以下、本実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各図において、同一又は類似した機能を発揮する構成要素には同一の参照符号を付し、重複する説明は省略する。
図1は、本実施形態における液晶表示装置の構成及び等価回路を概略的に示す図である。
すなわち、液晶表示装置は、アクティブマトリクスタイプの液晶表示パネルLPNを備えている。液晶表示パネルLPNは、第1基板であるアレイ基板ARと、アレイ基板ARに対向して配置された第2基板である対向基板CTと、これらのアレイ基板ARと対向基板CTとの間に保持された液晶層LQと、を備えている。このような液晶表示パネルLPNは、画像を表示するアクティブエリアACTを備えている。このアクティブエリアACTは、m×n個のマトリクス状に配置された複数の画素PXによって構成されている(但し、m及びnは正の整数である)。
液晶表示パネルLPNは、アクティブエリアACTにおいて、n本のゲート配線G(G1〜Gn)、n本の補助容量線C(C1〜Cn)、m本のソース配線S(S1〜Sm)などを備えている。ゲート配線G及び補助容量線Cは、例えば、第1方向Xに沿って略直線的に延出している。これらのゲート配線G及び補助容量線Cは、第1方向Xに交差する第2方向Yに沿って交互に並列配置されている。ここでは、第1方向Xと第2方向Yとは互いに略直交している。ソース配線Sは、ゲート配線G及び補助容量線Cと交差している。ソース配線Sは、第2方向Yに沿って略直線的に延出している。なお、ゲート配線G、補助容量線C、及び、ソース配線Sは、必ずしも直線的に延出していなくても良く、それらの一部が屈曲していてもよい。
各ゲート配線Gは、アクティブエリアACTの外側に引き出され、ゲートドライバGDに接続されている。各ソース配線Sは、アクティブエリアACTの外側に引き出され、ソースドライバSDに接続されている。これらのゲートドライバGD及びソースドライバSDの少なくとも一部は、例えば、アレイ基板ARに形成され、コントローラを内蔵した駆動ICチップ2と接続されている。
各画素PXは、スイッチング素子SW、画素電極PE、共通電極CEなどを備えている。保持容量Csは、例えば補助容量線Cと画素電極PEとの間に形成される。補助容量線Cは、補助容量電圧が印加される電圧印加部VCSと電気的に接続されている。
なお、本実施形態においては、液晶表示パネルLPNは、画素電極PEがアレイ基板ARに形成される一方で共通電極CEの少なくとも一部が対向基板CTに形成された構成であり、これらの画素電極PEと共通電極CEとの間に形成される電界を主に利用して液晶層LQの液晶分子をスイッチングする。画素電極PEと共通電極CEとの間に形成される電界は、第1方向Xと第2方向Yとで規定されるX−Y平面あるいは基板主面に対してわずかに傾いた斜め電界(あるいは、基板主面にほぼ平行な横電界)である。
スイッチング素子SWは、例えば、nチャネル薄膜トランジスタ(TFT)によって構成されている。このスイッチング素子SWは、ゲート配線G及びソース配線Sと電気的に接続されている。このようなスイッチング素子SWは、トップゲート型あるいはボトムゲート型のいずれであっても良い。また、スイッチング素子SWの半導体層SC(図2に示す)は、例えば、アモルファスシリコンによって形成されているが、ポリシリコンによって形成されていても良い。
画素電極PEは、各画素PXに配置され、スイッチング素子SWに電気的に接続されている。共通電極CEは、液晶層LQを介して複数の画素PXの画素電極PEに対して共通に配置されている。このような画素電極PE及び共通電極CEは、例えば、インジウム・ティン・オキサイド(ITO)やインジウム・ジンク・オキサイド(IZO)などの光透過性を有する導電材料によって形成されているが、アルミニウムなどの他の金属材料によって形成されても良い。
アレイ基板ARは、共通電極CEに電圧を印加するための給電部VSを備えている。この給電部VSは、例えば、アクティブエリアACTの外側に形成されている。共通電極CEは、アクティブエリアACTの外側に引き出され、図示しない導電部材を介して、給電部VSと電気的に接続されている。
図2は、図1に示した液晶表示パネルLPNを対向基板側から見たときの一画素PXの構造例を概略的に示す平面図である。ここでは、X−Y平面における平面図を示している。
図示した画素PXは、第1方向Xに沿った長さが第2方向Yに沿った長さよりも短い長方形状である。なお、本実施形態では、第1方向Xにおける画素PXの幅が約40μmであって、第2方向Yにおける画素PXの幅が約120μmである。
ゲート配線G1及びゲート配線G2は、第1方向Xに沿って延出している。補助容量線C1は、隣接するゲート配線G1とゲート配線G2との間に配置され、第1方向Xに沿って延出している。ソース配線S1及びソース配線S2は、第2方向Yに沿って延出している。画素電極PEは、隣接するソース配線S1とソース配線S2との間に配置されている。また、この画素電極PEは、ゲート配線G1とゲート配線G2との間に位置している。
図示した例では、画素PXにおいて、ソース配線S1は左側端部に配置され、ソース配線S2は右側端部に配置されている。厳密には、ソース配線S1は当該画素PXとその左側に隣接する画素との境界に跨って配置され、ソース配線S2は当該画素PXとその右側に隣接する画素との境界に跨って配置されている。
また、画素PXにおいて、ゲート配線G1は上側端部に配置され、ゲート配線G2は下側端部に配置されている。厳密には、ゲート配線G1は当該画素PXとその上側に隣接する画素との境界近傍において上側の画素に配置され、ゲート配線G2は当該画素PXとその下側に隣接する画素との境界近傍において画素PXに配置されている。
補助容量線C1は、画素PXの下端部近傍(該画素PXの画素電極PEに接続されたスイッチング素子SWの近傍)に配置されている。補助容量線C1は、画素PXの第1方向Xにおける略中央部において、第2方向Yにおける幅が広くなった容量部CsTを有している。
スイッチング素子SWは、図示した例では、ゲート配線G2及びソース配線S1に電気的に接続されている。このスイッチング素子SWは、ゲート配線G2とソース配線S1との交点近傍に設けられている。
スイッチング素子SWのゲート電極EGはゲート配線G2と電気的に接続され(あるいは一体に形成され)、ソース電極ESはソース配線S1と電気的に接続され(あるいは一体に形成され)、ドレイン電極EDは補助容量線C1と重なる領域に形成されたコンタクトホールCHを介して画素電極PEと電気的に接続されている。スイッチング素子SWのドレイン電極EDは画素PXの下側端部から第2方向Yに沿って上側に延び、画素電極PEの下まで延びて広がっている。
