JP2013138161A - 薄膜導電性フィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】電磁波シールド性能及びグランディング性能を有するとともに薄くて柔軟性に優れた薄膜導電性材料を提供する。
【解決手段】厚み方向に導電性を有する第1の部材と厚み方向及び面方向に導電性を有するメッシュ状からなる第2の部材とを少なくとも積層した積層部を備える。積層部は、第1の部材及び第2の部材を積層してなる厚さが8μm以上50μm以下である。
【選択図】図1

Description

本発明は、薄膜導電性フィルム、具体的に導電性を有する膜形状の電磁波遮蔽材やグランディング材に関するものである。
電子機器からの電磁波の漏洩や、外部からの電磁波による電子機器への影響を防止する目的で用いられる電磁波遮蔽膜が知られている(例えば、特許文献1参照)。このような電磁波遮蔽膜としては、金属箔や金属メッキした布帛がガスケット材やテープ材として用いられている。
近年電子機器の小型化、薄型化が進むに伴い、電磁波遮蔽膜として使用されるシールド材やグランディング材も薄さが求められている。薄さという点では金属箔や高分子フィルムに蒸着あるいはスパッタリングで金属膜を施したものがあるが、可撓性や柔軟性に欠けたり、シールド性能やグランディング性能に問題のあるものがある。
特開平11−170420号公報 特開2003−145709号公報
一方、繊維織物にメッキをしたものもよく使用されているがその構造から薄さという点では限界がある。また不織布にメッキを施したものは薄さという点では繊維織物に優ってはいるもののテープ形状にした時や打ち抜き製品にした時に切りくずが出やすく、この切りくずが電子機器のシールド加工時に飛散して機器配線間のショート等の悪影響を引き起こすという欠点がある。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、薄さを追及しつつも本来のシールド性能やグランディング性能は損なわず、柔軟性及び可撓性を持ち、製品形状としてテープや打ち抜きしても切りくずが生じない薄膜導電性フィルムを提供することを目的とする。
上記の課題を解決するために、本発明の薄膜導電性フィルムは、厚み方向に導電性を有する第1の部材と厚み方向及び面方向に導電性を有するメッシュ状からなる第2の部材とを少なくとも積層した積層部を備え、前記積層部は、前記第1の部材及び前記第2の部材を積層してなる厚さが8μm以上50μm以下であることを特徴とする。
また、上記薄膜導電性フィルムにおいては、前記積層部は、前記第1の部材における前記第2の部材を積層した側に設けられる第3の部材をさらに含み、前記第1の部材、前記第2の部材、及び前記第3の部材を積層してなる厚さが9μm以上50μm以下であっても良い。また、上記薄膜導電性フィルムにおいては、前記第3の部材が、厚み方向に導電性を有していても良い。
また、上記薄膜導電性フィルムにおいては、前記第1の部材及び前記第3の部材の少なくとも一方が導電性フィラーを含有するのが好ましい。
また、上記薄膜導電性フィルムにおいては、前記第1の部材及び前記第3の部材の少なくとも一方が粘着性を有するのが好ましい。
また、上記薄膜導電性フィルムにおいては、前記第1の部材及び前記第3の部材の少なくとも一方が防炎剤を含有するのが好ましい。
本発明の薄膜導電性フィルムによれば、シールド性能やグランディング性能を損なうことなく、薄型化を実現することで柔軟性及び可撓性を持ち、製品形状としてテープや打ち抜きしても切りくずが生じない優れた薄膜導電性フィルムを提供でき、よって電子機器の小型化や高性能化を図ることが可能となる。
第1実施形態に係る導電性フィルムの構成を示す断面図。 第1実施形態に係る導電性フィルムの製造工程を説明するための図。 図2に続く導電性フィルムの製造工程を説明するための図。 第2実施形態に係る導電性フィルムの構成を示す断面図。 第2実施形態に係る導電性フィルムの製造工程を説明するための図。
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態として薄膜導電性フィルム及びその製造方法について説明する。かかる実施の形態は、本発明の一態様を示すものであり、この発明を限定するものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。また、以下の図面においては、各構成をわかりやすくするために、実際の構造における縮尺や数等が異なっている。
