JP2013146824A - 複合加工方法および複合加工装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】導電性の被加工物を任意の加工形状に加工するときに、加工効率を向上することが望まれている。
【解決手段】 導電性の被加工物2を複数回の加工工程に分けて任意の加工形状に切断加工する。ワイヤ電極3を上側案内装置20と下側案内装置30で位置決めさせて所定のテンションをもって張架する。ワイヤ電極3と被加工物2との相対的な位置決めを行なってから、仕上げ加工工程におけるワイヤソーカッティングに適する取り代を得る残し代になる範囲で可能な最大の加工速度で加工できる加工条件の組合せでワイヤカット放電加工方法によって荒加工工程を行なう。次いで、ワイヤソー4を上側案内装置20と下側案内装置30で位置決めさせて所定のテンションをもって張架する。そして、取り代がワイヤソーカッティングに適する状態でワイヤソーカッティング加工方法によって仕上げ加工工程を行なう。
【選択図】図1

Description

本発明は、ワイヤカット放電加工方法とワイヤソーカッティング加工方法によって導電性の被加工物を任意の加工形状に切断加工する複合加工方法および複合加工装置に関する。
ワイヤカットは、ワイヤ電極と被加工物とで形成される加工間隙に間歇的に放電を発生させ、放電エネルギによって被加工物を切断する放電加工方法である。したがって、ワイヤカットは、工具であるワイヤ電極が被加工物から直接材料を除去しない、いわゆる非接触加工である。そのため、導電性の被加工物である限り、難切削材であっても被加工物を最終的に数μmRa以下の加工面粗さと数μm以下の高い加工形状精度で任意の加工形状に切断することができる。
ただし、ワイヤカットでは、放電一発毎に材料が溶融し飛散して除去されることによって切断面に放電痕が形成されるので、鏡面のような光沢のある加工面を得ることが難しい。放電エネルギが大きいほど放電一発毎の取り量が多く加工速度は速くなるが、放電痕が大きくなるので加工面粗さは粗くなる。また、放電エネルギが大きいほど放電反力が大きくなるので、ワイヤ電極の振動の振幅が拡大して加工形状精度が低下する。したがって、加工面粗さと加工形状精度は、加工速度と相反する関係にある。
そこで、ワイヤカットでは、1つの加工形状に対して放電電流の大きさを段階的に小さく変更していき、最終的に要求される所望の加工面粗さと加工形状精度を得ることができるように複数回の加工工程に分けて加工することによって加工効率を上げている。各加工工程は、加工の目的によって、大まかに形状を切り出す荒加工工程(ファーストカット)と、荒加工工程で形成された輪郭形状を整える中仕上げ加工と、加工面粗さを小さくする仕上げ加工工程と、所望の加工面粗さと加工形状を得る最終仕上げ加工工程と、に分けて考えることができる。
荒加工工程では、使用するワイヤ電極で許容される最大の放電電流を供給できる電気的加工条件が設定され、可能な限り加工速度を速くするようにされる。最終仕上げ加工工程における電気的加工条件は、所望の加工面粗さに従って実質的に決まっている。そして、荒加工工程と最終仕上げ加工工程との間の各加工工程における電気的加工条件は、荒加工工程から最終仕上げ加工工程までの間に加工面粗さが段階的におよそ半減していくような目標の加工面粗さと加工形状精度によって決められる。そのため、ワイヤカットでは、実質的に最も加工効率に優れるカット数と加工条件の組合せで加工するようにされていると言える。
したがって、ワイヤカットでは、加工効率を大幅に向上させることが相当難しくなってきている。また、ワイヤカットでは、光沢のある加工面を形成する、いわゆる鏡面仕上げを行なうことが難しい。材料と大きさが選択された微粒子を所定の濃度で加工間隙に介在させ、電流値が小さい特殊な波形の放電電流パルスを供給して放電加工を行なうことによって鏡面を得るワイヤカット放電加工方法が知られているが、加工時間が相当長くかかるので、加工効率が一段と低下する。
加工効率を一層向上させるためには、荒加工工程において、ワイヤカットに比べて加工速度が速い加工方法によって被加工物を切断しておき、仕上げ加工工程において、ワイヤカットによって切断面(端面)を放電加工して所望の加工面粗さを得るようにする複合加工方法が有力である。
導電性の材料でなる被加工物を高速で切断できる加工方法として、ウォータジェットがよく知られている。ウォータジェットは、被加工物に対して垂直に噴射される高圧水の水柱によって被加工物を切断する加工方法である。ウォータジェットは、ワイヤカットの十数倍の加工速度が期待できるため、ウォータジェットで荒加工工程を行なうことによって、加工効率の大幅な向上が期待できる(特許文献1参照)。
ウォータジェットでは、ワイヤカットに比べて加工形状精度が極端に低い。そのため、ウォータジェットで被加工物を切断した後、中仕上げ加工工程で輪郭形状を修正するときに、最終的に所望の加工形状を得ることができるように、荒加工工程における残し代を相当大きくしておく必要がある。結果的に、所望の加工形状によっては、ワイヤカットによる中仕上げ加工工程において、荒加工工程の取り量にも匹敵するほどの取り代が存在し、加工全体から総合的に見ると、期待するほど加工効率を向上させることができず、依然として改良の余地がある。
また、ウォータジェットでは、板厚が比較的大きい被加工物を切断することが難しい。とりわけ、超硬合金(タングステンカーバイド)のような高硬度の被加工物を切断することは、極めて困難である。被加工物の板厚に対応して切断に要求されるエネルギを大きくすることができるが、供給できるジェットの圧力に限界があり、現実的には不可能である。高速に導電性の被加工物を切断することができる他の加工方法として、レーザカットがあるが、ウォータジェットと同様に、板厚が大きい被加工物を綺麗に切断することは難しい。
