JP2013136224A - 空気入りタイヤの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】インナーライナー2の幅方向端部と未加硫ゴムシート3の幅方向端部3a、3bを幅方向に50mm〜500mmずらして貼り合わせて積層体を製造し、ドラム幅に対応する一定長さに切断して裁断シートを製造し、裁断面がドラム周方向で、インナーライナーが内面側となるように巻きつけて接合し、タイヤ内側の第1層と、第2層の複合層で構成され、第1層はスチレン−イソブチレン−スチレンブロック共重合体のスチレンブロック部分が不飽和結合を有する酸塩化物もしくは酸無水物で変性されたSIBS変性共重合体を含むエラストマー組成物で、第2層はスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体およびスチレン−イソブチレンブロック共重合体の少なくともいずれかを含むエラストマー組成物よりなる。
【選択図】図4
Description
面に露出する構造となるため、エアー漏れの経路となり、タイヤ内圧低下を生じやすくなる。
(a)インナーライナーの幅方向端部と未加硫ゴムシートの幅方向端部を幅方向に相互に50mm〜500mmずらして貼り合わせて積層体を製造するアッセンブル工程と、
(b)前記積層体を、ドラム幅に対応する一定長さに切断して、裁断シートを製造する裁断工程と、
(c)前記裁断シートを、その裁断面がドラムの周方向となり、かつインナーライナーが内面側となるようにドラム全周に巻きつけて、インナーライナーの端部と、未加硫ゴムシートの端部の位置を一定距離ずらして接合する接合工程を有し、
前記インナーライナーは、タイヤ内側に配置される第1層と、前記未加硫ゴムシートと接するように配置される第2層の複合層で構成されており、
前記第1層は、スチレン−イソブチレン−スチレンブロック共重合体のスチレンブロック部分が不飽和結合を有する酸塩化物もしくは酸無水物で変性されたSIBS変性共重合体を含むエラストマー組成物よりなり、厚さが0.05mm〜0.6mmであり、
前記第2層は、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体およびスチレン−イソブチレンブロック共重合体の少なくともいずれかを含むエラストマー組成物よりなり、厚さが0.01mm〜0.3mmであることを特徴とする空気入りタイヤの製造方法に関する。
重合体の混合物とすることができる。更に前記第1層および第2層のいずれかは、粘着付与剤が配合されることが望ましい。また前記第1層および第2層のいずれかは、ゴム成分がエラストマー成分の5〜75質量%配合されることが望ましい。
(a)インナーライナーの幅方向端部と未加硫ゴムシートの幅方向端部を、幅方向に相互に50mm〜500mmの範囲で、ずらして貼り合わせて積層体を製造するアッセンブル工程。
(b)前記積層体を、ドラム幅に対応する一定長さに切断して、裁断シートを製造する裁断工程。
(c)前記裁断シートを、その裁断面がドラム周方向となり、かつインナーライナーが内面側となるようにドラム全周に巻きつけて、インナーライナーの端部と、未加硫ゴムシートの端部の位置を一定距離ずらして接合する接合工程。
実施の形態1
<アッセンブル工程>
図1はアッセンブル工程を示す横方向概略図であり、図2はアッセンブル工程を示す斜視概略図である。図1および図2において、フィルム状のインナーライナー2は離型紙で被覆された状態で、保管ロールR1から第1駆動ローラR2を介して矢印方向に送られて剥離ローラR3,R4において離型紙と分離される。そして、インナーライナー2は、一対のカレンダーロールR7に送られる。
図3は裁断工程を示す斜視概略図である。積層体1はベルトコンベヤによって裁断機に、巻取ロールR8から送られるか、もしくはアッセンブル工程から連続的に送られる。積層体1は、タイヤのサイズに応じて長手方向に所定の長さで裁断され、裁断シート4を製造する。なお積層体の裁断はナイフカットなどの従来の方法が採用できる。この裁断シート4の、裁断方向がドラムの円周方向に、長手方向の裁断長さがドラム5の幅方向に対応することになる。またインナーライナーの裁断長さはタイヤサイズによって、適宜、調整される。
図4は、積層体を裁断した裁断シートの接合工程を示す概略図である。ここで図4(a)は、裁断シート4の断面図であり、図4(b)は、裁断シート4をドラム5上に巻きつけ方法を示す概略図である。インナーライナー2がドラム5の表面に隣接するように積層体を巻きつける。ここでインナーライナーの端部2a,2bが相互に接合されて接合部を形成する位置と、未加硫ゴムシートの端部3a,3bが相互に接合されて接合部を形成する位置は、相互にオフセットされている。
