JP5867070B2 - 段付円柱状部材の製造方法 - Google Patents
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この様なハブ本体9aは、図14〜16に示した工程により造る。先ず、押し出し成形、圧延成形等により造られた長尺な原材料を所定長さに切断する事により、各図の(A)に示す様な、円柱状の素材13を得る。次いで、この素材13に、冷間鍛造加工の一種である、第一段階の前方押し出し加工を施す事により、各図の(B)に示した第一中間素材14を造る。次に、この第一中間素材14に、やはり冷間鍛造加工の一種である、第二段階の前方押し出し加工を施す事により、各図の(C)に示した第二中間素材15を得る。次に、この第二中間素材15を、前記特許文献4に記載されている様に、所定の内周面形状を有する分割型のダイス内にセットした状態で、前記第二中間素材15の軸方向端面{各図の(C)の上端面}にパンチを押し付ける。そして、この軸方向外端面を凹ませると共に、この第二中間素材15を構成する金属材料を径方向外方に流動させる、冷間鍛造の一種である側方押し出し加工を施す事により、各図の(D)に示す様な、回転側フランジ7aを有する、第三中間素材16とする。次に、この第三中間素材16に、スタッド17の頭部18(図12参照)の軸方向側面を当接させる座面19、19を形成する為のサイジング加工を施して、各図の(E)に示した第四中間素材20とする。
特に本発明の段付円柱状部材の製造方法は、アルミニウム系合金の如き軽合金製の芯材と、中炭素鋼の如き鉄系合金製で、この芯材の端部を除いた外側部分を覆う有底円筒状の表層材とから成る素材を、冷間鍛造加工する。
又、本発明を実施する場合に好ましくは、前記芯材の高さ寸法を、前記表層材の中心孔の深さ寸法よりも小さくする(請求項3に係る発明)。
本発明のうち、請求項1に記載した発明の場合には、前記素材の先端面の中央部に前記カウンターパンチの先端面を押し付けつつ、この素材を、この先端面の中央部に前記凹孔を有する前記第一中間素材とする。次いで、この凹孔内にスペーサを内嵌した状態で、この第一中間素材を前記第二中間素材に加工する。
これに対して、請求項2に記載した発明の場合には、前記素材を前記第一中間素材とする際には、前記凹孔を形成しない。その代わりに、前記第一中間素材の先端面の中央部に前記カウンターパンチの先端面を押し付けて前記凹孔を形成しつつ、この第一中間素材を前記第二中間素材とする。
このうちの外輪は、内周面に複列の外輪軌道を有し、使用時にも回転しない。
又、前記ハブは、使用時に車輪と共に回転するものであり、ハブ本体と、内輪とを備える。このうちのハブ本体は、軸方向外端寄り部分の外周面に前記車輪を支持固定する為の放射状の回転側フランジを、軸方向中間部外周面に軸方向外側の内輪軌道を、それぞれ直接形成している。又、前記内輪は、外周面に軸方向内側の内輪軌道を形成し、前記ハブ本体の軸方向内端部に形成された小径段部に外嵌固定されている。
又、前記転動体は、これら両内輪軌道と前記両外輪軌道との間に、両列毎に複数個ずつ、転動自在に設けられている。
特に、本発明の段付円柱状部材の製造方法により、前記ハブ本体を造ると、このハブ本体は、芯部が軽合金で、この芯部を覆う表面部分が鉄系合金で、それぞれ構成される。
即ち、本発明の場合には、前記素材の先端部の外径を縮める際に、カウンターパンチにより小径側の円筒面部の中心部に有底の凹孔を形成する。この為、前記素材の先端部をこの小径側の円筒面部とする過程で、この素材の内部での金属材料の流れを整えられる。言い換えれば、前記シェブロンクラック発生の原因となる、前記素材の外径寄り部分と中心寄り部分との間での金属材料の移動速度の差を小さくできる。特に、強度確保上の面からの重要部分である、鉄系合金製の表層材部分で、金属材料の移動速度の差を小さくできる。この差を小さくできる事は、前記素材、特に表層材の内部に生じる引っ張り応力の低減に結び付いて、前記シェブロンクラックの発生を抑えられる。更に、前記素材の先端部の中心部を押し潰しつつ、前記凹孔を形成する事により、この素材の内部に、圧縮応力が生じる。この圧縮応力により、前記芯材と前記表層材との間に隙間が生じるのを防ぐ。又、金属加工の分野で周知の様に、圧縮応力は亀裂の発生を抑える作用がある為、前記凹孔の形成に基づき、前記シェブロンクラック等の亀裂の発生を抑えられる。
