JP2013136068A - 段付金属部材の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】低融点金属製の芯材27を、鉄系合金製で有底円筒状の辺材26に締り嵌めで内嵌して成る、素材28とする。この素材28をダイスのキャビティ内に挿入し、押圧パンチによりこのキャビティ内に押し込む、冷間鍛造を行う。必要な加工を施して、第四中間素材59とした後、この第四中間素材59を加熱して、前記芯材27を構成する低融点金属を融解して除去し、第五中間素材60とする。
【選択図】図1
Description
この様なハブ本体9aは、図12〜14に示した工程により造る。先ず、押し出し成形、圧延成形等により造られた長尺な原材料を所定長さに切断する事により、各図の(A)に示す様な、円柱状の素材13を得る。次いで、この素材13に、冷間鍛造加工の一種である、第一段階の前方押し出し加工を施す事により、各図の(B)に示した第一中間素材14を造る。次に、この第一中間素材14に、やはり冷間鍛造加工の一種である、第二段階の前方押し出し加工を施す事により、各図の(C)に示した第二中間素材15を得る。次に、この第二中間素材15を、前記特許文献4に記載されている様に、所定の内周面形状を有する分割型のダイス内にセットした状態で、前記第二中間素材15の軸方向端面{各図の(C)の上端面}にパンチを押し付ける。そして、この軸方向外端面を凹ませると共に、この第二中間素材15を構成する金属材料を径方向外方に流動させる、冷間鍛造の一種である側方押し出し加工を施す事により、各図の(D)に示す様な、回転側フランジ7aを有する、第三中間素材16とする。次に、この第三中間素材16に、スタッド17の頭部18(図10参照)の軸方向側面を当接させる座面19、19を形成する為のサイジング加工を施して、各図の(E)に示した第四中間素材20とする。
そして、本発明の段付金属部材の製造方法は、上述の様な段付金属部材を造る為に、(次述する表層材を構成する、鉄系合金の焼鈍温度よりも低い融点を有する)低融点金属製で円柱状の芯材と、中炭素鋼の如き鉄系合金製で、この芯材の端部を除いた外側部分を覆う有底円筒状の表層材とから成る素材に、冷間鍛造を施す事で中間素材とする。その後、この中間素材を加熱し、前記芯材のみを融解して除去する事により中空とする。
又、この様な請求項2に記載した発明を実施する場合に、好ましくは請求項3に記載した発明の様に、前記芯材の高さ寸法を、前記表層材の中心孔の深さ寸法よりも小さくする。
そして、請求項6に記載した発明の場合には、前記素材の先端面の中央部に前記カウンターパンチの先端面を押し付けつつ、この素材を、この先端面の中央部に前記凹孔を有する前記第一中間素材とする。次いで、この凹孔内にスペーサを内嵌した状態で、この第一中間素材を前記第二中間素材に加工する。
これに対して、請求項7に記載した発明の場合には、前記素材を前記第一中間素材とする際には、前記凹孔を形成しない。その代わりに、前記第一中間素材の先端面の中央部に前記カウンターパンチの先端面を押し付けて前記凹孔を形成しつつ、この第一中間素材を前記第二中間素材とする。
即ち、請求項5〜7に記載した発明の場合には、前記素材の先端部の外径を縮める際に、カウンターパンチにより小径側の円筒面部の中心部に有底の凹孔を形成する。この為、前記素材の先端部をこの小径側の円筒面部とする過程で、この素材の内部での金属材料の流れを整えられる。言い換えれば、前記シェブロンクラック発生の原因となる、前記素材の外径寄り部分と中心寄り部分との間での金属材料の移動速度の差を小さくできる。特に、強度確保上の面からの重要部分である、鉄系合金製の表層材部分で、金属材料の移動速度の差を小さくできる。この差を小さくできる事は、前記素材、特に表層材の内部に生じる引っ張り応力の低減に結び付いて、前記シェブロンクラックの発生を抑えられる。更に、前記素材の先端部の中心部を押し潰しつつ、前記凹孔を形成する事により、この素材の内部に、圧縮応力が生じる。この圧縮応力により、前記芯材と前記表層材との間に隙間が生じるのを防ぐ。又、金属加工の分野で周知の様に、圧縮応力は亀裂の発生を抑える作用がある為、前記凹孔の形成に基づき、前記シェブロンクラック等の亀裂の発生を抑えられる。
