JP2013135647A - 煮沸時間が短縮されたビールテイスト飲料の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】原料の一部としてホップを使用するが麦芽および大麦を使用しないビールテイスト飲料の製造方法において、原料液汁の煮沸の際の使用エネルギー量を低減する製造方法の提供。
【解決手段】煮沸工程におけるホップの添加時期を早めることにより煮沸時間を短縮する、ビールテイスト飲料の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、原料液汁の煮沸時間が短縮されたビールテイスト飲料(ビールテイスト発酵飲料およびビールテイスト非発酵飲料)の製造方法に関し、さらには、該飲料の製造に使用するエネルギーの削減方法にも関する。
ビールテイスト発酵飲料の製造プロセスにおいて消費されるエネルギーの内、約80%がこの仕込工程で消費されており、この内平均37%が麦汁製造に必要であると言われている(非特許文献1)。そのため、麦汁煮沸における所要エネルギーを低減させることにより、ビール製造における消費エネルギー量を大幅に削減できると期待されている。
ビールテイスト発酵飲料の製造プロセスのうち仕込工程における煮沸の目的は、ホップ苦味成分の抽出や、微生物殺菌、不快成分の蒸散、たん白質凝固による清澄化等、様々である。従って、ビールテイスト発酵飲料の製造プロセスにおいては、麦汁は十分に煮沸されなければならず、不十分な煮沸はビールテイスト発酵飲料の品質に大きな影響を及ぼす。特に、ホップに含まれるα酸のイソ化や、発酵前液やホップに含まれる不快臭成分の蒸発等を十分に達成するためには、長時間の煮沸が必要とされ、例えば、ビールの製造において内部加熱の煮沸釜を使用した場合、90分〜120分の煮沸時間が必要とされている(非特許文献1)。
そのため、単純に煮沸時間を短縮するという手法では、好ましい香味特性を有するビールテイスト発酵飲料製品を得ることが困難であり、結果として煮沸工程における消費エネルギー量の削減は困難であった。さらに、煮沸条件の変更は、苦味、渋味、香りやろ過性等に大きな影響を及ぼすため、好ましい香味特性を有するビールテイスト発酵飲料製品を製造するための条件を設定することは非常に困難であった。
煮沸工程における消費エネルギー量を低減することを目的として、近年では、原料のうちホップの煮沸と他の原料液汁の煮沸とを、それぞれ別個に実施する方法(特許文献1および特許文献2)や、煮沸中の麦汁中に、麦汁を煮沸するエネルギーを持たない不活化ガスを通気して気泡を発生させることによって、消費エネルギー量を低減する煮沸方法(特許文献3)が開発されている。しかしながら、これらの方法では別途新たな煮沸釜や工程ラインの設置等が必要となり、コストや工程管理の観点から直ちに採用可能な手段とはいえない。
従って、煮沸工程における消費エネルギー量を簡便に低減できるビールテイスト飲料の製造方法の開発が望まれていた。
特開2010−178628号公報 特開2009−77730号公報 特許第3490460号
宮地秀夫著、ビール醸造技術、食品産業新聞社、1999年12月28日、261頁〜290頁
本発明は、原料の一部としてホップを使用するが麦芽および大麦を使用しないビールテイスト飲料の製造方法において、製品の香味バランスを損なわずに原料液汁の煮沸の際の使用エネルギー量を低減する製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、原料の一部としてホップを使用するビールテイスト発酵飲料の製造方法において、麦芽および大麦を原料として使用しない場合には、香味バランスを保ったまま、煮沸工程を30分まで短縮することができることを見出した。また、驚くべきことに、原料液汁へのホップの添加時期を早めることにより、香味バランスを保ったまま、煮沸工程を15分まで短縮することができることを見出した。本発明はこれらの知見に基づくものである。
すなわち、本発明によれば以下の発明が提供される。
(1)原料の一部としてホップを使用するが麦芽および大麦を使用しないビールテイスト飲料の製造方法であって、煮沸工程における原料液汁の煮沸時間が60分未満である、製造方法。
