JP2013133519A - 温間成形用高強度熱延鋼板およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】引張強さTS:780MPa以上で、温間成形性に優れた高強度熱延鋼板およびその製造方法を提供する。
【解決手段】質量%で、C:0.03〜0.16%、Si:0.1%以下、Mn:1.3%以下、P:0.03%以下、S:0.005%以下、Al:0.1%以下、N:0.01%以下、Ti:0.14〜0.25%を、次式2.00≧(C/12)/(Ti/48+V/51+W/184+Mo/96+Nb/93+Zr/91+Hf/179)≧1.05を満足するように含有する組成を有し、金属組織が面積率で95%以上のフェライト相からなり、かつフェライトの平均結晶粒径が1μm以上で、該フェライト結晶粒中に、平均粒子径が10nm以下の炭化物を分散析出させた組織とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、温間成形用高強度熱延鋼板に係り、とくに400℃以上700℃以下の温度域での温間成形用として好適な、温間成形性に優れた高強度熱延鋼板およびその製造方法に関する。なお、ここでいう「高強度熱延鋼板」とは、室温での引張強さ(TS)が780MPa以上を有する熱延鋼板をいう。
近年、自動車業界においては、地球環境の保全という観点から、炭酸ガスCO2排出量を削減すべく、自動車の燃費を改善することが常に重要な課題となってきた。自動車の燃費向上には、自動車車体の軽量化を図ることが有効であるが、自動車車体の強度を維持しつつ車体の軽量化を図る必要がある。自動車部品用素材となる鋼板を高強度化し、素材を薄肉化すれば、自動車車体としての強度を低下することなく、車体の軽量化が達成できる。このようなことから、最近では、これら自動車部品用素材に対し、高強度化の要望が非常に強くなり、これらの自動車部品用素材への高強度薄鋼板の適用が増加している。
自動車部品の多くは、鋼板をプレス等により所望の形状に成形されて製造される。しかし、使用する鋼板が高強度化されるほど、成形された部品のスプリングバック量が増加し形状凍結性が低下したり、金型への負荷が増大し金型寿命が低下したり、あるいは割れ、ネッキング、しわの発生等、製品の不具合が多発するという問題が生じる。
たとえば、室温における降伏比が0.85以上でかつ引張強さが780MPa以上である高強度熱延鋼板は、非常に優れた衝撃吸収能を有し、自動車部品用素材として有用な鋼板であるが、部品への成形に際し、冷間成形では形状凍結性が低く、スプリングバックが発生し、所望の形状に成形することが極めて困難となる。また、高強度のままの鋼板に成形加工を施すため、金型への負荷が大きくなり、金型寿命が短くなるなどの問題があった。
このような問題に対して、例えば特許文献1には、熱間成形加工後の硬化能および衝撃特性に優れた鋼板が記載されている。特許文献1に記載された技術では、C:0.20〜0.35%、Si:0.01〜1.0%、Mn:0.3〜2.0%、Al:0.01〜0.10%、Ni:1%超〜5%、Ti:0.005〜0.1%、B:0.0005〜0.005%、N:0.001〜0.01%を含み、かつTiとNおよびAlとNの関係が特定な関係を満足するように含有し、さらにC、Si、Mn、NI、Cr、Cu、S、Pが特定な関係を満足するように調整して含有する鋼板とし、熱間加工後の硬化能、衝撃特性を向上させている。このような組成を有する鋼板を、オーステナイト領域に加熱したのち、金型を用いて、Ar3変態点以上の温度で成形加工を開始し、加工と同時に金型で抜熱することにより急速冷却し、マルテンサイト変態させて硬化させて、高強度で、衝撃特性に優れた部品とするとしている。
また、特許文献2には、温間成形用高張力鋼板が記載されている。特許文献2に記載された鋼板は、C:0.02〜0.20%、Si:0.5〜2.0%、Mn:0.5〜2.5%、sol.Al:0.15〜1.2%、N:0.020%以下で、かつSi+sol.Al:1.2%以上を満足する組成と、体積%で10%以上のベイナイト相を含有し、パーライトとマルテンサイト相の合計が体積%で10%以下で、残部がフェライト相である組織を備えた温間成形用高張力鋼板である。このような組織を有する鋼板に、250℃以上の温度域で温間成形を施すと、成形中およびその後の冷却中に、大きな歪時効硬化量が得られ、温間成形後の部材強度が著しく増加するとしている。特許文献2に記載された技術では、SiとAlを適量含有させることにより、ベイナイト相中の固溶Cが増加し、温間成形中およびその後に、大きな歪時効硬化が得られるとしている。
特開2004−211197号公報 特開2002−256388号公報
しかしながら、特許文献1に記載された技術では、熱間成形を適用して、高強度鋼板を所望形状の部材に成形できるが、延性に乏しい硬質なマルテンサイト相を活用していることから成形後の部品において、延性が低下するという問題がある。このため、特許文献1に記載された技術では、所望形状の部材に成形できるが、高強度でかつ延性に優れた自動車部材とすることができないという問題があった。さらに、自動車部材では、衝突時に所望の衝撃吸収能を発現することが求められるため、自動車部材の延性が不十分であると、衝突時の衝撃吸収能が低下し、所望の部材機能を発揮できないという問題がある。
また、特許文献2に記載された技術では、鋼板が硬質で延性に乏しいベイナイト相を含む組織であり、さらにこの鋼板を温間成形する際に、温間成形時に導入された歪で歪時効硬化するため、高強度の部材となりさらに延性も低下する。このようなことから、特許文献2に記載された技術では、温間成形時に、割れや、成形荷重が高くなりやすく金型の損傷が発生しやすいという問題があった。
また、自動車部材等は厳しい腐食環境下で使用されることから、鋼板を用いてこれらの部材を製造する場合においては、耐食性を付与する目的で、溶融亜鉛めっき処理や合金化溶融亜鉛めっき処理等のめっき処理を施すことが多い。しかし、特許文献1,2に記載された技術はいずれも、マルテンサイト相やベイナイト相を含む組織の鋼板であり、溶融亜鉛めっき処理や合金化溶融亜鉛めっき処理などの加熱処理を伴うめっき処理を施すと、めっき処理の熱履歴を経ることにより鋼板強度が低下する等、材質変化が大きいという問題がある。
本発明は、上記したような従来技術が抱える問題を有利に解決し、温間成形時の加工性(温間成形性)に優れ、厳しい条件の温間成形にも適用可能であり、且つ、温間成形後の強度および延性低下が小さい、温間成形性に優れた高強度熱延鋼板およびその製造方法を提供することを目的とする。なお、ここでいう「温間成形性に優れた」とは、400℃以上700℃以下の温間成形温度域において厳しい加工条件にも対応可能な極めて良好な延性を有し、温間成形の前後で機械的特性の変化が小さい場合をいうものとする。具体的には、「温間成形性に優れた」とは、温間成形温度域における降伏応力YS2が室温における降伏応力(降伏強さ)YS1の80%以下、温間成形温度域における全伸びEl2が室温における全伸びEl1の1.1倍以上で、かつ温間成形温度域に加熱して引張歪で15%以下の歪を付加したのち、室温まで冷却した後の降伏応力(降伏強さ)YS3が加熱前の室温における降伏応力(降伏強さ)YS1の80%以上および室温まで冷却した後の全伸びEl3が加熱前の室温における全伸びEl1の80%以上である場合をいう。
