JP2013133863A - クラッチ機構 - Google Patents
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Abstract
【課題】電磁ソレノイドの大型を招くことなく、広い回転速度領域で回転駆動力の伝動を確実に行うクラッチ機構を構成する。
【解決手段】駆動プーリ7の駆動回転力をシャフト3に伝えるクラッチ機構Cを電磁クラッチ部Caと、遠心クラッチ部Cbとで構成した。電磁クラッチ部Caは、電磁ソレノイドSの駆動により、シャフト3に支持されるクラッチディスク12を駆動プーリ7の摩擦部11に圧接させるように構成されている。また、遠心クラッチ部Cbは、クラッチディスク12の回転に伴う遠心力で回転軸芯Xから離間するウェイト部材22と、このウェイト部材22が遠心力により接触するように駆動プーリ7に形成される被接触部24とで構成した。
【選択図】図1
【解決手段】駆動プーリ7の駆動回転力をシャフト3に伝えるクラッチ機構Cを電磁クラッチ部Caと、遠心クラッチ部Cbとで構成した。電磁クラッチ部Caは、電磁ソレノイドSの駆動により、シャフト3に支持されるクラッチディスク12を駆動プーリ7の摩擦部11に圧接させるように構成されている。また、遠心クラッチ部Cbは、クラッチディスク12の回転に伴う遠心力で回転軸芯Xから離間するウェイト部材22と、このウェイト部材22が遠心力により接触するように駆動プーリ7に形成される被接触部24とで構成した。
【選択図】図1
Description
本発明は、クラッチ機構に関し、詳しくは、エンジンの駆動力によってエンジンの冷却水の循環を行うウォータポンプを制御するクラッチ機構の改良に関する。
上記のようにウォータポンプを制御するクラッチ機構として、特許文献1には、ベルトの駆動により駆動回転する駆動回転体(文献ではプーリ)の内部で駆動回転体と同軸芯に従動回転体(文献ではシャフト)を備え、駆動回転体の回転力を従動回転体に伝える構成が示されている。従動回転体の端部にはインペラが備えられ、クラッチ機構によって駆動力を断続することによりウォータポンプを制御できるように構成されている。
また、特許文献1では、従動回転体に外嵌する固定部に板バネが支持され、この板バネの外周部分にアーマチュアとクラッチ板とが備えられ、駆動回転体の内部空間にコイルが備えられている。クラッチ板は駆動回転体の側面に隣接配置され、コイルに通電することによりアーマチュアを駆動回転体の側面に引き寄せ、クラッチ板を駆動回転体の側面に圧接させることで、駆動回転体の駆動回転力を、クラッチ機構を介して従動回転体に伝え、ウォータポンプを駆動するように構成されている。
また、特許文献2にはクラッチ機構として、エンジンからの回転駆動力が伝えられる駆動回転体(文献ではオルタネータプーリ)と一体回転する部位に、ウェイトを半径方向に摺動自在に備え、このウェイトを半径方向内側に付勢する板バネを備え、駆動回転体の回転時にウェイトと接触する摩擦面を有したクラッチ係合部を備えた構成が示されている。このクラッチ機構では駆動回転体の回転速度(角速度)が所定値を越えると板バネの付勢力に抗してウェイトをクラッチ係合部に係合させ、このクラッチ係合部に回転駆動力を伝えるように構成されている。
ウォータポンプを制御するクラッチ機構ではエンジンの冷却水の温度が低い場合にはウォータポンプを駆動する必要はなく、冷却水の温度が設定値を越えた際にクラッチ機構を入り操作してウォータポンプを作動させ、冷却水をラジエータに循環させる制御を行われる。
このように制御により入り操作されるクラッチ機構の具体例として特許文献1に示される構成ではエンジン内に冷却水を循環させる必要がある場合にコイルに対する通電を継続して行う必要があり、省エネルギーの観点から改善の余地がある。また、確実な伝動状態を維持しようとする場合には、コイルの大型化を招くことになる。