(第1実施形態)
図1は本実施形態に係る薄膜導電性フィルムに係る構成を示す図である。図1に示されるように、本実施形態に係る導電性フィルム100は、ベース部材(第3の部材)101、メッシュ部材(第2の部材)102、及び被覆部材(第1の部材)103の3つが積層された積層体100Aを主体として構成されている。メッシュ部材102は被覆部材103により表面が覆われた状態とされている。
ベース部材101は、薄いフィルム形状を呈するもので、有機高分子材料により構成される。この有機高分子としては、一般的な有機高分子であるウレタン、アクリル、シリコン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン等を例示することができるほか、後述のように導電性有機高分子材料を用いてもよい。
また、ベース部材101は、少なくとも厚み方向に導電性を有していることが好ましい。この導電性を得るためには、フィルムを構成する材料自体が導電性を有するもので構成してもよく、あるいは前記の一般的な有機高分子中に導電性フィラーを分散させたものから構成してもよい。
前者、すなわち導電性を有する有機高分子材料としてはポリアニリンやポリピロール等を例示することができる。また、後者として使用される導電性フィラーの材質としては、金、銀、白金、銅、ニッケル、スズ、鉄、アルミ、ステンレス、マグネシウム、チタン及びその合金等の各種金属の他、カーボン等の導電性無機材料を例示でき、これらの中から1種ないしは2種以上を選択して使用することができる。また、導電性フィラーの形態としては球状や板状、棒状やファイバー状が例示され、これらを単独もしくは複合して使用できる。さらに、樹脂等の粒子表面に金属フィラー材をメッキして導電性を持たせたものを用いてもよい。
ベース部材101の厚みは1〜30μmの範囲であり、更に5〜20μmであることが好ましい。厚みが1μm未満では強度が不足し、30μm超では厚くなり過ぎてしまい、柔軟性及び可撓性が低下してしまうためである。
なお、製造の容易さや導電性や柔軟性やコストを考慮すると後者、すなわち導電性フィラーを分散させた有機高分子から素材を選択することが好ましい。特にウレタンやアクリル中に銀、銅、ニッケル、及びそれらの合金やメッキした粒子を分散するのがより望ましい。また、これらの樹脂はホットメルト性を有するものも後述する積層時に有効であるため選択肢のひとつと考えられる。しかしながら、これらの樹脂は最終製品として使用される環境と要求される性能から決定されるべきであり、上記種類に限定されるものではない。
また、上記メッシュ部材102は、本実施形態に係る導電性フィルム100において導電性及び電磁波シールド性を発現するための主要構造となるものであって、面方向と厚み方向に導電性を有している。
一般的に電磁波に対するシールド性能を確保するには金属材料を用いることが有利である。金属材料としては金、銀、白金、銅、ニッケル、スズ、鉄、アルミ、ステンレス、マグネシウム、チタン及びその合金等から選択可能であるが性能やコストから銅を用いるのが好ましい。
また、材料形態としては全面箔、細孔を設けた箔、メッシュ等を例示できるが、柔軟可撓性の点からメッシュ状とするのが好ましい。メッシュとしては金属部及び開口部の割合が、金属部10〜60%、開口部90〜40%の範囲とするのが好ましく、更に金属部20〜30%、開口部80〜70%とするのがより好ましい。ベース部材101及び被覆部材103は主要成分が有機高分子であり、相互を接した場合には接合性を有するのに対し、ベース部材101とメッシュ部材102、及びメッシュ部材102と被覆部材103は通常接合性を有さない。このため、メッシュ部材102の開口部が40%未満では、ベース部材101が接着材としての機能を有しない場合、各部材積層時にベース部材101と被覆部材103との接触面積が小さく層間の密着強度が不足して剥離が生じるおそれがある。また、開口部が90%超ではメッシュ部材102の導電性が不足して、電磁波シールド特性が悪化するからである。
また、メッシュ部材102の厚みは3〜20μmの範囲であり、更に5〜15μmであることが好ましい。厚みが3μm未満では強度が不足し、20μm超では厚すぎて硬くなり過ぎてしまい、柔軟性及び可撓性が低下してしまうためである。