被加工物を切断できる加工方法として、ワイヤソーカッティングが存在する。ワイヤソーカッティングは、ワイヤソーを高速に往復移動させて糸鋸のように被加工物を切断加工する加工方法である(特許文献2参照および特許文献3参照)。ワイヤソーカッティングは、専らシリコンインゴットを切断してウェハを切り出す加工のように塊である絶縁性または半導電性の被加工物を直線的に切断する加工に広く利用されている。ワイヤソーは、金属製の芯線の表面にダイヤモンド粒を電着あるいはレジンボンドのような接着剤で固着させた線状の工具をいう(特許文献4参照)。
特開2006−110697号公報 特開平6−8055号公報 特開2001−315051号公報 特開2011−230258号公報
ワイヤソーカッティングは、絶縁性あるいは半導電性の被加工物を直線に切断して分断する加工においては十分な切断能力を発揮できる。しかしながら、ワイヤソーカッティングでは、比較的高硬度の導電性の被加工物を任意の加工形状に切断加工する場合、ワイヤカットに比べて加工速度が遅い。加工速度を速くしようとすると、加工面粗さが悪化し、特に、曲線における加工形状精度を得ることが難しくなる。また、取り量の多い荒加工工程においては、ワイヤソーにかかる負荷が大きすぎて、工具の損耗が激しく、長時間の加工が難しい。
本発明は、上記課題に鑑みて、高い加工面粗さと加工形状精度で導電性の被加工物を複数回の加工工程に分けて任意の加工形状に切断加工するワイヤカット放電加工の加工効率を向上させることができる複合加工方法および複合加工装置を提供することを主たる目的とする。本発明による具体的に有利な点は、実施の形態の説明において、その都度示される。
本発明の複合加工方法は、上記課題を解決するために、導電性の被加工物を複数回の加工工程に分けて任意の加工形状に切断加工するときに、ワイヤ電極を上側案内装置と下側案内装置で位置決め案内させてワイヤカット放電加工方法によって荒加工工程を行ない、工具をワイヤ電極からワイヤソーに交換してワイヤソーを上側案内装置と下側案内装置で位置決め案内させてワイヤソーカッティング加工方法によって仕上げ加工工程を行なうようにする。
また、本発明の複合加工方法を実施する複合加工装置は、コラム(1B)に取り付けら鉛直方向に往復移動する唯一の加工ヘッド(1E)と、コラム(1B)に一端が固定される下アーム(1G)と、加工ヘッド(1E)の下位部位に設けられワイヤ電極(3)とワイヤソー(4)を選択的に位置決めして案内する上側案内装置(20)と、下アーム(1G)の他端に設けられワイヤ電極(3)とワイヤソー(4)を選択的に位置決めして案内する下側案内装置(30)と、上側案内装置(20)と下側案内装置(30)にそれぞれ設けられワイヤ電極(3)に電流を供給しワイヤソーカッティング加工方法で加工するときにワイヤソー(4)の軸方向の走行の障害にならない位置に退避する通電体(22)と、ワイヤカット放電加工方法で加工するときにワイヤ電極(3)の走行の障害にならない位置に配設されワイヤソー(4)を往復移動させるかまたは一方向に送り出す駆動機構(90)と、備える。
特に、上記複合加工装置において、上側案内装置(20)と下側案内装置(30)にそれぞれ設けられワイヤ電極(3)を位置決め案内しワイヤソーカッティング加工方法で加工するときにワイヤソー(4)の軸方向の走行の障害にならない位置に退避するワイヤガイド(21)を設けることができる。なお、符号は説明の便宜上付されたものであって、本発明を実施の形態の複合加工装置に限定するものではない。
ワイヤカットで荒加工工程を行なうので、高速で加工しながらワイヤソーカッティングの仕上げ加工に適する取り代に相応する残し代を得ることができ、仕上げ加工工程をワイヤソーカッティングで行なうことができる。そのため、効率的に光沢のある切断面が形成される。したがって、荒加工工程から最終仕上げ加工工程までの一連の加工工程を全てワイヤカットで行なう場合に比べてカット数を削減することができる。その結果、加工時間を大幅に短縮して、加工効率を向上させることができる。
また、ワイヤ電極を上側案内装置と下側案内装置で位置決めさせて荒加工工程を行なった後で、ワイヤソーを上側案内装置と下側案内装置で位置決めさせて仕上げ加工を行なうので、ワイヤソーを被加工物に対して位置決めする作業の必要がない。そのため、工具をワイヤ電極からワイヤソーに交換するだけで、荒加工工程から最終仕上げ加工工程までの一連の加工工程を行なうことができる。その結果、作業時間が必要以上長くなることがなく、加工効率を向上させることができる。
また、本発明の複合加工装置は、ワイヤ電極とワイヤソーを選択的に位置決めして案内する上側案内装置と下側案内装置を備えているので、ワイヤカットで荒加工工程を行なった後に、被加工物を取り付け直してワイヤソーを被加工物に対して位置決めすることなく、工具をワイヤ電極からワイヤソーに交換するだけでワイヤソーカッティング加工方法で仕上げ加工をすることができる。その結果、加工効率を向上させることができる。
本発明の複合加工方法の概容を示すフローチャートである。 加工工程と加工面粗さの関係を示すグラフである。 本発明の複合加工方法における加工状態を示す模式図である。 本発明の複合加工装置の概容を正面から示す平面図である。 工具を供給する機構と工具を供給する経路を示す模式図である。 工具を案内する上側案内装置であってワイヤ電極を案内している状態を示す断面図である。 工具を案内する上側案内装置であってワイヤソーを案内している状態を示す断面図である。 工具を案内する上側案内装置の他の実施の形態であってワイヤ電極を案内している状態を示す断面図である。
図1に、本発明のワイヤカット放電加工方法とワイヤソーカッティング加工方法との複合加工方法の基本的なプロセスが示されている。図2は、荒加工工程から最終仕上げ加工工程までの各加工工程と加工面粗さとの関係を示す。また、図3に、図1に示される複合加工方法における加工状態が示されている。以下に、本発明の複合加工方法の代表的な実施の形態を説明する。
作業者は、加工情報を制御装置に与える(S1)。具体的に、作業者は、所望の加工面粗さと加工形状精度のような最終的に要求される加工結果に関する加工要求情報を制御装置に入力する。また、作業者は、ワイヤ電極の材質と直径および被加工物の材質と板厚、ワイヤソーの直径のような加工に制約を与える加工制約情報を制御装置に入力する。以下、加工条件を決めるために必要な情報を加工情報と総称する。