画素電極PEは、互いに電気的に接続された主画素電極PA及びコンタクト部PCを備えている。コンタクト部PCは画素PXの下側端部近傍(該画素PXの画素電極PEに接続されたスイッチング素子SWの近傍)に配置されている。主画素電極PAは、コンタクト部PCの第1方向Xにおける端よりも内側の複数の位置から画素PXの上側端部付近まで第2方向Yに沿ってそれぞれ直線的に延出している。図2の例では、画素電極PEは2つの主画素電極PAを備えている。すなわち、第1方向Xにおいて、コンタクト部PCの端は、主画素電極PAの端よりもソース配線S1、S2側に延びて、主画素電極PAの端よりも突出している。なお、コンタクト部PCの端は、第1方向Xに隣接する画素の画素電極と電気的に接続することのない範囲で、ソース配線S1、S2側に延びていればよく、ソース配線S1、S2上まで延びてもかまわない。
主画素電極PAは、第2方向Yに沿って略同一の幅を有する帯状に形成されている。コンタクト部PCは、コンタクトホールCHを介してスイッチング素子SWのドレイン電極DEと電気的に接続されている。このコンタクト部PCは、第1方向Xにおいて主画素電極PAよりも幅広に形成され、容量部CsTと対向して配置されている。
共通電極CEは、対向基板CT上に主共通電極CA及び副共通電極CBを備えている。主共通電極CAは、X−Y平面内において、主画素電極PAを挟んだ両側で主画素電極PAと略平行な第2方向Yに沿って直線的に延出している。あるいは、主共通電極CAは、ソース配線Sあるいはコンタクト部PCと対向するとともに主画素電極PAと略平行に延出している。このような主共通電極CAは、第2方向Yに沿って略同一の幅を有する帯状に形成されている。
図示した例では、主共通電極CAは、第1方向Xに沿って3本平行に並んでおり、画素PXの左右両端部と中央部とにそれぞれ配置されている。以下では、これらの主共通電極CAを区別するために、図中の左側の主共通電極をCALと称し、図中の右側の主共通電極をCARと称し、図中の中央の主共通電極をCACと称する。主共通電極CALはソース配線S1と対向し、主共通電極CARはソース配線S2と対向し、主共通電極CACは画素電極PEの主画素電極PA間においてコンタクト部PCと対向している。これらの主共通電極CAL、主共通電極CAR、及び、主共通電極CACは、アクティブエリア内あるいはアクティブエリア外において互いに電気的に接続されている。
画素PXにおいて、主共通電極CALは左側端部に配置され、主共通電極CARは右側端部に配置されている。厳密には、主共通電極CALは当該画素PXとその左側に隣接する画素との境界に跨って配置され、主共通電極CARは当該画素PXとその右側に隣接する画素との境界に跨って配置されている。主共通電極CACは当該画素PXの第1方向Xにおけるほぼ中央に配置されている。
副共通電極CBは、X−Y平面内において、第2方向Yに並んで配置された画素電極PE間において第1方向Xに沿って直線的に延びている。副共通電極CBは、主画素電極PAと略直交して延出している。このような副共通電極CBは、第1方向Xに沿って略同一の幅を有する帯状に形成されている。
図示した例では、副共通電極CBは、第2方向Yに並んで配置された画素電極PEの間に配置され、画素PXの上側と下側とのそれぞれに配置されている。以下では、これらの副共通電極CBを区別するために、図中の上側の副共通電極をCBUと称し、図中の下側の副共通電極をCBBと称する。副共通電極CBUはゲート配線G1と対向し、副共通電極CBBはゲート配線G2と対向している。これらの副共通電極CBU、及び、副共通電極CBBは、アクティブエリア内あるいはアクティブエリア外において互いに電気的に接続されている。すなわち、共通電極CEは、アクティブエリアにおいて格子状に形成されている。
画素PXにおいて、副共通電極CBUは上側端部に配置され、副共通電極CBBは下側端部に配置されている。厳密には、副共通電極CBUは当該画素PXとその上側に隣接する画素との境界近傍において上側の画素に配置され、副共通電極CBBは当該画素PXとその下側に隣接する画素との境界近傍において当該画素PXに配置されている。
画素電極PEと主共通電極CAとの位置関係に着目すると、主画素電極PAと主共通電極CAとは、第1方向Xに沿って交互に配置されている。これらの主画素電極PAと主共通電極CAとは、互いに略平行に配置されている。このとき、X−Y平面内において、主共通電極CAL、主共通電極CAR及び主共通電極CACは主画素電極PAとは重ならない。
すなわち、隣接する主共通電極CALと主共通電極CACとの間、及び、主共通電極CARと主共通電極CACとの間には、1本の主画素電極PAが位置している。換言すると、主共通電極CAL、主共通電極CAR及び主共通電極CACは、主画素電極PAの直上の位置を挟んだ両側に配置されている。あるいは、主画素電極PAは、主共通電極CALと主共通電極CACとの間、及び、主共通電極CARと主共通電極CACとの間に配置されている。このため、主共通電極CAL、主画素電極PA、主共通電極CAC、主画素電極PA、及び、主共通電極CARは、第1方向Xに沿ってこの順に配置されている。
これらの画素電極PEと共通電極CEとの第1方向Xに沿った間隔は略一定である。すなわち、主共通電極CALと主画素電極PAとの第1方向Xに沿った間隔、主共通電極CACと主画素電極PAとの第1方向Xに沿った間隔、及び、主共通電極CARと主画素電極PAとの第1方向Xに沿った間隔は略同等である。
図3は、図2に示した液晶表示パネルLPNを線III−IIIで切断したときの断面構造を概略的に示す断面図である。なお、ここでは、説明に必要な箇所のみを図示している。
液晶表示パネルLPNを構成するアレイ基板ARの背面側には、バックライト4が配置されている。バックライト4としては、種々の形態が適用可能であり、また、光源として発光ダイオード(LED)を利用したものや冷陰極管(CCFL)を利用したものなどのいずれでも適用可能であり、詳細な構造については説明を省略する。
アレイ基板ARは、光透過性を有する第1絶縁基板10を用いて形成されている。ソース配線Sは、第1層間絶縁膜11の上に形成され、第2層間絶縁膜12によって覆われている。なお、図示しないゲート配線や補助容量線は、例えば、第1絶縁基板10と第1層間絶縁膜11の間に配置されている。第2層間絶縁膜12上には平坦化膜13が配置されている。画素電極PEは、平坦化膜13の上に形成されている。この画素電極PEは、隣接するソース配線Sのそれぞれの直上の位置よりもそれらの内側に位置している。
