JP2013132863A - 樹脂成形品 - Google Patents
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Abstract
【課題】多色成形品にてウェルドラインに起因する変形を低減させること。
【解決手段】ベース部211とパッキン部212を有する樹脂成形品の製造において、パッキン部212の成形の際に、二手に分かれた溶融した樹脂材料が衝突する位置の断面積が、溶融した樹脂材料が衝突しない位置の断面積よりも小さくなるように、ベース部211を成形する。
【選択図】 図2
【解決手段】ベース部211とパッキン部212を有する樹脂成形品の製造において、パッキン部212の成形の際に、二手に分かれた溶融した樹脂材料が衝突する位置の断面積が、溶融した樹脂材料が衝突しない位置の断面積よりも小さくなるように、ベース部211を成形する。
【選択図】 図2
Description
本発明は、樹脂成形品に関し、特にウェルドによる変形を低減させた樹脂成形品に関するものである。
従来から、溶融樹脂の合流部にウェルドラインと呼ばれる接合痕が生じる現象がある。そして、ウェルドラインの対策として、以下の方法が知られている。
・ゲート位置や数を変更してウェルドラインの発生位置をシフトする方法
・ウェルドラインの発生個所近傍にリブ形状を追加して補強する方法
・ガスベントを追加してウェルドライン近傍のガスだまりを防止する方法
・樹脂のオーバーフロー部を設ける方法金型温度を高温に保持してウェルドラインを目立ちにくくする方法。
特許文献1では、携帯電話等の筐体の防水構造において、パッキン部がパッキン対向部により圧縮されることにより防水構造をなすパッキン部材が開示されている。パッキン部材は、インサート成形または二色成形によりパッキン成形側筐体と一体成形されたパッキン部を有する。パッキン部材は、パッキン成形部に対する軟質樹脂の流入に伴ってパッキン部内周にゲート部が形成され、パッキン成形部からオーバーフローした軟質樹脂により形成されたオーバーフロー部を有する。
・ゲート位置や数を変更してウェルドラインの発生位置をシフトする方法
・ウェルドラインの発生個所近傍にリブ形状を追加して補強する方法
・ガスベントを追加してウェルドライン近傍のガスだまりを防止する方法
・樹脂のオーバーフロー部を設ける方法金型温度を高温に保持してウェルドラインを目立ちにくくする方法。
特許文献1では、携帯電話等の筐体の防水構造において、パッキン部がパッキン対向部により圧縮されることにより防水構造をなすパッキン部材が開示されている。パッキン部材は、インサート成形または二色成形によりパッキン成形側筐体と一体成形されたパッキン部を有する。パッキン部材は、パッキン成形部に対する軟質樹脂の流入に伴ってパッキン部内周にゲート部が形成され、パッキン成形部からオーバーフローした軟質樹脂により形成されたオーバーフロー部を有する。
パッキン部材の射出成形において、特許文献1のようにオーバーフロー部を設けたとしてもウェルドライン付近には、微小な変形が発生して密封能力が低下する場合がある。特許文献1に開示の技術では、多点ゲートによるウェルドラインの発生を防止するためにオーバーフロー部を設けている。しかし、オーバーフロー部を設けることで、ウェルドラインによる変形量は若干少なくなるが、ウェルドライン自体の発生は防止できないため、微小なウェルドラインによる変形が発生してしまう。特にパッキン部材を微小なオーバーチャージ量で密封する構造の部品では、変形による密封性能の低下が懸念される。
そこで、本発明の目的は、多色成形品にてウェルドラインに起因する変形を低減させることである。
そこで、本発明の目的は、多色成形品にてウェルドラインに起因する変形を低減させることである。
上記課題を解決するために、本発明に係る樹脂成形品は、多色成形の一次成形にて成形される一次成形部および前記多色成形の二次成形にて成形される二次成形部を有する樹脂成形品であって、前記二次成形部の成形の際に、二手に分かれた溶融した樹脂材料が衝突する位置の断面積が、前記溶融した樹脂材料が衝突しない位置の断面積よりも小さくなるように、前記一次成形部を成形することを特徴とする。