これに対して特許文献2に記載されるクラッチ機構では駆動回転体の回転速度の高速化に伴い自動的に入り状態に達し、この入り状態を維持する構成であるため、電磁クラッチのようにコイルを必要としないが、必要とするタイミングで入り状態に切り換えることができず、また、低速回転時には滑りを招くこともあり改善の余地がある。
また、駆動回転体から従動回転体に駆動回転力を伝える場合に、回転速度が低い場合にはクラッチ機構で滑りを発生し難いものであり、かつ、比較的小型の電磁ソレノイドを用いてクラッチ機構を構成した場合にも伝動が可能となる伝動形態を考慮したクラッチ機構の必要性も想像される。
本発明の目的は、電磁ソレノイドの大型化を招くことなく、広い回転速度領域で回転駆動力の伝動を確実に行えるクラッチ機構を合理的に構成する点にある。
本発明の特徴は、回転軸芯を中心にして駆動回転する駆動回転体と、前記回転軸芯と同軸芯で回転自在に支持され、ウォータポンプに回転駆動力を伝える従動回転体と、前記駆動回転体と前記従動回転体とのうちの一方の回転体に相対回転不能に支持されるクラッチ体を、電磁ソレノイドの吸引力により他方の回転体の側に変位させ、前記駆動回転体の回転駆動力を前記従動回転体に摩擦により伝える電磁クラッチ部と、前記駆動回転体と前記従動回転体とのうちの一方の回転体に支持されるウェイト部材を遠心力により前記回転軸芯から離間する方向に変位させ、前記駆動回転体の回転駆動力を前記従動回転体に摩擦により伝える遠心クラッチ部とを備えている点にある。
この構成によると、駆動回転体が低速で回転する際に電磁クラッチ部の電磁ソレノイドの吸引力でクラッチ体を他方の回転体の側に変位させることで駆動回転体の回転駆動力を従動回転体に摩擦により伝えることが可能となり、低速回転であるためクラッチ体と他方の回転体との間に滑りを発生させることもない。尚、低速回転においては遠心クラッチ部を構成するウェイト部材が遠心力で半径方向により外方に変位し、駆動回転体の回転駆動力を従動回転体に摩擦により伝えるが、低速回転では発生する遠心力は小さく、必要とされるトルクは更に小さいため接触部において滑りを招くこともない。また、駆動回転体が高速で回転する際に電磁クラッチ部の電磁ソレノイドの吸引力でクラッチ体を他方の回転体に圧接させた場合には、高速回転であるためクラッチ体に滑りを発生させやすい状況にあるが、遠心クラッチ部を構成するウェイト部材が遠心力で従動回転体等に強く接触するため、接触部において滑りを招くこともない。
特に、この構成では、遠心クラッチ部が伝動状態に達した後には、駆動回転体が回転を継続する限り、伝動状態を維持することになり電磁クラッチ部の電磁ソレノイドの駆動(通電)を停止しても伝動状態を維持することも可能となる。
従って、電磁ソレノイドの大型を招くことなく、低速から高速に亘る広い回転速度領域で回転駆動力の伝動を確実に行えるクラッチ機構が構成された。
特に、この構成では、遠心クラッチ部が伝動状態に達した後には、駆動回転体が回転を継続する限り、伝動状態を維持することになり電磁クラッチ部の電磁ソレノイドの駆動(通電)を停止しても伝動状態を維持することも可能となる。
従って、電磁ソレノイドの大型を招くことなく、低速から高速に亘る広い回転速度領域で回転駆動力の伝動を確実に行えるクラッチ機構が構成された。
本発明は、前記遠心クラッチ部が、前記駆動回転体に対し半径方向に移動自在に支持される前記ウェイト部材と、このウェイト部材が遠心力により前記回転軸芯から離間する方向に変位した際に接触するように前記従動回転体に形成された被接触部とで構成されても良い。
これによると、駆動回転体の回転速度の上昇に伴いウェイト部材が被接触部に接触することになり、この接触により駆動回転体の駆動回転力を従動回転体に伝えることが可能となる。
本発明は、前記遠心クラッチ部が、前記従動回転体に対し半径方向に移動自在に支持される前記ウェイト部材と、このウェイト部材が遠心力により前記回転軸芯から離間する方向に変位した際に接触するように前記駆動回転体に形成された被接触部とで構成されても良い。