前述の如く接合工程において、インナーライナーと未加硫カーカスプライの積層体を製造し、これをドラム状で円筒状に形成する。接合工程の後、ドラム両端に位置する積層体の両端部分をビードコアの周りに巻き返した後、ビードコア同士の間隔を狭めながらインナーライナーと未加硫のカーカスプライの積層体の中央部を膨出変形させる。この作動に伴って積層体の中央部分に、ベルト部材、トレッドゴム等を貼着し、さらにサイドウォール、ビードエーペックスなどの他のゴム部材をも貼り付けて生タイヤを成形する。このように成形された生タイヤを金型に投入して、従来の方法で加硫することで製品タイヤを製造することができる。
実施の形態2では、インナーライナー2の幅W2は、未加硫ゴムシート3の幅W1よりも広く形成される。
図5は裁断工程を示す概略図である。積層体1はベルトコンベヤによって裁断機に巻取ロールR8から送られるか、もしくはアッセンブル工程から連続的に送られる。積層体1はタイヤのサイズに応じて長手方向に所定の長さで裁断されて裁断シート4が製造される。なお積層体の裁断はナイフカットなどの従来の技術が採用できる。この裁断シート4の裁断方向がドラムの円周方向に、一方、長手方向の裁断長さがドラム5の幅方向に対応することになる。
図6(a)は、裁断シートの断面図、図6(b)は裁断シートをドラムに巻き付ける状態を示す概略図である。ここでドラム5の上にインナーライナー2が接するように巻きつけられ、その両端2a、2bは重複するようにして接合部を形成する。その上にインスレーションなどの未加硫ゴムシート3の両端3a、3bを接合するには、未加硫ゴム片6が用いられる。この場合に接合部は2ヶ所形成されるが、前記インナーライナーとの接合部位置とはオフセットされている。
本発明の実施の形態1,2において使用されるインナーライナーは、タイヤ内側に配置される第1層と、前記カーカスプライのゴム層と接して配置される第2層の複合層で構成されている。
前記第1層は、SIBS変性共重合体をエラストマー成分の10質量%〜100質量%含む組成物である。ここでSIBS変性共重合体は、そのスチレンブロック部分が不飽和結合を有する酸塩化物もしくは酸無水物で変性されたものであり、分子鎖中に次の式(1)の化学構造を含んでいる。
本発明で変性に用いられる不飽和結合を有する酸塩化物とは、メタクリル酸クロライド、メタクリル酸ブロマイド、メタクリル酸ヨウダイド、アクリル酸クロライド、アクリル酸ブロマイド、アクリル酸ヨウダイド、クロトニル酸クロライドおよびクロトニル酸ブロマイドが例示される。特に、メタクリル酸クロライド、アクリル酸クロライドが好適である。
イドの配合量は、熱可塑性エラストマー成分100質量部に対して0.1〜3.0質量部の範囲が好ましい。
SIBSは、一般的なビニル系化合物のリビングカチオン重合法により得ることができ。例えば、特開昭62−48704号公報および特開昭64−62308号公報には、イソブチレンと他のビニル化合物とのリビングカチオン重合が可能であり、ビニル化合物にイソブチレンと他の化合物を用いることでポリイソブチレン系のブロック共重合体を製造できることが開示されている。
例えば特許第4551005号公報に開示されている。
前記第1層はSIBS変性共重合体を含むエラストマー組成物である。即ち、エラストマー成分中にSIBS変性共重合体を10質量%以上、さらに35質量%以上含むことが好ましい。ここでエラストマー成分は、スチレン系熱可塑性エラストマー、ウレタン系熱可塑性エラストマーなどが好適に使用できる。
前記第2層は、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)およびスチレン−イソブチレンブロック共重合体(SIB)のいずれかの熱可塑性エラストマーを含む組成物である。また第2層はSIBS変性共重合体、スチレン系熱可塑性エラストマーまたはゴム成分を含むことができる。SIBS変性共重合体は、熱可塑性エラストマー成分全体の5〜80質量%、さらに10〜80質量%の範囲が好ましい。SIBS変性体共重合体が、5質量%未満の場合は、第1層との加硫接着力が低下する可能性があり、80質量%を超えるとカーカスプライとの接着力が低下する可能性がある。
本発明では第2層をSISとSIBSの混合物、またはSIBとSIBSの混合物で構成することができる。この場合、SIBSの配合量は、エラストマー成分の10〜80質量%の範囲で調整される。SIBSが10質量%より少ないと第1層との接着性が低下し、SIBSが80質量%を超えるとカーカスプライとの接着性が低下する傾向がある。
