(第1実施形態)
本発明の第1実施形態に係る装置の遮音構造及び画像形成装置の一例について説明する。
(全体構成)
図1には、第1実施形態の画像形成装置10が示されている。画像形成装置10は、下側から上方へ向けて順に、記録媒体の一例としての記録用紙P(図2参照)を収納する収納部の一例としての用紙収納部12と、記録用紙Pに画像を形成する画像形成部14と、原稿G(図2参照)の画像情報を読み取る原稿読取部16とを有している。そして、画像形成された記録用紙Pは、画像形成部14の上部に設けられた排出部18に排出されるようになっている。
図2に示すように、原稿読取部16には、一枚の原稿Gが載せられるプラテンガラス22と、プラテンガラス22に載せられた原稿Gに光を照射する光照射部24が設けられている。また、原稿読取部16には、光照射部24によって照射され原稿Gから反射された反射光をプラテンガラス22と平行な方向に反射させるフルレートミラー26と、フルレートミラー26によって反射した反射光を下方へ反射させるハーフレートミラー28と、ハーフレートミラー28によって反射した反射光をプラテンガラス22と平行な方向に反射させて折り返すハーフレートミラー32と、ハーフレートミラー32によって折り返された反射光が入射される結像レンズ34と、により構成される光学系が設けられている。
さらに、原稿読取部16には、結像レンズ34によって結像された反射光を電気信号に変換する光電変換素子36と、光電変換素子36によって変換された電気信号を画像処理する画像処理装置38とが設けられている。そして、光照射部24、フルレートミラー26、ハーフレートミラー28及びハーフレートミラー32は、プラテンガラス22に沿って移動可能となっている。
プラテンガラス22に載せられた原稿Gを読み取るときには、光照射部24、フルレートミラー26、ハーフレートミラー28及びハーフレートミラー32を移動させながら、光照射部24がプラテンガラス22に載せられた原稿Gに光を照射し、原稿Gから反射された反射光が光電変換素子36へ結像するようになっている。
なお、原稿読取部16に原稿搬送装置を設けて、原稿Gを自動で搬送するようにしてもよい。この場合、光照射部24、フルレートミラー26、ハーフレートミラー28及びハーフレートミラー32を決められた位置に停止させる。そして、原稿搬送装置によって搬送された原稿Gに光照射部24が光を照射し、原稿Gから反射された反射光が光電変換素子36へ結像することで、読み取りが行われる。
一方、画像形成装置10は、装置本体の一例としての筐体11を有している。なお、本実施形態では一例として、筐体11は、用紙収納部12の本体を構成する筐体11Aと、画像形成部14の本体を構成する筐体11Bとで構成されている。
画像形成部14の筐体11Bの上方向(矢印Z方向)中央部には、互いに異なった色のトナー画像を形成するとともに、水平方向(矢印X方向)に対して傾斜した状態に並んで配置された複数個の画像形成ユニット40が設けられている。さらに、画像形成ユニット40の上側には、回転駆動される駆動ロール44、張力を付与する張力付与ロール46、従動回転する支持ロール48、第1のアイドラロール52、及び第2のアイドラロール54に巻き掛けられた無端状の中間転写ベルト42が設けられている。そして、中間転写ベルト42が図中矢印A方向に循環移動することにより、各色の画像形成ユニット40で形成されたトナー画像が中間転写ベルト42に一次転写されるようになっている。なお、以後の説明では、画像形成装置10を正面視して、右方向をX方向、上方向をZ方向、X方向及びZ方向と直交する奥行き方向をY方向と記載する。
図3に示すように、画像形成装置10には、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の4色に対応する画像形成ユニット40Y、40M、40C、40Kが、中間転写ベルト42の移動方向(矢印A方向)下流側へ向けてこの順番で設けられている。画像形成ユニット40Y、40M、40C、40Kは、画像形成ユニット40Yが最も高い位置、画像形成ユニット40Kが最も低い位置に設けられており、矢印X方向に対して斜めに傾斜した状態で一定の間隔を隔てて並べられている。また、画像形成ユニット40Y、40M、40C、40Kは、収容されるトナーを除いて同様の構成とされている。なお、以下の説明では、各色を区別する場合には符号に各色に対応する英字(Y、M、C、K)を付加し、特に区別しない場合には各色に対応する英字を省略する。