本発明によれば、ウェルドラインに起因する樹脂成形品の変形を低減できる。
以下に、本発明の実施形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。本実施形態では空間を密閉するために使用されるシール部材を例にして説明する。
図1から図3を参照して、本発明の実施形態に係るシール部材について説明する。図1は二色成形にて製造されるシール部材を説明する図であり、図2はパッキン部のウェルドライン付近における樹脂の動きを示す図である。図3はベース部の肉盛り形状についての詳細図である。
図1(A)および(D)は、密封を目的とするシール部材210の斜視図である。図1(B)はシール部材210の平面図であり、図1(C)は、図1(B)にてB−B線、C−C線、D−D線に沿ってそれぞれ示す断面図である。
シール部材210には、ベース部211と、パッキン部212が形成される。シール部材210は、二色成形による射出成形部材であり、一次成形でベース部211が成形され、二次成形でパッキン部212が成形される。したがって、シール部材210のうち、ベース部211が一次成形部となり、パッキン部212が二次成形部となる。
ベース部211は、PC(ポリカーボネート)やABS(アクリロニトリル、ブタジエン、スチレン共重合合成樹脂)等の熱可塑性樹脂で形成され、パッキン部212はゴム状弾性体である熱可塑性エラストマーで形成される。パッキン部212のゲート部212aの位置については、図1(A)では1点であり、図1(D)では2点である。図1(A)および(D)に破線枠で示す範囲212bは、ウェルドラインの発生が予測されるエリアである。通常、図示のような環状のパッキン部212の成形において、図1(A)のようにゲート部212aが1点の場合、ゲート部の対向側にウェルドラインが発生する。また図1(D)のようにゲート部が2つある場合には、第1のゲート部と第2のゲート部との中間点にウェルドラインが発生する。パッキン部212が図示のような対称形状でなく、複雑な形状の場合、ウェルドラインの位置が形状によってずれてくるので、流動解析等で予めウェルドラインの発生位置を予測しておくことが好ましい。
図1から図3を参照して、本発明の実施形態に係るシール部材について説明する。図1は二色成形にて製造されるシール部材を説明する図であり、図2はパッキン部のウェルドライン付近における樹脂の動きを示す図である。図3はベース部の肉盛り形状についての詳細図である。
図1(A)および(D)は、密封を目的とするシール部材210の斜視図である。図1(B)はシール部材210の平面図であり、図1(C)は、図1(B)にてB−B線、C−C線、D−D線に沿ってそれぞれ示す断面図である。
シール部材210には、ベース部211と、パッキン部212が形成される。シール部材210は、二色成形による射出成形部材であり、一次成形でベース部211が成形され、二次成形でパッキン部212が成形される。したがって、シール部材210のうち、ベース部211が一次成形部となり、パッキン部212が二次成形部となる。
ベース部211は、PC(ポリカーボネート)やABS(アクリロニトリル、ブタジエン、スチレン共重合合成樹脂)等の熱可塑性樹脂で形成され、パッキン部212はゴム状弾性体である熱可塑性エラストマーで形成される。パッキン部212のゲート部212aの位置については、図1(A)では1点であり、図1(D)では2点である。図1(A)および(D)に破線枠で示す範囲212bは、ウェルドラインの発生が予測されるエリアである。通常、図示のような環状のパッキン部212の成形において、図1(A)のようにゲート部212aが1点の場合、ゲート部の対向側にウェルドラインが発生する。また図1(D)のようにゲート部が2つある場合には、第1のゲート部と第2のゲート部との中間点にウェルドラインが発生する。パッキン部212が図示のような対称形状でなく、複雑な形状の場合、ウェルドラインの位置が形状によってずれてくるので、流動解析等で予めウェルドラインの発生位置を予測しておくことが好ましい。