このメッシュ部材102の導電性は表面抵抗値で表すことができるが、1.0Ω/□以下であることが好ましい。抵抗値が1.0Ω/□より高くなると、導電性が不足するために、十分な電磁波遮蔽性が得られなくなる虞がある。一方、表面抵抗値は低いほど電磁波遮蔽性も向上するが、上記の柔軟可撓性や各部材の接着性等を考慮した場合、0.01Ω/□程度より低くすることは難しい。表面抵抗値は0.5Ω/□以下であればより好ましく、0.1Ω/□以下であればさらに好ましい。
導電性フィルム100は電子機器などに使用される場合、要所に貼り付けられる場合が多く、被覆部材103は粘着性を持つことが好ましい。よって材料としてはアクリル、シリコン、ウレタン等の粘着剤中に導電性フィラーを分散させたものが好ましい。導電性フィラーとしては上記ベース部材101と同様のものが考えられる。被覆部材103はフィルム状(全面)でもパターン化された形状(例えばメッシュ状)やドット状でも構わない。この場合においても、本実施形態によれば、ベース部材101と被覆部材103とでメッシュ部材102を挟み込むことでメッシュ部材102の脱離を防ぐことができる。被覆部材103の厚みは5〜30μmの範囲に設定するのが望ましく、更に10〜20μmとするのがより好ましい。厚みが5μm未満では粘着性が不足し、30μm超では厚すぎて柔軟性及び可撓性が低下してしまうからである。また、このように作成した被覆部材103をベース部材101の代替品として使用すれば両面に粘着性をもった導電性フィルム100として使用することも可能である。
なおここで、本実施形態の導電性フィルム100を電磁波遮蔽膜として使用する際には、導電性フィルム100、特にメッシュ部材102が、シールドする電子機器のグランドに接続されている(導電性フィルム100がアースされている)ことが好ましい。上記ベース部材101及び被覆部材103が厚み方向に導電性を有するのは、主としてこのグランドへの接続のためである。
ここで、導電性フィルム100は上記の通り要所に貼り付けられて使用される場合が多いが、通常は被貼り付け物をグランドとすることが多いから、被覆部材103は厚み方向に導電性を有する必要がある。一方、貼り付けられた導電性フィルム100の表面側、すなわちベース部材101側は、被覆部材103側でグランドに接続されていることから、必ずしも導電性を有する必要はなく、従ってベース部材101は必ずしも導電性を有する必要はない。ただし、ベース部材101側からもグランド接続を行う場合においては、ベース部材101も厚み方向の導電性を有する必要がある。
また、被貼り付け物をグランドとせず、別にグランドを取る場合等においては、被覆部材103における厚み方向の導電性が不要となる一方で、ベース部材101における厚み方向の導電性が必要となる場合もある。
この、ベース部材101及び被覆部材103における厚み方向の抵抗値は、0.01Ω以上1Ω以下であることが好ましい。抵抗値が1Ωより高くなると、導電性フィルム100とグランドとの接続が不十分となる虞がある。一方、一般的な有機高分子中に導電性フィラーを分散させたものにおいては、導電性フィラーの含有量により導電性を制御できるが、抵抗値を0.01Ωより低くするためには導電性フィラーの使用量が過大となり、コスト面や柔軟性低下等の問題が生じる虞があるためである。この抵抗値は、0.01Ω以上0.5Ω以下であればより好ましく、0.01Ω以上0.1Ω以下であればさらに好ましい。
また、上記ベース部材101及び被覆部材103としては、少なくとも一方が防炎剤を含むものを用いるのが好ましい。これによれば、導電性フィルム100として燃え難いものを提供することができ、導電性フィルム100としての使用場所の幅が広がり、付加価値の高いものとなる。
また、上記積層体100Aの厚みは9μm以上50μm以下とするのが好ましい。このように厚みの条件を満たす積層部100Aを有した導電性フィルム100によれば、後述の実施例に示されるように電磁波シールド性能及びグランディング性能を有するとともに薄くて柔軟性に優れたものとなる。また、製品形状としてテープや打ち抜きしても切りくずが生じないものとなる。
続いて、上記導電性フィルム100の製造方法について説明する。図2、3は導電性フィルム100の製造方法を説明するための図である。