図1〜7は、請求項1、3に対応する本発明の実施の形態の第1例を示している。本例の場合、先ず、第一工程で、図1の(A)に示した、A7075、A6061等のアルミニウム系合金製の芯材26と、中炭素鋼等の鉄系合金製で、この芯材26の外側部分を覆う表層材27とから成る素材28に冷間で前方押し出し加工を施す。この様な素材28は、有底円筒状の表層材27の内径側部分に、円柱状の芯材26を締り嵌めで内嵌する事により造り、これら芯材26と表層材27との間の滑り性を良好にしている。本例の場合、この芯材26の高さHを、表層材27の中心孔の深さDよりも小さくして、前記素材28の端部に段差部29を設けている。この段差部29の深さ(D−H)は、芯材26を構成するアルミニウム系合金や表層材27を構成する鉄系合金の流動性、及び、後述する第一、第二両中間素材33、51の形状や絞り率等を考慮して設計的に定める。前記素材28に冷間鍛造を施す第一工程では、先ず、この素材28を、図2に示す様な、複数のブロックを重ね合わせて成るダイス30のキャビティ31内に挿入する。その後、図示しないプレス装置のラムで押圧される押圧パンチ32により、前記素材28を前記キャビティ31内に押し込む。この押し込み作業によりこの素材28が塑性変形し、この素材28が、このキャビティ31の内周面形状に見合う(母線形状が同じで凹凸が逆である)外周面形状を有する、第一中間素材33となる。
この次の工程では、前記第三中間素材54のうちで、前記凹孔40の開口寄り部分の内径を、旋削加工等の削り加工により拡げ、当該部分を、別の凹孔40aとして、図1の(E)に示す様な、第四中間素材55とする。
この第四中間素材55は、更に次の工程に送り、面押し加工や切削加工、研削加工等、必要な加工を施して、ハブ本体9bとして完成する。これらの加工に就いては、従来の製造方法と同様であり、又、当業者にとって周知であるから、図示並びに説明は省略する。但し、本例の場合、スタッド17を挿通する為の円孔56の内周面をシール剤で覆い、電食を防止する。
図8〜9は、請求項1、3、4に対応する、本発明の実施の形態の第2例を示している。本例の場合、素材28aの芯材26aの奥端部(図8の上端部)に、中間寄り部分よりも外径寸法の小さい小径部58を設けている。これにより、第二中間素材51aを第三中間素材54aに加工する第三工程{図8の(C)→(D)}で、外周面に放射状の回転側フランジ7bを設ける際に、スタッド17を挿通する為の円孔56を形成する部分に、前記芯材26aを構成する軽合金が進入しない様にできる。この結果、前記円孔56を形成した後に、この円孔56の内径側に軽合金が露出するのを防止できるので、電食防止の為に、この円孔56部分にシール剤を塗布する手間が不要になる。
その他の部分の構成及び作用は、上述した実施の形態の第1例と同様であるから、同等部分に関する説明は省略する。
図10は、請求項1、3に対応する、本発明の実施の形態の第3例を示している。本例の場合には、素材28を第一中間素材33aに加工する第一工程{図10の(A)→(B)}で、この第一中間素材33aの先端部に形成する凹孔40bの深さを、前述した実施の形態の第1例の場合よりも浅くしている。そして、前記第一中間素材33aを第二中間素材51bとする、第二工程{図10の(B)→(C)}を終了した状態で、前記凹孔40bの奥端面の軸方向位置が、小径段部12aの基端部に存在する段部25aの軸方向位置とほぼ一致する様にしている。本例の場合、前記第一中間素材33aの表層材27のうち、前記凹孔40bを形成する部分の外径側に存在する部分(段部25aを形成する部分よりも軸方向外側に位置する部分まで)の内周面を、円筒面状としている。この結果、芯材26が前記凹孔40bの内周面に突出し難くできる。特に、カウンターパンチ34の先端部の形状を、前述した図4に示す様なものとする事で、前記芯材26の突出量を更に抑える事ができる。
その他の部分の構成及び作用は、前述した実施の形態の第1例と同様であるから、同等部分に関する説明は省略する。
図11は、請求項2、3に対応する、本発明の実施の形態の第4例を示している。本例の場合には、素材28を第一中間素材33bに加工する第一工程{図11の(A)→(B)}は、前述の図13〜16に示した従来方法と同様に行う。そして、次に行う、前記第一中間素材33bを第二中間素材51cとする第二工程{図11の(B)→(C)}で、カウンターパンチ34(図2参照)により、前記第二中間素材51cの先端中心部に、凹孔40を形成する。又、この第二中間素材51cの先端寄り部分に、小径段部12aを、この先端寄り部分の軸方向中間部(小径段部12aの基端部)に、段部25aを、それぞれ形成する。
その他の部分の構成及び作用は、前述した実施の形態の第1例と同様であるから、同等部分に関する説明は省略する。
2 外輪
