JP2013147561A - タイヤ用ゴム組成物およびそれを用いた空気入りタイヤ - Google Patents

タイヤ用ゴム組成物およびそれを用いた空気入りタイヤ Download PDF

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Abstract

【課題】近年の安全意識の高まりに伴い、タイヤの特性として操縦安定性能、湿潤状態の路面における制動性(ウェット制動性)を向上させ、なおかつ耐摩耗性も両立させることが課題となっている。本発明の課題は、非石油資源由来の成分を有効に利用し、操縦安定性能、ウェット制動性および耐摩耗性に優れたタイヤ用ゴム組成物およびそれを用いた空気入りタイヤを提供することである。
【解決手段】ジエン系ゴム100質量部に対し、繊維長が0.5mm〜5mmのバサルト短繊維を0.5〜10質量部配合してなることを特徴とするタイヤ用ゴム組成物と、該タイヤ用ゴム組成物を使用した空気入りタイヤ。
【選択図】図1

Description

本発明は、タイヤ用ゴム組成物およびそれを用いた空気入りタイヤに関するものであり、詳しくは、操縦安定性能、湿潤状態の路面における制動性(ウェット制動性)および耐摩耗性に優れたタイヤ用ゴム組成物およびそれを用いた空気入りタイヤに関するものである。
近年の安全意識の高まりに伴い、タイヤの特性として操縦安定性能、湿潤状態の路面における制動性(ウェット制動性)を向上させ、なおかつ耐摩耗性も両立させることが課題となっている。
そこで上記課題を解決するために、タイヤ用ゴム組成物のフィラーや硫黄を増量させ、硬度およびモジュラスを高める試みがなされているが、破断伸びが悪化するという問題点があった。
一方、環境上の観点からタイヤ用ゴム組成物には、非石油資源由来の成分を採用することが望まれている。
下記特許文献1は、耐摩耗性および氷雪上性能を向上させることを目的として、天然ゴムおよびブタジエンゴムからなるゴム成分100重量部に対して、ロックウールを0.1〜20重量部、ならびにヨウ素吸着量が100〜300mg/gであるカーボンブラックを5〜200重量部含有するゴム組成物を開示している。しかしながら特許文献1に開示された技術では、当業界で要求されている操縦安定性能、ウェット制動性および耐摩耗性を十分に満足することができない。
特開2008−303333号公報
したがって本発明の目的は、非石油資源由来の成分を有効に利用し、操縦安定性能、ウェット制動性および耐摩耗性に優れたタイヤ用ゴム組成物およびそれを用いた空気入りタイヤを提供することにある。
本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、ジエン系ゴムに特定の繊維長を有するバサルト短繊維を特定量配合することにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成することができた。
すなわち本発明は以下のとおりである。
1.ジエン系ゴム100質量部に対し、繊維長が0.5mm〜5mmのバサルト短繊維を0.5〜10質量部配合してなることを特徴とするタイヤ用ゴム組成物。
2.ジエン系ゴム100質量部に対し、さらにシリカを10〜100質量部およびシランカップリング剤を0.5〜10質量部配合してなることを特徴とする前記1に記載のタイヤ用ゴム組成物。
3.前記バサルト繊維の平均繊維長/平均繊維径(L/D)が、50〜500の範囲にあることを特徴とする前記1または2に記載のタイヤ用ゴム組成物。
4.前記1〜3のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物を使用した空気入りタイヤ。
本発明によれば、ジエン系ゴムに特定の繊維長を有するバサルト短繊維を特定量配合することにより、非石油資源由来の成分を有効に利用し、操縦安定性能、ウェット制動性および耐摩耗性に優れたタイヤ用ゴム組成物およびそれを用いた空気入りタイヤを提供することができる。
空気入りタイヤの一例の部分断面図である。
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
