JP2013140922A - 携帯型電子機器の筐体およびこれを備えた携帯型電子機器 - Google Patents

携帯型電子機器の筐体およびこれを備えた携帯型電子機器 Download PDF

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俊平 上垣
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Abstract

【課題】剛性は高いが成形および加工が困難な材料を用いることのできる筐体を提供する。
【解決手段】携帯端末装置1の筐体10は、筐体の側面を構成する側面部材2と、側面部材と接続されて筐体の底面を構成する底面部材3とを含み、側面部材は、平板形状であって、底面部材よりも剛性が高い。平板形状の側面部材は、6面全てが長方形の直方体状の平板を複数枚(例えば4枚)組み合せて形成されていてもよいし、このような形状の平板1枚を曲げて形成されていてもよい。
【選択図】図1

Description

本発明は、携帯型電子機器の筐体に関し、より詳細には筐体の剛性を高めるための構成に関する。
近年、スマートフォンやタブレット端末をはじめとする携帯型の電子機器が広く普及しつつある。このような携帯型の電子機器の筐体には、軽量であることと共に、高い剛性を有することが求められており、軽量化・高剛性化のための筐体の構造および材料についての検討が従来から進められている。
例えば、下記の特許文献1には、一面に開口部を有する基体と、該基体の開口部に対向して位置し該基体と一体化せしめられる枠体とを含む電子機器筐体において、基体を構成する材料の曲げまたは引張弾性率をEB、枠体を構成する材料の曲げまたは引張弾性率をEFとし、EB/EFの値をGとしたとき、G<1、あるいは、G>1かつEF≧10の関係を満足する電子機器筐体であれば、基体を薄肉、軽量化した場合でも高い剛性が得られることが記載されている。
ここで、特許文献1の電子機器筐体の構成について、図18に基づいて説明する。図18は、従来の電子機器筐体100の横断面図である。
図示のように、電子機器筐体100は、断面がコの字型の基体102の開口部に、断面がL字型の枠体101を接続してなる。つまり、電子機器筐体100の底面は基体102で構成され、側面は基体102の立ち上がり部分と枠体101とで構成されている。そして、上面は枠体101で構成されている。また、枠体101は、電子機器筐体100内部に配置された表示装置の表示面が見えるようにするための開口部を有している。
特許文献1の発明では、このような構成の電子機器筐体100において、(基体102の材料の曲げまたは引張弾性率)/(枠体101の材料の曲げまたは引張弾性率)<1の条件(条件1)を満たすようにしている。あるいは、(基体102の材料の曲げまたは引張弾性率)/(枠体101の材料の曲げまたは引張弾性率)>1かつ(枠体101の材料の曲げまたは引張弾性率)≧10の条件(条件2)を満たすようにしている。
上記条件1は、枠体101の材料の曲げまたは引張弾性率を、基体102よりも大きくするというものである。また、上記条件2は、枠体101の材料の曲げまたは引張弾性率を10GPa以上とし、基体102の曲げまたは引張弾性率をこれよりさらに大きくするというものである。
特開2002−314262号公報(2002年10月25日公開)
しかしながら、上記の電子機器筐体100は、枠体101が電子機器筐体100の側面と上面との2面をカバーするため、断面がL字型の形状となっており、このような形状に加工することが難しい材料を枠体101に適用することが困難であるという問題がある。
例えば、炭素繊維を並べて樹脂で固めたシートを複数枚積層したCFRP(Carbon Fiber Reinforced Plastic)材(以下、積層CFRP材と呼ぶ)は、極めて剛性が高く、また軽量であって、筐体に求められる特性を有するものである。しかしながら、積層CFRP材は、一般的な樹脂のような成形方法を適用することができず、図18の枠体101のような形状に成形することが困難である。
また、一般的な電子機器の筐体では、筐体内部に収容する構成要素を固定するための支持部や、基体と枠体とを接続するための形状を作り込む必要がある。このような観点からも、電子機器の筐体として、積層CFRP材のような、複雑な形状に成形したり、加工したりすることが難しい材料を使用することが困難であった。
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、剛性は高いが成形および加工が困難な材料を用いることのできる筐体を提供することにある。
上記の課題を解決するために、本発明の筐体は、携帯型電子機器の筐体であって、上記筐体の側面を構成する側面部材と、上記側面部材と接続されて上記筐体の底面を構成する底面部材とを含み、上記側面部材は、平板形状であって、上記底面部材よりも剛性が高いことを特徴としている。
上記の構成によれば、筐体の側面を構成する側面部材が平板形状であるから、剛性が高いが加工の難しい積層CFRP材のような材料で側面部材を構成することが可能になる。また、上記の構成によれば、側面部材は底面部材よりも剛性が高いので、筐体全体として高い剛性が得られる。
なお、上記「平板形状の側面部材」は、6面全てが長方形の直方体状の平板を複数枚(例えば4枚)組み合せて形成されていてもよいし、このような形状の平板1枚を曲げて形成されていてもよい。ここで、平板を曲げて形成する場合には、側面部材の四隅の角は、R状(上面視略円弧状の曲面)となるが、このような構成も上記平板形状に含まれる。
つまり、上記「平板形状の側面部材」は、剛性が高いが加工の難しい積層CFRP材のような材料で構成することができるような形状であればよく、各側面が概ね平板形状であるような構成もこれに含まれる。
また、上記筐体は、筐体側面の全てが側面部材で形成されている必要はなく、所望の剛性が得られる範囲内で、側面の一部をより剛性の低い材料で形成してもよい。上記筐体には、例えば、底面部材と同じ材料の板状部材と、上記側面部材との組み合わせにより、筐体側面が形成されているような構成のものも含まれる。また、例えば、上記底面部材の一部が筐体側面の一部を構成するように、底面から突出する突出部を作りこみ、この突出部と上記側面部材とで筐体側面が形成されているような構成のものも含まれる。