これによると、電磁クラッチ部が入り操作されない状況では駆動回転体が回転しても受動回転体は回転せず、遠心クラッチのウェイト部材が被接触部に接触することはない。これに対して電磁クラッチ部が入り操作された場合には、駆動回転体の駆動回転力で従動回転体が回転を開始し、遠心クラッチのウェイト部材が被接触部に接触して駆動回転体の駆動回転力を従動回転体に伝えることが可能となる。
本発明は、前記従動回転体の外周に対し、ディスク状の前記クラッチ体がトルク伝動自在、かつ、前記回転軸芯に沿って移動自在に支持され、前記従動回転体を支持する静止系部材において前記クラッチ体に対向する位置に前記電磁ソレノイドが支持され、前記クラッチ体と前記電磁ソレノイドとの間に前記駆動回転体と一体的に回転する摩擦部が配置され、前記クラッチ体に対して前記ウェイト部材が回転軸芯に対して接近する位置と離間する位置との間で変位自在に支持され、このウェイト部材が遠心力により前記回転軸芯から離間する方向に変位した際に接触する被接触部が前記駆動回転体に形成されても良い。
これによると、駆動回転体が回転する状況で電磁ソレノイドの通電した場合には、クラッチ体が回転軸芯に沿って変位することで駆動回転体の摩擦部に圧接し、駆動回転体の駆動回転力がクラッチ体から従動回転体に伝えられる。また、クラッチ体には変位自在にウェイト部材が支持されているため、クラッチ体の駆動回転に伴いウェイト部材が回転軸芯から離間する方向に変位し、被接触部に接触することで駆動回転体の回転力が遠心クラッチを介して従動回転体に伝えることが可能となる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
〔全体構成〕
図1〜図3には本発明のクラッチ機構Cによって動力の伝動及び遮断が可能なウォータポンプが示されている。このウォータポンプは、乗用車等のエンジン(図示せず)に形成されるポンプハウジング1のボス状部1Aの内周側に滑り軸受5により回転軸芯Xを中心に回転自在に従動回転体としてのシャフト3を支持し、このシャフト3の内端にインペラ4を備えて構成されている。シャフト3とポンプハウジング1との間にはシール2が配置され、ポンプハウジング1のボス状部1Aの外周側のプーリ軸受6により回転軸芯Xを中心にして回転自在に駆動回転体としての駆動プーリ7を備え、この駆動プーリ7とシャフト3との間の伝動系にクラッチ機構Cが配置されている。
〔全体構成〕
図1〜図3には本発明のクラッチ機構Cによって動力の伝動及び遮断が可能なウォータポンプが示されている。このウォータポンプは、乗用車等のエンジン(図示せず)に形成されるポンプハウジング1のボス状部1Aの内周側に滑り軸受5により回転軸芯Xを中心に回転自在に従動回転体としてのシャフト3を支持し、このシャフト3の内端にインペラ4を備えて構成されている。シャフト3とポンプハウジング1との間にはシール2が配置され、ポンプハウジング1のボス状部1Aの外周側のプーリ軸受6により回転軸芯Xを中心にして回転自在に駆動回転体としての駆動プーリ7を備え、この駆動プーリ7とシャフト3との間の伝動系にクラッチ機構Cが配置されている。
エンジン(図示せず)の出力軸に備えた出力プーリ(図示せず)と、駆動プーリ7とに亘って駆動ベルト(図示せず)が巻回され、この駆動ベルトからの駆動力により駆動プーリ7はエンジンの稼動時に常時駆動される。クラッチ機構Cは、冷却水の水温を検出する温度センサ(図示せず)の検出結果を取得する制御装置(図示せず)によって制御される。この制御装置は、エンジンの始動直後のように冷却水の水温が低い(エンジンの暖機が充分でない)ことを判別した場合にはクラッチ機構Cを切り状態(遮断状態)に維持して暖機を促進し、エンジンの温度が適度に高まったことを判別した場合には電磁クラッチ部Caを入り状態(伝動状態)に設定してインペラ4の駆動により冷却水を循環させる制御を実行する。
駆動プーリ7は、外周側の円筒状のベルト巻回部7Aと、このベルト巻回部7Aで取り囲まれる空間(内周側)の中心側位置の筒状部7Bと、ベルト巻回部7A及び筒状部7Bを連結する側壁部7Cとを一体形成した構造を有している。この駆動プーリ7は、筒状部7Bをプーリ軸受6に外嵌する形態でポンプハウジング1に回転自在に支持され、これにより筒状部7Bとシャフト3とが回転軸芯Xを中心にして相対回転自在となる。