図1は、乗用車用の空気入りタイヤの一例の部分断面図である。
図1において、空気入りタイヤは左右一対のビード部1およびサイドウォール2と、両サイドウォール2に連なるトレッド3からなり、ビード部1、1間に繊維コードが埋設されたカーカス層4が装架され、カーカス層4の端部がビードコア5およびビードフィラー6の廻りにタイヤ内側から外側に折り返されて巻き上げられている。また、トレッド3においては、カーカス層4の外側に、ベルト層7がタイヤ1周に亘って配置されている。
以下に説明する本発明のタイヤ用ゴム組成物は、上記のようなタイヤ用の各種部材に有用であり、とくにトレッド3に有用である。
(ジエン系ゴム)
本発明で使用されるジエン系ゴム成分は、タイヤ用ゴム組成物に配合することができる任意のジエン系ゴムを用いることができ、例えば、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(SBR)、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体ゴム(NBR)等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、その分子量やミクロ構造はとくに制限されず、アミン、アミド、シリル、アルコキシシリル、カルボキシル、ヒドロキシル基等で末端変性されていても、エポキシ化されていてもよい。
これらのジエン系ゴムの中でも、本発明の効果が向上するという点からジエン系ゴムはSBRが好ましい。
(バサルト短繊維)
本発明で使用されるバサルト短繊維は、玄武岩を高温にて溶融紡糸して製造することができ、公知である。また、バサルト短繊維は、非石油資源由来の成分であり、強硬でじん性があり、有害物質を排出することがない。
本発明で使用されるバサルト短繊維は、その繊維長が効果の発現に大きく影響を及ぼす。すなわちバサルト短繊維の繊維長は、0.5mm〜5mmであることが必要である。繊維長が0.5mm未満であると、補強性が悪化し、逆に5mmを超えるとウェット制動性、破断伸びが悪化する。さらに好ましいバサルト短繊維の繊維長は、1mm〜5mmである。
また、本発明で使用されるバサルト短繊維は、本発明の効果が向上するという点から、その平均繊維長/平均繊維径(L/D)が、50〜500の範囲にあることが好ましい。さらに好ましいL/Dは、100〜500の範囲である。前記平均繊維長および平均繊維径は、電子顕微鏡観察することにより容易に算出することができる。
なお、ロックウールは、前記特許文献1に記載のように、高炉スラグ、玄武岩、石灰、その他の天然岩石等を主原料として、1500〜1600℃の高温で溶融した後に繊維状として形成したものであり、玄武岩のみを原料として調製されたバサルト短繊維とは構成が明らかに異なる。
(充填剤)
本発明のタイヤ用ゴム組成物は、各種充填剤を配合することができる。充填剤としてはとくに制限されず、用途により適宜選択すればよいが、例えばカーボンブラック、無機充填剤等が挙げられる。無機充填剤としては、例えばシリカ、クレー、タルク、炭酸カルシウム等を挙げることができる。中でもカーボンブラック、シリカが好ましく、シリカが特に好ましい。
本発明の効果が向上するという点から、カーボンブラックの窒素吸着比表面積(NSA)(JIS K6217−2に準拠して測定)は、好ましくは30〜150m/gであり、また、シリカのBET比表面積(ISO5794/1に準拠して測定)は、好ましくは80〜250m/gである。
また、カーボンブラックおよび/またはシリカを使用する場合、シランカップリング剤を併用するのが好ましい。シランカップリング剤としては、硫黄含有シランカップリング剤が好ましく、例えばビス−(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルベンゾチアゾールテトラスルフィド、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−オクタノイルチオプロピルトリエトキシシラン等を例示することができる。