また、上記底面部材の密度は、上記側面部材の密度よりも小さいことが好ましい。
上記の構成によれば、底面部材の密度が側面部材の密度よりも小さいため、筐体全体を軽量化することが可能になる。
また、上記底面部材は、上記筐体の内部に収容する構成要素を支持する支持部を有することが好ましい。
上記の構成によれば、底面部材が筐体の内部に収容する構成要素を支持する支持部を有する。言い換えれば、底面部材の一部は支持部として機能するように作り込まれている。このように、底面部材に支持部を設けることにより、積層CFRP材のような加工の難しい材料を側面部材に用いた場合であっても、筐体の内部で構成要素を支持することができる。
また、上記支持部は、上記側面部材の内周に沿って設けられており、上記支持部と、上記側面部材の内側の面とが接着されていることが好ましい。
上記の構成によれば、側面部材の内周に沿って設けられた支持部と、側面部材の内側の面とが接着されているので、側面部材と底面部材との接続が強固になる。
また、上記側面部材の高さは、上記筐体の内部空間の高さ以上であることが好ましい。
上記の構成によれば、側面部材の高さは、筐体の内部空間の高さ以上である。したがって、図22に示すような、基体102が側面までカバーしている従来の電子機器筐体と比べて、側面部材の剛性による筐体全体の剛性への寄与を大きくすることができる。つまり、図22の枠体101と上記側面部材とを同じ剛性の材料で形成し、図22の基体と上記底面部材とを同じ剛性の材料で形成した場合、本発明の筐体の方が全体として剛性が高くなる。
また、上記側面部材の上面は、該側面部材によって形成される上記筐体の開口部を塞ぐ板状の保護部材を接着するための接着面となっていることが好ましい。
上記の構成によれば、側面部材の上面は、筐体の開口部を塞ぐ保護部材を接着するための接着面となっているので、筐体内部に所定の構成要素を配置した後、極めて簡易に開口部を塞いで電子機器を構成することができる。上記構成要素は、例えば画像を表示する表示部であってもよく、この場合、保護部材を介して表示部が表示する画像が見えるような配置とする。
また、上記側面部材の上面に、上記保護部材を固定するための切り欠き部が設けられていることが好ましい。
上記の構成によれば、側面部材の上面に、保護部材を固定するための切り欠き部が設けられているため、保護部材が側面部材上でずれることを防ぐことができる。
また、上記筐体は、上記側面部材の下端部がテーパ状に形成されているか、または上記側面部材の下端部の上記筐体の外側に向く角が円弧状に形成されていることが好ましい。
上記の構成によれば、側面部材の下端部がテーパ状に形成されているか、または側面部材の下端部の筐体の外側に向く角が円弧状に形成されている。つまり、上記の構成によれば、筐体の下端部を内向きに傾斜させるか、または筐体の下面側の外側向きの角を円弧状とすることができる。
このように、側面部材は完全な6面体形状の平板に限られず、その一部を切削したような形状であってもよい。
また、上記底面部材は、上記側面部材を覆って上記筐体の側面まで延在していることが好ましい。
上記の構成によれば、底面部材が側面部材を覆って筐体の側面まで延在している。つまり、筐体の側面が側面部材と底面部材との両方で構成されている。したがって、底面部材によって側面部材を補強することができ、筐体の底面から側面にかけての外観の質感を統一することができる。
また、上記底面部材の上記筐体の側面まで延在する端部は、上記側面部材の上面よりも上側まで達していることが好ましい。
上記の構成によれば、底面部材の筐体の側面まで延在する端部は、側面部材の上面よりも上側まで達している。したがって、側面部材の上面に上記の保護部材を接着したときに、上記端部によって保護部材のずれを防ぐことができる。
また、上記筐体の側面の一部は、上記側面部材よりも加工の容易な材質の部材で構成されていることが好ましい。
上記の構成によれば、筐体の側面の一部が側面部材よりも加工の容易な材質の部材で構成されている。これにより、側面部材を加工の困難な材料で形成した場合であっても、筐体側面の一部が加工の容易な材質の部材で構成されるので、この部分を加工対象とすることにより、側面に加工を施した筐体を容易に提供することが可能になる。
また、上記側面部材は、複数の平板形状の部材を接続して形成されたものであることが好ましい。
上記の構成によれば、側面部材を曲げる等の加工を行うことなく、所望の形状の側面部材を形成することができる。例えば、筐体が直方体状の形状であり、その側面が4つの面で構成されている場合、各面に対応する平板形状の部材を接続して側面部材とすることにより、1枚の平板形状の部材を折り曲げて側面部材とする場合と比べて、加工が容易である。
また、上記側面部材は、炭素繊維を並べて樹脂で固めたシートを複数枚積層したCFRP材で形成されていることが好ましい。
上記の構成によれば、側面部材が炭素繊維を並べて樹脂で固めたシートを複数枚積層したCFRP材で形成されている。このように、極めて高剛性であるが加工が難しい材料で側面部材を形成することにより、筐体全体の剛性を高めることができる。
また、上記底面部材は、細断した繊維を混合して形成された繊維強化樹脂で形成されていることが好ましい。
上記の構成によれば、側面部材が炭素繊維を並べて樹脂で固めたシートを複数枚積層したCFRP材で形成されている上、底面部材が、細断した繊維を混合して形成された繊維強化樹脂で形成されている。
このように、極めて高剛性であるが加工が難しい材料で側面部材を形成することにより、筐体全体の剛性を高めることができる。そして、ある程度の剛性を有し、軽量で加工の容易な材料で底面部材を形成することで、筐体全体の剛性を落とすことなく、軽量化をはかることができる。また、繊維強化樹脂で形成された底面部材は、筐体内部に収容する構成要素を支持する構成を作り込むことも容易である。
すなわち、上記の構成によれば、高剛性と軽量化とを両立させた、携帯型の電子機器等に特に好適な筐体を提供することができる。
また、上記筐体を備えた携帯型電子機器であれば、上記筐体と同様の作用効果を奏する。
