図1は、本発明の第一実施例に係る盗難検知装置を搭載するショベル50を示す概略側面図である。ショベル50の下部走行体1には、旋回機構2を介して上部旋回体3が搭載される。上部旋回体3には、ブーム4が取り付けられ、ブーム4の先端には、アーム5が取り付けられ、アーム5の先端には、バケット6が取り付けられる。ブーム4、アーム5、及びバケット6は、掘削アタッチメントを構成し、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、及びバケットシリンダ9によりそれぞれ油圧駆動される。また、上部旋回体3には、キャビン10が設けられ、また、駆動源としてのエンジンが搭載される。さらに、上部旋回体3には、ハウスカバーの開閉状態を検出するカバースイッチ31が搭載される。キャビン10の内部には、メインコントローラ30、ドアスイッチ32、キースイッチ33、警報装置36、駆動源制御装置37が搭載され、キャビン10の天井部には、測位装置34及び通信装置35が搭載される。なお、メインコントローラ30、カバースイッチ31、ドアスイッチ32、キースイッチ33、測位装置34、通信装置35、警報装置36、及び駆動源制御装置37の詳細は後述する。
図2は、本発明の実施例に係る盗難検知システム100を示す概略図である。盗難検知システム100は、主に、ショベル50、基地局21、サーバ22、及び通信端末23で構成される。通信端末23は、携帯通信端末23a、固定通信端末23b等を含む。基地局21、サーバ22、及び通信端末23は、それぞれ、インターネット等の通信ネットワーク20を通じて互いに接続され得る。なお、ショベル50、基地局21、サーバ22、及び通信端末23のそれぞれは、1つであってもよく、複数であってもよい。また、携帯通信端末23aは、ノートパソコン、携帯電話、スマートフォン等を含む。
基地局21は、ショベル50が送信する情報を受信する固定施設であり、例えば、衛星通信、携帯電話通信、狭域無線通信等を通じてショベル50との間で情報を送受信する。
サーバ22は、ショベル50が送信する情報を保存し且つ管理する装置であり、例えば、CPU、ROM、RAM、入出力インタフェース等を備えたコンピュータである。具体的には、サーバ22は、通信ネットワーク20を通じて、基地局21が受信した情報を取得・保存し、操作者(管理者)が必要に応じてその保存した情報を参照できるように管理する。
また、サーバ22は、通信ネットワーク20を通じてショベル50の各種設定を実行する。具体的には、サーバ22は、ショベル50の各種設定に関する情報をショベル50に対して送信し、ショベル50のメインコントローラ30に記憶される各種設定を変更する。
また、サーバ22は、通信ネットワーク20を通じて通信端末23に各種情報を送信する。具体的には、サーバ22は、所定の条件が満たされた場合に、或いは、通信端末23からの要求に応じて、ショベル50に関する情報を通信端末23に対して送信し、ショベル50に関する情報を通信端末23の操作者に伝えるようにする。
通信端末23は、サーバ22に保存された情報を参照可能な装置であり、例えば、CPU、ROM、RAM、入出力インタフェース、入力装置、ディスプレイ、スピーカ等を備えたコンピュータである。具体的には、通信端末23は、通信ネットワーク20を通じてサーバ22にアクセスし、ショベル50に関する情報を操作者(管理者)が閲覧できるようにする。或いは、通信端末23は、サーバ22が送信する、ショベル50に関する情報を受信し、受信した情報を操作者(管理者)が閲覧できるようにする。
図3は、ショベル50に搭載される盗難検知装置150の概略図である。盗難検知装置150は、主に、メインコントローラ30、カバースイッチ31、ドアスイッチ32、キースイッチ33、測位装置34、通信装置35、警報装置36、及び駆動源制御装置37で構成される。