(2)煮沸時間が30分以内である、上記(1)に記載の製造方法。
(3)原料液汁へのホップの添加時期が煮沸開始時点以前である、上記(1)または(2)に記載の製造方法。
(4)原料液汁へのホップの添加時期が煮沸開始10分前〜30分前である、上記(1)または(2)に記載の製造方法。
(5)上記(1)〜(4)のいずれかに記載の方法により製造されたビールテイスト飲料。
(6)原料の一部としてホップを使用するが麦芽および大麦を使用しないビールテイスト飲料の製造方法において、煮沸工程における原料液汁の煮沸時間を60分未満とし、かつ原料液汁へのホップの添加時期を煮沸開始時点以前とすることを特徴とする、該飲料の製造に使用するエネルギーの削減方法。
本発明によれば、原料の一部としてホップを使用するが麦芽および大麦を使用しないビールテイスト飲料の製造方法において、煮沸時間が大幅に短縮された製造方法が提供される。本発明によれば、香味バランスを保ったまま、原料液汁の煮沸時間を大幅に短縮できるため、製品の品質への影響を最小限としながら煮沸工程の消費エネルギー量の大幅な低減が達成できる点で有利である。
図1は、表5の条件で煮沸した原料液汁を用いて製造した仕込液、酒下しおよび製品における苦味価(BU)を示す図である。 図2は、表5の条件で煮沸した原料液汁を用いて製造したアルコール製品における、リナロール濃度(ppb)およびβユーデスモール濃度(ppb)を示す図である。
発明の具体的説明
本発明において、「ビールテイスト飲料」とは、「ビールテイスト発酵飲料」と「ビールテイスト非発酵飲料」を含む意味で用いられる。
本発明において、「ビールテイスト発酵飲料」とは、炭素源、窒素源およびホップ類などを原料とし、通常のビールの製造方法に従いアルコール発酵により製造した場合に得られる、ビールに類似する香味特徴を有するすべての発酵飲料をいう。例えば、「原料の一部としてホップを使用するが麦芽および大麦を使用しないビールテイスト発酵飲料」としては、原料として麦芽を使用しないビールテイスト発酵飲料(例えば、酒税法上、「その他の醸造酒(発泡性)(1)」に分類される飲料)が挙げられる。
本発明において、「ビールテイスト非発酵飲料」とは、炭素源、窒素源およびホップ類などを原料とし、アルコール発酵を行わないで製造することができる非発酵飲料であって、ビールに類似する香味特徴を有するすべての非発酵飲料をいい、例えば、アルコール含量が0%である完全ノンアルコール飲料等が挙げられる。
本発明において、ビールテイスト発酵飲料およびビールテイスト非発酵飲料の炭素源としては、特に限定されないが、米、トウモロコシ、こうりゃん、馬鈴薯、でん粉および糖類(例えば、果糖ブドウ糖液糖などの液糖)の1種または2種以上を使用することができ、麦芽や大麦を利用しない限り、これら以外の炭素源を用いることもできる。
本発明において、ビールテイスト発酵飲料およびビールテイスト非発酵飲料の窒素源としては、特に限定されないが、大豆タンパク質、エンドウタンパク質およびトウモロコシタンパク質並びにこれらのタンパク分解産物などの穀物原料の1種または2種以上を使用することができ、これら以外の穀物原料を用いることもできる。
本発明において、ビールテイスト発酵飲料およびビールテイスト非発酵飲料に用いるホップ類としては、特に限定されないが、ビールや発泡酒等の製造に使用される通常のホップ、ペレットホップ、粉末ホップ、ホップエキスを適宜選択して使用することができる。また、それ以外にも、異性化ホップ、ヘキサホップ、テトラホップなどのホップ加工品を用いることもできる。
本発明によるビールテイスト発酵飲料およびビールテイスト非発酵飲料は、必要に応じて、甘味料、酸味料、苦味料等の調味料、pH調製剤などの安定化剤、アルコール、香料、色素、起泡向上剤、泡持ち向上剤、水質調整剤および発酵助成剤などの添加物を添加して製造することができる。
本発明におけるビールテイスト発酵飲料およびビールテイスト非発酵飲料の製造は例えば以下のように行うことができる。すなわち、原料に、
−必要に応じて糖化やタンパク分解等の処理を施し(仕込工程)、
−煮沸開始前および/または煮沸開始後にホップ等を適量添加し(煮沸工程)、