まず、ベース部材101、メッシュ部材102、及び被覆部材103を形成するための部材をそれぞれ用意する。ベース部材101を形成するための部材は、図2(a)に示されるように例えば離型紙110上に塗布された導電性フィラーを含有した有機高分子のモノマー、オリゴマーや溶剤に溶解させた有機高分子を塗布した後、硬化させた樹脂膜101aから構成される。このような樹脂としては例えばウレタン樹脂を挙げることができる。
また、メッシュ部材102を形成するための部材は、例えば図2(b)に示されるように格子状のメッシュ部を有するメッシュ用型部材Mを用い、メッシュ用型部材Mのメッシュ部M1に電解メッキにより銅メッキ部102aを3〜20μmの厚さ、より好ましくは5〜15μmの厚さで形成することで構成される。なお、メッシュ部M1としては例えば表面に被膜が形成されやすいステンレス等から構成されている。
被覆部材103を形成するための部材は、図2(c)に示されるように離型紙111上に塗布された導電性フィラーを含有した粘着性を有する樹脂膜、例えばアクリル系粘着剤103aから構成される。なお、ベース部材101、メッシュ部材102、及び被覆部材103を形成するための部材は、それぞれ上記厚みの条件を満たすように製造される。
続いて、図3(a)に示されるようにメッシュ用型部材Mに形成された銅メッキ部102aと離型紙111に形成されたアクリル系粘着剤103aとを貼り合せる。そして、図3(b)に示されるようにメッシュ用型部材Mを離間させることでメッシュ部材102の形成材料である銅メッキ部102aを被覆部材103の形成材料であるアクリル系粘着剤103a側へと転写する。このとき、上述のようにメッシュ部M1が表面に被膜が形成されやすいステンレス等から構成されるので、メッシュ部M1に形成された銅メッキ部102aはアクリル系粘着剤103aの粘着力によってアクリル系粘着剤103a側へと簡便に転写することができる。銅メッキ部102aはアクリル系粘着剤103aに転写されることでメッシュ部材102を構成する。
続いて、図3(c)に示されるように離型紙110上に形成された樹脂膜101aと、離型紙111上に形成されたメッシュ部材102(銅メッキ部102a)が転写されてなるアクリル系粘着剤103aとを貼り合せ、加圧する。このとき、貼り合せ時の加圧によって変形したアクリル系粘着剤103aがメッシュ部材102を覆った状態で樹脂膜101aと接着する。なお、アクリル系粘着剤103aと樹脂膜101aとの接着性を向上させるために加熱等を付加してもよい。最後に、図3(d)に示すように離型紙110,111を剥離する。これにより、樹脂膜101aはベース部材101を構成し、アクリル系粘着剤103aは被覆部材103を構成することとなり、導電性フィルム100が製造される。
(第2実施形態)
続いて、第2実施形態に係る導電性フィルム200の構成及びその製造方法について説明する。本実施形態と上記第1実施形態との違いは、導電性フィルムを構成する積層体が2層である点であり、それ以外の構成については共通である。従って、以下の説明では上記実施形態と共通の構成及び部材については、その詳細な説明については省略若しくは簡略化するものとする。
図4は本実施形態に係る導電性フィルム200の断面構成を示す図である。図4に示すように、本実施形態に係る導電性フィルム200は、メッシュ部材(第2の部材)202、及び被覆部材(第1の部材)203の2つが積層された積層体200Aを主体として構成されている。メッシュ部材202は、被覆部材203内に入り込んだ状態に設けられており、上面及び側面が覆われた状態とされ、底面が被覆部材203と略同一面となっている。
メッシュ部材202及び被覆部材203は、それぞれ上記第1実施形態に係るメッシュ部材102及び被覆部材103と同一の素材から構成されるものである。すなわち、メッシュ部材202は本実施形態に係る導電性フィルム200において導電性を発現するための主要構造となるものであって、面方向と厚み方向に導電性を有している。また、被覆部材203は、アクリル、シリコン、ウレタン等の粘着剤中に導電性フィラーを分散させたものから構成される。
本実施形態に係る積層体200Aの厚みは8μm以上50μm以下とするのが好ましい。なお、メッシュ部材202の厚みは3〜20μmの範囲であり、更に5〜15μmであることが好ましい。厚みが3μm未満では強度が不足し、20μm超では厚すぎて硬くなり過ぎてしまい、柔軟性及び可撓性が低下してしまうためである。また、被覆部材203の厚みは、上記第1実施形態と同様、5〜30μmの範囲に設定するのが望ましく、更に10〜20μmとするのがより好ましい。厚みが5μm未満では粘着性が不足し、30μm超では厚すぎて柔軟性及び可撓性が低下してしまうからである。
