JP5867070B2 - 段付円柱状部材の製造方法 - Google Patents

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Description

この発明は、例えば、車輪支持用転がり軸受ユニットを構成する軌道輪部材、即ち、内輪と組み合わされてハブを構成するハブ本体の如く、外周面に互いに同心で径が互いに異なる、複数の円筒面部を設け、隣り合う円筒面部同士を段部により連続させた段付円柱状部材の製造方法の改良に関する。
自動車の車輪を構成するホイール、及び、制動用回転部材であるディスク或いはドラムを、懸架装置を構成するナックルに回転自在に支持する為に、車輪支持用転がり軸受ユニットが広く使用されている。図12は、従来から広く知られている、従動輪(FR車及びMR車の前輪、FF車の後輪)用の車輪支持用転がり軸受ユニット1の1例を示している。この車輪支持用転がり軸受ユニット1は、外輪2の内径側にハブ3を、複数の転動体4、4を介して、回転自在に支持している。使用状態では、前記外輪2を前記ナックルに結合固定し、前記ハブ3に車輪及び制動用回転部材を支持固定する。そして、これら車輪及び制動用回転部材を前記ナックルに対し、回転自在に支持する。
この為に、前記外輪2の内周面の2箇所位置に複列の外輪軌道5、5を、外周面の一部で、軸方向中央部よりも少し軸方向内寄り部分(軸方向に関して内とは、使用状態で車体の幅方向中央側となる側を言い、図12の右側。反対に、使用状態で車体の幅方向外側となる、図12の左側を、軸方向に関して外と言う。本明細書全体で同じ。)に静止側フランジ6を、それぞれ形成している。一方、前記ハブ3の外周面には、前記外輪2よりも軸方向外方に突出した外端寄り部分に、車輪及び制動用回転部材を支持固定する為の回転側フランジ7を、軸方向中間部乃至内端寄り部分に複列の内輪軌道8、8を、それぞれ形成している。そして、これら両列の内輪軌道8、8と前記両列の外輪軌道5、5との間に前記各転動体4、4を、両列毎に複数個ずつ配置して、前記外輪2の内径側での前記ハブ3の回転を自在としている。
尚、前記ハブ3は、ハブ本体9と、内輪10と、ナット11とから成り、前記内輪軌道8、8は、このハブ本体9の中間部及びこの内輪10の外周面に形成されている。又、この内輪10は、このハブ本体9の軸方向内端寄り部分に形成した小径段部12に外嵌した状態で、前記ナット11により、前記ハブ本体9に対し固定している。尚、このハブ本体9の軸方向内端部に形成したかしめ部により、前記内輪10をこのハブ本体9に対し固定する構造も、広く知られている。
上述の様な車輪支持用転がり軸受ユニット1を構成する前記ハブ本体9は、炭素鋼等の金属材料に塑性加工を施す事により造る。この様な塑性加工により造られるハブ本体の構造、並びにこの様な塑性加工の方法に就いては、例えば特許文献1〜4に記載される等により、従来から広く知られている。このうちの特許文献4に記載されたハブ本体の構造及びその製造方法に就いて、図13〜16により説明する。
このうちの図13に示したハブ本体9aは、外周面の軸方向外端寄り部分に放射状の回転側フランジ7aを、同じく中間部に内輪軌道8を、同じく内端部に小径段部12を、それぞれ形成している。
この様なハブ本体9aは、図14〜16に示した工程により造る。先ず、押し出し成形、圧延成形等により造られた長尺な原材料を所定長さに切断する事により、各図の(A)に示す様な、円柱状の素材13を得る。次いで、この素材13に、冷間鍛造加工の一種である、第一段階の前方押し出し加工を施す事により、各図の(B)に示した第一中間素材14を造る。次に、この第一中間素材14に、やはり冷間鍛造加工の一種である、第二段階の前方押し出し加工を施す事により、各図の(C)に示した第二中間素材15を得る。次に、この第二中間素材15を、前記特許文献4に記載されている様に、所定の内周面形状を有する分割型のダイス内にセットした状態で、前記第二中間素材15の軸方向端面{各図の(C)の上端面}にパンチを押し付ける。そして、この軸方向外端面を凹ませると共に、この第二中間素材15を構成する金属材料を径方向外方に流動させる、冷間鍛造の一種である側方押し出し加工を施す事により、各図の(D)に示す様な、回転側フランジ7aを有する、第三中間素材16とする。次に、この第三中間素材16に、スタッド17の頭部18(図12参照)の軸方向側面を当接させる座面19、19を形成する為のサイジング加工を施して、各図の(E)に示した第四中間素材20とする。
この第四中間素材20の軸方向内端部{各図の(E)の下端部}には、外周面に雄ねじ部を形成するか(図12に示す様に、前記小径段部12に外嵌した内輪10の抜け止めをナット11により図る構造の場合)、或いは、図15の(F)に示す様に、軸方向内端面に開口する、有底で円形の凹孔21を形成し、この凹孔21の周囲部分を円筒部22として、第五中間素材23とする。この様な円筒部22は、前記小径段部12に前記内輪10を外嵌した状態で、径方向外方に塑性変形させて(かしめ拡げて)、この内輪10の軸方向内端面を抑え付け、この内輪10が前記小径段部12から抜け出る事を防止する。更に、前記第四中間素材20乃至前記第五中間素材23に、前記スタッド17を挿通する為の円孔を形成する為の穿孔、バリ取り、内輪軌道8の加工等の、所定の切削加工及び研削加工を施して、前記ハブ本体9aとする。