本発明において、前記第1層及び第2層の少なくともいずれかは、エラストマー成分100質量に対し、粘着付与剤を0.1〜100質量部の範囲で配合できる。ここで粘着付与剤とは、エラストマー組成物の粘着性を増進するための配合剤をいい、例えば次の粘着付与剤が例示される。
(株)製、軟化点70℃〜130℃)がある。
第1層または第2層のエラストマー組成物には、ゴム成分を配合することができる。ゴム成分の配合によって、隣接するカーカスプライとの未加硫状態での粘着性を付与し、加硫によりカーカスプライやインスレーションとの加硫接着性を高めることができる。
本発明において、エラストマー組成物は、好ましくは紫外線吸収剤を含む。紫外線吸収剤は、波長290nm以上の紫外線領域の光を吸収し高分子化合物の分子鎖の劣化を防止する。例えば、ベンゾフェノン系、サリチレート系およびベンゾトリアゾール系の紫外線吸収剤は高分子化合物が最も劣化を受けやすい波長320nm〜350nm付近の紫外線光を吸収する。この波長域の光を振動エネルギーや熱エネルギーに変換することで高分子化合物への吸収を防止する機能を有する。特に、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤が幅広い紫外線光を吸収できる。ここで、紫外線吸収剤を例示すれば次のとおりである。
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤として、TINUVIN P/FL(BASF社製、分子量225、融点128〜132℃、最大吸収波長341nm)(2−(2−ヒドロキシ−ベンゾトリアゾール−2−イル)−p−クレゾール)、TINUVIN 234(BASF社製、分子量447.6、融点137〜141℃、最大吸収波長343nm)(2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α、α’ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール)、TINUVIN 326/FL(BASF社製、分子量315.8、融点138〜141℃、最大吸収波長353nm)、アデカスタブLA−36((株)ADEKA製)(2−(2’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール)、TINUVIN 237(BASF社製、分子量338.4、融点139〜144℃、最大吸収波長359nm)(2,4−ジ−t−ブチル−6−(5−クロロベンゾトリアゾール−2−イル−)フェノール)、TINUVIN 328(BASF社製、分子量351.5、融点80〜88℃、最大吸収波長347nm)(2−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール)およびTINUVIN 329/FL(BASF社製、分子量323、融点103〜105℃、最大吸収波長343nm)(2−(2−ヒドロキシ−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−tert−オクチルフェノール)が例示できる。
液状紫外線吸収剤として、TINUVIN 213(BASF社製、融点−40℃、最大吸収波長344nm)(5−(2−ヒドロキシ−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシ−3−tert−ブチルベンゼンプロパン酸メチル)、TINUVIN 571(BASF社製、分子量393.6、融点−56℃、最大吸収波長343nm)(2−(2−ヒドロキシ−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−メチル−6−ドデシルフェノール)、[トリアジン系紫外線吸収剤]およびTINUVIN 1577FF(BASF社製、分子量425、融点148℃、最大吸収波長274nm)(2−[4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル]−5−(ヘキシルオキシ)フェノール)が例示できる。
ベンゾフェノン系紫外線吸収剤として、CHIMASSORB 81/FL(BASF社製、分子量326.4、融点48〜49℃)(2−ヒドロキシ−4−(オクチルオキシ)ベンゾフェノン)が例示できる。
ベンゾエート系紫外線吸収剤として、TINUVIN 120(BASF社製、分子量438.7、融点192〜197℃、最大吸収波長265nm)(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル−3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート)が例示できる。
