端部が前記第1のフィンに蝶番を介して回動可能に軸支され、反対側の第2の端部の先端が前記第2のフィンよりも下方に位置するように配置された第3のフィンと、前記第2のフィンを前記ケーシング本体に着脱可能に係合するための少なくとも1つのフック機構とを備えるケーシングを地盤中に回転圧入するステップ(f)と、
    所定の位置に達して回転圧入を止めた後、鋼管杭を前記ケーシング本体の地上側端部の開口から挿入し、前記第2のフィンに当接するまで、前記第2のフィンの前記ケーシング本体側の面の中央に突設され前記ケーシング本体の内部に貫入された突出部に差し込み、突出部に設けられた係止部に鋼管杭を嵌合させるステップ(g)と、
    前記フック機構を解除することにより前記第2のフィンを前記ケーシング本体から解放し、前記第2のフィンとそれに当接した前記鋼管杭を残置したまま、前記ケーシング本体を逆回転させつつ引き抜くステップ(h)と、
    前記ステップ(h)の過程において、前記ケーシング本体と前記鋼管杭の間の空間に土砂を埋戻すステップ(i)とを備える方法。
  7. 前記ステップ(f)において、前記第1のフィンが前記ケーシング本体の地盤側端部の外周に固定されている請求項6に記載の方法。
  8. 前記ステップ(f)において、前記第2のフィンがその下面に縦板を有する請求項6又は7に記載の方法。
  9. 前記ステップ(f)において、前記第3のフィンが複数設けられ、前記第1のフィンが螺旋形状を有し前記第3のフィンの少なくとも1つに当接する請求項6ないし8のいずれか1項に記載の方法。
  10. 前記ステップ(h)において、前記フック機構が、前記第2のフィンの所定の位置に水平方向に延伸させた延伸部と、前記延伸部を係合するため前記第3のフィンの所定の位置に設けられた凸部を備えており、前記ケーシングが逆回転することにより前記延伸部と前記凸部が離脱する請求項6ないし9のいずれか1項に記載の方法。
  11. さらに、所定の角度に設定された遠位端部を有する脚部を備えるケーシングを地盤中に挿入し、残置された前記第2のフィンの下面に前記遠位端部を差し込んで回転させることにより、前記第2のフィンを地上に回収するステップ(j)を備える請求項1又は6に記載の方法。
  12. 前記ステップ(c)において、前記鋼管杭の地上側端面に前記ケーシング本体の内部を介して確認棒を備え、前記確認棒が、前記鋼管杭が前記第2のフィンから離脱して前記ケーシング本体の逆回転に伴い回転すると、前記鋼管杭に合わせて回転する請求項1に記載の方法。
  13. 前記ステップ(h)において、前記鋼管杭の地上側端面に前記ケーシング本体の内部を介して確認棒を備え、前記確認棒が、前記鋼管杭が前記第2のフィンから離脱して前記ケーシング本体の逆回転に伴い回転すると、前記鋼管杭に合わせて回転する請求項6に記載の方法。
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