加工情報に合致するワイヤカットの各加工工程毎の加工条件の組合せを選定する(S2)。制御装置は、入力された加工情報に基いて予め記憶装置に記憶されている加工条件のデータベースの中から加工情報で定められる条件に適合する加工条件の組合せの候補を検索して抽出する。加工条件の組合せは、複数種類の加工条件が組み合わさってなる加工条件の集合体である。
荒加工工程では、最大の加工速度を得ることができる加工条件の組合せが選択される。最大の加工速度を得ることができる加工条件の組合せは、特定の材質で所定の板厚の被加工物を加工する場合に限界のテンションで使用するワイヤ電極が断線しない供給し得る最大の平均加工電流に基づいて決められる。具体的に、最大の平均加工電流と放電の繰返し周波数から加工条件のピーク電流値とオン時間(パルス幅)が求められる。最終仕上げ加工工程における加工条件の組合せは、最終的に要求される所望の加工面粗さに基づいて決まる。
荒加工工程と最終仕上げ加工工程における加工条件の組合せが決まると、荒加工工程で得ることができる加工面粗さと最終仕上げ加工工程における所望の加工面粗さから、カット数(加工工程数)と各加工工程における目標の加工面粗さが決まる。中間の各加工工程の加工条件の組合せは、各加工工程における目標の加工面粗さに従って選択される。例えば、図2に示されるように、所望の加工面粗さが2μmRaであって、荒加工工程で得ることができる加工面粗さが30μmRaであるときは、カット数が5回である。
選択された各加工工程における加工条件の組合せに対応して各加工工程におけるオフセットの値が求められる(S3)。加工条件のデータベースに存在する各加工条件の組合せ毎のオフセットの値は、実際の加工で得た加工データに基づいて予め記憶装置にオフセットデータとして各加工条件の組合せにそれぞれ対応するように記憶されている。そこで、各加工工程毎に各加工条件の組合せに対応する適するオフセットの値を記憶装置から取得する。
図3に示されるように、ワイヤカットにおけるオフセットhは、ワイヤ電極の半径rと、放電ギャップgと、加工面粗さを含む次の加工工程の取り代に安全代とを加えた残し代kとの総和である。ただし、最終仕上げ加工工程では、加工形状精度に従う誤差の範囲での僅かな安全代を除いて残し代は存在しない。
制御装置は、加工条件のデータベースから抽出した各加工条件の組合せにそれぞれ対応するオフセットの値を含めて、各加工工程の加工条件の組合せを加工条件列として加工条件表の形式で表示装置に表示する。作業者は、表示装置に表示された加工条件の組合せの候補を選定して設定する(S4)。設定された加工条件は、記憶装置に記憶される。作業者は、必要に応じて特定の種類の加工条件を選択的に修正することができる。
本発明の複合加工方法では、ワイヤソーカッティングによって切断面を鏡面仕上げする端面仕上げ加工(セカンドカット)を行なうことができる。ワイヤソーカッティングは、専ら被加工物を直線的に切断して分断する加工方法として認知されてきたので、端面仕上げ加工で実施されている実績がない。そもそも、導電性の被加工物を任意の加工形状に切断する加工においては、ワイヤカットが有利であり、ワイヤソーカッティングを適用することが適当であるとは考えられていなかったからである。
現在は、平均粒径が数十μmφ以下のダイヤモンド粒子を芯線に接着したワイヤソーが開発されている。説明の便宜上、以下の説明では、この種のワイヤソーを微細ワイヤソーという。微細ワイヤソーを用いると、筋が残る研削面ではなく、研磨面に近い光沢のある切断面を得ることができる。その反面、微細ワイヤソーを使用するワイヤソーカッティングでは、取り量が多い加工領域では、相当の加工時間を要する。しかしながら、取り量が十分に少ない加工領域であるなら、加工面粗さが小さく光沢のある加工面を得ることができ、曲線における加工形状精度も満足する。
そこで、本発明の複合加工方法では、ワイヤカットによる荒加工工程で微細ワイヤソーを使用するワイヤソーカッティングに適する取り代に相応する残し代を得るようにする。ワイヤソーカッティングに適する取り代は、少なくともワイヤソーの芯線の直径よりも小さく、特に半径以下であることが望ましい。微細ワイヤソーの芯線の直径は、φ0.1mm〜φ0.3mm程度である。したがって、具体的には、荒加工工程におけるワイヤカットでの残し代は、十数μm〜数百mの範囲であることが適当である。
実施の形態の複合加工方法では、各加工条件の組合せ毎に対応するオフセットの値を記憶装置に記憶されているオフセットデータから取得することができるので、作業者は、ワイヤカットの加工条件を設定するときに、表示装置に表示された加工条件の組合せの候補の中からオフセットの値を参照して荒加工工程における適するワイヤカットの加工条件を設定することができる。なお、加工条件を設定した後で、オフセットの値が不適切であったときに、加工条件を修正して設定し直すことは可能である。
ワイヤカットによる各加工工程における加工条件の組合せが設定されたら、荒加工工程の次の仕上げ加工工程において加工情報の条件に合致するワイヤソーカッティングの加工条件の組合せを選定して設定する(S5)。ワイヤーソーカッティングでは、相対送り速度(加工速度)のように実質的にワイヤカットと共通する種類の加工条件が存在するが、実施の形態では、例えば、ワイヤソーカッティングの加工条件にワイヤカットの加工条件と区別することができる加工条件コード(加工条件番号)を与えてワイヤカットの加工条件と完全に置き換えて設定するようにしている。
ワイヤソーカッティングの加工条件のデータベースは、ワイヤカットの加工条件のデータベースとは別に記憶装置に保存されている。制御装置は、すでに加工情報として入力され制御装置に与えられているワイヤソーの種類と直径および被加工物の材質と板厚に対応させて加工条件のデータベースの中から適合する加工条件の組合せを検索して抽出する。制御装置が抽出した加工条件は、表示装置に表示される。作業者が選定した加工条件の組合せは、記憶装置に記憶される。
