JP2021036037A - 組換え構造タンパク質組成物、その製造方法及び光安定性向上方法 - Google Patents

組換え構造タンパク質組成物、その製造方法及び光安定性向上方法 Download PDF

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俊明 谷池
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超 中山
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Kengo Takeuchi
健悟 竹内
俊次郎 永井
Shunjiro Nagai
俊次郎 永井
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Abstract

【課題】光安定性を向上させた組換え構造タンパク質組成物、その製造方法及び光安定性向上方法を提供すること。【解決手段】組換え構造タンパク質と光安定化剤を含む組換え構造タンパク質組成物であって、上記光安定化剤はヒンダードアミン系光安定化剤及び紫外線吸収剤からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む、組換え構造タンパク質組成物(但し、ポリ[[6−[(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ]−s−トリアジン−2,4−ジイル]−[(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]−ヘキサメチレン−[(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]]を含むものを除く。)。【選択図】なし

Description

本発明は、組換え構造タンパク質組成物、その製造方法及び光安定性向上方法に関する。
クモ糸フィブロインに代表される組換え構造タンパク質素材の優位性を活用し、産業用材料化プロセスの検討がなされている。
産業化を見据えた材料開発においては、耐劣化性(耐久性)が重要となる。安定化剤に関しては、疎水性樹脂に関する知見は多く存在するものの、疎水性樹脂とは性質が全く異なる親水性の組換え構造タンパク質に関しては、有効な安定化剤の分子構造やその添加プロセスについては今なお不明な状態である。特に、組換え構造タンパク質の光劣化に関しては、劣化機構の曖昧性等を原因として安定化剤の選定が困難であった。
なお、天然クモ糸(ジョロウグモの牽引糸)の光劣化(紫外線劣化)に関しては、例えば非特許文献1に記載されている。
繊維と工業 Vol.62、No.2、p.42−47(2006)
本発明者らは、組換え構造タンパク質の光安定性を評価したところ、光照射により劣化が室温付近で日から月単位で進行し得ることを確認した。
そこで、本発明は、上記問題点に鑑み、光安定性(耐光性)を向上させた組換え構造タンパク質組成物、その製造方法及び光安定性向上方法を提供することを目的とする。
本発明は、例えば、以下の各発明に関する。

〔1〕

組換え構造タンパク質と光安定化剤を含む組換え構造タンパク質組成物であって、 上記光安定化剤はヒンダードアミン系光安定化剤及び紫外線吸収剤からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む、組換え構造タンパク質組成物(但し、ポリ[[6−[(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ]−s−トリアジン−2,4−ジイル]−[(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]−ヘキサメチレン−[(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]]を含むものを除く。)。

〔2〕

上記組換え構造タンパク質の平均疎水性指標が−1.2以上である、〔1〕に記載の組換え構造タンパク質組成物。

〔3〕

上記ヒンダードアミン系光安定化剤が2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル基及び1−アルキル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル基からなる群より選ばれる少なくとも1種の官能基を含み、1−アルキル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル基におけるアルキルの炭素数が1〜8である、〔1〕又は〔2〕に記載の組換え構造タンパク質組成物。

〔4〕

上記ヒンダードアミン系光安定化剤が上記官能基を1以上6以下含む、〔3〕に記載の組換え構造タンパク質組成物。

〔5〕

上記ヒンダードアミン系光安定化剤が2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルメタクリレート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルメタクリレート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、及びビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)−2−ブチル−2−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルベンジル)プロパンジオエートからなる群より選ばれる少なくとも1種を含む、〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の組換え構造タンパク質組成物。

〔6〕

上記紫外線吸収剤が、シュウ酸アニリド系紫外線吸収剤、マロン酸エステル系紫外線吸収剤及びメチル3−(3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオナートとPEG300との反応生成物からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む、〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の組換え構造タンパク質組成物。

〔7〕

上記シュウ酸アニリド系紫外線吸収剤がN−(2−エトキシフェニル)−N’−(2−エチルフェニル)オキサミドであり、上記マロン酸エステル系紫外線吸収剤がジメチル(p−メトキシベンジリデン)マロネートである、〔6〕に記載の組換え構造タンパク質組成物。

〔8〕

上記組換え構造タンパク質組成物が、上記組換え構造タンパク質と上記光安定化剤と溶媒と、を含む溶液から上記溶媒を除去した溶媒除去物である、〔1〕〜〔7〕のいずれか一項に記載の組換え構造タンパク質組成物。

〔9〕

上記溶媒除去物が粉末、繊維、モールド成形体又はフィルムである、〔8〕に記載の組換え構造タンパク質組成物。

〔10〕

上記溶媒除去物が繊維又はフィルムである〔8〕又は〔9〕に記載の組換え構造タンパク質組成物。

〔11〕

上記組換え構造タンパク質が、下記(1)又は(2)を満たす、〔1〕〜〔10〕のいずれかに記載の組換え構造タンパク質組成物。

(1)アミノ酸残基数150以上であり、アラニン残基含有量が12〜40%であり、かつグリシン残基含有量が11〜55%である

(2)セリン、スレオニン及びチロシンからなる群より選択される少なくとも1種のアミノ酸残基含有量、アラニン残基含有量及びグリシン残基含有量の合計が56%以上である

〔12〕

上記組み換え構造タンパク質が、上記(1)及び(2)の両方を満たす、〔1〕〜〔11〕のいずれかに記載の組換え構造タンパク質組成物。

〔13〕

上記組み換え構造タンパク質は、複数の反復配列単位を有しており、 上記反復配列単位のアミノ酸残基数が6〜200である、[1]〜[12]のいずれかに記載の組換え構造タンパク質組成物。

〔14〕

上記組換え構造タンパク質が、改変フィブロイン、ケラチン、コラーゲン、エラスチン及びレシリンからなる群より選ばれる少なくとも1種である、〔1〕〜〔13〕のいずれかに記載の組換え構造タンパク質組成物。

〔15〕

上記組換え構造タンパク質が、改変フィブロイン及びケラチンからなる群より選ばれる少なくとも1種である、〔1〕〜〔14〕のいずれかに記載の組換え構造タンパク質組成物。

〔16〕

上記組換え構造タンパク質が、改変フィブロイン、エラスチン及びレシリンからなる群より選ばれる少なくとも1種である、〔1〕〜〔14〕のいずれかに記載の組換え構造タンパク質組成物。

〔17〕

上記組換え構造タンパク質が改変フィブロインである、〔1〕〜〔16〕のいずれかに記載の組換え構造タンパク質組成物。

〔18〕

上記組換え構造タンパク質が改変クモ糸フィブロインである、〔1〕〜〔17〕のいずれかに記載の組換え構造タンパク質組成物。

〔19〕

上記光安定化剤の融点が200℃以下である、〔1〕〜〔18〕のいずれかに記載の組換え構造タンパク質組成物。

〔20〕

上記光安定化剤の含有量が、上記組換え構造タンパク質全量に対して0.01〜10質量%である、〔1〕〜〔19〕のいずれかに記載の組換え構造タンパク質組成物。〔21〕

組換え構造タンパク質と光安定化剤を含む組換え構造タンパク質組成物の製造方法であって、 上記組換え構造タンパク質、上記光安定化剤及び溶媒を含む溶液から前記溶媒を除去する工程を含み、 上記溶液は、上記光安定化剤が溶解した溶液であり、 上記光安定化剤はヒンダードアミン系光安定化剤及び紫外線吸収剤からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む、組換え構造タンパク質組成物(但し、ポリ[[6−[(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ]−s−トリアジン−2,4−ジイル]−[(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]−ヘキサメチレン−[(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]を含むものを除く。]])の製造方法。

〔22〕

上記組換え構造タンパク質は平均疎水性指標が−1.2以上である、〔21〕に記載の組換え構造タンパク質組成物の製造方法。

〔23〕

上記組換え構造タンパク質組成物が粉末、繊維、モールド成形体又はフィルムである、〔21〕又は〔22〕に記載の組換え構造タンパク質組成物の製造方法。

〔24〕

上記ヒンダードアミン系光安定化剤が2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル基及び1−アルキル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル基からなる群より選ばれる少なくとも1種の官能基を含み、上記1−アルキル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル基におけるアルキルの炭素数が1〜8である、〔21〕〜〔23〕のいずれかに記載の組換え構造タンパク質組成物の製造方法。

〔25〕

上記光安定化剤の融点が200℃以下である、〔21〕〜〔24〕のいずれかに記載の組換え構造タンパク質組成物の製造方法。

〔26〕

上記ヒンダードアミン系光安定化剤が上記官能基数を1以上6以下含む、〔24〕又は〔25〕に記載の組換え構造タンパク質組成物の製造方法。

〔27〕

上記ヒンダードアミン系光安定化剤が2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルメタクリレート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルメタクリレート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、及びビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)−2−ブチル−2−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルベンジル)プロパンジオエートからなる群より選ばれる少なくとも1種を含む、〔21〕〜〔26〕のいずれかに記載の組換え構造タンパク質組成物の製造方法。

〔28〕

上記紫外線吸収剤が、シュウ酸アニリド系紫外線吸収剤、マロン酸エステル系紫外線吸収剤及びメチル3−(3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオナートとPEG300との反応生成物からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む、〔21〕〜〔27〕のいずれかに記載の組換え構造タンパク質組成物の製造方法。

〔29〕

上記シュウ酸アニリド系紫外線吸収剤がN−(2−エトキシフェニル)−N’−(2−エチルフェニル)オキサミドであり、上記マロン酸エステル系紫外線吸収剤がジメチル (p−メトキシベンジリデン)マロネートである、〔28〕に記載の組換え構造タンパク質組成物の製造方法。

〔30〕

上記組換え構造タンパク質が、下記(1)又は(2)を満たす、〔21〕〜〔29〕のいずれかに記載の組換え構造タンパク質組成物の製造方法。

(1)アミノ酸残基数150以上であり、アラニン残基含有量が12〜40%であり、かつグリシン残基含有量が11〜55%である

(2)セリン、スレオニン及びチロシンからなる群より選択される少なくとも1種のアミノ酸残基含有量、アラニン残基含有量及びグリシン残基含有量の合計が56%以上である

〔31〕

上記組み換え構造タンパク質が、上記(1)及び(2)の両方を満たす、〔21〕〜〔30〕のいずれかに記載の組換え構造タンパク質組成物の製造方法。

〔32〕

上記組み換え構造タンパク質は、複数の反復配列単位を有しており、 上記反復配列単位のアミノ酸残基数が6〜200である、[21]〜[31]のいずれかに記載の組換え構造タンパク質組成物の製造方法。

〔33〕

上記組換え構造タンパク質が、改変フィブロイン、並びにケラチン、コラーゲン、エラスチン、及びレシリンからなる群から選ばれる構造タンパク質由来のタンパク質からなる群より選ばれる少なくとも1種である、〔21〕〜〔32〕のいずれかに記載の組換え構造タンパク質組成物の製造方法。

〔34〕

上記組換え構造タンパク質が、改変フィブロイン及びケラチンからなる群より選ばれる少なくとも1種である、〔21〕〜〔33〕のいずれかに記載の光安定性向上方法。

〔35〕

上記組換え構造タンパク質が、改変フィブロイン、エラスチン及びレシリンからなる群より選ばれる少なくとも1種である、〔21〕〜〔33〕のいずれかに記載の組換え構造タンパク質組成物の製造方法。

〔36〕

上記組換え構造タンパク質が改変フィブロインである、〔21〕〜〔35〕のいずれかに記載の組換え構造タンパク質組成物の製造方法。

〔37〕

上記組換え構造タンパク質が改変クモ糸フィブロインである、〔21〕〜〔36〕のいずれかに記載の組換え構造タンパク質組成物の製造方法。

〔38〕

上記溶液が、上記組換え構造タンパク質及び上記光安定化剤が溶解した溶液である、〔21〕〜〔37〕のいずれかに記載の製造方法。

〔39〕

上記組換え構造タンパク質組成物が繊維又はフィルムである、〔21〕〜〔38〕のいずれかに記載の組換え構造タンパク質組成物の製造方法。

〔40〕

組換え構造タンパク質と光安定化剤が共存した組成物を得ることを特徴とする組換え構造タンパク質の光安定性向上方法であって、 上記光安定化剤はヒンダードアミン系光安定化剤及び紫外線吸収剤からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む、光安定性向上方法。

〔41〕

上記組成物を得ることが、上記組換え構造タンパク質、上記光安定化剤及び溶媒を含む溶液から上記溶媒を除去することを含み、上記溶液は上記光安定化剤が溶解した溶液である、〔40〕に記載の光安定性向上方法。

〔42〕

上記組換え構造タンパク質の平均疎水性指標が−1.2以上である、〔40〕又は〔41〕に記載の光安定性向上方法。

〔43〕

上記ヒンダードアミン系光安定化剤が2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル基及び1−アルキル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル基からなる群より選ばれる少なくとも1種の官能基を含み、上記1−アルキル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル基におけるアルキルの炭素数が1〜8である、〔40〕〜〔41〕のいずれかに記載の光安定性向上方法。

〔44〕

上記光安定化剤の融点が200℃以下である、〔40〕〜〔42〕のいずれかに記載の光安定性向上方法。

〔45〕

上記ヒンダードアミン系光安定化剤が上記官能基数を1以上6以下含む、〔43〕又は〔44〕に記載の光安定性向上方法。

〔46〕

上記ヒンダードアミン系光安定化剤が2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルメタクリレート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルメタクリレート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、及びビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)−2−ブチル−2−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルベンジル)プロパンジオエートからなる群より選ばれる少なくとも1種を含む、〔40〕〜〔45〕のいずれかに記載の光安定性向上方法。

〔47〕

上記紫外線吸収剤が、シュウ酸アニリド系紫外線吸収剤、マロン酸エステル系紫外線吸収剤及びメチル3−(3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオナートとPEG300との反応生成物からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む、〔40〕〜〔46〕のいずれかに記載の光安定性向上方法。

〔48〕

上記シュウ酸アニリド系紫外線吸収剤がN−(2−エトキシフェニル)−N’−(2−エチルフェニル)オキサミドであり、上記マロン酸エステル系紫外線吸収剤がジメチル (p−メトキシベンジリデン)マロネートである、〔47〕に記載の光安定性向上方法。

〔49〕

上記組換え構造タンパク質組成物が粉末、繊維、モールド成形体又はフィルムである、〔40〕〜〔48〕のいずれかに記載の光安定性向上方法。

〔50〕

上記組換え構造タンパク質が、下記(1)又は(2)を満たす、〔40〕〜〔49〕のいずれかに記載の組換え構造タンパク質組成物の製造方法。

(1)アミノ酸残基数150以上であり、アラニン残基含有量が12〜40%であり、かつグリシン残基含有量が11〜55%である

(2)セリン、スレオニン及びチロシンからなる群より選択される少なくとも1種のアミノ酸残基含有量、アラニン残基含有量及びグリシン残基含有量の合計が56%以上である

〔51〕

上記組み換え構造タンパク質が、上記(1)及び(2)の両方を満たす、〔40〕〜〔50〕のいずれかに記載の組換え構造タンパク質組成物の製造方法。

〔52〕

上記組み換え構造タンパク質は、複数の反復配列単位を有しており、 上記反復配列単位のアミノ酸残基数が6〜200である、〔40〕〜〔51〕のいずれかに記載の組換え構造タンパク質組成物の製造方法。

〔53〕

上記組換え構造タンパク質が、改変フィブロイン、ケラチン、コラーゲン、エラスチン及びレシリンからなる群より選ばれる少なくとも1種である、〔40〕〜〔52〕のいずれかに記載の光安定性向上方法。

〔54〕

上記組換え構造タンパク質が、改変フィブロイン及びケラチンからなる群より選ばれる少なくとも1種である、〔40〕〜〔53〕のいずれかに記載の光安定性向上方法。

〔55〕

上記組換え構造タンパク質が、改変フィブロイン、エラスチン及びレシリンからなる群より選ばれる少なくとも1種である、〔40〕〜〔53〕のいずれかに記載の光安定性向上方法。

〔56〕

上記組換え構造タンパク質が改変フィブロインである、〔40〕〜〔55〕のいずれかに記載の光安定性向上方法。

〔57〕

上記組換え構造タンパク質が改変クモ糸フィブロインである、〔40〕〜〔56〕のいずれかに記載の光安定性向上方法。

〔58〕

上記溶液が、上記組換え構造タンパク質及び上記光安定化剤が溶解した溶液である、〔40〕〜〔57〕のいずれかに記載の光安定性向上方法。

〔59〕

上記組換え構造タンパク質組成物が繊維又はフィルムである、〔40〕〜〔58〕のいずれかに記載の光安定性向上方法。
本発明によれば、光安定性(耐光性)を向上させた組換え構造タンパク質組成物、その製造方法及び光安定性向上方法を提供することが可能となる。
改変フィブロインのドメイン配列の一例を示す模式図である。 天然由来のフィブロインのz/w(%)の値の分布を示す図である。 天然由来のフィブロインのx/y(%)の値の分布を示す図である。 改変フィブロインのドメイン配列の一例を示す模式図である。 改変フィブロインのドメイン配列の一例を示す模式図である。 組換え構造タンパク質繊維を製造するための紡糸装置の一例を概略的に示す説明図である。 加圧成形機の模式断面図である。 (a)は組成物導入前、(b)は組成物導入直後、(c)は組成物を加熱及び加圧している状態の加圧成形機の模式断面図である。 吸湿発熱性試験の結果の一例を示すグラフである。
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
〔組換え構造タンパク質〕

本実施形態に係る組換え構造タンパク質組成物は、組換え構造タンパク質(人造タンパク質)を含む。組換え構造タンパク質とは、生体内で構造及び形態等を形成又は保持する構造タンパク質であって、人造のものを意味する。組換え構造タンパク質は、天然由来の構造タンパク質のアミノ酸配列を有してもよく、天然由来の構造タンパク質のアミノ酸配列に依拠してそのアミノ酸配列の一部を改変した改変構造タンパク質であってもよい。組換え構造タンパク質の種類は、特に限定されるものではない。遺伝子組換え技術により微生物等で製造したものであってもよく、合成により製造されたものであってもよい。
本実施形態に係る組換え構造タンパク質は、下記(1)又は(2)のいずれかを満たすものであってよい。

(1)アミノ酸残基数150以上であり、アラニン残基含有量が12〜40%であり、かつグリシン残基含有量が11〜55%である

(2)セリン、スレオニン及びチロシンからなる群より選択される少なくとも1種のアミノ酸残基含有量、アラニン残基含有量及びグリシン残基含有量の合計が56%以上である
なお、本明細書において、「アラニン残基含有量」とは、下記式で表される値である。

アラニン残基含有量=(組換え構造タンパク質に含まれるアラニン残基の数/ポリペプチドの全アミノ酸残基の数)×100(%)

