JP2013143505A - 磁気素子 - Google Patents

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博昭 森山
Shigeru Kobayashi
茂 小林
Akira Nakabayashi
亮 中林
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寿人 小柴
Takao Mizushima
隆夫 水嶋
Toshio Takahashi
利男 高橋
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Abstract

【課題】 特に、従来に比べて簡単な構造で良好なインダクタンス値及びQ値を得ることができる磁気素子を提供することを目的とする。
【解決手段】 コイルと、前記コイルの上面に形成された第1の磁性体層17と、前記コイルの下面に形成された第2の磁性体層30と、を有し、コイルは、X方向からY方向に角部を介して折れ曲がりながら矩形状に巻回形成された平面コイルであり、第1の磁性体層における第1の磁化容易軸方向e1と、第2の磁性体層における第2の磁化容易軸方向e2は、夫々、コイル外形の対角線方向に略一致しているとともに、第1の磁化容易軸方向e1及び前記第2の磁化容易軸方向e2は互いに略平行とされている。
【選択図】 図1

Description

本発明は、絶縁基材の表裏面にコイルと磁性体層とを備える磁気素子に関する。
下記特許文献1には、平面インダクタ等として用いられる薄膜磁気素子に関する発明が開示されている。
特許文献1には、スパイラル平面コイルの両面を、絶縁体層、第1層の磁性体層、絶縁体層及び第2層の磁性体層で順次挟んだ構造が開示されている(特許文献1の図33や図35)。
そして、第1層の磁性体層における一軸磁気異方性の方向と第2層の磁性体層における一軸磁気異方性の方向とを互いに直交させている。
また特許文献2や特許文献3には、磁気素子を構成する磁性体層を複数層、積層し、各磁性体層の磁化容易軸方向を異なる方向とした形態が開示されている。特許文献2や特許文献3では、磁性体層の磁化容易軸方向が斜めに傾いている。ただし磁化容易軸方向とコイルとの関係については定かでない。
特許文献3では良好なインダクタンス値とQ値が得られるとしているが、コイル導体層の両面に複数の磁性体層を積層する構成となっており、薄型化ができないとともに製造コストが増大する問題があった。
特開平4−363006号公報 特開平6−45145号公報 特開平10−223438号公報
上記特許文献2や特許文献3のように、異なる磁化容易軸を有する磁性体層を同じ薄膜形成プロセスで積層し成膜するためには磁場中成膜等の技術を用いて、付与する磁界の方向を異なる磁性体層ごとに変更して成膜することとなるが、最初に成膜した磁性体層の磁化容易軸の方向が、その上の磁性体層を成膜する時に変化したりすることが考えられ、磁化容易軸の制御が困難であり、製造コストの増大を招く恐れがあった。
そこで本発明は、上記の従来課題を解決するためのものであり、特に、従来に比べて簡単な構造で良好なインダクタンス値及びQ値を得ることができる磁気素子を提供することを目的とする。
本発明における磁気素子は、
コイルと、前記コイルの上面に形成された第1の磁性体層と、前記コイルの下面に形成された第2の磁性体層と、を有し、
前記コイルは、平面視にて第1の方向から前記第1の方向に対して直交する第2の方向に角部を介して折れ曲がりながら矩形状に巻回形成された平面コイルであり、
前記第1の磁性体層における第1の磁化容易軸方向と、前記第2の磁性体層における第2の磁化容易軸方向は、夫々、コイル外形の異なる2つの前記角部間を直線状に引いた対角線方向に略一致しているとともに、前記第1の磁化容易軸方向及び前記第2の磁化容易軸方向は互いに略平行とされていることを特徴とするものである。このように本発明ではコイルの両面に配置する磁性体層を一層ずつで構成でき、磁気素子の薄型化を図ることができ且つ製造コストの低減を図ることができるとともに、良好なインダクタンス及びQ値を得ることができる。特に後述する実験によれば、第1の磁化容易軸方向及び第2の磁化容易軸方向をコイルの巻回方向である第1の方向あるいは第2の方向に向けた場合や、第1の磁化容易軸方向を、コイル外形の一方の対角線方向に向け、第2の磁化容易軸方向を、コイル外形の他方の対角線方向に向けた場合(第1の磁化容易軸方向と前記第2の磁化容易軸方向とが非平行)に比べて、Q値を効果的に向上させることができるとわかった。