駆動プーリ7は、駆動ベルト(図示せず)としてVリブドベルトを用いる構成であるが、Vベルトを使用するため外周にV状の溝を形成した構成でも良く、歯付ベルト(タイミングベルト)を使用するために外周面にギヤ状の凹凸を有した構成であっても良い。
〔クラッチ機構〕
クラッチ機構Cは、電磁ソレノイドSで断続操作される電磁クラッチ部Caと、遠心力により入り状態となる遠心クラッチ部Cbと備えて構成されている。このクラッチ機構Cは、電磁ソレノイドSが駆動されない(電力が供給されない)状態で切り状態を維持し、電磁ソレノイドSが駆動されることで電磁クラッチ部Caが入り状態に達し、この入り状態への移行をトリガーとして遠心クラッチ部Cbが入り状態に切り換わるように構成されている。
クラッチ機構Cは、電磁ソレノイドSで断続操作される電磁クラッチ部Caと、遠心力により入り状態となる遠心クラッチ部Cbと備えて構成されている。このクラッチ機構Cは、電磁ソレノイドSが駆動されない(電力が供給されない)状態で切り状態を維持し、電磁ソレノイドSが駆動されることで電磁クラッチ部Caが入り状態に達し、この入り状態への移行をトリガーとして遠心クラッチ部Cbが入り状態に切り換わるように構成されている。
〔クラッチ機構:電磁クラッチ部〕
電磁クラッチ部Caは、前述した電磁ソレノイドSと、駆動プーリ7に一体形成された摩擦部11を備えると共に、シャフト3と一体回転する回転ディスク10と、この回転ディスク10の嵌合筒部10Aに支持されるクラッチ体としてのクラッチディスク12と、このクラッチディスク12を摩擦部11から離間させる方向に付勢する中立スプリング13とを備えて構成されている。この摩擦部11において電磁ソレノイドSに対向する部位には複数の貫通孔11Aが形成され、電磁ソレノイドSが駆動された際には、貫通孔11Aの外周部位からの磁束をクラッチディスク12に作用させるように構成されている。
電磁クラッチ部Caは、前述した電磁ソレノイドSと、駆動プーリ7に一体形成された摩擦部11を備えると共に、シャフト3と一体回転する回転ディスク10と、この回転ディスク10の嵌合筒部10Aに支持されるクラッチ体としてのクラッチディスク12と、このクラッチディスク12を摩擦部11から離間させる方向に付勢する中立スプリング13とを備えて構成されている。この摩擦部11において電磁ソレノイドSに対向する部位には複数の貫通孔11Aが形成され、電磁ソレノイドSが駆動された際には、貫通孔11Aの外周部位からの磁束をクラッチディスク12に作用させるように構成されている。
回転ディスク10は円板状のディスク本体の中心側に嵌合筒部10Aを形成した構造を有しており、嵌合筒部10Aがシャフト3に外嵌固定されている。クラッチディスク12は、ディスク状であり、中心側の孔状部を回転ディスク10の嵌合筒部10Aに対してスプライン嵌合等の構造により、トルク伝動自在、かつ、回転軸芯Xに沿って移動自在に外嵌支持されている。クラッチディスク12は、鉄材やニッケ合金材等の磁性体材料で構成されている。中立スプリング13は摩擦部11からクラッチディスク12を離間させる方向に付勢力を作用させる。
電磁ソレノイドSは、ポンプハウジング1のボス状部1Aに対して回転軸芯Xと同軸芯で環状に形成される環状溝に嵌め込まれたコイル15を備えて構成されている。この構成では、コイル15が巻き付けられるボビン状の部材を鉄材やニッケ合金材等の磁性体材料で構成しているが、コイル15を磁性体で成るヨークに嵌め込み、このヨークをボス状部1Aに支持するように電磁ソレノイドSを構成しても良い。
〔クラッチ機構:遠心クラッチ部〕