また、グリシン残基含有量、セリン残基含有量、スレオニン残基含有量及びチロシン残基含有量は、上記式において、アラニン残基をそれぞれグリシン残基、セリン残基、スレオニン残基及びチロシン残基と読み替えたものと同義である。
(1)を満たす組換え構造タンパク質は、アミノ酸残基数が150以上であればよい。当該アミノ酸残基数は、例えば、200以上又は250以上であってよく、好ましくは300以上、350以上、400以上、450以上又は500以上である。
(1)を満たす組換え構造タンパク質は、アラニン残基含有量が12〜40%であればよい。当該アラニン残基含有量は、例えば、15〜40%であってよく、18〜40%であってよく、20〜40%であってよく、22〜40%であってよい。
(1)を満たす組換え構造タンパク質は、グリシン残基含有量が11〜55%であればよい。当該グリシン残基含有量は、例えば、11%〜55%であってよく、13%〜55%であってよく、15%〜55%であってよく、18%〜55%であってよく、20%〜55%であってよく、22%〜55%であってよく、25%〜55%であってよい。
(2)を満たす組換え構造タンパク質は、セリン、スレオニン及びチロシンからなる群より選択される少なくとも1種のアミノ酸残基含有量(すなわち、セリン残基含有量、スレオニン残基含有量、チロシン残基含有量、セリン残基含有量及びスレオニン残基含有量の合計、セリン残基含有量及びチロシン残基含有量の合計、スレオニン残基含有量及びチロシン残基含有量の合計、セリン残基含有量、スレオニン残基含有量及びチロシン残基含有量の合計のいずれか)と、アラニン残基含有量と、グリシン残基含有量とを合計した含有量(合計含有量)が56%以上であればよい。当該合計含有量は、例えば、57%以上であってよく、58%以上であってよく、59%以上であってよく、60%以上であってよい。当該合計含有量の上限は特に制限はないが、例えば、90%以下であってよく、85%以下であってよく、80%以下であってよい。
一実施形態において、(2)を満たす組換え構造タンパク質は、セリン残基含有量、スレオニン残基含有量及びチロシン残基含有量の合計が、4%以上であってよく、4.5%以上であってよく、5%以上であってよく、5.5%以上であってよく、6%以上であってよく、6.5%以上であってよく、7%以上であってよい。セリン残基含有量、スレオニン残基含有量及びチロシン残基含有量の合計は、例えば、35%以下であってよく、33%以下であってよく、30%以下であってよく、25%以下であってよく、20%以下であってよい。
本実施形態に係る組換え構造タンパク質は、上記(1)及び(2)の両方を満たすものであることが好ましい。これにより、本発明による効果がより顕著に発揮される。
本実施形態に係る組換え構造タンパク質は、セリン残基、スレオニン残基又はチロシン残基の分布が平均的であり、任意の連続した20アミノ酸残基の中、セリン残基、スレオニン残基及びチロシン残基の合計含有量が、5%以上、10%以上、又は15%以上であってよく、50%以下、40%以下、30%以下、又は20%以下であってよい。
一実施形態に係る組換え構造タンパク質は、反復配列を有するものであってよい。すなわち、本実施形態に係る組換え構造タンパク質は、組換え構造タンパク質内に配列同一性が高いアミノ酸配列(反復配列単位)が複数存在するものであってよい。反復配列単位のアミノ酸配列に特に制限はなく、組換え構造タンパク質全体として上述した(1)又は(2)を満たすものであればよい。反復配列単位のアミノ酸残基数は6〜200であることが好ましい。また、反復配列単位間の配列同一性は、例えば、85%以上であってよく、90%以上であってよく、95%以上であってよく、96%以上であってよく、97%以上であってよく、98%以上であってよく、99%以上であってよい。
一実施形態に係る組換え構造タンパク質は、(A)モチーフを含むものであってよい。本明細書において、(A)モチーフとは、アラニン残基を主とするアミノ酸配列を意味する。(A)モチーフのアミノ酸残基数は2〜27であってよく、2〜20、2〜16、又は2〜12の整数であってよい。また、(A)モチーフ中の全アミノ酸残基数に対するアラニン残基数の割合は40%以上であればよく、60%以上、70%以上、80%以上、83%以上、85%以上、86%以上、90%以上、95%以上、又は100%(アラニン残基のみで構成されることを意味する。)であってもよい。
一実施形態において、(A)モチーフは反復配列単位に含まれていてもよい。(A)モチーフは、アラニン残基を主として含むため、αヘリックス構造又はβシート構造を取りやすい。(A)モチーフが反復配列単位に含まれることにより、本実施形態に係る組み換え構造タンパク質が、反復してこれら二次構造を有することになるため、当該組換え構造タンパク質を繊維の形態とすると、これらの二次構造により高い強度を発揮することが期待される。
組換え構造タンパク質の具体例としては、例えば、スパイダーシルク(クモ糸)、カイコシルク、ケラチン、コラ−ゲン、エラスチン及びレシリン由来のタンパク質等を挙げることができる。組換え構造タンパク質は、改変フィブロイン、ケラチン、コラーゲン、エラスチン及びレシリンからなる群より選ばれる少なくとも1種であってよく、改変フィブロイン、エラスチン及びレシリンからなる群より選ばれる少なくとも1種であってよく、改変フィブロイン及びケラチンからなる群より選ばれる少なくとも1種であってよい。また、組換え構造タンパク質は、例えば、後述する改変フィブロインであってよく、改変クモ糸フィブロインであることが好ましい。
フィブロイン様タンパク質であるスパイダーシルクあるいはカイコシルク由来のタンパク質として、例えば、式1:[(A)モチーフ−REP1]、又は式2:[(A)モチーフ−REP1]−(A)モチーフで表されるドメイン配列を含むタンパク質が挙げられる。フィブロインは、ドメイン配列のN末端側及びC末端側のいずれか一方又は両方に更にアミノ酸配列(N末端配列及びC末端配列)が付加されていてもよい。N末端配列及びC末端配列は、これに限定されるものではないが、典型的には、フィブロインに特徴的なアミノ酸モチーフの反復を有さない領域であり、100残基程度のアミノ酸からなる。
(改変フィブロイン)