(タイヤ用ゴム組成物の配合割合)
本発明のタイヤ用ゴム組成物は、ジエン系ゴム100質量部に対し、繊維長が0.5mm〜5mmのバサルト短繊維を0.5〜10質量部配合してなる。
バサルト短繊維の配合割合が0.5質量部未満であると、添加量が少なすぎて本発明の効果を達成することができない。逆に10質量部を超えると、破断強度および耐摩耗性が悪化する。
さらに好ましいバサルト短繊維の配合割合は、ジエン系ゴム100質量部に対し1〜5質量部である。
また、充填剤としてシリカを使用する場合、その配合量はジエン系ゴム100質量部に対し好ましくは10〜100質量部、さらに好ましくは10〜50質量部配合するのが好ましい。また、シランカップリング剤の配合量はジエン系ゴム100質量部に対し好ましくは0.5〜10質量部、さらに好ましくは0.5〜5質量部配合するのがよい。シリカおよびシランカップリング剤の配合量が上記範囲を満たすことにより、ウェット制動性を高めることができる。
本発明のタイヤ用ゴム組成物には、前記した成分に加えて、加硫又は架橋剤、加硫又は架橋促進剤、各種オイル、老化防止剤、可塑剤、加硫助剤、加工助剤などのタイヤ用ゴム組成物に一般的に配合されている各種添加剤を配合することができ、かかる添加剤は一般的な方法で混練して組成物とし、加硫又は架橋するのに使用することができる。これらの添加剤の配合量も、本発明の目的に反しない限り、従来の一般的な配合量とすることができる。
また本発明のタイヤ用ゴム組成物は従来の空気入りタイヤの製造方法に従って空気入りタイヤを製造するのに使用することができる。
以下、本発明を実施例および比較例によりさらに説明するが、本発明は下記例に制限されるものではない。
実施例1〜4および比較例1
(カーボンブラック配合系のゴム組成物および加硫ゴム試験片の調製
表1に示す配合(質量部)において、加硫系(加硫促進剤、硫黄)を除く成分を1.7リットルの密閉式バンバリーミキサーで5分間混練した後、ミキサー外に放出させて室温冷却した。続いて、該組成物に加硫系を加えてロールミルで混練し、タイヤ用ゴム組成物を得た。次に得られたタイヤ用ゴム組成物を所定の金型中で160℃で15分間プレス加硫して加硫ゴム試験片を調製した。得られたタイヤ用ゴム組成物および加硫ゴム試験片について以下に示す試験法で物性を測定した。
硬度:JIS K6253に基づき、20℃および60℃にて測定した。結果は、比較例1の値を100として指数で示した。指数が大きいほど硬度が高く、操縦安定性および耐摩耗性に優れることを示す。
100%モジュラス(M100):JIS K6251に従い、23℃にて引張試験を実施し、伸び100%時の引張応力を測定した。結果は、比較例1の値を100として指数で示した。指数が大きいほど剛性が高く、操縦安定性および耐摩耗性に優れることを示す。
ウェット制動性:上記ゴム組成物をトレッド部に使用して、当該技術分野において知られている従来の成形・加硫方法によって、195/65R15サイズの乗用車用タイヤを製造し、試験タイヤとした。この試験タイヤを、それぞれ、正規空気圧で、正規リムに組み込み、2500ccの乗用車に装着し、水深3mmの路面(ウェット環境)において、初速100km/hからABSを作動させて急制動し、ブレーキを踏んでから停止するまでの距離[m]を測定した。結果は、比較例1の値を100として指数で示した。指数が大きいほど、制動距離が短く、ウェット制動性が良好であることを意味する。
耐摩耗性:JIS K6264に準拠して、ランボーン摩耗試験機(岩本製作所(株)製)を使用して、荷重49N、スリップ率25%、時間4分、室温において測定した。結果は、比較例1の値を100として指数で示した。指数が大きいほど、耐摩耗性が良好であることを意味する。
結果を表1に併せて示す。
Figure 2013147561
*1:SBR(日本ゼオン社製商品名NIPOL1502)
*2:カーボンブラック(キャボットジャパン(株)製ショウブラックN330、窒素吸着比表面積(NSA)=72m/g)
*3:酸化亜鉛(正同化学工業(株)製酸化亜鉛3種)