本発明者らは、上記した目的を達成するために、室温における降伏比:0.85以上かつ引張強さ:780MPa以上を有する高強度熱延鋼板の温間成形性(加熱前、加熱中、加熱後の強度、延性)に及ぼす各種要因について鋭意検討した。その結果、室温における降伏比:0.85以上かつ引張強さ:780MPa以上の高強度鋼板であっても、所定の加熱温度域(温間成形温度域)における降伏応力YS2が室温における降伏応力(降伏強さ)YS1の80%以下であり、温間成形温度域における全伸びEl2が室温における全伸びEl1の1.1倍以上であれば、温間成形温度域において変形抵抗が低下するとともに延性が上昇し、優れた温間成形性を示し、鋼板を複雑な形状の部材に成形することが可能となることを見出した。また、このような鋼板であれば、形状凍結性にも優れていることを知見した。また、温間成形温度域に加熱して引張歪で15%以下の歪を付加したのち、室温まで冷却した後の降伏応力(降伏強さ)YS3が加熱前の室温における降伏応力(降伏強さ)YS1の80%以上および室温まで冷却した後の全伸びEl3が、加熱前の室温における全伸びEl1の80%以上であれば、温間成形したのちにおいても自動車部材に必要な強度と延性を確保できることを知見した。
そこで、本発明者らは、上記したような特性を有する鋼板を得るための、鋼板組織および鋼板組成について鋭意検討した。まず、本発明者らは、鋼板組織として、フェライト相に着目した。フェライト相は、延性に優れ、かつ熱による材質変化が少ない組織である。そこで、温間成形前、温間成形時および温間成形後の鋼板組織を、実質的にフェライト相単相とすることに想到した。
さらに、本発明者らは、固溶元素による強化(固溶強化)は、室温においてはもちろん温間成形温度域においても転位の移動を妨げ、温間成形温度域でも延性向上を阻害することに思い至り、固溶強化元素であるSiおよびMnをできる限り低減した組成の鋼板とすることに思い至った。
このような組成と、実質的にフェライト相単相の組織を有する鋼板を、400〜700℃の温間成形温度域に加熱すると、フェライト相中の転位の運動が活発化し、変形抵抗が低下して、温間成形温度域での加工性が向上するとともに、降伏応力が低下して形状凍結性が向上すること、また、温間成形後の鋼板組織を、実質的にフェライト相単相とすれば、温間成形後においても優れた延性を示すこと、をそれぞれ知見した。
更に、本発明者らは、フェライト相の単相組織では、所望の鋼板強度を確保できないことに鑑み、フェライト単相組織を有する鋼板を高強度化する手法について種々検討した。温間成形時に発生する固溶CおよびNによる歪時効硬化では、温間成形後の部材強度を高めることはできるが、温間成形後の部材の延性が低下する。また、細粒化強化による高強度化では、加熱時に粒成長が生じ、温間成形後の部材強度が低下することになる。
このようなことから、本発明者らは、炭化物の析出強化を利用した高強度化が有効であることに想到した。そして、炭化物として、微細なTi炭化物、或いは更にV炭化物、Mo炭化物、W炭化物、Hf炭化物、Zr炭化物、Nb炭化物を利用することが、温間成形性および温間成形後の強度・延性を向上させるために有効であることを知見した。なお、本発明者らは、これらの炭化物は、700℃以下の温間成形温度域(加熱温度域)では粗大化せず、温間成形後においても微細析出状態が維持されることを確認している。
また、本発明者らは、炭化物形成元素であるTiの含有量、或いは更にTi、V、Mo、W、Hf、Zr、Nbの含有量を適正範囲内に調整するとともに、C含有量に対するTi含有量、或いは更にTi、V、Mo、W、Hf、Zr、Nbの各含有量を適正範囲内に調整することが、鋼板を上記した所望の組織とするうえで重要となることを知見した。更に、上記した所望の組織を有する鋼板を製造するに際し、特に上記した炭化物の粗大化を抑制するうえでは、熱間圧延後の冷却・巻取り条件を適正範囲内に調整することが重要であることを見出した。
本発明は、上記した知見に基づき、さらに検討を加えて完成されたものである。すなわち、本発明の要旨は次のとおりである。
(1)室温における引張強さTSが780MPa以上で、降伏比が0.85以上である引張特性を有する高強度熱延鋼板であって、該高強度鋼板を、400〜700℃の温間成形温度域の温度に加熱し該温間成形温度域の温度で引張試験を行った際の、降伏応力YS2が、室温における降伏応力YS1の80%以下で、かつ全伸びEl2が、室温における全伸びEl1の1.1倍以上であり、さらに、前記温間成形温度域の温度で15%以下の歪を付与する温間加工を施し室温まで冷却したのち、室温で引張試験を行った際の、降伏応力YS3が、室温における降伏応力YS1の80%以上で、かつ全伸びEl3 が、室温における全伸びEl1の80%以上であり、温間成形性に優れることを特徴とする温間成形用高強度熱延鋼板。
(2)(1)において、前記高強度熱延鋼板が、質量%で、C:0.03〜0.16%、Si:0.1%以下、Mn:1.3%以下、P:0.03%以下、S:0.005%以下、Al:0.1%以下、N:0.01%以下、Ti:0.14〜0.25%を、次(1)式
2.00≧(C/12)/(Ti/48+V/51+W/184+Mo/96+Nb/93+Zr/91+Hf/179)≧1.05…(1)
(ここで、C、Ti、V、Mo、W、Nb、Zr、Hf:各元素の含有量(質量%))
を満足するように含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成を有し、金属組織が面積率で95%以上のフェライト相からなり、マトリックスがフェライト相単相で、かつフェライトの平均結晶粒径が1μm以上で、該フェライト結晶粒中に、平均粒子径が10nm以下の炭化物を分散析出させた組織を有することを特徴とする温間成形用高強度熱延鋼板。
(3)(2)において、前記組成に加えてさらに、質量%で、V:0.5%以下、Mo:0.5%以下、W:1.0%以下、Nb:0.1%以下、Zr:0.1%以下、Hf:0.1%以下のうちから選ばれた1種または2種以上を含有することを特徴とする温間成形用高強度熱延鋼板。
(4)(2)または(3)において、前記組成に加えてさらに、質量%で、B:0.003%以下を含有することを特徴とする温間成形用高強度熱延鋼板。
(5)(2)ないし(4)のいずれかにおいて、前記組成に加えてさらに、質量%で、Mg:0.2%以下、Ca:0.2%以下、Y:0.2%以下、REM:0.2%以下のうちから選ばれた1種または2種以上を含むことを特徴とする温間成形用高強度熱延鋼板。
(6)(2)ないし(5)のいずれかにおいて、前記組成に加えてさらに、質量%で、Sb:0.1%以下、Cu:0.5%以下、Sn:0.1%以下のうちから選ばれた1種または2種以上を含むことを特徴とする温間成形用高強度熱延鋼板。
(7)(2)ないし(6)のいずれかにおいて、前記組成に加えてさらに、質量%で、Ni:0.5%以下、Cr:0.5%以下を含むことを特徴とする温間成形用高強度熱延鋼板。
(8)(2)ないし(7)のいずれかにおいて、前記組成に加えてさらに、質量%で、Se、Te、Po、As、Bi、Ge、Pb、Ga、In、Tl、Zn、Cd、Hg、Ag、Au、Pd、Pt、Co、Rh、Ir、Ru、Os、Tc、Re、Ta、Be、Srのうちから選ばれた1種または2種以上を合計で1.0%以下含有することを特徴とする温間成形用高強度熱延鋼板。
(9)(2)ないし(8)のいずれかにおいて、表面にめっき層を具えることを特徴とする温間成形用高強度熱延鋼板。
(10)鋼素材に、粗圧延および仕上圧延からなる熱間圧延を施し、冷却し、コイル状に巻取り、熱延鋼板とするに当たり、前記鋼素材を、質量%で、C:0.03〜0.16%、Si:0.1%以下、Mn:1.3%以下、P:0.03%以下、S:0.005%以下、Al:0.1%以下、N:0.01%以下、Ti:0.14〜0.25%を、次(1)式