本明細書において「改変フィブロイン」とは、人為的に製造されたフィブロイン(人造フィブロイン)を意味する。改変フィブロインは、そのドメイン配列が、天然由来のフィブロインのアミノ酸配列とは異なるフィブロインであってもよく、天然由来のフィブロインのアミノ酸配列と同一であるフィブロインであってもよい。本明細書でいう「天然由来のフィブロイン1」もまた、式1:[(A)モチーフ−REP1]、又は式2:[(A)モチーフ−REP1]−(A)モチーフで表されるドメイン配列を含むタンパク質である。なお、本実施形態において、改変フィブロインが改変クモ糸フィブロインであると、保温性、吸湿発熱性及び/又は難燃性がより優れるものとなる。
「改変フィブロイン」は、天然由来のフィブロインのアミノ酸配列をそのまま利用したものであってもよく、天然由来のフィブロインのアミノ酸配列に依拠してそのアミノ酸配列を改変したもの(例えば、クローニングした天然由来のフィブロインの遺伝子配列を改変することによりアミノ酸配列を改変したもの)であってもよく、また天然由来のフィブロインに依らず人工的に設計及び合成したもの(例えば、設計したアミノ酸配列をコードする核酸を化学合成することにより所望のアミノ酸配列を有するもの)であってもよい。
本明細書において「ドメイン配列」とは、フィブロイン特有の結晶領域(典型的には、アミノ酸配列の(A)モチーフに相当する。)と非晶領域(典型的には、アミノ酸配列のREPに相当する。)を生じるアミノ酸配列であり、式1:[(A)モチーフ−REP]、又は式2:[(A)モチーフ−REP]−(A)モチーフで表されるアミノ酸配列を意味する。ここで、(A)モチーフは、アラニン残基を主とするアミノ酸配列を示し、アミノ酸残基数は2〜27である。(A)モチーフのアミノ酸残基数は、2〜20、4〜27、4〜20、8〜20、10〜20、4〜16、8〜16、又は10〜16の整数であってよい。また、(A)モチーフ中の全アミノ酸残基数に対するアラニン残基数の割合は40%以上であればよく、60%以上、70%以上、80%以上、83%以上、85%以上、86%以上、90%以上、95%以上、又は100%(アラニン残基のみで構成されることを意味する。)であってもよい。ドメイン配列中に複数存在する(A)モチーフは、少なくとも7つがアラニン残基のみで構成されてもよい。REPは2〜200アミノ酸残基から構成されるアミノ酸配列を示す。REPは、10〜200アミノ酸残基から構成されるアミノ酸配列であってもよい。mは2〜300の整数を示し、10〜300の整数であってもよい。複数存在する(A)モチーフは、互いに同一のアミノ酸配列でもよく、異なるアミノ酸配列でもよい。複数存在するREPは、互いに同一のアミノ酸配列でもよく、異なるアミノ酸配列でもよい。
本実施形態に係る改変フィブロインは、例えば、クローニングした天然由来のフィブロインの遺伝子配列に対し、例えば、1又は複数のアミノ酸残基を置換、欠失、挿入及び/又は付加したことに相当するアミノ酸配列の改変を行うことで得ることができる。アミノ酸残基の置換、欠失、挿入及び/又は付加は、部分特異的突然変異誘発法等の当業者に周知の方法により行うことができる。具体的には、Nucleic Acid Res.10,6487(1982)、Methods in Enzymology,100,448(1983)等の文献に記載されている方法に準じて行うことができる。
天然由来のフィブロインは、式1:[(A)モチーフ−REP]、又は式2:[(A)モチーフ−REP]−(A)モチーフで表されるドメイン配列を含むタンパク質であり、具体的には、例えば、昆虫又はクモ類が産生するフィブロインが挙げられる。
昆虫が産生するフィブロインとしては、例えば、ボンビックス・モリ(Bombyx mori)、クワコ(Bombyx mandarina)、天蚕(Antheraea yamamai)、柞蚕(Anteraea pernyi)、楓蚕(Eriogyna pyretorum)、蓖蚕(Pilosamia Cynthia ricini)、樗蚕(Samia cynthia)、栗虫(Caligura japonica)、チュッサー蚕(Antheraea mylitta)、ムガ蚕(Antheraea assama)等のカイコが産生する絹タンパク質、及びスズメバチ(Vespa simillima xanthoptera)の幼虫が吐出するホーネットシルクタンパク質が挙げられる。
昆虫が産生するフィブロインのより具体的な例としては、例えば、カイコ・フィブロインL鎖(GenBankアクセッション番号M76430(塩基配列)、及びAAA27840.1(アミノ酸配列))が挙げられる。
クモ類が産生するフィブロインとしては、例えば、オニグモ、ニワオニグモ、アカオニグモ、アオオニグモ及びマメオニグモ等のオニグモ属(Araneus属)に属するクモ、ヤマシロオニグモ、イエオニグモ、ドヨウオニグモ及びサツマノミダマシ等のヒメオニグモ属(Neoscona属)に属するクモ、コオニグモモドキ等のコオニグモモドキ属(Pronus属)に属するクモ、トリノフンダマシ及びオオトリノフンダマシ等のトリノフンダマシ属(Cyrtarachne属)に属するクモ、トゲグモ及びチブサトゲグモ等のトゲグモ属(Gasteracantha属)に属するクモ、マメイタイセキグモ及びムツトゲイセキグモ等のイセキグモ属(Ordgarius属)に属するクモ、コガネグモ、コガタコガネグモ及びナガコガネグモ等のコガネグモ属(Argiope属)に属するクモ、キジロオヒキグモ等のオヒキグモ属(Arachnura属)に属するクモ、ハツリグモ等のハツリグモ属(Acusilas属)に属するクモ、スズミグモ、キヌアミグモ及びハラビロスズミグモ等のスズミグモ属(Cytophora属)に属するクモ、ゲホウグモ等のゲホウグモ属(Poltys属)に属するクモ、ゴミグモ、ヨツデゴミグモ、マルゴミグモ及びカラスゴミグモ等のゴミグモ属(Cyclosa属)に属するクモ、及びヤマトカナエグモ等のカナエグモ属(Chorizopes属)に属するクモが産生するスパイダーシルクタンパク質、並びにアシナガグモ、ヤサガタアシナガグモ、ハラビロアシダカグモ及びウロコアシナガグモ等のアシナガグモ属(Tetragnatha属)に属するクモ、オオシロカネグモ、チュウガタシロカネグモ及びコシロカネグモ等のシロカネグモ属(Leucauge属)に属するクモ、ジョロウグモ及びオオジョロウグモ等のジョロウグモ属(Nephila属)に属するクモ、キンヨウグモ等のアズミグモ属(Menosira属)に属するクモ、ヒメアシナガグモ等のヒメアシナガグモ属(Dyschiriognatha属)に属するクモ、クロゴケグモ、セアカゴケグモ、ハイイロゴケグモ及びジュウサンボシゴケグモ等のゴケグモ属(Latrodectus属)に属するクモ、及びユープロステノプス属(Euprosthenops属)に属するクモ等のアシナガグモ科(Tetragnathidae科)に属するクモが産生するスパイダーシルクタンパク質が挙げられる。スパイダーシルクタンパク質としては、例えば、MaSp(MaSp1及びMaSp2)、ADF(ADF3及びADF4)等の牽引糸タンパク質、MiSp(MiSp1及びMiSp2)等が挙げられる。
クモ類が産生するスパイダーシルクタンパク質のより具体的な例としては、例えば、fibroin−3(adf−3)[Araneus diadematus由来](GenBankアクセッション番号AAC47010(アミノ酸配列)、U47855(塩基配列))、fibroin−4(adf−4)[Araneus diadematus由来](GenBankアクセッション番号AAC47011(アミノ酸配列)、U47856(塩基配列))、dragline silk protein spidroin 1[Nephila clavipes由来](GenBankアクセッション番号AAC04504(アミノ酸配列)、U37520(塩基配列))、major ampullate spidroin 1[Latrodectus hesperus由来](GenBankアクセッション番号ABR68856(アミノ酸配列)、EF595246(塩基配列))、dragline silk protein spidroin 2[Nephila clavata由来](GenBankアクセッション番号AAL32472(アミノ酸配列)、AF441245(塩基配列))、major ampullate spidroin 1[Euprosthenops australis由来](GenBankアクセッション番号CAJ00428(アミノ酸配列)、AJ973155(塩基配列))、及びmajor ampullate spidroin 2[Euprosthenops australis](GenBankアクセッション番号CAM32249.1(アミノ酸配列)、AM490169(塩基配列))、minor ampullate silk protein 1[Nephila clavipes](GenBankアクセッション番号AAC14589.1(アミノ酸配列))、minor ampullate silk protein 2[Nephila clavipes](GenBankアクセッション番号AAC14591.1(アミノ酸配列))、minor ampullate spidroin−like protein[Nephilengys cruentata](GenBankアクセッション番号ABR37278.1(アミノ酸配列)等が挙げられる。
天然由来のフィブロインのより具体的な例としては、更に、NCBI GenBankに配列情報が登録されているフィブロインを挙げることができる。例えば、NCBI GenBankに登録されている配列情報のうちDIVISIONとしてINVを含む配列の中から、DEFINITIONにspidroin、ampullate、fibroin、「silk及びpolypeptide」、又は「silk及びprotein」がキーワードとして記載されている配列、CDSから特定のproductの文字列、SOURCEからTISSUE TYPEに特定の文字列の記載された配列を抽出することにより確認することができる。
本実施形態に係る改変フィブロインは、改変絹(シルク)フィブロイン(カイコが産生する絹タンパク質のアミノ酸配列を改変したもの)であってもよく、改変クモ糸フィブロイン(クモ類が産生するスパイダーシルクタンパク質のアミノ酸配列を改変したもの)であってもよい。改変フィブロインとしては、改変クモ糸フィブロインが好ましい。
改変フィブロインの具体的な例として、クモの大瓶状腺で産生される大吐糸管しおり糸タンパク質に由来する改変フィブロイン(第1の改変フィブロイン)、グリシン残基の含有量が低減された改変フィブロイン(第2の改変フィブロイン)、(A)モチーフの含有量が低減された改変フィブロイン(第3の改変フィブロイン)、グリシン残基の含有量、及び(A)モチーフの含有量が低減された改変フィブロイン(第4の改変フィブロイン)、局所的に疎水性指標の大きい領域を含むドメイン配列を有する改変フィブロイン(第5の改変フィブロイン)、並びにグルタミン残基の含有量が低減されたドメイン配列を有する改変フィブロイン(第6の改変フィブロイン)が挙げられる。これらの改変フィブロイ
ンは、難燃性、吸湿発熱性、保温性に優れている。
第1の改変フィブロインとしては、式1:[(A)モチーフ−REP]で表されるドメイン配列を含むタンパク質が挙げられる。第1の改変フィブロインにおいて、(A)モチーフのアミノ酸残基数は、3〜20の整数が好ましく、4〜20の整数がより好ましく、8〜20の整数が更に好ましく、10〜20の整数が更により好ましく、4〜16の整数が更によりまた好ましく、8〜16の整数が特に好ましく、10〜16の整数が最も好ましい。第1の改変フィブロインは、式1中、REPを構成するアミノ酸残基の数は、10〜200残基であることが好ましく、10〜150残基であることがより好ましく、20〜100残基であることが更に好ましく、20〜75残基であることが更により好ましい。第1の改変フィブロインは、式1:[(A)モチーフ−REP]で表されるアミノ酸配列中に含まれるグリシン残基、セリン残基及びアラニン残基の合計残基数がアミノ酸残基数全体に対して、40%以上であることが好ましく、60%以上であることがより好ましく、70%以上であることが更に好ましい。
第1の改変フィブロインは、式1:[(A)モチーフ−REP]で表されるアミノ酸配列の単位を含み、かつC末端配列が配列番号1〜3のいずれかに示されるアミノ酸配列又は配列番号1〜3のいずれかに示されるアミノ酸配列と90%以上の相同性を有するアミノ酸配列であるポリペプチドであってもよい。
配列番号1に示されるアミノ酸配列は、ADF3(GI:1263287、NCBI)のアミノ酸配列のC末端の50残基のアミノ酸からなるアミノ酸配列と同一であり、配列番号2に示されるアミノ酸配列は、配列番号1に示されるアミノ酸配列のC末端から20残基取り除いたアミノ酸配列と同一であり、配列番号3に示されるアミノ酸配列は、配列番号1に示されるアミノ酸配列のC末端から29残基取り除いたアミノ酸配列と同一である。
第1の改変フィブロインのより具体的な例として、(1−i)配列番号4(recombinant spider silk protein ADF3KaiLargeNRSH1)で示されるアミノ酸配列、又は(1−ii)配列番号4で示されるアミノ酸配列と90%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、改変フィブロインを挙げることができる。配列同一性は、95%以上であることが好ましい。
配列番号4で示されるアミノ酸配列は、N末端に開始コドン、His10タグ及びHRV3Cプロテアーゼ(Human rhinovirus 3Cプロテアーゼ)認識サイトからなるアミノ酸配列(配列番号5)を付加したADF3のアミノ酸配列において、第1〜13番目の反復領域をおよそ2倍になるように増やすとともに、翻訳が第1154番目アミノ酸残基で終止するように変異させたものである。配列番号4で示されるアミノ酸配列のC末端のアミノ酸配列は、配列番号3で示されるアミノ酸配列と同一である。
(1−i)の改変フィブロインは、配列番号4で示されるアミノ酸配列からなるものであってもよい。
第2の改変フィブロインは、そのドメイン配列が、天然由来のフィブロインと比較して、グリシン残基の含有量が低減されたアミノ酸配列を有する。第2の改変フィブロインは、天然由来のフィブロインと比較して、少なくともREP中の1又は複数のグリシン残基が別のアミノ酸残基に置換されたことに相当するアミノ酸配列を有するものということができる。
第2の改変フィブロインは、そのドメイン配列が、天然由来のフィブロインと比較して、REP中のGGX及びGPGXX(但し、Gはグリシン残基、Pはプロリン残基、Xはグリシン以外のアミノ酸残基を示す。)から選ばれる少なくとも一つのモチーフ配列において、少なくとも1又は複数の当該モチーフ配列中の1つのグリシン残基が別のアミノ酸残基に置換されたことに相当するアミノ酸配列を有するものであってもよい。
第2の改変フィブロインは、上述のグリシン残基が別のアミノ酸残基に置換されたモチーフ配列の割合が、全モチーフ配列に対して、10%以上であってもよい。
第2の改変フィブロインは、式1:[(A)モチーフ−REP]で表されるドメイン配列を含み、上記ドメイン配列から、最もC末端側に位置する(A)モチーフから上記ドメイン配列のC末端までの配列を除いた配列中の全REPに含まれるXGX(但し、Xはグリシン以外のアミノ酸残基を示す。)からなるアミノ酸配列の総アミノ酸残基数をzとし、上記ドメイン配列から、最もC末端側に位置する(A)モチーフから上記ドメイン配列のC末端までの配列を除いた配列中の総アミノ酸残基数をwとしたときに、z/wが30%以上、40%以上、50%以上又は50.9%以上であるアミノ酸配列を有するものであってもよい。(A)モチーフ中の全アミノ酸残基数に対するアラニン残基数は83%以上であってよいが、86%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましく、95%以上であることが更に好ましく、100%であること(アラニン残基のみで構成されることを意味する)が更により好ましい。
第2の改変フィブロインは、GGXモチーフの1つのグリシン残基を別のアミノ酸残基に置換することにより、XGXからなるアミノ酸配列の含有割合を高めたものであることが好ましい。第2の改変フィブロインは、ドメイン配列中のGGXからなるアミノ酸配列の含有割合が30%以下であることが好ましく、20%以下であることがより好ましく、10%以下であることが更に好ましく、6%以下であることが更により好ましく、4%以下であることが更によりまた好ましく、2%以下であることが特に好ましい。ドメイン配列中のGGXからなるアミノ酸配列の含有割合は、下記XGXからなるアミノ酸配列の含有割合(z/w)の算出方法と同様の方法で算出することができる。
z/wの算出方法を更に詳細に説明する。まず、式1:[(A)モチーフ−REP]で表されるドメイン配列を含むフィブロイン(改変フィブロイン又は天然由来のフィブロイン)において、ドメイン配列から、最もC末端側に位置する(A)モチーフからドメイン配列のC末端までの配列を除いた配列に含まれる全てのREPから、XGXからなるアミノ酸配列を抽出する。XGXを構成するアミノ酸残基の総数がzである。例えば、XGXからなるアミノ酸配列が50個抽出された場合(重複はなし)、zは50×3=150である。また、例えば、XGXGXからなるアミノ酸配列の場合のように2つのXGXに含まれるX(中央のX)が存在する場合は、重複分を控除して計算する(XGXGXの場合は5アミノ酸残基である)。wは、ドメイン配列から、最もC末端側に位置する(A)モチーフからドメイン配列のC末端までの配列を除いた配列に含まれる総アミノ酸残基数である。例えば、図1に示したドメイン配列の場合、wは4+50+4+100+4+10+4+20+4+30=230である(最もC末端側に位置する(A)モチーフは除いている。)。次に、zをwで除すことによって、z/w(%)を算出することができる。
ここで、天然由来のフィブロインにおけるz/wについて説明する。まず、上述のように、NCBI GenBankにアミノ酸配列情報が登録されているフィブロインを例示した方法により確認したところ、663種類のフィブロイン(このうち、クモ類由来のフィブロインは415種類)が抽出された。抽出された全てのフィブロインのうち、式1:[(A)モチーフ−REP]で表されるドメイン配列を含み、フィブロイン中のGGXからなるアミノ酸配列の含有割合が6%以下である天然由来のフィブロインのアミノ酸配列から、上述の算出方法により、z/wを算出した。その結果を図2に示す。図2の横軸はz/w(%)を示し、縦軸は頻度を示す。図2から明らかなとおり、天然由来のフィブロインにおけるz/wは、いずれも50.9%未満である(最も高いもので、50.86%)。
第2の改変フィブロインにおいて、z/wは、50.9%以上であることが好ましく、56.1%以上であることがより好ましく、58.7%以上であることが更に好ましく、70%以上であることが更により好ましく、80%以上であることが更によりまた好ましい。z/wの上限に特に制限はないが、例えば、95%以下であってもよい。
第2の改変フィブロインは、例えば、クローニングした天然由来のフィブロインの遺伝子配列から、グリシン残基をコードする塩基配列の少なくとも一部を置換して別のアミノ酸残基をコードするように改変することにより得ることができる。このとき、改変するグリシン残基として、GGXモチーフ及びGPGXXモチーフにおける1つのグリシン残基を選択してもよいし、またz/wが50.9%以上になるように置換してもよい。また、例えば、天然由来のフィブロインのアミノ酸配列から上記態様を満たすアミノ酸配列を設計し、設計したアミノ酸配列をコードする核酸を化学合成することにより得ることもできる。いずれの場合においても、天然由来のフィブロインのアミノ酸配列からREP中のグリシン残基を別のアミノ酸残基に置換したことに相当する改変に加え、更に1又は複数のアミノ酸残基を置換、欠失、挿入及び/又は付加したことに相当するアミノ酸配列の改変を行ってもよい。
上記の別のアミノ酸残基としては、グリシン残基以外のアミノ酸残基であれば特に制限はないが、バリン(V)残基、ロイシン(L)残基、イソロイシン(I)残基、メチオニン(M)残基、プロリン(P)残基、フェニルアラニン(F)残基及びトリプトファン(W)残基等の疎水性アミノ酸残基、グルタミン(Q)残基、アスパラギン(N)残基、セリン(S)残基、リシン(K)残基及びグルタミン酸(E)残基等の親水性アミノ酸残基が好ましく、バリン(V)残基、ロイシン(L)残基、イソロイシン(I)残基、フェニルアラニン(F)残基及びグルタミン(Q)残基がより好ましく、グルタミン(Q)残基が更に好ましい。
第2の改変フィブロインのより具体的な例として、(2−i)配列番号6(Met−PRT380)、配列番号7(Met−PRT410)、配列番号8(Met−PRT525)若しくは配列番号9(Met−PRT799)で示されるアミノ酸配列、又は(2−ii)配列番号6、配列番号7、配列番号8若しくは配列番号9で示されるアミノ酸配列と90%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、改変フィブロインを挙げることができる。
(2−i)の改変フィブロインについて説明する。配列番号6で示されるアミノ酸配列は、天然由来のフィブロインに相当する配列番号10(Met−PRT313)で示されるアミノ酸配列のREP中の全てのGGXをGQXに置換したものである。配列番号7で示されるアミノ酸配列は、配列番号6で示されるアミノ酸配列から、N末端側からC末端側に向かって2つおきに(A)モチーフを欠失させ、更にC末端配列の手前に[(A)モチーフ−REP]を1つ挿入したものである。配列番号8で示されるアミノ酸配列は、配列番号7で示されるアミノ酸配列の各(A)モチーフのC末端側に2つのアラニン残基を挿入し、更に一部のグルタミン(Q)残基をセリン(S)残基に置換し、配列番号7の分子量とほぼ同じとなるようにC末端側の一部のアミノ酸を欠失させたものである。配列番号9で示されるアミノ酸配列は、配列番号7で示されるアミノ酸配列中に存在する20個のドメイン配列の領域(但し、当該領域のC末端側の数アミノ酸残基が置換されている。)を4回繰り返し
た配列のC末端に所定のヒンジ配列とHisタグ配列が付加されたものである。
配列番号10で示されるアミノ酸配列(天然由来のフィブロインに相当)におけるz/wの値は、46.8%である。配列番号6で示されるアミノ酸配列、配列番号7で示されるアミノ酸配列、配列番号8で示されるアミノ酸配列、及び配列番号9で示されるアミノ酸配列におけるz/wの値は、それぞれ58.7%、70.1%、66.1%及び70.0%である。また、配列番号10、配列番号6、配列番号7、配列番号8及び配列番号9で示されるアミノ酸配列のギザ比率(後述する)1:1.8〜11.3におけるx/yの値は、それぞれ15.0%、15.0%、93.4%、92.7%及び89.8%である。
(2−i)の改変フィブロインは、配列番号6、配列番号7、配列番号8又は配列番号9で示されるアミノ酸配列からなるものであってもよい。
(2−ii)の改変フィブロインは、配列番号6、配列番号7、配列番号8又は配列番号9で示されるアミノ酸配列と90%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むものである。(2−ii)の改変フィブロインもまた、式1:[(A)モチーフ−REP]で表されるドメイン配列を含むタンパク質である。上記配列同一性は、95%以上であることが好ましい。
(2−ii)の改変フィブロインは、配列番号6、配列番号7、配列番号8又は配列番号9で示されるアミノ酸配列と90%以上の配列同一性を有し、かつREP中に含まれるXGX(但し、Xはグリシン以外のアミノ酸残基を示す。)からなるアミノ酸配列の総アミノ酸残基数をzとし、上記ドメイン配列中のREPの総アミノ酸残基数をwとしたときに、z/wが50.9%以上であることが好ましい。
第2の改変フィブロインは、N末端及びC末端のいずれか一方又は両方にタグ配列を含んでいてもよい。これにより、改変フィブロインの単離、固定化、検出及び可視化等が可能となる。
タグ配列として、例えば、他の分子との特異的親和性(結合性、アフィニティ)を利用したアフィニティタグを挙げることができる。アフィニティタグの具体例として、ヒスチジンタグ(Hisタグ)を挙げることができる。Hisタグは、ヒスチジン残基が4から10個程度並んだ短いペプチドで、ニッケル等の金属イオンと特異的に結合する性質があるため、金属キレートクロマトグラフィー(chelating metal chromatography)による改変フィブロインの単離に利用することができる。タグ配列の具体例として、例えば、配列番号11で示されるアミノ酸配列(Hisタグ配列及びヒンジ配列を含むアミノ酸配列)が挙げられる。
また、グルタチオンに特異的に結合するグルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GST)、マルトースに特異的に結合するマルトース結合タンパク質(MBP)等のタグ配列を利用することもできる。
さらに、抗原抗体反応を利用した「エピトープタグ」を利用することもできる。抗原性を示すペプチド(エピトープ)をタグ配列として付加することにより、当該エピトープに対する抗体を結合させることができる。エピトープタグとして、HA(インフルエンザウイルスのヘマグルチニンのペプチド配列)タグ、mycタグ、FLAGタグ等を挙げることができる。エピトープタグを利用することにより、高い特異性で容易に改変フィブロインを精製することができる。
さらにタグ配列を特定のプロテアーゼで切り離せるようにしたものも使用することができる。当該タグ配列を介して吸着したタンパク質をプロテアーゼ処理することにより、タグ配列を切り離した改変フィブロインを回収することもできる。
タグ配列を含む改変フィブロインのより具体的な例として、(2−iii)配列番号12(PRT380)、配列番号13(PRT410)、配列番号14(PRT525)若しくは配列番号15(PRT799)で示されるアミノ酸配列、又は(2−iv)配列番号12、配列番号13、配列番号14若しくは配列番号15で示されるアミノ酸配列と90%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、改変フィブロインを挙げることができる。
配列番号16(PRT313)、配列番号12、配列番号13、配列番号14及び配列番号15で示されるアミノ酸配列は、それぞれ配列番号10、配列番号6、配列番号7、配列番号8及び配列番号9で示されるアミノ酸配列のN末端に配列番号11で示されるアミノ酸配列(Hisタグ配列及びヒンジ配列を含む)を付加したものである。
(2−iii)の改変フィブロインは、配列番号12、配列番号13、配列番号14又は配列番号15で示されるアミノ酸配列からなるものであってもよい。
(2−iv)の改変フィブロインは、配列番号12、配列番号13、配列番号14又は配列番号15で示されるアミノ酸配列と90%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むものである。(2−iv)の改変フィブロインもまた、式1:[(A)モチーフ−REP]で表されるドメイン配列を含むタンパク質である。上記配列同一性は、95%以上であることが好ましい。
(2−iv)の改変フィブロインは、配列番号12、配列番号13、配列番号14又は配列番号15で示されるアミノ酸配列と90%以上の配列同一性を有し、かつREP中に含まれるXGX(但し、Xはグリシン以外のアミノ酸残基を示す。)からなるアミノ酸配列の総アミノ酸残基数をzとし、上記ドメイン配列中のREPの総アミノ酸残基数をwとしたときに、z/wが50.9%以上であることが好ましい。
第2の改変フィブロインは、組換え構造タンパク質生産系において生産されたタンパク質を宿主の外部に放出するための分泌シグナルを含んでいてもよい。分泌シグナルの配列は、宿主の種類に応じて適宜設定することができる。
第3の改変フィブロインは、そのドメイン配列が、天然由来のフィブロインと比較して、(A)モチーフの含有量が低減されたアミノ酸配列を有する。第3の改変フィブロインのドメイン配列は、天然由来のフィブロインと比較して、少なくとも1又は複数の(A)モチーフが欠失したことに相当するアミノ酸配列を有するものということができる。
第3の改変フィブロインは、天然由来のフィブロインから(A)モチーフを10〜40%欠失させたことに相当するアミノ酸配列を有するものであってもよい。
第3の改変フィブロインは、そのドメイン配列が、天然由来のフィブロインと比較して、少なくともN末端側からC末端側に向かって1〜3つの(A)モチーフ毎に1つの(A)モチーフが欠失したことに相当するアミノ酸配列を有するものであってもよい。
第3の改変フィブロインは、そのドメイン配列が、天然由来のフィブロインと比較して、少なくともN末端側からC末端側に向かって2つ連続した(A)モチーフの欠失、及び1つの(A)モチーフの欠失がこの順に繰り返されたことに相当するアミノ酸配列を有するものであってもよい。
第3の改変フィブロインは、そのドメイン配列が、少なくともN末端側からC末端側に向かって2つおきに(A)モチーフが欠失したことに相当するアミノ酸配列を有するものであってもよい。
第3の改変フィブロインは、式1:[(A)モチーフ−REP]で表されるドメイン配列を含み、N末端側からC末端側に向かって、隣合う2つの[(A)モチーフ−REP]ユニットのREPのアミノ酸残基数を順次比較して、アミノ酸残基数が少ないREPのアミノ酸残基数を1としたとき、他方のREPのアミノ酸残基数の比が1.8〜11.3となる隣合う2つの[(A)モチーフ−REP]ユニットのアミノ酸残基数を足し合わせた合計値の最大値をxとし、ドメイン配列の総アミノ酸残基数をyとしたときに、x/yが20%以上、30%以上、40%以上又は50%以上であるアミノ酸配列を有するものであってもよい。(A)モチーフ中の全アミノ酸残基数に対するアラニン残基数は83%以上であってよいが、86%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましく、95%以上であることが更に好ましく、100%であること(アラニン残基のみで構成されることを意味する)が更により好ましい。
x/yの算出方法を図1を参照しながら更に詳細に説明する。図1には、改変フィブロインからN末端配列及びC末端配列を除いたドメイン配列を示す。当該ドメイン配列は、N末端側(左側)から(A)モチーフ−第1のREP(50アミノ酸残基)−(A)モチーフ−第2のREP(100アミノ酸残基)−(A)モチーフ−第3のREP(10アミノ酸残基)−(A)モチーフ−第4のREP(20アミノ酸残基)−(A)モチーフ−第5のREP(30アミノ酸残基)−(A)モチーフという配列を有する。
隣合う2つの[(A)モチーフ−REP]ユニットは、重複がないように、N末端側からC末端側に向かって、順次選択する。このとき、選択されない[(A)モチーフ−REP]ユニットが存在してもよい。図1には、パターン1(第1のREPと第2のREPの比較、及び第3のREPと第4のREPの比較)、パターン2(第1のREPと第2のREPの比較、及び第4のREPと第5のREPの比較)、パターン3(第2のREPと第3のREPの比較、及び第4のREPと第5のREPの比較)、パターン4(第1のREPと第2のREPの比較)を示した。なお、これ以外にも選択方法は存在する。
次に各パターンについて、選択した隣合う2つの[(A)モチーフ−REP]ユニット中の各REPのアミノ酸残基数を比較する。比較は、よりアミノ酸残基数の少ない方を1としたときの、他方のアミノ酸残基数の比を求めることによって行う。例えば、第1のREP(50アミノ酸残基)と第2のREP(100アミノ酸残基)の比較の場合、よりアミノ酸残基数の少ない第1のREPを1としたとき、第2のREPのアミノ酸残基数の比は、100/50=2である。同様に、第4のREP(20アミノ酸残基)と第5のREP(30アミノ酸残基)の比較の場合、よりアミノ酸残基数の少ない第4のREPを1としたとき、第5のREPのアミノ酸残基数の比は、30/20=1.5である。
図1中、よりアミノ酸残基数の少ない方を1としたときに、他方のアミノ酸残基数の比が1.8〜11.3となる[(A)モチーフ−REP]ユニットの組を実線で示した。本明細書中、この比をギザ比率と呼ぶ。よりアミノ酸残基数の少ない方を1としたときに、他方のアミノ酸残基数の比が1.8未満又は11.3超となる[(A)モチーフ−REP]ユニットの組は破線で示した。
各パターンにおいて、実線で示した隣合う2つの[(A)モチーフ−REP]ユニットの全てのアミノ酸残基数を足し合わせる(REPのみではなく、(A)モチーフのアミノ酸残基数もである。)。そして、足し合わせた合計値を比較して、当該合計値が最大となるパターンの合計値(合計値の最大値)をxとする。図1に示した例では、パターン1の合計値が最大である。
次に、xをドメイン配列の総アミノ酸残基数yで除すことによって、x/y(%)を算出することができる。
第3の改変フィブロインにおいて、x/yは、50%以上であることが好ましく、60%以上であることがより好ましく、65%以上であることが更に好ましく、70%以上であることが更により好まし
く、75%以上であることが更によりまた好ましく、80%以上であることが特に好ましい。x/yの上限に特に制限はなく、例えば、100%以下であってよい。ギザ比率が1:1.9〜11.3の場合には、x/yは89.6%以上であることが好ましく、ギザ比率が1:1.8〜3.4の場合には、x/yは77.1%以上であることが好ましく、ギザ比率が1:1.9〜8.4の場合には、x/yは75.9%以上であることが好ましく、ギザ比率が1:1.9〜4.1の場合には、x/yは64.2%以上であることが好ましい。
第3の改変フィブロインが、ドメイン配列中に複数存在する(A)モチーフの少なくとも7つがアラニン残基のみで構成される改変フィブロインである場合、x/yは、46.4%以上であることが好ましく、50%以上であることがより好ましく、55%以上であることが更に好ましく、60%以上であることが更により好ましく、70%以上であることが更によりまた好ましく、80%以上であることが特に好ましい。x/yの上限に特に制限はなく、100%以下であればよい。
ここで、天然由来のフィブロインにおけるx/yについて説明する。まず、上述のように、NCBI GenBankにアミノ酸配列情報が登録されているフィブロインを例示した方法により確認したところ、663種類のフィブロイン(このうち、クモ類由来のフィブロインは415種類)が抽出された。抽出された全てのフィブロインのうち、式1:[(A)モチーフ−REP]で表されるドメイン配列で構成される天然由来のフィブロインのアミノ酸配列から、上述の算出方法により、x/yを算出した。ギザ比率が1:1.9〜4.1の場合の結果を図3に示す。
図3の横軸はx/y(%)を示し、縦軸は頻度を示す。図3から明らかなとおり、天然由来のフィブロインにおけるx/yは、いずれも64.2%未満である(最も高いもので、64.14%)。
第3の改変フィブロインは、例えば、クローニングした天然由来のフィブロインの遺伝子配列から、x/yが64.2%以上になるように(A)モチーフをコードする配列の1又は複数を欠失させることにより得ることができる。また、例えば、天然由来のフィブロインのアミノ酸配列から、x/yが64.2%以上になるように1又は複数の(A)モチーフが欠失したことに相当するアミノ酸配列を設計し、設計したアミノ酸配列をコードする核酸を化学合成することにより得ることもできる。いずれの場合においても、天然由来のフィブロインのアミノ酸配列から(A)モチーフが欠失したことに相当する改変に加え、更に1又は複数のアミノ酸残基を置換、欠失、挿入及び/又は付加したことに相当するアミノ酸配列の改変を行ってもよい。
第3の改変フィブロインのより具体的な例として、(3−i)配列番号17(Met−PRT399)、配列番号7(Met−PRT410)、配列番号8(Met−PRT525)若しくは配列番号9(Met−PRT799)で示されるアミノ酸配列、又は(3−ii)配列番号17、配列番号7、配列番号8若しくは配列番号9で示されるアミノ酸配列と90%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、改変フィブロインを挙げることができる。
(3−i)の改変フィブロインについて説明する。配列番号17で示されるアミノ酸配列は、天然由来のフィブロインに相当する配列番号10(Met−PRT313)で示されるアミノ酸配列から、N末端側からC末端側に向かって2つおきに(A)モチーフを欠失させ、更にC末端配列の手前に[(A)モチーフ−REP]を1つ挿入したものである。配列番号7、配列番号8又は配列番号9で示されるアミノ酸配列は、第2の改変フィブロインで説明したとおりである。
配列番号10で示されるアミノ酸配列(天然由来のフィブロインに相当)のギザ比率1:1.8〜11.3におけるx/yの値は15.0%である。配列番号17で示されるアミノ酸配列、及び配列番号7で示されるアミノ酸配列におけるx/yの値は、いずれも93.4%である。配列番号8で示されるアミノ酸配列におけるx/yの値は、92.7%である。配列番号9で示されるアミノ酸配列におけるx/yの値は、89.8%である。配列番号10、配列番号17、配列番号7、配列番号8及び配列番号9で示されるアミノ酸配列におけるz/wの値は、それぞれ46.8%、56.2%、70.1%、66.1%及び70.0%である。
(3−i)の改変フィブロインは、配列番号17、配列番号7、配列番号8又は配列番号9で示されるアミノ酸配列からなるものであってもよい。
(3−ii)の改変フィブロインは、配列番号17、配列番号7、配列番号8又は配列番号9で示されるアミノ酸配列と90%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むものである。(3−ii)の改変フィブロインもまた、式1:[(A)モチーフ−REP]で表されるドメイン配列を含むタンパク質である。上記配列同一性は、95%以上であることが好ましい。
(3−ii)の改変フィブロインは、配列番号17、配列番号7、配列番号8又は配列番号9で示されるアミノ酸配列と90%以上の配列同一性を有し、かつN末端側からC末端側に向かって、隣合う2つの[(A)モチーフ−REP]ユニットのREPのアミノ酸残基数を順次比較して、アミノ酸残基数が少ないREPのアミノ酸残基数を1としたとき、他方のREPのアミノ酸残基数の比が1.8〜11.3(ギザ比率が1:1.8〜11.3)となる隣合う2つの[(A)モチーフ−REP]ユニットのアミノ酸残基数を足し合わせた合計値の最大値をxとし、ドメイン配列の総アミノ酸残基数をyとしたときに、x/yが64.2%以上であることが好ましい。
第3の改変フィブロインは、N末端及びC末端のいずれか一方又は両方に上述したタグ配列を含んでいてもよい。
タグ配列を含む改変フィブロインのより具体的な例として、(3−iii)配列番号18(PRT399)、配列番号13(PRT410)、配列番号14(PRT525)若しくは配列番号15(PRT799)で示されるアミノ酸配列、又は(3−iv)配列番号18、配列番号13、配列番号14若しくは配列番号15で示されるアミノ酸配列と90%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、改変フィブロインを挙げることができる。
配列番号18、配列番号13、配列番号14及び配列番号15で示されるアミノ酸配列は、それぞれ配列番号17、配列番号7、配列番号8及び配列番号9で示されるアミノ酸配列のN末端に配列番号11で示されるアミノ酸配列(Hisタグ配列及びヒンジ配列を含む)を付加したものである。
(3−iii)の改変フィブロインは、配列番号18、配列番号13、配列番号14又は配列番号15で示されるアミノ酸配列からなるものであってもよい。
(3−iv)の改変フィブロインは、配列番号18、配列番号13、配列番号14又は配列番号15で示されるアミノ酸配列と90%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むものである。(3−iv)の改変フィブロインもまた、式1:[(A)モチーフ−REP]で表されるドメイン配列を含むタンパク質である。上記配列同一性は、95%以上であることが好ましい。
(3−iv)の改変フィブロインは、配列番号18、配列番号13、配列番号14又は配列番号15で示されるアミノ酸配列と90%以上の配列同一性を有し、かつN末端側からC末端側に向かって、隣合う2つの[(A)モチーフ−REP]ユニットのREPのアミノ酸残基数を順次比較して、アミノ酸残基数が少ないREPのアミノ酸残基数を1としたとき、他方のREPのアミノ酸残基数の比が1.8〜11.3となる隣合う2つの[(A)モチーフ−REP]ユニットのアミノ酸残基数を足し合わせた合計値の最大値をxとし、ドメイン配列の総アミノ酸残基数をyとしたときに、x/yが64.2%以上であることが好ましい。
第3の改変フィブロインは、組換え構造タンパク質生産系において生産されたタンパク質を宿主の外部に放出するための分泌シグナルを含んでいてもよい。分泌シグナルの配列は、宿主の種類に応じて適宜設定することができる。
第4の改変フィブロインは、そのドメイン配列が、天然由来のフィブロインと比較して、(A)モチーフの含有量が低減されたことに加え、グリシン残基の含有量が低減されたアミノ酸配列を有するものである。第4の改変フィブロインのドメイン配列は、天然由来のフィブロインと比較して、少なくとも1又は複数の(A)モチーフが欠失したことに加え、更に少なくともREP中の1又は複数のグリシン残基が別のアミノ酸残基に置換されたことに相当するアミノ酸配列を有するものということができる。すなわち、第4の改変フィブロインは、上述した第2の改変フィブロインと、第3の改変フィブロインの特徴を併せ持つ改変フィブロインである。具体的な態様等は、第2の改変フィブロイン、及び第3の改変フィブロインで説明したとおりである。
第4の改変フィブロインのより具体的な例として、(4−i)配列番号7(Met−PRT410)、配列番号8(Met−PRT525)、配列番号9(Met−PRT799)、配列番号13(PRT410)、配列番号14(PRT525)若しくは配列番号15(PRT799)で示されるアミノ酸配列、又は(4−ii)配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号13、配列番号14若しくは配列番号15で示されるアミノ酸配列と90%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、改変フィブロインを挙げることができる。配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号13、配列番号14又は配列番号15で示されるアミノ酸配列を含む改変フィブロインの具体的な態様は上述のとおりである。
第5の改変フィブロインは、そのドメイン配列が、天然由来のフィブロインと比較して、REP中の1又は複数のアミノ酸残基が疎水性指標の大きいアミノ酸残基に置換されたこと、及び/又はREP中に1又は複数の疎水性指標の大きいアミノ酸残基が挿入されたことに相当する、局所的に疎水性指標の大きい領域を含むアミノ酸配列を有するものであってよい。
局所的に疎水性指標の大きい領域は、連続する2〜4アミノ酸残基で構成されていることが好ましい。
上述の疎水性指標の大きいアミノ酸残基は、イソロイシン(I)、バリン(V)、ロイシン(L)、フェニルアラニン(F)、システイン(C)、メチオニン(M)及びアラニン(A)から選ばれるアミノ酸残基であることがより好ましい。
第5の改変フィブロインは、天然由来のフィブロインと比較して、REP中の1又は複数のアミノ酸残基が疎水性指標の大きいアミノ酸残基に置換されたこと、及び/又はREP中に1又は複数の疎水性指標の大きいアミノ酸残基が挿入されたことに相当する改変に加え、更に、天然由来のフィブロインと比較して、1又は複数のアミノ酸残基を置換、欠失、挿入及び/又は付加したことに相当するアミノ酸配列の改変があってもよい。
第5の改変フィブロインは、例えば、クローニングした天然由来のフィブロインの遺伝子配列からREP中の1又は複数の親水性アミノ酸残基(例えば、疎水性指標がマイナスであるアミノ酸残基)を疎水性アミノ酸残基(例えば、疎水性指標がプラスであるアミノ酸残基)に置換すること、及び/又はREP中に1又は複数の疎水性アミノ酸残基を挿入することにより得ることができる。また、例えば、天然由来のフィブロインのアミノ酸配列からREP中の1又は複数の親水性アミノ酸残基を疎水性アミ
ノ酸残基に置換したこと、及び/又はREP中に1又は複数の疎水性アミノ酸残基を挿入したことに相当するアミノ酸配列を設計し、設計したアミノ酸配列をコードする核酸を化学合成することにより得ることもできる。いずれの場合においても、天然由来のフィブロインのアミノ酸配列からREP中の1又は複数の親水性アミノ酸残基を疎水性アミノ酸残基に置換したこと、及び/又はREP中に1又は複数の疎水性アミノ酸残基を挿入したことに相当する改変に加え、更に1又は複数のアミノ酸残基を置換、欠失、挿入及び/又は付加したことに相当するアミノ酸配列の改変を行ってもよい。
第5の改変フィブロインは、式1:[(A)モチーフ−REP]で表されるドメイン配列を含み、最もC末端側に位置する(A)モチーフから上記ドメイン配列のC末端までの配列を上記ドメイン配列から除いた配列に含まれる全てのREPにおいて、連続する4アミノ酸残基の疎水性指標の平均値が2.6以上となる領域に含まれるアミノ酸残基の総数をpとし、最もC末端側に位置する(A)モチーフから上記ドメイン配列のC末端までの配列を上記ドメイン配列から除いた配列に含まれるアミノ酸残基の総数をqとしたときに、p/qが6.2%以上であるアミノ酸配列を有してもよい。
アミノ酸残基の疎水性指標については、公知の指標(Hydropathy index:Kyte J,&Doolittle R(1982)“A simple method for displaying the hydropathic character of a protein”,J.Mol.Biol.,157,pp.105−132)を使用する。具体的には、各アミノ酸の疎水性指標(ハイドロパシー・インデックス、以下「HI」とも記す。)は、下記表1に示すとおりである。
p/qの算出方法を更に詳細に説明する。算出には、式1:[(A)モチーフ−REP]で表されるドメイン配列から、最もC末端側に位置する(A)モチーフからドメイン配列のC末端までの配列を除いた配列(以下、「配列A」とする)を用いる。まず、配列Aに含まれる全てのREPにおいて、連続する4アミノ酸残基の疎水性指標の平均値を算出する。疎水性指標の平均値は、連続する4アミノ酸残基に含まれる各アミノ酸残基のHIの総和を4(アミノ酸残基数)で除して求める。疎水性指標の平均値は、全ての連続する4アミノ酸残基について求める(各アミノ酸残基は、1〜4回平均値の算出に用いられる。)。次いで、連続する4アミノ酸残基の疎水性指標の平均値が2.6以上となる領域を特定する。あるアミノ酸残基が、複数の「疎水性指標の平均値が2.6以上となる連続する4アミノ酸残基」に該当する場合であっても、領域中には1アミノ酸残基として含まれることになる。そして、当該領域に含まれるアミノ酸残基の総数がpである。また、配列Aに含まれるアミノ酸残基の総数がqである。
例えば、「疎水性指標の平均値が2.6以上となる連続する4アミノ酸残基」が20カ所抽出された場合(重複はなし)、連続する4アミノ酸残基の疎水性指標の平均値が2.6以上となる領域には、連続する4アミノ酸残基(重複はなし)が20含まれることになり、pは20×4=80である。また、例えば、2つの「疎水性指標の平均値が2.6以上となる連続する4アミノ酸残基」が1アミノ酸残基だけ重複して存在する場合、連続する4アミノ酸残基の疎水性指標の平均値が2.6以上となる領域には、7アミノ酸残基含まれることになる(p=2×4−1=7。「−1」は重複分の控除である。)。例えば、図4に示したドメイン配列の場合、「疎水性指標の平均値が2.6以上となる連続する4アミノ酸残基」が重複せずに7つ存在するため、pは7×4=28となる。また、例えば、図4に示したドメイン配列の場合、qは4+50+4+40+4+10+4+20+4+30=170である(C末端側の最後に存在する(A)モチーフは含めない)。次に、pをqで除すことによって、p/q(%)を算出することができる。図4の場合28/170=16.47%となる。
第5の改変フィブロインにおいて、p/qは、6.2%以上であることが好ましく、7%以上であることがより好ましく、10%以上であることが更に好ましく、20%以上であることが更により好ましく、30%以上であることが更によりまた好ましい。p/qの上限は、特に制限されないが、例えば、45%以下であってもよい。
第5の改変フィブロインは、例えば、クローニングした天然由来のフィブロインのアミノ酸配列を、上記のp/qの条件を満たすように、REP中の1又は複数の親水性アミノ酸残基(例えば、疎水性指標がマイナスであるアミノ酸残基)を疎水性アミノ酸残基(例えば、疎水性指標がプラスであるアミノ酸残基)に置換すること、及び/又はREP中に1又は複数の疎水性アミノ酸残基を挿入することにより、局所的に疎水性指標の大きい領域を含むアミノ酸配列に改変することにより得ることができる。また、例えば、天然由来のフィブロインのアミノ酸配列から上記のp/qの条件を満たすアミノ酸配列を設計し、設計したアミノ酸配列をコードする核酸を化学合成することにより得ることもできる。いずれの場合においても、天然由来のフィブロインと比較して、REP中の1又は複数のアミノ酸残基が疎水性指標の大きいアミノ酸残基に置換されたこと、及び/又はREP中に1又は複数の疎水性指標の大きいアミノ酸残基が挿入されたことに相当する改変に加え、更に1又は複数のアミノ酸残基を置換、欠失、挿入及び/又は付加したことに相当する改変を行ってもよい。
疎水性指標の大きいアミノ酸残基としては、特に制限はないが、イソロイシン(I)、バリン(V)、ロイシン(L)、フェニルアラニン(F)、システイン(C)、メチオニン(M)及びアラニン(A)が好ましく、バリン(V)、ロイシン(L)及びイソロイシン(I)がより好ましい。
第5の改変フィブロインのより具体的な例として、(5−i)配列番号19(Met−PRT720)、配列番号20(Met−PRT665)若しくは配列番号21(Met−PRT666)で示されるアミノ酸配列、又は(5−ii)配列番号19、配列番号20若しくは配列番号21で示されるアミノ酸配列と90%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、改変フィブロインを挙げることができる。
(5−i)の改変フィブロインについて説明する。配列番号19で示されるアミノ酸配列は、配列番号7(Met−PRT410)で示されるアミノ酸配列に対し、C末端側の端末のドメイン配列を除いて、REP一つ置きにそれぞれ3アミノ酸残基からなるアミノ酸配列(VLI)を2カ所挿入し、更に一部のグルタミン(Q)残基をセリン(S)残基に置換し、かつC末端側の一部のアミノ酸を欠失させたものである。配列番号20で示されるアミノ酸配列は、配列番号8(Met−PRT525)で示されるアミノ酸配列に対し、REP一つ置きにそれぞれ3アミノ酸残基からなるアミノ酸配列(VLI)を1カ所挿入したものである。配列番号21で示されるアミノ酸配列は、配列番号8で示されるアミノ酸配列に対し、REP一つ置きにそれぞれ3アミノ酸残基からなるアミノ酸配列(VLI)を2カ所挿入したものである。
(5−i)の改変フィブロインは、配列番号19、配列番号20又は配列番号21で示されるアミノ酸配列からなるものであってもよい。
(5−ii)の改変フィブロインは、配列番号19、配列番号20又は配列番号21で示されるアミノ酸配列と90%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むものである。(5−ii)の改変フィブロインもまた、式1:[(A)モチーフ−REP]で表されるドメイン配列を含むタンパク質である。上記配列同一性は、95%以上であることが好ましい。
(5−ii)の改変フィブロインは、配列番号19、配列番号20又は配列番号21で示されるアミノ酸配列と90%以上の配列同一性を有し、かつ最もC末端側に位置する(A)モチーフからドメイン配列のC末端までの配列をドメイン配列から除いた配列に含まれる全てのREPにおいて、連続する4アミノ酸残基の疎水性指標の平均値が2.6以上となる領域に含まれるアミノ酸残基の総数をpとし、最もC末端側に位置する(A)モチーフからドメイン配列のC末端までの配列をドメイン配列から除いた配列に含まれるアミノ酸残基の総数をqとしたときに、p/qが6.2%以上であることが好ましい。
第5の改変フィブロインは、N末端及びC末端のいずれか一方又は両方にタグ配列を含んでいてもよい。
タグ配列を含む改変フィブロインのより具体的な例として、(5−iii)配列番号22(PRT720)、配列番号23(PRT665)若しくは配列番号24(PRT666)で示されるアミノ酸配列、又は(5−iv)配列番号22、配列番号23若しくは配列番号24で示されるアミノ酸配列と90%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、改変フィブロインを挙げることができる。
配列番号22、配列番号23及び配列番号24で示されるアミノ酸配列は、それぞれ配列番号19、配列番号20及び配列番号21で示されるアミノ酸配列のN末端に配列番号11で示されるアミノ酸配列(Hisタグ配列及びヒンジ配列を含む)を付加したものである。
(5−iii)の改変フィブロインは、配列番号22、配列番号23又は配列番号24で示されるアミノ酸配列からなるものであってもよい。
(5−iv)の改変フィブロインは、配列番号22、配列番号23又は配列番号24で示されるアミノ酸配列と90%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むものである。(5−iv)の改変フィブロインもまた、式1:[(A)モチーフ−REP]で表されるドメイン配列を含むタンパク質である。上記配列同一性は、95%以上であることが好ましい。
(5−iv)の改変フィブロインは、配列番号22、配列番号23又は配列番号24で示されるアミノ酸配列と90%以上の配列同一性を有し、かつ最もC末端側に位置する(A)モチーフからドメイン配列のC末端までの配列をドメイン配列から除いた配列に含まれる全てのREPにおいて、連続する4アミノ酸残基の疎水性指標の平均値が2.6以上となる領域に含まれるアミノ酸残基の総数をpとし、最もC末端側に位置する(A)モチーフからドメイン配列のC末端までの配列をドメイン配列から除いた配列に含まれるアミノ酸残基の総数をqとしたときに、p/qが6.2%以上であることが好ましい。
第5の改変フィブロインは、組換え構造タンパク質生産系において生産されたタンパク質を宿主の外部に放出するための分泌シグナルを含んでいてもよい。分泌シグナルの配列は、宿主の種類に応じて適宜設定することができる。
第6の改変フィブロインは、天然由来のフィブロインと比較して、グルタミン残基の含有量が低減されたアミノ酸配列を有する。
第6の改変フィブロインは、REPのアミノ酸配列中に、GGXモチーフ及びGPGXXモチーフから選ばれる少なくとも一つのモチーフが含まれていることが好ましい。
第6の改変フィブロインが、REP中にGPGXXモチーフを含む場合、GPGXXモチーフ含有率は、通常1%以上であり、5%以上であってもよく、10%以上であるのが好ましい。GPGXXモチーフ含有率の上限に特に制限はなく、50%以下であってよく、30%以下であってもよい。
本明細書において、「GPGXXモチ
ーフ含有率」は、以下の方法により算出される値である。
式1:[(A)モチーフ−REP]、又は式2:[(A)モチーフ−REP]−(A)モチーフで表されるドメイン配列を含むフィブロイン(改変フィブロイン又は天然由来のフィブロイン)において、最もC末端側に位置する(A)モチーフからドメイン配列のC末端までの配列をドメイン配列から除いた配列に含まれる全てのREPにおいて、その領域に含まれるGPGXXモチーフの個数の総数を3倍した数(即ち、GPGXXモチーフ中のG及びPの総数に相当)をsとし、最もC末端側に位置する(A)モチーフからドメイン配列のC末端までの配列をドメイン配列から除き、更に(A)モチーフを除いた全REPのアミノ酸残基の総数をtとしたときに、GPGXXモチーフ含有率はs/tとして算出される。
GPGXXモチーフ含有率の算出において、「最もC末端側に位置する(A)モチーフからドメイン配列のC末端までの配列をドメイン配列から除いた配列」を対象としているのは、「最もC末端側に位置する(A)モチーフからドメイン配列のC末端までの配列」(REPに相当する配列)には、フィブロインに特徴的な配列と相関性の低い配列が含まれることがあり、mが小さい場合(つまり、ドメイン配列が短い場合)、GPGXXモチーフ含有率の算出結果に影響するので、この影響を排除するためである。なお、REPのC末端に「GPGXXモチーフ」が位置する場合、「XX」が例えば「AA」の場合であっても、「GPGXXモチーフ」として扱う。
図5は、改変フィブロインのドメイン配列を示す模式図である。図5を参照しながらGPGXXモチーフ含有率の算出方法を具体的に説明する。まず、図5に示した改変フィブロインのドメイン配列(「[(A)モチーフ−REP]−(A)モチーフ」タイプである。)では、全てのREPが「最もC末端側に位置する(A)モチーフからドメイン配列のC末端までの配列をドメイン配列から除いた配列」(図5中、「領域A」で示した配列。)に含まれているため、sを算出するためのGPGXXモチーフの個数は7であり、sは7×3=21となる。同様に、全てのREPが「最もC末端側に位置する(A)モチーフからドメイン配列のC末端までの配列をドメイン配列から除いた配列」(図5中、「領域A」で示した配列。)に含まれているため、当該配列から更に(A)モチーフを除いた全REPのアミノ酸残基の総数tは50+40+10+20+30=150である。次に、sをtで除すことによって、s/t(%)を算出することができ、図5の改変フィブロインの場合21/150=14.0%となる。
第6の改変フィブロインは、グルタミン残基含有率が9%以下であることが好ましく、7%以下であることがより好ましく、4%以下であることが更に好ましく、0%であることが特に好ましい。
本明細書において、「グルタミン残基含有率」は、以下の方法により算出される値である。
式1:[(A)モチーフ−REP]、又は式2:[(A)モチーフ−REP]−(A)モチーフで表されるドメイン配列を含むフィブロイン(改変フィブロイン又は天然由来のフィブロイン)において、最もC末端側に位置する(A)モチーフからドメイン配列のC末端までの配列をドメイン配列から除いた配列(図5の「領域A」に相当する配列。)に含まれる全てのREPにおいて、その領域に含まれるグルタミン残基の総数をuとし、最もC末端側に位置する(A)モチーフからドメイン配列のC末端までの配列をドメイン配列から除き、更に(A)モチーフを除いた全REPのアミノ酸残基の総数をtとしたときに、グルタミン残基含有率はu/tとして算出される。グルタミン残基含有率の算出において、「最もC末端側に位置する(A)モチーフからドメイン配列のC末端までの配列をドメイン配列から除いた配列」を対象としている理由は、上述した理由と同様である。
第6の改変フィブロインは、そのドメイン配列が、天然由来のフィブロインと比較して、REP中の1又は複数のグルタミン残基を欠失したこと、又は他のアミノ酸残基に置換したことに相当するアミノ酸配列を有するものであってよい。
「他のアミノ酸残基」は、グルタミン残基以外のアミノ酸残基であればよいが、グルタミン残基よりも疎水性指標の大きいアミノ酸残基であることが好ましい。アミノ酸残基の疎水性指標は表1に示すとおりである。
表1に示すとおり、グルタミン残基よりも疎水性指標の大きいアミノ酸残基としては、イソロイシン(I)、バリン(V)、ロイシン(L)、フェニルアラニン(F)、システイン(C)、メチオニン(M)アラニン(A)、グリシン(G)、スレオニン(T)、セリン(S)、トリプトファン(W)、チロシン(Y)、プロリン(P)及びヒスチジン(H)から選ばれるアミノ酸残基を挙げることができる。これらの中でも、イソロイシン(I)、バリン(V)、ロイシン(L)、フェニルアラニン(F)、システイン(C)、メチオニン(M)及びアラニン(A)から選ばれるアミノ酸残基であることがより好ましく、イソロイシン(I)、バリン(V)、ロイシン(L)及びフェニルアラニン(F)から選ばれるアミノ酸残基であることが更に好ましい。
第6の改変フィブロインは、REPの疎水性度が、−0.8以上であることが好ましく、−0.7以上であることがより好ましく、0以上であることが更に好ましく、0.3以上であることが更により好ましく、0.4以上であることが特に好ましい。REPの疎水性度の上限に特に制限はなく、1.0以下であってよく、0.7以下であってもよい。
本明細書において、「REPの疎水性度」は、以下の方法により算出される値である。
式1:[(A)モチーフ−REP]、又は式2:[(A)モチーフ−REP]−(A)モチーフで表されるドメイン配列を含むフィブロイン(改変フィブロイン又は天然由来のフィブロイン)において、最もC末端側に位置する(A)モチーフからドメイン配列のC末端までの配列をドメイン配列から除いた配列(図5の「領域A」に相当する配列。)に含まれる全てのREPにおいて、その領域の各アミノ酸残基の疎水性指標の総和をvとし、最もC末端側に位置する(A)モチーフからドメイン配列のC末端までの配列をドメイン配列から除き、更に(A)モチーフを除いた全REPのアミノ酸残基の総数をtとしたときに、REPの疎水性度はv/tとして算出される。REPの疎水性度の算出において、「最もC末端側に位置する(A)モチーフからドメイン配列のC末端までの配列をドメイン配列から除いた配列」を対象としている理由は、上述した理由と同様である。
第6の改変フィブロインは、そのドメイン配列が、天然由来のフィブロインと比較して、REP中の1又は複数のグルタミン残基を欠失したこと、及び/又はREP中の1又は複数のグルタミン残基を他のアミノ酸残基に置換したことに相当する改変に加え、更に1又は複数のアミノ酸残基を置換、欠失、挿入及び/又は付加したことに相当するアミノ酸配列の改変があってもよい。
第6の改変フィブロインは、例えば、クローニングした天然由来のフィブロインの遺伝子配列からREP中の1又は複数のグルタミン残基を欠失させること、及び/又はREP中の1又は複数のグルタミン残基を他のアミノ酸残基に置換することにより得ることができる。また、例えば、天然由来のフィブロインのアミノ酸配列からREP中の1又は複数のグルタミン残基を欠失したこと、及び/又はREP中の1又は複数のグルタミン残基を他のアミノ酸残基に置換したことに相当するアミノ酸配列を設計し、設計したアミノ酸配列をコードする核酸を化学合成することにより得ることもできる。
第6の改変フィブロインのより具体的な例として、(6−i)配列番号25(Met−PRT888)、配列番号26(Met−PRT965)、配列番号27(Met−PRT889)、配列番号28(Met−PRT916)、配列番号29(Met−PRT918)、配列番号30(Met−PRT699)、配列番号31(Met−PRT698)、配列番号32(Met−PRT966)、配列番号41(Met−PRT917)若しくは配列番号42(Met−PRT1028)で示されるアミノ酸配列を含む改変フィブロイン、又は(6−ii)配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号28、配列番号29、配列番号30、配列番号31、配列番号32、配列番号41若しくは配列番号42で示されるアミノ酸配列と90%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む改変フィブロインを挙げることができる。
(6−i)の改変フィブロインについて説明する。配列番号25で示されるアミノ酸配列は、配列番号7で示されるアミノ酸配列(Met−PRT410)中のQQを全てVLに置換したものである。配列番号26で示されるアミノ酸配列は、配列番号7で示されるアミノ酸配列中のQQを全てTSに置換し、かつ残りのQをAに置換したものである。配列番号27で示されるアミノ酸配列は、配列番号7で示されるアミノ酸配列中のQQを全てVLに置換し、かつ残りのQをIに置換したものである。配列番号28で示されるアミノ酸配列は、配列番号7で示されるアミノ酸配列中のQQを全てVIに置換し、かつ残りのQをLに置換したものである。配列番号29で示されるアミノ酸配列は、配列番号7で示されるアミノ酸配列中のQQを全てVFに置換し、かつ残りのQをIに置換したものである。
配列番号30で示されるアミノ酸配列は、配列番号8で示されるアミノ酸配列(Met−PRT525)中のQQを全てVLに置換したものである。配列番号31で示されるアミノ酸配列は、配列番号8で示されるアミノ酸配列中のQQを全てVLに置換し、かつ残りのQをIに置換したものである。
配列番号32で示されるアミノ酸配列は、配列番号7で示されるアミノ酸配列(Met−PRT410)中に存在する20個のドメイン配列の領域を2回繰り返した配列中のQQを全てVFに置換し、かつ残りのQをIに置換したものである。
配列番号41で示されるアミノ酸配列(Met−PRT917)は、配列番号7で示されるアミノ酸配列中のQQを全てLIに置換し、かつ残りのQをVに置換したものである。配列番号42で示されるアミノ酸配列(Met−PRT1028)は、配列番号7で示されるアミノ酸配列中のQQを全てIFに置換し、かつ残りのQをTに置換したものである。
配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号28、配列番号29、配列番号30、配列番号31、配列番号32、配列番号41及び配列番号42で示されるアミノ酸配列は、いずれもグルタミン残基含有率は9%以下である(表2)。
(6−i)の改変フィブロインは、配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号28、配列番号29、配列番号30、配列番号31、配列番号32、配列番号41又は配列番号42で示されるアミノ酸配列からなるものであってもよい。
(6−ii)の改変フィブロインは、配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号28、配列番号29、配列番号30、配列番号31、配列番号32、配列番号41又は配列番号42で示されるアミノ酸配列
と90%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むものである。