画像形成ユニット40には、図示しない駆動手段によって矢印D方向(図示の反時計回り方向)に回転する感光体62が設けられており、感光体62の表面(外周面)と対向して、感光体62の表面を帯電する帯電部材64が設けられている。また、画像形成ユニット40の下方には、複数個の画像形成ユニット40に沿うように傾斜配置された露光ユニット70が設けられている。
露光ユニット70は、4本の感光体62にそれぞれレーザ光LY、LM、LC、LKを照射(露光)して、感光体62上に静電潜像を形成するようになっている。詳細には、露光ユニット70は、画像形成装置10の決められた位置に固定される本体70Aを有しており、本体70Aには、イエロー色用のレーザ光LY、マゼンタ色用のレーザ光LM、シアン色用のレーザ光LC、ブラック色用のレーザ光LKを出射する光源(図示省略)が設けられている。
また、露光ユニット70には、複数の反射面を備え、光源から出射したレーザ光を回転しながら反射して感光体62上の主走査方向に走査させるポリゴンミラー72が設けられている。そして、レーザ光の光路上でポリゴンミラー72よりも下流側には、ポリゴンミラー72で反射された4本のレーザ光LY、LM、LC、LKが入射する第1fθレンズ73と第2fθレンズ74とが設けられている。光路上で第2fθレンズ74よりも下流側には、4本のレーザ光LY、LM、LC、LKを夫々入射した方向に対して直交する方向に向けて反射する平面ミラー75が設けられている。
さらに、光路上で平面ミラー75よりも下流側には、レーザ光LY、LMを反射する平面ミラー76と、レーザ光LY、LMが反射した方向に対して反対方向にレーザ光LC、LKを反射する平面ミラー77とが設けられている。平面ミラー76、77の光路下流側には、レーザ光LM、LCを折り返すように反射させる平面ミラー78A、78Bと、各レーザ光LY、LM、LC、LKを各感光体62に向けて反射して結像させる4つのシリンドリカルミラー79と、が設けられている。
一方、感光体62の回転方向で帯電部材64よりも下流側には、感光体62の表面に形成された静電潜像を決められた色のトナーで現像して可視化させる現像器66(66Y、66M、66C、66K)が設けられている。また、感光体62の回転方向で現像器66よりも下流側であり且つ中間転写ベルト42を挟んで感光体62の反対側には、感光体62の表面に形成されたトナー画像を中間転写ベルト42に転写する一次転写ロール56が設けられている。
さらに、感光体62の回転方向で一次転写ロール56よりも下流側には、中間転写ベルト42に転写されずに感光体62の表面に残留した残留トナー等を清掃するクリーニングユニット68が設けられている。ここで、画像形成ユニット40は、感光体62と、帯電部材64と、現像器66と、クリーニングユニット68とを含んで構成されている。なお、画像形成ユニット40及び露光ユニット70に隣接する位置(図示の右端部)には、電子回路基板及び電子部品を含んで構成され、画像形成装置10の各部の動作を制御する制御部20が設けられている。
一方、中間転写ベルト42の上方には、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色の現像器66に決められた色のトナーを供給するトナーカートリッジ69Y、69M、69C、69Kが設けられている。そして、黒(K)色のトナーを収容したトナーカートリッジ69Kは、使用頻度が高いため、他色のトナーカートリッジと比較して大きくされている。
また、中間転写ベルト42を挟んで駆動ロール44の反対側には、中間転写ベルト42の表面を清掃するクリーニング装置45が設けられている。クリーニング装置45は、筐体11Bの前側(ユーザが立つ正面側)に設けられたフロントカバー15(図1参照)を手前側に開放することで、筐体11Bに脱着自在とされている。
さらに、中間転写ベルト42を挟んで支持ロール48の反対側には、中間転写ベルト42上に一次転写されたトナー画像を支持ロール48との電位差で、記録媒体としての記録用紙Pに二次転写させる二次転写ロール49が設けられている。そして、二次転写ロール49と支持ロール48との間が、記録用紙Pへトナー画像を転写する二次転写位置とされている。また、二次転写ロール49の上方には、二次転写ロール49によってトナー画像が転写された記録用紙Pにトナー画像を定着させる定着装置80が設けられている。
定着装置80は、記録用紙P上のトナーを加熱溶融させる熱源を有する加熱ロール80Aと、加熱ロール80Aの外周面へ向けて記録用紙Pを押し付ける(加圧する)加圧ロール80Bとを含んで構成されている。なお、画像形成装置10内の左側には、Z方向に沿って搬送経路82が設けられており、記録用紙Pは、矢印Z方向へ向けて搬送経路82に沿って搬送されるようになっている。