また本発明では、前記コイルの外形形状は略正方形であり、前記第1の磁化容易軸方向及び前記第2の磁化容易軸方向は、前記第1の方向及び前記第2の方向から略45°傾いた方向であることが好ましい。これにより、より効果的に、良好なインダクタンス及びQ値を得ることができる。
また本発明では、前記第1の磁性体層及び前記第2の磁性体層の平面は矩形状で形成されることが好ましい。これにより第1の磁性体層及び第2の磁性体層を無駄なく容易に形成でき、製造コストの低減を図ることができる。
また本発明では、絶縁基材と、前記絶縁基材の上面に形成された第1のコイルと、前記絶縁基材の下面に形成され前記第1のコイルと電気的に接続された第2のコイルと、前記第1のコイルの上面に形成された前記第1の磁性体層と、前記第2のコイルの下面に形成された前記第2の磁性体層とを有し、
前記第1のコイルと前記第2のコイルは、夫々、前記矩形状に巻回形成された前記平面コイルであり、
前記第1の磁化容易軸方向と前記第2の磁化容易軸方向は夫々、前記第1のコイル及び前記第2のコイルの外形の前記対角線方向に略一致しているとともに、前記第1の磁化容易軸方向及び前記第2の磁化容易軸方向は互いに略平行とされていることが好ましい。このように絶縁基材の両面にコイルを設けたことで高いインダクタンスを得ることができる。また各コイルから取出電極層を簡単な構造で外側に引き出すことが出来る。
本発明の磁気素子によれば、薄型化を図ることができ且つ製造コストの低減を図ることができるとともに、良好なインダクタンス及びQ値を得ることができる。
図1(a)は、本実施形態における薄型インダクタの平面図であり、特に第1のコイルを点線で示すとともに第1の磁化容易軸方向e1を矢印で示した。また図1(b)は、図1(a)に示すA−A線から切断し矢印方向から見た本実施形態における薄型インダクタの縦断面図である。また、図1(c)は、絶縁基材下に設けられる第2のコイル及び第2の磁性体層との平面図であり(取出電極部も図面に示した)、さらに第2の磁化容易軸方向e2を矢印で示した。 図2は、比較例の薄型インダクタの平面図である。 図3は、図2とは別の比較例における薄型インダクタの平面図である。 図4は、実施例、及び比較例におけるインダクタンスLsとQ値との関係を示すグラフである。
図1(a)は、本実施形態における薄型インダクタの平面図であり、特に第1のコイルを点線で示すとともに第1の磁化容易軸方向e1を矢印で示した。また図1(b)は、図1(a)に示すA−A線から切断し矢印方向から見た本実施形態における薄型インダクタの縦断面図である。また、図1(c)は、絶縁基材下に設けられる第2のコイル及び第2の磁性体層との平面図であり(取出電極部も図面に示した)、さらに第2の磁化容易軸方向e2を矢印で示した。
図1(b)に示すように薄型インダクタ(磁気素子)10は、絶縁基材11と、第1のコイル12と、第2のコイル13と、導通層14と、第1の取出電極層15と、第2の取出電極層16と、第1の磁性体層(第1の磁性シート)17と,第2の磁性体層(第2の磁性シート)30と、を有して構成される。
絶縁基材11の材質は特に限定しないが、例えば、ガラスエポキシ基板を用いることができる。
図1(b)に示すように、第1のコイル12は、絶縁基材11の上面11aに形成される。また図1(b)に示すように第2のコイル13は、絶縁基材11の下面11bに形成される。
図1(a)(c)に示すように、第1のコイル12及び第2のコイル13は夫々、内側の巻き始端12a、13aからX1−X2方向(第1の方向)及びX1−x2方向に対して直交するY1−Y2方向(第2の方向)に角部を介して直角に折れ曲がりながら巻回された平面コイルである。なお角部が直角形状でなく、例えば湾曲した形状であってもよい。その場合は曲面中心を角部とみなす。
図1(b)に示すように絶縁基材11の略中央には、上面11aから下面11bにかけて貫通するスルーホール11cが形成されている。図1(b)に示すようにスルーホール11c内には導通層14が設けられている。そして導通層14と第1のコイル12の巻き始端12aとが電気的に接続され、導通層14と第2のコイル13の巻き始端13aとが電気的に接続されている。