ベース部211には、パッキン部212の溶融した樹脂材料が入り込んで固定できるように、略コ字状断面の溝部211cが環状に形成されている。パッキン部212の材料である樹脂材料はゲート部212aから注入され、二手に分かれて、溝部211cを流れる。そして、溶融した樹脂材料は、範囲212bで衝突し合って結合する。その際、短辺方向の断面全域で樹脂材料が同時に衝突し合うわけではなく、断面形状に応じて樹脂材料の流動速度が異なるため、早く衝突する部分と、遅く衝突する部分が存在する。断面の広い部分と狭い部分がある場合、型との摩擦等の影響により、断面の狭い部分の方が広い部分よりも樹脂材料の流れが遅くなる。このため、ウェルドライン上で樹脂材料同士が衝突し合うときには、断面が広い部分から先に衝突し、断面が狭い部分は後から衝突することになる。パッキン部212の樹脂材料が時間差を持って衝突するために、後から衝突する狭い断面形状の部分において微小な変形がウェルドライン上で発生してしまう。特に精密さを要求される製品にて、全周で密閉構造が必要なパッキン部の場合には、微小な変形により密閉性能が低下するという問題の解決が求められる。
図1(C)の断面図において、ウェルドライン(WL)上で衝突し合うパッキン部212の溶融した樹脂材料がほぼ全域で同時に衝突するように、隆起部211aが形成されている。この隆起部211aは、ベース部211に形成された溝部211cの一部を、ウェルドラインを中心として開口部側、つまり、パッキン部212の側へ盛り上げた形状を有する。これによって、溶融した樹脂材料が衝突する位置(断面B−B)の断面積が、溶融した樹脂材料が衝突しない位置(断面C−C)の断面積よりも小さくなる。
図1(C)の断面図において、ウェルドライン(WL)上で衝突し合うパッキン部212の溶融した樹脂材料がほぼ全域で同時に衝突するように、隆起部211aが形成されている。この隆起部211aは、ベース部211に形成された溝部211cの一部を、ウェルドラインを中心として開口部側、つまり、パッキン部212の側へ盛り上げた形状を有する。これによって、溶融した樹脂材料が衝突する位置(断面B−B)の断面積が、溶融した樹脂材料が衝突しない位置(断面C−C)の断面積よりも小さくなる。
以下、図2を参照して隆起部211aの作用を説明する。
図2(A)は、ベース部211の溝部211cに隆起部211aを形成せずにその底面を平坦にした場合に、ウェルドライン(WL)付近での溶融した樹脂材料が衝突する様子を模式的に示した長辺方向の断面図である。図2(C)は、図2(A)に示すパッキン部212の溶融した樹脂材料同士が衝突する様子を上から見た図である。以下では、ベース部211の溝部211cの底面側を下方と定義して各部の上下関係を説明する。
図2(A)にてパッキン部212の溶融樹脂は、ベース部211側の短辺方向において下部ほど断面積が大きく、上にいくにしたがって断面積が小さくなっている。よって、溶融樹脂の流れとしては、下方ほど速度が大きく、上にいくに従って速度が遅くなる。図中の矢印V1、V2、V3は樹脂の流れの向きおよび速さを表しており、V1が下部での速度、V2が中間部での速度、V3が上部での速度を表す。溝部211cの底面側のV1で示す速度が大きく、上にいくに従って速度が遅くなる。よって、ウェルドライン(WL)近傍で溶融樹脂が衝突する際には、図2(A)のように、底面側から先に溶融樹脂が衝突して、順次に上方へ衝突位置が移動していく。上から樹脂の流れを見た場合、図2(C)に示すように、ベース部211側では溶融樹脂の断面積が大きいため、溝部211cの側面部との摩擦の影響で中央部の速度が大きい。また溶融樹脂の周縁部では速度が遅くなり、また上方にいくに従って断面積が小さくなるため、速度が遅くなる。よって、図2(C)のような底面側がほぼ半円形上で、上側が速度の遅くなった先端形状となる。この状態で溶融樹脂同士が互いに衝突すると、図2(E)に示す変形領域212dが発生してしまう。