以上のように、本発明の筐体は、筐体の側面を構成する側面部材と、上記側面部材と接続されて上記筐体の底面を構成する底面部材とを含み、上記側面部材は、平板形状であって、上記底面部材よりも剛性が高い構成である。
したがって、積層CFRP材のような加工の難しい材料で側面部材を構成することが可能になり、また筐体全体として高い剛性が得られるという効果を奏する。
本発明の一実施形態を示す図であり、携帯端末装置の要部構成を示す分解斜視図である。 上記携帯端末装置の筐体の組み立て方法を説明する図である。 上記筐体のA−A断面図である。 表示部を支持する支持部を有する底面部材を備えた筐体の横断面図である。 底面部材の支持部と、側面部材とをビスで固定した筐体の横断面図である。 底面部材の側面に側面部材を接着した筐体の横断面図である。 支持部を有する底面部材の側面に側面部材を接着した筐体の横断面図である。 筐体の側面まで延在する底面部材を用いた筐体の横断面図である。 筐体の側面まで延在し、支持部を有する底面部材を用いた筐体の横断面図である。 保護パネルを接続した図3の筐体の横断面図である。 保護パネルを接続した図8の筐体の横断面図である。 切り欠き部を有する側面部材と底面部材とで構成される筐体の、保護パネルを接続した状態の横断面図である。 底面部材の立ち上がり部分によって保護パネルのずれを防ぐ筐体の横断面図である。 筐体の剛性の解析試験方法を示す図である。 上記解析試験に用いた材料の曲げ弾性率と比重を示す図である。 上記解析試験の結果を示す図である。 底面部材の材料を高剛性樹脂で固定し、側面部材の材料を変えた場合の解析試験結果を示す図である。 上記筐体との比較のために解析の対象とした筐体の構成を示す横断面図であり、同図(a)は断面がI字型で上記側面部材よりも高さの低い側面部材を用いた構成を示し、同図(b)は断面がL字型の側面部材を用いた構成を示している。 図18(a)(b)に示す構成の筐体の剛性を、図3に示した構成の筐体の剛性に対する剛性比で示した図である。 四隅にRの付いた形状(四隅が上面視略円弧状)の側面部材を用いた筐体の上面図である。 上記側面部材の断面形状の例を示す図である。 従来技術を示す図であり、従来の電子機器筐体の横断面図である。 複数の平板を組み合せて形成される側面部材を用いた筐体の組み立て方法を示す図である。 4つの側面のうち2面を側板部材で構成した筐体の組み立て方法を示す図である。
以下、本発明の実施の形態について、図1〜図24に基づいて詳細に説明する。
〔携帯端末装置の概略構成〕
まず、本実施形態の携帯端末装置の概略構成を図1に基づいて説明する。図1は、携帯端末装置(携帯型電子機器)1の要部構成を示す分解斜視図である。
携帯端末装置1は、画像を表示する機能を少なくとも備えた携帯型の電子機器である。携帯端末装置1は、例えばスマートフォンやPDA(Personal Digital Assistance)、
タブレット端末、携帯型ゲーム機であってもよいし、音声や動画像の再生装置であってもよい。
図示のように、携帯端末装置1は、側面部材2と底面部材3とで構成される筐体10の内部にバッテリー4、基板5、および表示部6を備えている。そして、筐体10の開口部に設けられた保護パネル(保護部材)7により、バッテリー4、基板5、および表示部6が筐体10の内部に収容されている。なお、携帯端末装置1は、筐体10の構成に特徴を有するものであり、筐体10の内部に収容される構成要素は図示の例に限られない。
側面部材2は、筐体10の側面を構成する部材であり、筐体10の周囲を囲う枠型の形状である。携帯端末装置1を薄型化して携帯性を高めるため、側面部材2の高さは低いことが好ましい。詳細については後述するが、携帯端末装置1では、側面部材2を底面部材3よりも剛性の高い材料で形成し、これにより筐体10全体としての剛性を高めている。
底面部材3は、筐体10の底面を構成する部材であり、側面部材2の開口の一方を閉じるように形成されている。上記のように、底面部材3は、側面部材2よりも剛性が低い。筐体10の軽量化のため、底面部材3は軽量の材料で形成することが好ましい。
バッテリー4は、携帯端末装置1が動作するための電力を供給するものであり、基板5は、携帯端末装置1における各種演算処理を行うものである。
表示部6は、画像を表示するためのものであり、液晶パネル、光学シート、およびバックライトモジュールを含む液晶モジュールで構成されている。なお、表示部6は画像を表示することができるものであればよく、例えば有機EL等の表示装置であってもよい。
保護パネル7は、筐体10の内部を外部から遮断するためのものである。つまり、側面部材2の開口の一方を底面部材3が塞ぎ、他方を保護パネル7が塞ぐことによって、筐体10の内部が筐体10の外部と遮断される。保護パネル7を介して表示部6が表示する画像が見えるように、保護パネル7の表示部6の表示領域と重なる領域は透明な材料で構成する。
〔筐体のより詳細な構成〕
次に、筐体10のより詳細な構成について図2に基づいて説明する。図2は、筐体10の組み立て方法を説明する図である。
図示のように、側面部材2は、4つの側面を有する枠型の形状である。筐体10を上面のない六面体と見た場合、側面の4面が側面部材2で構成され、底面の1面が底面部材3で構成されている。本実施形態では、側面部材2の材料として、積層CFRP材(〔発明が解決しようとする課題〕参照)を用いる。
積層CFRP材には、樹脂内に細断した炭素繊維を混合して成形するCFRP材(混合CFRP材と呼ぶ)と比べて、剛性が著しく高いという特徴がある。具体的には、積層CFRP材には、曲げ弾性率が200GPa以上の極めて剛性の高いものが存在するが、混合CFRP材では20GPa程度が限界である。また、積層CFRP材は、同程度の剛性を有する金属材料等と比べて極めて軽い。
ただし、積層CFRP材は、シートを積層して作られるため、複雑な形状に成形したり加工したりすることが困難である。そして、一般的な筐体では、その内部に収容する構成要素を支持または固定するための形状等を作り込むことが必要であるため、従来は、積層CFRP材を筐体の材料として用いることが極めて困難であった。