図1(b)に示すように、絶縁基材11の第1の側面(X1側面)11d側に第1の取出電極層15が形成されている。また図1(b)に示すように、絶縁基材11の第2の側面(X2側側面)11e側に第2の取出電極層16が形成されている。
図1(b)に示すように第1の取出電極層15は、絶縁基材11の第1の側面11dに形成された第1の側面部15aと、第1の側面部15aから絶縁基材11の上面11aに延出し、第1のコイル12の巻き終端12bに接続される第1の上面部15bと、第1の側面部15aから絶縁基材11の下面11bに延出する第1の下面部15cとを有して構成される。
図1(b)に示すように第2の取出電極層16は、絶縁基材11の第2の側面11eに形成された第2の側面部16aと、第2の側面部16aから絶縁基材11の上面11aに延出する第2の上面部16bと、第2の側面部16aから絶縁基材11の下面11bに延出し、第2のコイル13の巻き終端13bに接続される第2の下面部16cとを有して構成される。
例えば、第1のコイル12及び第2のコイル13は夫々、箔体(銅箔)とめっき層(銅めっき等)との積層構造で形成される。
図1(b)に示す第1の取出電極層15及び第2の取出電極層16は箔体及びめっき層を有して構成される内層18と、表面層19とを有して構成される。表面層19はめっき層で形成され例えば銅めっきで構成される。また第1の取出電極層15及び第2の取出電極層16の最表面にはNi/Au、Ni/Sn層、Ni/はんだ層、Ni/Ag層(いずれもNiが下地)等で形成された薄いはんだランド23が形成されることが好適である。なお、はんだ層はSn-Cu、Sn−Bi、Sn−Ag、Sn−Zn系の合金はんだめっき層が好ましく用いられる。
また図1(b)に示すように、第1のコイル12の上面には絶縁層(接着層)31を介して第1の磁性体層17が配置されている。また、図1(b)に示すように、第2のコイル13の下面には絶縁層(接着層)32を介して第2の磁性体層30が配置されている。このとき、図1(b)に示すように、第1の磁性体層17、第1の上面部15b及び第2の上面部16bの各表面が略同一面となるように、第1の磁性体層17を配置できる。また、第2の磁性体層30、第1の下面部15c及び第2の下面部16cの各表面が略同一面となるように、第2の磁性体層30を配置できる。
あるいは、本実施形態では、第1の上面部15b及び第2の上面部16bの各表面を第1の磁性体層17の表面よりも絶縁基材11から離れる方向(上方)に突出させる形態とすることもできる。また、第1の下面部15c及び第2の下面部16cの各表面を第2の磁性体層30の表面よりも絶縁基材11から離れる方向(下方)に突出させる形態とすることもできる。
なお本実施形態では、磁性体層17,30の構成は特に限定されるものでない。ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリイミド系等の絶縁シート表面にFeAlN、FeAlOやFeN等の磁性層が形成された構成、絶縁シートの表面に、FeAlN、FeAlOやFeN等の磁性層とSiO2等の絶縁層とが交互に所定数、積層された構成、あるいは既存のフェライトシートやフェライト板、磁性合金薄帯、バインダー樹脂と複合化した磁性粉末を成形あるいは塗布した構造等を提示できる。
また絶縁層(接着層)31,32には、エポキシ系低温硬化剤やアクリル系低温硬化剤を使用することができるが、上述したバインダー樹脂と磁性粉末を複合化した磁性体層17、30を塗布する場合、これら絶縁層31、32を省略することも可能である。
図1(a)(c)には、第1の磁性体層17及び第2の磁性体層30の磁化容易軸方向e1,e2が矢印で示されている。磁化容易軸方向とは、磁化され易い結晶方位を指す。
図1(a)(c)に示すように第1のコイル12及び第2のコイル13の外形は略矩形状とされている。また第1のコイル12及び第2のコイル13の外形形状は略同一となっている。なお本明細書において「矩形」には正方形及び長方形の双方が含まれる。
ここでコイルの外形とは、巻回部分にて最外周に位置するターンの外形を指す。図1(a)(c)には巻回部分を斜線で示した。なお巻回部分から外れる巻き終端12b,13b付近は、最外周のターンとして含まない。また次に説明するように、磁化容易軸方向e1,e2を、コイル外形の対角線方向に基づいて規定するため、コイル外形と認定した最外周のターンに対角線を引くための角部(頂点)が存在しなければならない。このため図1(c)では、巻き終端13bに至るX1−X2方向に延びる延出部分13cを最外周のターンとして含まず、その一つ内側のX1−X2方向に延びる延出部分13dを最外周のターンの一部分とした。