図1〜7は、請求項1〜6に対応する、本発明の実施の形態の第1例を示している。本例の場合、先ず、第一工程で、図1の(A)に示した、中炭素鋼等の鉄系合金製で有底円筒状の表層材26と、低融点金属製で円柱状の芯材27とから成る素材28に、冷間で前方押し出し加工を施す。この芯材27を構成する低融点金属とは、表層材26を構成する鉄系合金の焼鈍温度(450℃〜650℃)よりも低い(450℃未満の)融点を有する、鉛(融点327℃)、亜鉛(同427℃)、錫(同232℃)、若しくはインジウム(同156℃)、又はこれらの合金{例えば、はんだ(同200℃程度)、ピュータ(同250℃程度)等}である。この様な素材28を造る為に、先ず、前記表層材26の中心孔29の奥端面(図1の上端面)に凹孔30を、前記芯材27の基端部(図1の上端部)にこの凹孔30と隙間なく係合する小径部31を、それぞれ設ける。そして、前記表層材26の中心孔29に、前記芯材27を締り嵌めで内嵌する事で造り、これら表層材26と芯材27との間の滑り性を良好にしている。本例の場合、この芯材27の高さHを、前記表層材26の深さDよりも小さくして、前記素材28の先端部(図1の下端部)に段差部32を設けている。この段差部32の深さ(D−H)は、表層材26を構成する鉄系合金及び芯材27を構成する低融点金属の流動性、及び、後述する第一、第二両中間素材36、54の形状や絞り率等を考慮して設定的に定める。前記素材28に冷間鍛造を施す第一工程では、先ず、この素材28を、図2に示す様な、複数のブロックを重ね合わせて成るダイス33のキャビティ34内に挿入する。その後、図示しないプレス装置のラムで押圧される押圧パンチ35により、前記素材28を前記キャビティ34内に押し込む。この押し込み作業によりこの素材28が塑性変形し、この素材28が、このキャビティ34の内周面形状に見合う(母線形状が同じで凹凸が逆である)外周面形状を有する、第一中間素材36となる。
この次の工程では、前記第三中間素材57のうちで、前記凹孔43の開口寄り部分の内径を、旋削加工等の削り加工により拡げ、当該部分を、別の凹孔43aとする。又、前記回転側フランジ7aにスタッド17の頭部18の軸方向側面を当接させる座面19、19を形成する為のサイジング加工やこのスタッド17を挿通する円孔58、58を形成する為の切削加工を施して、図1の(E)に示す様な、第四中間素材59とする。
この様な第五中間素材60は、更に次の工程に送り、研削加工等、必要な加工を施して、ハブ本体9bとして完成する。
又、前記素材28の芯材27に小径部31を設けている為、前記第二中間素材54を第三中間素材57に加工する第三工程{図1の(C)→(D)}で、外周面に放射状の回転側フランジ7aを設ける際に、前記スタッド17を挿通する為の円孔58、58を形成する部分に、前記芯材27を構成する低融点金属が進入しない様にできる。この結果、前記円孔58、58を形成し、この低融点金属を除去した後に、この円孔58、58の内周面に、前記ハブ本体9bの内径側部分に貫通する、通孔が開口するのを防止できる。
図8も、請求項1〜6に対応する、本発明の実施の形態の第2例を示している。本例の場合には、素材28を第一中間素材36aに加工する第一工程{図8の(A)→(B)}で、この第一中間素材36aの先端部に形成する凹孔43bの深さを、上述した実施の形態の第1例の場合よりも浅くしている。そして、前記第一中間素材36aを第二中間素材54aとする、第二工程{図8の(B)→(C)}を終了した状態で、前記凹孔43bの奥端面の軸方向位置が、小径段部12aの基端部に存在する段部25aの軸方向位置とほぼ一致する様にしている。本例の場合、前記第一中間素材36aの表層材26のうち、前記凹孔43bを形成する部分の外径側に存在する部分(前記段部25aを形成する部分よりも軸方向外側に位置する部分まで)の内周面を、円筒面状としている。この結果、芯材27が前記凹孔43bの内周面に突出し難くできる。特に、カウンターパンチ37の先端部の形状を、前述した図4に示す様なものとする事で、前記芯材27の突出量を更に抑える事ができる。
その他の部分の構成及び作用は、上述した実施の形態の第1例と同様であるから、同等部分に関する説明は省略する。
図9は、請求項1〜5、7に対応する、本発明の実施の形態の第3例を示している。本例の場合には、素材28を第一中間素材36bに加工する第一工程{図9の(A)→(B)}は、前述の図12〜14に示した従来方法と同様に行う。そして、次に行う、前記第一中間素材36bを第二中間素材54bとする第二工程{図9の(B)→(C)}で、カウンターパンチ37(図2参照)により、前記第二中間素材54bの先端中心部に、凹孔43を形成する。又、この第二中間素材54bの先端寄り部分に小径段部12aを、この先端寄り部分の軸方向中間部(小径段部12aの基端部)に段部25aを、それぞれ形成する。
その他の部分の構成及び作用は、前述した実施の形態の第1例と同様であるから、同等部分に関する説明は省略する。
又、本発明の段付金属部材の製造方法を適用する、車輪支持用転がり軸受ユニットを構成するハブ本体の製造方法は、上述した本発明の実施の形態の各例の製造方法に限られない。即ち、シェブロンクラックの発生が問題にならない程度であったり、或いは、別の方法によりシェブロンクラックの発生を防止できるのであれば、前述した従来のハブ本体の製造方法に、本発明の段付金属部材の製造方法を適用する事もできる。