2.00≧(C/12)/(Ti/48+V/51+W/184+Mo/96+Nb/93+Zr/91+Hf/179)≧1.05…(1)
(ここで、C、Ti、V、Mo、W、Nb、Zr、Hf:各元素の含有量(質量%))
を満足するように含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成を有する鋼素材とし、
前記鋼素材に、1100〜1350℃に加熱して粗圧延と、仕上圧延終了温度:840℃以上とする仕上圧延とを行う熱間圧延を施し、該熱間圧延後3s以内に強制冷却を開始し、冷却開始から冷却停止までを30℃/s以上の平均冷却速度で冷却し、500〜700℃の範囲の巻取り温度で、コイル状に巻き取ることを特徴とする温間成形用高強度熱延鋼板の製造方法。
(11)(10)において、前記組成に加えてさらに、質量%で、V:0.5%以下、Mo:0.5%以下、W:1.0%以下、Nb:0.1%以下、Zr:0.1%以下、Hf:0.1%以下のうちから選ばれた1種または2種以上を含有することを特徴とする温間成形用高強度熱延鋼板の製造方法。
(12)(10)または(11)において、前記組成に加えてさらに、質量%で、B:0.003%以下を含有することを特徴とする温間成形用高強度熱延鋼板の製造方法。
(13)(10)ないし(12)のいずれかにおいて、前記組成に加えてさらに、質量%で、Mg:0.2%以下、Ca:0.2%以下、Y:0.2%以下、REM:0.2%以下のうちから選ばれた1種または2種以上を含むことを特徴とする温間成形用高強度熱延鋼板の製造方法。
(14)(10)ないし(13)のいずれかにおいて、前記組成に加えてさらに、質量%で、Sb:0.1%以下、Cu:0.5%以下、Sn:0.1%以下のうちから選ばれた1種または2種以上を含むことを特徴とする温間成形用高強度熱延鋼板の製造方法。
(15)(10)ないし(14)のいずれかにおいて、前記組成に加えてさらに、質量%で、Ni:0.5%以下、Cr:0.5%以下を含むことを特徴とする温間成形用高強度熱延鋼板の製造方法。
(16)(10)ないし(15)のいずれかにおいて、前記組成に加えてさらに、質量%で、Se、Te、Po、As、Bi、Ge、Pb、Ga、In、Tl、Zn、Cd、Hg、Ag、Au、Pd、Pt、Co、Rh、Ir、Ru、Os、Tc、Re、Ta、Be、Srのうちから選ばれた1種または2種以上を合計で1.0%以下含有することを特徴とする温間成形用高強度熱延鋼板の製造方法。
(17)(1)ないし(9)のいずれかに記載の温間成形用高強度鋼板を素材として、該素材を400〜700℃の範囲の加熱温度に加熱して、15%以下の歪を付加する温間成形加工を施して、所定形状の高強度部材とすること特徴とする高強度部材の温間成形方法。
本発明によれば、引張強さTS:780MPa以上で、温間成形性に優れた高強度熱延鋼板を容易に、しかも安価に製造でき、産業上格段の効果を奏する。また、本発明になる高強度熱延鋼板を使用して部材を成形加工すれば、スプリングバックの発生が抑制可能であり、また、金型への負荷も軽減できるという効果もある。また、本発明によれば、熱による材質変化が小さい組織を有する鋼板であることから、耐食性の観点から溶融亜鉛めっき処理、合金化溶融亜鉛めっき処理を要する部材等の素材としても、適用可能となるという効果もある。
本発明の温間成形用高強度熱延鋼板は、室温における降伏比が0.85以上かつ引張強さTS1が780MPa以上である鋼板を対象とする。なお、本発明において「室温」とは、(22±5)℃を意味するものとする。
本発明の温間成形用高強度熱延鋼板は、室温における降伏比が0.85以上かつ引張強さTS1が780MPa以上で、400〜700℃の温間成形温度域における降伏応力(温間降伏応力)YS2が、室温における降伏応力(降伏強さ)YS1の80%以下、全伸びEl2が、室温における全伸びEl1の1.1倍以上である引張特性を有する。このような引張特性を有する高強度熱延鋼板は、本発明者らの検討によれば、400〜700℃の温間成形温度域において変形抵抗が低下するとともに延性が上昇し、温間成形温度域での優れた加工性(温間成形性)を示し、温間成形温度域において、鋼板を複雑な形状の部材に成形することが可能となる。上記した引張特性を具備しない鋼板は、温間成形温度域において、スプリングバックの影響が顕著となり所望の形状凍結性が得られなかったり、割れが生じたりする等の不具合が生じるため、鋼板を複雑な形状の部材に成形することができない。
温間成形温度域における降伏応力(温間降伏応力)YS2が、室温における降伏応力YS1の80%を超えると、温間成形時の、鋼板変形抵抗が十分に低減しておらず、温間成形時の負荷荷重(プレス荷重)を大きくする必要があり、金型寿命が短寿命化するという問題となる。また、大きな負荷荷重(プレス荷重)を付与するために、加工機(プレス機)本体も必然的に大きくならざるを得ない。加工機(プレス機)本体が大きくなると、温間成形温度に加熱した鋼板を加工機まで搬送するのに長時間を要し、鋼板温度の低下を招き、所望の温度で温間成形することが難しくなる。また更に、形状凍結性も十分に改善されないため、温間成形を利用する効果を発現することができない。また、温間成形温度域における全伸びEl2が、室温における全伸びEl1の1.1倍未満では、温間成形時における加工性改善が不十分となり、温間成形時に割れ等の欠陥が生じる。
また、本発明の温間成形用高強度熱延鋼板は、温間成形温度域に加熱して15%以下の歪を付与したのち、温間成形温度域から室温まで冷却した後の降伏応力(降伏強さ)YS3が加熱前の室温における降伏応力(降伏強さ)YS1の80%以上であり、全伸びEl3が加熱前の室温における全伸びEl1の80%以上となる引張特性を有する。すなわち、温間成形用高強度熱延鋼板は、温間成形温度域で加工され、室温に冷却されたのちでも、所望の高強度と高延性を維持できる高強度熱延鋼板である。
通常、鋼板に温間成形を施して部材を製造する場合、鋼板には相当塑性歪みで10%程度までの歪が導入される。そこで、本発明では、400℃以上700℃以下の温間成形温度域で最大15%以下の歪が導入される温間成形を想定し、温間成形温度域に加熱して15%以下の歪を与えたのち、温間成形温度から室温まで冷却した後の鋼板の降伏応力および全伸びを規定する。温間成形前後で優れた延性を維持するという観点から、歪付与は、15%以下に限定した。
温間成形温度域に加熱し温間成形し、室温まで冷却したのちの、室温における降伏応力YS3および全伸びEl3が、温間成形温度域に加熱する前の室温における降伏応力YS1および全伸びEl1の80%未満であると、温間成形後の部材の強度および全伸びが不足する。このような鋼板を使用して、温間成形によって所望形状の自動車部材とすると、自動車衝突時の衝撃吸収性能が不足し、自動車部材としての信頼性が損なわれる。
このようなことから、本発明では、400℃以上700℃以下の温間成形温度域に加熱して15%以下の歪を付与したのち、温間成形温度から室温まで冷却した後の降伏応力YS3および全伸びEl3を、温間成形温度域に加熱する前の室温における降伏応力YS1および全伸びEl1の80%以上に限定した。
上記したような引張特性を鋼板に付与するために、本発明では、鋼板組成を、質量%で、C:0.03〜0.16%、Si:0.1%以下、Mn:1.3%以下、P:0.03%以下、S:0.005%以下、Al:0.1%以下、N:0.01%以下、Ti:0.14〜0.25%を、次(1)式