そして図1(a)に示すように第1の磁性体層17の第1の磁化容易軸方向e1は、第1のコイル12の外形を構成する、異なる二つの角部(頂点)B,C間を直線状に結んだ対角線方向に略一致している。ここで「略一致」とは、対角線方向から約10°以内の傾きずれを許容する。また図1(c)に示すように、第2の磁性体層30の第2の磁化容易軸方向e2は、第2のコイル13の外形を構成する、異なる二つの角部(頂点)D,E間を直線状に結んだ対角線方向に略一致している。
第1の磁化容易軸方向e1は、第2のコイル13の外形に対する対角線方向とも略一致し、第2の磁化容易軸方向e2は、第1のコイル12の外形に対する対角線方向とも略一致している。
ここで、上記したように、第1のコイル12と第2のコイル13の外形は略同一である。略同一とは、第1のコイル12の外形と、第2のコイル13の外形とがほぼ相似形状で、一方のコイル外形に対し他方のコイル外形の面積比率が80%〜120%程度の範囲内とされている。
このように、第1のコイル12と第2のコイル13の外形は略同一で、また、第1の磁化容易軸方向e1と第2の磁化容易軸方向e2はともにコイル外形の同じ対角線方向に略一致しているから、図1(a)に示す第1の磁化容易軸方向e1と図1(c)に示す第2の磁化容易軸方向e2とは互いに略平行とされている。ここで略平行とは、第1の磁化容易軸方向e1と第2の磁化容易軸方向e2との間の角度ずれが10°以内の状態を指す。
このように本実施形態では第1のコイル12及び第2のコイル13がX1−X2方向及びY1−Y2方向に角部を介しながら折り曲がって巻回された平面コイルであり、各磁性体層17,30の各磁化容易軸方向e1,e2が各コイル12,13の外形の対角線方向に略一致している。すなわち各磁化容易軸方向e1,e2は、X1−X2方向及びY1−Y2方向の双方に対して斜めに傾くとともに各磁化容易軸方向e1,e2は略平行とされている。
これにより本実施形態では、各磁性体層17,30に、X1−X2方向の磁化容易軸成分とY1−Y2の磁化容易軸成分とを生じさせることができる。これによりX1−X2方向及びY1−Y2方向への双方の透磁率を高くできると考えられ、良好なインダクタンス及びQ値(性能係数)を得ることができる。
一方、図2は比較例であり、図1の実施例と異なる部分は、磁化容易軸方向e3,e4だけである。図2に示す第1の磁性体層の磁化容易軸方向e3と、第2の磁性体層の磁化容易軸方向e4とはX1−X2方向に平行となっている。図2の場合、コイルから生じたX1−X2方向への磁界成分が損失となり、特にQ値を効果的に向上させることができない。なお図2において、磁化容易軸方向e3,e4がY1−Y2方向であっても同様である。
また図3は図2とは別の比較例であり、図1の実施例と異なる部分は、磁化容易軸方向e5,e6だけである。図3に示す第1の磁性体層の磁化容易軸方向e5は、図1(a)に示す磁化容易軸方向e1と同方向であるが、図3に示す第2の磁性体層の磁化容易軸方向e6は、コイル外形のもう一方の対角線方向に略平行とされ、図1(c)に示す磁化容易軸方向e1に対して略90°異なる方向を向いている。よって図3に示す磁化容易軸方向e5,e6は、共に、X1−X2方向及びY1−Y2方向に対して斜めに傾いているものの、磁化容易軸方向e5,e6は互いに平行となっていない。図3の場合、磁化容易軸方向を斜めに向けたことによってX1−X2方向の磁化容易軸成分とY1−Y2の磁化容易軸成分とを得ることができる効果が相殺されると考えられ、特にQ値を効果的に向上させることができない。換言すると、e5、e6の磁化容易軸が略90度ずれているため、e5とe6の間で生じる静磁結合は、互いの磁気異方性の分散性を高めることになる。このため、損失が大きくなりQ値が向上しなくなったと考えられる。
後述する実験に示すように、本実施形態によれば、図2及び図3に挙げた比較例よりも効果的にQ値を高くできることがわかった。本実施形態によれば、15以上、好ましくは17以上、より好ましくは20以上のQ値を得ることができた。あるいは、図2に示す比較例の構成において15程度のQ値を得ることができても本実施形態の構成とすることでQ値をさらに約1以上、好ましくは2程度上昇させることができた。なお、本実施形態におけるQ値向上の効果は、もともと図2に示す比較例の構成において約15以上のQ値が得られる場合に好ましく発揮される。