一方、図2に示すように、用紙収納部12には、サイズの異なる記録用紙Pが収納される給紙部84、85、86が矢印Z方向に3段で設けられている。また、画像形成部14の下部には、記録用紙Pが収納される給紙部87が設けられている。各給紙部84、85、86、87には、収容された記録用紙Pを搬送経路82に送り出す給紙ロール88が設けられており、給紙ロール88よりも搬送方向の下流側には、記録用紙Pを一枚ずつ搬送する搬送ロール90及び搬送ロール92が設けられている。そして、搬送経路82における記録用紙Pの搬送方向で搬送ロール92よりも下流側には、記録用紙Pを一端停止させると共に決められたタイミングで二次転写位置へ送り出す位置合わせロール94が設けられている。
記録用紙Pの搬送方向で定着装置80よりも下流側(図示の上側)には、トナー画像が定着された記録用紙Pを下流側へ搬送する搬送ロール96が設けられている。さらに、記録用紙Pの搬送方向で搬送ロール96よりも下流側には、揺動して記録用紙Pの搬送方向を切り替える切替ゲート98が設けられている。
また、搬送経路82における記録用紙Pの搬送方向で切替ゲート98よりも下流側には、一の方向に切り替えられた切替ゲート98によって案内される記録用紙Pを排出部18に排出させる第1排出ロール102が設けられている。さらに、搬送経路82における記録用紙Pの搬送方向で切替ゲート98よりも下流側には、他の方向に切り替えられた切替ゲート98によって案内されると共に搬送ロール104により搬送される記録用紙Pを、排出部18の上方に設けられる排出部(図示省略)に排出させる第2排出ロール106と、記録用紙Pを第2排出ロール106とは逆側の排出部110に排出させる第3排出ロール108とが設けられている。
一方、二次転写位置の側方(図示の左側)には、記録用紙Pの両面に画像を形成させるために記録用紙Pを反転させて搬送する両面用搬送ユニット112が設けられている。両面用搬送ユニット112には、搬送ロール104を逆回転させることで記録用紙Pが送り込まれる反転経路114が設けられている。さらに、両面用搬送ユニット112には、反転経路114に沿って複数の搬送ロール116が設けられており、記録用紙Pは、これらの搬送ロール116によって表裏が反転された状態で、位置合わせロール94に再度搬送される構成となっている。
また、両面用搬送ユニット112の隣り(図示の左側)には、折り畳み式の手差給紙部118が設けられている。そして、筐体11B内で手差給紙部118から記録用紙Pが給紙される部位には、記録用紙Pを搬送経路82へ向けて搬送する給紙ロール122及び搬送ロール124、126が設けられており、搬送ロール124、126で搬送された記録用紙Pは、位置合わせロール94に搬送されるようになっている。
次に、画像形成装置10における画像形成工程について説明する。
図2に示すように、画像形成装置10が作動すると、画像処理装置38又は外部から、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色の画像データが露光ユニット70に順次出力される。続いて、露光ユニット70から画像データに応じて出射された各レーザ光Lは、帯電部材64(図3参照)により帯電された対応する感光体62の表面(外周面)を露光し、感光体62の表面に静電潜像が形成される。そして、感光体62の表面に形成された静電潜像は、現像器66Y、66M、66C、66K(図3参照)によって、それぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色のトナー画像として現像される。
続いて、感光体62の表面に順次形成されたイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色のトナー画像は、中間転写ベルト42上に一次転写ロール56によって順次多重転写される。そして、中間転写ベルト42上に多重転写された各色のトナー画像は、二次転写位置へ搬送されてきた記録用紙P上に二次転写ロール49によって二次転写される。
続いて、トナー画像が転写された記録用紙Pは、定着装置80に向けて搬送され、定着装置80では、記録用紙P上の各色のトナー画像が加熱、加圧されることで記録用紙Pに定着される。そして、トナー画像が定着された記録用紙Pは、一例として、排出部18に排出される。なお、画像が形成されていない非画像面に画像を形成する場合(両面印刷の場合)は、定着装置80で表面に画像定着を行った後、記録用紙Pを反転経路114に送り込んで裏面の画像形成及び定着を行う。