上述の様にして造られるハブ本体9aは、軽量化する事が望まれる。即ち、このハブ本体9aが組み込まれる車輪支持用転がり軸受ユニット1(図12参照)は、懸架装置を構成するばねよりも路面側に設けられる、所謂ばね下荷重であるから、乗り心地や走行安定性を中心とする走行性能を向上させる為には、少しでも軽量化する事が望まれる。前記特許文献4に記載の製造方法の場合、一般的には、中炭素鋼の如き鉄系合金に冷間鍛造等を施す事で前記ハブ本体9aとしている為、このハブ本体9aの重量が嵩み、前記車輪支持用転がり軸受ユニット1全体の重量も増大してしまう。
尚、前記特許文献4に記載の製造方法の場合、冷間鍛造を主とし、切削加工及び研削加工を最小限に止めて、前記ハブ本体9aを造る。この為、材料の歩留まりを向上させると共に、これら切削加工及び研削加工に要する加工時間を短縮して、前記ハブ本体9aを含む、車輪支持用転がり軸受ユニット1(図12参照)のコスト低減を図れる。但し、上述の図14〜16に示す様に、冷間での前方押し出し加工を利用して前記ハブ本体9aを造ると、このハブ本体9aを構成する軸部24のうちの軸方向中間部乃至内端寄り部分に、非特許文献1に記載される等により冷間鍛造の技術分野で広く知られている、シェブロンクラックと呼ばれる亀裂が発生し、前記軸部24の強度が低下する可能性がある。特に、上述の図14〜16に示す様にして前記ハブ本体9aを造る場合、これら各図の(B)→(C)に示す様に、前記第一中間素材14を前記第二中間素材15に加工する過程で、次述する段部25から軸方向内端面に掛けての領域で、前記シェブロンクラックが発生し易い。
この様にシェブロンクラックが発生し易い理由の第一は、前記各図の(A)→(B)に示した、前記素材13に前方押し出し加工を施して前記第一中間素材14とする過程で金属材料(一般的には、炭素濃度が0.3〜0.7重量%程度の中炭素鋼)が加工硬化しているものに、更に前方押し出し加工を施して前記第二中間素材15とする為である。又、理由の第二は、この前方押し出し加工時に於ける、前記金属材料が前記段部25を通過する際の移動速度の差が、径方向外寄り部分と同じく中央寄り部分との間で大きくなる為である。特に、前記段部25の傾斜角度や径方向に関する幅寸法(段差の大きさ)によっては、前記前方押し出し加工時に於ける金属材料の移動速度が、径方向外寄り部分で遅く、中央寄り部分で速くなる傾向が著しくなり(これら両部分の速度の差が大きくなり)、前記軸部24の内部に発生する引っ張り応力が大きくなって、前記シェブロンクラックが発生し易くなる。
この様なシェブロンクラックの発生を防止する為には、前記第一中間素材14を得た後、この第一中間素材14に焼鈍処理を施してから、前記第二中間素材15を得る為の、第二段階の前方押し出し加工を施す事が効果がある。但し、この場合には、前記ハブ本体9aの軸方向中間部で前記内輪軌道8を形成すべき部分を含め、各部に必要な硬度を確保する事が難しくなる。又、前記各図の(B)→(C)に示した、第二段階の前方押し出し加工時に、前記第一中間素材14乃至第二中間素材15を、例えば軸方向両側から強く押圧し(高い静水圧を加え)、この第一中間素材14乃至第二中間素材15の内部を圧縮応力場にすれば、前記シェブロンクラックの発生を防止できる。但し、この様な方法では、前記前方押し出し加工に使用する金型(パンチ及びダイス)として十分な強度及び剛性を有するものを使用する必要があり、この金型の制作費が嵩む。更には、プレス装置として、容量の大きな大型のものを使用する必要があり、この面からも設備費が嵩む。これに対して、前記第一中間素材14乃至第二中間素材15を中空構造とすれば(前記軸部24を中空円筒状とすれば)、前方押し出し加工時に於ける金属材料の移動速度の差を小さく抑えて、前記シェブロンクラックの発生を抑えられる。この様な方法は、駆動輪用の車輪支持用転がり軸受ユニットに組み込まれる、中心部にスプライン孔を有するハブを造る場合には有効であるが、従動輪用で中実のハブ本体9aを造る場合には、必ずしも好ましくない。即ち、ハブ本体を中空にする事で、軽量化を図れる反面、本来不要な中心孔(貫通孔)を形成する事で、この中心孔内に泥水等の異物が入り込むのを防止する為の密封構造が必要になり、コスト低減の面からは不利になる。
前記ハブ本体9aの軸部24の内部に前記シェブロンクラックの発生を防止する為には、前記各図の(B)→(C)に示した工程を廃止し、前記第一中間素材14に直接、前記回転側フランジ7aを形成する為の側方押し出し加工を施す事が考えられる。この様な製造方法を採用すれば、加工硬化後の前記第一中間素材14に、更に前方押し出し加工を施す必要がなくなる為、前記シェブロンクラックの発生を防止できる。但し、この様な方法では、前記ハブ本体9aの軸方向内端部の小径段部12全体を、削り加工により形成する必要がある。この為、材料の歩留が悪化するだけでなく、加工時間を要する削り加工の作業量の増大により、前記ハブ本体9aの製造コストが、金型のコストが1工程分減る以上に嵩む事が避けられない。
特開2006−111070号公報 特開2006−142983号公報 特開2008−296694号公報 特開2009−255751号公報
木下修司、井上毅、秋田章二著、「鐵と鋼:日本鐵鋼協▲会▼々誌、62(4)」、社団法人日本鉄鋼協会、1976年3月10日、p.165
本発明は、上述の様な事情に鑑みて、シェブロンクラックの発生を防止しつつ、軽量な段付円柱状部材を得られ、しかも、材料の歩留が悪化したり、加工の手間が煩雑化するのを防止できる製造方法及び軽量な車輪支持用転がり軸受ユニットの構造を実現すべく発明したものである。
本発明の対象となる段付円柱状部材は、外周面に、外径が互いに異なる複数の円筒面部を備える。そして、これら各円筒面部のうち、隣り合う円筒面部同士を段部により連続させている。