また本実施形態では、このように良好なインダクタンス及びQ値を得ることができる薄型インダクタ(磁気素子)10を薄型で且つ低コストで実現できる。すなわち、従来では、例えばコイルの上下に形成した磁性体層を夫々複数層、積層して形成していたが本実施形態では、上下の磁性体層17,30を夫々1層ずつで構成でき、薄型化(低背化)とともに製造コストの低減を図ることができる。
また第1のコイル12及び第2のコイル13の外形形状は略正方形であり、第1の磁化容易軸方向e1及び第2の磁化容易軸方向e2がX1−X2方向及びY1−Y2方向から略45°傾いた方向となっていることが好ましい。これにより、X1−X2方向の磁化容易軸成分とY1−Y2の磁化容易軸成分とがほぼ同強さでバランスよく生じ、効果的にインダクタンス及びQ値を向上させることができる。
また、第1の磁性体層17及び第2の磁性体層30の平面は矩形状で形成されることが好ましい。例えば、第1の磁性体層17及び第2の磁性体層30は、予め所定方向に磁化容易軸が付与された、大きいシート状で形成され、前記シートを最終的に図1に示す大きさとなるように個々に切断する。このとき、第1の磁性体層17及び第2の磁性体層30を例えば丸形状などとすると、前記シートを丸く個片化しなければならずその際、シートから多数個取りが難しく捨てる部分が多くなる。よって、製造コストが嵩みやすい。これに対して、第1の磁性体層17及び第2の磁性体層30を矩形状で形成することで、前記シートから多数個取りができ製造コストの低減を図ることができる。なお第1の磁性体層17及び第2の磁性体層30の各辺に対して第1の磁化容易軸方向e1及び第2の磁化容易軸方向e2が斜めに向くように前記シートから個々の磁性体層を切断する。これにより、各磁性体層17,30の各辺をX1−X2方向及びY1−Y2方向に平行にできるとともに、磁化容易軸方向e1,e2をX1−X2方向及びY1−Y2方向に対して斜めに傾かせた状態であってコイル外形の対角線方向に略一致するように調整できる。
また図1に示す実施形態では、絶縁基材11の上下にコイル12,13が形成されている。本実施形態では、コイルを1層としてもよいが、絶縁基材11の上下に電気的に接続されたコイル12,13を設けることで、高いインダクタンスを得ることができる。またコイル12,13を絶縁基材11の上下に形成したことで、各コイル12、13から取出電極層15、16を簡単な構造で引き出すことが出来る。
また本実施形態では、第1の取出電極層15及び第2の取出電極層16には、どちらにも上面部15b,16bと下面部15c,16cとが設けられている。このため、薄型インダクタ10の上下面のどちらを、実装基板25に向けても、実装基板(図示しない)に導通接続することができる。
ポリエチレンナフタレート絶縁シート表面に以下の表1に示す磁性膜をスパッタ成膜した。
Figure 2013143505
表1に示すNo.1〜No.5までの磁性膜を有する磁性体層(磁性シート)を作製した。
次に、これら磁性体層を用いて、表2に示す実施例1〜5、比較例1〜5、及び比較例6の薄型インダクタを作製した。
実施例1〜5の薄型インダクタは、図1に示す形態と同様である。すなわち第1の磁性体層の第1の磁化容易軸方向e1と、第2の磁性体層の第2の磁化容易軸方向e2とを夫々コイル外形の対角線方向(X1−X2方向及びY1−Y2方向の双方に対して斜め方向)に略一致させ、且つ第1の磁化容易軸方向e1と第2の磁化容易軸方向e2とを略平行とした。
また比較例1〜5の薄型インダクタは、図2に示す形態と同様である。すなわち第1の磁性体層の第1の磁化容易軸方向e3と、第2の磁性体層の第2の磁化容易軸方向e4とを夫々、X1−X2方向に平行とした。
また比較例6の薄型インダクタは、図3に示す形態と同様である。すなわち、第1の磁性体層の磁化容易軸方向e5は、実施例1〜5と同じであるが、第2の磁性体層の磁化容易軸方向e6を、コイル外形のもう一方の対角線方向に一致させ、第1の磁化容易軸方向e5と第2の磁化容易軸方向e6とを非平行とした。
実験ではインダクタンスLs及びQ値を測定した。インダクタンスLsの測定には、Agilent E4991A RFネットワークアナライザーを用い、周波数1MHz〜1GHZ、測定信号電流1mAとして測定した。