(要部構成)
次に、第1実施形態の装置の遮音構造の一例について説明する。
図4には、用紙収納部12の内部構成が示されている。用紙収納部12内には、装置の遮音構造の一例としての遮音構造130が設けられている。また、用紙収納部12には、底板19が設けられている。なお、図4では、筐体11A(図2参照)の側壁となる左カバー部材13A(図6参照)、右カバー部材13B(図1参照)、及び後カバー部材13C(図6参照)と、上面が開放された箱状である既述の給紙部84、85、86(図2参照)とを取り外した状態が示されている。
遮音構造130は、筐体11A(図2参照)の内部に設けられ動作に伴って音を出す動作部140と、筐体11Aの内部でY方向において動作部140よりも外側に設けられ、画像形成ユニット40等(図2参照)に電力を供給する電源部150(図5参照)と、筐体11Aの内部に設けられ動作部140と電源部150とを仕切る樹脂製のダクト160と、を含んで構成されている。
動作部140は、Y方向を軸方向として回転可能に設けられた既述の給紙ロール88及び搬送ロール90と、給紙ロール88及び搬送ロール90を回転させるモータ及びギヤ(図示省略)を有する駆動ユニット142と、を含んで構成されている。なお、動作部140の動作音(駆動音)とは、モータ及びギヤの駆動により発生する音だけでなく、給紙ロール88及び搬送ロール90が記録用紙P(図2参照)を搬送するときに発生する摩擦による摺動音も含んでいる。
図10(A)に示すように、電源部150は、抵抗、コンデンサ、レギュレータ、パワートランジスタ等(図示省略)が実装された基板152を有している。基板152は、X−Z面に沿って直立配置されており、発熱量の多いレギュレータやパワートランジスタ等を含む複数の発熱部品154が、基板152の動作部140側の面に配置されている。
また、電源部150は、動作部140側に発熱部品154の熱を集める集熱部の一例としての集熱板156が配置されている。集熱板156は、X−Z面に沿って直立配置された直立部156Aと、直立部156Aの上端でY方向へ折り曲げられた折曲部156Bと、直立部156Aの下端でY方向へ折り曲げられた折曲部156Cとで構成されている。そして、直立部156A及び折曲部156Bは、ダクト160の一部の面(動作部140側とは反対側の面)を構成している。
図5に示すように、集熱板156は、筐体11Aの内部のブラケット(図示省略)にネジ158で固定されている。また、図10(A)に示すように、集熱板156には、Y方向を軸方向とする複数の円柱状のボス162の一端が取り付けられており、ボス162の他端には、基板152が取り付けられている。そして、発熱部品154と集熱板156との間には、発熱部品154の熱を集熱板156へ伝導させるための金属製の熱伝導板164が、発熱部品154及び集熱板156と接触して設けられている。なお、熱伝導板164を用いずに、発熱部品154を直接、集熱板156へ接触させてもよい。
また、集熱板156のダクト160側には、集熱板156の表面積を増加させる放熱部の一例としてのヒートシンク165が接触して設けられている。図7に示すように、ヒートシンク165は、Y−Z面に沿って直立した板状の放熱フィン165AがX方向に間隔をあけて複数配置された構成となっている。また、ヒートシンク165は、複数の放熱フィン165Aが直立する基台である板状の取付部165Bが、集熱板156に接着又はネジ(図示省略)により取り付けられている。
図6に示すように、後カバー部材13Cの中央上部には、X方向に長い複数の長孔で構成された開口部の一例としての排気口166が形成されている。そして、排気口166(後カバー部材13Cの裏面側)を覆うようにして、排気口166の周縁部にダクト160の一端部が取り付けられて(接続されて)いる。
図7に示すように、ダクト160は、一例として、気体(空気)が流れる方向と交差する三方向を囲むダクトカバー161と、残りの一方向を塞ぐ既述の集熱板156とによって形成されており、X−Y断面及びX−Z断面が矩形状となっている。
ダクトカバー161は、一例として、Z方向へ向けて下から順に、吸気部161A、絞り部161B、及び直立部161Cが形成されており、さらに、直立部161Cの上端に連続してY方向へ突出した排気部161Dが形成されている。加えて、ダクトカバー161は、X方向の両側面からそれぞれ外側へ向けてフランジ161Gが突出しており、フランジ161Gを集熱板156にネジ(図示省略)で締結することにより、集熱板156に対して固定されている。