(6−ii)の改変フィブロインもまた、式1:[(A)モチーフ−REP]、又は式2:[(A)モチーフ−REP]−(A)モチーフで表されるドメイン配列を含むタンパク質である。上記配列同一性は、95%以上であることが好ましい。
(6−ii)の改変フィブロインは、グルタミン残基含有率が9%以下であることが好ましい。また、(6−ii)の改変フィブロインは、GPGXXモチーフ含有率が10%以上であることが好ましい。
第6の改変フィブロインは、N末端及びC末端のいずれか一方又は両方にタグ配列を含んでいてもよい。これにより、改変フィブロインの単離、固定化、検出及び可視化等が可能となる。
タグ配列を含む改変フィブロインのより具体的な例として、(6−iii)配列番号33(PRT888)、配列番号34(PRT965)、配列番号35(PRT889)、配列番号36(PRT916)、配列番号37(PRT918)、配列番号38(PRT699)、配列番号39(PRT698)、配列番号40(PRT966)、配列番号43(PRT917)若しくは配列番号44(PRT1028)で示されるアミノ酸配列を含む改変フィブロイン、又は(6−iv)配列番号33、配列番号34、配列番号35、配列番号36、配列番号37、配列番号38、配列番号39、配列番号40、配列番号43若しくは配列番号44で示されるアミノ酸配列と90%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む改変フィブロインを挙げることができる。
配列番号33、配列番号34、配列番号35、配列番号36、配列番号37、配列番号38、配列番号39、配列番号40、配列番号43及び配列番号44で示されるアミノ酸配列は、それぞれ配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号28、配列番号29、配列番号30、配列番号31、配列番号32、配列番号41及び配列番号42で示されるアミノ酸配列のN末端に配列番号11で示されるアミノ酸配列(Hisタグ配列及びヒンジ配列を含む)を付加したものである。N末端にタグ配列を付加しただけであるため、グルタミン残基含有率に変化はなく、配列番号33、配列番号34、配列番号35、配列番号36、配列番号37、配列番号38、配列番号39、配列番号40、配列番号43及び配列番号44で示されるアミノ酸配列は、いずれもグルタミン残基含有率が9%以下である(表3)。
(6−iii)の改変フィブロインは、配列番号33、配列番号34、配列番号35、配列番号36、配列番号37、配列番号38、配列番号39、配列番号40、配列番号43又は配列番号44で示されるアミノ酸配列からなるものであってもよい。
(6−iv)の改変フィブロインは、配列番号33、配列番号34、配列番号35、配列番号36、配列番号37、配列番号38、配列番号39、配列番号40、配列番号43又は配列番号44で示されるアミノ酸配列と90%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むものである。(6−iv)の改変フィブロインもまた、式1:[(A)モチーフ−REP]、又は式2:[(A)モチーフ−REP]−(A)モチーフで表されるドメイン配列を含むタンパク質である。上記配列同一性は、95%以上であることが好ましい。
(6−iv)の改変フィブロインは、グルタミン残基含有率が9%以下であることが好ましい。また、(6−iv)の改変フィブロインは、GPGXXモチーフ含有率が10%以上であることが好ましい。
第6の改変フィブロインは、組換え構造タンパク質生産系において生産されたタンパク質を宿主の外部に放出するための分泌シグナルを含んでいてもよい。分泌シグナルの配列は、宿主の種類に応じて適宜設定することができる。
改変フィブロインは、第1の改変フィブロイン、第2の改変フィブロイン、第3の改変フィブロイン、第4の改変フィブロイン、第5の改変フィブロイン、及び第6の改変フィブロインが有する特徴のうち、少なくとも2つ以上の特徴を併せ持つ改変フィブロインであってもよい。
スパイダーシルクであって横糸タンパク質に由来のタンパク質としては、例えば、式3:[REP2]で表されるドメイン配列を含むタンパク質(ここで、式3中、REP2はGly−Pro−Gly−Gly−Xから構成されるアミノ酸配列を示し、Xはアラニン(Ala)、セリン(Ser)、チロシン(Tyr)及びバリン(Val)からなる群から選ばれる一つのアミノ酸を示す。oは8〜300の整数を示す。)をあげることができる。スパイダーシルクはセリンやチロシンのような水酸基を有する構造を多く含むが、これら水酸基はエステルに変換されうる官能基としてあげられる。
具体的には配列番号47で示されるアミノ酸配列を含むタンパク質をあげることができる。配列番号47で示されるアミノ酸配列は、NCBIデータベースから入手したアメリカジョロウグモの鞭毛状絹タンパク質の部分的な配列(NCBIアクセッション番号:AAF36090、GI:7106224)のリピート部分及びモチーフに該当するN末端から1220残基目から1659残基目までのアミノ酸配列(PR1配列と記す。)と、NCBIデータベースから入手したアメリカジョロウグモの鞭毛状絹タンパク質の部分配列(NCBIアクセッション番号:AAC38847、GI:2833649)のC末端から816残基目から907残基目までのC末端アミノ酸配列を結合し、結合した配列のN末端に配列番号11で示されるアミノ酸配列(タグ配列及びヒンジ配列)が付加されたものである。
クモ糸タンパク質は、親水性クモ糸タンパク質であってもよく、疎水性クモ糸タンパク質であってもよい。疎水性クモ糸タンパク質とは、クモ糸タンパク質を構成する全てのアミノ酸残基の疎水性指標(HI)の総和を求め、次にその総和を全アミノ酸残基数で除した値(平均HI)が−0.8超であるクモ糸タンパク質であることが好ましく、平均HIが−0.6以上であるタンパク質であることがより好ましく、平均HIが−0.4以上であるタンパク質であることがより好ましく、平均HIが−0.2以上であるタンパク質であることがさらに好ましく、平均HIが0以上であるクモ糸タンパク質であることが特に好ましい。疎水性指標は表1に示したとおりである。また、親水性クモ糸タンパク質とは、上記の平均HIが−0.8以下であるクモ糸タンパク質である。
本実施形態に係る組換え構造タンパク質の平均疎水性指標は−1.2以上であってよく、−1.0以上であってよく、−0.8超であってよく、−0.6以上であってよく、−0.4以上であってよく、−0.2以上であってよく、0以上であってよい。本実施形態に係る組換え構造タンパク質の平均疎水性指標は−1.2以上1.2以下であってよく、−1.0以上1.0以下であってよく、−0.8超1.0以下であってもよく、−0.8超0.8以下であってもよい。
コラーゲン由来の構造タンパク質として、例えば、式4:[REP3]で表されるドメイン配列を含むタンパク質(ここで、式4中、pは5〜300の整数を示す。REP3は、Gly一X一Yから構成されるアミノ酸配列を示し、X及びYはGly以外の任意のアミノ酸残基を示す。複数存在するREP3は、互いに同一のアミノ酸配列でもよく、異なるアミノ酸配列でもよい。)を挙げることができる。具体的には、配列番号48で示されるアミノ酸配列を含むタンパク質を挙げることができる。配列番号48で示されるアミノ酸配列は、NCBIデータベースから入手したヒトのコラーゲンタイプ4の部分的な配列(NCBIのGenBankのアクセッション番号:CAA56335.1、GI:3702452)のリピート部分及びモチーフに該当する301残基目から540残基目までのアミノ酸配列のN末端に配列番号11で示されるアミノ酸配列(タグ配列及びヒンジ配列)が付加されたものである。
レシリン由来の構造タンパク質として、例えば、式5:[REP4]で表されるドメイン配列を含むタンパク質(ここで、式5中、qは4〜300の整数を示す。REP4はSer一J一J一Tyr一Gly一U−Proから構成されるアミノ酸配列を示す。Jは任意のアミノ酸残基を示し、特にAsp、Ser及びThrからなる群から選ばれるアミノ酸残基であることが好ましい。Uは任意のアミノ酸残基を示し、特にPro、Ala、Thr及びSerからなる群から選ばれるアミノ酸残基であることが好ましい。複数存在するREP4は、互いに同一のアミノ酸配列でもよく、異なるアミノ酸配列でもよい。)を挙げることができる。具体的には、配列番号49で示されるアミノ酸配列を含むタンパク質を挙げることができる。配列番号49で示されるアミノ酸配列は、レシリン(NCBIのGenBankのアクセッション番号NP 611157、Gl:24654243)のアミノ酸配列において、87残基目のThrをSerに置換し、かつ95残基目のAsnをAspに置換した配列の19残基目から321残基目までのアミノ酸配列のN末端に配列番号11で示されるアミノ酸配列(タグ配列及びヒンジ配列)が付加されたものである。
エラスチン由来の構造タンパク質として、例えば、NCBIのGenBankのアクセッション番号AAC98395(ヒト)、I47076(ヒツジ)、NP786966(ウシ)等のアミノ酸配列を有するタンパク質を挙げることができる。具体的には、配列番号50で示されるアミノ酸配列を含むタンパク質を挙げることができる。配列番号50で示されるアミノ酸配列は、NCBIのGenBankのアクセッション番号AAC98395のアミノ酸配列の121残基目から390残基目までのアミノ酸配列のN末端に配列番号11で示されるアミノ酸配列(タグ配列及びヒンジ配列)が付加されたものである。
ケラチン由来の構造タンパク質として、例えば、カプラ・ヒルクス(Capra hircus)のタイプIケラチン等のアミノ酸配列を有するタンパク質を挙げることができる。具体的には、配列番号51で示されるアミノ酸配列(NCBIのGenBankのアクセッション番号ACY30466のアミノ酸配列)を含むタンパク質を挙げることができる。また、ケラチン由来のタンパク質としては、例えば、クラスターIaに属するタイプIケラチン由来のアミノ酸配列であってもよい。クラスターIaは、ケラチンのアミノ酸配列を近隣結合法(Neighbor−joining method)でクラスター解析したときに、ヤギ(Capra hircus)ケラチン25(K25)及びケラチン26(K26)、並びにヒツジ(Ovis aries)ケラチン25(K25)及びケラチン27(K27)が属するタイプIケラチンのクラスターである(Small Ruminat Research,93巻,2010年,pp.24−30)。
〔組換え構造タンパク質組成物〕