図2(A)は、ベース部211の溝部211cに隆起部211aを形成せずにその底面を平坦にした場合に、ウェルドライン(WL)付近での溶融した樹脂材料が衝突する様子を模式的に示した長辺方向の断面図である。図2(C)は、図2(A)に示すパッキン部212の溶融した樹脂材料同士が衝突する様子を上から見た図である。以下では、ベース部211の溝部211cの底面側を下方と定義して各部の上下関係を説明する。
図2(A)にてパッキン部212の溶融樹脂は、ベース部211側の短辺方向において下部ほど断面積が大きく、上にいくにしたがって断面積が小さくなっている。よって、溶融樹脂の流れとしては、下方ほど速度が大きく、上にいくに従って速度が遅くなる。図中の矢印V1、V2、V3は樹脂の流れの向きおよび速さを表しており、V1が下部での速度、V2が中間部での速度、V3が上部での速度を表す。溝部211cの底面側のV1で示す速度が大きく、上にいくに従って速度が遅くなる。よって、ウェルドライン(WL)近傍で溶融樹脂が衝突する際には、図2(A)のように、底面側から先に溶融樹脂が衝突して、順次に上方へ衝突位置が移動していく。上から樹脂の流れを見た場合、図2(C)に示すように、ベース部211側では溶融樹脂の断面積が大きいため、溝部211cの側面部との摩擦の影響で中央部の速度が大きい。また溶融樹脂の周縁部では速度が遅くなり、また上方にいくに従って断面積が小さくなるため、速度が遅くなる。よって、図2(C)のような底面側がほぼ半円形上で、上側が速度の遅くなった先端形状となる。この状態で溶融樹脂同士が互いに衝突すると、図2(E)に示す変形領域212dが発生してしまう。
図2(E)は、ウェルドライン(WL)近傍に発生するパッキン部212の変形の様子を表した図である。変形領域212dは、ウェルドライン(WL)近傍のパッキン部212が部分的に窪んだ微小な領域であるため、精度要求の厳しくない部材であれば問題は無い。しかし、微小な変形でも、密封性が重視されるパッキン部では防塵性能に影響を及ぼす可能性があるので、その解決が求められる。
図2(B)は、ベース部211の溝部211cに隆起部211aを形成した場合において、パッキン部212のウェルドライン(WL)付近で溶融樹脂が衝突する様子を模式的に示した長辺方向の断面図である。図2(D)は、図2(B)に示すパッキン部212の溶融樹脂が衝突する様子を上から見た図である。
図2(B)にて、ウェルドライン(WL)近傍のベース部211の溝部211cにはパッキン部212側に突出した隆起部211aが形成されている。つまり、パッキン部212の溶融樹脂の流れが速い底面側の部分に対し、隆起部211aは流れを妨げる遅速作用のある形状をもつ。これにより、溶融樹脂同士の衝突時の形状をほぼ平坦にすることができる。図2(B)中の矢印V1、V2、V3は樹脂の流れの向きおよび速度を表しており、速さや方向の違いを除いて図2(A)で説明したとおりである。矢印V1に示すように、溶融樹脂の流れの速い底面部に形成された隆起部211aは、溶融樹脂の流れを妨げる凸部であるので、底面側の溶融樹脂の流れが緩やかとなる。これにより、ウェルドライン(WL)近傍で溶融樹脂同士が衝突する際、図2(B)のように両者の先端がほぼ平坦面に近い形状となる。上から見た場合、図2(D)に示すように、幅方向、上下方向ともにほぼ均一に溶融樹脂が衝突する様子が分かる。従って、図2(E)に示すような微小な変形領域212dの発生を防止し、または変形の度合いを極力小さくすることができる。
図2(B)は、ベース部211の溝部211cに隆起部211aを形成した場合において、パッキン部212のウェルドライン(WL)付近で溶融樹脂が衝突する様子を模式的に示した長辺方向の断面図である。図2(D)は、図2(B)に示すパッキン部212の溶融樹脂が衝突する様子を上から見た図である。