メインコントローラ30は、盗難検知装置150の動作を制御する装置であり、例えば、CPU、RAM、ROM、NVRAM、内蔵クロック等を備えるコンピュータである。具体的には、メインコントローラ30は、開閉検出部300、機械状態検出部301、信号発信部302、時間帯設定部303、盗難防止機能実行部304、及び盗難防止機能設定部305の各機能要素に対応するプログラムをROMから読み出してRAMにロードし、各機能要素に対応する処理をCPUに実行させる。
カバースイッチ31は、上部旋回体3に設置される開閉部の開閉状態を検出するスイッチである。上部旋回体3に設置される開閉部は、例えば、エンジンフード、ハウスカバー、アンダーカバー等を含む。本実施例では、カバースイッチ31は、鍵付きのハウスカバーの開閉状態を検出し、検出結果をメインコントローラ30に対して出力する。なお、カバースイッチ31の閉成状態は、ハウスカバーの開状態に対応し、カバースイッチ31の開成状態は、ハウスカバーの閉状態に対応する。
ドアスイッチ32は、キャビン10に設置される開閉部の開閉状態を検出するスイッチである。キャビン10に設置される開閉部は、例えばキャビンドアを含む。本実施例では、ドアスイッチ32は、鍵付きのキャビンドアの開閉状態を検出し、検出結果をメインコントローラ30に対して出力する。なお、ドアスイッチ32の閉成状態は、キャビンドアの開状態に対応し、ドアスイッチ32の開成状態は、キャビンドアの閉状態に対応する。
キースイッチ33は、ショベル50のエンジンを始動させるためのスイッチである。本実施例では、キースイッチ33は、電源供給を停止させる「オフ」状態、アクセサリに電源を供給する「アクセサリ・オン」状態、エンジンを始動させる「エンジン・オン」状態を切り換えるために使用される。キースイッチ33は、例えば、その状態が変化した場合に、その変化後の状態を表すコードをメインコントローラ30のNVRAMに書き込む。
測位装置34は、ショベル50の位置を検出するための装置である。本実施例では、測位装置34は、GPS(Global Positioning System)受信機によりGPSアンテナを介してGPS衛星が出力する信号を受信し、受信した信号に基づいて位置(緯度、経度、高度)を導き出す。
通信装置35は、ショベル50と外部との間の通信を制御する装置である。通信装置35は、例えば、衛星通信を介して、ショベル50とショベル50から離れた場所にあるサーバ22との間の情報の送受信を実現する。具体的には、通信装置35は、ショベル50が生成する信号を、基地局21を通じてサーバ22に送信する。また、通信装置35は、携帯電話網、狭域無線通信網等を介して、ショベル50と基地局21との間の情報のやり取りを実現するようにしてもよい。
警報装置36は、メインコントローラ30からの制御信号に応じて警報を出力する装置であり、例えば、ブザー、スピーカ等である。本実施例では、警報装置36は、メインコントローラ30が盗難の発生を検知した場合に出力する所定の制御信号に応じて警報を出力する。
駆動源制御装置37は、ショベル50の駆動源を制御するための装置である。本実施例では、駆動源制御装置37は、ショベル50を駆動するエンジンを制御するための装置であり、メインコントローラ30が出力する制御信号に応じて各種制御を実行する。具体的には、駆動源制御装置37は、例えば、メインコントローラ30が盗難の発生を検知した場合に出力する所定の制御信号に応じて、エンジンの始動を禁止する。
次に、メインコントローラ30における各種機能要素について説明する。
開閉検出部300は、開閉部の開閉状態を検出するための機能要素である。本実施例では、開閉検出部300は、カバースイッチ31、ドアスイッチ32の検出結果に基づいて、上部旋回体3、キャビン10における開閉部の開閉状態を検出する。具体的には、開閉検出部300は、カバースイッチ31、ドアスイッチ32の検出結果を開閉部の現在の状態として開閉部のそれぞれに対応付けてRAM上の所定領域に記憶する。