本実施形態に係る組換え構造タンパク質組成物は、組換え構造タンパク質及び光安定化剤を含有する。光安定化剤を含有することで光安定性に優れた効果を発揮する。
〔光安定化剤〕 本実施形態において、光安定化剤はヒンダードアミン系光安定化剤及び紫外線吸収剤からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む。ただし、上記ヒンダードアミン系光安定化剤及び紫外線吸収剤以外の光安定化剤をさらに含むことを妨げない。
光安定化剤としては、例えば、ラジカル連鎖開始阻止剤及びラジカル捕捉剤等を使用することができる。ラジカル連鎖開始阻止剤としては、金属不活性化剤、クエンチャー及び紫外線吸収剤を挙げることができる。金属不活性化剤としては、例えば、ヒドラジド系金属不活性化剤、アミド系金属不活性化剤等が挙げられる。クエンチャーとしては、例えば、有機ニッケル系クエンチャー等が挙げられる。
紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、シュウ酸アニリド系紫外線吸収剤及びマロン酸エステル系紫外線吸収剤等が挙げられる。
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、具体的には、メチル3−(3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオナートとPEG300との反応生成物(TINUVIN 213)、2−(2−ベンゾトリアゾールイル) −4−メチルフェノール(アデカスタブLA−32)及び2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール(アデカスタブLA−24)等が挙げられる。
トリアジン系紫外線吸収剤としては、具体的には、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[2−(2−エチルヘキサノイルオキシ)エトキシ]フェノール(アデカスタブLA−46)及びヒドロキシ−フェニル−s−トリアジンクロモフォア(TINUVIN 477−DW)等が挙げられる。
ベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては、具体的には、2−ヒドロキシ−4−n−オクチルオキシベンゾフェノン(アデカスタブ1413)等が挙げられる。
シュウ酸アニリド系紫外線吸収剤としては、具体的には、N−(2−エトキシフェニル)−N’−(2−エチルフェニル)オキサミド(Hostavin(登録商標)VSU)等が挙げられる。
マロン酸エステル系紫外線吸収剤としては、具体的には、ジメチル(p−メトキシベンジリデン)マロネート(Hostavin(登録商標)PR25)等が挙げられる。
紫外線吸収剤は、例えば、シュウ酸アニリド系紫外線吸収剤、マロン酸エステル系紫外線吸収剤及びメチル3−(3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオナートとPEG300との反応生成物からなる群より選ばれる少なくとも1種を含んでもよい。また、例えば、シュウ酸アニリド系紫外線吸収剤が、N−(2−エトキシフェニル)−N’−(2−エチルフェニル)オキサミドであり、マロン酸エステル系紫外線吸収剤がジメチル(p−メトキシベンジリデン)マロネートであってもよい。紫外線吸収剤は、N−(2−エトキシフェニル)−N’−(2−エチルフェニル)オキサミド又はジメチル(p−メトキシベンジリデン)マロネートであってもよい。
ラジカル捕捉剤としては、例えば、ヒンダードアミン系光安定化剤(HALS)等を挙げることができ、具体的には、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルメタクリレート(アデカスタブLA−87)、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル) セバケート(アデカスタブLA−77)、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル メタクリレート(アデカスタブLA−82)、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート(アデカスタブLA−72)、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)−2−ブチル−2−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルベンジル)プロパンジオエート(TINUVIN PA 144)、ポリ[[6−[(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ]−s−トリアジン−2,4−ジイル]−[(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]−ヘキサメチレン−[(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ](Chimassorb 944)、「1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸、テトラメチルエステル、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノール及びβ,β,β’,β’−テトラメチル−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン−3,9−ジエタノールの反応生成物(アデカスタブLA−68)」、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブタン−1,2,3,4−テトラカルボキシラート(アデカスタブLA−57)、「1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸、テトラメチルエステル、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノール及びβ,β,β’,β’−テトラメチル−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン−3,9−ジエタノールとの反応生成物(アデカスタブLA−63P)」、「デカン二酸、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−1−(オクチルオキシ)−4−ピペリジニル)エステル、1,1−ジメチルエチルヒドロペルオキシド及びオクタンとの反応生成物(TINUVIN 123)」、N,N’−ビス2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル−1,3−ベンゼンジカルボキサミド(Nylostab(登録商標)S−EEED)並びに「4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル ピペリジン−1−イル」エタノールを含む約50%ブタン二酸ポリマー及び約50%N,N’,N”,N”’−テトラキス(4,6−ビス(ブチル−(N−メチル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)アミノ)トリアジン−2−イル)−4,7−ジアザデカン−1,10−ジアミンのブレンド(TINUVIN 111FDL)」等が挙げられる。ヒンダードアミン系光安定化剤は、上記具体例として挙げられた化合物からなる群から選択されてもよい。
一実施形態における組換え構造タンパク質組成物は、組換え構造タンパク質及び光安定化剤を含み、光安定化剤はヒンダードアミン系光安定化剤及び紫外線吸収剤からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む(但し、ポリ[[6−[(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ]−s−トリアジン−2,4−ジイル]−[(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]−ヘキサメチレン−[(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]]を含むものを除く。]。
ヒンダードアミン系光安定化剤は、例えば、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル基及び1−アルキル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル基からなる群より選ばれる少なくとも1種の官能基を含んでもよい。
2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル基を含むヒンダードアミン系光安定化剤としては、例えば、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルメタクリレート(アデカスタブLA−87)、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート(アデカスタブLA−77)、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸、テトラメチルエステル、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノール及びβ,β,β',β'−テトラメチル−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン−3,9−ジエタノールの反応生成物(アデカスタブLA−68)、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブタン−1,2,3,4−テトラカルボキシラート(アデカスタブLA−57)、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−イル)エタノールを含む約50%ブタン二酸ポリマー及び約50%N,N’,N’’,N’’’−テトラキス(4,6−ビス(ブチル−(N−メチル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)アミノ)トリアジン−2−イル)−4,7−ジアザデカン−1,10−ジアミン(TINUVIN 111FDL)並びにN,N‘−ビス−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル−1,3−ベンゼンジカルボキサミド(NYLOSTAB(登録商標)S−EED)が挙げられる。また、1−アルキル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル基を含むヒンダードアミン系光安定化剤としては、例えば、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルメタクリレート(アデカスタブLA−82)、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート(アデカスタブLA−72)、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)−2−ブチル−2−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルベンジル)プロパンジオエート(TINUVIN PA 144)及び1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸、テトラメチルエステル、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノール及びβ,β,β ',β'−テトラメチル−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン−3,9−ジエタノールとの反応生成物(アデカスタブLA−63P)が挙げられる。上記1−アルキル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル基におけるアルキルの炭素数は、例えば、1〜8であってよく、1〜7であってよく、1〜6であってよく、1〜5であってよく、1〜4であってよく、1〜3であってよく、1〜2であってよく、1であってよい。
ヒンダードアミン系光安定化剤は2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル基及び1−アルキル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル基からなる群より選ばれる少なくとも1種の官能基を、例えば、1以上6以下含んでもよく、1以上4以下含んでもよく、1以上3以下含んでもよく、1以上2以下含んでもよい。
ヒンダードアミン系光安定化剤は、例えば、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルメタクリレート(アデカスタブLA−87)、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート(アデカスタブLA−77)、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルメタクリレート(アデカスタブLA−82)、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート(アデカスタブLA−72)、及びビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)−2−ブチル−2−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルベンジル)プロパンジオエート(TINUVIN PA 144)からなる群より選ばれる少なくとも1種を含むものであってよい。
ヒンダードアミン系光安定化剤の分子量は2,000未満であることが好ましく、1,900以下であることが好ましく、1,800以下であることがより好ましく、1,600以下であることがより好ましく、1,400以下であることがより好ましく、1,200以下であることがより好ましく、1,000以下であることがさらに好ましい。
ヒンダードアミン系光安定化剤の分子量は100以上であることが好ましく、150以上であることがより好ましく、200以上であることがさらに好ましい。ヒンダードアミン系光安定化剤の分子量は100以上2,000未満であることが好ましく、200以上2,000未満であることがより好ましい。分子量が100以上であると、拡散速度を十分に大きくすることができる。分子量が2,000未満であると、組換え構造タンパク質に対してより良好な分散性が得られる。
光安定化剤の含有量は、組換え構造タンパク質全量に対して0.01質量%以上であることが好ましく、0.02質量%以上、0.03質量%以上、0.04質量%以上、0.05質量%以上
であってよい。光安定化剤の含有量が0.01質量%以上であると、光安定性を十分に向上させることができる。
光安定化剤の含有量は、組換え構造タンパク質全量に対して10質量%以下、9質量%以下、8質量%以下、7質量%以下、又は6質量%以下であることが好ましく、5質量%以下、4.5質量%以下、4質量%以下、3.5質量%以下、3質量%以下、2.5質量%以下、2質量%以下、1.5質量%以下、又は1質量%以下であってよい。光安定化剤の含有量が10質量%以下であると、より高い費用対効果が得られる。
光安定化剤の含有量は、例えば、0.01質量%以上10質量%以下であってよく、0.01質量%以上5質量%以下であってよく、0.1質量%以上3質量%以下であってよく、0.1質量%以上2質量%以下であってよく、0.1質量%以上1質量%以下であってよく、0.1質量%以上0.5質量%以下であってよい。
光安定化剤の融点は、160℃以下であってよく、150℃以下であってよく、200℃以下であることが好ましい。また、光安定化剤の融点は、−50℃以上であってよく、−30℃以上であってよく、−20℃以上であってよく、0℃以上であってよい。また、光安定化剤の融点は、−40℃以上160℃以下であってよく、−40℃以上150℃以下であってよい。
本実施形態における組換え構造タンパク質組成物は、酸化防止剤をさらに含んでいてもよい。酸化防止剤としては、例えば、ラジカル捕捉剤であるフェノール系酸化防止剤、並びに過酸化物分解剤であるリン酸系酸化防止剤及び硫黄系酸化防止剤等を挙げることができる。
フェノール系酸化防止剤としては、例えば、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、セミヒンダードフェノール系酸化防止剤及びレスヒンダードフェノール系酸化防止剤等が挙げられる。
リン酸系酸化防止剤としては、例えば、ホスファイト系等酸化防止剤及びホスホナイト系酸化防止剤等が挙げられる。
硫黄系酸化防止剤としては、例えば、チオエーテル系酸化防止剤等が挙げられる。
これら酸化防止剤の具体例としては、例えば、WO2018101358に記載の酸化防止剤を使用することができる。
本実施形態に係る組換え構造タンパク質組成物は、溶媒除去物を含むものであってよい。溶媒除去物は、溶媒を揮発させて得た乾燥物と、揮発以外の方法で溶媒を除去して得たものを含む。例えば、組換え構造タンパク質が安定化剤溶液(光安定化剤が溶媒に溶解した溶液)中に分散した分散体の溶媒除去物を含むものであってよく、組換え構造タンパク質と光安定化剤とが溶解した溶液の溶媒除去物を含むものであってもよい。各溶媒除去物を得る方法については、〔組換え構造タンパク質組成物の製造方法〕に記載する。なお、組換え構造タンパク質組成物は上述した溶媒除去物のみからなっていても、その他の成分を含有していてもよい。すなわち、組換え構造タンパク質組成物には組換え構造タンパク質と安定化剤以外のその他の成分が含まれていてもよい。また、その組換え構造タンパク質組成物を得る際には、その他の成分を溶媒に溶解させてもよく、分散体と溶媒除去物のいずれに添加してもよい。また、本実施形態に係る組換え構造タンパク質組成物は、組換え構造タンパク質と光安定化剤を粉末状で混合させたものであってもよい。
本実施形態に係る組換え構造タンパク質組成物は、例えば、粉末、繊維、モールド成形体、フィルム、ゲル、多孔質体又はパーティクルであってよい。粉末、繊維、モールド成形体、フィルム、ゲル、多孔質体若しくはパーティクルの形態又は形状は、任意のものを適宜選択してよい。本実施形態に係る組換え構造タンパク質組成物は、例えば、粉末、繊維、モールド成形体又はフィルムであってよい。繊維の形態は、ステープル(短繊維)、フィラメント(長繊維)、トウ、糸、織物、編物、綿及び不織布からなる群から選ばれる少なくとも1種以上であってよい。モールド成形体の形状は、塊状、塊状無定形体、ブロック状及び板状等の成形体であってもよい。フィルムの厚さと形状は、任意のものを適宜選択してよい。
組換え構造タンパク質が安定化剤溶液中に分散した分散体の溶媒除去物を含む組換え構造タンパク質組成物としては、例えば、粉末及びモールド成形体が挙げられる。組換え構造タンパク質と光安定化剤とが溶解した溶液の溶媒除去物を含む組換え構造タンパク質組成物としては、例えば、繊維、フィルム、ゲル、多孔質体及びパーティクルが挙げられる。組換え構造タンパク質と光安定化剤を粉末状で混合させた組換え構造タンパク質組成物としては、例えば、粉末及びモールド成形体が挙げられる。