ワイヤカットと異なるワイヤソーカッティングだけに存在する特定の種類の加工条件の中で重要な加工条件は、ワイヤソーを往復移動させるときの走行速度(最大線速)と加速度である。ワイヤソーカッティングによる端面仕上げ加工は、物理的な作用の観点から研削ないし研磨に類似する。したがって、ワイヤソーの種類と被加工物の材質および板厚によって最大線速と加速度を決めることができる。同時に、加工面粗さと加工形状誤差とワイヤソーの磨耗速度がおおよそ決まる。
具体的に、最大線速は、被加工物の材質によって400m/min〜800m/min程度にされる。ワイヤソーカッティングにおける送り速度は、最大線速に基づく単位時間当たりの加工量と板厚から、0.1mm/min〜1.5mm/min程度である。ワイヤソーを往復移動させるときの加速度は、基本的に同期モータに対応して決められている。抗張力鋼の芯線の直径が0.2mm(外径約0.25mm)のワイヤソーに付与されるテンションは、約28N〜35Nである。
ワイヤソーカッティングの加工条件の組合せが決まると、ワイヤソーカッティングによる仕上げ加工におけるオフセットの値が決まる(S6)。ワイヤソーカッティングにおけるオフセットhは、図3に示されるように、ワイヤソーの芯線の直径rに安全代εを加えた値である。安全代は、芯線に固着されているダイヤモンド粒の粒径に依存するワイヤソーの外径と、ワイヤソーの振動の振幅と、加工面粗さとを考慮した値であって、実質的に固定値である。安全代は、テストカットによって得ることができる。なお、ワイヤソーカッティングにおける取り代は、大凡ワイヤソーの外径に相当する。
仕上げ加工におけるワイヤソーカッティングの加工条件が設定されたら、すでに位置決めに関する命令と所望の任意の加工形状に従って相対移動の命令が記録されている加工プログラム(NCプログラム)に荒加工工程におけるワイヤカットの加工条件の組合せと仕上げ加工工程におけるワイヤソーカッティングの加工条件の組合せのデータとを各加工工程に対応するオフセットの値のデータと共に記録する(S7)。
実施の形態の複合加工方法では、荒加工工程において次の加工工程におけるワイヤソーカッティングの取り代として適当な残し代を得る範囲で可能な最大の加工速度で加工できるワイヤカットの加工条件の組合せをより容易に選定することができるように、一旦荒加工工程から最終仕上げ加工工程までのワイヤカットの加工条件を設定してから仕上げ加工工程におけるワイヤソーカッティングの加工条件を設定するようにしているが、仕上げ加工工程におけるワイヤカットの加工条件を選定しなくても本発明の複合加工方法を実施することができる。
ワイヤ電極を上側案内装置と下側案内装置で位置決め案内させて所定のテンションをもって張架する。加工プログラムに従ってワイヤ電極を被加工物に対して相対位置決めを行なう(S8)。そして、仕上げ加工工程におけるワイヤソーカッティングに適する取り代に相応する残し代を得る範囲で可能な最大の加工速度で加工できる加工条件の組合せでワイヤカット放電加工方法によって荒加工工程を行なう(S9)。
荒加工工程が終了したら、工具をワイヤ電極からワイヤソーに交換してワイヤソーを上側案内装置と下側案内装置で位置決め案内させて所定のテンションをもって張架する。そして、取り代がワイヤソーカッティングに適する状態で加工プログラムに従ってワイヤソーカッティング加工方法によって仕上げ加工工程を行なう(S10)。
例えば、図2に示されるケースでは、ワイヤカットによる荒加工工程において加工面粗さが30μmRaであって、1回のワイヤソーカッティングによる端面仕上げ加工で加工面粗さ2μmRaの加工面を得ることができるとすると、少なくとも3回のワイヤカットによる仕上げ加工工程が不要になる。その結果、カット数を大幅に削減し、加工効率が大幅に向上する。なお、図2に示されるケースが、ワイヤソーカッティングで2μmRa以下の加工面粗さを得ることができないということを意味するものではない。
微細ワイヤソーによる端面仕上げ加工では、鉄系の被加工物で1μmRa以下の光沢のある切断面を得ることができる。しかしながら、要求される加工面粗さと加工形状精度がより小さいときに、1回以上のワイヤカットの鏡面仕上げ加工を行なって、加工面粗さと加工形状精度を詰めることができる。また、荒加工工程でワイヤソーカッティングによる仕上げ加工工程における適する取り代に適当な残し代を得ることができる“高速加工”が困難であるときは、荒加工工程の後にワイヤカットによる中仕上げ加工を行なってからワイヤソーカッティングによる仕上げ加工を行なうようにすることができる。
例えば、図2に示されるように、ワイヤソーカッティングによる端面仕上げ加工で加工面粗さ2μmRaの加工面を得たとき、ワイヤカットによる追加工を行なって加工面粗さ1μmRa以下で加工形状精度を0.7μm程度まで仕上げることができる。このとき、ワイヤカットによる追加工工程の取り代が殆どないので、あたかもワイヤ電極が切断面を“なめるように”加工する。そのため、加工時間は余計にかかる。しかしながら、少なくとも3回のワイヤカットによる仕上げ加工工程が除かれているので、加工全体から見ると、加工効率が向上する。
図4に、本発明の複合加工方法を実施できる複合加工装置の代表的な構成が示されている。図4は、複合加工装置の構造物を示すものであり、構造物以外の部材は、基本的に図示省略されている。また、記憶装置を含む制御装置と放電電流を供給する加工電源装置は、図示と説明を省略する。
複合加工装置1は、主に、ベッド1Aと、コラム1Bと、サドル1Cと、テーブル1Dと、加工ヘッド1Eと、でなる。ベッド1Aとコラム1Bは、移動しない構造物である。サドル1Cと、テーブル1Dと、加工ヘッド1Eは、移動する構造物である。実施の形態の複合加工装置1では、サドル1Cとテーブル1Dは、移動する構造物であるが、設計上、サドル1Cとテーブル1Dを移動しない構造物にすることができる。