機械状態検出部301は、ショベル50の状態を検出するための機能要素である。本実施例では、機械状態検出部301は、NVRAMに書き込まれたキースイッチ33の状態に関する情報を取得し、取得した情報に基づいてショベル50の状態を検出する。具体的には、機械状態検出部301は、ショベル50のエンジンが停止中であるか否かを検出する。なお、機械状態検出部301は、エンジンの回転数を検出するセンサ、油圧ポンプの吐出圧を検出するセンサ等のキースイッチ33以外の他のセンサの出力に基づいて、ショベル50のエンジンが停止中であるか否かを検出してもよい。
信号発信部302は、ショベル50に関する情報を生成して外部に発信するための機能要素である。本実施例では、信号発信部302は、開閉検出部300によって開閉部が開けられたことが検出された場合に、盗難が発生したことを検知し、盗難が発生したことを表す盗難発生信号を外部に向けて発信する。具体的には、信号発信部302は、カバースイッチ31の検出結果に基づいてハウスカバーが開けられたことを開閉検出部300が検出した場合に、盗難が発生したことを表す盗難発生信号を通信装置35によりサーバ22に向けて送信する。同様に、信号発信部302は、ドアスイッチ32の検出結果に基づいてキャビンドアが開けられたことを開閉検出部300が検出した場合に、盗難が発生したことを表す盗難発生信号を通信装置35によりサーバ22に向けて送信する。
時間帯設定部303は、盗難の検知を許可する時間帯(以下、「許可時間帯」とする。)を設定するための機能要素である。具体的には、時間帯設定部303は、例えば、信号発信部302が盗難発生信号を外部に向けて発信することができる時間帯を許可時間帯として設定する。本実施例では、時間帯設定部303は、許可時間帯の開始時刻及び終了時刻をメインコントローラ30のNVRAMに記憶する。開始時刻及び終了時刻は、例えば、サーバ22の入力装置(図示せず。)を介して、すなわち、通信ネットワーク20を通じた遠隔操作によって設定される。また、開始時刻及び終了時刻は、ショベル50のキャビン10内に設置される入力装置(図示せず。)を介して設定されてもよい。なお、許可時間帯は、通常、ショベル50の駆動源が停止中となる夜間に設定される。
信号発信部302は、例えば、メインコントローラ30の内蔵クロックに基づいて現在時刻を取得し、現在時刻が許可時間帯に属する場合であり、且つ、発信のための他の条件が満たされた場合に、ショベル50に関する情報を外部に発信する。
盗難防止機能実行部304は、盗難防止機能の実行を開始させるための機能要素である。本実施例では、盗難防止機能実行部304は、開閉検出部300によって開閉部が開けられたことが検出された場合に、盗難防止機能の実行を開始させる。具体的には、盗難防止機能実行部304は、カバースイッチ31の検出結果に基づいて、ハウスカバーが開けられたことを開閉検出部300が検出した場合に、駆動源制御装置37に対して所定の制御信号を送信する。制御信号を受信した駆動源制御装置37は、エンジンの始動を禁止する。これにより、ショベル50は、キースイッチ33がエンジン・オンの状態に切り換えられた場合であってもエンジンを始動させることはない。キャビンドアが開けられた場合も同様である。また、盗難防止機能実行部304は、盗難防止機能設定部305により盗難防止機能が作動状態に設定されたときに、駆動源制御装置37に対して所定の制御信号を送信する。制御信号を受信した駆動源制御装置37は、盗難防止機能設定部305により盗難防止機能が非作動状態に再設定され所定の制御信号を受信するまでエンジンの始動を禁止する。この状態において、盗難防止機能実行部304は、ハウスカバーやキャビンドアが開けられたことを開閉検出部300が検出したときに、駆動源制御装置37に対してエンジンの始動を禁止する所定の制御信号を改めて送信してもよいし、送信を省略してもよい。
盗難防止機能設定部305は、盗難防止機能の作動・非作動を設定するための機能要素である。
本実施例では、盗難防止機能設定部305は、ショベル50のキャビン10内に設置される入力装置(図示せず。)を介した操作者の入力に応じて、盗難防止機能の作動・非作動を設定する。また、盗難防止機能設定部305は、サーバ22の入力装置(図示せず。)を介した管理者の入力に応じて、すなわち、通信ネットワーク20を通じた遠隔操作に応じて、盗難防止機能の作動・非作動を設定してもよい。