特に本発明の段付円柱状部材の製造方法は、アルミニウム系合金の如き軽合金製の芯材と、中炭素鋼の如き鉄系合金製で、この芯材の端部を除いた外側部分を覆う有底円筒状の表層材とから成る素材を、冷間鍛造加工する。
上述の様な本発明の段付円柱状部材の製造方法を実施する場合、前記素材を、前記芯材を前記表層材の内径側部分に締り嵌めする事により造る。
、本発明を実施する場合に好ましくは、前記芯材の高さ寸法を、前記表層材の中心孔の深さ寸法よりも小さくする(請求項3に係る発明)
又、前記素材(この素材に前の工程を施す事により得られた前段階の中間素材を含む)の先端部をダイスに押し込む、前方押し出し加工を施す事により、前記素材の先端部の外径を縮める。そして、この先端部に小径側の円筒面部を、この小径側の円筒面部の基端部に段部を、それぞれ形成する。特に、本発明の段付円柱状部材の製造方法に於いては、前記小径側の円筒面部及び段部を形成する際に、前記素材の先端面の中央部を、前記ダイスの内径側に配置した、前記小径側の円筒面部の外径よりも小径のカウンターパンチの先端面に押し付けつつ、前記素材の先端部を前記ダイス内に押し込む。そして、この押し込みにより、この素材の先端部の外径を縮めて、前記小径側の円筒面部及び前記段部を形成すると同時に、この小径側の円筒面部の中心部の少なくとも先端寄り部分に、前記先端面の中央部に開口する有底の凹孔を形成する。
更に、本発明の段付円柱状部材の製造方法を実施する場合には、先ず、円柱状の素材に第一段階の前方押し出し加工を施す事により、先端寄り部分を基端寄り部分よりも小径とした第一中間素材とした後、この第一中間素材の先端寄り部分に第二段階の前方押し出し加工を施して、この先端寄り部分に前記小径側の円筒面部よりも更に小径の第二円筒面部を、この先端寄り部分の軸方向中間部に第二段部を、それぞれ有する第二中間素材とする。
本発明のうち、請求項1に記載した発明の場合には、前記素材の先端面の中央部に前記カウンターパンチの先端面を押し付けつつ、この素材を、この先端面の中央部に前記凹孔を有する前記第一中間素材とする。次いで、この凹孔内にスペーサを内嵌した状態で、この第一中間素材を前記第二中間素材に加工する。
これに対して、請求項に記載した発明の場合には、前記素材を前記第一中間素材とする際には、前記凹孔を形成しない。その代わりに、前記第一中間素材の先端面の中央部に前記カウンターパンチの先端面を押し付けて前記凹孔を形成しつつ、この第一中間素材を前記第二中間素材とする。
又、請求項に記載した発明は、前記表層材の中心孔の奥端面に凹孔を、前記芯材の基端部にこの凹孔と隙間なく係合する小径部を、それぞれ設ける。そして、前記表層材の内径側部分に前記芯材を締り嵌めする事で前記素材とし、この素材に冷間鍛造加工により前記各円筒面部と前記各段部とを形成して中間素材とする。その後、この中間素材に側方押し出し加工を施す事により、この中間素材の基端寄り部分の外周面に放射状のフランジを設ける。
、車輪支持用転がり軸受ユニットは、外輪と、ハブと、転動体とを備える。
このうちの外輪は、内周面に複列の外輪軌道を有し、使用時にも回転しない。
又、前記ハブは、使用時に車輪と共に回転するものであり、ハブ本体と、内輪とを備える。このうちのハブ本体は、軸方向外端寄り部分の外周面に前記車輪を支持固定する為の放射状の回転側フランジを、軸方向中間部外周面に軸方向外側の内輪軌道を、それぞれ直接形成している。又、前記内輪は、外周面に軸方向内側の内輪軌道を形成し、前記ハブ本体の軸方向内端部に形成された小径段部に外嵌固定されている。
又、前記転動体は、これら両内輪軌道と前記両外輪軌道との間に、両列毎に複数個ずつ、転動自在に設けられている。
特に、本発明の段付円柱状部材の製造方法により、前記ハブ本体を造ると、このハブ本体は、芯部軽合金で、この芯部を覆う表面部分鉄系合金で、それぞれ構成される
上述の様に構成する本発明によれば、シェブロンクラックの発生を防止しつつ、軽量な段付円柱状部材を製造して、例えば、この段付円柱状部材をハブ本体として使用した、車輪支持用転がり軸受ユニットを軽量化する事ができる。即ち、この段付円柱状部材を、軽合金製の芯材と、鉄系合金製で、この芯材の外側部分を覆う表層材とから成る素材を冷間鍛造する事により造る為、これら芯材と表層材との間の滑り性を良好にでき、これら芯材及び表層材内部で、それぞれの金属材料の移動速度の差を小さく抑えて、シェブロンクラックの発生を防止できる。又、前述した従来構造の様に全体を中炭素鋼の如き鉄系合金で造る場合と比較して、前記段付円柱状部材の重量が増大するのを抑える事ができる。
更に、本発明によれば、段付円柱状部材の外面形状が限られる場合にも、シェブロンクラックの発生をより効果的に防止でき、しかも、材料の歩留が悪化したり、加工の手間が煩雑化するのを防止できる。
即ち、本発明の場合には、前記素材の先端部の外径を縮める際に、カウンターパンチにより小径側の円筒面部の中心部に有底の凹孔を形成する。この為、前記素材の先端部をこの小径側の円筒面部とする過程で、この素材の内部での金属材料の流れを整えられる。言い換えれば、前記シェブロンクラック発生の原因となる、前記素材の外径寄り部分と中心寄り部分との間での金属材料の移動速度の差を小さくできる。特に、強度確保上の面からの重要部分である、鉄系合金製の表層材部分で、金属材料の移動速度の差を小さくできる。この差を小さくできる事は、前記素材、特に表層材の内部に生じる引っ張り応力の低減に結び付いて、前記シェブロンクラックの発生を抑えられる。更に、前記素材の先端部の中心部を押し潰しつつ、前記凹孔を形成する事により、この素材の内部に、圧縮応力が生じる。この圧縮応力により、前記芯材と前記表層材との間に隙間が生じるのを防ぐ。又、金属加工の分野で周知の様に、圧縮応力は亀裂の発生を抑える作用がある為、前記凹孔の形成に基づき、前記シェブロンクラック等の亀裂の発生を抑えられる。