吸気部161Aは、下側に矩形状の開口部161Eが形成されている。また、吸気部161A内の中央には、吸気手段の一例としての吸気ファン172が、Z方向へ吸気可能となるように取り付けられている。吸気ファン172は、制御部20(図2参照)からの指令で電源(図示省略)から電力供給(通電)されることにより、回転してダクト160内へ吸気を行うようになっている。
絞り部161Bは、Z方向へ向けて徐々に流路断面積が減少する部位となっている。そして、本実施形態では一例として、絞り部161B内及び直立部161C内に既述のヒートシンク165が配置されている。また、排気部161Dは、直立部161Cとほぼ同じ流路断面積となっており、Y方向の端部に矩形状の開口部161Fが形成されている。
一方、図8に示すように、筐体11A内には、排気口166の周縁部とダクト160との隙間を塞ぐ閉塞部材の一例としてのシール部材174が設けられている。シール部材174は、一例として、発泡ウレタンで構成されており、予めダクトカバー161の排気部161Dの端部及び集熱板156の折曲部156Bの端部(いずれも、後カバー部材13C側の端部)に接着されている。そして、シール部材174は、後カバー部材13Cが取り付けられることにより、ダクトカバー161及び集熱板156と排気口166の周縁部とで挟まれ、隙間を塞ぐようになっている。
このように、ダクト160は、筐体11Aの内部で空気を取り込むと共に排気口166から筐体11Aの外部へ空気を排気する構成であり、且つ筐体11Aの上下方向で下方から空気を取り込み上方から排気する構成となっている。
次に、装置の遮音構造が設けられていない比較例における音漏れについて説明する。なお、本発明の第1実施形態の画像形成装置10と基本的に同一の材料、部材については、前記第1実施形態と同一の符号を付与してその説明を省略する。
図11(B)に示すように、比較例の用紙収納部250は、筐体252を有している。筐体252の一端部上面には、排気口254が形成されている。また、筐体252の内部には、複数の駆動ユニット142と、電源ユニット256と、吸気ファン172とが設けられている。
電源ユニット256は、直方体状のケース部材258を有しており、ケース部材258の内部には、基板152及び発熱部品154が設けられている。また、ケース部材258の底面には、複数のスリットで構成された流入口262が形成されており、ケース部材258の上面には、複数のスリットで構成された流出口264が形成されている。そして、ケース部材258は、筐体252の平面視で排気口254と流出口264が重なるように配置されている。さらに、筐体252の内部で流入口262と対向する位置に、吸気ファン172が配置されている。
ここで、比較例の用紙収納部250では、吸気ファン172の回転によって流入口262からケース部材258の内部へ空気FA(図示の実線の矢印)が流入する。そして、流入した空気FAは、発熱部品154から熱を奪いながら流出口264から流出し、そのまま排気口254から排気される。これにより、発熱部品154の冷却が行われる。
しかし、比較例の用紙収納部250では、駆動ユニット142が駆動されて駆動音S(図示の破線の矢印)が発生したとき、電源ユニット256によって駆動音Sの伝播が抑制されることがないので、駆動音Sは排気口254から用紙収納部250の外部へ漏れることになり、騒音として認識されることになる。
(作用)
次に、第1実施形態の作用について説明する。
図9において矢印FLで示すように、遮音構造130では、吸気ファン172が回転することにより、開口部161Eを通ってダクト160の吸気部161A内への吸気が行われる。なお、用紙収納部12内は、複数の駆動部材及び制御基板が設けられている画像形成部14内(図2参照)に比べて温度が低いため、筐体11の内部で吸気を行っても所要の冷却性能が得られる。
続いて、吸気部161A内へ流入した空気は、絞り部161B内で流れが加速されながら直立部161C内を流れ、ヒートシンク165及び集熱板156から熱を奪う。そして、直立部161C内の空気は、排気部161D内を流れ、開口部161Fから排気口166(図8参照)を通って、筐体11の外部(画像形成装置10(図1参照)の外部)へ排気される。
ここで、遮音構造130(ダクト160)による電源部150の冷却作用について説明する。