図2(B)にて、ウェルドライン(WL)近傍のベース部211の溝部211cにはパッキン部212側に突出した隆起部211aが形成されている。つまり、パッキン部212の溶融樹脂の流れが速い底面側の部分に対し、隆起部211aは流れを妨げる遅速作用のある形状をもつ。これにより、溶融樹脂同士の衝突時の形状をほぼ平坦にすることができる。図2(B)中の矢印V1、V2、V3は樹脂の流れの向きおよび速度を表しており、速さや方向の違いを除いて図2(A)で説明したとおりである。矢印V1に示すように、溶融樹脂の流れの速い底面部に形成された隆起部211aは、溶融樹脂の流れを妨げる凸部であるので、底面側の溶融樹脂の流れが緩やかとなる。これにより、ウェルドライン(WL)近傍で溶融樹脂同士が衝突する際、図2(B)のように両者の先端がほぼ平坦面に近い形状となる。上から見た場合、図2(D)に示すように、幅方向、上下方向ともにほぼ均一に溶融樹脂が衝突する様子が分かる。従って、図2(E)に示すような微小な変形領域212dの発生を防止し、または変形の度合いを極力小さくすることができる。
このように、パッキン部212のウェルドライン近傍の変形を少なくするためには、パッキン部212の溶融樹脂同士の衝突部分を可能な限り均等な形状にする必要がある。このために本実施形態では、以下の成型方法を採用する。
・ウェルドラインの発生が予測される位置を算定するステップ。これは、ベース部211のうち、成形の際にパッキン部212の溶融樹脂同士が衝突し合う位置を定めるステップである。
・パッキン部212の溶融樹脂の流速分布を均一化するステップ。これは、前記位置においてベース部211が溶融樹脂と接する面での流れを遅速手段により妨げることによって行う。ベース部211において、溶融樹脂との接触部を部分的に盛り上げて隆起部211aを形成することにより、溶融樹脂の流れを制御することができる。
溶融樹脂の衝突部分を平坦な形状にすることで、溶融樹脂同士をほぼ均等に衝突させることが可能となる。なお、隆起部211aの形状や高さ、長さ等については、パッキン部212の断面形状や樹脂材料の湯流れ性から、適宜決定される。
・ウェルドラインの発生が予測される位置を算定するステップ。これは、ベース部211のうち、成形の際にパッキン部212の溶融樹脂同士が衝突し合う位置を定めるステップである。
・パッキン部212の溶融樹脂の流速分布を均一化するステップ。これは、前記位置においてベース部211が溶融樹脂と接する面での流れを遅速手段により妨げることによって行う。ベース部211において、溶融樹脂との接触部を部分的に盛り上げて隆起部211aを形成することにより、溶融樹脂の流れを制御することができる。
溶融樹脂の衝突部分を平坦な形状にすることで、溶融樹脂同士をほぼ均等に衝突させることが可能となる。なお、隆起部211aの形状や高さ、長さ等については、パッキン部212の断面形状や樹脂材料の湯流れ性から、適宜決定される。
図3はウェルドライン(WL)付近にてベース部211に形成される隆起部211aの形状例を示す。図3(A)に示す隆起部211a−1の形状は直方体であり、断面が矩形状とされて、溶融樹脂の流れの方向に対して直交する方向の稜線がエッジとなっている。図3(B)に示す隆起部211a−2は、エッジ部が丸みを帯びており、溶融樹脂の流れの方向に対する抵抗が少ない形状を有する。また、図3(C)に示す隆起部211a−3は、溶融樹脂の流れの方向を含む断面形状が台形であり、エッジに斜面部が形成されている。図3(D)に示す隆起部211a−4は、上面部に連続した三角形の波状パターンを有する形状である。
前記した隆起部の形状については、パッキン部212の断面形状や成形材料、成形圧や金型温度等の成形条件によって適宜に変更することができる。また、前記の例に限らず、溶融樹脂との接触部を部分的に盛り上げて隆起させることで、前記変形領域212dでの変形量が最小となる形状であれば、その如何は問わない。また、本実施形態ではベース部211の溝部の底面を盛り上げているが、特に溝部に限らず、パッキン部212の底面部に接しているベース部211の一部を持ち上げることで隆起部を形成すればよい。