遠心クラッチ部Cbは、前述した回転ディスク10に対して半径方向に沿う姿勢で備えられたガイド部材21と、このガイド部材21に沿ってアリ溝により移動自在(回転ディスク10の半径方向に沿って移動自在)に支持された複数のウェイト部材22と、ウェイト部材22を回転軸芯Xの方向に引き寄せる付勢力を作用させる保持スプリング23と、ウェイト部材22が遠心力で回転軸芯Xから離間する方向に変位した際に接触するように駆動プーリ7に形成された環状の被接触部24とで構成されている。
遠心クラッチ部Cbは、前述した回転ディスク10に対して半径方向に沿う姿勢で備えられたガイド部材21と、このガイド部材21に沿ってアリ溝により移動自在(回転ディスク10の半径方向に沿って移動自在)に支持された複数のウェイト部材22と、ウェイト部材22を回転軸芯Xの方向に引き寄せる付勢力を作用させる保持スプリング23と、ウェイト部材22が遠心力で回転軸芯Xから離間する方向に変位した際に接触するように駆動プーリ7に形成された環状の被接触部24とで構成されている。
ウェイト部材22は、被接触部24との接触面を、被接触部24の内周面に沿う円弧状に成形している。シャフト3が回転しない状態では保持スプリング23の付勢力によりウェイト部材22が被接触部24に接触しない位置に保持される。また、シャフト3が回転する状態ではウェイト部材22が保持スプリング23の付勢力に抗して被接触部24に接触する位置へ変位する。つまり、クラッチディスク12の回転速度が設定値を越えた場合にウェイト部材22に作用する遠心力により、このウェイト部材22の外方への変位を許すように保持スプリング23の付勢力が設定されている。
〔作動形態〕
このような構成から、電磁ソレノイドSが駆動されない状態では、図1に示すようにクラッチディスク12が摩擦部11から離間し電磁クラッチ部Caは切り状態にある。また、この状態では、図3(a)に示すようにウェイト部材22が被接触部24の内面から離間し遠心クラッチ部Cbは切り状態にある。そして、駆動プーリ7が駆動回転する状態で電磁ソレノイドSを駆動した場合には、図2に示すように電磁ソレノイドSにクラッチディスク12が引き寄せられ、このクラッチディスク12が摩擦部11に圧接して電磁クラッチ部Caが入り状態に達し、駆動プーリ7の回転駆動力が摩擦部11からクラッチディスク12に伝えられシャフト3の回転が開始される。
このような構成から、電磁ソレノイドSが駆動されない状態では、図1に示すようにクラッチディスク12が摩擦部11から離間し電磁クラッチ部Caは切り状態にある。また、この状態では、図3(a)に示すようにウェイト部材22が被接触部24の内面から離間し遠心クラッチ部Cbは切り状態にある。そして、駆動プーリ7が駆動回転する状態で電磁ソレノイドSを駆動した場合には、図2に示すように電磁ソレノイドSにクラッチディスク12が引き寄せられ、このクラッチディスク12が摩擦部11に圧接して電磁クラッチ部Caが入り状態に達し、駆動プーリ7の回転駆動力が摩擦部11からクラッチディスク12に伝えられシャフト3の回転が開始される。
また、クラッチディスク12と一体的に回転ディスク10が駆動回転することにより、この駆動回転と伴にウェイト部材22が回転し、図3(b)に示すように遠心力の作用によりウェイト部材22が保持スプリング23の付勢力に抗して回転軸芯Xから離間する方向に変位する。この変位により、ウェイト部材22が被接触部24の内面に圧接し遠心クラッチ部Cbは入り状態に達する。これにより、駆動プーリ7とシャフト3とが一体回転する状態(クラッチ機構Cの入り状態)となる。
つまり、電磁ソレノイドSを駆動することで、電磁クラッチ部Caが入り状態に達し、これがトリガーとなり、駆動プーリ7の回転駆動力をシャフト3に伝え、シャフト3の回転により遠心クラッチ部Cbが入り状態に達し、この遠心クラッチ部Cbにより駆動プーリ7の回転駆動力をシャフト3に対して確実に伝えるように構成されている。
また、この構成では、例えば、電磁クラッチ部Caの電磁ソレノイドSの容量が小さく電磁クラッチ部Caが入り状態に達した場合にクラッチディスク12と摩擦部11との間に滑りを招くものであっても、遠心クラッチ部Cbのウェイト部材22が被接触部24に接触して伝動を行うため滑りを招くことのなくクラッチ機構Cを入り状態に維持できる。