次に、図4を参照しながら、盗難検知装置150が盗難発生信号を外部に発信する処理(以下、「第一盗難発生信号発信処理」とする。)について説明する。なお、図4は、第一盗難発生信号発信処理の流れを示すフローチャートである。
盗難検知装置150は、例えばキースイッチ33によりショベル50の状態がアクセサリ・オンの状態に切り換えられる等により、自身に対する電源の供給が開始される度に、この第一盗難発生信号発信処理を実行する。なお、盗難検知装置150は、ショベル50の駆動源が停止中の場合には電源の供給が中断されるが、開閉部が開けられた場合にはショベル50の駆動源が停止中であっても電源の供給が再開される。そのため、ショベル50の駆動源の停止中に開閉部が開けられ電源の供給が再開された場合にも、盗難検知装置150は、この第一盗難発生信号発信処理を実行する。
最初に、盗難検知装置150のメインコントローラ30は、開閉検出部300により開閉部が開けられたか否かを判断する(ステップS1)。具体的には、メインコントローラ30は、例えば、開閉検出部300がRAMに記憶したカバースイッチ31及びドアスイッチ32の検出結果を参照してハウスカバー、キャビンドア等の複数の開閉部のそれぞれの現在の状態を取得し、開閉部のうちの少なくとも1つが開けられたか否かを判断する。
開閉部の何れもが開けられていないと判断した場合(ステップS1のNO)、メインコントローラ30は、今回の第一盗難発生信号発信処理を終了させる。
一方、開閉部のうちの少なくとも1つが開けられたと判断した場合(ステップS1のYES)、メインコントローラ30は、信号発信部302により、ショベル50に関する情報を生成して外部に発信する。具体的には、メインコントローラ30は、予め設定されるショベル50の識別番号、測位装置34の検出結果に基づくショベル50の位置情報、内蔵クロックに基づく現在時刻、開けられた開閉部の識別番号等を含む盗難発生信号を生成し、通信装置35を通じてその生成した盗難発生信号をサーバ22に送信する(ステップS2)。この場合、メインコントローラ30は、警報装置36に対して制御信号を出力し、警報を出力させるようにしてもよい。また、メインコントローラ30は、ショベル50に設置されたカメラ(図示せず。)を作動させ、開けられた開閉部の周辺を撮像した画像をサーバ22に送信してもよい。
次に、図5を参照しながら、盗難検知装置150が盗難発生信号を外部に発信する処理の別の例(以下、「第二盗難発生信号発信処理」とする。)について説明する。なお、図5は、第二盗難発生信号発信処理の流れを示すフローチャートである。また、第二盗難発生信号発信処理の実行タイミングは、第一盗難発生信号発信処理と同様である。
最初に、盗難検知装置150のメインコントローラ30は、開閉検出部300により開閉部が開けられたか否かを判断する(ステップS11)。
開閉部の何れもが開けられていないと判断した場合(ステップS11のNO)、メインコントローラ30は、今回の第二盗難発生信号発信処理を終了させる。
一方、開閉部のうちの少なくとも1つが開けられたと判断した場合(ステップS11のYES)、メインコントローラ30は、機械状態検出部301により、ショベル50の駆動源が停止中であるか否かを検出する。具体的には、メインコントローラ30は、NVRAMに書き込まれたキースイッチ33の状態に関する情報を取得し、取得した情報に基づいてショベル50のエンジンが停止中であるか否かを判断する(ステップS12)。
ショベル50のエンジンが停止中でないと判断した場合(ステップS12のNO)、メインコントローラ30は、今回の第二盗難発生信号発信処理を終了させる。