このような厚みの条件を満たす積層部200Aを有した導電性フィルム200によれば、電磁波シールド性能及びグランディング性能を有するとともに薄くて柔軟性に優れたものとなる。
続いて、上記導電性フィルム200の製造方法について説明する。図5は導電性フィルム200の製造方法を説明するための図である。なお、本実施形態に係る導電性フィルム200の製造方法において、メッシュ部材202及び被覆部材203を用意する工程においては上記第1実施形態と同一工程(図2(b)、(c)参照)であることから、以下では本実施形態の特徴であるメッシュ部材202の転写工程を中心に説明する。
まず、図5(a)に示すように、メッシュ部材202を形成するための部材として、メッシュ用型部材Mを用いて銅メッキ部202aを形成するとともに、被覆部材203を形成するための部材として離型紙211上にアクリル系粘着剤203aを形成する。
続いて、図5(b)に示すように、メッシュ用型部材Mに形成された銅メッキ部202aと離型紙211に形成されたアクリル系粘着剤203aとを貼り合せる。このとき、メッシュ用型部材Mをアクリル系粘着剤203aとを互いに押し付けることでアクリル系粘着剤203aと略同一面になるまで銅メッキ部202aをアクリル系粘着剤203a内に埋め込む。
そして、図5(c)に示されるようにメッシュ用型部材Mを離間させることでメッシュ部材202の形成材料である銅メッキ部202aを被覆部材203の形成材料であるアクリル系粘着剤203a側へと転写する。このとき、メッシュ部M1が表面に被膜が形成されやすいステンレス等から構成されているので、メッシュ部M1に形成された銅メッキ部202aはアクリル系粘着剤203aの粘着力によってアクリル系粘着剤203a側へと簡便に転写することができる。銅メッキ部202aはアクリル系粘着剤203aに転写されることでメッシュ部材202を構成する。最後に、図5(d)に示すように離型紙211を剥離する。これにより、メッシュ部材202及び被覆部材203の2層構造からなる積層体200Aを有した導電性フィルム200を製造することができる。
なお、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されることは無い。
例えば、上記第1実施形態では、離型紙110上に形成された樹脂膜101aを用いることでベース部材101を形成したが、ベース部材101としては、例えば上記図3(c)に示した工程に代えて、ベース部材101を構成するウレタン樹脂を離型紙111上に形成されたメッシュ部材102(銅メッキ部102a)が転写されてなるアクリル系粘着剤103aに直接塗布するようにしても構わない(後述の実施例2参照)。
また、上記第2実施形態では、メッシュ用型部材Mに形成された銅メッキ部202aと離型紙211に形成されたアクリル系粘着剤203aとを互いに押し付けることで、銅メッキ部202a(メッシュ部202)をアクリル系粘着剤203a(被覆部材203)に転写するとともに埋め込む構成を例に説明したが、両者を接触させるだけで互いに押し付けることなく銅メッキ部202aをアクリル系粘着剤203aに転写した後、別途剥離紙等を用いて銅メッキ部202aをアクリル系粘着剤203a内に押し込むようにしても構わない。さらにまた、銅メッキ部202aをアクリル系粘着剤203aに転写するとともに埋め込んだ後、別途剥離紙等を用いて銅メッキ部202aをアクリル系粘着剤203a内に押し込むようにしても構わない。
また、上記第2実施形態では、メッシュ部材202の底面が被覆部材203と略同一面に形成された構成を例に挙げたが、メッシュ部材202の一部が被覆部材203に埋め込まれた状態、すなわちメッシュ部材202が被覆部材203から突出した状態に設けられていても構わない。
(実施例1)
(ベース部材101の製造について)
ウレタンU3010(セイコー化成社製)100重量部、架橋剤イソシアネートCL4803(セイコー化成社製)20重量部、架橋促進剤UY−15(セイコー化成社製)3重量部、金属フィラーAgコートFCC−TB(福田金属箔粉工業社製)50重量部、粘度調整用DMF20重量部、MEK20重量部を混合し、ベース部材101用の樹脂膜とした。
