JP7470512B2 - ビールテイスト飲料 - Google Patents

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Description

本発明は、ビールテイスト飲料に関する。
糖質含有量が低減されたビールテイスト飲料の需要が高まっている。例えば特許文献1には、糖質含有量が低減された発酵麦芽飲料及びその製造方法が開示されている。
特許第5313327号公報
しかしながら、糖質含有量が低減されながらも香味(例えば、熟成様の立ち香を伴った味わい)に優れるビールテイスト飲料の検討は充分になされているとはいえない。
そこで本発明は、熟成様の立ち香を伴った味わいに優れるビールテイスト飲料を提供することを目的とする。
本発明は、原料中の麦芽比率が50重量%以上66重量%以下であり、糖質含有量が0.50g/100mL以上1.40g/100mL以下であり、アルコール度数が6.0v/v%以上である、ビールテイスト飲料に関する。
上記ビールテイスト飲料は、原料中の麦芽比率、糖質含有量、及びアルコール度数が特定の範囲内にあるため、熟成様の立ち香を伴った味わいに優れる。
上記ビールテイスト飲料は、アルコール度数が12.0v/v%以下であってよく、アルコール度数が10.0v/v%以下であってよく、アルコール度数が9.5v/v%以下であってよい。原料中の麦芽比率、及び糖質含有量が上記所定の範囲内にあると共に、アルコール度数が10.0v/v%以下であると、熟成様の立ち香を伴った味わいにより一層優れる。また、原料中の麦芽比率、及び糖質含有量が上記所定の範囲内にあると共に、アルコール度数が9.5v/v%以下であると、熟成様の立ち香を伴った味わいにより一層優れることに加えて、後味の炭酸感にも優れたものとなる。
上記ビールテイスト飲料は、乳酸含有量が100mg/L以上400mg/L以下であってよい。
上記ビールテイスト飲料は、リナロール含有量が0.4μg/L以上50μg/L以下であってよい。
本発明によれば、熟成様の立ち香を伴った味わいに優れるビールテイスト飲料を提供することができる。
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
本実施形態に係るビールテイスト飲料は、原料中の麦芽の比率が50重量%以上66重量%以下であり、糖質含有量が0.50g/100mL以上1.40g/100mL以下であり、かつアルコール度数が6.0v/v%以上である。
本明細書において、「ビールテイスト飲料」とは、ビール様の香味を有する飲料を意味する。ビールテイスト飲料としては、例えば、酒税法(令和元年法律第三十七号)上のビール、発泡酒、その他の醸造酒、リキュール又はスピリッツに分類されるものが挙げられる。
本明細書における糖質とは、食品の栄養表示基準(平成15年厚生労働省告示第176号)に基づく糖質をいう。具体的には、糖質は、食品から、タンパク質、脂質、食物繊維、灰分、水分及びアルコール分を除いたものをいう。また、食品中の糖質の量は、当該食品の重量から、タンパク質、脂質、食物繊維、灰分、水分及びアルコール分の量を控除することにより算定される。タンパク質、脂質、灰分、水分の量は、栄養表示基準に掲げる方法により測定する。アルコール分の量は、水分量とともに測定することができる。具体的には、タンパク質の量は改良デュマ法による全窒素(タンパク質)の定量法で測定し、脂質の量はエーテル抽出法、クロロホルム・メタノール混液抽出法、ゲルベル法、酸分解法又はレーゼゴットリーブ法で測定し、食物繊維の量はプロスキー法で測定し、灰分の量は酢酸マグネシウム添加灰化法、直接灰化法又は硫酸添加灰化法で測定し、水分及びアルコール分の量はカールフィッシャー法、乾燥助剤法、減圧加熱乾燥法、常圧加熱乾燥法又はプラスチックフィルム法で測定する。水分及びアルコール分の合計のうち、アルコール分の量は、国税庁所定分析方法平成19年国税庁訓令第6号記載の蒸留-密度(比重)法、ガスクロマトグラフ分析法、酸化法等で測定することができる。
ビールテイスト飲料のアルコール度数は、例えば、国税庁所定分析法(訓令)「3清酒 3-4アルコール分」に記載されている振動式密度計法に基づいて測定することができる。