又、前記素材の内部での金属材料の流れを整えると共に、この内部を、圧縮応力場乃至はそれに近い状態にする為に、前記カウンターパンチをこの素材の先端面からこの素材の先端部内側に押し込んで前記凹孔を形成するが、この押し込みに要する力は小さくて済む。この為、前記素材の先端部に小径側の円筒面部を形成する為に要する力が、前記凹孔を形成しない(従来方法の)場合に比べて、著しく大きくなる事はない。従って、前記小径側の円筒面部を形成する為に使用する金型として、特に大きな強度及び剛性を有するものを使用したり、プレス装置として、容量の大きな大型のものを使用する必要がない。この為、製造装置の為の費用を抑えて、この製造装置により造られる、前記ハブ本体等の段付円柱状部材の加工コストが嵩む事を防止できる。
本発明の実施の形態の第1例に関して、中心軸を含む仮想平面に関する断面形状の変化を工程順に示すと共に、一部に就いて端面形状を示した図。 金型装置により、素材を第一中間素材に加工した直後の状態を示す断面図。 カウンターパンチの先端部の形状の3例を示す部分側面図。 同じく、別例を示す部分断面図。 金型装置により、第一中間素材を第二中間素材に加工した直後の状態を示す断面図。 金型装置により、第二中間素材を第三中間素材に加工した直後の状態を示す断面図。 本発明の実施の形態の第1例を示す、図12と同様の図。 同第2例を示す、図1と同様の図。 同じく、図12と同様の図。 本発明の実施の形態の第3例を示す、図1と同様の図。 同第4例を示す、図1と同様の図。 本発明の製造方法の対象となるハブ本体を組み込んだ、車輪支持用転がり軸受ユニットの1例を示す断面図。 冷間での鍛造加工により造られる、従来から知られたハブ本体の1例を示す、端面図(a)及び側面図(b)。 従来から知られているハブ本体の製造方法の1例に関して、側面形状の変化を工程順に示すと共に、一部に関して端面形状を示した図。 同じく側面形状乃至断面形状の変化を示す図。 同じく表面形状の変化を示す斜視図。
[実施の形態の第1例]
図1〜7は、請求項1、3に対応する本発明の実施の形態の第1例を示している。本例の場合、先ず、第一工程で、図1の(A)に示した、A7075、A6061等のアルミニウム系合金製の芯材26と、中炭素鋼等の鉄系合金製で、この芯材26の外側部分を覆う表層材27とから成る素材28に冷間で前方押し出し加工を施す。この様な素材28は、有底円筒状の表層材27の内径側部分に、円柱状の芯材26を締り嵌めで内嵌する事により造り、これら芯材26と表層材27との間の滑り性を良好にしている。本例の場合、この芯材26の高さHを、表層材27の中心孔の深さDよりも小さくして、前記素材28の端部に段差部29を設けている。この段差部29の深さ(D−H)は、芯材26を構成するアルミニウム系合金や表層材27を構成する鉄系合金の流動性、及び、後述する第一、第二両中間素材33、51の形状や絞り率等を考慮して設計的に定める。前記素材28に冷間鍛造を施す第一工程では、先ず、この素材28を、図2に示す様な、複数のブロックを重ね合わせて成るダイス30のキャビティ31内に挿入する。その後、図示しないプレス装置のラムで押圧される押圧パンチ32により、前記素材28を前記キャビティ31内に押し込む。この押し込み作業によりこの素材28が塑性変形し、この素材28が、このキャビティ31の内周面形状に見合う(母線形状が同じで凹凸が逆である)外周面形状を有する、第一中間素材33となる。
特に、本例の製造方法の場合には、前記キャビティ31の下端中央部に、カウンターパンチ34の上端部を突出させている。このカウンターパンチ34の下端部は、前記ダイス30を構成する複数個のブロックのうち、最下段のブロックの上面と、次段のブロックとの間で挟持固定している。又、前記カウンターパンチ34の周囲には、円筒状のスリーブ35を、昇降可能に外嵌している。前記キャビティ31の下部は、このスリーブ35の上端面と前記カウンターパンチ34の上端部外面と最上段のブロックの内周面とにより画成されている。又、このスリーブ35の下端面にそれぞれの上端面を突き当てたノックアウトピン36、36の下端面を、前記最下段のブロックに内嵌した、昇降駒37の上面に突き当てている。
上述の様な、図2に示した金型装置を使用し、前記素材28を前記キャビティ31内に押し込むと、この素材28の先端部(下端部)外周面がこのキャビティ31の内周面に沿って塑性変形し、前記第一中間素材33となる。即ち、この第一中間素材33の先端部に、小径側の円筒面部38と、この小径側の円筒面部38の基端側から連続してより大径の部分に連続する、傾斜段部39とを形成する。これと同時に、前記第一中間素材33のうちで前記小径側の円筒面部38の中心部(前記芯材26の中心部)に前記カウンターパンチ34の上端部が押し込まれ、この小径側の円筒面部38の中心部に、前記第一中間素材33の先端面に開口する、断面形状が円形である、有底の凹孔40が形成される。