一方、ショベル50のエンジンが停止中であると判断した場合(ステップS12のYES)、メインコントローラ30は、信号発信部302により、盗難発生信号を生成して外部に発信する(ステップS13)。この場合、メインコントローラ30は、警報装置36に対して制御信号を出力し、警報を出力させるようにしてもよい。また、メインコントローラ30は、盗難防止機能実行部304により、駆動源制御装置37に対して制御信号を出力し、エンジンの始動を禁止してもよい。
なお、ステップS11における開閉部が開けられたか否かの判断と、ステップS12におけるショベル50の駆動源が停止中であるか否かの判断とは、順不同であり、ステップS12がステップS11よりも前に実行されてもよく、同時に実行されてもよい。ステップS11の判断がステップS12の判断の後に行われる場合、ショベル50の駆動源が停止中であるときには開閉部が開けられたか否かの判断が省略されてもよい。
次に、図6を参照しながら、盗難検知装置150が盗難発生信号を外部に発信する処理のさらに別の例(以下、「第三盗難発生信号発信処理」とする。)について説明する。なお、図6は、第三盗難発生信号発信処理の流れを示すフローチャートである。また、第三盗難発生信号発信処理の実行タイミングは、第一盗難発生信号発信処理と同様である。
最初に、盗難検知装置150のメインコントローラ30は、開閉検出部300により開閉部が開けられたか否かを判断する(ステップS21)。
開閉部の何れもが開けられていないと判断した場合(ステップS21のNO)、メインコントローラ30は、今回の第三盗難発生信号発信処理を終了させる。
一方、開閉部のうちの少なくとも1つが開けられたと判断した場合(ステップS21のYES)、メインコントローラ30は、時間帯設定部303によって設定された許可時間帯を参照し、内蔵クロックに基づく現在時刻がその許可時間帯に属するか否かを判断する(ステップS22)。
現在時刻が許可時間帯に属しないと判断した場合(ステップS22のNO)、メインコントローラ30は、今回の第三盗難発生信号発信処理を終了させる。
一方、現在時刻が許可時間帯に属すると判断した場合(ステップS22のYES)、メインコントローラ30は、信号発信部302により、盗難発生信号を生成して外部に発信する(ステップS23)。この場合、メインコントローラ30は、警報装置36に対して制御信号を出力し、警報を出力させるようにしてもよい。また、メインコントローラ30は、盗難防止機能実行部304により、駆動源制御装置37に対して制御信号を出力し、エンジンの始動を禁止してもよい。
なお、ステップS21における開閉部が開けられたか否かの判断と、ステップS22における現在時刻が許可時間帯に属するか否かの判断とは、順不同であり、ステップS22がステップS21よりも前に実行されてもよく、同時に実行されてもよい。ステップS21の判断がステップS22の判断の後に行われる場合、現在時刻が許可時間帯に属しないときには開閉部が開けられたか否かの判断が省略されてもよい。
また、盗難検知装置150は、開閉部が開けられたか否かの判断と、ショベル50の駆動源が停止中であるか否かの判断と、現在時刻が許可時間帯に属するか否かの判断とを順不同で実行し、全ての条件が満たされた場合に限り盗難発生信号を外部に発信するようにしてもよい。
次に、図7を参照しながら、盗難検知装置150が盗難発生信号を外部に発信する処理のさらに別の例(以下、「第四盗難発生信号発信処理」とする。)について説明する。なお、図7は、第四盗難発生信号発信処理の流れを示すフローチャートである。また、第四盗難発生信号発信処理の実行タイミングは、第一盗難発生信号発信処理と同様である。
最初に、盗難検知装置150のメインコントローラ30は、開閉検出部300により開閉部が開けられたか否かを判断する(ステップS31)。
開閉部の何れもが開けられていないと判断した場合(ステップS31のNO)、メインコントローラ30は、今回の第四盗難発生信号発信処理を終了させる。
一方、開閉部のうちの少なくとも1つが開けられたと判断した場合(ステップS31のYES)、メインコントローラ30は、盗難防止機能設定部305によって設定された盗難防止機能の作動・非作動の設定内容を参照し、盗難防止機能が作動状態であるか否かを判断する(ステップS32)。