本実施形態に係るビールテイスト飲料の糖質含有量は、0.50g/100mL以上1.40g/100mL以下である。本実施形態に係るビールテイスト飲料の糖質含有量は、例えば、1.35g/100mL以下、1.30g/100mL以下、1.25g/100mL以下、1.20g/100mL以下、又は1.15g/100mL以下であってよい。また、本実施形態に係るビールテイスト飲料の糖質含有量は、例えば、0.45g/100mL以上、0.50g/100mL以上、0.55g/100mL以上、0.60g/100mL以上、又は0.65g/100mL以上であってよい。ビールテイスト飲料の糖質含有量は、例えば、使用する原料の種類及び量を調整することによって、調整することができる。
本実施形態に係るビールテイスト飲料のアルコール度数は、6.0v/v%以上である。本実施形態に係るビールテイスト飲料のアルコール度数は、例えば、6.5v/v%以上、又は7.0v/v%以上であってよい。また、本実施形態に係るビールテイスト飲料のアルコール度数は、例えば、20.0v/v%以下、15.0v/v%以下、12.0v/v%以下、11.0v/v%以下、10.0v/v%以下、9.5v/v%以下、9.0v/v%以下、8.5v/v%以下、又は8.0v/v%以下であってよい。
本実施形態に係るビールテイスト飲料のアルコール度数は、例えば、6.0v/v%以上12.0v/v%以下であってよく、6.0v/v%以上10.0v/v%以下であってよく、6.0v/v%以上9.5v/v%以下であってよく、6.0v/v%以上9.0v/v%以下であってよい。原料中の麦芽比率、及び糖質含有量が上記所定の範囲内にあると共に、アルコール度数が6.0v/v%以上9.5v/v%以下の範囲内にあると、熟成様の立ち香を伴った味わいに優れることに加えて、更に後味の炭酸感にも優れるビールテイスト飲料になる。
本実施形態に係るビールテイスト飲料の乳酸含有量は、例えば、100mg/L以上400mg/L以下であってよい。本実施形態に係るビールテイスト飲料の乳酸含有量は、例えば、125mg/L以上、150mg/L以上、175mg/L以上、200mg/L以上、225mg/L以上、250mg/L以上、又は275mg/L以上であってよい。本実施形態に係るビールテイスト飲料の乳酸含有量はまた、例えば、375mg/L以下、350mg/L以下、又は325mg/L以下であってよい。
ビールテイスト飲料の乳酸含有量は、例えば、使用する原料の種類及び量を調整すること、発酵条件を調整することによって、調整することができる。また、乳酸を添加して乳酸含有量を調整してもよい。ビールテイスト飲料の乳酸含有量は、HPLC(高速液体クロマトグラフィー)により測定することができる。
本実施形態に係るビールテイスト飲料のリナロール含有量は、例えば、0.4μg/L以上50μg/L以下であってよい。本実施形態に係るビールテイスト飲料のリナロール含有量は、例えば、0.5μg/L以上、0.6μg/L以上、0.7μg/L以上、0.8μg/L以上、0.9μg/L以上、1.0μg/L以上、又は2.0μg/L以上であってよい。本実施形態に係るビールテイスト飲料のリナロール含有量はまた、例えば、45μg/L以下、40μg/L以下、35μg/L以下、30μg/L以下、25μg/L以下、又は20μg/L以下であってよい。
リナロールはホップに含まれる成分である。ビールテイスト飲料のリナロール含有量は、例えば、ホップの種類、使用量、添加タイミング等を調整することによって、調整することができる。ホップとは別にリナロールを添加してリナロール含有量を調整してもよい。
ビールテイスト飲料のリナロール含有量は、SPME-GC-MS法で測定することができる。当該方法では、標準添加法を用いることが好ましい。測定に際し、夾雑物質の影響を受ける場合、及び/又は感度が不足する場合には、ファイバーの種類、吸着温度、吸着時間、カラムの種類等の条件を適宜変更するか、または、GC/MS/MS又は2次元GC-MSを用いることが好ましい。
本実施形態に係るビールテイスト飲料は、原料中の麦芽比率が50重量%以上66重量%以下である。原料中の麦芽比率は、ホップ及び水以外の原料に含まれる麦芽の比率である。