第1配向膜AL1は、アレイ基板ARの対向基板CTと対向する面に配置され、アクティブエリアACTの略全体に亘って延在している。この第1配向膜AL1は、画素電極PEなどを覆っており、平坦化膜13の上にも配置されている。このような第1配向膜AL1は、水平配向性を示す材料によって形成されている。
なお、アレイ基板ARは、後述するように、さらに共通電極CEの一部を備えていても良い。
対向基板CTは、光透過性を有する第2絶縁基板20を用いて形成されている。この対向基板CTは、ブラックマトリクスBM、カラーフィルタCF、オーバーコート層OC、共通電極CE、第2配向膜AL2などを備えている。
ブラックマトリクスBMは、各画素PXを区画し、画素電極PEと対向する開口部APを形成する。すなわち、ブラックマトリクスBMは、ソース配線S、ゲート配線、補助容量線、スイッチング素子などの配線部に対向するように配置されている。ここでは、ブラックマトリクスBMは、第2方向Yに沿って延出した部分のみが図示されているが、第1方向Xに沿って延出した部分を備えていても良い。このブラックマトリクスBMは、第2絶縁基板20のアレイ基板ARに対向する内面20Aに配置されている。
カラーフィルタCFは、各画素PXに対応して配置されている。すなわち、カラーフィルタCFは、第2絶縁基板20の内面20Aにおける開口部APに配置されるとともに、その一部がブラックマトリクスBMに乗り上げている。第1方向Xに隣接する画素PXにそれぞれ配置されたカラーフィルタCFは、互いに色が異なる。例えば、カラーフィルタCFは、赤色、青色、緑色といった3原色にそれぞれ着色された樹脂材料によって形成されている。赤色に着色された樹脂材料からなる赤色カラーフィルタCFRは、赤色画素に対応して配置されている。青色に着色された樹脂材料からなる青色カラーフィルタCFBは、青色画素に対応して配置されている。緑色に着色された樹脂材料からなる緑色カラーフィルタ(図示せず)は、緑色画素に対応して配置されている。これらのカラーフィルタCF同士の境界は、ブラックマトリクスBMと重なる位置にある。
オーバーコート層OCは、カラーフィルタCFを覆っている。このオーバーコート層OCは、カラーフィルタCFの表面の凹凸の影響を緩和する。
共通電極CEは、オーバーコート層OCのアレイ基板ARと対向する側に形成されている。この共通電極CEと画素電極PEとの第3方向Zに沿った間隔は略一定である。第3方向Zとは、第1方向X及び第2方向Yに直交する方向、あるいは、液晶表示パネルLPNの法線方向である。
第2配向膜AL2は、対向基板CTのアレイ基板ARと対向する面に配置され、アクティブエリアACTの略全体に亘って延在している。この第2配向膜AL2は、共通電極CE及びオーバーコート層OCなどを覆っている。このような第2配向膜AL2は、水平配向性を示す材料によって形成されている。
これらの第1配向膜AL1及び第2配向膜AL2には、液晶層LQの液晶分子を初期配向させるための配向処理(例えば、ラビング処理や光配向処理)がなされている。第1配向膜AL1が液晶分子を初期配向させる第1配向処理方向PD1、及び、第2配向膜AL2が液晶分子を初期配向させる第2配向処理方向PD2は、互いに平行であって、互いに逆向きあるいは同じ向きである。例えば、これらの第1配向処理方向PD1及び第2配向処理方向PD2は、図2に示したように、第2方向Yと略平行であって、同じ向きである。
上述したようなアレイ基板ARと対向基板CTとは、それぞれの第1配向膜AL1及び第2配向膜AL2が対向するように配置されている。このとき、アレイ基板ARの第1配向膜AL1と対向基板CTの第2配向膜AL2との間には、例えば、樹脂材料によって一方の基板に一体的に形成された柱状スペーサにより、所定のセルギャップ、例えば2〜7μmのセルギャップが形成される。アレイ基板ARと対向基板CTとは、所定のセルギャップが形成された状態で、アクティブエリアACTの外側のシール材SBによって貼り合わせられている。
液晶層LQは、アレイ基板ARと対向基板CTとの間に形成されたセルギャップに保持され、第1配向膜AL1と第2配向膜AL2との間に配置されている。このような液晶層LQは、例えば、誘電率異方性が正(ポジ型)の液晶材料によって構成されている。
アレイ基板ARの外面、つまり、アレイ基板ARを構成する第1絶縁基板10の外面10Bには、第1光学素子OD1が接着剤などにより貼付されている。この第1光学素子OD1は、液晶表示パネルLPNのバックライト4と対向する側に位置しており、バックライト4から液晶表示パネルLPNに入射する入射光の偏光状態を制御する。この第1光学素子OD1は、第1偏光軸(あるいは第1吸収軸)を有する第1偏光板PL1を含んでいる。
対向基板CTの外面、つまり、対向基板CTを構成する第2絶縁基板20の外面20Bには、第2光学素子OD2が接着剤などにより貼付されている。この第2光学素子OD2は、液晶表示パネルLPNの表示面側に位置しており、液晶表示パネルLPNから出射した出射光の偏光状態を制御する。この第2光学素子OD2は、第2偏光軸(あるいは第2吸収軸)を有する第2偏光板PL2を含んでいる。
第1偏光板PL1の第1偏光軸と、第2偏光板PL2の第2偏光軸とは、例えば、直交する位置関係(クロスニコル)にある。このとき、一方の偏光板は、例えば、その偏光軸が液晶分子の初期配向方向つまり第1配向処理方向PD1あるいは第2配向処理方向PD2と平行または直交するように配置されている。初期配向方向が第2方向Yと平行である場合、一方の偏光板の偏光軸は、第2方向Yと平行、あるいは、第1方向Xと平行である。
次に、上記構成の液晶表示パネルLPNの動作について、図2及び図3を参照しながら説明する。
すなわち、液晶層LQに電圧が印加されていない状態、つまり、画素電極PEと共通電極CEとの間に電位差(あるいは電界)が形成されていない状態(OFF時)には、液晶層LQの液晶分子LMは、その長軸が第1配向膜AL1の第1配向処理方向PD1及び第2配向膜AL2の第2配向処理方向PD2を向くように配向している。このようなOFF時が初期配向状態に相当し、OFF時の液晶分子LMの配向方向が初期配向方向に相当する。
なお、厳密には、液晶分子LMは、X−Y平面に平行に配向しているとは限らず、プレチルトしている場合が多い。このため、ここでの液晶分子LMの初期配向方向とは、OFF時の液晶分子LMの長軸をX−Y平面に正射影した方向である。以下では、説明を簡略にするために、液晶分子LMは、X−Y平面に平行に配向しているものとし、X−Y平面と平行な面内で回転するものとして説明する。
ここでは、第1配向処理方向PD1及び第2配向処理方向PD2は、ともに第2方向Yと略平行な方向である。OFF時においては、液晶分子LMは、図2に破線で示したように、その長軸が第2方向Yと略平行な方向に初期配向する。つまり、液晶分子LMの初期配向方向は、第2方向Yと平行(あるいは、第2方向Yに対して0°)である。