盗難防止機能が作動状態でないと判断した場合(ステップS32のNO)、メインコントローラ30は、今回の第四盗難発生信号発信処理を終了させる。
一方、盗難防止機能が作動状態であると判断した場合(ステップS32のYES)、メインコントローラ30は、信号発信部302により、盗難発生信号を生成して外部に発信する(ステップS33)。この場合、メインコントローラ30は、警報装置36に対して制御信号を出力し、警報を出力させるようにしてもよい。
なお、ステップS31における開閉部が開けられたか否かの判断と、ステップS32における盗難防止機能が作動状態であるか否かの判断とは、順不同であり、ステップS32がステップS31よりも前に実行されてもよく、同時に実行されてもよい。ステップS31の判断がステップS32の判断の後に行われる場合、盗難防止機能が作動状態でないときには開閉部が開けられたか否かの判断が省略されてもよい。
また、盗難検知装置150は、開閉部が開けられたか否かの判断と、ショベル50の駆動源が停止中であるか否かの判断と、現在時刻が許可時間帯に属するか否かの判断と、盗難防止機能が作動状態であるか否かの判断とを順不同で実行し、全ての条件が満たされた場合に限り盗難発生信号を外部に発信するようにしてもよい。
以上の構成により、盗難検知装置150は、エンジン等の駆動源が始動される前であっても、開閉部が開けられたことをサーバ22に通知することができる。そのため、盗難検知装置150は、ショベル50の盗難、電動モータや二次電池等、ハウスカバーの内部に設置される機器の盗難、モニター等、キャビン10内に設置される機器の盗難、ショベル50やそれら機器に対するいたずらといった異常状態の発生をより早期に且つより確実に管理者に知らせることができる。
また、盗難検知装置150は、エンジン等の駆動源が稼働中の場合、現在時刻が許可時間帯に属さない場合、或いは、盗難防止機能が作動状態にない場合には、盗難発生信号を発信しないようにする。余計な信号を発信しないようにするためである。具体的には、盗難検知装置150は、駆動源が稼働中の場合に開閉部が開けられたとしても、その開放行為が正規の操作者による行為であると推定できるためである。また、仮にその開放行為が正規の操作者による行為でないとしても、盗難検知装置150は、駆動源の始動の際にその旨を示す信号を発信し、不正な始動が行われたことをサーバ22に通知できるためである。
次に、図8を参照しながら、ショベル50に搭載される盗難検知装置の第二実施例150Aについて説明する。なお、図8は、盗難検知装置150Aの概略回路図である。
盗難検知装置150Aは、主に、メインコントローラ30、ドアスイッチ32、キースイッチ33、リレー70、ルームランプ71、バックアップ電源72、カラーモニタコントローラ74、並びに、測位装置34及び通信装置35としてのGPS用コントローラ75から構成される。
リレー70は、キースイッチ33がアクセサリ・オン又はエンジン・オンの状態にある場合に、ルームランプ71とバックアップ電源72とを接続可能な状態にする。その上で、リレー70は、カラーモニタコントローラ74からルームランプON信号を受信すると、所定時間(例えば30秒である。)にわたってルームランプ71とバックアップ電源72とを接続する。所定時間経過後、リレー70は、ルームランプ71とバックアップ電源72との間の接続を遮断する。
ルームランプ71は、ドアスイッチ32が閉成された場合、すなわち、キャビンドアが開けられた場合に閉成するスイッチを有する。そのため、ルームランプ71は、キャビンドアが開けられた場合であって、ルームランプ71とバックアップ電源72とが既に接続されている場合に点灯する。
バックアップ電源72は、例えば、ショベル50に搭載される24Vのバッテリである。