図10(A)において矢印Qで示すように、電源部150において発熱部品154が発熱したとき、発熱部品154の熱は、熱伝導板164を介して集熱板156へ移動し、ヒートシンク165へ移動する。そして、放熱フィン165Aの周囲に空気FLが流れることにより、ヒートシンク165の熱が空気FLに奪われ、ヒートシンク165が冷却される。このように、ヒートシンク165が冷却されることで、ヒートシンク165と接触している集熱板156が冷却され、さらに発熱部品154が冷却されるので、電源部150が冷却される。
なお、遮音構造130では、複数の発熱部品154の熱を集めた集熱板156を冷却するため、複数の発熱部品154を1つの空気の流れで個別に冷却する場合に比べると、必要となる空気流量は少なくて済む。さらに、ヒートシンク165が設けられていることにより、放熱する部位の空気FLとの接触面積が増加しているので、ヒートシンク165を有していない構成に比べて、冷却に必要となる空気流量が低減される。これにより、吸気ファン172(図7参照)に必要な送風能力が低くて済み、吸気ファン172の動作により生じる音(冷却に起因して生じる音)が低減される。
また、ダクト160では、下方から空気を取り込み上方へ排気する構成となっているので、煙突効果(詳細は後述する)により、下方から上方へ向かう空気の流れが形成される。これにより、集熱板156の冷却効果が高められる。
遮音構造130の変形例として、図10(B)に示すように、電源部150にヒートシンク165(図10(A)参照)が無く、さらに吸気ファン172(図7参照)が設けられていない構成であっても、電源部150の冷却は可能である。これは、ダクト160がZ方向(上下方向)に延びており、煙突効果(チムニー効果)が得られることによる。
煙突効果とは、異なる温度の流体(本実施形態では空気)があった場合、温度が高く密度の低いものほど上昇し、温度が低く密度が高いものほど下降する性質があるため、両端が開放されている煙突状の空間内部で流体が暖められて上昇していくとき、下部には負圧が働いて流体が流入する効果である。このように、煙突効果によって、ダクト160内に空気FLの流れが生じるため、集熱板156及び発熱部品154が冷却される。
次に、遮音構造130の遮音作用について説明する。
図11(A)に示すように、第1実施形態の遮音構造130では、駆動ユニット142が駆動されて駆動音S(図示の破線の矢印)が発生したとき、駆動ユニット142と排気口166との間にダクト160が存在しており、且つ排気口166がダクト160で覆われているため、駆動音Sは、ダクト160により伝播が抑制される。これにより、第1実施形態の遮音構造130は、比較例の用紙収納部250(図11(B)参照)に比べて、筐体11A内部の駆動音S(騒音)が外部へ漏れることが抑制される。
さらに、図8に示すように、遮音構造130では、ダクト160と後カバー部材13Cとの隙間をシール部材174が塞いでいる。このため、駆動音S(図11(A)参照)が、この隙間及び排気口166を通って外部へ漏れることが抑制される。
なお、図9に示すように、遮音構造130では、集熱板156がダクト160の一部の面を構成しており、ダクト160内部の空気の流れにより直接、集熱板156が冷却されるので、集熱板156とダクト160を別体として設ける構成に比べて、集熱板156の冷却に必要となる空気流量が低減される。これにより、吸気ファン172(図7参照)に必要な送風能力が低くて済み、吸気ファン172の動作により生じる音(冷却に起因して生じる音)が低減される。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態に係る装置の遮音構造及び画像形成装置の一例について説明する。なお、前述した第1実施形態の画像形成装置10及び遮音構造130と基本的に同一の材料、部材(一部の形状の違いも同一に含める)については、前記第1実施形態と同一の符号を付与してその説明を省略する。
図12には、第2実施形態の用紙収納部180の内部構成の一部が示されている。図12では、筐体11Aの側壁となる左カバー部材13A(図6参照)、右カバー部材13B(図1参照)、及び後カバー部材13C(図6参照)と、上面が開放された箱状である既述の給紙部84、85、86とを取り外した状態が示されている。
用紙収納部180は、画像形成装置10(図2参照)において、用紙収納部12(図2参照)に換えて設けられるものであり、筐体11Aを有している。用紙収納部180内には、装置の遮音構造の一例としての遮音構造190が設けられている。また、用紙収納部180には、底板19が設けられている。