2.00≧(C/12)/(Ti/48+V/51+W/184+Mo/96+Nb/93+Zr/91+Hf/179)≧1.05…(1)
(ここで、C、Ti、V、Mo、W、Nb、Zr、Hf:各元素の含有量(質量%))
を満足するように含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成に限定した。
上記した成分が、基本の成分であるが、この基本の成分に加えて、選択元素として、V:0.5%以下、Mo:0.5%以下、W:1.0%以下、Nb:0.1%以下、Zr:0.1%以下、Hf:0.1%以下のうちから選ばれた1種または2種以上、および /または、B:0.003%以下、および/または、Mg:0.2%以下、Ca:0.2%以下、Y:0.2%以下、REM:0.2%以下のうちから選ばれた1種または2種以上、および/または、Sb:0.1%以下、Cu:0.5%以下、Sn:0.1%以下のうちから選ばれた1種または2種以上、および/または、Ni:0.5%以下、Cr:0.5%以下のうちから選ばれた1種または2種、および/または、Se、Te、Po、As、Bi、Ge、Pb、Ga、In、Tl、Zn、Cd、Hg、Ag、Au、Pd、Pt、Co、Rh、Ir、Ru、Os、Tc、Re、Ta、Be、Srのうちから選ばれた1種または2種以上を合計で1.0%以下、を含有してもよい。
つぎに、本発明鋼板の組成限定理由について説明する。以下、とくに断わらないが義理質量%は単に%で記す。
C:0.03〜0.16%
Cは、Ti、或いは更にV、Mo、W、Nb、Zr、Hfと結合して炭化物を形成し、マトリックス中に微細分散して、鋼板を高強度化する、本発明では重要な元素である。引張強さTS:780MPa以上の高強度を達成するためには、Cは、少なくとも0.03%以上含有する必要がある。一方、0.16%を超えて多量に含有すると、延性、靱性が著しく低下し、良好な衝撃吸収能(例えば引張強さTS×全伸びElで表される)を確保できなくなる。このため、Cは0.03〜0.16%の範囲に限定した。なお、好ましくは0.04〜0.14%である。
Si:0.1%以下
Siは、固溶強化元素である。固溶強化は、高温域での強度低下を抑制るため、温間成形温度域での加工性(温間成形性)向上を阻害する。このため、本発明ではできるだけ低減することが好ましいが、0.1%までは許容できる。このようなことから、Siは0.1%以下に限定した。なお、好ましくは0.06%以下である。なお、Siは不純物レベルまで低減してもよい。
Mn:1.3%以下
Mnは、Siと同様、固溶強化元素であり、高温域での強度低下を抑制して、温間成形温度域での加工性(温間成形性)向上を阻害する。このため、本発明ではできるだけ低減することが好ましいが、1.3%までは許容できる。このようなことから、Mnは1.3%以下に限定した。なお、好ましくは1.1%以下である。また、Mn含有量が極端に少なくなると、オーステナイト(γ)→フェライト(α)変態点が過度に上昇して、炭化物が粗大化することが懸念されるため、Mnは0.5%以上とすることがより好ましい。
P:0.03%以下
Pは、固溶強化能が非常に高く、高温域での強度低下を抑制し、温間成形温度域での加工性向上を阻害する元素である。さらに、Pは,粒界に偏析するため、温間成形時ならびに温間成形後の延性を低下させる。このようなことから、Pは極力低減することが好ましいが、0.03%までは許容できる。このため、Pは0.03%以下に限定した。なお、好ましくは0.02%以下である。
S:0.005%以下
Sは、鋼中では介在物として存在する元素であり、Tiと結合して強度を低下させたり、Mnと結合して硫化物を形成し、常温や温間での鋼板の延性を低下させる。このため、Sは極力低減することが好ましいが、0.005%までは許容できる。このため、Sは0.005%以下に限定した。なお、好ましくは0.004%以下である。
Al:0.1%以下
Alは、脱酸剤として作用する元素であり、このような効果を得るためには0.02%以上含有することが望ましい。一方、0.1%を超えて含有すると、酸化物系介在物が増加し、温間での延性低下が著しくなる。このため、Alは0.1%以下に限定した。なお、好ましくは0.07%以下である。
N:0.01%以下
Nは、製鋼の段階でTiやNb等と結合し、粗大な窒化物を形成するため、多量の含有は、鋼板強度が著しく低下させる。このようなことから、Nは極力低減することが好ましいが、0.01%までは許容でき、Nは0.01%以下に限定した。なお、好ましくは0.007%以下である。
Ti:0.14〜0.25%
Tiは、Cと結合して炭化物を形成し、鋼板の強化に寄与する元素である。室温での引張強さ780MPa以上を確保するためには、0.14%以上の含有を必要とする。一方、0.25%を超える含有は、鋼素材の加熱に際し、粗大なTiCが残存して、ミクロボイドを生成する。このため、Tiは0.25%以下に限定した。なお、好ましくは0.22%以下である。また、より好ましくは0.15%以上である。
2.00≧(C/12)/(Ti/48+V/51+W/184+Mo/96+Nb/93+Zr/91+Hf/179)≧1.05…(1)
(ここで、C、Ti、V、Mo、W、Nb、Zr、Hf:各元素の含有量(質量%))
なお、(1)式に記載された元素が含有されない場合には、(1)式の中央値における当該元素の含有量を零として、(1)式の適否を計算するものとする。
(1)式は、炭化物による析出強化を発現させ、温間成形後に所望の高強度を確保するために、必須の要件である。C、Ti、V、Mo、W、Nb、Zr、Hfの含有量が(1)式を満足して初めて、所望量の炭化物を析出させることができ、所望の高強度を確保することができる。(1)式の中央値が、1.05未満では、粒界強度の低下や加熱に対して炭化物熱安定性が不安定となり、炭化物が粗大化しやすくなるといった不具合が生じるため、所望の高強度化が達成できなくなる。一方、(1)式の中央値が2.00を超えると、セメンタイトが過度に析出し、温間成形中にミクロボイド生成の原因となり、温間成形中の割れの原因となる。このようなことから、(1)式を満足するように調整して各元素を含有することとした。なお、好ましくは、(1)式中の中央値は1.85以下1.05以上である。
上記した成分が、基本の成分であるが、この基本の成分に加えて、選択元素として、V:0.5%以下、Mo:0.5%以下、W:1.0%以下、Nb:0.1%以下、Zr:0.1%以下、Hf:0.1%以下のうちから選ばれた1種または2種以上、および /または、B:0.003%以下、および/または、Mg:0.2%以下、Ca:0.2%以下、Y:0.2%以下、REM:0.2%以下のうちから選ばれた1種または2種以上、および/または、Sb:0.1%以下、Cu:0.5%以下、Sn:0.1%以下のうちから選ばれた1種または2種以上、および/または、Ni:0.5%以下、Cr:0.5%以下のうちから選ばれた1種または2種、および/または、Se、Te、Po、As、Bi、Ge、Pb、Ga、In、Tl、Zn、Cd、Hg、Ag、Au、Pd、Pt、Co、Rh、Ir、Ru、Os、Tc、Re、Ta、Be、Srのうちから選ばれた1種または2種以上を合計で1.0%以下、を含有してもよい。
V:0.5%以下、Mo:0.5%以下、W:1.0%以下、Nb:0.1%以下、Zr:0.1%以下、Hf:0.1%以下のうちから選ばれた1種または2種以上