ヒンダードアミン系安定剤として、CHIMASSORB 2020 FDL(BASF社製、分子量2600〜3400、融点130〜136℃)(ジブチルアミン1,3,5−トリアジン・N,N−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル−1,6−ヘキサメチレンジアミン・N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブチルアミンの重縮合物)、CHIMASSORB 944 FDL(BASF社製、分子量2000〜3100、融点100〜135℃)(ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}])、TINUVIN 622 LD(BASF社製、分子量3100〜4000、融点55〜70℃)(ブタン二酸1−[2−(4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジノ)エチル])、TINUVIN 144(BASF社製、分子量685、融点146〜150℃)(2−ブチル−2−[3,5−ジ(tert−ブチル)−4−ヒドロキシベンジル]マロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)、TINUVIN 292(BASF社製、分子量509)(セバシン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル))、TINUVIN 770 DF(BASF社製、分子量481、融点81〜85℃)(セバシン酸ビス(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)が例示できる。
IRGANOX1010(BASF製)、アデカスタブAO−60((株)ADEKA製)、スミライザーBP−101(住友化学(株)製)(ペンタエリスリチル・テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート])、IRGANOX1035(BASF製)(2,2−チオ−ジエチレンビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート])、IRGANOX1076(BASF製)(オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)、IRGANOX1098(BASF製)(N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマミド))、IRGANOX1135(BASF製)(イソオクチル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート])、IRGANOX1330(BASF製)(1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン)、IRGANOX1726(BASF製)(4,6−ビス(ドデシルチオメチル)−O−クレゾール)、IRGANOX1425(BASF製)(ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル)カルシウム(50%)、ポリエチレンワックス(50%))、IRGANOX1520(BASF製)(2,4−ビス[(オクチルチオ)メチル]−O−クレゾール)、IRGANOX245(BASF製)(トリエチレングリコール−ビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート])、IRGANOX259(BASF製)(1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート])、IRGANOX3114(BASF製)(トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレイト)、IRGANOX5057(BASF製)(オクチル化ジフェニルアミン)、IRGANOX565(BASF製)(2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン)、サイアノックスCY1790(サンケミカル(株)製)(1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)イソシアヌル酸)、アデカスタブAO−40((株)ADEKA製)、スミライサーBBM(住友化学(株)製)(4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール))、アデカスタブAO−50((株)ADEKA製)、スミライザーBP-76(住友化学(株)製)(ステアリル−β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)、アデカスタブAO−80((株)ADEKA製)、スミライザーGA-80(住友化学(株)製)(3,9−ビス[1,1−ジメチル−2−[β−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフィエニル)プロピオニルオキシ]エチル]2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]−ウンデカン)。
リン系酸化防止剤は、過酸化物分解剤として使用され、熱加工成型時の酸化防止機能に優れており、例えば、以下のものがある。
IRGASTAB FS 042(BASF製)(N,N−ジオクタデシルヒドロキシルアミン)、[ヒンダードフェノール/リン混合系酸化防止剤]、IRGANOX B 225(BASF製)(IRGAFOS168:IRGANOX1010=1:1)、IRGANOX215(BASF製)(IRGAFOS168:IRGANOX1010=2:1)、IRGANOX220(BASF製)(IRGAFOS168:IRGANOX1010=3:1)、IRGANOX921(BASF製)(IRGAFOS168:IRGANOX1076=2:1)。
本発明において酸化防止剤は酸素吸収剤を包含する概念である。酸素吸収剤は空気中の酸素捕捉能がある一般的な酸素吸収剤を用いることができ、例えば、鉄粉の酸化反応を利用して空気中の酸素を吸収する鉄粉末酸素吸収剤をあげることができ、通常、表面積が0.5m2/g以上の鉄粉100重量部に対し、0.1〜50重量部のハロゲン化金属、例えば塩化ナトリウム、臭化ナトリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウムなどのアルカリ金属またはアルカリ土類金属の塩素、臭素、ヨウ素などのハロゲン化物を組合せて用いる。これは両者の混合物として、また鉄粉表面をハロゲン化金属で被覆したものでもよい。
スチレン−イソブチレン−スチレンブロック共重合体を含むエラストマー組成物は、紫外線の波長290nm以上の波長領域で劣化を受けやすい。そこで紫外線吸収剤をエラストマー組成物に配合することで、最も劣化を受けやすい320nm〜350nm付近の光を吸収し、無害の振動エネルギーや熱エネルギーに変換することで、エラストマー組成物を紫外線から保護する。ここで紫外線吸収剤は光安定剤を包含する概念である。
本発明において、インナーライナーは前記第1層と前記第2層の複合層で構成される。ここで第1層、第2層は熱可塑性エラストマーの組成物であり、加硫温度、例えば150℃〜180℃において、金型中で軟化状態にある。熱可塑性エラストマーは軟化状態では、分子運動性が向上し固体と液体の中間状態となる。また、軟化状態では固体状態よりも反応性が向上するため、隣接する部材と粘着、接着する。そのため、熱可塑性エラストマーの形状変化や隣接部材との粘着、融着を防止するために、タイヤの製造の際には、冷却工程を設けることが好ましい。冷却工程は、タイヤ加硫後に、10〜300秒間、50〜120℃に急冷しブラダー部内を冷却することができる。冷却媒体としては、空気、水蒸気、水およびオイルより選択される1種以上が使用される。かかる冷却工程を採用することで、0.9mm以下の薄いインナーライナーを形成することが容易となる。
本発明のタイヤ内側にインナーライナーを備えた空気入りタイヤを図8に基づいて説明する。図8は空気入りタイヤの右半分の概略断面図である。空気入りタイヤ11は、トレッド部12と、該トレッド部両端からトロイド形状を形成するようにサイドウォール部13とビード部14とを有している。さらに、ビード部14にはビードコア15が埋設される。また、一方のビード部14から他方のビード部に亘って設けられ、両端をビードコア15のまわりに巻き返して係止されるカーカスプライ16と、該カーカスプライ16のクラウン部外側には、少なくとも2枚のプライよりなるベルト層17とが配置されている。
イ16のタイヤ半径方向内側には一方のビード部14から他方のビード部14に亘るインナーライナー19が配置されている。