ベッド1Aは、床面に水平に据え置かれる。コラム1Bは、ベッド1Aに立設される。サドル1Cは、ベッド1Aの上に載置される。サドル1Cは、ベッド1Aに敷設されているガイドレールに沿って水平1軸方向に往復移動する。サドル1Cが移動する水平1軸方向は、複合加工装置1の機体全体において前後方向である。複合加工装置1の前後方向は、数値制御における制御軸としては、Y軸である。サドル1Cは、リニアモータで動作される移動体である。
テーブル1Dは、サドル1Cの上に載置される。テーブル1Dは、サドル1Cに敷設されているガイドレールに沿って水平1軸方向に往復移動する。テーブル1Dが移動する水平1軸方向は、複合加工装置1の機体全体において左右方向である。複合加工装置1の左右方向は、数値制御における制御軸としては、X軸方向であって、前後方向であるY軸方向に対して直交する方向である。テーブル1は、リニアモータで動作される移動体である。
テーブル1Dは、被加工物2を載置するための台である。被加工物2は、テーブル1Dの上のワークスタンド10に取り付けて固定される。ワークスタンド10は、ステンレスのような耐食性を有する導電性の材料でなる。ワークスタンド10には、端子が設けられている。ワイヤカットを行なうときは、端子にリード線を接続してワークスタンド10を通して被加工物2に通電することができる。ワークスタンド10は、加工液を貯留することができる加工槽1Fに囲まれている。加工槽1Fは、テーブル1Dの上にテーブル1Dと一体的に設けられる。
加工ヘッド1Eは、コラム1Bに取り付けられる。加工ヘッド1Eは、図示しないサーボモータによって鉛直方向に移動する。加工ヘッド1Eが移動する鉛直方向は、複合加工装置1の機体全体において上下方向である。複合加工装置1の上下方向は、数値制御における制御軸としては、Z軸方向であって、主軸である。複合加工装置1の上下方向であるZ軸方向は、左右方向であるX軸方向と前後方向であるY軸方向に対して共に直交する方向である。
加工ヘッド1Eの下位部位は、図示しないサーボモータで動作される移動体1Mによって水平1軸方向に往復移動する。移動体1Mが移動する方向は、サドル1Cに対して平行な方向であって、数値制御における制御軸としては、V軸方向である。また、加工ヘッド1Eの下位部位は、図示しないサーボモータで動作される移動体1Nによって水平1軸方向に往復移動する。移動体1Nが移動する方向は、テーブル1Dに対して平行な方向であって、数値制御における制御軸としては、U軸であり、V軸方向に対して直交する方向である。
加工ヘッド1Eの下位部位に、ワイヤカットにおける工具であるワイヤ電極とワイヤソーカッティングにおける工具であるワイヤソーを選択的に位置決めして案内する上側案内装置20が設けられている。また、加工槽1Fの後壁を貫通してコラム1Bに一端が固定されている下アーム1Gの他端(先端)にワイヤ電極とワイヤソーを選択的に位置決めして案内する下側案内装置30が設けられている。上側案内装置20と下側案内装置30は、ワークスタンド10に取り付けられている被加工物2を挟んで対向配置される。
加工ヘッド1Eの下位部位には、上側案内装置20を通して下側案内装置30までワイヤ電極を供給する自動結線装置40と、ワイヤソーを案内するワイヤソー供給装置50とが設けられている。実施の形態の複合加工装置1では、自動結線装置40の前面側にワイヤソー供給装置50が配置されている。
図5に、複合加工装置の工具を供給する機構が示されている。図5は、工具を供給する経路を示すための模式図であり、構成図としては、各部材の位置関係が正確に示されているわけではない。また、図5において、ワイヤカットの工具であるワイヤ電極とワイヤソーカッティングの工具であるワイヤソーの各供給経路は、意図的に分けて示されている。
ワイヤ電極3は、上側案内装置20のガイドと下側案内装置30のガイドとの間に張架される。上側案内装置20と下側案内装置30は、被加工物2を挟んで上下に配置される。上側案内装置20と下側案内装置30には、ジェット供給装置80から加工液が供給される。ワイヤカットとワイヤソーカッティングで同じ水系加工液を使用する。
ワイヤカットにおけるワイヤ電極3を供給する供給機構60は、コラム1Bの上側に設けられる図示しないパネルに設けられる。図5では、供給機構60は、複合加工装置1の正面の方向から見た状態で示されている。加工に供された使用済のワイヤ電極6を回収する回収機構70は、図4に示される下アーム1Gの中からコラム1Bを貫通してコラム1Bの背面側までの間に設けられる。図5では、回収機構70は、複合加工装置1の向かって左側面から見た状態で示されている。
複合加工装置1のワイヤ電極3の供給機構60は、基本的に、ワイヤカット放電加工装置のワイヤ供給装置が備えている装置を全て有している。具体的に、供給機構60は、リール61と、サーボプーリ62と、送出しローラ63と、断線検出器64と、張力検出器65と、を含んでなる。供給機構60の機能は、ワイヤカット放電加工装置のワイヤ供給装置と本質的に同じであり、詳しい説明を省略する。
送出しローラ63は、ワイヤ電極3に所定の張力を付与するテンションローラを兼用する。サーボモータ66は、送出しローラ63を正逆両方向に切り換えて回転させることができる。電磁ブレーキ67は、リール61にブレーキを与えてリール61に装填されるワイヤボビン68から繰り出されるワイヤ電極3にバックテンションを付与する。
複合加工装置1のワイヤ電極6の回収機構70は、基本的に、ワイヤカット放電加工装置のワイヤ回収装置が備えている装置を全て有している。具体的に、回収機構70は、ピンチローラを含む巻取りローラ71と、方向転換プーリ72と、搬送パイプ73と、アスピレータ74と、切断機75と、バケット76と、を含んでなる。回収機構60の機能は、ワイヤカット放電加工装置のワイヤ回収装置と本質的に同じであり、詳しい説明を省略する。
巻取りローラ71は、モータ77によって一定のトルクで一方向に定速で回転する。巻取りローラ71は、ワイヤ電極4を予め決められているワイヤスピードでワイヤ電極3を走行させながら、サーボモータ66によってトルク制御される送出しローラ63と協働して、ワイヤ電極3に所定の張力を付与する。