〔組換え構造タンパク質組成物の製造方法〕

本実施形態に係る、組換え構造タンパク質と光安定化剤を含む組換え構造タンパク質組成物の製造方法は、組換え構造タンパク質、光安定化剤及び溶媒を含む溶液から溶媒を除去する工程を含む。ここで、上記溶液は、組換え構造タンパク質と光安定化剤のうちの少なくとも光安定化剤が溶解した溶液である。光安定化剤はヒンダードアミン系光安定化剤及び紫外線吸収剤からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む。
一実施形態において、組換え構造タンパク質組成物は、ポリ[[6−[(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ]−s−トリアジン−2,4−ジイル]−[(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]−ヘキサメチレン−[(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]]を含むものを除く。
光安定化剤は、溶液に溶解している。溶液は、組換え構造タンパク質及び光安定化剤の両方が溶解した溶液であってもよく、組換え構造タンパク質が安定化剤溶液中に分散した溶液であってもよい。
本実施形態に係る構造タンパク質組成物の製造方法は、溶媒に対して、光安定化剤が溶解する一方、組み換え構造タンパク質は溶解又は分散した溶液を得る工程を含む。この工程では、溶媒と光安定化剤と組み換え構造タンパク質とを混合する順番は特に限定されない。また、組み換え構造タンパク質を前記溶媒と同じ又は異なる溶媒に溶解又は分散させた状態で、光安定化剤および溶媒と混合してもよい。組換え構造タンパク質は、粉末状であってよい。
組換え構造タンパク質及び溶媒を含む溶液における組換え構造タンパク質の濃度は、上記溶液の全量を100重量%としたとき、4〜40重量%であることが好ましく、7〜40重量%であることがより好ましく、10〜40重量%であることがより好ましく、20〜40重量%であることがより好ましく、7〜35重量%であることがより好ましく、10〜35重量%であることがより好ましく、12〜35重量%であることがより好ましく、15〜35重量%であることがより好ましく、15〜30重量%であることがより好ましく、20〜35重量%であることがさらに好ましく、20〜30重量%であることがさら好ましく、25〜35重量%であることが特に好ましい。組換え構造タンパク質の濃度が4重量%以上であると、より生産性が向上する。組換え構造タンパク質の濃度が40重量%以下であると、フィルム成形性や紡糸性をより一層安定化させることができ、生産性が向上する。
溶媒としては、組換え構造タンパク質を分散又は溶解し得るものであればいずれも使用することができ、例えば、ヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)、ヘキサフルオロアセトン(HFA)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMA)、1,3−ジメチル−2−イミダゾリドン(DMI)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、アセトニトリル、N−メチルモルホリンN−オキシド(NMO)及びギ酸等が挙げられる。組換え構造タンパク質の溶解性がより良好であるとの観点から、組換え構造タンパク質の溶解溶媒としては、HFIP、DMSO及びギ酸がより好ましく、HFIP及びギ酸がさらに好ましく、ギ酸が特に好ましい。これらの有機溶媒は、水を含んでいてもよい。これらの溶媒は、1種単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
溶媒にHFIPを用いる場合、光安定化剤は2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルメタクリレート(アデカスタブLA−87)、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル) セバケート(アデカスタブLA−77)、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルメタクリレート(アデカスタブLA−82)、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル) セバケート(アデカスタブLA−72)及びビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)−2−ブチル−2−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルベンジル)プロパンジオエート(TINUVIN PA 144)からなる群より選ばれる少なくとも1種を用いることが好ましい。
溶媒にギ酸を用いる場合、光安定化剤は2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルメタクリレート(アデカスタブLA−87)、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルメタクリレート(アデカスタブLA−82)、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート(アデカスタブLA−72)並びに1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸、テトラメチルエステル、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノール及びβ,β,β ',β'−テトラメチル−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン−3,9−ジエタノールとの反応生成物(アデカスタブLA−63P)からなる群より選ばれる少なくとも1種を用いることがより好ましい。
組換え構造タンパク質、上記光安定化剤及び溶媒を含む溶液から溶媒を除去する工程は、上記溶液から溶媒を揮発させる(乾式法)か、若しくは揮発以外の方法(湿式法)で実施してもよい。なお、溶媒を除去して得られる溶媒除去物において、溶媒が完全に除去されていてもよく、或いは溶媒が多少残存していてもよい。
乾式法としては、例えば、組み換え構造タンパク質が溶解した溶液(ドープ溶液)を基板上にキャストし、乾燥により溶媒を揮発させて、フィルム状の組換え構造タンパク質組成物(乾燥物)を得る方法が例示される。組み換え構造タンパク質が安定化剤溶液中に分散されている場合には、一般に、乾式法にて、組み換え構造タンパク質組成物が粉末状で得られる。ここで得られる粉末状の構造タンパク質組成物を用いてモールド成形体を得ることができる。乾式法で実施される乾燥方法は特に限定されるものではないが、例えば、自然乾燥(例えば、25℃、1気圧)、熱風乾燥(例えば、90℃で30分間)、凍結乾燥又は減圧乾燥(例えば、40℃で4時間)等が挙げられる。
湿式法としては、例えば、組み換え構造タンパク質が溶解した溶液(ドープ溶液)を凝固液に接触させることで、溶液中から溶媒を離脱させて組み換え構造タンパク質組成物(繊維)を得る方法等が挙げられる。
本実施形態に係る組換え構造タンパク質組成物の製造方法は、組換え構造タンパク質を含む成形体を用いて行うこともできる。その場合には、本実施形態に係る製造方法は、例えば、組換え構造タンパク質を含む成形体を、光安定化剤溶液に接触又は含浸させる工程、光安定化剤溶液の溶媒を乾燥(揮発)させて除去する工程、及び成形体と光安定化剤が共存した乾燥物を得る工程を含んでもよい。組換え構造タンパク質を含む成形体は、繊維等であってよい。繊維の形態は、特に限定されるものではなく、ステープル(短繊維)、フィラメント(長繊維)、トウ、糸、織物、編物、綿及び不織布からなる群から選ばれる少なくとも1種以上であってよい。光安定化剤溶液の溶媒は、特に限定されるものではなく、光安定化剤を溶解又は分散させ得るものであればよい。
(組換え構造タンパク質繊維の製造方法)