V、Mo、W、Nb、ZrおよびHfは、Tiと同様、炭化物を形成して鋼板の強化に寄与する元素である。そのため、鋼板の更なる高強度化が要求される場合において、Tiに加えて、V、Mo、W、Nb、ZrおよびHfのうちから選択して、1種または2種以上含有することができる。
このような効果を得るためには、Vは0.01%以上、Moは0.01%以上、Wは0.01%以上、Nbは0.01%以上、Zrは0.01%以上、Hfは0.01%以上、含有することが好ましい。Vが0.5%を超えると、炭化物が粗大化しやすくなり、温間成形温度域で炭化物が粗大化するため、室温まで冷却した後の炭化物の平均粒子径を10nm以下に調整することが困難となる。そのため、Vは0.5%以下とすることが好ましい。なお、より好ましくは0.2%以下である。
また、MoおよびWが、0.5%、1.0%をそれぞれ超えると、γ→α変態が極度に遅延する。このため、鋼板組織にベイナイト相やマルテンサイト相が混在し、実質的にフェライト相単相を得ることが困難となる。このようなことから、MoおよびWはそれぞれ0.5%以下,1.0%以下に限定することが好ましい。
また、Nb、ZrおよびHfは、それぞれ0.1%を超えて含有すると、スラブ再加熱時に、粗大な炭化物が溶解しきれず残存する。このため、温間成形中にミクロボイドが生成しやすくなる。このようなことから、Nb、ZrおよびHfはそれぞれ0.1%以下に限定することが好ましい。
B:0.003%以下
Bは、γ→α変態の核生成を阻害して、変態点を低下させる作用を有し、炭化物の微細化に寄与する元素であり、必要に応じて選択して含有できる。このような効果を得るには、0.0002%以上の含有することが望ましい。一方、0.003%を超えて含有しても、効果が飽和し経済的に不利となる。そのため、Bは0.003%以下に限定することが好ましい。より好ましくは0.002%以下である。
Mg:0.2%以下、Ca:0.2%以下、Y:0.2%以下、REM:0.2%以下のうちから選ばれた1種または2種以上
Mg、Ca、Y、REMはいずれも、介在物を微細化する作用を有し、温間成形中での介在物と母材近傍での応力集中を抑制して、延性を向上させる効果を有し、必要に応じて選択して含有できる。なお、REMは、Rare Earth Metalの略でランタノイド系の元素を指す。
Mgは0.2%、Caは0.2%、Yは0.2%、REMは0.2%を超える含有は、鋳造性を低下させ、熱間での延性を低下させるとともに、鋼板の延性を低下させる悪影響が顕在化する。このため、含有する場合には、Mg:0.2%以下、Ca:0.2%以下、Y:0.2%以下、REM:0.2%以下に限定することが好ましい、なお、より好ましくは、Mgは0.001〜0.1%、Caは0.001〜0.1%、Yは0.001〜0.1%、REMは0.001〜0.1%で、好ましくは、これら元素の合計量が0.2%以下となるように調整することが望ましく、より好ましくは0.1%以下である。
Sb:0.1%以下、Cu:0.5%以下、Sn:0.1%以下のうちから選ばれた1種または2種以上
Sb、Cu、Snは、鋼板表面付近に濃化し、温間成形中の鋼板表面の窒化による鋼板の軟化を抑制する効果があり、必要に応じて選択して1種または2種以上を含有できる。なお、Cuは耐食性をも向上させる効果がある。このような効果を得るためには、Sb、Cu、Snはそれぞれ0.005%以上含有することが望ましい。一方、Sbは0.1%、Cuは0.5%、Snは0.1%をそれぞれ超える、過度の含有は、鋼板の表面性状を悪化する。このため、Sb:0.1%以下、Cu:0.5%以下、Sn:0.1%以下にそれぞれ限定することが好ましい。
Ni:0.5%以下、Cr:0.5%以下のうちから選ばれた1種または2種
Ni、Cr はいずれも、高強度化に寄与する元素であり必要に応じて選択して含有できる。
Niは、オーステナイト安定化元素であり、高温でのフェライトの生成を抑制し、鋼板の高強度化に寄与する。また、Crは、焼入性向上元素であり、Niと同様高温でのフェライトの生成を抑制し、鋼板の高強度化に寄与する。このような効果を得るには、Ni、Crはそれぞれ0.01%以上含有することが望ましい。一方、Ni:0.5%、Cr:0.5%を超える、過度の含有は、マルテンサイト相やベイナイト相等の低温変態相の発生を誘起する。マルテンサイト相やベイナイト相といった低温変態相は加熱中に回復が生じるため、温間成形後に強度が低下する。このため、Ni、Crはそれぞれ0.5%以下に限定することが好ましい。なお、より好ましくは0.3%以下である。
Se、Te、Po、As、Bi、Ge、Pb、Ga、In、Tl、Zn、Cd、Hg、Ag、Au、Pd、Pt、Co、Rh、Ir、Ru、Os、Tc、Re、Ta、Be、Srのうちから選ばれた1種または2種以上を合計で1.0%以下
これら元素は、合計で1.0%以下であれば、素材強度や温間成形性に影響をおよぼさない範囲で、許容できる。
上記した成分以外の残部は、Feおよび不可避的不純物である。
さらに、上記したような引張特性を鋼板に付与するために、本発明では、上記した組成に加えて、鋼板の金属組織を、マトリックスがフェライト相単相で、かつフェライトの平均結晶粒径が1μm以上で、該フェライト結晶粒中に、平均粒子径が10nm以下の炭化物を分散析出させた組織に限定する。
金属組織: フェライト面積率 95%以上
本発明では、鋼板の金属組織は、フェライト単相とする。ここでいう「フェライト単相」は、フェライト相100%の場合に加えて、面積率で95%以上、好ましくは95%超の、実質的に単相である場合まで含むものとする。
金属組織をフェライト単相にすることにより、優れた延性を保持でき、さらに熱による材質変化を抑制できる。硬質相であるベイナイト相やマルテンサイト相が混在すると、加熱により硬質相内に導入される転位が回復し軟化するため、温間成形後に鋼板強度を維持できなくなる。このため、パーライト、ベイナイト相、マルテンサイト相を含まない方がよいが、このような硬質相、さらには残留オーステナイト相は、組織全体に対する面積率で5%未満であれば、許容できる。
金属組織が実質的にフェライト相単相であれば、本発明の組成範囲の場合には、400℃以上700℃以下の温度域(温間成形温度域)に加熱されても、鋼板の金属組織は実質的にフェライト相単相のままに維持される。
上記した組成の組織を有する鋼板では、加熱されることに伴い、延性が増加し、温間成形温度域における全伸びEl2を室温における全伸びEl1の1.1倍以上を確保できる。
また、上記した組成を有する鋼板では、温間成形温度域において成形加工を施すと、転位の回復を伴いながら成形加工されるため、温間成形中の延性低下は殆ど生じない。そして、温間成形後に室温まで冷却しても組織変化が生じないことから、鋼板の金属組織は実質的にフェライト単相のままに維持され、優れた延性を示すことになる。温間成形時および温間成形後の鋼板がマルテンサイト相、ベイナイト相等の硬質相を含むと、所望の延性(全伸び)を得ることが困難となる。
また、鋼板の金属組織を実質的にフェライト相単相とすれば、温間成形温度域に加熱して15%以下の歪を付与する温間成形加工を施し、室温まで冷却した後の鋼板の全伸びEl3を、温間成形前の室温における全伸びEl1の80%以上を確保することができる。また、フェライト相を400℃以上に加熱すると、温度上昇に伴い転位の運動が活発となり変形抵抗が低下し、鋼板の降伏応力が低下する。そのため、400℃以上700℃以下の加熱温度域における鋼板の降伏応力YS2は、室温における鋼板の降伏応力YS1の80%以下とすることができる。