更に、駆動プーリ7が高速回転するほど遠心クラッチ部Cbのウェイト部材22が被接触部24に強く接触するため、この遠心クラッチ部Cbにおいて確実な伝動を実現する。そして、このように遠心クラッチ部Cbが伝動状態に達した後には、電磁ソレノイドSの駆動を停止した状態でもクラッチ機構Cによる伝動状態を維持できるため、電磁ソレノイドSに電力を供給しなくて済む。
〔別実施形態〕
本発明は、上記した実施形態以外に以下のように構成しても良い(この別実施形態では前記実施形態と同じ機能を有するものには、前記実施形態と共通の番号、符号を付している)。
本発明は、上記した実施形態以外に以下のように構成しても良い(この別実施形態では前記実施形態と同じ機能を有するものには、前記実施形態と共通の番号、符号を付している)。
(a)図4に示すように、ポンプハウジング1に備えた電磁ソレノイドSと、シャフト3に対してスプライン嵌合により支持されたクラッチディスク12と、駆動プーリ7に備えた摩擦部11とを備えて電磁クラッチ部Caを構成する。また、駆動プーリ7と一体回転する部材に半径方向に沿う姿勢のガイド部材21を備え、このガイド部材21に対してスライド移動自在にウェイト部材22を備え、シャフト3と一体回転する円筒状の被接触部24を備えて遠心クラッチ部Cbを構成する。
このように構成したクラッチ機構Cは、駆動プーリ7が駆動回転する場合には、遠心クラッチ部Cbのウェイト部材22が被接触部24に接触することで、シャフト3に回転駆動力を伝える。また、電磁クラッチ部Caの電磁ソレノイドSを駆動することにより摩擦部11にクラッチディスク12を圧接させて駆動プーリ7の回転駆動力をシャフト3に伝える。
つまり、別実施形態(a)では、駆動プーリ7が低速で回転する場合のように遠心クラッチ部Cbでの伝動が充分に行えない場合には、電磁クラッチ部Caを入り状態に設定することで駆動プーリ7の回転駆動力をシャフト3に伝えることが可能となり、高速回転時には遠心クラッチ部Cbが自然に入り状態に移行して駆動プーリ7の回転駆動力をシャフト3に伝えることが可能となる。
(b)図5に示すように、実施形態に示した回転ディスク10に対し、回転軸芯Xと平行姿勢となる揺動軸31を中心にして揺動自在に支持アーム32備え、この支持アーム32の揺動端に回転軸芯Xと平行姿勢の支持軸33を介してウェイト部材22を備え、ウェイト部材22を回転軸芯に近接させる付勢力を作用させる中立スプリング13を備えて遠心クラッチ部Cbを構成しても良い。
この別実施形態(c)の構成の遠心クラッチ部Cbでは、クラッチディスク12が回転した場合には、回転駆動力に伴う遠心力で支持アーム32を揺動させる形態でウェイト部材22を回転軸芯Xから離間する方向に変位し、このウェイト部材22を被接触部24に接触させる形態で回転駆動力の伝動が実現する。
本発明は、ウォータポンプの駆動を電磁式に制御するクラッチ機構に利用することができる。
3 従動回転体(シャフト)
7 駆動回転体(駆動プーリ)
11 摩擦部
12 クラッチ体(クラッチディスク)
22 ウェイト部材
24 被接触部
Ca 電磁クラッチ部
Cb 遠心クラッチ部
S 電磁ソレノイド
X 回転軸芯
7 駆動回転体(駆動プーリ)
11 摩擦部
12 クラッチ体(クラッチディスク)
22 ウェイト部材
24 被接触部
Ca 電磁クラッチ部
Cb 遠心クラッチ部
S 電磁ソレノイド
X 回転軸芯
Claims (4)
- 回転軸芯を中心にして駆動回転する駆動回転体と、
前記回転軸芯と同軸芯で回転自在に支持され、ウォータポンプに回転駆動力を伝える従動回転体と、
前記駆動回転体と前記従動回転体とのうちの一方の回転体に相対回転不能に支持されるクラッチ体を、電磁ソレノイドの吸引力により他方の回転体の側に変位させ、前記駆動回転体の回転駆動力を前記従動回転体に摩擦により伝える電磁クラッチ部と、