またインダクタンスLsとRs(薄型インダクタの等価回路におけるインピーダンスの抵抗成分)の周波数特性からQ=ωLs/Rs(ω=2πf)よりQ値及びQ値の周波数特性を算出した。なお以下の表2に示すQ値は各試料における最大値であり、Q値が最大値となる周波数をfqmaxとした。また周波数fqmax時におけるインダクタンスLsも測定した。さらにLs_1MHzは1MHzの時のインダクタンスLsを示し、Ls_fqmaxはfqmaxの時のインダクタンスLsを示し、これらも測定した。
その実験結果を表2に示す。
Figure 2013143505
図4は、表2に示す実施例1〜5及び比較例1〜5のインダクタンスLs(周波数が1MHz)とQ値との関係を示す。
実施例1と比較例1、実施例2と比較例2、実施例3と比較例3、実施例4と比較例4、及び実施例5と比較例5には夫々、表1,表2に示すように同じ磁性体層を用いている。
そして表2及び図4に示すように、例えば実施例1と比較例1とを比較してみると、実施例1と比較例1とではほぼ同じインダクタンスLsを得ることができるが、実施例1のほうが比較例1よりも高いQ値を得ることができるとわかった。実施例2と比較例2、実施例3と比較例3、実施例4と比較例4、及び実施例5と比較例5においても夫々、同様である。
また比較例6は、実施例1と同様にNo.1の磁性体層を用いている。そして実施例1と比較例6とを対比してみると、実施例1と比較例6とではほぼ同じインダクタンスLsを得ることができるが、実施例1のほうが比較例6よりも高いQ値を得ることができるとわかった。
このように実施例によれば、比較例とほぼ同等のインダクタンスLsが得られるとともに、比較例よりも高いQ値を得ることができるとわかった。
特に実施例によれば、15以上、好ましくは17以上、より好ましくは20以上のQ値を得ることができるとわかった。
また実施例によれば、同じ磁性体層を用いた比較例と比較すると、Q値を約1以上、好ましくは2以上、上昇させることができるとわかった。
さらに実施例によれば、比較例とほぼ同等のインダクタンスLsが得られるとともに、比較例よりも高く、好ましくは10MHz以上のfqmax、を得ることができる。このようにfqmaxをより高周波側にシフトさせることができるため、駆動周波数の高い電子回路での使用、用途で有利となる。
10 薄型インダクタ
11 絶縁基材
12 第1のコイル
13 第2のコイル
14 導通層
15 第1の取出電極層
16 第2の取出電極層
17 第1の磁性体層
18 第2の磁性体層
31、32 絶縁層
e1 第1の磁化容易軸方向
e2 第2の磁化容易軸方向

Claims (4)

  1. コイルと、前記コイルの上面に形成された第1の磁性体層と、前記コイルの下面に形成された第2の磁性体層と、を有し、
    前記コイルは、平面視にて第1の方向から前記第1の方向に対して直交する第2の方向に角部を介して折れ曲がりながら矩形状に巻回形成された平面コイルであり、
    前記第1の磁性体層における第1の磁化容易軸方向と、前記第2の磁性体層における第2の磁化容易軸方向は、夫々、コイル外形の異なる2つの前記角部間を直線状に引いた対角線方向に略一致しているとともに、前記第1の磁化容易軸方向及び前記第2の磁化容易軸方向は互いに略平行とされていることを特徴とする磁気素子。
  2. 前記コイルの外形形状は略正方形であり、前記第1の磁化容易軸方向及び前記第2の磁化容易軸方向は、前記第1の方向及び前記第2の方向から略45°傾いた方向である請求項1記載の磁気素子。
  3. 前記第1の磁性体層及び前記第2の磁性体層の平面は矩形状で形成される請求項1又は2に記載の磁気素子。
  4. 絶縁基材と、前記絶縁基材の上面に形成された第1のコイルと、前記絶縁基材の下面に形成され前記第1のコイルと電気的に接続された第2のコイルと、前記第1のコイルの上面に形成された前記第1の磁性体層と、前記第2のコイルの下面に形成された前記第2の磁性体層とを有し、
    前記第1のコイルと前記第2のコイルは、夫々、前記矩形状に巻回形成された前記平面コイルであり、
    前記第1の磁化容易軸方向と前記第2の磁化容易軸方向は夫々、前記第1のコイル及び前記第2のコイルの外形の前記対角線方向に略一致しているとともに、前記第1の磁化容易軸方向及び前記第2の磁化容易軸方向は互いに略平行とされている請求項1ないし3のいずれか1項に記載の磁気素子。
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