カラーモニタコントローラ74は、キャビン10内に設置される表示装置(図示せず。)を制御するための装置である。本実施例では、カラーモニタコントローラ74は、基本的な機能として、ドアスイッチ32が閉成された場合、すなわち、キャビンドアが開けられた場合に、キャビンドアが開けられたことを検出し、ルームランプON信号をリレー70に対して出力する。なお、カラーモニタコントローラ74は、ドアスイッチ32の閉成により所定の信号線がグラウンド接続されて所定の電位(例えば5V)になったことを検知して、キャビンドアが開けられたことを検出する。また、カラーモニタコントローラ74は、その検出結果を自身が有するRAMに記憶する。なお、カラーモニタコントローラ74は、常時、バックアップ電源72から電源の供給を受け、通常動作可能な状態となっている。
以上の構成により、ルームランプ71は、キースイッチ33がアクセサリ・オン又はエンジン・オンの状態にあるときに、キャビンドアが開けられると、バックアップ電源72の電力を利用しながら所定時間にわたって点灯し、所定時間経過後に消灯する。
また、カラーモニタコントローラ74は、追加的な機能として、ドアスイッチ32が閉成された場合、すなわち、キャビンドアが開けられた場合に、キースイッチ33の状態とは無関係に、メインコントローラ30及びGPS用コントローラ75を起動させる。
メインコントローラ30及びGPS用コントローラ75は何れも、キースイッチ33がオフの状態であれば、すなわち、ショベル50の駆動源が停止中であれば、スリープ状態にある。スリープ状態は、電力の消費が抑えられた状態であり、カラーモニタコントローラ74からの起動信号に応じて通常の動作状態に復帰できる状態を意味する。カラーモニタコントローラ74は、ルームランプ71を点灯させる際に用いた、ドアスイッチ32の閉成により所定の電位となる信号線を、メインコントローラ30及びGPS用コントローラ75に繋いでおく。この構成により、カラーモニタコントローラ74は、キースイッチ33の状態に関係なく、キャビンドアが開けられたときに、起動信号(所定の電位)をメインコントローラ30及びGPS用コントローラ75に対して与えることができる。
メインコントローラ30は、起動信号としての所定の電位が与えられると、GPS用コントローラ75から、ショベル50が位置する地域の日時情報を取得する。そして、メインコントローラ30は、カラーモニタコントローラ74のRAMに記憶されたドアスイッチ32の検出結果を参照し、キャビンドアが開けられたことを認識する。その後、メインコントローラ30は、GPS用コントローラ75から取得した日時情報に基づいて、現在時刻が許可時間帯に属するか否かを判断する。許可時間帯に属すると判断した場合、メインコントローラ30は、GPS用コントローラ75を通じて、キャビンドアに関する盗難発生信号をサーバ22に対して送信する。この際、メインコントローラ30は、図示しない警報装置を通じて警報を出力させてもよく、図示しない駆動源制御装置を通じてエンジンの始動を禁止してもよい。
以上の構成により、盗難検知装置150Aは、ルームランプ点灯回路に改良を加えることによって実現され、エンジン等の駆動源が始動される前であっても、キャビンドアが開けられたことをサーバ22に通知することができる。その結果、盗難検知装置150Aは、ショベル50の盗難、キャビン10内の機器の盗難、キャビン10内の機器に対するいたずらといった異常状態の発生をより早期に且つより確実に管理者に知らせることができる。
次に、図9を参照しながら、ショベル50に搭載される盗難検知装置の第三実施例150Bについて説明する。なお、図9は、盗難検知装置150Bの概略回路図である。
盗難検知装置150Bは、主に、メインコントローラ30、カバースイッチ31、バックアップ電源72、カラーモニタコントローラ74B、並びに、測位装置34及び通信装置35としてのGPS用コントローラ75から構成される。