−ビールテイスト発酵飲料を製造する場合のみ、酵母によるアルコール発酵に供する発酵前液を製造し、発酵前液に酵母を添加して、アルコール発酵を行わせ、かつ完全に発酵を完了させ(発酵工程)、
−得られた液汁を0℃付近の低温で長時間寝かせることで混濁の原因となるタンパク質を析出させ(貯酒工程)、
−必要に応じて適宜甘味料、酸味料、苦味料等の調味料、希釈水、アルコール、pH調製剤などの安定化剤、香料、色素、起泡向上剤、泡持ち向上剤、水質調整剤および発酵助成剤などの添加物を添加して飲料の香味や品質を整え、
−残存した酵母や不溶成分を完全に取り除いて清澄化して(濾過工程)、
−最後に、濾過工程の終了した製品を缶・ビン・樽等に充填して(充填工程)、
最終製品とすることができる。
本発明の製造方法における原料液汁の煮沸工程は、上記仕込工程で得られた原料液汁を煮沸することにより実施することができる。本発明では、迅速に煮沸を開始させて煮沸時間を大幅に短縮するために、所定温度の湯に原料液汁を添加してもよい。
本発明において、「煮沸」とは、いわゆる沸騰した状態を意味し、煮沸時間とは沸騰を開始してから加熱を停止するまでの時間を意味する。すなわち、煮沸時間には、加熱を開始してから沸騰するまでの時間は含まれない。
本発明によれば、煮沸工程における原料液汁の煮沸時間は、好ましくは、30分以内であり、より好ましくは20分以内であり、最も好ましくは15分以内である。また、原料液汁の煮沸の程度は煮沸時間が短縮されている限り特に限定されないが、例えば、煮沸率(煮沸前の液汁重量に対する蒸発成分重量の割合)が1〜5%程度となるように煮沸処理することができる。
本発明によれば、煮沸工程におけるホップの添加時期は、好ましくは、煮沸開始時点以前であり、より好ましくは、煮沸開始時点よりも前であり、さらに好ましくは、煮沸開始10分前〜30分前であり、最も好ましくは、煮沸開始15分前〜30分前である。ホップの添加時期を煮沸開始時点よりも前にする場合には、加熱された原料液汁の温度が80℃(好ましくは85℃以上)に達した後、沸点に達する前に添加することが好ましい。
本発明によれば、煮沸工程におけるホップの添加時期は、煮沸工程における原料液汁の煮沸時間が30分以内である場合には、好ましくは、煮沸開始時点以前であり、より好ましくは煮沸開始時点よりも前であり、最も好ましくは、煮沸開始15分前〜30分前である。この場合、ホップの添加態様は、所定量のホップを1回ですべて添加しても、複数回に分けて添加してもよい。
本発明によれば、煮沸工程におけるホップの添加時期は、煮沸工程における原料液汁の煮沸時間が20分以内または15分以内である場合には、好ましくは、煮沸開始時点よりも前であり、より好ましくは、煮沸開始10分前〜30分前であり、さらに好ましくは、煮沸開始15分前〜30分前である。この場合、ホップの添加態様は、所定量のホップを1回ですべて添加しても、複数回に分けて添加してもよい。
本発明によれば、煮沸時間を短縮した場合でも、製造されたビールテイスト飲料の香味のバランスを良好に保つことができる。また、本発明によれば、煮沸工程におけるホップの添加時期を早めることにより、香味を損なわずに煮沸時間を短縮することができる。従って、本発明は、製品の品質への影響を最小限としながら煮沸工程の消費エネルギー量の大きな低減が達成できる点で有利である。
従って、本発明の別の面によれば、原料の一部としてホップを使用するが麦芽および大麦を使用しないビールテイスト飲料の製造方法において、煮沸工程における原料液汁の煮沸時間を60分未満とし、かつ原料液汁へのホップの添加時期を煮沸開始時点以前とすることを特徴とする、該飲料の製造に使用するエネルギーの削減方法が提供される。
本発明によればまた、本発明の製造方法により製造されたビールテイスト飲料が提供される。
以下の例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの例に限定される物ではない。
実施例1:煮沸時間短縮のための予備的検討
発酵アルコール製品では、発酵前液の煮沸工程の煮沸時間の短縮が調製された飲料の香味に悪影響を与えることが知られている。本実施例では、予備的検討として、実験室レベルで、香味バランスに対する煮沸時間の短縮の影響を調べた。具体的には以下の通りである。
(1)原料液汁の調製