自動結線装置40は、加工ヘッド1Eに設置され、加工ヘッド1Eの移動と共に移動する。自動結線装置40は、上側案内装置20と下側案内装置30との間にワイヤ電極3を自動的に張架する。図5では、自動結線装置40は、複合加工装置1の正面の方向から見た状態で示されている。ワイヤ電極3を送り出す送出装置は、供給機構60の送出しローラ63を利用する。自動結線装置40は、ガイドパイプ41と、切断装置42と、切断片回収装置43と、を含んでなる。自動結線装置40の動作は、ワイヤカット放電加工装置の自動結線装置と本質的に同じであり、詳しい説明を省略する。
ワイヤソーカッティングにおけるワイヤソー供給装置50は、加工ヘッド1Eの下位部位に設けられる自動結線装置40に並設される。図5では、ワイヤソー供給装置50は、複合加工装置1の正面の方向から見た状態で示されている。ワイヤソー供給装置50は、ワイヤソー4を上側案内装置20と下側案内装置30との間にワイヤソー4を供給する。上側案内装置20と下側案内装置30との間に張架されたワイヤソー4は、後で具体的に説明される駆動機構によって高速に往復移動されるか、または一方向に高速に送り出される。
ワイヤソー供給装置50は、ワイヤソー4を上側案内装置20と下側案内装置30に案内する。ワイヤソー供給装置50の本体は、V溝を有する一対の案内プーリ51を複数備える。案内プーリ51は、超硬合金のような耐磨耗性の材料でなり、ワイヤソー4を無理なく案内する。図5に示されるワイヤソー供給装置50には、案内プーリ51Aと案内プーリ51Bが設けられているが、ワイヤソー4の移動経路を作り、ワイヤソーを脱線させないために必要な位置に必要な数だけ設けられる。
ワイヤソー供給装置50は、機能的に、駆動機構90を含んでなる。駆動機構90は、基本的に、ワイヤカットを行なうときにワイヤ電極3の走行の障害にならない位置に配置される。駆動機構90は、具体的に、一対の駆動リール91と、複数のワイヤソーボビン92と、同期モータ93と、を含んでなる。図5では、駆動機構90は、複合加工装置1の正面から向かって左側面の方向から見た状態で示されている。
第1の駆動リール91Aはコラム1Bの上側に設けられる。第2の駆動リール91Bは、コラム1Bの背面側に設けられる。ワイヤソー4は、一対のワイヤソーボビン92に巻き回されている。一方のワイヤソーボビン92Aは、第1の駆動リール91Aに装着される。他方のワイヤソーボビン92Bは、第2の駆動リール91Bに装着される。各駆動リール91には、それぞれ同期モータ93が設けられる。第1の同期モータ91Aと第2の同期モータ91Bが同じ方向に所定の速度差をもって同期して回転することによって、ワイヤソー4に所要のテンションを与えながらワイヤソー4を高速に往復移動させる。
実施の形態の複合加工装置1では、ワイヤカットを行なうときにワイヤ電極3の走行の邪魔にならないように、一対の駆動リール91がワークスタンド10に取り付けられた被加工物2の加工部位から離れた位置に配置されている。そのため、ボビン92Aのワイヤソー4を上側案内装置20に導く方向転換ローラ52Aと、ボビン92Bのワイヤソー4を下アーム1Gの中を通して下側案内装置30に導く方向転換ローラ52Bとの一対の方向転換ローラ52が設けられる。
実施の形態の複合加工装置1は、1台の加工機械でワイヤカットとワイヤソーカッティングを行なえるようにするために、鉛直方向に往復移動する唯一の加工ヘッド1Eを設けて、ワイヤカットとワイヤソーカッティングとで上側案内装置20と下側案内装置30を共用する。なお、上側案内装置20と下側案内装置30の“共用”は、複合加工装置1の全体の構成を簡素化する点でも有効であるとともに、ワイヤカットとワイヤソーカッティングで同じ水系加工液を使用することを可能にする点で有利である。
実施の形態の複合加工装置1では、基本的に、ワイヤソー4を高速に往復移動させることによってワイヤソーカッティングを行なう構成であるが、ワイヤソー4の両端を図示しないジョイントで結合することによって無端にし、ワイヤソー4をエンドレスに一方向に高速で走行させるように変形することができる。ワイヤソー4を一方向に走行させるときは、一方のワイヤソーボビン92Aに巻き回したワイヤソー4を供給しながら、他方のワイヤソーボビン92Bにワイヤソー4に巻き回すようにすることで、無端のワイヤソー4の長さを長くして、長時間安定して加工を行なうようにすることができる。
図6および図7に、ワイヤカットとワイヤソーカッティングを1台の加工機械で加工することを実現するために、ワイヤカットとワイヤソーカッティングとで共用できるようにした実施の形態の複合加工装置における上側案内装置の具体的な構成が示される。図6には、ワイヤカットを行なうときの上側案内装置の状態が示される。図7には、ワイヤソーカッティングを行なうときの上側案内装置の状態が示される。下側案内装置は、本質的に上側案内装置と同一の構成を有し、上側案内装置を上下反転させた構造である。
上側案内装置20は、ワイヤ電極3を位置決め案内するワイヤガイド21と、ワイヤ電極3に通電して電流を供給する通電体22と、加圧された加工液を被加工物2の加工部位に供給する加工液噴流ノズル23と、ワイヤソー4を位置決め案内する一対のガイドローラ24と、通電体22を移動させるアクチュエータ25と、を有する。アクチュエータは、電動シリンダである。
ワイヤガイド21は、ダイス形状のガイド部位を有する。ワイヤガイド21は、上側案内装置20と下側案内装置30にそれぞれ設けられる。ワイヤガイド21は、ワイヤソーカッティング加工方法で加工するときにワイヤソー4の軸方向の走行の障害にならない位置に分割して退避する。ワイヤガイド21は、具体的に、半分割のダイス形状のガイド部位を有する固定ブロックと、固定ブロックと対応する同一形状のガイド部位を有する移動ブロックとの一対のブロック体で構成される、いわゆる割ダイスガイドである。