本実施形態に係る組換え構造タンパク質組成物が繊維である場合の、製造例を以下に説明する。
(紡糸工程)

組換え構造タンパク質組成物が繊維(以下、「組換え構造タンパク質繊維」ともいう)である場合、本実施形態に係る組換え構造タンパク質繊維の製造方法は、紡糸工程を含むことができる。紡糸工程は、公知の湿式紡糸法、乾式紡糸法、乾湿式紡糸法又は溶融紡糸法等により行うことができる。例えば、図6に示す紡糸装置を使用して実施することができる。好ましい紡糸方法としては、湿式紡糸又は乾湿式紡糸を挙げることができる。紡糸工程に用いる紡糸原液(ドープ溶液)としては、組換え構造タンパク質、上記光安定化剤及び溶媒を含む溶液であって、組換え構造タンパク質及び安定化剤の両方が溶解している溶液を用いることが好ましい。
図6は、組換え構造タンパク質繊維を製造するための紡糸装置の一例を概略的に示す説明図である。図6に示す紡糸装置10は、乾湿式紡糸用の紡糸装置の一例であり、押出し装置1と、凝固浴槽20と、洗浄浴槽(延伸浴槽)21と、乾燥装置4とを上流側から順に有している。
押出し装置1は貯槽7を有しており、ここに紡糸原液(ドープ液)6が貯留される。凝固浴槽20に凝固液11が貯留される。紡糸原液6は、貯槽7の下端部に取り付けられたギアポンプ8により、紡糸口金(ノズル)9から押し出される。
ラボスケールにおいては、紡糸原液をシリンダーに充填し、シリンジポンプ等を用いてノズルから押し出してもよい。押し出された紡糸原液6は、エアギャップ19を経て、凝固浴槽20の凝固液11内に供給(導入)される。凝固液11内で紡糸原液から溶媒が除去されて組換え構造タンパク質が凝固し、繊維状凝固体が形成される。次いで、繊維状凝固体は、洗浄浴槽21内の洗浄液12中に供給され、延伸される。延伸倍率は、洗浄浴槽21内に設置された第一ニップローラ13と第二ニップローラ14との速度比によって決まる。その後、延伸された繊維状凝固体は、乾燥装置4内に供給され、糸道22内で乾燥され、ワインダーにて巻き取られる。このようにして、組換え構造タンパク質繊維が、紡糸装置10により、最終的にワインダーに巻き取られた巻回物5として得られる。なお、18a〜18gは糸ガイドである。
凝固液11としては、脱溶媒できる溶媒であればよく、例えば、メタノール、エタノー ル及び2-プロパノール等の炭素数1〜5の低級アルコール、並びにアセトン等を挙げることができる。凝固液11は、適宜水を含んでいてもよい。口金9として、直径0.1〜0.6mmのノズルを有するシリンジポンプを使用する場合、押出し速度は1ホール当たり、0.2〜6.0ml/時間が好ましく、1.4〜4.0ml/時間であることがより好ましい。凝固した組換え構造タンパク質が凝固液11中を通過する距離(実質的には、糸ガイド18aから糸ガイド18bまでの距離)は、脱溶媒が効率的に行える長さがあればよく、例えば、200〜500mmである。未延伸糸の引き取り速度は、例えば、1〜100m/分であってよく、1〜20m/分であってよく、1〜3m/分であることが好ましい。引き取り速度が1m/分以上であると、生産性を十分に高めることができる。引き取り速度が100m/分以下であると、著しい溶媒の液体飛散を回避することができる。凝固液11中での滞留時間は、紡糸原液中から溶媒が除去される時間であればよく、例えば、0.01〜3分であってよく、0.05〜0.15分であることが好ましい。また、凝固液11中で延伸(前延伸)をしてもよい。凝固浴槽20は多段設けてもよく、また延伸は必要に応じて、各段、又は特定の段で行ってもよい。
紡糸口金の口金形状、ホール形状、ホール数などは特に限定されるものではなく、所望の繊維径及び単糸本数等に応じて適宜選択できる。
紡糸口金のホール形状が円形である場合は、孔径として0.01mm以上0.6mm以下を例示できる。孔径が0.01mm以上であると、圧力損失を低減することができ設備費用を抑えることができる。孔径が0.6mm以下であると、繊維径を細くするための延伸操作の必要性を低減することができ、吐出から引き取りまでの間で延伸切れを起こす可能性を低減することができる。
紡糸口金を通過する際の紡糸原液の温度、及び紡糸口金の温度は、特に限定されるものではなく、用いる紡糸原液の濃度及び粘度、有機溶媒の種類等により適宜調整すればよい。当該温度は、組換え構造タンパク質の劣化等を防止するという観点から、30℃〜100℃が好ましい。また、当該温度は、溶媒の揮発による圧力上昇、紡糸原液の固形化による配管内の閉塞が発生する可能性を低減するという観点から、用いる溶媒の沸点に満たない温度を上限とすることが好ましい。これにより工程安定性が向上する。
凝固液11の温度は、特に限定されないが、40℃以下、30℃以下、25℃以下、20℃以下、10℃以下、又は5℃以下であってよい。作業性、冷却コスト等の観点から、0℃以上であることが好ましい。なお、凝固液11の温度は、例えば、熱交換器を内部に備える凝固浴槽20と、冷却循環装置と、を有する紡糸装置10を用いることにより調整することができる。例えば、凝固浴槽20内に設置した熱交換器に冷却循環装置で所定の温度まで冷却した媒体を流すことにより、凝固液11と熱交換器間での熱交換により温度を上記範囲内に調整することができる。この場合、媒体として凝固液11に用いる溶媒を循環することでより効率的な冷却が可能となる。
凝固液が貯留される凝固浴槽は複数設けられていてもよい。
凝固した組換え構造タンパク質(繊維状凝固体)は、凝固浴槽又は洗浄浴槽を離脱してから、そのままワインダーにて巻き取られてもよいし、乾燥装置を通過し、乾燥され、その後、ワインダーにて巻き取られてもよい。
凝固した組換え構造タンパク質(繊維状凝固体)が凝固液中を通過する距離は、脱溶媒が効率的に行えればよく、ノズルからの紡糸原液の押出速度(吐出速度)等に応じて決定されるものであってよい。凝固した組換え構造タンパク質(又は紡糸原液)の凝固液中での滞留時間は、凝固した組換え構造タンパク質が凝固液中を通過する距離、ノズルからの紡糸原液の押出速度等に応じて決定されるものであってよい。
(延伸工程)

本実施形態の製造方法は、凝固させた組換え構造タンパク質(繊維状凝固体)を延伸する工程(延伸工程)を更に含むものであってよい。延伸方法としては、湿熱延伸、乾熱延伸等をあげることができる。延伸工程は、例えば、凝固浴槽20内で実施してもよく、洗浄浴槽21内で実施してもよい。延伸工程はまた、空気中で実施することもできる。
洗浄浴槽21内で実施される延伸は、温水中、温水に有機溶剤等を加えた溶液中等で行う、いわゆる湿熱延伸であってもよい。湿熱延伸の温度は50〜90℃であることが好ましい。該温度が50℃以上であると、糸の細孔径を小さく安定させることができる。また、温度が90℃以下であると、温度設定が容易であり紡糸安定性が向上する。温度は75〜85℃がより好ましい。
湿熱延伸は、温水中、温水に有機溶剤等を加えた溶液中、又はスチーム加熱中で行うことができる。温度としては、例えば、40〜200℃であってよく、50〜180℃であってよく、50〜150℃であってよく、75〜90℃であってよい。湿熱延伸における延伸倍率は、未延伸糸(又は前延伸糸)に対して、例えば、1〜30倍であってよく、2〜25倍であってよく、2〜20倍であってよく、2〜15倍であってよく、2〜10倍であってよく、2〜8倍であってよく、2〜6倍であってよく、2〜4倍であってよい。ただし、延伸倍率は、所望する繊維の太さ、機械物性などの特性が得られる範囲であれば限定されるものではない。
乾熱延伸は、接触型の熱板、及び非接触型の炉などの熱源を備えた装置を用いて、空気中で延伸することにより行うことができるが、特に限定されるものではなく、繊維を所定の温度まで昇温させ、かつ所定の倍率で延伸が可能な装置であればよい。温度としては、例えば、100℃〜270℃であってよく、140℃〜230℃であってよく、140℃〜200℃であってよく、160℃〜200℃であってよく、160℃〜180℃であってよい。
乾熱延伸工程における延伸倍率は、未延伸糸(又は前延伸糸)に対して、例えば、1〜30倍であってよく、2〜30倍であってよく、2〜20倍であってよく、3〜15倍であってよく、3〜10倍であることが好ましく、3〜8倍であることがより好ましく、4〜8倍であることがさらに好ましい。をただし、延伸倍率は、所望する繊維の太さ、機械物性などの特性が得られる範囲であれば限定されるものではない。
延伸工程は、湿熱延伸及び乾熱延伸を、それぞれ単独で行うものであってもよく、またこれらを多段で、又は組み合わせて行うものであってもよい。すなわち、延伸工程として、一段目延伸を湿熱延伸で行い、二段目延伸を乾熱延伸で行う、又は一段目延伸を湿熱延伸行い、二段目延伸を湿熱延伸行い、更に三段目延伸を乾熱延伸で行う等、湿熱延伸及び乾熱延伸を適宜組み合わせて行うことができる。
延伸工程を経た組換え構造タンパク質繊維の最終的な延伸倍率の下限値は、未延伸糸(又は前延伸糸)に対して、好ましくは、1倍、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、又は9倍のうちの何れかであってよい。延伸工程を経た組換え構造タンパク質繊維の最終的な延伸倍率の上限値は、好ましくは40倍、30倍、20倍、15倍、14倍、13倍、12倍、11倍、又は10倍のうちの何れかであってよい。また、例えば、最終的な延伸倍率は3〜40倍であてよく、3〜30倍であってよく、5〜30倍であってよく、5〜20倍であってよく、5〜15倍であってよく、5〜13倍であってよい。ただし、延伸倍率は、所望する繊維の太さ、機械物性などの特性が得られる範囲であれば限定されるものではない。延伸倍率を調節することで、得られる組換え構造タンパク質繊維の繊維径を任意の値に調節することができる。
乾燥の前又は後に、必要に応じて、未延伸糸(若しくは前延伸糸)又は延伸糸に対して、帯電抑制性、収束性及び潤滑性等を付与する目的で油剤を付与してもよい。付与する油剤の種類及び付与する量等は、特に限定されるものではなく、繊維を使用する用途、繊維の取扱い性等を考慮し適宜調整することができる。
本実施形態に係る製造方法は、紡糸原液の吐出前に紡糸原液を濾過する工程(濾過工程)、及び/又は吐出前に紡糸原液を脱泡する工程(脱泡工程)を更に備えるものであってもよい。
(モールド成形体の製造方法)

本実施形態に係る組換え構造タンパク質組成物がモールド成形体である場合の、製造例を以下に説明する。
(成形加工工程)

組換え構造タンパク質組成物がモールド成形体である場合、本実施形態に係る組換え構造タンパク質組成物の製造方法は、成形加工工程を含むことができる。モールド成形体は、鋳型(モールド)に組換え構造タンパク質組成物を導入し成形加工する等して得ることができ、成形加工の工程において、加熱及び加圧することが可能である。成形加工の対象の組換え構造タンパク質組成物は、粉末状(凍結乾燥粉末等)又は繊維状(紡糸して得られる繊維等)の形状を有することができる。また、モールド成形体は、上記形状の組換え構造タンパク質組成物の融着体であり得る。
モールド成形体を、加圧成形機(鋳型)を用いて作成する方法について図を用いて説明する。図7に示す加圧成形機100は、貫通孔が形成され加温可能な金型200と、金型200の貫通孔内で上下動が可能な上側ピン400及び下側ピン600とを備えるものであり、金型200に、上側ピン400又は下側ピン600を挿入して生じる空隙に、組換え構造タンパク質組成物を導入して、金型200を加温しつつ、上側ピン400及び下側ピン600で組成物を圧縮し、モールド成形体を製造することができる。
図8(a)に示すように、金型200の貫通孔に下側ピン600のみを挿入した状態で貫通孔内に組換え構造タンパク質組成物を導入し、図8(b)に示すように、金型200の貫通孔に上側ピン400を挿入して下降させ、金型200の加熱を開始して、加熱加圧前の組換え構造タンパク質組成物800aを貫通孔内で加熱加圧する。あらかじめ定めた加圧力に至るまで上側ピン400を下降させ、図8(c)に示す状態でタンパク質組成物が所定の温度に達するまで、加熱及び加圧を継続して、加熱加圧後のタンパク質組成物800bを得る。その後、冷却器(例えばスポットクーラー)を用いて金型200の温度を下降させ、タンパク質組成物800bが所定の温度になったところで、上側ピン400又は下側ピン600を金型200から抜き取り、内容物を取り出して、モールド成形体を得る。加圧に関しては、下側ピン600を固定した状態で上側ピン400を下降させて実施してもよいが、上側ピン400の下降と下側ピン600の上昇の両方を実施してもよい。
加熱は、80〜300℃で行うことが好ましく、100〜200℃がより好ましく、130〜200℃が更に好ましい。加圧は、5kN以上で行うことが好ましく、10kN以上がより好ましく、20kN以上が更に好ましい。また、所定の加熱加圧条件に達した後、その条件での処理を続ける時間(保温条件)は、0〜100分が好ましく、1〜50分がより好ましく5〜30分が更に好ましい。
(フィルム、ゲル、多孔質体、パーティクルの製造方法)

組換え構造タンパク質組成物がフィルムである場合、組換え構造タンパク質と光安定化剤及び溶媒とを含む溶液(ドープ溶液)の膜を形成し、形成された膜から溶媒を除去する方法により得られる。フィブロイン由来タンパク質よりフィルムを製造する方法が国際公開第2014/103799号に記載されており、このような公知の方法を用いてフィルムを得ることができる。
組換え構造タンパク質組成物がゲルである場合、組換え構造タンパク質と光安定化剤及び溶媒とを含む溶液(ドープ溶液)からゲルを形成し、形成されたゲルから溶媒を除去する方法により得られる。フィブロイン由来タンパク質よりゲルを製造する方法が国際公開第2014/175177号に記載されており、このような公知の方法を用いてゲルを得ることができる。
組換え構造タンパク質組成物が多孔質体である場合、組換え構造タンパク質と光安定化剤及び溶媒とを含む溶液(ドープ溶液)から多孔質体を形成し、形成された多孔質体から溶媒を除去する方法により得られる。フィブロイン由来タンパク質より多孔質体を製造する方法が国際公開第2014/175178号に記載されており、このような公知の方法を用いて多孔質体を得ることができる。
組換え構造タンパク質組成物がパーティクルである場合、組換え構造タンパク質と光安定化剤及び溶媒とを含む溶液(ドープ溶液)からパーティクルを形成し、形成されたパーティクルから溶媒を除去する方法により得られる。フィブロイン由来タンパク質よりパーティクルを製造する方法が国際公開第2014/175179号に記載されており、このような公知の方法を用いてパーティクルを得ることができる。
組換え構造タンパク質、組換え構造タンパク質組成物及び光安定化剤等については、〔組換え構造タンパク質組成物〕に記載したとおりである。
〔組換え構造タンパク質の光安定性向上方法〕

本実施形態に係る組換え構造タンパク質の光安定性向上方法は、組換え構造タンパク質と光安定化剤が共存した組成物を得ることを特徴とする。ここで、光安定化剤はヒンダードアミン系光安定化剤及び紫外線吸収剤からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む。
一実施形態において、組換え構造タンパク質組成物は、ポリ[[6−[(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ]−s−トリアジン−2,4−ジイル]−[(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]−ヘキサメチレン−[(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]を含むものを除く。
組換え構造タンパク質と光安定化剤が共存した組成物は、〔組換え構造タンパク質組成物の製造方法〕に記載した方法により得ることができる。上記製造方法により組換え構造タンパク質と光安定化剤とを共存させることができ、これにより組換え構造タンパク質の光安定性を向上させることができる。したがって、本実施形態に係る光安定性向上方法は、例えば、組換え構造タンパク質と光安定化剤を共通の溶媒に溶解させた溶液を得、この溶液から溶媒を除去して、組換え構造タンパク質と光安定化剤が共存した組成物を得る方法であってもよく、組換え構造タンパク質、組換え構造タンパク質の溶解溶媒及び光安定化剤溶液を混合して混合溶液を得、この混合溶液から溶媒を除去して、組換え構造タンパク質と光安定化剤が共存した組成物を得る方法であってもよく、光安定化剤溶液中に組換え構造タンパク質を分散させて分散体を得、この分散体から溶媒を除去して、組換え構造タンパク質と光安定化剤が共存した組成物を得る方法であってもよい。

光安定性の評価は、例えば、以下の式で組換え構造タンパク質組成物の黄変度、及び黄変抑制度をそれぞれ算出することにより行うことができる。 (式1):

黄変度=(360時間露光後の組成物の波長430nmにおける吸光度の値)−(露光後の組成物の波長430nmにおける最小吸光度)

(式2):

黄変抑制度[%]=(コントロール組成物の黄変度)−(光安定化剤含有組成物の黄変度)/(コントロール組成物の黄変度)×100

黄変抑制度の数値が大きいほど、光安定性が高いことを示す。なお、光安定化剤含有組成物は、本実施形態に係る組換え構造タンパク質組成物を意味し、コントロール組成物は、光安定化剤を含有しない以外は本実施形態に係る組換え構造タンパク質組成物と同様に製造した組成物を意味する。
光安定性評価のための露光試験は、公知の方法及び条件により行うことができるが、例えば、試料面放射照度550W/m、ブラックパネル温度83℃の条件で360時間照射することにより行うことができる。
〔組換え構造タンパク質の製造〕

(1)発現ベクターの作製

ネフィラ・クラビペス(Nephila clavipes)由来のフィブロイン(GenBankアクセッション番号:P46804.1、GI:1174415)の塩基配列及びアミノ酸配列に基づき、配列番号15を有する組換え構造タンパク質(以下、「PRT799」ともいう。)を設計した。なお、配列番号15で示されるアミノ酸配列は、ネフィラ・クラビペス由来のフィブロインのアミノ酸配列に対して、生産性の向上を目的としてアミノ酸残基の置換、挿入及び欠失を施したアミノ酸配列を有し、さらにN末端に配列番号12で示されるアミノ酸配列(タグ配列及びヒンジ配列)が付加されている。
次に、設計した配列番号15のアミノ酸配列を有する組換え構造タンパク質(改変フィブロイン)PRT799をコードする核酸を合成した。当該核酸には、5’末端にNdeIサイト及び終止コドン下流にEcoRIサイトを付加した。当該核酸をクローニングベクター(pUC118)にクローニングした。その後、同核酸をNdeI及びEcoRIで制限酵素処理して切り出した後、それぞれタンパク質発現ベクターpET−22b(+)に組換えて発現ベクターを得た。
(2)組換え構造タンパク質の発現