*4:ステアリン酸(日油(株)製ビーズステアリン酸)
*5:オイル(昭和シェル石油(株)製エキストラクト4号S)
*6:硫黄(細井化学工業(株)製油処理硫黄)
*7:加硫促進剤(大内新興化学工業(株)製ノクセラーNS−P)
*8:バサルト短繊維(巴工業(株)製バサルトチョップドファイバー、平均繊維長=3mm、平均繊維径=13μm、2000テックス)
上記の表1から明らかなように、実施例1〜4で調製されたタイヤ用ゴム組成物は、ジエン系ゴムに特定の繊維長を有するバサルト短繊維を特定量配合しているので、カーボンブラック配合系の従来の代表的な比較例1に対し、20℃および60℃の硬度がいずれも上昇し、M100(列理方向のモジュラス)も上昇し、ウェット制動性および耐摩耗性も共に優れた結果となった。
実施例5〜7および比較例2
(シリカ配合系のゴム組成物および加硫ゴム試験片の調製
表2に示す配合(質量部)において、加硫系(加硫促進剤、硫黄)を除く成分を1.7リットルの密閉式バンバリーミキサーで5分間混練した後、ミキサー外に放出させて室温冷却した。続いて、該組成物に加硫系を加えてロールミルで混練し、タイヤ用ゴム組成物を得た。次に得られたタイヤ用ゴム組成物を所定の金型中で160℃で20分間プレス加硫して加硫ゴム試験片を調製した。得られたタイヤ用ゴム組成物および加硫ゴム試験片について、上記実施例1〜4と同様に各種物性を測定した。なお、試験結果は、比較例2の値を100として指数で示した。
結果を表2に併せて示す。
Figure 2013147561
*9:シリカ(東ソー・シリカ(株)製ニップシールAQ、BET比表面積=210m/g)
*10:シランカップリング剤(エボニックデグッサジャパン(株)製Si69、化合物名=ビス−トリエトキシシリルプロピルテトラスルフィド)
上記の表2から明らかなように、実施例5〜7で調製されたタイヤ用ゴム組成物は、ジエン系ゴムに特定の繊維長を有するバサルト短繊維を特定量配合しているので、20℃および60℃の硬度がいずれも上昇し、M100も上昇し、ウェット制動性および耐摩耗性も共に優れた結果となった。
比較例3〜4
上記実施例2において、バサルト短繊維に替えて、ロックウール(比較例3)またはガラス短繊維(比較例4)を使用したこと以外は、実施例2を繰り返した。結果を表3に示す。なお表3においては実施例2の結果も併せて示した。
Figure 2013147561
*11:ロックウール(日本ロックウール(株)製エスファイバーFF、平均繊維長=120μm、平均繊維径=4μm)
*12:ガラス短繊維(日東紡(株)製CS 3 E−227、平均繊維長=3mm、平均繊維径=10μm)
表3の結果から、バサルト短繊維以外の繊維を用いた場合、実施例2の結果と比較すると、硬度、M100、ウェット制動性および耐摩耗性がいずれも悪化した。
比較例5
上記実施例2において、バサルト短繊維の平均繊維長=10mm、平均繊維径=13μmに変更したこと以外は、実施例2を繰り返した。その結果、
硬度(20℃)=105
硬度(60℃)=106
100%モジュラス(M100)=110
ウェット制動性=99
耐摩耗性=102
となった。
1 ビード部
2 サイドウォール
3 トレッド
4 カーカス層
5 ビードコア
6 ビードフィラー
7 ベルト層

Claims (4)

  1. ジエン系ゴム100質量部に対し、繊維長が0.5mm〜5mmのバサルト短繊維を0.5〜10質量部配合してなることを特徴とするタイヤ用ゴム組成物。
  2. ジエン系ゴム100質量部に対し、さらにシリカを10〜100質量部およびシランカップリング剤を0.5〜10質量部配合してなることを特徴とする請求項1に記載のタイヤ用ゴム組成物。
  3. 前記バサルト繊維の平均繊維長/平均繊維径(L/D)が、50〜500の範囲にあることを特徴とする請求項1または2に記載のタイヤ用ゴム組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物を使用した空気入りタイヤ。
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