図13に示すように、遮音構造190は、筐体11Aの内部に設けられ動作に伴って音を出す動作部140と、筐体11Aの内部でY方向において動作部140よりも外側に設けられた電源部150と、筐体11Aの内部に設けられ動作部140と電源部150とを仕切る樹脂製のダクト200と、を含んで構成されている。そして、電源部150における集熱板156の直立部156A及び折曲部156Bは、ダクト200の一部の面(動作部140側とは反対側の面)を構成している。
図14(B)に示すように、集熱板156のダクト200側には、集熱板156の表面積を増加させるヒートシンク165が接触して設けられている。なお、図14(B)では、ダクト200の後述する第2ダクトカバー206(図14(A)参照)を取り外した状態が示されている。
一方、図13に示すように、画像形成装置10には、筐体11AのX方向側(右側)の側壁を構成する右カバー部材192が設けられている。右カバー部材192のY方向端部で且つZ方向の中央よりも下側の部位には、複数の円形の貫通孔で構成された吸気口194が形成されている。
また、図15に示すように、画像形成装置10には、筐体11AのY方向側(後側)の側壁を構成する後カバー部材195が設けられている。後カバー部材195のX方向中央上部には、複数の円形の貫通孔で構成された開口部の一例としての排気口196が形成されている。そして、排気口196を覆うようにして、排気口196の周縁部にダクト200の一端部が取り付けられて(接続されて)いる。なお、図15では、基板152(図13参照)の図示を省略している。
図12に示すように、ダクト200は、一例として、気体(空気)が流れる方向と交差する三方向を囲むダクトカバー202と、残りの一方向を塞ぐ既述の集熱板156とによって形成されており、X−Y断面及びX−Z断面が矩形状となっている。そして、ダクトカバー202は、Z方向の下側に設けられX方向に長い第1ダクトカバー204と、第1ダクトカバー204の上側に配置されZ方向に長い第2ダクトカバー206とを含んで構成されている。
図14(B)に示すように、第1ダクトカバー204は、集熱板156と共にヒートシンク165を囲むように配置され、底板19上に取り付けられている。また、第1ダクトカバー204のX方向の端部には、X方向に対して斜め上方へ延びる角筒状の吸気部205が形成されている。
吸気部205は、X方向に開口する開口部205AがX方向の端部に形成されており、吸気部205の内部には、既述の吸気ファン172(図9参照)が、開口部205Aから吸気可能となるように設けられている。また、吸気部205は、吸気口194(図13参照)を覆うようにして、吸気口194の周縁部に一端部が取り付けられて(接続されて)いる。なお、吸気口194の周縁部と吸気部205との隙間は、シール部材174(図8参照)で塞がれている。
図14(A)に示すように、第2ダクトカバー206は、Z方向へ向けて延びる直立部206Aと、直立部206Aの上端に連続してY方向へ突出した排気部206Bとが形成されている。加えて、第2ダクトカバー206は、X方向の両側面からそれぞれ外側へ向けてフランジ206Cが突出しており、フランジ206Cを集熱板156にネジ(図示省略)で締結することにより、集熱板156に対して固定されている。また、排気部206Bは、直立部206Aとほぼ同じ流路断面積となっており、Y方向の端部に矩形状の開口部206D(図13参照)が形成されている。
図15に示すように、筐体11A内には、排気口196の周縁部とダクト200との隙間を塞ぐシール部材174が設けられている。シール部材174は、後カバー部材195が取り付けられることにより、第2ダクトカバー206及び集熱板156と排気口196の周縁部とで挟まれ、隙間を塞ぐようになっている。
ここで、第1ダクトカバー204の上端には、第2ダクトカバー206の下端が接続されている。なお、本実施形態では一例として、第1ダクトカバー204の上端と第2ダクトカバー206の下端との接続部分にもシール部材174が設けられているが、この接続部分の隙間が音漏れや空気の漏れに影響しないと判断される場合は、シール部材174が設けられていなくてもよい。
このように、ダクト200は、吸気口194(図13参照)を介して筐体11Aの外部から空気を取り込むと共に、排気口196から筐体11Aの外部へ空気を排気する構成であり、且つ筐体11Aの上下方向(Z方向)で下方から空気を取り込み上方から排気する構成となっている。
(作用)
次に、第2実施形態の作用について説明する。