例えば、上述の特許文献1では、枠体の材料をCFRP材としているが、このCFRP材の曲げ弾性率は15GPaであることから、特許文献1のCFRP材は、積層CFRP材ではなく、混合CFRP材であると考えられる。
筐体10では、側面部材2を簡素な枠型形状とすることによって、側面部材2の材料として、高剛性かつ軽量な積層CFRP材を用いることを可能としている。なお、側面部材2は、各側面が簡素な平板形状であればよく、その形成方法は特に限定されない。例えば、1枚の平板を曲げることによって形成されていてもよい。この場合、側面部材2の四隅は曲面であってもよい。また、4枚の平板を接着して形成されていてもよい。
一方、底面部材3は、上面が長方形の平板状の形状である。側面部材2を底面部材3の上面に接着して筐体10が形成されるため、底面部材3は、その上面で側面部材2の開口を塞ぐことができるサイズとする。
筐体10では、側面部材2を加工の難しい積層CFRP材で形成しているため、筐体10の内部に収容する構成要素を支持または固定するための形状等は、底面部材3において作り込む必要がある。また、底面部材3の剛性が余りに低い場合、筐体10全体としての剛性も下がってしまう。
そして、スマートフォン等の携帯端末装置は薄型であるから、筐体10全体の体積に占める底面部材3の割合は、側面部材2よりも大きい(例えば2〜4倍程度)。このため、筐体10の軽量化のためには底面部材3を軽量化することが効果的である。
このため、底面部材3は、複雑な形状への成形や加工が容易で、ある程度剛性が高く、側面部材2よりも軽量な(低密度の)材料で構成することが好ましい。例えば、曲げ弾性率が10GPa以上の高剛性樹脂(例えば混合CFRP材)であれば、これらの条件を満たすため望ましい。無論、CFRP材に限られず、GFRP材(Glass Fiber Reinforced
Plastic)のような他の繊維強化樹脂材であってもよい。
図2の例では、底面部材3の上面の外周に沿った領域が、側面部材2の貼り付け位置となっている。そして、両面接着テープや接着剤(熱硬化や湿度硬化等、必要な接着強度が得られるものであればよい)等によって、この貼り付け位置に側面部材2の底面部分を貼り付けることにより、側面部材2と底面部材3とを一体化し、筐体10を形成する。
なお、底面部材2の材料は、高剛性樹脂が好ましいとしているが、必要とされる剛性によっては、一般的な熱可塑性樹脂材(例えばポリカーボネート)を適用することも可能である。
なお、図示の例では、底面部材3の上面を貼り付け位置(両面接着テープ等を貼り付ける位置)としているが、側面部材2の底面部分を貼り付け位置としてもよい。
〔筐体の断面構成〕
続いて、筐体10の断面構成について、図3に基づいて説明する。図3は、図2に示した筐体10のA−A断面図である。
図示のように、側面部材2は横断面がI字状である。このような簡素な形状とすることにより、側面部材2の材料として積層CFRP材を用いることが可能になる。これに対し、図22に示した従来例では、枠体101の断面はL字状であるから、枠体101の材料として積層CFRP材を用いることは難しい。
また、図3からわかるように、底面部材3は均一な厚さの平板である。無論、底面部材3の形状はこれに限られない。上述のように、底面部材3は、加工が容易な高剛性樹脂等で形成するため、筐体10内に収容する表示部6等の構成要素を固定するための形状や、側面部材2との接着性を高めるための形状等が作りこまれていてもよい。
図示の例では、底面部材3の上面の端部に側面部材2が接着されている。そして、底面部材3の側面(端面)と側面部材2の外側面(筐体10の外部側に向く面)とで筐体10の外側の側面が形成されている。
〔底面部材に関する変形例〕
図3の例では、平板状の底面部材3の上面に側面部材2を接着する例を示したが、底面部材3の形状および接着の態様はこの例に限られない。ここでは、底面部材3に関する変形例を図4から図9に基づいて説明する。なお、図4から図9は、何れも図3と同じ位置(図2のA−Aの位置)の断面図である。
図4は、表示部6を支持する支持部30aを有する底面部材30を備えた筐体10の横断面図である。図4の例では、底面部材30の上面の外周に沿った領域に側面部材2が接着されている。そして、底面部材30の上面には、表示部6を載置するための支持部30aが側面部材2の内周に沿って形成されている。
より詳細には、支持部30aは、筐体10の外部に向く側面で側面部材2と接しており、その上面で表示部6を筐体10の内部に平行に支持できるように、上面が水平かつ高さの均一な平面となっている。また、同図には示していないが、支持部30aは、側面部材2に沿って、筐体10の内部を一周している。
なお、支持部30aは、その上面に表示部6を載置して平行に支持することができる形状であればよく、上記の構成に限られない。例えば、支持部30aは、側面部材2に沿って不連続に並んでいてもよいし、側面部材2から筐体10の内側方向に離れた位置に設けられていてもよい。ただし、上記構成のように、側面部材2に沿って筐体10の内部を一周するように支持部30aを設けた場合には、側面部材2と底面部材30との接続を安定化させることができるので好ましい。また、側面部材2と底面部材30との接続をさらに安定化させるため、支持部30aの側面と側面部材2とを接着してもよい。
また、図5に示すように、支持部30aの側面と側面部材2とをビスで固定してもよい。図5は、底面部材30の支持部30aと、側面部材2とをビス8で固定した筐体10の横断面図である。
図示の例では、筐体10の内部側から、支持部30aを貫通して側面部材2に達する長さのビス8により、底面部材30の支持部30aと側面部材2とを固定している。これにより、側面部材2と底面部材30との接続を、接着の場合よりも強固なものとすることができる。
また、図示していないが、側面部材2と底面部材30の一方に爪形形状の凸部を設け、他方に上記凸部を挿通し、上記爪形を引っ掛ける穴部を設けてもよい。このような構成の凸部と穴部とを嵌合して固定することにより、側面部材2と底面部材30とを強固に接続することができる。
上述の例では、底面部材3または30の上面に側面部材2を接着しているが、図6に示すように、側面に接着してもよい。図6は、底面部材3の側面に側面部材2を接着した筐体10の横断面図である。