フェライトの平均結晶粒径:1μm以上
フェライトの平均結晶粒径が1μm未満であると、温間成形時に結晶粒が成長し易くなり、温間成形後の鋼板の材質が、温間成形前と大きく相違したものとなり、材質安定性が低下する。しかも、フェライトの平均結晶粒径が15μmを超えて過剰に大きくなると、細粒化強化量の低下により、所望の鋼板強度を確保することが難しくなる。このため、フェライトの平均結晶粒径は15μm以下とすることが好ましい。なお、より好ましくは1〜12μmの範囲である。
なお、フェライトの平均結晶粒径が1μm以上となる組織を得るためには、フェライトの核生成サイト数が過剰になるのを防止することが有効である。核生成サイト数は、圧延中に鋼板内に蓄積される歪エネルギーと密接な関係があり、フェライト粒の微細化を防止するには、過剰な歪エネルギーの蓄積を防ぐ必要がある。このためには、仕上圧延終了温度を840℃以上に調整する。
フェライト結晶粒中の炭化物の平均粒子径:10nm以下
しかし、実質的にフェライト相のみの組織では、所望の鋼板特性(降伏比:0.85以上、引張強さ:780MPa以上)を確保することは困難である。そこで、本発明では、フェライト結晶粒中に、平均粒子径が10nm以下の微細な炭化物を析出させて、鋼板の高強度化を図る。ここで、炭化物の平均粒子径が10nmを超えると、鋼板に所望の鋼板特性を得ることができない。なお、好ましくは7nm以下である。
微細な炭化物としては、Ti炭化物、或いは更にV炭化物、Mo炭化物、W炭化物、Hf炭化物、Zr炭化物、Nb炭化物が挙げられる。これらの炭化物は、加熱温度が700℃以下であれば粗大化することはなく、平均粒子径は10nm以下に維持される。したがって、鋼板を400℃以上700℃以下の温間成形温度域に加熱し温間成形を施しても、炭化物の粗大化が抑制されるため、温間成形後に室温まで冷却したのちの鋼板強度の大幅な低下が抑制される。したがって、実質的にフェライト単相のマトリックス中に平均粒子径10nm以下の上記した炭化物を含む組織とすれば、400℃以上700℃以下の温間成形温度域に加熱して、最大15%の歪を付与する温間成形を施して、室温まで冷却した後の鋼板の降伏応力YS3を、温間成形前の室温における降伏応力YS1の80%以上とすることができる。
本発明鋼板では、700℃までの加熱温度であれば、加熱処理およびその後の冷却が材質に影響を及ぼすことはない。したがって、本発明鋼板は、温間成形後の鋼板を急冷する急冷装置が付帯した温間成形設備で加工することも可能である。なお、本発明高強度熱延鋼板は、急冷装置を付設しない温間成形設備においても加工可能であることはいうまでもない。
このようなことから、本発明鋼板に、溶融亜鉛めっき処理等の加熱が伴うめっき処理を施しても、材質の変化は少ない。そのため、本発明鋼板にめっき処理を施し、その表面にめっき層、例えば電気めっき層、無電解めっき層、溶融めっき層等を具えることも可能である。また、めっき層の合金成分は特に限定されず、亜鉛めっき、合金化亜鉛めっき等が適用可能である。なお、めっき層は、Znもしくは、Znに、0.1〜0.2mass %Alまたは10〜20mass %Niを含む組成とすることが好ましい。
次に、本発明鋼板の好ましい製造方法について説明する。
本発明鋼板は、鋼素材に、粗圧延と仕上圧延からなる熱間圧延を施し、圧延後、コイル状に巻取り、熱延鋼板とする。
鋼素材の製造方法は、とくに限定する必要はないが、上記した組成を有する溶鋼を、転炉や電気炉等の公知の溶製方法で溶製し、あるいはさらに真空脱ガス炉にて二次精錬を行ったのち、連続鋳造法等の公知の鋳造方法で、スラブ等の鋼素材に鋳造することが好ましい。なお、生産性や品質上の観点から、連続鋳造法で行うことが好ましい。
得られた鋼素材に、加熱して、熱間圧延を施す。
鋼素材の加熱温度:1100〜1350℃
本発明では、鋼素材を実質的に均質なオーステナイト相とし、粗大な炭化物を溶解する必要がある。加熱温度が1100℃未満では、粗大な炭化物が溶解しないため、最終的に得られる鋼板中に分散析出する微細な炭化物量が減少し、所望の高強度を確保することができない。一方、加熱温度が1350℃を超えて高温となると、酸化が著しくなり、熱間圧延時に酸化スケールを噛み込み、鋼板表面性状を悪化させ、温間成形性を低下させる。このため、鋼素材の加熱温度は1100〜1350℃の範囲の温度に限定することが好ましい。なお、より好ましくは1150〜1300℃である。また、鋼素材が、1100℃以上の温度を保持している場合には、加熱することなく、直送圧延してもよい。あるいは短時間の保持で、熱間圧延を施してもよい。
加熱された鋼素材は、ついで粗圧延を施される。粗圧延は、所定寸法形状のシートバーとすることができればよく、その条件をとくに限定する必要はない。得られたシートバーは、ついで仕上圧延を施される。
仕上圧延終了温度:840℃以上
仕上圧延終了温度とは、仕上圧延が完了したときの鋼板表面温度をいう。仕上圧延終了温度が840℃未満では、フェライト粒が伸展された組織となるうえ、個々のフェライト粒径が大きく異なる混粒組織となり、鋼板強度が著しく低下する。また、仕上圧延終了温度が840℃未満では、圧延中に鋼板内に蓄積される歪エネルギーが過剰となり、フェライトの平均結晶粒径が1μm以上となる組織が得られなくなる。このため、仕上圧延終了温度は840℃以上に限定した。なお、好ましくは860℃以上である。
熱間圧延終了後、強制冷却を開始する。
熱間圧延終了後から強制冷却開始までの時間:3s以内
強制冷却は鋼板の表裏面に水を噴射あるいは噴霧して、空冷を大幅に超える冷却速度で鋼板を冷却する。通常は、仕上圧延機出側のランアウトテーブル上の上下に設けられた複数の水冷装置により行う。強制冷却を停止した後は、空冷されて徐々に温度が低下しながらコイルに巻き取られる。
仕上圧延直後の鋼板のオーステナイト相には、大きな歪エネルギーが蓄積されており、炭化物の歪誘起析出が生じやすい。この場合、炭化物は、高温で析出することから、粗大化し易く、多量に析出すると、最終的に、鋼板中に微細な炭化物を析出させることが困難となる。強制冷却開始までの時間が3sを超えると、炭化物の歪誘起析出が多量に発生し、所望の微細な炭化物の析出を確保できなくなる。このため、本発明では、熱間圧延終了後から強制冷却開始までの時間を3s以内に限定した。なお、好ましくは2s以内である。
熱間圧延終了後の強制冷却は、冷却開始から冷却停止までを平均冷却速度:30℃/s以上で、行う。
平均冷却速度:30℃/s以上
冷却速度が30℃/s未満では、高温に維持される時間が長く、歪誘起析出による炭化物の粗大化が進行し易くなる。このため、本発明では、仕上圧延後の強制冷却を、平均冷却速度:30℃/s以上で、巻取り温度まで急冷することに限定した。なお、好ましくは、50℃/s以上である。なお、冷却停止温度は、冷却停止から巻取りまで間の鋼板の温度低下を考慮して、巻取り温度が狙いの温度範囲となるように設定する。冷却停止後、鋼板は空冷により温度低下するだけであり、通常は巻取り温度+5〜10℃程度に冷却停止温度を設定する。
巻取温度:500〜700℃
巻取温度が500℃未満では、鋼板中に析出する炭化物が不足し、所望の鋼板強度を確保できなくなる。一方、700℃を超えると、析出した炭化物が粗大化するため。所望の鋼板強度を確保できなくなる。このため、巻取温度は500〜700℃の範囲の温度に限定した。なお、好ましくは550〜680℃である。
なお、鋼板表面にスケールが付着した状態であっても、酸洗してスケールを除去した状態であっても、鋼板の特性が変わることはない。