麦芽は麦を発芽させることにより得られる。麦としては、例えば、大麦、小麦、ライ麦、カラス麦、オート麦、ハト麦、エン麦等が挙げられる。
本実施形態に係るビールテイスト飲料は、原料として麦芽以外の麦原料を含んでいてよい。麦芽以外の麦原料としては、例えば、大麦、小麦、ライ麦、カラス麦、オート麦、ハト麦、エン麦等の麦;麦エキス等の麦加工物等が挙げられる。麦エキスは、麦から糖分及び窒素分を含む麦エキスを抽出することにより得られる。
ビールテイスト飲料の原料としては、麦原料以外の原料として副原料を用いてもよい。副原料としては、コーン、コーンスターチ、コーングリッツ、米、こうりゃん等の澱粉原料、液糖、砂糖等の糖質原料が挙げられる。ビールテイスト飲料の原料として、酒税法の第三条第十二号ロに記載の政令で定める果実及び香味料を更に含んでいてもよい。これらの原料を含有する場合、上記果実及び香味料の含有量は、麦芽100重量部に対して、5重量部未満であることが好ましい。
本実施形態に係るビールテイスト飲料は、副原料としてタンパク質分解物を用いてもよい。タンパク質分解物は、動物又は植物に由来するタンパク質の分解物であってよい。タンパク質分解物は、タンパク質の加水分解(例えば、酸、酵素等による加水分解)によって得られる。タンパク質分解物としては、例えば、小麦タンパク質分解物、大豆タンパク質分解物、とうもろこしタンパク質分解物、乳タンパク質分解物、エンドウタンパク質分解物等が挙げられる。タンパク質分解物には、ペプチド、タンパク質、アミノ酸等が含まれている。タンパク質分解物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本実施形態に係るビールテイスト飲料は、飲料に通常配合される酸味料、着色料、甘味料、高甘味度甘味料、酸化防止剤、香料、塩類等の添加剤を含んでいてもよい。酸味料としては、例えば、クエン酸、リンゴ酸、リン酸、コハク酸、酒石酸、酢酸等を挙げることができる。着色料としては、例えば、カラメル色素、クチナシ色素、果汁色素、野菜色素、合成色素等を挙げることができる。甘味料としては、例えば、果糖ぶどう糖液糖、グルコース、ガラクトース、マンノース、フルクトース、ラクトース、スクロース、マルトース、グリコーゲン、デンプン等を挙げることができる。高甘味度甘味料としては、例えば、ネオテーム、アセスルファムK、スクラロース、サッカリン、サッカリンナトリウム、リチルリチン酸二ナトリウム、チクロ、ズルチン、ステビア、グリチルリチン、ソーマチン、モネリン、アスパルテーム、アリテーム等を挙げることができる。酸化防止剤としては、例えば、ビタミンC、ビタミンE、ポリフェノール等を挙げることができる。塩類としては、例えば、食塩、酸性りん酸カリウム、酸性りん酸カルシウム、りん酸アンモニウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、メタ重亜硫酸カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、硝酸カリウム、硫酸アンモニウム等を挙げることができる。これらの添加剤は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
本実施形態に係るビールテイスト飲料の苦味価(BU)は、例えば、1~50であってよく、40.0未満、30.0未満、20.0未満、10.0未満、5.0未満、4.5以下、4.0以下、3.5以下、3.0以下、2.5以下、2.0以下、1.5以下、1.0以下、0.5以下又は0であってよく、0.5以上、1.0以上、1.5以上、2.0以上、2.5以上、3.0以上、5.0以上、10.0以上、15.0以上、20.0以上又は30.0以上であってよい。
苦味価は、例えば、改訂BCOJビール分析法(公益財団法人日本醸造協会発行、ビール酒造組合国際技術委員会〔分析委員会〕編集、2013年増補改訂)の「8.15 苦味価」に記載されている方法によって測定することができる。苦味価は、例えば、原料の種類及び使用量を調整することにより、上記範囲で適宜設定することができる。