まず、タンパク分解処理済み大豆タンパク質、酵母エキス、糖類、および水を混合し、111kLの原料液汁を調製した。
(2)原料液汁の煮沸
原料液汁の煮沸は、通常の方法に従って行った。煮沸は、多管式熱交換器を備えた煮沸釜(WP)を用いて行い、原料液汁を60分煮沸する条件を対照1とし、ホップ添加時期を早めて煮沸時間を30分に短縮した条件を試験1とした。ホップの添加回数および時期は表1の通りとした。ホップの添加を2回とした場合には、添加すべきホップの合計量がホップの添加1回の場合の添加量と同量となるようにした。
Figure 2013135647
(3)得られた発酵飲料の官能評価
対照1および試験1の条件で得られた煮沸液にビール酵母を添加し、通常の方法に従って発酵させ、それぞれから発酵飲料を調製した。このようにして得られたアルコール製品の味を評価するために、苦味の指標として苦味価(BU)を測定し、含有香気成分としてリナロールの濃度を測定した。苦味価は、通常の方法に従い、試料10mLに対して1mLの3N塩酸を添加し、その後イソオクタン20mLで苦味物質を抽出し、吸光計により抽出したイソオクタン層の275nmにおける吸光度を測定することにより算出した。また、リナロール濃度は、通常の方法に従い、C18固相カラムを用いて香気成分を抽出した後、GC/MS(製品名:Hewlett Packard社製)を用いて定量した。GC/MSの内部標準物質としてはBorneolを用い、試料中の濃度は25ppbとした。
対照1および試験1の条件で調製したアルコール製品の苦味価とリナロール濃度の測定値は表2の通りであった。
Figure 2013135647
表2に示されるように、ホップの添加時期を早めることで、調製されたアルコール製品中の苦味価およびリナロール濃度には影響を及ぼさずに煮沸時間を60分から30分に短縮できることが分かった。なお、麦芽を使用するアルコール製品では、麦汁臭が残るために煮沸時間を短縮させることはできなかった。
実施例2:煮沸時間短縮のための詳細の検討
本実施例では、2kLのパイロットプラントを用いて煮沸時間短縮のための詳細の検討を行った。
(1)原料液汁の調製
まず、タンパク分解処理済み大豆タンパク質、酵母エキス、および糖類を混合し、2400Lの発酵前液を調製した。
(2)原料液汁の煮沸
原料液汁の煮沸は、通常の方法に従って行った。煮沸は多管式熱交換器を備えた煮沸釜(WP)を用いて行い、煮沸条件およびホップの添加時期は表3の通りとした。ホップの添加を2回とした場合には、添加すべきホップの合計量がホップの添加1回の場合の添加量と同量となるようにした。なお、煮沸開始20分前の液汁の温度は約90℃であった。
Figure 2013135647
(3)得られた発酵飲料の苦味価および香味成分のバランス
表3の条件で煮沸して得られた煮沸液にビール酵母を添加し、通常の方法に従って発酵させ、それぞれからアルコール製品を調製した。このようにして得られたアルコール製品の味を評価するために、苦味の指標として苦味価(BU)を測定し、香気成分としてリナロールとβユーデスモールの濃度を測定した。試料の苦味価およびリナロールの濃度は、実施例1に記載された方法に従って測定し、βユーデスモールの濃度は、リナロールと同様の方法で測定した。苦味価については、参考のために仕込み液や酒下しについても測定した。
表3の条件で煮沸して得られた煮沸液を用いて調製したアルコール製品の苦味価は図1の通りであった。
図1に示されるように、試験3の条件(ホップ添加時期:煮沸開始直後(0分後)、煮沸時間:15分)を用いて得られたアルコール製品は、試験2の条件(ホップ添加時期:煮沸開始直後(0分後)+煮沸開始から15分後、煮沸時間:30分)と比較して、十分な苦味価を得ることができなかった。しかしながら、加熱開始後煮沸前にホップを添加する試験4の条件(ホップ添加時期:煮沸開始20分前、煮沸時間:15分)や試験5の条件(ホップ添加時期:煮沸開始20分前、煮沸時間:20分)では、苦味価が試験2のレベル以上に回復することが示された。このように、ホップの添加時期をさらに早めて煮沸開始前とすることで、煮沸時間を大幅に短縮しても十分な苦味価を得ることができることが示された。