また、得られた熱延鋼板に、公知の方法でめっき処理を施し、表面にめっき層を形成することができる。めっき層としては、溶融亜鉛めっき層、合金化溶融亜鉛めっき層、電気めっき層等とすることが好ましい。
溶融亜鉛めっき層は、例えば、鋼板をめっき浴に浸漬し、引き上げることにより形成することができる。めっき付着量(めっき層の厚さ)は、めっき浴の浸漬温度および時間、引き上げ速度によって変化するが、耐食性の観点から、めっき付着量を45g/m2以上とすることが好ましい。また、合金化溶融亜鉛めっき層を形成する合金化処理は、めっき処理後にガス炉など、鋼板表面が加熱可能な炉内で行うことが好ましい。
表1に示す化学組成を有する溶鋼を転炉で溶製し、連続鋳造法で鋳造しスラブ(鋼素材)とした。これらスラブ(鋼素材)を、表2に示す加熱温度に加熱し均熱保持して、粗圧延したのち、表2に示す熱延条件で、仕上圧延し、冷却し、コイル状に巻取り、熱延鋼板(板厚1.6mm)とした。なお、鋼板No.1、No. 9、No. 11、No.13は、連続溶融亜鉛めっきラインにて700℃に加熱後、液温:460℃の溶融亜鉛めっき浴に浸漬して、表面に溶融亜鉛めっき層を形成したのち、該めっき層に530℃で合金化処理を施し、合金化溶融亜鉛めっき層を形成した。なお、めっき付着量は、45g/m2とした。
得られた熱延鋼板から試験片を採取し、組織観察、析出物観察、引張試験、温間成形温度域における穴拡げ試験を行った。試験方法はつぎのとおりとした。
(1)組織観察
得られた熱延鋼板から組織観察用試験片を採取し、圧延方向に平行な断面(L断面)を研磨し、腐食(腐食液:5%ナイタール液)して走査型電子顕微鏡(倍率:400倍)を用いて、板厚中心部を観察し、各10視野撮像した。得られた組織写真について、画像解析を行い、組織の同定、および各相の組織分率、各相の平均結晶粒径の測定を行った。
得られた組織写真をもちいて、まず、フェライト相とそれ以外とを分離し、フェライト相の面積を測定し、観察視野全体に対する面積率を求め、フェライト相の面積率とした。なお、フェライト相は粒内に腐食痕が観察されず粒界が滑らかな曲線で観察されるが、線状の形態として観察される粒界はフェライト相の一部として計上した。また、フェライトの平均結晶粒径は、得られた組織写真を用い、ASTM E 112-10に準拠した切断法によって求めた。
(2)析出物観察
得られた鋼板の板厚中央部から透過型電子顕微鏡観察用試験片を採取し、機械研磨、化学研磨により、観察用薄膜とした。得られた薄膜について、透過型電子顕微鏡(倍率:120000倍)を用いて、析出物(炭化物)の観察を行った。100個以上の炭化物について、粒子径を測定し、それらの算術平均値を、各鋼板の炭化物平均粒径とした。なお、測定に当たっては、1μmより大きな粗大なセメンタイトや窒化物は除外した。
(3)引張試験
得られた熱延鋼板から、JIS Z 2201(1998)に準拠して、圧延方向と垂直方向が引張方向となるようにJIS 13 B号引張試験片を採取し、JIS G 0567(1998)に準拠して引張試験を行い、室温(22±5℃)における引張特性(降伏応力YS1、引張強さTS1、全伸びEl1)、および400〜800℃の温度域の各加熱温度における高温引張特性(降伏応力YS2、引張強さTS2、全伸びEl2)を測定した。なお、引張試験はいずれも、クロスヘッドスピード:10mm/minで行った。また、高温での引張特性を測定する試験では、電気炉を用いて試験片を加熱し、試験片温度が試験温度の±3℃以内に安定して得られるようになったのち、15min保持し、引張試験を行った。
また、更に、得られた熱延鋼板から、同様に、JIS 13 B号引張試験片を採取し、400〜800℃の温度域の各加熱温度に加熱し、表4に示す歪(公称歪)を導入したのち、表4に示す冷却速度で室温まで冷却した。そして、このようにして得られた各引張試験片について、室温で引張試験を行い、引張特性(降伏応力(YS3)、引張強さ(TS3)、全伸び(El3))を求めた。なお、引張試験はいずれも、クロスヘッドスピード:10mm/minで行った。また、加熱温度で歪を導入する際には、電気炉を用いて加熱し、試験片温度が試験温度の±3℃以内に安定して得られるようになった後、15分保持した。
なお、各引張試験では、各鋼板で各3本行い、得られた値を算術平均し、各鋼板の特性とした。
(4)温間成形温度域における穴拡げ試験
穴拡げ試験は、日本鉄鋼連盟規格(T1001-1996)に準拠して行った。
得られた熱延鋼板から、穴拡げ試験片(大きさ:100W×100L mm)を採取し、試験片の中央に、クリアランスを12%として、直径10mmの穴を打抜加工で導入した。
次いで、試験片を、加熱炉によって600℃まで加熱して均熱保持したのち、550±25℃の状態にしたのち、試験片の穴に円筒台のポンチを挿入し、次式
穴拡げ率(%)=(試験後穴径-試験前穴径(=10mm))/(試験前穴径)×100で算出される穴拡げ率が80%になるまで、試験片の穴を押し拡げた。
穴拡げ試験後、各試験片について、穴縁端面の亀裂貫通の有無を確認した。また、試験後、試験片の一部を切り出し、断面の板厚中央部についてビッカース硬さ試験を行い、硬さを測定した。なお、測定点は5点とした。また、ビッカース硬さ試験の試験荷重は1kgf(9.8N)とした。
穴縁端面に貫通割れが確認されないうえ、ビッカース硬さが260HV以上の試験片を、温間成形性良好(○)とした。一方、穴縁端面に貫通割れが確認された試験片、或いはビッカース硬さが260HV未満である試験片を、温間成形性不良(×)と評価した。
得られた結果を表3、表4に示す。
Figure 2013133519
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Figure 2013133519
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本発明例はいずれも、室温における降伏比が0.85以上で、引張強さ(TS1)が780MPa以上であり、400℃以上700℃以下の温間成形温度域に加熱した場合の降伏応力 (YS2)が、室温における降伏応力(YS1)に対して80%以下、400℃以上700℃以下の温間成形温度域に加熱した場合の全伸び(El2)が、室温における全伸び (El1)に対して1.1倍以上を満足している。また、本発明例は、いずれも温間成形温度域で15%以下の歪を与えた後、室温まで冷却した場合の降伏応力 (YS3)および全伸び(El3)が、室温(歪導入前)における降伏応力(YS1)および全伸び(El1)に対してそれぞれ80%以上となっている。すなわち、本発明例は、いずれも温間成形性が良好な鋼板である。
一方、本発明の範囲を外れる比較例は、室温における降伏比が0.85未満であるか、室温における引張強さ(TS1)が780MPa未満であるか、400〜700℃の温間成形温度域に加熱した場合の降伏応力(YS2)または全伸び(El2)が、室温における降伏応力(YS1) の80%超えであるか、または全伸び(El1)の1.1倍未満であるか、温間成形温度域で15%以下の歪を与えた後室温まで冷却した場合の降伏応力(YS3)が室温における降伏応力(YS1) の80%未満であるか、または全伸び(El3)が全伸び(El1)の80%未満であるか、であり、温間成形性が不良であった。
なお、温間成形温度域を外れた温度で、あるいは付加する歪量が15%を超える条件で加工を行うと、鋼板が本発明範囲内のものであっても、室温まで冷却した後の降伏応力が加熱前の室温における降伏応力の80%以上であること、あるいは室温まで冷却した後の全伸びが加熱前の室温における全伸びの80%以上であること、のいずれかを満足できていない。