本実施形態に係るビールテイスト飲料は、発酵飲料(ビールテイスト発酵飲料)であってもよく、非発酵飲料(ビールテイスト非発酵飲料)であってもよい。発酵飲料は、酵母等による発酵を経て製造されるものである。非発酵飲料は、酵母等による発酵を行わずに製造されるものである。なお、非発酵飲料には、酵母等による発酵を行わず、アルコール(例えば、原料用アルコール、スピリッツ、ウォッカ等の蒸留アルコール)を配合して製造されるビールテイスト飲料も含まれる。
本実施形態に係るビールテイスト飲料は、非発泡性であってもよく、発泡性であってもよい。ここで、非発泡性とは、20℃におけるガス圧が0.049MPa(0.5kg/cm)未満であることをいい、発泡性とは、20℃におけるガス圧が0.049MPa(0.5kg/cm)以上であることをいう。発泡性とする場合、ガス圧の上限は0.294MPa(3.0kg/cm)程度としてもよい。
本実施形態に係るビールテイスト飲料は、容器に入れて提供することができる。容器は密閉できるものであればよく、金属製(アルミニウム製又はスチール製など)のいわゆる缶容器又は樽容器を適用することができる。また、容器は、ガラス容器、ペットボトル容器、紙容器、パウチ容器等を適用することもできる。容器の容量は特に限定されるものではなく、現在流通しているどのようなものも適用することができる。なお、気体、水分及び光線を完全に遮断し、長期間常温で安定した品質を保つことが可能な点から、金属製の容器を適用することが好ましい。
本実施形態に係るビールテイスト飲料は、麦芽比率が50重量%以上66重量%以下である原料を用い、糖質含有量が0.50g/100mL以上1.40g/100mL以下であり、アルコール度数が6.0v/v%以上となるように調整すること以外は、常法に従って製造することができる。本実施形態に係る製造方法は、例えば、仕込工程及び発酵工程を備える。
仕込工程では、原料及び仕込水(仕込工程で使用される水)を用いて、発酵前液を得る。つまり、仕込工程は、発酵に用いられる発酵前液を調製する工程である。仕込工程は、糖含有液を煮沸する煮沸工程、原料液中の固形分を除去する除去工程、原料液を冷却する冷却工程をこの順に含んでいてよい。
煮沸工程では、糖含有液を煮沸して煮沸後液(煮沸後の糖含有液)を得る。糖含有液とは、酵母によるアルコール発酵が可能な成分を含有するものである。糖含有液としては、例えば、麦汁、シロップが挙げられる。麦汁とは、上述の麦原料の糖化を経て得られる液であり、未発酵のものである。麦汁は、例えば、上述の麦原料等の原料と水とを混合する工程、原料と水とを含む液を常法により糖化して糖化液を得る工程、及び糖化液をろ過する工程を経て得ることができる。
煮沸工程では、原料液(糖含有液)にホップを添加してもよい。添加するホップとしては、例えば、乾燥ホップ、ホップペレット、ホップエキスを用いることができる。ホップは、ローホップ、ヘキサホップ、テトラホップ、イソ化ホップエキス等のホップ加工品であってもよい。
除去工程では、煮沸後液中の固形分を除去して精製液を得る。除去工程は、例えば、煮沸後液に含まれる不溶性の固形分を沈殿させることにより行うことができる。固形分としては、煮沸工程により生じた熱凝固物、煮沸工程でホップを添加した場合には、ホップのかす等が挙げられる。除去工程は、ワールプール中で実施してよい。冷却工程では、酵母による発酵が可能な温度まで精製液を冷却して発酵前液を得る。
本実施形態に係る製造方法では、仕込工程において酵素を添加してもよい。この場合、原料中の糖質を酵母が資化可能な糖へ分解する反応を促進することができる。仕込工程で添加される酵素としては、例えば、α-アミラーゼ、β-アミラーゼ、プルラナーゼ、グルコアミラーゼ、α-グルコシダーゼ、イソアミラーゼ、セルラーゼ(β-グルカナーゼを含む)、ヘミセルラーゼ等の多糖分解酵素、プロテアーゼ等のタンパク質分解酵素等が挙げられる。酵素は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。酵素の添加量は、例えば、麦芽の総量に対して0.001重量%以上、0.01重量%以上、0.05重量%以上、0.1重量%以上、0.5重量%以上、1.0重量%以上又は2.0重量%以上であってよく、5.0重量%以下、3.0重量%以下、1.0重量%以下、0.5重量%以下、0.4重量%以下、0.3重量%以下又は0.1重量%以下であってよい。