この凹孔40を形成する為の、前記カウンターパンチ34の外径及び軸方向長さは、前記素材28乃至前記第一中間素材33の、芯材26を構成するアルミニウム系合金及び表層材27を構成する鉄系合金の流動性や、前記カウンターパンチ34の耐久性を考慮して、設計的配慮により決定する。このカウンターパンチ34の外径に関しては、大きい程、その耐久性が向上する代わりに、前記第一中間素材33の先端部で前記凹孔40の周囲部分が加工硬化する程度が著しくなる。そして、完成後のハブ本体9bの先端部(軸方向内端部)を径方向外方に塑性変形させる(かしめ拡げる)事が難しくなる。これらの点を考慮すれば、前記カウンターパンチ34の外径は、前記小径側の円筒面部38の外径の1/3〜2/3程度、最も好ましくは1/2程度に規制する。又、前記カウンターパンチ34の軸方向長さにより定まる、前記凹孔40の深さに関しても、前記耐久性及び加工硬化の程度を考慮して定める。本例の場合、前記押圧パンチ32を下死点にまで下降させ、前記第一中間素材33の加工を完了した状態で、前記凹孔40の深さが、完成後のハブ本体の軸方向内端部に存在する小径段部12aの軸方向長さに一致するか、この軸方向長さよりも少しだけ大きくなる様にしている。又、前記カウンターパンチ34の先端面(上端面)の形状に関しても、前記耐久性及び加工硬化の程度を考慮して定める。例えば、図3の(a)に示す様な単なる平坦面、同じく(b)に示す様な円すい台形、同じく(c)に示す様な半球状を採用できる。或いは、図4に示す様に、先端部に傾斜面部41を設け、この傾斜面部41に真鍮等の銅系合金製のリング42をボルト43で支持固定した、カウンターパンチ34を採用する事もできる。この様なカウンターパンチ34の先端部が前記小径側の円筒面部38の中心部に押し込まれると、前記図4に誇張して示す様に、前記芯材26の静水圧により前記傾斜面部41に沿って前記リング42の直径が、前記カウンターパンチ34の径方向外方に弾性的に拡げられる。この結果、前記カウンターパンチ34を押し込む際に、このリング42の外周面と前記第一中間素材33の中心部に存在する、前記芯材26或いは前記表層材27とを隙間なく摺接させて、この芯材26の一部が前記凹孔40の内周面で突出するのを防止できる(この内周面を滑らかにできる)。このリング42は、前記芯材26を構成するアルミニウム系合金、前記表層材27や前記カウンターパンチ34を構成する鉄系合金とは異なる、銅系合金である為、このリング42と前記第一中間素材33との接触部の滑り性を良好にできる。
何れの場合でも、前記押圧パンチ32を下死点まで下降させ、前記第一中間素材33を形成したならば、この押圧パンチ32を上昇させるのに続いて、それまで下降していた前記昇降駒37を上昇させ、前記各ノックアウトピン36、36を介して前記スリーブ35を上昇させる。この結果、前記第一中間素材33が前記キャビティ31から押し出されるので、この第一中間素材33を前記ダイス30から取り出し、次の第二工程を施す為、図5に示した金型装置の、フローティングダイス44の第二キャビティ45内に挿入する。このフローティングダイス44は、複数のばね46、46により固定ブロック47の上方に、下方に向いた大きな力が加わった場合に下降する様に、昇降可能に支持されている。又、前記固定ブロック47の上面に載置固定した第二スリーブ48の上端部を、前記フローティングダイス44の下端部に軸方向の変位(上下方向の摺動)を可能に内嵌している。更に、前記第二スリーブ48の下端部に、前記固定ブロック47の内径側に昇降可能に設置した、スリーブ35aの上端部を、軸方向の変位(上下方向の摺動)を可能に内嵌している。
又、前記スリーブ35aの内側に、前記カウンターパンチ34とほぼ同じ外面形状を有するスペーサ49を、このスリーブ35aとは独立した昇降を可能に設置している。本例の場合、このスペーサ49の下端面と、前記固定ブロック47を構成する固定板との間にばね50を設けて、このスペーサ49に、上方に向いた弾力を付与している。前記第一中間素材33{図1の(B)及び図2参照}を前記第二キャビティ45内に挿入した状態で、前記スペーサ49の上端面は、前記凹孔40の奥端面に当接する。そして、前記第一中間素材33を第二中間素材51に加工する為の、前記第二工程の進行中、前記スペーサ49の上端面が前記凹孔40の奥端面に当接し続ける。前記第二キャビティ45の下部の内面形状は、前記第二スリーブ48の内周面及び先端面(上端面)と、前記スリーブ35aの上端面と、前記スペーサ49の外周面及び先端面とにより画成される。更に、前記フローティングダイス44には、押圧パンチ32aの下端部を押し込む事により、前記第一中間素材33の外面形状を、前記第二キャビティ45の内面形状に合わせて塑性変形(前方押し出し成形)可能としている。
上述の様な、図5に示した金型装置を使用し、前記第一中間素材33を前記第二キャビティ45内に大きな力で押し込むと、この第一中間素材33の下部が、この第二キャビティ45の内面に沿って塑性変形し、前記第二中間素材51となる。即ち、前記第一中間素材33の先端部の小径側の円筒面部38の先端部乃至軸方向中間部が、前記第二スリーブ48の内周面と前記スペーサ49の外周面との間に存在する円筒状の空間内に押し込まれる。そして、この押し込まれた部分の外周面が、前記小径側の円筒面部38よりも更に小径の、小径段部12aとなる。又、前記押圧パンチ32aが下死点にまで下降した状態で、前記第二スリーブ48の先端面(上端面)により押圧された部分が、ハブ3aを組み立てた状態で内輪10a(図7参照)の軸方向外端面を突き当てる為の、段部25aとなる。尚、前記スペーサ49は、上述の様な第二工程の進行に伴って、前記ばね50を圧縮しつつ、その下端面が前記固定ブロック47を構成する一部のブロックの上面に当接するまで下降する。従って、この第二工程が進行する間中、前記スペーサ49の先端面が前記凹孔40の奥端面に押し付けられたままの状態となる。又、前記第二工程の進行に伴って、前記小径段部12aの軸方向長さが、元の小径側の円筒面部38の一部でこの小径段部12aとなるべき部分の軸方向長さよりも伸張し、これに伴って前記凹孔40の深さも深くなる。