カラーモニタコントローラ74Bは、キャビン10内に設置される表示装置(図示せず。)を制御するための装置である。本実施例では、カラーモニタコントローラ74Bは、カバースイッチ31が閉成された場合、すなわち、ハウスカバーが開けられた場合に、所定の信号線がグラウンド接続されて所定の電位(例えば5V)になったことを検知して、ハウスカバーが開けられたことを検出する。また、カラーモニタコントローラ74Bは、その検出結果を自身が有するRAMに記憶する。なお、カラーモニタコントローラ74Bは、常時、バックアップ電源72から電源の供給を受け、通常動作可能な状態となっている。
また、カラーモニタコントローラ74Bは、ハウスカバーが開けられたことを検出した場合に、ショベル50の状態とは無関係に、メインコントローラ30及びGPS用コントローラ75を起動させる。メインコントローラ30及びGPS用コントローラ75は何れも、ショベル50の駆動源が停止中であれば、スリープ状態にある。カラーモニタコントローラ74Bは、ハウスカバーが開けられたことを検出した場合に、CAN(Controller Area Network)バス等の車載ネットワークを通じてメインコントローラ30及びGPS用コントローラ75に対して起動信号を送信し、メインコントローラ30及びGPS用コントローラ75を起動させる。
メインコントローラ30は、起動信号を受けると、GPS用コントローラ75から、ショベル50が位置する地域の日時情報を取得する。そして、メインコントローラ30は、カラーモニタコントローラ74BのRAMに記憶されたカバースイッチ31の検出結果を参照し、ハウスカバーが開けられたことを認識する。その後、メインコントローラ30は、GPS用コントローラ75から取得した日時情報に基づいて、現在時刻が許可時間帯に属するか否かを判断する。許可時間帯に属すると判断した場合、メインコントローラ30は、GPS用コントローラ75を通じて、ハウスカバーに関する盗難発生信号をサーバ22に対して送信する。この際、メインコントローラ30は、図示しない警報装置を通じて警報を出力させてもよく、図示しない駆動源制御装置を通じてエンジンの始動を禁止してもよい。
なお、メインコントローラ30は、ショベル50が稼働中であれば、すなわち、メインコントローラ30自体が既に稼働中であれば、カラーモニタコントローラ74BのRAMに記憶されたカバースイッチ31の検出結果を周期的に参照してもよい。この場合、メインコントローラ30は、カラーモニタコントローラ74Bからの起動信号を待つことなく、ハウスカバーが開けられたことを認識した時点で、他の条件が満たされていれば、ハウスカバーに関する盗難発生信号をサーバ22に対して即座に発信してもよい。
以上の構成により、盗難検知装置150Bは、エンジン等の駆動源が始動される前であっても、ハウスカバーが開けられたことをサーバ22に通知することができる。そのため、盗難検知装置150Bは、ハウスカバー内の機器の盗難、ハウスカバー内の機器に対するいたずらといった異常状態の発生をより早期に且つより確実に管理者に知らせることができる。
以上、本発明の好ましい実施例について詳説したが、本発明は、上述した実施例に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなしに上述した実施例に種々の変形及び置換を加えることができる。
例えば、上述の実施例では、盗難検知装置は、エンジン停止中に鍵付きのキャビンドア又は鍵付きのハウスカバーが開けられた場合に盗難発生信号を発信するが、鍵が付いていないカバーが開けられた場合であっても盗難発生信号を発信するようにしてもよい。
また、上述の実施例では、盗難検知装置は、所定の条件が満たされた状況で盗難が発生したことを検知した場合には盗難発生信号を発信するが、警報装置36による警報、及び、駆動源制御装置37によるエンジン始動の禁止のうちの少なくとも一方を実行し、盗難発生信号の発信を省略してもよい。
また、上述の実施例では、エンジン停止中において開閉部が閉じられていることが前提となっている。そのため、盗難検知装置は、エンジン停止時に開閉部が開けられたままとなっている場合には、ショベル50の操作者にその旨を知らせるための警報を出力してもよい。エンジン停止中において開閉部が確実に閉状態となるようにするためである。