図14(A)及び図15に矢印FLで示すように、遮音構造190では、吸気部205内部の吸気ファン172(図9参照)が回転することにより、吸気口194(図13参照)及び開口部205Aを通って、画像形成装置10外部からダクト200内部への空気FLの吸気が行われる。
一方、図16に示すように、電源部150において発熱部品154が発熱したとき、発熱部品154の熱は集熱板156へ移動し、ヒートシンク165へ移動する。なお、図16は遮音構造190の模式図であり、空気の流れが分かるように吸気部205と排気部206Bをまとめて同じ側に図示している。
ここで、吸気部205内部を流れると共に第1ダクトカバー204の内側へ流入した空気FLは、ヒートシンク165からの放熱で温められた空気が上昇する既述の煙突効果により、第2ダクトカバー206の内側で上昇する。そして、放熱フィン165Aの周囲に空気FLが流れることにより、ヒートシンク165の熱が空気FLに奪われ、ヒートシンク165が冷却される。このように、ヒートシンク165が冷却されることで、ヒートシンク165と接触している集熱板156が冷却され、さらに発熱部品154が冷却されるので、電源部150が冷却される。なお、第2ダクトカバー206の内側を流れた空気は、排気部206Bを通って排気口196から筐体11Aの外部へ排気される。
次に、遮音構造190の遮音作用について説明する。
図16に示すように、第2実施形態の遮音構造190では、駆動ユニット142が駆動されて駆動音S(図示の破線の矢印)が発生したとき、駆動ユニット142と排気口196との間にダクト200が存在しており、且つ排気口196がダクト200で覆われているため、駆動音Sは、ダクト200により伝播が抑制される。これにより、第2実施形態の遮音構造190は、比較例の用紙収納部250(図11(B)参照)に比べて、筐体11A内部の駆動音S(騒音)が外部へ漏れることが抑制される。
また、遮音構造190では、ダクト200と右カバー部材13B(図13参照)との隙間(吸気口194側)、及びダクト200と後カバー部材13Cとの隙間(排気口196側)をシール部材174(図8参照)が塞いでいる。このため、駆動音Sが、吸気口194及び排気口196を通って外部へ漏れることが抑制される。
さらに、遮音構造190では、画像形成装置10の外部から吸気して、再び画像形成装置10の外部へ排気する構成となっている。このため、画像形成装置10の内部から吸気する場合に比べて、動作部140の駆動音Sが画像形成装置10の外部へ漏れることが抑制される。
なお、遮音構造190では、集熱板156がダクト200の一部の面を構成しており、ダクト200内部の空気の流れにより直接、集熱板156が冷却されるので、集熱板156とダクト200を別体として設ける構成に比べて、集熱板156の冷却に必要となる空気流量が低減される。これにより、吸気ファン172(図7参照)に必要な送風能力が低くて済み、吸気ファン172の動作により生じる音(冷却に起因して生じる音)が低減される。
また、遮音構造190では、吸気口194から排気口196までダクト200が繋がっているので、吸気した外部の空気に異物が混入している場合であっても、この異物はそのままダクト200を通って外部へ排出され、あるいはダクト200内部に残る。このため、筐体11A外部に存在する異物が電源部150へ入り込むことが抑制される。
以上説明したように、本実施形態の遮音構造130、190では、筐体11A内部に駆動音Sを発生させる動作部140を有する構成において、発熱部品154の冷却のために筐体11Aに外部と繋がる開口部(排気口166、196)を形成しても、ダクト160、200によって駆動音Sの伝播が抑制(遮音)されるため、開口部からの音漏れが抑制される。
なお、本発明は上記の実施形態に限定されない。
集熱板156がダクト160、200の一部を構成していなくてもよく、独立したダクトに集熱板156を接触させるように構成してもよい。そして、ダクト160、200は、樹脂製に限らず、金属製であってもよい。
また、遮音構造130、190は、画像形成部14に設けてもよい。
さらに、遮音構造130、190の適用は、画像形成装置10に限らず、駆動音Sを発生する動作部及び発熱部品を備えた電源部を有するものに適用が可能である。一例としては、ハードディスクや光学ドライブを搭載したテレビが挙げられる。
加えて、集熱電源である電源部150は重いため、組立性やメンテナンス時の交換の作業性を向上させることを目的として、ダクト160、200、及び吸気ファン172を本体側に残し、電源部150のみを取り外し自在に設けてもよい。