図示した例のように、第1配向処理方向PD1及び第2配向処理方向PD2が平行且つ同じ向きである場合、液晶層LQの断面において、液晶分子LMは、液晶層LQの中間部付近で略水平(プレチルト角が略ゼロ)に配向し、ここを境界として第1配向膜AL1の近傍及び第2配向膜AL2の近傍において対称となるようなプレチルト角を持って配向する(スプレイ配向)。
ここで、第1配向膜AL1を第1配向処理方向PD1に配向処理した結果、第1配向膜AL1の近傍における液晶分子LMは第1配向処理方向PD1に初期配向され、第2配向膜AL2を第2配向処理方向PD2に配向処理した結果、第2配向膜AL2の近傍における液晶分子LMは第2配向処理方向PD2に初期配向される。そして、第1配向処理方向PD1と第2配向処理方向PD2は互いに平行で且つ同じ向きである場合には、上述のように液晶分子LMはスプレイ配向になり、上記したように液晶層LQの中間部を境界として、アレイ基板AR上の第1配向膜AL1の近傍での液晶分子LMの配向と対向基板CT上の第2配向膜AL2の近傍での液晶分子LMの配向は、上下で対称となる。このため、基板の法線方向から傾いた方向においても光学的に補償される。したがって、第1配向処理方向PD1及び第2配向処理方向PD2が互いに平行、且つ、同じ向きである場合には、黒表示の場合に光漏れが少なく、高コントラスト比を実現することができ、表示品位を向上することが可能となる。
なお、第1配向処理方向PD1及び第2配向処理方向PD2が互いに平行且つ逆向きである場合、液晶層LQの断面において、液晶分子LMは、第1配向膜AL1の近傍、第2配向膜AL2の近傍、及び、液晶層LQの中間部において略均一なプレチルト角を持って配向する(ホモジニアス配向)。
バックライト4からのバックライト光は、その一部が第1偏光板PL1を透過し、液晶表示パネルLPNに入射する。液晶表示パネルLPNに入射した光の偏光状態は、液晶層LQを通過する際に液晶分子LMの配向状態によって異なる。OFF時においては、液晶層LQを通過した光は、第2偏光板PL2によって吸収される(黒表示)。
一方、液晶層LQに電圧が印加された状態、つまり、画素電極PEと共通電極CEとの間に電位差(あるいは電界)が形成された状態(ON時)では、画素電極PEと共通電極CEとの間に基板と略平行な横電界(あるいは斜め電界)が形成される。液晶分子LMは、電界の影響を受け、その長軸が図中の実線で示したようにX−Y平面と略平行な平面内で回転する。
図2に示した例では、主画素電極PAと主共通電極CALとの間の領域内および主共通電極CACその右側の主画素電極PAとの間の領域内の液晶分子LMは、第2方向Yに対して時計回りに回転し、図中の左下を向くように配向する。主画素電極PAと主共通電極CARとの間の領域内および主共通電極CACとその左側の主画素電極PAとの間の領域内の液晶分子LMは、第2方向Yに対して反時計回りに回転し、図中の右下を向くように配向する。
このように、各画素PXにおいて、画素電極PEと共通電極CEとの間に電界が形成された状態では、液晶分子LMの配向方向は、画素電極PEと重なる位置を境界として複数の方向に分かれ、それぞれの配向方向でドメインを形成する。つまり、一画素PXには、複数のドメインが形成される。
このようなON時には、バックライト4から液晶表示パネルLPNに入射したバックライト光は、その一部が第1偏光板PL1を透過し、液晶表示パネルLPNに入射する。液晶層LQに入射したバックライト光は、その偏光状態が変化する。このようなON時においては、液晶層LQを通過した少なくとも一部の光は、第2偏光板PL2を透過する(白表示)。
なお、本実施形態の液晶表示装置では、1画素のX−Y平面で見た場合に、対向基板に配置された共通電極CEの内側にアレイ基板AR上に画素電極PEが配置されている。言い換えれば、1画素において画素電極PEは共通電極CEによって囲まれている。このように配置することによって、図5に示すように1画素内で電気力線の始点と終点をもち、自画素の電気力線が隣接画素に漏れることが無い。このため、例えば、第2方向Yに隣接した画素PX間において液晶層LQに印加される電界が互いに影響を受けることが抑制され、隣接画素からの電界の影響によって自画素の液晶分子が動くことが無く表示品位の劣化を抑制することができる。
さらに本実施形態では、画素電極PEのコンタクト部PCは、第1方向Xにおいて主画素電極PAよりもソース配線S1、S2側に延びている。このようにコンタクト部PCをソース配線S側に延ばすことにより、主共通電極CAL、CARと主画素電極PAとの間の領域と、主共通電極CACと主画素電極PAとの間の領域とは、同様に、コンタクト部PCと主画素電極PAと主共通電極CAと副共通電極CBとにより囲まれることとなる。このことにより、主画素電極PAと、主共通電極CAL、CARとの間の領域の液晶層にも、主共通電極CACと主画素電極PAとの間の領域の液晶層と同様の電界が印加されることとなる。したがって、本実施形態の液晶表示装置では、画素PXの第1方向Xにおける端部においても液晶分子LMの配向状態を十分に制御することが可能となり、透過率が低下することを回避することができる。すなわち、本実施形態の液晶表示装置によれば、表示品位の劣化を抑制することが可能な液晶表示装置を提供することができる。
なお、図2に示す場合では、コンタクト部PCの第1方向Xにおける端が主画素電極PAの端よりもソース配線S1、S2側に延びていたが、コンタクト部PCの少なくとも主画素電極PA側の端がソース配線S1、S2側に延びていれば良い。すなわち、コンタクト部PCは、主画素電極PAが設けられた端に沿って、第2方向Yに延びる端の一部が第1方向Xにおける主画素電極PAの端よりも第1方向Xに突出した凸部を備えてもよい。その場合であっても上述の実施形態と同様の効果を得ることができる。
また、本実施形態によれば、画素電極PEと共通電極CEとの間の電極間隙において高い透過率が得られるため、一画素あたりの透過率を十分に高くするためには、画素電極PEと主共通電極CAL及び主共通電極CARとの間の電極間距離を拡大することで対応することが可能となる。また、画素ピッチが異なる製品仕様に対しては、電極間距離を変更する(つまり、画素PXの略中央に配置された画素電極PEに対して主共通電極CAの配置位置を変更する)ことで、透過率分布のピーク条件を利用することが可能となる。つまり、本実施形態の表示モードにおいては、比較的画素ピッチが大きな低解像度の製品仕様から比較的画素ピッチが小さい高解像度の製品仕様まで、微細な電極加工を必ずしも必要とせず、電極間距離の設定により種々の画素ピッチの製品を提供することが可能となる。したがって、高透過率且つ高解像度の要求を容易に実現することが可能となる。