前記した隆起部の形状については、パッキン部212の断面形状や成形材料、成形圧や金型温度等の成形条件によって適宜に変更することができる。また、前記の例に限らず、溶融樹脂との接触部を部分的に盛り上げて隆起させることで、前記変形領域212dでの変形量が最小となる形状であれば、その如何は問わない。また、本実施形態ではベース部211の溝部の底面を盛り上げているが、特に溝部に限らず、パッキン部212の底面部に接しているベース部211の一部を持ち上げることで隆起部を形成すればよい。
次に、シール部材の適用例として、デジタルカメラ等に用いる撮像ユニットのシール部材を取り上げて、図4から6を参照して説明する。このシール部材は撮像素子を塵埃から保護する役目をもつ。
図4はデジタル一眼レフカメラで使用する撮像ユニット20を、撮影レンズ側から見た場合の分解斜視図である。図5は撮像ユニット20の部分断面図である。
矩形状の光学ローパスフィルタ2は、水晶からなる1枚の複屈折板であり、撮影有効領域の一方の周縁部に圧電素子3が配置される。光学ローパスフィルタ2の表面には、光学的なコーティングが施されている。圧電素子3は単板の短冊形状を呈し、光学ローパスフィルタ2の周縁部において、圧電素子3の長辺が光学ローパスフィルタ2の短辺と平行になるように配置されて貼着される。この圧電素子3は、光学ローパスフィルタ2上において四辺のうち一辺に近接して平行に貼着され、一辺に平行な複数の節部を有するように光学ローパスフィルタ2を波状に振動させる振動手段である。圧電素子3は不図示の駆動回路によって駆動されることにより、光学ローパスフィルタ2の表面に付着した塵埃等の異物を振動で除去する役目をもつ。フレキシブルプリント基板3aは、圧電素子3に電圧を印加するための可とう性を有する基板であり、圧電素子3と電気的に接続されて接着により固定される。圧電素子3は、電圧印加によって撮像光学系の光軸と直交する方向に主として伸縮振動し、光学ローパスフィルタ2を共振(振動)させる。
図4はデジタル一眼レフカメラで使用する撮像ユニット20を、撮影レンズ側から見た場合の分解斜視図である。図5は撮像ユニット20の部分断面図である。
矩形状の光学ローパスフィルタ2は、水晶からなる1枚の複屈折板であり、撮影有効領域の一方の周縁部に圧電素子3が配置される。光学ローパスフィルタ2の表面には、光学的なコーティングが施されている。圧電素子3は単板の短冊形状を呈し、光学ローパスフィルタ2の周縁部において、圧電素子3の長辺が光学ローパスフィルタ2の短辺と平行になるように配置されて貼着される。この圧電素子3は、光学ローパスフィルタ2上において四辺のうち一辺に近接して平行に貼着され、一辺に平行な複数の節部を有するように光学ローパスフィルタ2を波状に振動させる振動手段である。圧電素子3は不図示の駆動回路によって駆動されることにより、光学ローパスフィルタ2の表面に付着した塵埃等の異物を振動で除去する役目をもつ。フレキシブルプリント基板3aは、圧電素子3に電圧を印加するための可とう性を有する基板であり、圧電素子3と電気的に接続されて接着により固定される。圧電素子3は、電圧印加によって撮像光学系の光軸と直交する方向に主として伸縮振動し、光学ローパスフィルタ2を共振(振動)させる。
樹脂製の保持部材4は光学ローパスフィルタ2を保持する部材であり、両面テープ6で撮像素子7に接着固定される。被写体からの光を受光して光電変換する撮像素子7は、CMOS(相補型金属酸化膜半導体)を用いたエリアイメージセンサ等が使用される。両面テープ6は、撮像素子7に撮影光路外からの不要な光が入射しないように防ぐための遮光マスクの役割を兼ね備えている。付勢部材1は、当接部1a(図5参照)により光学ローパスフィルタ2の4箇所に当接して光軸方向に付勢する部材である。付勢部材1は、光学ローパスフィルタ2の保持部材4または撮像素子7の固定部材8に係止される。なお、付勢部材1はビスにより撮像素子7の固定部材8に接地されており、付勢部材1と接する光学ローパスフィルタ2の表面(光学的なコーティングが施された面)が接地される。これにより、光学ローパスフィルタ2の表面への、静電気による塵埃等の付着を抑制できる。