上述の様にして、前記第二中間素材51を形成したならば、前記押圧パンチ32aを上昇させる。すると、前記フローティングダイス44が前記各ばね46、46の弾力により、前記スペーサ49が前記ばね50の弾力により、それぞれ少し上昇する。そこで、これら各部材44、49の上昇に続いて、それまで下降していた昇降駒37aを上昇させ、各ノックアウトピン36a、36aを介して前記スリーブ35aを上昇させる。この結果、前記第二中間素材51が前記第二キャビティ45から押し出される為、この第二中間素材51を前記フローティングダイス44から取り出し、次の第三工程を施す為、図6に示した金型装置の、ダイス52の第三キャビティ53内に挿入する。又、前記凹孔40に、ばね50aにより上方に付勢されているスペーサ49aの先端部(上端部側)を、隙間なく内嵌する。そして、押圧パンチ32bの周囲に配置したフローティングダイス44aにより前記第二中間素材51を抑えつつ、前記押圧パンチ32bによりこの第二中間素材51を軸方向に押し潰す。そして、外周面に放射状の回転側フランジ7aを設けた、図1の(D)及び図6に示す様な、第三中間素材54とする。この様な第三工程の進行中、前記フローティングダイス44aの下面は、ばね46a、46aの弾力により、前記ダイス52の上面に押し付けられたままとなる。
上述の様にして、前記第三中間素材54を形成したならば、前記押圧パンチ32bを上昇させてから、それまで下降していた昇降駒37bを上昇させ、各ノックアウトピン36b、36bを介してスリーブ35bを上昇させる。この結果、前記第三中間素材54が前記第三キャビティ53から押し出されるので、この第三中間素材54を前記ダイス52から取り出し、次の工程に送る。
この次の工程では、前記第三中間素材54のうちで、前記凹孔40の開口寄り部分の内径を、旋削加工等の削り加工により拡げ、当該部分を、別の凹孔40aとして、図1の(E)に示す様な、第四中間素材55とする。
この第四中間素材55は、更に次の工程に送り、面押し加工や切削加工、研削加工等、必要な加工を施して、ハブ本体9bとして完成する。これらの加工に就いては、従来の製造方法と同様であり、又、当業者にとって周知であるから、図示並びに説明は省略する。但し、本例の場合、スタッド17を挿通する為の円孔56の内周面をシール剤で覆い、電食を防止する。
そして、この様にして造られたハブ本体9bの小径段部12aに内輪10aを外嵌し、前記別の凹孔40aに治具を挿入し、この小径段部12aの軸方向内端部を径方向外方にかしめ拡げる事でかしめ部57を形成する。これにより、前記ハブ本体9bの軸方向内端部に、前記内輪10aを支持固定する事でハブ3aとする。このハブ3aを、転動体4、4を介して外輪2に支持する事により、車輪支持用転がり軸受ユニット1aを構成する。尚、この外輪2の内端開口部を、有底円筒状のカバー(図示せず)で塞ぐ事により、この外輪2の内径側空間への塵芥や雨水等の浸入防止、及びこの内径側空間に充填したグリースの外部への漏えい防止を図る。
上述の様な本例のハブ本体の製造方法によれば、造られるハブ本体9bの重量の増大を抑えて、このハブ本体9bを組み込んだ車輪支持用転がり軸受ユニット1a全体を軽量化できる。即ち、このハブ本体9bの芯部を軽合金で、同じく外側部分を鉄系合金で形成している為、前述した従来構造の様にハブ本体を鉄系合金のみで形成する場合と比較して、前記ハブ本体9bを軽量化する事ができる。又、このハブ本体9bのうち、車輪支持用転がり軸受ユニット1aを構成する転動体4、4や内輪10aと接触する部分である表面部分をこれら各部材4、10aを構成するのと同じ鉄系合金としているので、この表面部分に必要とされる硬度を確保すると共に、この表面部分に電食による損傷が発生するのを防止できる。ハブ本体9bの軸方向内端部に関しては、周知の従来構造と同様、使用状態で、前記外輪2の内端開口部を塞ぐキャップにより外部空間と遮てられるので、電食が発生する事はない。
又、本例の場合、前記素材28の先端部(図1の下端部)の外径を縮めて前記第一中間素材33とする際に、前記カウンターパンチ34により、前記小径側の円筒面部38の中心部に有底の凹孔40を形成する。この時、前記芯材26の高さHを前記表層材27の深さDよりも小さくし段差部29を設けている為、この表層材27を構成する鉄系合金よりも流動性が高い、前記芯材26を構成する軽合金が、前記第一中間素材33の先端面(図1、2の下端面)から突出するのを防止できる。又、前記芯材26を軽合金製とし、前記表層材27を鉄系合金製としている為、これら芯材26と表層材27との間の滑り性を良好にでき、これら芯材26及び表層材27内部で、それぞれの金属材料の移動速度の差を小さく抑えて、前述したシェブロンクラックの発生を防止できる。更に、前記素材28の先端部をこの小径側の円筒面部38とする過程で、この素材28の内部での金属材料の流れを整流できて、前記シェブロンクラック発生の原因となる、この素材28の外径寄り部分と中心寄り部分との間での金属材料の移動速度の差を小さくできる。この結果、前記素材28乃至前記第一中間素材33の内部に生じる引っ張り応力を低減して、前記シェブロンクラックの発生を抑えられる。更に、前記素材28の先端部の中心部を押し潰しつつ、前記凹孔40を形成する事により、この素材28を塑性変形させて得られる、前記第一中間素材33の内部に、圧縮応力が生じる。この圧縮応力により、前記芯材26と前記表層材27との間に隙間が生じるのを防止できる。又、金属加工の分野で周知の様に、圧縮応力は亀裂の発生を抑える作用がある為、前記凹孔40の形成に基づき、前記シェブロンクラック等の亀裂の発生を抑える事ができる。そして、前記第一工程で前記第一中間素材33の内部に生じた、前記圧縮応力は、前記第二工程でも亀裂の発生防止に寄与して、この第二工程で前記第二中間素材51の内部に、シェブロンクラックが発生する事を防止する。