(1)で得られた発現ベクターで、大腸菌BLR(DE3)を形質転換した。当該形質転換大腸菌を、アンピシリンを含む2mLのLB培地で15時間培養した。当該培養液を、アンピシリンを含む100mLのシード培養用培地(表4)にOD600が0.005となるように添加した。培養液温度を30℃に保ち、OD600が5になるまでフラスコ培養を行い(約15時間)、シード培養液を得た。
当該シード培養液を500mLの生産培地(表5)を添加したジャーファーメンターにOD600が0.05となるように添加した。培養液温度を37℃に保ち、pH6.9で一定に制御して培養した。また培養液中の溶存酸素濃度を、溶存酸素飽和濃度の20%に維持するようにした。
生産培地中のグルコースが完全に消費された直後に、フィード液(グルコース455g/1L、Yeast Extract 120g/1L)を1mL/分の速度で添加した。培養液温度を37℃に保ち、pH6.9で一定に制御して培養した。また培養液中の溶存酸素濃度を、溶存酸素飽和濃度の20%に維持するようにし、20時間培養を行った。その後、1Mのイソプロピル−β−チオガラクトピラノシド(IPTG)を培養液に対して終濃度1mMになるよう添加し、改変フィブロインを発現誘導させた。IPTG添加後20時間経過した時点で、培養液を遠心分離し、菌体を回収した。IPTG添加前とIPTG添加後の培養液から調製した菌体を用いてSDS−PAGEを行い、IPTG添加に依存した目的とする組換え構造タンパク質のバンドの出現により、目的とする組換え構造タンパク質(クモ糸フィブロイン)の発現を確認した。
(3)組換え構造タンパク質の精製

IPTGを添加してから2時間後に回収した菌体を20mM Tris−HCl buffer(pH7.4)で洗浄した。洗浄後の菌体を約1mMのPMSFを含む20mM Tris−HCl緩衝液(pH7.4)に懸濁させ、高圧ホモジナイザー(GEA Niro Soavi社製)で細胞を破砕した。破砕した細胞を遠心分離し、沈殿物を得た。得られた沈殿物を、高純度になるまで20mM Tris−HCl緩衝液(pH7.4)で洗浄した。洗浄後の沈殿物を100mg/mLの濃度になるように8M グアニジン緩衝液(8M グアニジン塩酸塩、10mM リン酸二水素ナトリウム、20mM NaCl、1mM Tris−HCl、pH7.0)で懸濁し、60℃で30分間、スターラーで撹拌し、溶解させた。溶解後、透析チューブ(三光純薬株式会社製のセルロースチューブ36/32)を用いて水で透析を行った。透析後に得られた白色の凝集タンパク質を遠心分離により回収し、凍結乾燥機で水分を除き、凍結乾燥粉末を回収することにより、組換え構造タンパク質(PRT799)を得た。
1.組換え構造タンパク質組成物(フィルム)の製造

(1)フィルムの調製

上記精製工程で得られた組換え構造タンパク質(クモ糸フィブロイン)粉末(PRT799)7.6gに溶媒としてHFIPを182.4g添加し、50℃で3時間混合攪拌して濃度4質量%の組換え構造タンパク質溶液を調製した。この溶液を14gずつ分取し、表6に示した光安定化剤をそれぞれ2.8mg添加し、50℃で3時間混合攪拌して各ドープ溶液を調製した。調製した各ドープ溶液をマイクロプレートウェル上に摺り切りで分注し、室温で12時間乾燥させた後、さらに大気雰囲気下で60℃に加熱して4時間乾燥させ、フィルムを作製した。フィルム(組換え構造タンパク質組成物)中の光安定化剤の含有量は、組換え構造タンパク質全量に対していずれも0.5質量%とし(乾燥物全量に対する安定化剤含有率:0.5質量%)、フィルムの厚みは500μmとした。コントロールとして、光安定化剤を添加しなかった以外は、上記と同様にして組換え構造タンパク質(クモ糸フィブロイン)のみを含有するフィルムを調製した。
(2)露光試験

試料を収容するチャンバーに上記で作製したフィルムを設置し、標準状態下で卓上キセノン耐候性試験機(ATLAS社製,サンテストCPS+)を用いて360時間照射した。照射条件は、試料面放射照度550W/m、ブラックパネル温度83℃とした。
(3)吸光度の測定

照射(露光)前後のフィルムの吸光度を、Epoch2マイクロプレート分光光度計(Biotek社製)で透過測定した。解像度は10nmとし、測定波長域は200〜800nmとした。
(4)光安定性の評価

光安定性の評価は、以下の式で各組換え構造タンパク質組成物(フィルム)の黄変度、及び黄変抑制度をそれぞれ算出して行なった。 (式1):

黄変度=(360時間露光後のフィルムの波長430nmにおける吸光度の値)−(露光後のフィルムの波長430nmにおける最小吸光度)

(式2):

黄変抑制度[%]=(コントロールフィルムの黄変度)−(光安定化剤含有フィルムの黄変度)/(コントロールフィルムの黄変度)×100

黄変抑制度の数値が大きいほど、光安定性が高いことを示す。なお、サンプル数はn=16とした。評価結果を以下の表7に示した。
表7に示したとおり、光安定化剤として、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルメタクリレート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルメタクリレート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、及びビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)−2−ブチル−2−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルベンジル)プロパンジオエートを使用した組換え構造タンパク質組成物(フィルム)において、高い光安定性が得られた。これらは、ヒンダードアミン系光安定化剤に分類され、共通の官能基として1〜3個の2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル基又は1−アルキル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル基を有する。
また、光安定化剤として、シュウ酸アニリド系紫外線吸収剤に分類されるN−(2−エトキシフェニル)−N’−(2−エチルフェニル)オキサミド、マロン酸エステル系紫外線吸収剤に分類されるジメチル(p−メトキシベンジリデン)マロネート、及びメチル3−(3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオナートとPEG300との反応生成物を使用した組換え構造タンパク質組成物(フィルム)においても、高い光安定性が得られた。2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルメタクリレートを使用した組換え構造タンパク質組成物において最も高い光安定効果が得られた。
2−1.組換え構造タンパク質組成物(フィルム)の製造

(1)フィルムの調製

上記精製工程で得られた組換え構造タンパク質(クモ糸フィブロイン)粉末(PRT799)3.2gに、溶媒としてギ酸28.8gを添加し、室温で3時間攪拌して濃度10質量%の組換え構造タンパク質溶液を調製した。この溶液を3.2gずつ分取し、表10に示した光安定化剤をそれぞれ16mg添加し、室温で3時間混合攪拌した。調製した各ドープ溶液をガラスプレート上に0.16gキャストし、室温で12時間乾燥させ、フィルムを作製した。フィルム(組換え構造タンパク質組成物)中の光安定化剤の含有量は、組換え構造タンパク質全量に対していずれも5質量%とし、フィルムの厚みは500μmとした。
(2)露光試験

上記1.と同様にして、作製したフィルムの露光試験を行った。
(3)吸光度の測定

上記1.と同様にして、作製したフィルムの吸光度を測定した。
(4)光安定性の評価

上記1.と同様にして、作製したフィルムの黄化度と黄化抑制度を算出し、光安定性を評価した。評価結果を以下の表8に示した。
表8に示した通り、溶媒にギ酸を用いた場合においても、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルメタクリレート(試験例14)、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルメタクリレート(試験例15)、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート(試験例16)及び1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸、テトラメチルエステル、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノール及びβ,β,β',β'−テトラメチル−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン−3,9−ジエタノールとの反応生成物(試験例17)を使用した組換え構造タンパク質組成物(フィルム)において、高い光安定性が得られることが示された。
溶媒に用いたギ酸は、ギ酸それ自体が光安定化剤の有効官能基と反応するため、光安定化剤がギ酸中で失活することが予想された。しかしながら、予想に反して、反応性の高いギ酸溶媒においても、有効な光安定化剤を見いだすことができた。
2−2.組換え構造タンパク質組成物(フィルム)の製造

(1)フィルムの調製

表9に示した光安定化剤の添加量を1.6mgとした他は、2−1(試験例14〜17)と同様にしてフィルムを作製した。フィルム(組換え構造タンパク質組成物)中の光安定化剤の含有量は、組換え構造タンパク質全量に対して0.5質量%(試験例18)とした。
表11に示したとおり、光安定化剤に2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルメタクリレート(アデカスタブLA−87)を用いた場合は、光安定化剤の含有量を少なくした場合においても、高い光安定性が得られることが示された(試験例18)。
参考例1:改変フィブロインの燃焼性試験

塩化リチウムのジメチルスルホキシド溶液(濃度:4.0質量%)に、改変フィブロイン(PRT799)の凍結乾燥粉末を、濃度24質量%となるよう添加し、シェーカーを使用して3時間混合することにより、溶解させた。その後、不溶物と泡を取り除き、改変フィブロイン溶液(紡糸原液)を得た。
得られた紡糸原液を90℃に加熱し、目開き5μmの金属フィルターで濾過し、次いで30mLのステンレスシリンジ内で静置し、脱泡させた後に、ニードル径0.2mmのソリッドノズルから100質量%メタノール凝固浴槽中へ吐出させた。吐出温度は90℃であった。凝固後、得られた原糸を巻き取り、自然乾燥させて改変フィブロイン繊維(原料繊維)を得た。
原料繊維を撚り合せた撚糸を使用して、丸編機を使用した丸編みで編地(太さ:180デニール、ゲージ数:18)を製造した。得られた編地を20g切り出して、試験片として使用した。
燃焼性試験は、「消防危50号(平成7年5月31日付け)」に記載の「粉粒状又は融点の低い合成樹脂の試験方法」に準拠した。試験は、温度22℃、相対湿度45%、気圧1021hPaの条件下で実施した。測定結果(酸素濃度(%)、燃焼率(%)、換算燃焼率(%))を表10に示す。
燃焼性試験の結果、改変フィブロイン(PRT799)繊維で編んだ編地の限界酸素指数(LOI)値は27.2であった。一般にLOI値が26以上であると、難燃性であると知られている。改変フィブロインは、難燃性に優れていることが分かる。
参考例2:改変フィブロインの吸湿発熱性評価

塩化リチウムのジメチルスルホキシド溶液(濃度:4.0質量%)に、改変フィブロインの凍結乾燥粉末を、濃度24質量%となるよう添加し、シェーカーを使用して3時間混合することにより、溶解させた。その後、不溶物と泡を取り除き、改変フィブロイン溶液(紡糸原液)を得た。
得られた紡糸原液を60℃に加熱し、目開き5μmの金属フィルターで濾過し、次いで30mLのステンレスシリンジ内で静置し、脱泡させた後に、ニードル径0.2mmのソリッドノズルから100質量%メタノール凝固浴槽中へ吐出させた。吐出温度は60℃であった。凝固後、得られた原糸を巻き取り、自然乾燥させて改変フィブロイン繊維(原料繊維)を得た。
比較のため、原料繊維として、市販されているウール繊維、コットン繊維、テンセル繊維、レーヨン繊維及びポリエステル繊維を用意した。
各原料繊維を使用して、横編機を使用した横編みで編地をそれぞれ製造した。PRT918繊維又はPRT799繊維を使用した編地の太さ及びゲージ数を表10に示すとおりである。その他の原料繊維を使用した編地は、改変フィブロイン繊維の編地とほぼ同一のカバーファクターとなるように太さ及びゲージ数を調整した。具体的には、以下のとおりである。
10cm×10cmに裁断した編地を2枚合わせにし、四辺を縫い合わせて試験片(試料)とした。試験片を低湿度環境(温度20±2℃、相対湿度40±5%)で4時間以上放置した後、高湿度環境(温度20±2℃、相対湿度90±5%)に移し、試験片内部中央に取り付けた温度センサーにより30分間、1分間隔で温度の測定を行った。
測定結果から、下記式Aに従って、最高吸湿発熱度を求めた。 式A: 最高吸湿発熱度={(試料を、試料温度が平衡に達するまで低湿度環境下に置いた後、高湿度環境下に移したときの試料温度の最高値)−(試料を、試料温度が平衡に達するまで低湿度環境下に置いた後、高湿度環境下に移すときの試料温度)}(℃)/試料重量(g)
図9は、吸湿発熱性試験の結果の一例を示すグラフである。グラフの横軸は、試料を低湿度環境から高湿度環境に移した時点を0とし、高湿度環境での放置時間(分)を示す。グラフの縦軸は、温度センサーで測定した温度(試料温度)を示す。図9に示したグラフ中、Mで示した点が、試料温度の最高値に対応している。
各編地の最高吸湿発熱度の算出結果を表12に示す。
表12に示すとおり、改変フィブロイン(PRT918及びPRT799)は、既存の材料と比べて、最高吸湿発熱度が高く、吸湿発熱性に優れていることが分かる。
参考例3:改変フィブロインの保温性評価

塩化リチウムのジメチルスルホキシド溶液(濃度:4.0質量%)に、改変フィブロインの凍結乾燥粉末を、濃度24質量%となるよう添加し、シェーカーを使用して3時間混合することにより、溶解させた。その後、不溶物と泡を取り除き、改変フィブロイン溶液(紡糸原液)を得た。
得られた紡糸原液を60℃に加熱し、目開き5μmの金属フィルターで濾過し、次いで30mLのステンレスシリンジ内で静置し、脱泡させた後に、ニードル径0.2mmのソリッドノズルから100質量%メタノール凝固浴槽中へ吐出させた。吐出温度は60℃であった。凝固後、得られた原糸を巻き取り、自然乾燥させて改変フィブロイン繊維(原料繊維)を得た。
比較のため、原料繊維として、市販されているウール繊維、シルク繊維、綿繊維、レーヨン繊維及びポリエステル繊維を用意した。
各原料繊維を使用して、横編機を使用した横編みで編地をそれぞれ製造した。PRT966繊維又はPRT799繊維を使用した編地の番手、撚り本数、ゲージ数、目付けは、表12に示すとおりである。その他の原料繊維を使用した編地は、改変フィブロイン繊維の編地とほぼ同一のカバーファクターとなるように調整した。具体的には、以下のとおりである。
保温性は、カトーテック株式会社製のKES−F7サーモラボII試験機を使用し、ドライコンタクト法(皮膚と衣服が乾燥状態で直接触れた時を想定した方法)を用いて評価した。20cm×20cmの矩形に裁断した編地1枚を試験片(試料)として使用した。試験片を、一定温度(30℃)に設定した熱板にセットし、風洞内風速30cm/秒の条件で、試験片を介して放散された熱量(a)を求めた。試験片をセットしない状態で、上記同様の条件で放散された熱量(b)を求め、下記式Bに従い保温率(%)を算出した。 式B: 保温率(%)=(1−a/b)×100
測定結果から、下記式Cに従って、保温性指数を求めた。 式C: 保温性指数=保温率(%)/試料の目付け(g/m
保温性指数の算出結果を表14に示す。保温性指数が高いほど、保温性に優れる材料と評価することができる。
表14に示すとおり、改変フィブロイン(PRT966及びPRT799)は、既存の材料と比べて、保温性指数が高く、保温性に優れていることが分かる。
表10〜14に示したとおり、改変フィブロイン(改変クモ糸フィブロイン)を用いて組換え構造タンパク質組成物とすることで、保温性、吸湿発熱性及び/又は難燃性により優れ、かつ光安定性の向上した、組換え構造タンパク質組成物を得ることができる。
1…押出し装置、2…未延伸糸製造装置、3…湿熱延伸装置、4…乾燥装置、5…巻回物、6…ドープ液、7…貯槽、8…ギアポンプ、9…紡糸口金(ノズル)、10…紡糸装置、11…凝固液、12…洗浄液、13…第一ニップローラ、14…第二ニップローラ、18a〜18g…糸ガイド、19…エアギャップ、20…凝固浴槽、21…延伸浴槽、22…糸道、36…原料繊維、100…加圧成形機、200…金型、400…上側ピン、600…下側ピン、800a…加熱加圧前のタンパク質組成物、800b…加熱加圧後のタンパク質組成物。

Claims (15)

  1. 組換え構造タンパク質と光安定化剤を含む組換え構造タンパク質組成物であって、 前記光安定化剤はヒンダードアミン系光安定化剤及び紫外線吸収剤からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む、組換え構造タンパク質組成物(但し、ポリ[[6−[(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ]−s−トリアジン−2,4−ジイル]−[(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]−ヘキサメチレン−[(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]]を含むものを除く。)。
  2. 前記組換え構造タンパク質の平均疎水性指標が−1.2以上である、請求項1に記載の組換え構造タンパク質組成物。
  3. 前記ヒンダードアミン系光安定化剤が2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル基及び1−アルキル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル基からなる群より選ばれる少なくとも1種の官能基を含み、前記1−アルキル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル基におけるアルキルの炭素数が1〜8である、請求項1又は2に記載の組換え構造タンパク質組成物。
  4. 前記ヒンダードアミン系光安定化剤が前記官能基を1以上6以下含む、請求項3に記載の組換え構造タンパク質組成物。
  5. 前記ヒンダードアミン系光安定化剤が2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルメタクリレート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルメタクリレート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、及びビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)−2−ブチル−2−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルベンジル)プロパンジオエートからなる群より選ばれる少なくとも1種を含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の組換え構造タンパク質組成物。
  6. 前記紫外線吸収剤が、シュウ酸アニリド系紫外線吸収剤、マロン酸エステル系紫外線吸収剤及びメチル3−(3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオナートとPEG300との反応生成物からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の組換え構造タンパク質組成物。
  7. 前記シュウ酸アニリド系紫外線吸収剤がN−(2−エトキシフェニル)−N’−(2−エチルフェニル)オキサミドであり、前記マロン酸エステル系紫外線吸収剤がジメチル(p−メトキシベンジリデン)マロネートである、請求項6に記載の組換え構造タンパク質組成物。
  8. 前記組換え構造タンパク質組成物が、前記組換え構造タンパク質と前記光安定化剤と溶媒と、を含む溶液から前記溶媒を除去した溶媒除去物である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の組換え構造タンパク質組成物。
  9. 前記溶媒除去物が粉末、繊維、モールド成形体又はフィルムである、請求項8に記載の組換え構造タンパク質組成物。
  10. 前記溶媒除去物が繊維又はフィルムである、請求項8又は9に記載の組換え構造タンパク質組成物。
  11. 前記組換え構造タンパク質が、改変フィブロイン、ケラチン、コラーゲン、エラスチン及びレシリンからなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項1〜10のいずれか一項に記載の組換え構造タンパク質組成物。
  12. 前記組換え構造タンパク質が改変フィブロインである、請求項1〜11のいずれか一項に記載の組換え構造タンパク質組成物。
  13. 前記組換え構造タンパク質が改変クモ糸フィブロインである、請求項1〜12のいずれか一項に記載の組換え構造タンパク質組成物。
  14. 組換え構造タンパク質と光安定化剤を含む組換え構造タンパク質組成物の製造方法であって、 前記組換え構造タンパク質、前記光安定化剤及び溶媒を含む溶液から前記溶媒を除去する工程を含み、 前記溶液は、前記光安定化剤が溶解した溶液であり、 前記光安定化剤はヒンダードアミン系光安定化剤及び紫外線吸収剤からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む、組換え構造タンパク質組成物(但し、ポリ[[6−[(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ]−s−トリアジン−2,4−ジイル]−[(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]−ヘキサメチレン−[(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]]を含むものを除く。)の製造方法。
  15. 組換え構造タンパク質と光安定化剤が共存した組成物を得ることを特徴とする組換え構造タンパク質の光安定性向上方法であって、 前記光安定化剤はヒンダードアミン系光安定化剤及び紫外線吸収剤からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む、光安定性向上方法。
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