光学ローパスフィルタ2の保持部材4において、枠状の弾性部材4−2(図5参照)が二色成形により形成されており、短辺側における断面形状が凸字状である。保持部材4は、光学ローパスフィルタ2により図5にXで示すオーバーチャージ量の部分が押し潰され、密着封止される。これにより、外部からの塵埃が撮像素子7等に付着して撮影画像に写り込まないように防止できる。オーバーチャージ量Xは0.10から0.30mm(ミリメートル)程度であり、保持部材4を構成する枠状の弾性部材4−2には、かなり高い寸法精度が要求される。
光学部材5は、位相板(偏光解消板)と、赤外カットフィルタと、光学ローパスフィルタ2に対して屈折方向が90°異なる複屈折板とを貼り合わせた部材であり、光学ローパスフィルタ2の保持部材4に接着で固定される。撮像素子7の固定部材8は、金属製の板状部材であり、矩形状をした開口部8a(図4参照)を有する。開口部8aに接着剤が塗布され、固定部材8と撮像素子7が固着される。保持部材8の周縁部には腕部8bが設けられており、これは不図示の撮像装置のシャーシにビス11で固定される。スペーサ10は、撮像ユニット20を不図示の撮像装置のシャーシにビスで締結する際に用いる。信号処理基板9は、撮像素子7を駆動する回路部が実装され、撮像素子7と電気的に接続される。
光学部材5は、位相板(偏光解消板)と、赤外カットフィルタと、光学ローパスフィルタ2に対して屈折方向が90°異なる複屈折板とを貼り合わせた部材であり、光学ローパスフィルタ2の保持部材4に接着で固定される。撮像素子7の固定部材8は、金属製の板状部材であり、矩形状をした開口部8a(図4参照)を有する。開口部8aに接着剤が塗布され、固定部材8と撮像素子7が固着される。保持部材8の周縁部には腕部8bが設けられており、これは不図示の撮像装置のシャーシにビス11で固定される。スペーサ10は、撮像ユニット20を不図示の撮像装置のシャーシにビスで締結する際に用いる。信号処理基板9は、撮像素子7を駆動する回路部が実装され、撮像素子7と電気的に接続される。
次に、図6を参照して光学ローパスフィルタ2の保持部材4の詳細を説明する。図6(A)は撮影レンズ方向から見た場合の保持部材4の平面図である。図6(B)は、図6(A)のA部を拡大して示す斜視図であり、説明の便宜上、二次成形される弾性部4−2は省略している。
保持部材4は射出成形による二色成形部材であり、ポリカーボネートを材料とする一次成形される一次成形部としての保持部4−1と、スチレン系の熱可塑性エラストマーを材料とする二次成形される二次成形部としての弾性部4−2からなる。保持部材4の成形温度条件として、例えば一次成形工程では、ホッパー下温度が270から300°C、シリンダー温度が280から310°C、ノズル温度が220から240°C、金型温度が80から120°Cの範囲内に設定される。冷却時間は10から20秒に設定される。また、二次成形工程ではホッパー下温度が190から210°C、シリンダー温度が200から220°C、ノズル温度が220から240°C、金型温度が30から50°Cの範囲内に設定される。冷却時間は10から20秒に設定される。なお、成形温度条件は環境温度等に応じて上記範囲内で適宜に設定することができる。また、保圧やシリンダー速度等の、他の成形条件についても、反り具合や離型状態等を確認することによって適宜に設定される。