発酵工程では、発酵前液を酵母により発酵させて発酵後液を得る。発酵工程では、酵母を添加してアルコール発酵が行われる。より具体的には、発酵前液に酵母を接種して発酵させ、酵母により生成するアルコールを含む発酵後液を得る。
本実施形態に係る製造方法では、発酵工程後の発酵後工程として、発酵後液をろ過する工程を備えていてもよい。ろ過工程を実施することにより、発酵後液から不溶性の固形分、酵母等を除去することができる。
本実施形態に係る製造方法では、他の発酵後工程として、発酵後液(又はろ過工程後の発酵後液)に対して加熱(殺菌)、各種添加剤(例えば、着色料、酸化防止剤、酸味料、苦味料、香料)の添加、アルコールの添加、カーボネーション等を行ってもよい。発酵後工程で添加するアルコールとしては、例えば、スピリッツを用いることができる。
ビールテイスト飲料が非発酵飲料(ビールテイスト非発酵飲料)である場合は、上記発酵工程を行うことなく製造してもよい。
他の実施形態における製造方法は、例えば、原料を原料タンクに配合する配合工程を含む。原料としては、例えば、水、及び麦芽等のその他原料、並びに必要に応じて、蒸留アルコール及び各種添加剤(例えば、着色料、酸化防止剤、酸味料、苦味料、香料等)が使用される。
本実施形態に係る製造方法は、配合工程において各成分を混合して得た混合液をろ過するろ過工程と、ろ過工程でろ過したろ過液を殺菌する第一の殺菌工程と、第一の殺菌工程で殺菌した殺菌済みのろ過液をビン、缶、ビン、ペットボトル等の容器に充填する充填工程と、充填工程で容器に充填されたろ過液を容器ごと殺菌する第二の殺菌工程と、を更に含んでいてもよい。
配合工程は、各成分がよく混ざるよう、撹拌機等により撹拌しながら混合してもよい。また、ろ過工程は、一般的なフィルター又はストレーナーによって行うことができる。第一の殺菌工程は、処理速度等の観点から、プレート殺菌によって行ってもよく、同様の処理を行うことができるのであれば、これに限定されることなく適用可能である。充填工程は、飲料品の製造において通常行われる程度にクリーン度を保ったクリーンルームにて充填してもよい。第二の殺菌工程は、所定の温度及び所定の時間でろ過液を容器ごと加熱することにより行うことができる。第二の殺菌工程を行わない無殺菌充填を行うことも可能である。また、発泡性の飲料とする場合は、例えば、第一の殺菌工程と充填工程の間でカーボネーションを行うとよい。
以下、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
〔試験例1:ビールテイスト飲料の調製及び評価〕
麦芽(原料中の麦芽比率52重量%)、液糖、ホップ及び多糖分解酵素を用いて常法により、発酵前液を得た。発酵前液にビール酵母を添加して発酵させ、発酵後液を得た。発酵後液を濾過し、実施例6のビールテイスト飲料を得た。次いで、実施例6のビールテイスト飲料を水で希釈して、比較例1及び実施例1~5のビールテイスト飲料を得た。
得られたビールテイスト飲料中の糖質含有量は、以下の方法で測定した。まず、測定サンプルの水分、アルコール分、タンパク質、灰分の量をそれぞれ測定した。水分とアルコール分は常圧加熱乾燥法により測定した。タンパク質量は、改良デュマ法による全窒素(タンパク質)の定量法により測定した。灰分量は、直接灰化法により測定した。測定サンプル中の脂質量を0g/100mlとみなし、測定サンプルの重量から、水分、アルコール分、タンパク質量、灰分量及び食物繊維量を引いた値を測定サンプルの糖質量(g/100ml)として算定した。
得られたビールテイスト飲料中の乳酸含有量は、HPLCにより測定した。具体的には、分取したビールテイスト飲料を適宜希釈してフィルターろ過したものを測定サンプルとし、有機酸分析システム(島津製作所社製)を用いて乳酸含有量を測定した。
得られたビールテイスト飲料中のリナロール含有量は、固相マイクロ抽出-質量分析計付きガスクロマトグラフィー(Solid Phase MicroExtraction-Gas Chromatography-Mass Spectrometry:SPME-GC-MS)法により測定した。
<官能評価>