図示のように、底面部材3の側面と、側面部材2の内側側面とが接着されている。そして、底面部材3の底面と側面部材2の底面とで筐体10の底面が形成されている。また、筐体10の側面は側面部材2のみで形成されている。
また、側面に接着する場合であっても、例えば図7のようにして表示部6の支持部を設けることができる。図7は、支持部31aを有する底面部材31の側面に側面部材2を接着した筐体10の横断面図である。
図7の構成によれば、図6の構成と比べて側面部材2との接触面積が広くなるため、より強固な接着が可能となる。また、図7の例においても図5の例と同様に、ビスによって側面部材2と底面部材31とを固定してもよい。
また、上述の例では、側面部材2が筐体10の表面に露出しているが、例えば図8に示すように、筐体10の側面まで延在する底面部材32を用いることにより、側面部材2が露出しないようにしてもよい。図8は、筐体10の側面まで延在する底面部材32を用いた筐体10の横断面図である。
図示の底面部材32は、断面がコの字状であり、筐体10の底面および側面の両方を覆っている。そして、側面部材2は、底面部材32の立ち上がり部分(筐体10の側面となる部分)の内側に接し、この立ち上がり部分に沿って筐体10の内部を一周するように設けられている。
この構成によれば、底面部材32と側面部材2とが2面で接するので、これらの部材の接続が安定する。また、底面部材32によって側面部材2が補強されるので、剛性の向上も期待できる。さらに、側面部材2が露出しないので、筐体10の外観の質感を統一することができる。なお、筐体10の側面に必要な剛性および強度は、高剛性の材料で形成される側面部材2のみによっても得られるため、底面部材32の立ち上がり部分の厚さは、筐体10の底面部分よりも薄くしてもよい。
また、図9に示すように、図8の底面部材32に支持部33aを追加した底面部材33を用いてもよい。図9は、筐体10の側面まで延在し、支持部33aを有する底面部材33を用いた筐体10の横断面図である。
図示のように、底面部材33の上面には、表示部6を載置するための支持部33aが形成されている。支持部33aの形状は、上述の支持部30a、31aと同様である。底面部材33の構成によれば、側面部材2が底面部材32の立ち上がり部分と支持部33aとで挟み込まれるため、側面部材2と底面部材32との接続を強固にすることができる。
なお、側面部材2は筐体10の側面を覆う形状であり、底面部材3は筐体10の底面を覆う形状であればよく、上記の例に限られない。
また、上述の例のうち、図3、図6、および図8のように、支持部を有さない底面部材を用いる場合には、表示部6等の構成要素を支持するための部材を筐体10の内部に設置すればよい。例えば、筺体10の内部にリブ等を設けたホルダーを設置してもよい。
〔保護パネルとの接続〕
続いて、筐体10と保護パネル7との接続の態様について、図10から図13に基づいて説明する。
筐体10が図3のような形状である場合、保護パネル7は図10のような態様で接続すればよい。図10は、保護パネル7を接続した図3の筐体10の横断面図である。
図示のように、側面部材2の上面に保護パネル7が載置され、接続されている。つまり、側面部材2の上面が保護パネル7との接着面となっている。なお、側面部材2と保護パネル7との接続は、側面部材2と底面部材3との接続と同様、両面接着テープや接着剤等で行うことができる。
この例では、上面から見て同形状の保護パネル7と底面部材3とで側面部材2が挟み込まれる形状となっている。保護パネル7と底面部材3とは上面視で同形状に形成されている。
また、筐体10が図8のような形状である場合、保護パネル7は図11のような態様で接続すればよい。図11は、保護パネル7を接続した図8の筐体10の横断面図である。
図示のように、側面部材2の上面と底面部材32の立ち上がり部分の上面とを覆うように保護パネル7が載置され、接続されている。つまり、保護パネル7の幅は、側面部材2の幅と底面部材32の立ち上がり部分の幅との和に等しくなっている。この例では、図10の例と比べて、筐体10と保護パネル7との接触面積が広くなるため、筐体10と保護パネル7との接続を強固にすることができる。
また、保護パネル7が筐体10上でずれることがないように、側面部材2の上面形状を加工してもよい。これについて、図12に基づいて説明する。図12は、切り欠き部20aを有する側面部材20と底面部材3とで構成される筐体10の、保護パネル7を接続した状態の横断面図である。
図示のように、側面部材20は、側面部材2と同様に断面がI字形状であり、その上面の筐体10の内部側の内周に、保護パネル7を嵌め込むための切り欠き部20aが設けられている。これにより、保護パネル7が横方向にずれることを防ぐことができる。
なお、積層CFRP材は、上述のように加工が難しい材料であるが、その一部を切削して上記のような切り欠き部20aを設ける程度の加工であれば、十分に可能である。
また、保護パネル7のずれを防ぐ構成としては、図13のような構成も考えられる。図13は、底面部材34の立ち上がり部分によって保護パネル7のずれを防ぐ筐体10の横断面図である。
図示のように、底面部材34は、図8の底面部材32と同様に、立ち上がり部分を有し、断面がコの字形状であるが、この立ち上がり部分の高さが側面部材2よりも高い(上側に達している)点で底面部材32と異なっている。
このように、立ち上がり部分の高さが側面部材2よりも高い底面部材34を用いることにより、側面部材2上に載置した保護パネル7の左右方向のずれを防ぐことができる。なお、立ち上がり部分は、側面部材2の上面よりも高い位置にその上面が位置するような高さであればよい。
ただし、底面部材34の立ち上がり部分が突出することがないように、底面部材34の立ち上がり部分の高さは、側面部材2上に載置した保護パネル7の上面と同じか、より低くなるようにすることが好ましい。
ここで、上述の何れの例においても、側面部材2の高さは、保護パネル7で閉じられた筐体10内部の空間の高さと同じか、またはそれよりも高くなっている。このように、筐体10の側面における側面部材2の占める割合を大きくすることにより、側面部材2の剛性が筐体10全体の剛性に与える寄与を大きくすることができる。