本発明の空気入りタイヤの製造方法は従来の製造方法を用いることができる。前記複合層PLを用いてインナンーライナーを製造する。空気入りタイヤ11の生タイヤに前記インナーライナーを適用して他の部材とともに加硫成形することによって製造する。複合層PLを生タイヤに配置する際は、複合層PLの第2層PL2が、カーカスプライCに接するようにタイヤ半径方向外側に向けて配置する。このように配置するとタイヤ加硫工程において、第2層PL2とカーカス6との接着強度を高めることができる。得られた空気入りタイヤは、インナーライナーとカーカスプライCのゴム層とが良好に接着しているため優れた耐空気透過性を有する。
<インナーライナー用の複合層>
本発明の第1層および第2層よりなるポリマー積層体の製造に用いた熱可塑性エラストマー成分としてSIB、SIS、SIBSおよびSIBS変性共重合体は以下のとおり調整した。
攪拌機付き2L反応容器に、メチルシクロヘキサン(モレキュラーシーブスで乾燥したもの)589mL、n−ブチルクロライド(モレキュラーシーブスで乾燥したもの)613ml、クミルクロライド0.550gを加えた。反応容器を−70℃に冷却した後、α−ピコリン(2−メチルピリジン)0.35mL、イソブチレン179mLを添加した。さらに四塩化チタン9.4mLを加えて重合を開始し、−70℃で溶液を攪拌しながら2.0時間反応させた。次に反応容器にスチレン59mLを添加し、さらに60分間反応を続けた後、大量のメタノールを添加して反応を停止させた。反応溶液から溶剤などを除去した後に、重合体をトルエンに溶解して2回水洗した。このトルエン溶液をメタノール混合物に加えて重合体を沈殿させ、得られた重合体を60℃で24時間乾燥することによりスチレン−イソブチレンジブロック共重合体を得た(スチレン成分含有量:15質量%、重量平均分子量:70,000)。
クレイトンポリマー社製のD1161JP(スチレン成分含有量15質量%、重量平均分子量:150,000)を用いた。
カネカ(株)社製の「シブスターSIBSTAR 102T(ショアA硬度25、スチレン成分含有量15質量%、重量平均分子量:100,000)」を用いた。
2リットルのセパラブルフラスコにスチレン―イソブチレンブロック共重合体75g(スチレン含量30質量%、スチレンユニットのモル数0.216モル)を入れて、容器内を窒素で置換した。注射器を用いて、モレキュラーシーブスで乾燥したn−ヘキサン1200mL及びモレキュラーシーブスで乾燥したn−ブチルクロリド1800ミリリットルを加えた。
(注2)カーボンブラック(CB):東海カーボン(株)社製「シーストV」(N660、N2SA:27m2/g)。
(注3)酸化亜鉛(ZnO):三井金属鉱業(株)社製「亜鉛華1号」。
(注4)ステアリン酸:花王(株)社製、「ステアリン酸ルナックS30」。
(注5)老化防止剤:大内新興化学社製「ノクラック6C」。
(注6)加硫促進剤:大内新興化学社製「ノクセラーDM」。
(注7)硫黄:鶴見化学工業(株)社製「粉末硫黄」。
(注8)粘着防止剤:C9石油樹脂、アルコンP140(荒川化学工業(株)社製、軟化点140℃、重量平均分子量Mw:900)。
(注9)ポリイソブチレン:新日本石油(株)社製、「テトラックス3T」(粘度平均分子量30,000、重量平均分子量、49,000)。
表1〜表2の配合、比較配合に基づき、SIBS変性共重合体、SIBS、SIS、SIBおよびSIBS変性共重合体などのエラストマー組成物を、2軸押出機(スクリュ径:φ50mm、L/D:30、シリンダ温度:220℃)にてペレット化した。その後、Tダイ押出機(スクリュ径:φ80mm、L/D:50、ダイリップ幅:500mm、シリンダ温度:220℃、フィルムゲージ:第1層は0.25mm、第2層は0.05mm)にてインナーライナーを作製した。
本発明において、未加硫ゴムシートは、カーカスプライを用い、そのトッピングゴムの配合は、以下のとおりである。
天然ゴム(注1) 100質量部
カーボンブラック(注2) 50質量部
酸化亜鉛(注3) 3質量部
老化防止剤(注4) 0.2質量部
硫黄(注5) 1質量部
加硫促進剤(注6) 1質量部
加硫助剤 (注7) 1質量部
(注1)TSR20
(注2)東海カーボン(株)社製「シーストV」(N660、N2SA:27m2/g)
(注3)酸化亜鉛(ZnO):三井金属鉱業(株)社製「亜鉛華1号」
(注4)大内新興化学社製「ノクラック6C」
(注5)鶴見化学工業(株)社製「粉末硫黄」
(注6)大内新興化学社製「ノクセラーDM」
(注7)ステアリン酸:花王(株)社製、「ステアリン酸ルナックS30」
<空気入りタイヤの製造>