具体的にポリプロピレンコートされた離型紙上にクリアランス約60μmにて前記樹脂をコートし、80℃にて3分の乾燥を行った。その結果、厚みが約20μmのウレタン膜を製造した。
(メッシュ部材102の製造について)
メッシュ用型部材Mとして、線巾25μm開口部の1辺の長さ290μm(住友大阪セメント社製)を用い、これに硫酸銅メッキ液にて2A/dmで10分間電気メッキを行い、厚み10μm、開口部84%の格子状銅メッシュ102aを準備した。本メッシュの表面抵抗値をロレスタ(三菱化学社製)にて測定すると0.04Ω/□であった。また電磁波シールド性能KEC法にて測定した結果、10MHzで40dB、100MHzで45dB、1000MHz(1GHz)で45dBであった。
(被覆部材103の製造について)
アクリル系粘着剤SKダイン1760(綜研化学社製)100重量部、銀フィラーS−201(大研化学工業社製)6重量部、粘度調整用トルエン50重量部を混合し被覆部材103の樹脂とした。シリコンコートされた離型紙上にクリアランス約40μmにて前記樹脂をコートし、80℃にて3分の乾燥を行った。その結果約10μm厚みのアクリル粘着膜が得られた。
(積層体100Aの製造について)
上記で得られた被覆部材103、メッシュ部材102、及びベース部材101を下から順に重ねた。なお、メッシュ部材102については上述の実施形態のように被覆部材103に先に転写しておく。
そして、ベース部材101及び被覆部材103に付いている離型紙110,111はそのままにして重ねた状態で1.2kg/cmの圧力で押えられた2本のゴムロール間を通過させプレスした。この時、メッシュ部材102の開口部から露出した被覆部材103の粘着剤がベース部材101と接着し、3層からなる構造体が得られた。
この方法であればベース部材101側に特に接着層を設けなくても3層構造体が得られ薄さを追求する点では有利となる。離型紙110,111を剥がすと目的の薄膜導電材料である上記導電性フィルム100が得られた。
実施例1に係る導電性フィルム100についての評価結果を下記の表1に示す。表1には、項目として材料の厚み、柔軟可撓性、打ち抜き加工性、導体(メッシュ部材)の表面抵抗値及びシールド性能、並びに厚み方向の導通性(抵抗値)を挙げている。
Figure 2013138161
実施例1に係る導電性フィルム100は全厚みが30μmで厚み方向の導通性は300mΩであった。厚み方向の導通性を金メッキされた2cmの面積を持つプレート間に前記積層体をはさみ、1kgの荷重をかけてプレート間の抵抗値を測定した。テスターとしてはミリオームハイテスターHIOKI3540(日置電機社製)を用いた。また、得られた積層体をJIS K 5600に準じて円筒型マンドレル法により屈曲試験を実施した結果、直径2mmのマンドレルを用いてもメッシュ部材102の格子状銅メッシュは破断せず、電磁波シールド特性は変化なく良好であり、非常に柔軟で追従性の良い導電材料が得られることが確認できた。
また、打抜き加工を行っても、切りくずや破片が発生することなく、良好な加工性を示していた。
(実施例2)
(ベース部材101の製造について)
ウレタンU3010(セイコー化成社製)100重量部、架橋剤イソシアネートCL4803(セイコー化成社製)20重量部、架橋促進剤UY−15(セイコー化成社製)3重量部、金属フィラーAgコートFCC−TB(福田金属箔粉工業社製)50重量部、粘度調整用DMF20重量部、MEK20重量部を混合し、ベース部材101用の樹脂として用いた。
なお、メッシュ部材102及び被覆部材103については、上記実施例1と同一の条件であることから、その製造工程については説明を省略する。
(積層体100Aの製造について)
はじめに、メッシュ部材102を、上述の実施形態のように被覆部材103に転写した。
上記で得られた、メッシュ部材102を転写した被覆部材103について、被覆部材103に付いている離型紙111はそのままにして、メッシュ部材102側を上にして平坦な台の上に固定した。その後、ベース部材101を構成する樹脂をワーヤーバー(WetFilm20μm)を使用し、メッシュ部材102上にコートした。
その後80℃で2分の乾燥を行い3層からなる構造体100Aが製造された。
続いて、離型紙111を剥がすと目的の薄膜導電材料である上記導電性フィルム100が得られた。