なお、上述の例では、底面部材が支持部を有さない筐体10に保護パネル7を接続した例を示したが、支持部を有する場合も同様にして保護パネル7を接続できることは言うまでもない。
〔筐体の材料と剛性〕
次に、筐体10の材料と剛性について、図14から図17に基づいて説明する。
図14は、筐体10の剛性の解析試験方法を示す図である。図示のように、剛性の解析試験は、水平に置かれた筐体10の四隅のうち3点を固定し、残る1点に対して鉛直方向下向きに一定の大きさの荷重をかける。そして、荷重による最大変位を基に筐体10の剛性を評価した。なお、最大変位が小さいほど剛性が高いということになる。
より詳細には、(側面部材2と底面部材3とを共にアルミニウムで形成した場合の変位)/(側面部材2および底面部材3の材料を変えた場合の変位)×100=(剛性比)との数式により、剛性を相対評価した。剛性比が100%を超えた場合、側面部材2と底面部材3とを共にアルミニウムで形成した場合よりも剛性が上がったということになる。
また、(側面部材2と底面部材3とを共にアルミニウムで形成した場合の筐体10の質量)/(側面部材2および底面部材3の材料を変えた場合の筐体10の質量)×100=(質量比)との数式により、質量を相対評価した。質量比が100%未満となった場合、側面部材2と底面部材3とを共にアルミニウムで形成した場合よりも軽量化されたということになる。
図15は、解析試験に用いた材料の曲げ弾性率と比重を示す図である。図示のように、ここでは筐体10の材料として、軟鋼、CFRP材(積層CFRP材)、チタン合金、アルミニウム、およびマグネシウム合金を用いた。
図示のように、CFRP材(積層CFRP材)は、軟鋼と曲げ弾性率が等しく、比重は軟鋼よりも小さい。つまり、高剛性かつ軽量であり、筐体10の材料として望ましい性質を備えている。
同図に示す材料は、CFRP材を除いて全て金属材料であり、同図の上側に記載されているものほど曲げ弾性率が高く、かつ比重が高い。
また、同図に示した材料以外に、低剛性樹脂および高剛性樹脂も筐体10の材料として使用した。なお、低剛性樹脂は、剛性を高めるための炭素繊維等の添加物を加えていないポリカーボネート等の樹脂材であり、高剛性樹脂は、細断したガラス繊維や炭素繊維等を添加した繊維強化樹脂材であり、例えば上述の混合CFRP材である。
使用した低剛性樹脂の曲げ弾性率は2.5GPaであり、比重は1.2である。また、高剛性樹脂の曲げ弾性率は10GPaであり、比重は1.6である。
図16は、解析試験の結果を示す図である。
図示のように、側面部材2を軟鋼で形成し、底面部材3を高剛性樹脂で形成した場合、剛性比は144%となり、側面部材2と底面部材3とを共にアルミニウムで形成した場合よりも剛性が大幅に向上した。ただし、質量比は107%であり、質量は増加している。これは、側面部材2にアルミニウムよりも比重の大きい軟鋼を用いたことによる質量の増加量が、底面部材3にアルミニウムよりも比重の小さい高剛性樹脂を用いたことによる質量の減少量を上回ったためである。
側面部材2をCFRP材で形成し、底面部材3を高剛性樹脂で形成した場合、剛性比は144%であり、軟鋼を用いた場合と同様に剛性が大幅に向上している。また、質量比は62%であり、大幅に軽量化されている。このように、側面部材2を積層CFRP材で形成し、底面部材3を高剛性樹脂で形成することにより、高剛性化と軽量化とを同時に実現することができる。
一方、この場合とは逆に、側面部材2を高剛性樹脂で形成し、底面部材3を積層CFRP材で形成した場合、図示のように剛性比は30%に低下してしまう。また、質量比は71%であり、側面部材2と底面部材3とを共にアルミニウムで形成した場合よりは軽量化されているものの、側面部材2をCFRP材で形成し、底面部材3を高剛性樹脂で形成した場合より重くなっている。これは、側面部材2と比べて体積が大きい底面部材3に、高剛性樹脂よりも高密度の積層CFRP材を用いたことに起因する。
このように、同じ積層CFRP材および高剛性樹脂の組み合わせで筐体10を形成する場合であっても、側面部材2を積層CFRP材で形成し、底面部材3を高剛性樹脂で形成したときには高剛性化と軽量化とを同時に実現することができる一方、逆の組み合わせでは剛性が低下し、軽量化の度合いも小さくなってしまう。
これらの結果から、筐体10の全体としての剛性には、側面部材2の剛性の寄与が大きく、底面部材3のみの剛性を高めたとしても、側面部材2の剛性が低い場合には、筐体10全体として高い剛性は得られないことがわかる。
したがって、側面部材2は底面部材3よりも剛性の高い材料で形成する必要がある。また、一般的に、底面部材3の体積は側面部材2と比べて大きい(体積比:2〜4程度)ため、底面部材3を低密度な材料で形成することにより、筐体10全体として大きく軽量化することが可能になる。
側面部材2を積層CFRP材で形成し、底面部材3を低剛性樹脂で形成した場合、剛性比は67%に低下しているが、質量比は51%であり、試験対象の組み合わせのうち、最も軽量化されている。この結果から、アルミニウムで形成した筐体10と同程度またはそれ以上の剛性を得るためには、底面部材3についてもある程度(望ましくは10GPa以上)の剛性が必要であることがわかる。
また、図17は、底面部材3の材料を高剛性樹脂で固定し、側面部材2の材料を変えた場合の解析試験結果を示す図である。
図示のように、側面部材2をチタン合金で形成した場合、剛性比は89%となる。そして、アルミニウムで構成した場合71%となり、マグネシウム合金で構成した場合50%となる。
以上の結果からも、側面部材2を積層CFRP材で形成し、底面部材3を高剛性樹脂で形成する組み合わせが非常に優れていることがわかる。
このように、側面部材に剛性の高い材料を用い、底面部材には軽量の高剛性樹脂を用いることにより、筐体10の全体として、一定の剛性を保ちつつ軽量化することができる。したがって、筐体10の側面部材2としては積層CFRP材や金属材料のような高剛性材料を適用し、底面部材3としてはCFRP材よりも剛性は低いが軽量の樹脂材料を用いることが好ましい。
〔筐体側面を底面部材で構成した場合の剛性〕