保持部材4は射出成形による二色成形部材であり、ポリカーボネートを材料とする一次成形される一次成形部としての保持部4−1と、スチレン系の熱可塑性エラストマーを材料とする二次成形される二次成形部としての弾性部4−2からなる。保持部材4の成形温度条件として、例えば一次成形工程では、ホッパー下温度が270から300°C、シリンダー温度が280から310°C、ノズル温度が220から240°C、金型温度が80から120°Cの範囲内に設定される。冷却時間は10から20秒に設定される。また、二次成形工程ではホッパー下温度が190から210°C、シリンダー温度が200から220°C、ノズル温度が220から240°C、金型温度が30から50°Cの範囲内に設定される。冷却時間は10から20秒に設定される。なお、成形温度条件は環境温度等に応じて上記範囲内で適宜に設定することができる。また、保圧やシリンダー速度等の、他の成形条件についても、反り具合や離型状態等を確認することによって適宜に設定される。
弾性部4−2は、上述のごとく光学ローパスフィルタ2に密着して、撮像素子7へのゴミ等の侵入を防ぐ役目をもつ。図6(A)に示すゲート部4−2aは、弾性部4−2のゲート部であり、本実施形態では1点のピンゲートである。保持部4−1には、弾性部4−2を環状に形成するための、断面形状がコ字状の溝部4−1cが形成されている。また溝部4−1cには複数の穴部4−1bが設けられており、これらは弾性部4−2の溶融樹脂が入り込むことで、浮きを防止するための穴部である。さらに弾性部4−2のウェルドライン(WL)での変形を抑えるために、ウェルドライン(WL)近傍における溝部4−1cの底面には隆起部4−1aが形成されている。この隆起部4−1aはその周辺部分よりも相対的に弾性部4−2の側に盛り上った部分である。隆起部4−1aを形成することにより、ゲート部4−2aから流れてきた成形材料が両側から衝突し合うときに、面同士がほぼ同時に接触することになる。よって、ウェルドライン(WL)近傍での弾性部4−2の変形を極力低減できる。弾性部4−2のウェルドライン(WL)近傍での変形量を小さくして、二色成形によりシール部材を形成することができる。よって、撮像ユニット20の防塵性能の低下を抑えることができる。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形および変更が可能である。前述の二色成形による一次成形部材および二次成形部材を有する樹脂成形品の製造方法は、多色成形にて先の工程で成形される第1成形部材とその後の工程で成形される第2成形部材との関係についても適用可能である。
7 撮像素子
210 シール部材
211 ベース部
211a,211a−1,211a−2,211a−3 隆起部
211c 溝部
212 パッキン部
210 シール部材
211 ベース部
211a,211a−1,211a−2,211a−3 隆起部
211c 溝部
212 パッキン部
Claims (4)
- 多色成形の一次成形にて成形される一次成形部および前記多色成形の二次成形にて成形される二次成形部を有する樹脂成形品であって、
前記二次成形部の成形の際に、二手に分かれた溶融した樹脂材料が衝突する位置の断面積が、前記溶融した樹脂材料が衝突しない位置の断面積よりも小さくなるように、前記一次成形部を成形することを特徴とする樹脂成形品。 - 前記一次成形部には、前記溶融樹脂が流れる溝部が形成され、
前記二次成形部の成形の際に前記溶融樹脂が衝突する位置の前記溝部の底面に隆起部を形成することを特徴とする請求項1に記載の樹脂成形品。 - 前記二次成形部を成形する樹脂材料は、前記一次成形部を成形する樹脂材料より弾性を有する樹脂材料であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の樹脂成形品。
- 前記二次成形部は環状の形状に成形されることを特徴とする請求項3に記載の樹脂成形品。
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- 2011-12-27 JP JP2011285697A patent/JP2013132863A/ja active Pending
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