実施例2に係る導電性フィルム100についての評価結果を、上記の表1に示す。
この導電性フィルム100は全厚みが25μmで厚み方向の導通性が400mΩであった。また、実施例1と同様に得られた積層膜をJIS K 5600に準じて円筒型マンドレル法により屈曲試験を実施した結果、直径2mmのマンドレルを用いてもメッシュ部材102の格子状銅メッシュは破断せず、電磁波シールド特性は変化なく良好であり、非常に柔軟で追従性の良い導電材料が得られたことが確認できた。
また、打抜き加工を行っても、切りくずや破片が発生することなく、良好な加工性を示していた。
(実施例3)
(ベース部材101の製造について)
金属フィラーNi−255T(福田金属箔粉工業社製)を20重量部とした以外は実施例1と同様に行った。
(メッシュ部材102の製造について)
メッシュ用型部材Mとして、線巾25μm開口部の1辺の長さ290μm(住友大阪セメント社製)を用い、これに硫酸銅メッキ液にて2A/dmで5分間電気メッキを行い、厚み5μm、開口部84%の格子状銅メッシュ102aを準備した。本メッシュの表面抵抗値をロレスタ(三菱化学社製)にて測定すると0.10Ω/□であった。また電磁波シールド性能KEC法にて測定した結果、10MHzで35dB、100MHzで40dB、1000MHz(1GHz)で40dBであった。
(被覆部材103の製造について)
銀フィラーS−201(大研化学工業社製)を10重量部とした以外は、実施例1と同様に行った。
(積層体100Aの製造について)
実施例1と同様に行った。
この導電性フィルム100は全厚みが30μmで厚み方向の導通性が20mΩであった。また、実施例1と同様に得られた積層膜をJIS K 5600に準じて円筒型マンドレル法により屈曲試験を実施した結果、直径2mmのマンドレルを用いてもメッシュ部材102の格子状銅メッシュは破断せず、電磁波シールド特性は変化なく良好であり、非常に柔軟で追従性の良い導電材料が得られたことが確認できた。
また、打抜き加工を行っても、切りくずや破片が発生することなく、良好な加工性を示していた。
(実施例4)
(メッシュ部材202の製造について)
メッシュ用型部材Mとして、線巾20μm開口部の1辺の長さ180μm(住友大阪セメント社製)を用い、これに硫酸銅メッキ液にて2A/dmで10分間電気メッキを行い、厚み10μm、開口部79%の格子状銅メッシュ102aを準備した。本メッシュの表面抵抗値をロレスタ(三菱化学社製)にて測定すると0.02Ω/□であった。また電磁波シールド性能KEC法にて測定した結果、10MHzで55dB、100MHzで60dB、1000MHz(1GHz)で60dBであった。
(被覆部材203の製造について)
実施例1と同様に行った。
(積層体200Aの製造について)
第2実施形態の方法にてメッシュ部材202を被覆部材203に転写し、メッシュ部材202が被覆部材203の粘着剤に完全に埋め込まれた2層構造体が得られた。
この方法であればベース部材を設けない2層構造体が得られ、更に薄さを追求する点では有利となる。離型紙211を剥がすと目的の薄膜導電材料である上記導電性フィルム200が得られた。
この導電性フィルム200は全厚みが10μmで厚み方向の導通性が10mΩであった。また、実施例1と同様に得られた積層膜をJIS K 5600に準じて円筒型マンドレル法により屈曲試験を実施した結果、直径2mmのマンドレルを用いてもメッシュ部材102の格子状銅メッシュは破断せず、電磁波シールド特性は変化なく良好であり、非常に柔軟で追従性の良い導電材料が得られたことが確認できた。
また、打抜き加工を行っても、切りくずや破片が発生することなく、良好な加工性を示していた。
(実施例5)
(ベース部材101の製造について)
金属フィラーNi−255T(福田金属箔粉工業社製)を20重量部とした以外は実施例1と同様に行った。
(メッシュ部材102の製造について)
メッシュ用型部材Mとして、線巾20μm開口部の1辺の長さ270μm(住友大阪セメント社製)を用い、これに硫酸銅メッキ液にて2A/dmで10分間電気メッキを行い、厚み10μm、開口部86%の格子状銅メッシュ102aを準備した。本メッシュの表面抵抗値をロレスタ(三菱化学社製)にて測定すると0.06Ω/□であった。また電磁波シールド性能KEC法にて測定した結果、10MHzで50dB、100MHzで52dB、1000MHz(1GHz)で52dBであった。