3、3a ハブ
4 転動体
5 外輪軌道
6 静止側フランジ
7、7a、7b 回転側フランジ
8 内輪軌道
9、9a ハブ本体
10、10a 内輪
11 ナット
12、12a 小径段部
13 素材
14 第一中間素材
15 第二中間素材
16 第三中間素材
17 スタッド
18 頭部
19 座面
20 第四中間素材
21、21a 凹孔
22 円筒部
23 第五中間素材
24 軸部
25、25a 段部
26、26a 芯材
27 表層材
28、28a 素材
29 段差部
30 ダイス
31 キャビティ
32、32a、32b 押圧パンチ
33、33a、33b 第一中間素材
34 カウンターパンチ
35、35a スリーブ
36、36a、36b ノックアウトピン
37、37a、37b 昇降駒
38 小径側の円筒面部
39 傾斜段部
40、40a 凹孔
41 傾斜面部
42 リング
43 ボルト
44、44a フローティングダイス
45 第二キャビティ
46、46a ばね
47 固定ブロック
48 第二スリーブ
49、49a スペーサ
50、50a ばね
51、51a〜51c 第二中間素材
52 ダイス
53 第三キャビティ
54、54a 第三中間素材
55 第四中間素材
56 円孔
57 かしめ部
58 小径部
Claims (4)
- 外周面に、外径が互いに異なる複数の円筒面部を設け、隣り合う円筒面部同士を段部により連続させた段付円柱状部材を冷間鍛造により造る段付円柱状部材の製造方法であって、
素材は、軽合金製の芯材を、鉄系合金製で、この芯材の端部を除いた外側部分を覆う有底円筒状の表層材の内径側に締り嵌めする事により造られたものであり、
前記素材の加工工程は、前記素材から第一中間素材を造る第一段階の前方押出加工と、前記第一中間素材から第二中間素材を造る第二段階の前方押出加工とを備え、
前記第一段階の前方押出加工は、前記素材の先端部をダイス内に押し込む事により、この素材の先端部の外径を縮めて、小径側の円筒面部及び段部を形成する加工であり、
前記第二段階の前方押出加工は、前記第一中間素材の先端寄り部分に前記小径側の円筒面部よりも更に小径の第二円筒面部を、この先端寄り部分の軸方向中間部に第二段部を、それぞれ形成する加工であり、
前記第一段階の前方押出加工の際に、前記素材の先端面の中央部にカウンターパンチの先端面を押し付けつつ、この素材を、この先端面の中央部に凹孔を有する前記第一中間素材とし、次いで、この凹孔内にスペーサを内嵌した状態で、この第一中間素材を前記第二中間素材に加工する事を特徴とする段付円柱状部材の製造方法。 - 外周面に、外径が互いに異なる複数の円筒面部を設け、隣り合う円筒面部同士を段部により連続させた段付円柱状部材を冷間鍛造により造る段付円柱状部材の製造方法であって、
素材は、軽合金製の芯材を、鉄系合金製で、この芯材の端部を除いた外側部分を覆う有底円筒状の表層材の内径側に締り嵌めする事により造られたものであり、
前記素材の加工工程は、前記素材から第一中間素材を造る第一段階の前方押出加工と、前記第一中間素材から第二中間素材を造る第二段階の前方押出加工とを備え、
前記第一段階の前方押出加工は、前記素材の先端部をダイス内に押し込む事により、この素材の先端部の外径を縮めて、小径側の円筒面部及び段部を形成する加工であり、
前記第二段階の前方押出加工は、前記第一中間素材の先端寄り部分に前記小径側の円筒面部よりも更に小径の第二円筒面部を、この先端寄り部分の軸方向中間部に第二段部を、前記第一中間素材の先端面の中央部に凹孔を、それぞれ形成する加工であり、
前記素材を前記第一中間素材とする際には、前記凹孔を形成せずに、前記第一中間素材の先端面の中央部に前記カウンターパンチの先端面を押し付けて前記凹孔を形成しつつ、この第一中間素材を前記第二中間素材に加工する事を特徴とする段付円柱状部材の製造方法。 - 前記芯材の高さ寸法を、前記表層材の中心孔の深さ寸法よりも小さくする、請求項1〜2のうちの何れか1項に記載した段付円柱状部材の製造方法。
- 前記表層材の中心孔の奥端面に凹孔を、前記芯材の基端部にこの凹孔と隙間なく係合する小径部を、それぞれ設け、前記表層材の内径側部分に前記芯材を締り嵌めする事で前記素材とし、この素材に冷間鍛造加工により前記各円筒面部と前記各段部とを形成して中間素材とした後に、この中間素材に側方押し出し加工を施す事により、この中間素材の基端寄り部分の外周面に放射状のフランジを設ける、請求項1〜3のうちの何れか1項に記載した段付円柱状部材の製造方法。
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