通電体22は、超硬合金でなり、図示しない加工電源装置の直流電源から供給されてくる電流をワイヤ電極3に給電する。通電体22は、上側案内装置20と下側案内装置30にそれぞれ設けられる。通電体22は、ワイヤガイド21の移動ブロックと共にワイヤソーカッティング加工方法で加工するときにワイヤソー4の軸方向の走行の障害にならない位置に退避する。また、通電体22は、自動結線装置40によってワイヤ電極3を結線するときには、ワイヤ電極3の通過の邪魔にならない位置に退避する。
加工液噴流ノズル23は、ワイヤ電極3またはワイヤソー4を包囲するようにワイヤ電極3またはワイヤソー4に対して同軸に加工液噴流を供給する。加圧された加工液は、図5に示されるジェット供給装置80から上側案内装置20と下側案内装置30に供給される。したがって、ワイヤカットとワイヤソーカッティングで同一の加工液を同一の供給経路を通して供給することができる。
一対のガイドローラ24は、ワイヤソーカッティングを行なうときにワイヤソー4を位置決め案内する。ガイドローラ24は、上側案内装置20と下側案内装置30にそれぞれ設けられる。ガイドローラ24は、超硬合金のように耐磨耗性の高い材料でなる。一対のガイドローラ24の少なくとも一方のガイドローラは、ワイヤカット放電加工方法で加工するときにワイヤ電極の走行の障害にならない位置に退避する。
実施の形態の複合加工装置1では、特に、一方のガイドローラが駆動ローラ24Aである。駆動ローラ24Aは、回転軸に直結する同期モータ24Cによって時計方向と反時計方向の両方向に回転する。駆動ローラ24Aは、駆動機構の同期モータ91と同期して回転する。ガイドローラ24が駆動ローラ24Aを有する構成である場合、ワイヤカット放電加工方法で加工するときには、ピンチローラ24Bがワイヤ電極3の走行の障害にならない位置に退避する。ピンチローラ24Bは、例えば、ソレノイドのような移動機構24Dによって駆動ローラ24Aに対して開閉する。
ワイヤカットのときは、移動機構24Dを作動させて一対のガイドローラ24のピンチローラ24Bを駆動ローラ24Aから離してワイヤ電極3の走行経路を開放する。同時に、アクチュエータ25を作動させてワイヤガイド21の移動ブロックと通電体22を一体でワイヤ電極3に接触する方向に移動させる。その結果、移動ブロックが固定ブロックと接合してワイヤ電極3が僅かなクリアランスをもって通過するガイド孔が形成される。また、通電体22がワイヤ電極3と接触して一方向に押し出す。ワイヤ電極3が押し出されることによってワイヤ電極3の走行経路が変更され、ワイヤ電極3は、駆動ローラ24Aに接触しない。
ワイヤソーカッティングのときは、移動機構24Dを作動させて一対のガイドローラ24のピンチローラ24Bを駆動ローラ24Aに強く押し付けてワイヤソー4を保持する。同時に、アクチュエータ25を作動させてワイヤガイド21の移動ブロックと通電体22を一体でワイヤ電極3から離れる方向に移動させる。ワイヤガイド21の移動ブロックが固定ブロックから離れることによってワイヤソー4の走行経路に障害がなくなる。また、通電体22がワイヤソー4から離れる方向に退避してワイヤソー4の走行経路に障害がなくなる。
ワイヤソーカッティングのときは、駆動リール91と同期して、上側案内装置20の駆動ローラ24Aと上側案内装置20と殆ど同じ構成の下側案内装置30における図示しない駆動ローラとを協働させ、上側案内装置20と下側案内装置30の各駆動ローラが正転と逆転とを高速に切り換えて反転を繰り返すように回転させる。そのため、ワイヤソー4は、被加工物2の加工部位に近い位置で保持されて所定の張力が与えられた状態で駆動機構に把持されながら高加速度で高速に往復移動する。その結果、ワイヤソー4は、糸鋸のように高速に上下移動を繰り返すことによってワイヤ電極3の切断面を磨くように材料を除去する。
図6および図7に示される複合加工装置では、ワイヤ電極とワイヤソーを同じ上側案内装置と下側案内装置で位置決めさせて加工を行なうことができる。そのため、ワイヤ電極をワイヤソーに交換するだけでワイヤソーカッティングによる仕上げ加工をすることができる。例えば、上側案内装置20の場合、ワイヤガイド21の固定ブロックと駆動ローラ24Aの相対位置関係が決まっていて、ワイヤ電極3とワイヤソー4の直径がわかっているので、ワイヤ電極3の中心軸の位置とワイヤソー4の中心軸の位置の差を補正することによって、被加工物2に対するワイヤソー4の相対位置を決めることができる。
図8に、ワイヤカットとワイヤソーカッティングとで共用できるようにした他の上側案内装置の構成が示される。図8には、ワイヤカットを行なうときの上側案内装置の状態が示される。下側案内装置は、部分的に上側案内装置と異なるが、基本的に上側案内装置を上下反転させた構造である。なお、図6および図7に示される上側案内装置と本質的に同一の機能を有する部材は、図6および図7と同じ符号を用いて説明する。
上側案内装置20は、ワイヤ電極3を位置決め案内するワイヤガイドとワイヤソー4を位置決め案内するガイドローラを兼用するガイドローラ26と、ワイヤ電極3に通電して電流を供給するとともにワイヤ電極3をガイドローラ26に導く通電体22と、加圧された加工液を被加工物2の加工部位に供給する加工液噴流ノズル23と、を有する。
通電体22は、電流をワイヤ電極3に給電する。通電体22は、上側案内装置20と下側案内装置30にそれぞれ設けられる。通電体22は、ワイヤソーカッティング加工方法で加工するときに、図示しない移動装置によってワイヤソー4の軸方向の走行の障害にならない位置に退避する。また、通電体22は、自動結線装置40によってワイヤ電極3を結線するときには、ワイヤ電極3の通過の邪魔にならない位置に退避する。なお、通電体22の水平方向の位置を微調整することを可能にすることによって、ワイヤ電極3の位置の誤差の補正をするようにすることができる。
加工液噴流ノズル23は、ワイヤ電極3またはワイヤソー4を包囲するようにワイヤ電極3またはワイヤソー4に対して同軸に加工液噴流を供給する。加圧された加工液は、図5に示されるジェット供給装置80から上側案内装置20と下側案内装置30に供給される。したがって、ワイヤカットとワイヤソーカッティングで同一の加工液を同一の供給経路を通して供給することができる。