前記駆動回転体と前記従動回転体とのうちの一方の回転体に支持されるウェイト部材を遠心力により前記回転軸芯から離間する方向に変位させ、前記駆動回転体の回転駆動力を前記従動回転体に摩擦により伝える遠心クラッチ部とを備えているクラッチ機構。 - 前記遠心クラッチ部が、前記駆動回転体に対し半径方向に移動自在に支持される前記ウェイト部材と、このウェイト部材が遠心力により前記回転軸芯から離間する方向に変位した際に接触するように前記従動回転体に形成された被接触部とで構成されている請求項1記載のクラッチ機構。
- 前記遠心クラッチ部が、前記従動回転体に対し半径方向に移動自在に支持される前記ウェイト部材と、このウェイト部材が遠心力により前記回転軸芯から離間する方向に変位した際に接触するように前記駆動回転体に形成された被接触部とで構成されている請求項1記載のクラッチ機構。
- 前記従動回転体の外周に対し、ディスク状の前記クラッチ体がトルク伝動自在、かつ、前記回転軸芯に沿って移動自在に支持され、前記従動回転体を支持する静止系部材において前記クラッチ体に対向する位置に前記電磁ソレノイドが支持され、前記クラッチ体と前記電磁ソレノイドとの間に前記駆動回転体と一体的に回転する摩擦部が配置され、
前記クラッチ体に対して前記ウェイト部材が回転軸芯に対して接近する位置と離間する位置との間で変位自在に支持され、このウェイト部材が遠心力により前記回転軸芯から離間する方向に変位した際に接触する被接触部が前記駆動回転体に形成されている請求項1記載のクラッチ機構。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2011284009A JP2013133863A (ja) | 2011-12-26 | 2011-12-26 | クラッチ機構 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2011284009A JP2013133863A (ja) | 2011-12-26 | 2011-12-26 | クラッチ機構 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2013133863A true JP2013133863A (ja) | 2013-07-08 |
Family
ID=48910712
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2011284009A Pending JP2013133863A (ja) | 2011-12-26 | 2011-12-26 | クラッチ機構 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2013133863A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2019512653A (ja) * | 2017-01-09 | 2019-05-16 | 山東理工大学 | ブラシレスのドライブバイワイヤによる遠心ボールアーム接合装置付きの自動車6速自動変速機 |
WO2020008738A1 (ja) * | 2018-07-05 | 2020-01-09 | 株式会社椿本チエイン | ツーウェイクラッチ |
KR102188166B1 (ko) * | 2019-09-30 | 2020-12-07 | 현대자동차주식회사 | 워터펌프-쿨링팬 조립체 및 그의 제어방법 |
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2011
- 2011-12-26 JP JP2011284009A patent/JP2013133863A/ja active Pending
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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