また、本実施形態によれば、ブラックマトリクスBMと重なる領域での透過率分布に着目すると、透過率が十分に低下している。これは、共通電極CEの位置よりも当該画素の外側に電界の漏れが発生せず、また、ブラックマトリクスBMを挟んで隣接する画素間で不所望な横電界が生じないため、ブラックマトリクスBMと重なる領域の液晶分子がOFF時(あるいは黒表示時)と同様に初期配向状態を保っているためである。したがって、隣接する画素間でカラーフィルタの色が異なる場合であっても、混色の発生を抑制することが可能となり、色再現性の低下やコントラスト比の低下を抑制することが可能となる。
また、アレイ基板ARと対向基板CTとの合わせずれが生じた際に、画素電極PEを挟んだ両側の共通電極CEとの水平電極間距離に差が生じることがある。しかしながら、このような合わせずれは、全ての画素PXに共通に生じるため、画素PX間での電界分布に相違はなく、画像の表示に及ぼす影響はきわめて小さい。また、例えアレイ基板ARと対向基板CTとの間で合わせズレが生じたとしても、隣接する画素への不所望な電界の漏れを抑制することが可能となる。このため、隣接する画素間でカラーフィルタの色が異なる場合であっても、混色の発生を抑制することが可能となり、色再現性の低下やコントラスト比の低下を抑制することが可能となる。
また、本実施形態によれば、主共通電極CAR及び主共通電極CALは、それぞれソース配線Sと対向している。特に、主共通電極CAL及び主共通電極CARがそれぞれソース配線S1及びソース配線S2の直上に配置されている場合には、主共通電極CAL及び主共通電極CARがソース配線S1及びソース配線S2よりも画素電極PE側に配置された場合と比較して、開口部APを拡大することができ、画素PXの透過率を向上することが可能となる。
また、主共通電極CAL及び主共通電極CARをそれぞれソース配線S1及びソース配線S2の直上に配置することによって、画素電極PEと主共通電極CAL及び主共通電極CARとの間の電極間距離を拡大することが可能となり、より水平に近い横電界を形成することが可能となる。このため、従来の構成であるIPSモード等の利点である広視野角化も維持することが可能となる。
また、本実施形態によれば、一画素内に複数のドメインを形成することが可能となる。このため、複数の方向で視野角を光学的に補償することができ、広視野角化が可能となる。
なお、上記の例では、液晶分子LMの初期配向方向が第2方向Yと平行である場合について説明したが、液晶分子LMの初期配向方向は、図2に示したように、第2方向Yを斜めに交差する斜め方向Dであっても良い。ここで、第2方向Yに対する初期配向方向Dのなす角度θ1は、0°より大きく45°より小さい角度である。なお、このなす角度θ1については、5°〜30°程度、より望ましくは20°以下とすることが液晶分子LMの配向制御の観点で極めて有効である。つまり、液晶分子LMの初期配向方向は、第2方向Yに対して0°乃至20°の範囲内の方向と略平行であることが望ましい。
また、上記の例では、液晶層LQが正(ポジ型)の誘電率異方性を有する液晶材料によって構成された場合について説明したが、液晶層LQは、誘電率異方性が負(ネガ型)の液晶材料によって構成されていても良い。但し、詳しい説明は省略するが、誘電率異方性が正負逆となる関係上、ネガ型液晶材料の場合、上記したなす角度θ1が45°〜90°、望ましくは70°以上とすることが好ましい。
なお、ON時においても、画素電極PE上あるいは共通電極CE上では、横電界がほとんど形成されない(あるいは、液晶分子LMを駆動するのに十分な電界が形成されない)ため、液晶分子LMは、OFF時と同様に初期配向方向からほとんど動かない。このため、画素電極PE及び共通電極CEがITOなどの光透過性の導電材料によって形成されていても、これらの領域ではバックライト光がほとんど透過せず、ON時において表示にほとんど寄与しない。したがって、画素電極PE及び共通電極CEは、必ずしも透明な導電材料によって形成される必要はなく、アルミニウムや銀、銅などの導電材料を用いて形成しても良い。
なお、本実施形態においては、共通電極CEは、対向基板CTに備えられた主共通電極CAに加えて、アレイ基板ARに備えられソース配線Sと対向する第2主共通電極を備えていても良い。この第2主共通電極は、主共通電極CAと略平行に延出し、しかも、主共通電極CAと同電位である。このような第2主共通電極を設けることにより、ソース配線Sからの不所望な電界をシールドすることが可能である。
なお、第2主共通電極を設けた場合には、第2主共通電極と電気的に接続することがない範囲で、第1方向Xにおいて、コンタクト部PCの端が主画素電極PAの端よりもソース配線S側に延びていれば良い。その場合であっても上述の実施形態と同様の効果を得ることができる。
また、共通電極CEは、対向基板CTに備えられた主共通電極CAに加えて、アレイ基板ARに備えられゲート配線Gや補助容量線Cと対向する第2副共通電極を備えていても良い。この第2副共通電極は、主共通電極CAと交差する方向に延出し、しかも、主共通電極CAと同電位である。このような第2副共通電極を設けたことにより、ゲート配線Gや補助容量線Cからの不所望な電界をシールドすることが可能である。このような第2主共通電極や第2副共通電極を備えた構成によれば、更なる表示品位の劣化を抑制することが可能となる。
以上説明したように、本実施形態によれば、表示品位の劣化を抑制することが可能な液晶表示装置を提供することが可能となる。
次に、第2実施形態の液晶表示装置について、図面を参照して説明する。
図4は、本実施形態の液晶表示パネルLPNを対向基板側から見たときの一画素PXの構造例を概略的に示す平面図である。なお、以下の説明において上述の実施形態と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
この例は、画素PXの画素電極PEが副画素電極PBを備える例である。なお、この例では、第1方向Xにおける画素PXの幅が約50μmであって、第2方向Yにおける画素PXの幅が約150μmである。
画素電極PEは、副画素電極PBをさらに有している。副画素電極PBは、コンタクト部PCと第2方向Yに延びた主画素電極PAの端との間に配置され、第1方向Xに延びている。副画素電極PBは第1方向Xに延びて主画素電極PA間を接続している。