以上のように、本実施形態にかかる筐体10は、筐体10の側面における側面部材2の占める割合が大きいため、側面部材2の剛性が筐体10全体の剛性に与える寄与も大きい。この寄与の大きさの解析結果を図18および図19に基づいて説明する。
図18は、解析の対象とした筐体の構成を示す横断面図であり、同図(a)は断面がI字型で側面部材10よりも高さの低い側面部材を用いた構成を示し、同図(b)は断面がL字型の側面部材を用いた構成を示している。
同図(a)(b)に示すように、側面部材10よりも高さの低い側面部材を用いる場合、筐体全体としての高さを保つため、底面部材の端部を立ち上げた構成とし、筐体側面が底面部材の立ち上がり部分(リブ)と、側面部材とで構成されるようにしている。
また、図19は、図18(a)(b)に示す構成の筐体の剛性を、図3に示した構成の筐体10の剛性に対する剛性比で示した図である。なお、断面がL字形状の側面部材の質量(体積)は、図3等に示す側面部材2の質量と同等にしている。また、図示のように、何れの筐体も側面部材を積層CFRP材とし、底面部材を高剛性樹脂材としている。その他の条件は上述の例と同じである。
図示のように、(側面部材の高さ/全体高さ)が0の場合、つまり側面部材を用いず、筐体側面も底面部材で構成した場合、図3等に示す筐体10と比べて、剛性が10%に低下する。また、(側面部材の高さ/全体高さ)を0.25とした場合には剛性が26%に低下し、0.5とした場合には57%に低下する。何れの場合も剛性の低下は著しい。
そして、図18(b)に示した断面がL字型の側面部材を用いた場合も、剛性が85%に低下する。このように、筐体10の高さに対して側面部材2の高さが高い(同図の例では(側面部材の高さ/全体高さ)が0.875)本実施形態の構成によれば、図18(b)に示すような従来の構成と比べて、筐体10の剛性をより高めることができる。
〔側面部材の形状についての補足〕
上述の例では、長方形状の平板を4枚接続した形状の側面部材2を用いる例を主に説明したが、側面部材2は積層CFRP材のような複雑な形状への成形または加工が難しい材料で形成できるような簡素な形状であればよく、この例に限られない。
例えば、図20に示すように、上面視で四隅にRが付いた形状であってもよい。図20は、四隅にRの付いた形状(四隅が上面視略円弧状)の側面部材2を用いた筐体10の上面図である。このような形状の側面部材2は、例えば1枚の平板を曲げることによって成形することができる。
図20のような構成においても、側面部材2の4つの側面の形状は両端部を除いて平板形状であって、全体として概ね平板形状であるといえる。側面部材2をこのような簡素な形状とすることにより、その材料として積層CFRP材のような複雑な形状への成形または加工が難しい材料を適用することが可能になる。
また、上述の例では、側面部材2の断面が長方形状である例を主に説明したが、この例に限られない。これについて、図21に基づいて説明する。図21は、側面部材2の断面形状の例を示す図である。
同図(a)は、長方形状である。図3等の例に示した側面部材2がこのような断面形状を有する。また、同図(b)は、切り欠きを有する長方形状である。図12に示した側面部材20がこのような断面形状を有する。なお、切り欠きは、筐体10の内部側に向いて設けられる。
同図(c)は、テーパを有する長方形状である。より詳細には、同図(c)の形状は、長方形の下端部が下端に近付くほど幅の狭いテーパ状となっている。このような断面形状の側面部材2を例えば図6のようにして底面部材3と接続した場合、形成される筐体10は、下面付近の側面が内向きに傾斜した形状となる。
また、同図(d)は1つの角がR状(円弧状)の長方形状である。このような断面形状の側面部材2を例えば図6のようにして底面部材3と接続した場合、形成される筐体10は、下面側の外側に向く角が円弧状となる。なお、上記「円弧状」には、一定半径の円の一部分となる形状のみならず、楕円の一部分のような曲面も含まれる。
これらの形状は、同図(a)に示すような断面形状の側面部材2の角を切削することによって形成することができる。側面部材2を積層CFRP材のような複雑な形状への成形または加工が難しい材料で形成した場合であっても、この程度の形状の加工であれば十分に可能である。
つまり、側面部材2は、断面が同図(a)に示すような長方形状である構成に限られず、同図(b)〜(d)に示すように、その一部を切削したような形状であってもよい。
〔側面部材の変形例〕
上述のように、側面部材2は、複数の平板を組み合せて形成されていてもよい。これについて、図23に基づいて説明する。図23は、本変形例の筐体70の組み立て方法を示す図である。
図示のように、側面部材52は、4つの側板部材52a〜52dを接続してなり、筐体70は側面部材52と底面部材60とを接続してなる。なお、底面部材60は、上述の底面部材3等と同様の構成・材質であるから、ここでは説明を省略する。
側板部材52a〜52dは、何れも平板状の形状であり、それぞれがその端部で接続されて、側面部材52の一側面を構成する。つまり、側板部材52a〜52dは、互いに接続されることによって、1つの側面部材52となる。無論、側面部材52(側板部材52a〜52d)は、底面部材60よりも剛性の高い材料で形成する。側板部材52a〜52dが接続された側面部材52の形状は、上述の側面部材2と同様である。
側板部材52a〜52dの間の接続は、接着剤や両面接着テープで行うことができる。そして、側面部材52と底面部材60とを接続することによって、筐体70が組み立てられる。なお、側面部材52と底面部材60とを接続する工程は図2と同様であるから、ここでは説明を省略する。
このように、図23の例では、側面部材2よりも形状が単純で、形成が容易な側板部材52a〜52dを用いて側面部材52を構成している。このため、側面部材2を1枚の平板で形成する場合のような折り曲げ加工が必要ない。したがって、1枚の平板で形成する側面部材2を用いた場合と比べて、筐体を安価に製造することが可能となる。
また、上述の側面部材2および側面部材52は、何れも筐体側面全体を構成しているが、側面部材は、筐体の側面の少なくとも一部を構成するものであればよい。これについて、図24に基づいて説明する。図24は、4つの側面のうち2面を側板部材52a、52bで構成した筐体71の組み立て方法を示す図である。