本発明の空気入りタイヤの製造を、前述のアッセンブル工程、裁断工程、接合工程に基づき実施した。詳細は表1に示すように比較例、実施例の空気入りタイヤを製造した。なお、加硫は170℃で20分間、プレス成型し、加硫金型から取り出さずに100℃で3分間冷却した後、加硫タイヤから取り出し、図8に示す基本構造を有する195/65R15サイズのものを製造した。インナーライナーの配合及びタイヤの成形方法を、タイヤの評価結果とともに表3〜表6に示す。実施例は、いずれも図5に基づきインナーライナーの長さが1300mmとしカーカスプライの寸法を変更することでずらし距離(量)Lを、それぞれ50mm、500mm、250mmと変更している。また、カーカスプライの幅(W1)は800mmで、インナーライナーの幅(W2)は1300mmである。
前述の如く製造された空気入りタイヤに関し以下の性能評価を行った。
インナーライナーと未加硫シートを、インナーライナーの第2層が未加硫シートに接するように張り合わせて170℃×20分で加硫し、加硫接着力測定用のサンプルを作製する。引張試験機により剥離力を測定することで加硫接着力とした。下記計算式により、比較例1を基準として各配合の加硫接着力を指数で表示した。なお加硫接着力の指数が大きいほど、加硫接着力が高いことを示す。
<屈曲亀裂成長>
耐久走行試験はインナーライナーが割れたり剥がれたりするかどうかで評価した。試作タイヤをJIS規格リム15×6JJに組み付け、タイヤ内圧は150KPaで通常よりも低内圧に設定し、荷重は600kg、速度100km/h、走行距離20,000kmでタイヤの内部を観察し、亀裂、剥離の数を測定した。比較例1を基準として、各配合の亀裂成長性を指数で表示した。指数の値が大きいほど屈曲亀裂成長が小さいことを示す。
<転がり抵抗指数>
(株)神戸製鋼所製の転がり抵抗試験機を用いて、試作タイヤをJIS規格リム15×6JJに組み付け、荷重3.4kN、空気圧230kPa、速度80km/hの条件で、室温(30℃)にて走行させて転がり抵抗を測定した。そして、下記の計算式に基づき比較例1を基準100として、実施例の転がり抵抗変化率(%)を指数で表示した。転がり抵抗変化率が大きいほど、転がり抵抗が低減されていることを示す。
<静的空気圧低下率試験>
試作タイヤをJIS規格リム15×6JJに組み付け、初期空気圧300kPaを封入し、90日間室温で放置し、空気圧の低下率を計算する。数値が小さいほど、空気圧が減りにくく好ましい。
JASO−C607:2000の「自動車タイヤのユニフォミティ試験方法」に準拠し、タイヤユニフォミティ試験機を用いてラジアルフォースバリエーション(RFV)を測定した。比較例1を100とする相対値を指数表示した。指数が大きいほどユニフォミティが優れている。測定条件は、リムは8.0×17、タイヤ回転速度は60rpm、空気圧は200kPa、縦荷重は4000kNとした。
実施例1〜24の試験結果を表3〜表5に示す。ここで実施例1〜3は、第1層を配合1とし、第2層を配合2Aとして、ずらし量を変化させた事例である。実施例4〜13は第1層を配合2〜11とし、第2層を配合2Aとして、ずらし量を50mmの一定にした事例である。
比較例1〜11の試験結果を表6に示す。ここで比較例1、2は、第1層を比較配合1、第2層を比較配合5とし、ずらし量を50mmと500mmと変化させた事例である。
を50mmと一定とした事例である。
表7に示す第1層配合および表8に示す第2層配合を用いて、実施例25〜36を、前述の実施例1〜24と同様にして空気入りタイヤを製造した。その試験結果を表9に示す。
(注1)紫外線吸収剤は、(株)ADEKA社製のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤で、アデカスタブLA−36(2−(2’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール)を用いた。分子量315.8、融点138〜141℃、最大吸収波長353nmである。
(注2)酸化防止剤は、BSFA社製のヒンダードフェノール系酸化防止剤として、「IRGANOX 1010」(ペンタエリスリチル・テトラキス(3−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシルフェニル)プロピオネート))を用いた。分子量111.7、融点110〜125℃、比重が1.15である。
表7に示す第1層配合および表8に示す第2層配合を用いて、比較例12〜20を、前述の比較例1〜11と同様にして空気入りタイヤを製造した。その試験結果を表10に示す。
実施例および比較例の性能試験は、以下の方法で実施した。