2 外輪
3、3a ハブ
4 転動体
5 外輪軌道
6 静止側フランジ
7、7a 回転側フランジ
8 内輪軌道
9、9a ハブ本体
10、10a 内輪
11 ナット
12、12a 小径段部
13 素材
14 第一中間素材
15 第二中間素材
16 第三中間素材
17 スタッド
18 頭部
19 座面
20 第四中間素材
21、21a 凹孔
22 円筒部
23 第五中間素材
24 軸部
25、25a 段部
26 表層材
27 芯材
28 素材
29 中心孔
30 凹孔
31 小径部
32 段差部
33 ダイス
34 キャビティ
35、35a、35b 押圧パンチ
36、36a、36b 第一中間素材
37 カウンターパンチ
38、38a、38b スリーブ
39、39a、39b ノックアウトピン
40、40a、40b 昇降駒
41 小径側の円筒面部
42 傾斜段部
43、43a 凹孔
44 傾斜面部
45 リング
46 ボルト
47、47a フローティングダイス
48 第二キャビティ
49、49a ばね
50 固定ブロック
51 第二スリーブ
52、52a スペーサ
53、53a ばね
54、54a、54b 第二中間素材
55 ダイス
56 第三キャビティ
57 第三中間素材
58 円孔
59 第四中間素材
60 第五中間素材
61 かしめ部
Claims (7)
- 外周面に、外径が互いに異なる複数の円筒面部を設け、隣り合う円筒面部同士を段部により連続させた段付金属部材を冷間鍛造により造る、段付金属部材の製造方法であって、低融点金属製で円柱状の芯材と、鉄系合金製で、この芯材の端部を除いた外側部分覆う有底円筒状の表層材とから成る素材に、冷間鍛造を施す事で中間素材とした後、この中間素材を加熱し、この芯材を構成する低融点金属のみを融解して除去する事で中空とする事を特徴とする段付金属部材の製造方法。
- 前記素材を、前記芯材を前記表層材の内径側部分に締り嵌めする事により造る、請求項1に記載した段付金属部材の製造方法。
- 前記芯材の高さ寸法を、前記表層材の中心孔の深さ寸法よりも小さくする、請求項2に記載した段付金属部材の製造方法。
- 前記表層材の中心孔の奥端面に凹孔を、前記芯材の基端部にこの凹孔と隙間なく係合する小径部を、それぞれ設け、前記表層材の内径側部分に前記芯材を締り嵌めする事で前記素材とし、この素材に冷間鍛造加工により前記各円筒面部と前記各段部とを形成して中間素材とした後に、この中間素材に側方押し出し加工を施す事により、この中間素材の基端寄り部分の外周面に放射状のフランジを設ける、請求項2〜3のうちの何れか1項に記載した段付金属部材の製造方法。
- 前記素材の先端部をダイスに押し込む事により、この素材の先端部の外径を縮めて、この先端部に小径側の円筒面部を、この小径側の円筒面部の基端部に段部を、それぞれ形成する際に、前記素材の先端面の中央部を、前記ダイスの内径側に配置した、前記小径側の円筒面部の外径よりも小径のカウンターパンチの先端面に押し付けつつ、前記素材の中間素材の先端部を前記ダイス内に押し込む事により、この素材の先端部の外径を縮めて、前記小径側の円筒面部及び前記段部を形成すると同時に、この小径側の円筒面部の中心部の少なくとも先端寄り部分に、前記先端面の中央部に開口する有底の凹孔を形成する、請求項2〜4のうちの何れか1項に記載した段付金属部材の製造方法。
- 前記素材に第一段階の前方押し出し加工を施す事により、先端寄り部分を基端寄り部分よりも小径とした第一中間素材とした後、この第一中間素材の先端寄り部分に第二段階の前方押し出し加工を施して、この先端寄り部分に前記小径側の円筒面部よりも更に小径の第二円筒面部を、この先端寄り部分の軸方向中間部に第二段部を、それぞれ有する第二中間素材とする過程で、前記素材の先端面の中央部に前記カウンターパンチの先端面を押し付けつつ、この素材を、この先端面の中央部に前記凹孔を有する前記第一中間素材とし、次いで、この凹孔内にスペーサを内嵌した状態で、この第一中間素材を前記第二中間素材に加工する、請求項5に記載した段付金属部材の製造方法。
- 前記素材に第一段階の前方押し出し加工を施す事により、先端寄り部分を基端寄り部分よりも小径とした第一中間素材とした後、この第一中間素材の先端寄り部分に第二段階の前方押し出し加工を施して、この先端寄り部分に前記小径側の円筒面部を、この先端寄り部分の軸方向中間部に前記段部を、それぞれ有する第二中間素材とする過程で、前記第一中間素材の先端面に前記カウンターパンチの先端面を押し付けつつ、この第一中間素材を前記第二中間素材とする、請求項5に記載した段付金属部材の製造方法。
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