なお、本発明例は、400℃以上700℃以下の温度域では実質的なフェライト単相組織が維持され、且つ鋼板中の炭化物の状態も鋼板の材質に影響を及ぼすほど変化していない。このことから、温間成形温度域に加熱して温間成形を施したのち、室温まで冷却する際の冷却速度は温間成形後の鋼板の材質に何ら影響を及ぼさない。

Claims (17)

  1. 室温における引張強さTSが780MPa以上で、降伏比が0.85以上である引張特性を有する高強度熱延鋼板であって、
    該高強度熱延鋼板を、400〜700℃の温間成形温度域の温度に加熱し該温間成形温度域の温度で引張試験を行った際の、降伏応力YS2が、室温における降伏応力YS1の80%以下で、かつ全伸びEl2が、室温における全伸びEl1の1.1倍以上であり、さらに、
    前記温間成形温度域の温度で15%以下の歪を付与する温間加工を施し室温まで冷却したのち、室温で引張試験を行った際の、降伏応力YS3が、室温における降伏応力YS1の80%以上で、かつ全伸びEl3 が、室温における全伸びEl1の80%以上であり、温間成形性に優れることを特徴とする温間成形用高強度熱延鋼板。
  2. 前記高強度熱延鋼板が、質量%で、
    C:0.03〜0.16%、 Si:0.1%以下、
    Mn:1.3%以下、 P:0.03%以下、
    S:0.005%以下、 Al:0.1%以下、
    N:0.01%以下、 Ti:0.14〜0.25%
    を、下記(1)式を満足するように含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成を有し、金属組織が面積率で95%以上のフェライト相からなり、かつフェライトの平均結晶粒径が1μm以上で、該フェライト結晶粒中に、平均粒子径が10nm以下の炭化物を分散析出させた組織を有することを特徴とする請求項1に記載の温間成形用高強度熱延鋼板。

    2.00≧(C/12)/(Ti/48+V/51+W/184+Mo/96+Nb/93+Zr/91+Hf/179)≧1.05…(1)
    ここで、C、Ti、V、Mo、W、Nb、Zr、Hf:各元素の含有量(質量%)
  3. 前記組成に加えてさらに、質量%で、V:0.5%以下、Mo:0.5%以下、W:1.0%以下、Nb:0.1%以下、Zr:0.1%以下、Hf:0.1%以下のうちから選ばれた1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項2に記載の温間成形用高強度熱延鋼板。
  4. 前記組成に加えてさらに、質量%で、B:0.003%以下を含有することを特徴とする請求項2または3に記載の温間成形用高強度熱延鋼板。
  5. 前記組成に加えてさらに、質量%で、Mg:0.2%以下、Ca:0.2%以下、Y:0.2%以下、REM:0.2%以下のうちから選ばれた1種または2種以上を含むことを特徴とする請求項2ないし4のいずれかに記載の温間成形用高強度熱延鋼板。
  6. 前記組成に加えてさらに、質量%で、Sb:0.1%以下、Cu:0.5%以下、Sn:0.1%以下のうちから選ばれた1種または2種以上を含むことを特徴とする請求項2ないし5のいずれかに記載の温間成形用高強度熱延鋼板。
  7. 前記組成に加えてさらに、質量%で、Ni:0.5%以下、Cr:0.5%以下を含むことを特徴とする請求項2ないし6のいずれかに記載の温間成形用高強度熱延鋼板。
  8. 前記組成に加えてさらに、質量%で、Se、Te、Po、As、Bi、Ge、Pb、Ga、In、Tl、Zn、Cd、Hg、Ag、Au、Pd、Pt、Co、Rh、Ir、Ru、Os、Tc、Re、Ta、Be、Srのうちから選ばれた1種または2種以上を合計で1.0%以下含有することを特徴とする請求項2ないし7のいずれかに記載の温間成形用高強度熱延鋼板。
  9. 表面にめっき層を具えることを特徴とする請求項2ないし8のいずれかに記載の温間成形用高強度熱延鋼板。
  10. 鋼素材に、粗圧延および仕上圧延からなる熱間圧延を施し、冷却し、コイル状に巻取り、熱延鋼板とするに当たり、
    前記鋼素材を、質量%で、
    C:0.03〜0.16%、 Si:0.1%以下、
    Mn:1.3%以下、 P:0.03%以下、
    S:0.005%以下、 Al:0.1%以下、
    N:0.01%以下、 Ti:0.14〜0.25%
    を、下記(1)式を満足するように含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成を有する鋼素材とし、
    前記鋼素材に、1100〜1350℃に加熱して粗圧延と、仕上圧延終了温度:840℃以上とする仕上圧延とを行う熱間圧延を施し、該熱間圧延後3s以内に強制冷却を開始し、冷却開始から冷却停止までを30℃/s以上の平均冷却速度で冷却し、500〜700℃の範囲の巻取り温度で、コイル状に巻き取ることを特徴とする温間成形用高強度熱延鋼板の製造方法。

    2.00≧(C/12)/(Ti/48+V/51+W/184+Mo/96+Nb/93+Zr/91+Hf/179)≧1.05…(1)
    ここで、C、Ti、V、Mo、W、Nb、Zr、Hf:各元素の含有量(質量%)
  11. 前記組成に加えてさらに、質量%で、V:0.5%以下、Mo:0.5%以下、W:1.0%以下、Nb:0.1%以下、Zr:0.1%以下、Hf:0.1%以下のうちから選ばれた1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項10に記載の温間成形用高強度熱延鋼板の製造方法。
  12. 前記組成に加えてさらに、質量%で、B:0.003%以下を含有することを特徴とする請求項10または11に記載の温間成形用高強度熱延鋼板の製造方法。
  13. 前記組成に加えてさらに、質量%で、Mg:0.2%以下、Ca:0.2%以下、Y:0.2%以下、REM:0.2%以下のうちから選ばれた1種または2種以上を含むことを特徴とする請求項10ないし12のいずれかに記載の温間成形用高強度熱延鋼板の製造方法。
  14. 前記組成に加えてさらに、質量%で、Sb:0.1%以下、Cu:0.5%以下、Sn:0.1%以下のうちから選ばれた1種または2種以上を含むことを特徴とする請求項10ないし13のいずれかに記載の温間成形用高強度熱延鋼板の製造方法。
  15. 前記組成に加えてさらに、質量%で、Ni:0.5%以下、Cr:0.5%以下を含むことを特徴とする請求項10ないし14のいずれかに記載の温間成形用高強度熱延鋼板の製造方法。
  16. 前記組成に加えてさらに、質量%で、Se、Te、Po、As、Bi、Ge、Pb、Ga、In、Tl、Zn、Cd、Hg、Ag、Au、Pd、Pt、Co、Rh、Ir、Ru、Os、Tc、Re、Ta、Be、Srのうちから選ばれた1種または2種以上を合計で1.0%以下含有することを特徴とする請求項10ないし15のいずれかに記載の温間成形用高強度熱延鋼板の製造方法。
  17. 請求項1ないし9のいずれかに記載の温間成形用高強度熱延鋼板を素材として、該素材を400〜700℃の範囲の加熱温度に加熱して、15%以下の歪を付加する温間成形加工を施して、所定形状の高強度部材とすること特徴とする高強度部材の温間成形方法。
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