得られたビールテイスト飲料に対して、「熟成様の立ち香を伴った味わい」及び「後味の炭酸感」の評価項目について、官能評価を実施した。官能評価は、選抜された識別能力のあるパネル3名により実施した。各評価項目は、いずれも評点1~5の5段階で評価し、その平均値を評価スコアとした。結果を表1に示す。
「熟成様の立ち香を伴った味わい」は、エステル香及びアルコール的な香りが混じり合い熟成香のような複雑な立ち香を感じると共に複雑な味わいを感じる感覚であり、評点が高いほど好ましい熟成様の立ち香を伴った味わいを感じることを示す。「後味の炭酸感」は、トップの味わいがマイルドであるにも関わらず、炭酸水を飲んでいるような(スムース/キレる)後味であり、評点が高いほど好ましい後味の炭酸感を感じることを示す。なお、いずれの評価項目も、比較例1のビールテイスト飲料の評点を2点として固定し、これを基準として他のビールテイスト飲料を評価した。
Figure 0007470512000001
実施例1~6のビールテイスト飲料は、比較例1のビールテイスト飲料と比べて、熟成様の立ち香を伴った味わいが優れていた。また、実施例1~4のビールテイスト飲料は、比較例1のビールテイスト飲料と比べて、熟成様の立ち香を伴った味わいが優れていたことに加えて、更に後味の炭酸感が優れていた。
〔試験例2:ビールテイスト飲料の調製及び評価〕
麦芽、液糖、ホップ及び多糖分解酵素を用いて常法により、発酵前液を得た。なお、原料中の麦芽比率40重量%、65重量%又は100重量%となるように麦芽及び液糖の添加量を調整した。発酵前液にビール酵母を添加して発酵させ、発酵後液を得た。発酵後液を濾過し、実施例7及び比較例2~3のビールテイスト飲料を得た。
得られたビールテイスト飲料中の糖質含有量、乳酸含有量及びリナロール含有量は、試験例1と同様にして測定した。
得られたビールテイスト飲料に対して、官能評価を実施した。官能評価の手順は試験例1と同様である。また、比較例1のビールテイスト飲料の評点を2点として固定し、これを基準として他のビールテイスト飲料を評価した点も試験例1と同様である。結果を表2に示す。
Figure 0007470512000002
実施例2及び7のビールテイスト飲料は、熟成様の立ち香を伴った味わい、及び後味の炭酸感共に優れていた。
〔試験例3:ビールテイスト飲料の調製及び評価〕
実施例7のビールテイスト飲料に乳酸を添加して、実施例8~11のビールテイスト飲料を得た。
得られたビールテイスト飲料に対して、官能評価を実施した。官能評価の手順は試験例1と同様である。また、比較例1のビールテイスト飲料の評点を2点として固定し、これを基準として他のビールテイスト飲料を評価した点も試験例1と同様である。結果を表3に示す。
Figure 0007470512000003
実施例7~11のビールテイスト飲料は、熟成様の立ち香を伴った味わい、及び後味の炭酸感共に優れていた。
〔試験例4:ビールテイスト飲料の調製及び評価〕
実施例9のビールテイスト飲料にリナロールを添加して、実施例12~15のビールテイスト飲料を得た。
得られたビールテイスト飲料に対して、官能評価を実施した。官能評価の手順は試験例1と同様である。また、比較例1のビールテイスト飲料の評点を2点として固定し、これを基準として他のビールテイスト飲料を評価した点も試験例1と同様である。結果を表4に示す。
Figure 0007470512000004
実施例9及び12~15のビールテイスト飲料は、熟成様の立ち香を伴った味わい、及び後味の炭酸感共に優れていた。特に実施例9及び12~14のビールテイスト飲料は、これらの効果が顕著に認められた。

Claims (2)

  1. 原料中の麦芽比率が50重量%以上66重量%以下であり、
    糖質含有量が0.50g/100mL以上1.40g/100mL以下であり、
    アルコール度数が6.0v/v%以上10.0v/v%以下であり、
    乳酸含有量が100mg/L以上400mg/L以下であり、
    リナロール含有量が0.4μg/L以上50μg/L以下である、ビールテイスト発酵飲料。
  2. アルコール度数が9.5v/v%以下である、請求項1に記載のビールテイスト発酵飲料。
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