換言すると、画素電極PEには、第1方向Xに延びる電極と第1方向Xと交差する第2方向Yに延びる電極とに囲まれた開口POが設けられ、第1方向Xに延びる電極が第2方向Yに延びる電極の第1方向Xにおける端より突出している。図4に示す例では、画素電極PEには、コンタクト部PCと、2本の主画素電極PAと、副画素電極PBとにより囲まれた開口POが設けられている。開口POは略矩形状である。第1方向Xにおいて、副画素電極PBの端は、主画素電極PAの端よりもソース配線S1、S2側に延びて、突出している。
なお、副画素電極PBは、隣接した画素に配置された画素電極と電気的に接続しない範囲で、ソース配線S1、S2側に延びていればよく、ソース配線S1、S2上まで延びてもかまわない。アレイ基板ARにソース配線Sと対向する第2主共通電極が設けられる場合には、画素電極PEのコンタクト部PCおよび副画素電極PBは、第2主共通電極と電気的に接続することがないように、第1方向Xにおいて主画素電極PAよりもソース配線S1、S2側に延びていれば良い。
共通電極CEは、副共通電極CBU及び副共通電極CBBの他に、さらに副共通電極CBを備えている。主共通電極CAは、第1方向Xに沿って3本平行に並んでおり、画素PXの左右両端部と中央部とにそれぞれ配置されている。以下では、これらの主共通電極CAを区別するために、図中の左側の主共通電極をCALと称し、図中の右側の主共通電極をCARと称し、図中の中央の主共通電極をCACと称する。
副共通電極CBは、X−Y平面内において、第2方向Yに並んで配置された画素電極PEのコンタクト部PCおよび副画素電極PBの間において第1方向Xに沿って直線的に延びている。副共通電極CBは、主画素電極PAと略直して延出している。このような副共通電極CBは、第2方向Yに沿って略同一の幅を有する帯状に形成されている。
図示した例では、副共通電極CBは、第2方向Yに並んで配置されたコンタクト部PCと副画素電極PBとの間に配置され、画素PXの上端部と下端部と中央部とにそれぞれ配置されている。以下では、これらの副共通電極CBを区別するために、図中の上側の副共通電極をCBUと称し、図中の下側の副共通電極をCBBと称し、図中中央の副共通電極をCBCと称する。副共通電極CBUはゲート配線G1と対向し、副共通電極CBBはゲート配線G2と対向している。これらの副共通電極CBU、CBB、CBCは、アクティブエリア内あるいはアクティブエリア外において互いに電気的に接続されている。
画素PXにおいて、副共通電極CBUは上側端部に配置され、副共通電極CBBは下側端部に配置されている。厳密には、副共通電極CBUは当該画素PXとその上側に隣接する画素との境界近傍において上側の画素に配置され、副共通電極CBBは当該画素PXとその下側に隣接する画素との境界近傍において下側の画素に配置されている。副共通電極CBCは、副共通電極CBUと副共通電極CBBとの間に配置されている。
画素電極PEと主共通電極CAとの位置関係に着目すると、主画素電極PAと主共通電極CAとは、第1方向Xに沿って交互に配置されている。主画素電極PAと主共通電極CAとは、互いに略平行に配置されている。このとき、X−Y平面内において、主共通電極CAL、主共通電極CAR、及び主共通電極CACは主画素電極PAとは重ならない。主共通電極CACは、画素電極PEの開口POと対向する位置に配置されている。
コンタクト部PCあるいは副画素電極PBと、副共通電極CBとは第2方向Yに沿って交互に配置されている。図4では、上側から、副共通電極CBU、副画素電極PB、副共通電極CBC、コンタクト部PC、副共通電極CBB、の順に並んで配置されている。第2方向Yにおいて、コンタクト部PCと副共通電極CBCとの距離、副共通電極CBCと副画素電極PBとの距離、および、副画素電極PBと副共通電極CBUは略等しい。
なお、第2方向Yにおける、コンタクト部PCと副共通電極CBCとの距離、副共通電極CBCと副画素電極PBとの距離、および、副画素電極PBと副共通電極CBUは、50μm以下であることが望ましい。
本実施形態の液晶表示装置は、上記以外の構成は上述の第1実施形態と同様であり、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
また、上記のように第1方向Xに延びる副画素電極PBおよび副共通電極CBCをさらに配置することにより、画素ピッチが大きくなりコンタクト部PCと副共通電極CBUとの距離が大きくなった場合であっても、液晶層LQに十分な電界を印加して液晶分子LMの配向状態を制御することが可能となる。図4の主共通電極CAL、主共通電極CAC、副共通電極CBC、副共通電極CBUによって囲まれた開口部分において、主画素電極PAと副画素電極PBによって画素電極が十字状になっている。同様に、主共通電極CAR、主共通電極CAC、副共通電極CBC、副共通電極CBUによって囲まれた開口部分において、主画素電極PAと副画素電極PBによって画素電極が十字状になっている。このように1画素において、対向基板上の共通電極によって囲まれた開口部分においてアレイ基板上の画素電極が十字状になる部分を適切にいくつか設けることにより、液晶層LQに十分な電界を印加した場合に液晶分子LMの配向はディスクリネーション等が生じることなく常に一定の配向状態に制御することが可能となる。したがって、本実施形態の液晶表示装置では、透過率が低下することを回避することができる。
さらに、本実施形態では、画素電極PEのコンタクト部PCは、第1方向Xにおいて主画素電極PAよりもソース配線S1、S2側に延びている。また、副画素電極PBは、第1方向Xにおいて主画素電極PAよりもソース配線S1、S2側に延びている。
このようにコンタクト部PCおよび副画素電極PBをソース配線S1、S2側に延ばすことにより、主共通電極CAL、CARと主画素電極PAとの間の領域と、主共通電極CACと主画素電極PAとの間の領域とは、同様に、コンタクト部PCあるいは副画素電極PBと主画素電極PAと主共通電極CAと副共通電極CBとにより囲まれることとなる。このことにより、主画素電極PAと、主共通電極CAL、CARとの間の領域の液晶層にも、主共通電極CACと主画素電極PAとの間の領域の液晶層と同様の電界が印加されることとなる。
したがって、本実施形態の液晶表示装置では、画素PXの第1方向Xにおける端部においても液晶分子LMの配向状態を十分に制御することが可能となり、透過率が低下することを回避することができる。すなわち、本実施形態の液晶表示装置によれば、第1実施形態と同様に、表示品位の劣化を抑制することが可能な液晶表示装置を提供することができる。
図5は、本実施形態の液晶表示パネルLPNを対向基板側から見たときの一画素PXの他の構造例を概略的に示す平面図である。この例は、画素PXの画素電極PEが副画素電極PBを備える例である。なお、この例では、第1方向Xにおける画素PXの幅が約75μmであって、第2方向Yにおける画素PXの幅が約230μmである。