(被覆部材103の製造について)
銀フィラーS−201(大研化学工業社製)を10重量部とした以外は、実施例1と同様に行った。
(積層体100Aの製造について)
実施例1と同様に行った。
この導電性フィルム100は全厚みが30μmで厚み方向の導通性が20mΩであった。また、実施例1と同様に得られた積層膜をJIS K 5600に準じて円筒型マンドレル法により屈曲試験を実施した結果、直径2mmのマンドレルを用いてもメッシュ部材102の格子状銅メッシュは破断せず、電磁波シールド特性は変化なく良好であり、非常に柔軟で追従性の良い導電材料が得られたことが確認できた。
また、打抜き加工を行っても、切りくずや破片が発生することなく、良好な加工性を示していた。
(実施例6)
(ベース部材101の製造について)
金属フィラーNi−255T(福田金属箔粉工業社製)を20重量部とした以外は実施例1と同様に行った。
(メッシュ部材102の製造について)
メッシュ用型部材Mとして、線巾20μm開口部の1辺の長さ180μm(住友大阪セメント社製)を用い、これに硫酸銅メッキ液にて2A/dmで10分間電気メッキを行い、厚み10μm、開口部79%の格子状銅メッシュ102aを準備した。本メッシュの表面抵抗値をロレスタ(三菱化学社製)にて測定すると0.02Ω/□であった。また電磁波シールド性能KEC法にて測定した結果、10MHzで55dB、100MHzで60dB、1000MHz(1GHz)で60dBであった。
(被覆部材103の製造について)
銀フィラーS−201(大研化学工業社製)を10重量部とした以外は、実施例1と同様に行った。
(積層体100Aの製造について)
実施例1と同様に行った。
この導電性フィルム100は全厚みが30μmで厚み方向の導通性が20mΩであった。また、実施例1と同様に得られた積層膜をJIS K 5600に準じて円筒型マンドレル法により屈曲試験を実施した結果、直径2mmのマンドレルを用いてもメッシュ部材102の格子状銅メッシュは破断せず、電磁波シールド特性は変化なく良好であり、非常に柔軟で追従性の良い導電材料が得られたことが確認できた。
また、打抜き加工を行っても、切りくずや破片が発生することなく、良好な加工性を示していた。
(比較例)
比較例1として織物メッキ品(粘着層無)、比較例2として不織布メッキ品(粘着層無)、比較例3として銅箔テープ(粘着層有)をそれぞれ選択し、実施例と同様の評価を行った。
比較例1〜3の評価結果を、上記の表1に示す。いずれの比較例も、実施例に比べて厚みが大であることや、その形態のため、柔軟可撓性や打抜き加工性が実施例に比べてに劣っていた。
100,200…導電性フィルム(薄膜導電性フィルム)、101…ベース部材(第3の部材)、102,202…メッシュ部材(第2の部材)、103,203…被覆部材(第1の部材)

Claims (6)

  1. 厚み方向に導電性を有する第1の部材と厚み方向及び面方向に導電性を有するメッシュ状からなる第2の部材とを少なくとも積層した積層部を備え、
    前記積層部は、前記第1の部材及び前記第2の部材を積層してなる厚さが8μm以上50μm以下であることを特徴とする薄膜導電性フィルム。
  2. 前記積層部は、前記第1の部材における前記第2の部材を積層した側に設けられる第3の部材をさらに含み、
    前記第1の部材、前記第2の部材、及び前記第3の部材を積層してなる厚さが9μm以上50μm以下であることを特徴とする請求項1に記載の薄膜導電性フィルム。
  3. 前記第3の部材が、厚み方向に導電性を有することを特徴とする請求項2に記載の薄膜導電性フィルム。
  4. 前記第1の部材及び前記第3の部材の少なくとも一方が導電性フィラーを含有することを特徴とする請求項1または3に記載の薄膜導電性フィルム。
  5. 前記第1の部材及び前記第3の部材の少なくとも一方が粘着性を有することを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の薄膜導電性フィルム。
  6. 前記第1の部材及び前記第3の部材の少なくとも一方が防炎剤を含有することを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の薄膜導電性フィルム。
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