又、本例の場合、前記芯材26が鉄系合金よりも軟らかい、アルミニウム系合金等の軽合金製である為、前記素材28を冷間鍛造するのに要する力は、前述した従来構造の様に素材を鉄系合金のみで造る場合と比較して小さくて済む。又、前記カウンターパンチ34を前記素材28の先端面からこの素材28の先端部内側に押し込んで、前記凹孔40を形成する為に要する力は小さくて済む。従って、前記素材28の先端部に小径側の円筒面部38を形成する為に要する力が、前記凹孔40を形成しない(従来方法の)場合に比べて、著しく大きくなる事はない。従って、前記小径側の円筒面部38を形成する為に使用する金型として、特に大きな強度及び剛性を有するものを使用したり、プレス装置として、容量の大きな大型のものを使用する必要がない。この為、製造装置の為の費用を抑えて、この製造装置により造られる、前記ハブ本体9b等の段付円柱状部材の加工コストが嵩む事を防止できる。
[実施の形態の第2例]
図8〜9は、請求項1、3、4に対応する、本発明の実施の形態の第2例を示している。本例の場合、素材28aの芯材26aの奥端部(図8の上端部)に、中間寄り部分よりも外径寸法の小さい小径部58を設けている。これにより、第二中間素材51aを第三中間素材54aに加工する第三工程{図8の(C)→(D)}で、外周面に放射状の回転側フランジ7bを設ける際に、スタッド17を挿通する為の円孔56を形成する部分に、前記芯材26aを構成する軽合金が進入しない様にできる。この結果、前記円孔56を形成した後に、この円孔56の内径側に軽合金が露出するのを防止できるので、電食防止の為に、この円孔56部分にシール剤を塗布する手間が不要になる。
その他の部分の構成及び作用は、上述した実施の形態の第1例と同様であるから、同等部分に関する説明は省略する。
[実施の形態の第3例]
図10は、請求項1、3に対応する、本発明の実施の形態の第3例を示している。本例の場合には、素材28を第一中間素材33aに加工する第一工程{図10の(A)→(B)}で、この第一中間素材33aの先端部に形成する凹孔40bの深さを、前述した実施の形態の第1例の場合よりも浅くしている。そして、前記第一中間素材33aを第二中間素材51bとする、第二工程{図10の(B)→(C)}を終了した状態で、前記凹孔40bの奥端面の軸方向位置が、小径段部12aの基端部に存在する段部25aの軸方向位置とほぼ一致する様にしている。本例の場合、前記第一中間素材33aの表層材27のうち、前記凹孔40bを形成する部分の外径側に存在する部分(段部25aを形成する部分よりも軸方向外側に位置する部分まで)の内周面を、円筒面状としている。この結果、芯材26が前記凹孔40bの内周面に突出し難くできる。特に、カウンターパンチ34の先端部の形状を、前述した図4に示す様なものとする事で、前記芯材26の突出量を更に抑える事ができる。
その他の部分の構成及び作用は、前述した実施の形態の第1例と同様であるから、同等部分に関する説明は省略する。
[実施の形態の第4例]
図11は、請求項2、3に対応する、本発明の実施の形態の第4例を示している。本例の場合には、素材28を第一中間素材33bに加工する第一工程{図11の(A)→(B)}は、前述の図13〜16に示した従来方法と同様に行う。そして、次に行う、前記第一中間素材33bを第二中間素材51cとする第二工程{図11の(B)→(C)}で、カウンターパンチ34(図2参照)により、前記第二中間素材51cの先端中心部に、凹孔40を形成する。又、この第二中間素材51cの先端寄り部分に、小径段部12aを、この先端寄り部分の軸方向中間部(小径段部12aの基端部)に、段部25aを、それぞれ形成する。
前記第一工程時には、前記素材28が未だ加工硬化されていない為、得られる第一中間素材33bの内部にシェブロンクラックが発生する事はない。これに対して、前記第二中間素材51cを得る第二工程時には、既に加工硬化している前記第一中間素材33bの先端部の外径を前方押し出し加工により縮める為、シェブロンクラックが発生し易い。そこで、本例の場合には、この様な第二工程時に、前記第一中間素材33bの先端面に前記凹孔40を形成して、前記シェブロンクラックの発生を防止する様にしている。
その他の部分の構成及び作用は、前述した実施の形態の第1例と同様であるから、同等部分に関する説明は省略する。
上述した本発明の実施の形態の各例は何れも、外径が異なる複数の円筒面部を設ける為の前方押し出し加工を、第一工程と第二工程との二段階で実施している。尚、本発明の技術的範囲からは外れるが、加工後の円筒面部のうち、最も小径の円筒面部の外径を、加工前の素材の外径で除した値(絞り率)が1/2以上の場合、これら各円筒面部を設ける前方押し出し加工を一工程で実施する事もできる。