図5に示す場合では、図4に示す場合よりも画素ピッチがさらに大きくなり、コンタクト部PCと副共通電極CBUとの第2方向Yの距離がさらに大きくなっている。そのため、コンタクト部PCと副共通電極CBUとの間に配置する副共通電極CBCと副画素電極PBとの数を増やしている。
具体的には、画素電極PEは、コンタクト部PCと第2方向Yに延びた主画素電極PAの端との間に配置された2つの副画素電極PBを有している。以下では説明のため、上側(副共通電極CBU側)の副画素電極をPB1と称し、下側(コンタクト部PC側)の副画素電極をPB2と称する。
換言すると、画素電極PEには、第1方向Xに延びる電極と第1方向Xと交差する第2方向Yに延びる電極とに囲まれた開口POが設けられ、第1方向Xに延びる電極が第2方向Yに延びる電極の第1方向Xにおける端より突出している。図5に示す例では、画素電極PEには、2本の主画素電極PA、副画素電極PB1および副画素電極PB2により囲まれた開口PO1と、コンタクト部PC、2本の主画素電極PAおよび副画素電極PB2により囲まれた開口PO2と、が設けられている。第1方向Xにおいて、コンタクト部PCと副画素電極PB1と副画素電極PB2との端は、主画素電極PAの端より突出している。開口PO1と開口PO2とは第2方向Yに並んでいる。
共通電極CEは、コンタクト部PCと副共通電極CBUとの間に配置された2つの副共通電極CBを有している。以下では、説明のために上側(副共通電極CBU側)の副共通電極CBをCBC1と称し、下側(コンタクト部PC側)の副画素電極をCBC2と称する。
コンタクト部PCあるいは副画素電極PBと、副共通電極CBとは第2方向Yに沿って交互に配置されている。図5では、上側から、副共通電極CBU、副画素電極PB1、副共通電極CBC1、副画素電極PB2、副共通電極CBC2、コンタクト部PC、副共通電極CBB、の順に並んで配置されている。第2方向Yにおいて、コンタクト部PCと副共通電極CBC2との距離、副共通電極CBC2と副画素電極PB2との距離、副画素電極PB2と副共通電極CBC1との距離、副共通電極CBC1と副画素電極PB1との距離、および、副画素電極PB1と副共通電極CBUは略等しく、50μm以下であることが望ましい。
本実施形態の液晶表示装置は、上記以外の構成は図4に示す画素と同様であって、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
また、上記のように画素ピッチがさらに大きくなった場合に、第1方向Xに延びる副画素電極PBおよび副共通電極CBの数を増やすことにより、画素ピッチが大きくなりコンタクト部PCと副共通電極CBUとの距離がさらに大きくなった場合であっても、液晶層LQに十分な電界を印加して液晶分子LMの配向状態を制御することが可能となる。すなわち、1画素において、対向基板上の共通電極によって囲まれた開口部分においてアレイ基板上の主画素電極PAと副画素電極PBによって画素電極が十字状になる部分をいくつか設けることにより、液晶層LQに十分な電界を印加した場合に液晶分子LMの配向は常に一定の配向状態に制御することが可能となる。したがって、本実施形態の液晶表示装置では、透過率が低下することを回避することができる。
また、副画素電極PBと副共通電極CBとの数を増やした場合であっても、コンタクト部PCおよび副画素電極PBをソース配線S1、S2側に延ばすことにより、主共通電極CAL、CARと主画素電極PAとの間の領域と、主共通電極CACと主画素電極PAとの間の領域とは、同様に、コンタクト部PCあるいは副画素電極PBと主画素電極PAと主共通電極CAと副共通電極CBとにより囲まれることとなる。このことにより、主画素電極PAと、主共通電極CAL、CARとの間の領域の液晶層にも、主共通電極CACと主画素電極PAとの間の領域の液晶層と同様の電界が印加されることとなる。
したがって、図5に示す例でも同様に、画素PXの第1方向Xにおける端部においても液晶分子LMの配向状態を十分に制御することが可能となり、透過率が低下することを回避し、第1実施形態と同様に、表示品位の劣化を抑制することが可能な液晶表示装置を提供することができる。
また、本実施形態では、主画素電極PA同士が副画素電極PBにより接続されている。したがって、一方の主画素電極PAがコンタクト部PCと副画素電極PBとの間で断線した場合であっても、もう一方の主画素電極PAおよび副画素電極PBを介して断線した位置よりも先端側の電極へ電圧を印加することができるため、断線による表示品位の劣化も抑制することが可能となる。
次に、第3実施形態の液晶表示装置について図面を参照して説明する。
図6は、本実施形態の液晶表示パネルLPNを対向基板側から見たときの一画素PXの構造例を概略的に示す平面図である。なお、本実施形態では、第1方向Xにおける画素PXの幅が約50μmであって、第2方向Yにおける画素PXの幅が約150μmである。
本実施形態では、補助容量線Cが画素PXの第2方向Yにおける中央部に配置されている。補助容量線Cの容量部CsTは、第1方向Xにおいて主共通電極CALと主共通電極CARとの間の中央部であって、第2方向Yにおいて副共通電極CBUと副共通電極CBBとの間の中央部に配置されている。
画素電極PEは、主画素電極PAとコンタクト部PCとを備えている。コンタクト部PCは、第1方向Xにおいて主共通電極CALと主共通電極CARとの間の中央部であって、第2方向Yにおいて副共通電極CBUと副共通電極CBBとの間の中央部に配置され、容量部CsTと対向している。コンタクト部PCは、主画素電極PAよりも幅広に形成されている。
主画素電極PAは、コンタクト部PCの第1方向Xにおける端よりも内側の4箇所から画素PXの上側端部付近および下端部付近まで第2方向Yに沿って直線的に延出している。コンタクト部PCから上側へ2本の主画素電極PAが延び、下側へ2本の主画素電極PAが延びている。すなわち、第1方向Xにおいて、コンタクト部PCの端は、主画素電極PAの端よりもソース配線S1、S2側に延びている。なお、コンタクト部PCの端は、第1方向Xに隣接する画素の画素電極と電気的に接続することのない範囲で、ソース配線S1、S2側に延びていればよく、ソース配線S1、S2上まで延びてもかまわない。
スイッチング素子SWのドレイン電極EDは、半導体層SC上から主共通電極CACと対向するようにコンタクト部PCの下層まで延び、コンタクトホールCHにおいてコンタクト部PCと電気的に接続されている。
本実施形態の液晶表示装置は、上記以外の構成は上述の第1実施形態と同様であり、第1実施形態の液晶表示装置と同様の効果を得ることができる。