図示のように、筐体71は、突出部61a、61bを有する底面部材61と、側板部材52a、52bとを接続してなる。この接続は、接着剤や両面接着テープ等で行えばよい。この例では、側板部材52a、52bが側面部材ということになる。
底面部材61は、上述の底面部材3、60等と同様の構成・材質であるが、突出部61a、61bを有している点で相違する。突出部61a、61bは、側板部材52a、52bと共に筐体71の側面を構成する部分である。突出部61a、61bは、筐体71の側面のうち、側面部材(側板部材52a、52b)でカバーされていない部分をカバーする(側面部材で覆われていない部分を埋める)形状である。このため、図24の突出部61a、61bは、図23の側板部材52c、52dとそれぞれ同様の形状としている。
底面部材61は、高剛性樹脂等で形成することができるため、このような突出部61a、61bを作り込むことも容易である。なお、ここでは、底面部材51の一部が突出部61a、61bとなっているとして説明を行ったが、底面部材は、上述の底面部材3、60等のような平板状の底面部材に対し、突出部61a、61bと同様の形状の平板部材が接着または貼り付けされたものであってもよい。つまり、底面部材とは独立した第2の側面部材と、上記側面部材とを組み合せて筐体の側面を構成してもよい。
このように、側面の一部を底面部材がカバーする構成とする、あるいは側面の一部を底面部材と同様の材料(高剛性樹脂等)で構成することにより、筐体側面の形状の加工が容易になる。例えば、筐体側面に外部接続用の端子(例えばイヤホン端子)等を設置するための穴を設けることも容易である。このような側面の加工性を担保するという観点から、上記のような第2の側面部材を用いる場合、その材料は側面部材よりも加工性の高いものとすることが好ましい。
なお、図23の例では側面部材52を側面部材60に貼り付けて筐体70を形成する例を示し、図24の例では側板部材52a、52bを側面部材61に貼り付けて筐体71を形成する例を示したが、側面部材(または側板部材)と底面部材との接続方法は、これに限られない。
例えば、筐体70の場合、底面部材60を成形する時に、金型内に側面部材52を装填し、同時に成形する方法(インサート成形)で一体化してもよい。筐体71の場合も同様に、底面部材61に側板部材52a、52bをインサート成形して製造してもよい。
以上のように、側面部材は、筺体側面の少なくとも一部を構成するものであればよい。例えば、上述の例以外にも、4つの側面のうち1つ、あるいは3つを構成するものであってもよい。
また、上記では、側面部材および側板部材が、1つの側面の全部を構成している例を示したが、1つの側面の一部を構成するものであってもよい。例えば、1つの側面のうち、その幅の一部(例えば2/3)が側板部材で構成され、残りが底面部材の突出部(図24参照)や、高剛性樹脂等の側板部材で構成されていてもよい。
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
本発明の筐体10は、電子機器の筐体に利用することができ、特にスマートフォン、PDA等のような携帯型端末装置の筐体に好適に利用することができる。
1 携帯端末装置(携帯型電子機器)
2、20、52 側面部材
20a 切り欠き部
3、30、31、32、33、34 底面部材
30a、31a、33a 支持部
7 保護パネル(保護部材)
10、70、71 筐体
52a〜52d 側板部材(側面部材)

Claims (15)

  1. 携帯型電子機器の筐体であって、
    上記筐体の側面を構成する側面部材と、
    上記側面部材と接続されて上記筐体の底面を構成する底面部材とを含み、
    上記側面部材は、平板形状であって、上記底面部材よりも剛性が高いことを特徴とする筐体。
  2. 上記底面部材の密度は、上記側面部材の密度よりも小さいことを特徴とする請求項1に記載の筐体。
  3. 上記底面部材は、上記筐体の内部に収容する構成要素を支持する支持部を有することを特徴とする請求項1または2に記載の筐体。
  4. 上記支持部は、上記側面部材の内周に沿って設けられており、
    上記支持部と、上記側面部材の内側の面とが接着されていることを特徴とする請求項3に記載の筐体。
  5. 上記側面部材の高さは、上記筐体の内部空間の高さ以上であることを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の筐体。
  6. 上記側面部材の上面は、該側面部材によって形成される上記筐体の開口部を塞ぐ板状の保護部材を接着するための接着面となっていることを特徴とする請求項1から5の何れか1項に記載の筐体。
  7. 上記側面部材の上面に、上記保護部材を固定するための切り欠き部が設けられていることを特徴とする請求項6に記載の筐体。
  8. 上記側面部材の下端部の上記筐体の外側に向く角がテーパ状または円弧状に形成されていることを特徴とする請求項1から7の何れか1項に記載の筐体。
  9. 上記底面部材は、上記側面部材を覆って上記筐体の側面まで延在していることを特徴とする請求項1から8の何れか1項に記載の筐体。
  10. 上記底面部材の上記筐体の側面まで延在する端部は、上記側面部材の上面よりも上側まで達していることを特徴とする請求項9に記載の筐体。
  11. 上記筐体の側面の一部は、上記側面部材よりも加工の容易な材質の部材で構成されていることを特徴とする請求項1から10の何れか1項に記載の筐体。
  12. 上記側面部材は、複数の平板形状の部材を接続して形成されたものであることを特徴とする請求項1から11の何れか1項に記載の筐体。
  13. 上記側面部材は、炭素繊維を並べて樹脂で固めたシートを複数枚積層したCFRP材で形成されていることを特徴とする請求項1から12の何れか1項に記載の筐体。
  14. 上記底面部材は、細断した繊維を混合して形成された繊維強化樹脂で形成されていることを特徴とする請求項13に記載の筐体。
  15. 請求項1から14の何れか1項に記載の筐体を備えた携帯型電子機器。
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