タイヤインナーライナ内部について、スガ試験機(株)製サンシャインスーパーロングライフウェザーメーターを用いて、次の条件で耐候性試験を行った。槽内温度は63℃、湿度50%、60℃中で、12分間降雨の条件で60時間照射し、試験後のインナーライナーの亀裂個数を求めた。比較例1を基準として、他の比較例、実施例との亀裂個数との相対値を求め、以下の式に基づき耐候性指数を算出した。数値が大きいほど耐候性に優れている。
<屈曲亀裂成長指数>
前述の評価方法に基づいて行った。
屈曲亀裂成長試験と同様な条件で、走行する前と20,000km走行した後において、空気入りタイヤのインナーライナーを年弾性スペクトロメータVES((株)岩本製作所)を用いて、温度70℃、初期ひずみ10%、動歪2%の条件下で動的弾性率(E’)の上昇率を評価した。比較例1を基準として、各比較例、実施例の動的弾性率(E’)の値との相対値として弾性率変化指数を求めた。指数の値が大きいほど、弾性率の上昇率が小さく優れていることを示す。
弾性率変化指数=(比較例1の弾性率の変化率)/(各実施例の弾性率の変化率)×100
<耐久走行指数>
耐久走行試験は、酸素注入下でタイヤが損傷するまでの走行距離を測定した。試作タイヤを酸素90%、相対湿度70%雰囲気下で336時間放置し、その後、リム組を行い100%酸素注入し、内圧350kPaで酸素90%、相対湿度70%の雰囲気下で336時間放置する。その後、JIS規格リム15×6JJに組み付け、100%酸素を注入しタイヤ内圧は280kPaに設定したタイヤを準備する。
<ユニフォミティ>
前述の試験方法に基づいて行った。
本発明の実施例は、第1層および第2層のいずれにも、紫外線吸収剤および酸化防止剤を、エラストマー成分に対して、0.5〜40質量%配合しており、この範囲外の紫外線吸収剤および酸化防止剤を配合した比較例に対し、いずれも 耐気候性指数は大幅に高い値となっていることが認められる。
Claims (8)
- インナーライナーをタイヤ内側に備えた空気入りタイヤの製造方法において、生タイヤの成形は、
(a)インナーライナーの幅方向端部と未加硫ゴムシートの幅方向端部を幅方向に相互に50mm〜500mmずらして貼り合わせて積層体を製造するアッセンブル工程と、
(b)前記積層体を、ドラム幅に対応する一定長さに切断して、裁断シートを製造する裁断工程と、
(c)前記裁断シートを、その裁断面がドラムの周方向となり、かつインナーライナーが内面側となるようにドラム全周に巻きつけて、インナーライナーの端部と、未加硫ゴムシートの端部の位置を一定距離ずらして接合する接合工程を有し、
前記インナーライナーは、タイヤ内側に配置される第1層と、前記未加硫ゴムシートと接するように配置される第2層の複合層で構成されており、
前記第1層は、スチレン−イソブチレン−スチレンブロック共重合体のスチレンブロック部分が不飽和結合を有する酸塩化物もしくは酸無水物で変性されたSIBS変性共重合体を含むエラストマー組成物よりなり、厚さが0.05mm〜0.6mmであり、
前記第2層は、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体およびスチレン−イソブチレンブロック共重合体の少なくともいずれかを含むエラストマー組成物よりなり、厚さが0.01mm〜0.3mmであることを特徴とする空気入りタイヤの製造方法。 - 前記アッセンブル工程において、インナーライナーの幅と未加硫ゴムシートの幅は異なっており、それらの幅方向の両端部が相互に重複しないように幅方向にずらして貼り合わされる請求項1記載の空気入りタイヤの製造方法。
- 前記第1層は、SIBS変性共重合体の配合量がエラストマー成分の10質量%〜100質量%の範囲である請求項1または2に記載の空気入りタイヤの製造方法。
- 前記第2層は、SIBS変性共重合体を含み、その配合量が熱可塑性エラストマー成分の5質量%〜80質量%の範囲である請求項1〜3のいずれかに記載の空気入りタイヤの製造方法。
- 前記第1層は、スチレン−イソブチレン−スチレンブロック共重合体とSIBS変性共
重合体の混合物である請求項1〜4のいずれかに記載の空気入りタイヤの製造方法。 - 前記第1層および第2層のいずれかは、粘着付与剤が配合されている請求項1〜5のいずれかに記載の空気入りタイヤの製造方法。
- 前記第1層および第2層のいずれかは、ゴム成分がエラストマー成分の5〜75質量%配合されている請求項1〜6のいずれかに記載の空気入りタイヤの製造方法。
- 前記第1層には、紫外線吸収剤または酸化防止剤の少なくともいずれかがエラストマー成分100質量部に対し0.5質量%〜40質量%配合されている請求項1〜6のいずれかに記載の空気入りタイヤの製造方法。
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