本実施形態では、主画素電極PAと、主共通電極CAL、CARとの間の領域の液晶層にも、主共通電極CACと主画素電極PAとの間の領域の液晶層と同様の電界が印加され、画素PXの第1方向Xにおける端部においても液晶分子LMの配向状態を十分に制御することが可能となる。したがって、本実施形態の液晶表示装置によれば、第1実施形態と同様に、透過率が低下することを回避することができる。表示品位の劣化を抑制することが可能な液晶表示装置を提供することができる。
次に、第4実施形態の液晶表示装置について図面を参照して説明する。
図7は、本実施形態の液晶表示パネルLPNを対向基板側から見たときの一画素PXの構造例を概略的に示す平面図である。この例は、画素PXの画素電極PEが副画素電極PBを備える例である。なお、この例では、第1方向Xにおける画素PXの幅が約75μmであって、第2方向Yにおける画素PXの幅が約230μmである。
画素電極PEは、2つの副画素電極PBをさらに有している。副画素電極PBは、コンタクト部PCと第2方向Yに延びた主画素電極PAの端との間に配置され、第1方向Xに延びている。副画素電極PBは第1方向Xに延びて主画素電極PA間を接続している。副画素電極PBの第1方向Xにおける端は、主画素電極PAの端よりもソース配線S1、S2側に延びて、突出している。以下の説明において、コンタクト部PCと副共通電極CBUとの間に配置された副画素電極をPB1と称し、コンタクト部PCと副共通電極CBBとの間に配置された副画素電極をPB2と称する。
換言すると、画素電極PEには、第1方向Xに延びる電極と第1方向Xと交差する第2方向Yに延びる電極とに囲まれた開口POが設けられ、第1方向Xに延びる電極が第2方向Yに延びる電極の第1方向Xにおける端より突出している。図7に示す例では、画素電極PEには、コンタクト部PCと、2本の主画素電極PAと、副画素電極PB1とにより囲まれた開口PO3と、コンタクト部PCと、2本の主画素電極PAと、副画素電極PB2とにより囲まれた開口PO4と、が設けられている。第1方向Xにおいて、コンタクト部PCと副画素電極PB1と副画素電極PB2との端は、主画素電極PAの端よりも突出している。開口PO3と開口PO4とは、コンタクト部PCを挟んで第2方向Yに並んでいる。
なお、副画素電極PBは、隣接した画素に配置された画素電極と電気的に接続しない範囲で、ソース配線S1、S2側に延びていればよく、ソース配線S1、S2上まで延びてもかまわない。アレイ基板ARにソース配線Sと対向する第2主共通電極が設けられる場合には、画素電極PEのコンタクト部PCおよび副画素電極PBは、第2主共通電極と電気的に接続することがないように、第1方向Xにおいて主画素電極PAよりもソース配線S1、S2側に延びていれば良い。
共通電極CEは、副共通電極CBUと副共通電極CBBの他に、2つの副共通電極CBをさらに備えている。副共通電極CBは、X−Y平面内において、第2方向Yに並んで配置された画素電極PEのコンタクト部PCおよび副画素電極PBの間において第1方向Xに沿って直線的に延びている。副共通電極CBは、主画素電極PAと略直して延出している。このような副共通電極CBは、第2方向Yに沿って略同一の幅を有する帯状に形成されている。
図示した例では、副共通電極CBは、第2方向Yに並んで配置されたコンタクト部PCと副画素電極PBとの間に配置され、画素PXの上端部と下端部と中央部とにそれぞれ配置されている。
以下では、これらの副共通電極CBを区別するために、図中の上側の副共通電極をCBUと称し、図中の下側の副共通電極をCBBと称し、コンタクト部PCと副画素電極PB1との間に配置された副共通電極をCBC1と称し、コンタクト部PCと副画素電極PB2との間に配置された副画素電極をCBC2と称する。副共通電極CBUはゲート配線G1と対向し、副共通電極CBBはゲート配線G2と対向している。これらの副共通電極CBU、CBB、CBC1、CBC2は、アクティブエリア内あるいはアクティブエリア外において互いに電気的に接続されている。
コンタクト部PCあるいは副画素電極PBと、副共通電極CBとは第2方向Yに沿って交互に配置されている。図7では、上側から、副共通電極CBU、副画素電極PB1、副共通電極CBC1、コンタクト部PC、副共通電極CBC2、副画素電極PB2、副共通電極CBB、の順に並んで配置されている。第2方向Yにおいて、コンタクト部PCと副共通電極CBCとの距離、副共通電極CBCと副画素電極PBとの距離、および、副画素電極PBと副共通電極CBUは略等しい。
なお、第2方向Yにおける、コンタクト部PCと副共通電極CBCとの距離、副共通電極CBCと副画素電極PBとの距離、および、副画素電極PBと副共通電極CBUは、50μm以下であることが望ましい。
本実施形態の液晶表示装置は、上記以外の構成は上述の第3実施形態と同様であり、第3実施形態と同様の効果を得ることができる。
また、上記のように第1方向Xに延びる副画素電極PBおよび副共通電極CBCをさらに配置することにより、画素ピッチが大きくなりコンタクト部PCと副共通電極CBUとの距離、コンタクト部PCと副共通電極CBBとの距離が大きくなった場合であっても、液晶層LQに十分な電界を印加して液晶分子LMの配向状態を制御することが可能となる。したがって、本実施形態の液晶表示装置では、透過率が低下することを回避することができる。
さらに、本実施形態では、コンタクト部PCおよび副画素電極PBを、主画素電極PAの端よりもソース配線S1、S2側に延ばすことにより、主共通電極CAL、CARと主画素電極PAとの間の領域と、主共通電極CACと主画素電極PAとの間の領域とは、同様に、コンタクト部PCあるいは副画素電極PBと主画素電極PAと主共通電極CAと副共通電極CBとにより囲まれることとなる。このことにより、主画素電極PAと、主共通電極CAL、CARとの間の領域の液晶層にも、主共通電極CACと主画素電極PAとの間の領域の液晶層と同様の電界が印加されることとなる。
したがって、本実施形態の液晶表示装置では、画素PXの第1方向Xにおける端部においても液晶分子LMの配向状態を十分に制御することが可能となり、透過率が低下することを回避することができる。つまり、1画素において、対向基板上の共通電極によって囲まれた開口部分においてアレイ基板上の主画素電極PAと副画素電極PBによって画素電極が十字状になる部分を適切にいくつか設けることにより、液晶層LQに十分な電界を印加した場合に液晶分子LMの配向は常に一定の配向状態に制御することが可能となる。すなわち、本実施形態の液晶表示装置によれば、第1実施形態と同様に、表示品位の劣化を抑制することが可能な液晶表示装置を提供することができる。
なお、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。