又、本発明の技術的範囲からは外れるが、軽合金製の芯材と、鉄合金製で、この芯材の端部を除いた外側部分を覆う有底円筒状の表層材とから成る素材に、冷間鍛造加工を施して段付円筒状部材を造る段付円柱状部材の製造方法を適用する、車輪支持用転がり軸受ユニットを構成するハブ本体の製造方法は、上述した本発明の実施の形態の各例の製造方法に限られない。即ち、シェブロンクラックの発生が問題にならない程度であったり、或いは、別の方法によりシェブロンクラックの発生を防止できるのであれば、前述した従来のハブ本体の製造方法に、前記素材に冷間鍛造加工を施して段付円筒状部材を造る段付円柱状部材の製造方法を適用する事もできる。
又、本発明の段付円柱状部材の製造方法は、従動輪用の車輪支持用転がり軸受ユニットを構成するハブ本体を造る場合に、顕著な効果を得られる。但し、複数段階で重複する部分に前方押し出し加工を施し、当該部分を段付形状とする物品であれば、前記ハブ本体に限らず、当該物品の製造に適用できる。
1、1a 車輪支持用転がり軸受ユニット
2 外輪
3、3a ハブ
4 転動体
5 外輪軌道
6 静止側フランジ
7、7a、7b 回転側フランジ
8 内輪軌道
9、9a ハブ本体
10、10a 内輪
11 ナット
12、12a 小径段部
13 素材
14 第一中間素材
15 第二中間素材
16 第三中間素材
17 スタッド
18 頭部
19 座面
20 第四中間素材
21、21a 凹孔
22 円筒部
23 第五中間素材
24 軸部
25、25a 段部
26、26a 芯材
27 表層材
28、28a 素材
29 段差部
30 ダイス
31 キャビティ
32、32a、32b 押圧パンチ
33、33a、33b 第一中間素材
34 カウンターパンチ
35、35a スリーブ
36、36a、36b ノックアウトピン
37、37a、37b 昇降駒
38 小径側の円筒面部
39 傾斜段部
40、40a 凹孔
41 傾斜面部
42 リング
43 ボルト
44、44a フローティングダイス
45 第二キャビティ
46、46a ばね
47 固定ブロック
48 第二スリーブ
49、49a スペーサ
50、50a ばね
51、51a〜51c 第二中間素材
52 ダイス
53 第三キャビティ
54、54a 第三中間素材
55 第四中間素材
56 円孔
57 かしめ部
58 小径部

Claims (4)

  1. 外周面に、外径が互いに異なる複数の円筒面部を設け、隣り合う円筒面部同士を段部により連続させた段付円柱状部材を冷間鍛造により造る段付円柱状部材の製造方法であって、
    素材は、軽合金製の芯材を、鉄系合金製で、この芯材の端部を除いた外側部分を覆う有底円筒状の表層材の内径側に締り嵌めする事により造られたものであり、
    前記素材の加工工程は、前記素材から第一中間素材を造る第一段階の前方押出加工と、前記第一中間素材から第二中間素材を造る第二段階の前方押出加工とを備え、
    前記第一段階の前方押出加工は、前記素材の先端部をダイス内に押し込む事により、この素材の先端部の外径を縮めて、小径側の円筒面部及び段部を形成する加工であり、
    前記第二段階の前方押出加工は、前記第一中間素材の先端寄り部分に前記小径側の円筒面部よりも更に小径の第二円筒面部を、この先端寄り部分の軸方向中間部に第二段部を、それぞれ形成する加工であり、
    前記第一段階の前方押出加工の際に、前記素材の先端面の中央部にカウンターパンチの先端面を押し付けつつ、この素材を、この先端面の中央部に凹孔を有する前記第一中間素材とし、次いで、この凹孔内にスペーサを内嵌した状態で、この第一中間素材を前記第二中間素材に加工する事を特徴とする段付円柱状部材の製造方法。
  2. 外周面に、外径が互いに異なる複数の円筒面部を設け、隣り合う円筒面部同士を段部により連続させた段付円柱状部材を冷間鍛造により造る段付円柱状部材の製造方法であって、
    素材は、軽合金製の芯材を、鉄系合金製で、この芯材の端部を除いた外側部分を覆う有底円筒状の表層材の内径側に締り嵌めする事により造られたものであり、
    前記素材の加工工程は、前記素材から第一中間素材を造る第一段階の前方押出加工と、前記第一中間素材から第二中間素材を造る第二段階の前方押出加工とを備え、
    前記第一段階の前方押出加工は、前記素材の先端部をダイス内に押し込む事により、この素材の先端部の外径を縮めて、小径側の円筒面部及び段部を形成する加工であり、
    前記第二段階の前方押出加工は、前記第一中間素材の先端寄り部分に前記小径側の円筒面部よりも更に小径の第二円筒面部を、この先端寄り部分の軸方向中間部に第二段部を、前記第一中間素材の先端面の中央部に凹孔を、それぞれ形成する加工であり、
    前記素材を前記第一中間素材とする際には、前記凹孔を形成せずに、前記第一中間素材の先端面の中央部に前記カウンターパンチの先端面を押し付けて前記凹孔を形成しつつ、この第一中間素材を前記第二中間素材に加工する事を特徴とする段付円柱状部材の製造方法。
  3. 前記芯材の高さ寸法を、前記表層材の中心孔の深さ寸法よりも小さくする、請求項1〜2のうちの何れか1項に記載した段付円柱状部材の製造方法。
  4. 前記表層材の中心孔の奥端面に凹孔を、前記芯材の基端部にこの凹孔と隙間なく係合する小径部を、それぞれ設け、前記表層材の内径側部分に前記芯材を締り嵌めする事で前記素材とし、この素材に冷間鍛造加工により前記各円筒面部と前記各段部とを形成して中間素材とした後に、この中間素材に側方押し出し加工を施す事により、この中間素材の基端寄り部分の外周面に放射状のフランジを設ける、請求項1〜3のうちの何れか1項に記載した段付円柱状部材の製造方法。
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