一対のガイドローラ26は、ワイヤカット行なうときにワイヤ電極1を位置決め案内するとともに、ワイヤソーカッティングを行なうときにはワイヤソー4を位置決め案内する。ガイドローラ26は、上側案内装置20と下側案内装置30にそれぞれ設けられる。ガイドローラ26は、V溝を有し、超硬合金のように耐磨耗性の高い材料でなる。
一対のガイドローラ26のうち、ワイヤ電極3とワイヤソー4の走行経路を挟んで通電体22側に設けられる一方のガイドローラ26Aは、図示しない移動機構によってワイヤ電極3およびワイヤソー4が張架される軸方向に対して垂直の方向に移動することができる。ガイドローラ26Aは、自動結線装置40によってワイヤ電極3を結線するときには、ワイヤ電極3の通過の邪魔にならない位置に退避する。
ワイヤソー4を用いてワイヤソーカッティングを行なうとき、一方のガイドローラ26Aは、ワイヤソー4を対向する他方のガイドローラ26Bに押し付けて、ガイドローラ26Bとともにワイヤソー4の移動するときの力で回転しながらワイヤソー4を位置決め案内する。ワイヤソー4の外径よりも十分に小さい直径のワイヤ電極3を使用する場合、一対のガイドローラ26どうしが突き当たったときに一対のガイドローラ26のそれぞれのV溝の間にワイヤ電極3の直径よりも大きい間隙が形成される。したがって、ワイヤ電極3は、固定されている他方のローラ26Bによってのみ位置決め案内される。
なお、図8に示される通電体22を単なる円筒形状のガイド体として、別に通電体を設けるようにすることができる。通電体22を円筒形状のガイド体に変形するとき、ワイヤ電極3とワイヤソー4は、共に一対のガイドローラ26のうちのガイドローラ26Bだけで案内されるから、移動するガイドローラ26Aが不要になる。その結果、上側案内装置20の構造をより簡単にすることができる。
図8に示される複合加工装置では、ワイヤ電極とワイヤソーを同じ上側案内装置と下側案内装置で位置決めさせて加工を行なうことができる。そのため、ワイヤ電極をワイヤソーに交換するだけで加工をすることができる。特に、図8に示される実施の形態の上側案内装置20は、ワイヤ電極3とワイヤソー4を同一のガイドローラ26で位置決め案内するので、構造がより簡単である。また、ワイヤソー4におけるガイドローラ26を被加工物により近い位置に設けることができる点で有効である。なお、下側案内装置30は、本質的に、上側案内装置20と同等の作用効果を有する。
本発明は、実施の形態に限定されず、すでにいくつかの例が示されているように、本発明の技術思想を逸脱しない範囲で変形することができる。例えば、テーブルを固定にしてコラムに取り付けられる加工ヘッドをX軸方向に移動する構造にすることができる。また、例えば、ワイヤ電極の供給機構におけるリールとワイヤソーの駆動リールを兼用するように、ワイヤ電極の案内機構の一部分をワイヤソーの案内機構と共有するようにすることができる。
本発明は、導電性の被加工物を任意の形状に切断する加工に適用される。特に、本発明は、高い加工面粗さが要求される加工において、加工時間を短縮して加工効率を向上させることができる。本発明は、金型の製造あるいは部品の製造における技術の進歩に貢献する。
1 複合加工装置
1A ベッド
1B コラム
1C サドル
1D テーブル
1E 加工ヘッド
1F 加工槽
1G 下アーム
1M,1N 移動体
2 被加工物
3 ワイヤ電極
4 ワイヤソー
10 ワークスタンド
20 上側案内装置
21 ワイヤガイド
22 通電体
23 加工液噴流ノズル
24 ガイドローラ
24A 駆動ローラ
24B ピンチローラ
24C 同期モータ
24D 移動機構
30 下側案内装置
40 自動結線装置
50 ワイヤソー供給装置
51 案内プーリ
52 方向転換ローラ
60 供給機構
70 回収機構
80 ジェット供給装置
90 駆動機構
91 駆動リール
92 ワイヤソーボビン
93 同期モータ

Claims (3)

  1. 導電性の被加工物を複数回の加工工程に分けて任意の加工形状に切断加工するときに、ワイヤ電極を上側案内装置と下側案内装置で位置決め案内させてワイヤカット放電加工方法によって荒加工工程を行ない、工具を前記ワイヤ電極からワイヤソーに交換して前記ワイヤソーを前記上側案内装置と前記下側案内装置で位置決め案内させてワイヤソーカッティング加工方法によって仕上げ加工工程を行なうことを特徴とするワイヤカット放電加工とワイヤソーカッティング加工との複合加工方法。
  2. コラムに取り付けら鉛直方向に往復移動する唯一の加工ヘッドと、前記コラムに一端が固定される下アームと、前記加工ヘッドの下位部位に設けられワイヤ電極とワイヤソーを選択的に位置決めして案内する上側案内装置と、前記下アームの他端に設けられ前記ワイヤ電極と前記ワイヤソーを選択的に位置決めして案内する下側案内装置と、前記上側案内装置と前記下側案内装置にそれぞれ設けられ前記ワイヤ電極に電流を供給しワイヤソーカッティング加工方法で加工するときに前記ワイヤソーの軸方向の走行の障害にならない位置に退避する通電体と、ワイヤカット放電加工方法で加工するときに前記ワイヤ電極の走行の障害にならない位置に配設され前記ワイヤソーを往復移動させるかまたは一方向に送り出す駆動機構と、備えた請求項1に記載される複合加工方法を実施するための複合加工装置。
  3. 前記上側案内装置と前記下側案内装置にそれぞれ設けられ前記ワイヤ電極を位置決め案内しワイヤソーカッティング加工方法で加工するときにワイヤソーの軸方向の走行の障害にならない位置に退避するワイヤガイドを含んでなる請求項3に記載の複合加工装置。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN109773293A (zh) * 2019-03-30 2019-05-21 华侨大学 电火花线切割-金刚石线锯复合加工装置
JP7104865B1 (ja) * 2021-10-29 2022-07-21 株式会社ソディック ワイヤ放電加工装置及びワイヤ放電加工方法

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