また、表3の条件で煮沸して得られた煮沸液を用いて調製したアルコール製品中の香気成分(リナロールおよびβユーデスモール)濃度は図2の通りであった。
図2に示されるように、試験2の条件(ホップ添加時期:煮沸開始直後(0分)+煮沸開始から15分後、煮沸時間:30分)で得られたアルコール製品と、煮沸時間を短縮した試験3の条件(ホップ添加時期:煮沸開始直後(0分後)、煮沸時間:15分)で得られたアルコール製品とでは、アルコール製品中のβユーデスモールの濃度は同等であったが、リナロール濃度は試験3においてより高濃度に検出され、煮沸時間を短縮した試験3の条件で調製したアルコール製品では、試験2と比較して香味成分のバランスが大きく変化していた。しかしながら、驚くべきことに、煮沸前にホップを添加する試験4の条件(ホップ添加時期:煮沸開始20分前、煮沸時間:15分)や試験5の条件(ホップ添加時期:煮沸開始20分前、煮沸時間:20分)では、得られたアルコール製品中のリナロールの濃度もβユーデスモールの濃度も試験2の条件と同等レベルに回復していた。すなわち、煮沸時間を短縮すると香味成分のバランスが変化するが、ホップの添加時期を早めることで、香味成分のバランスが回復することが示された。このことからは、煮沸前の添加によっても、香味品質に影響を与えずにホップの十分な熱処理が可能であったことが示された。
(4)得られた発酵飲料の官能評価
次に、表3の条件で煮沸して得られた煮沸液から調製したアルコール製品の官能評価を実施した。官能評価では、以下の評点に基づいて、香味バランスを評価した。
A:香味バランスが良好である
B:香味バランスが普通である
C:香味バランスが悪い
官能評価結果は表4に示すとおりであった。
Figure 2013135647
表4に示されるように、煮沸時間を短縮した試験3の条件(ホップ添加時期:煮沸開始直後(0分)、煮沸時間:15分)で得られた製品の香味バランスは、試験2の条件(ホップ添加時期:煮沸開始直後(0分)+煮沸開始から15分後、煮沸時間:30分)で得られた製品と比較して低下していることが分かった。しかしながら、煮沸前にホップを添加する試験4の条件(ホップ添加時期:煮沸開始20分前、煮沸時間:15分)や試験5の条件(ホップ添加時期:煮沸開始20分前、煮沸時間:20分)では、低下した官能評価結果が回復し、試験2の条件で得られた製品と同等レベルに香味バランスが回復していた。
このように、煮沸時間を短縮した場合でも、ホップを添加する時期を煮沸開始前まで早めることで、官能評価上遜色ないビールテイスト発酵飲料が得られることが示された。
煮沸時間を短縮したことによる省エネルギー効果を確認するために、煮沸工程における使用蒸気量を、蒸気計を用いて測定した。測定結果は表5に示される通りであった。
Figure 2013135647
表5に示されるように、煮沸時間を短縮した試験3〜5の条件では、煮沸に使用する蒸気量が大きく低減していた。このことから、本発明の方法によれば、香味バランスを崩すことなく、煮沸時間を短縮することが可能であり、その結果、使用蒸気量を大きく低減できることが示された。

Claims (6)

  1. 原料の一部としてホップを使用するが麦芽および大麦を使用しないビールテイスト飲料の製造方法であって、煮沸工程における原料液汁の煮沸時間が60分未満である、製造方法。
  2. 原料液汁の煮沸時間が30分以内である、請求項1に記載の製造方法。
  3. 原料液汁へのホップの添加時期が煮沸開始時点以前である、請求項1または2に記載の製造方法。
  4. 原料液汁へのホップの添加時期が煮沸開始10分前〜30分前である、請求項1または2に記載の製造方法。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法により製造されたビールテイスト飲料。
  6. 原料の一部としてホップを使用するが麦芽および大麦を使用しないビールテイスト飲料の製造方法において、煮沸工程における原料液汁の煮沸時間を60分未満とし、かつ原料液汁へのホップの添加時期を煮沸開始時点以前とすることを特徴とする、該飲料の製造に使用するエネルギーの削減方法。
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