JP2013132460A - 吸収性物品 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】肌当接面を形成する表面シート2、非肌当接面を形成する裏面シート3及び縦長の吸収体4を具備し、体液の吸収に用いられる吸収性物品1であり、吸収体4は、下部吸収体4Bと、該下部吸収体4Bの肌当接面側に配された上部吸収体4Aとを有し、上部吸収体4Aは、平板状の吸収性シート40からなり、上部吸収体4Aは、吸収体4の長手方向の両側それぞれに、吸収性シート40が3層以上に折り重ねられている重層部41,41を有し、一対の重層部どうし間における表面シート2側に凹部42が形成されており、重層部41それぞれは少なくとも1つの相隣接する層間が接合されており、吸収性シート40は、吸収体4の長手方向に沿う両側端部40sが、吸収性シート40が吸収体の幅方向内方に向けて折り返されている内向き折曲部43の位置にあるか又はそれより外方に位置している。
【選択図】図2
Description
また、このような吸収性物品の吸収体を、高吸収性ポリマーの粒子が繊維層間に保持された高密度の吸収性シートを折り畳んで構成することが知られている。
しかし、高密度の吸収性シートは、表面シートから吸収性シートへの液の移行性が不十分となり易い。
本発明の第1実施形態である生理用ナプキン1(以下、単にナプキン1ともいう)は、図1及び図2に示すように、肌当接面を形成する表面シート2、非肌当接面を形成する裏面シート3及びこれら両シート2,3間に位置する縦長の吸収体4を具備する。また、ナプキン1は、着用時に着用者の液排泄部(膣口等)に対向する排泄部対向部Aと、該排泄部対向部Aの前後に延在する前方部B及び後方部Cとを有する。ナプキン1の着用時には、前方部Bが着用者の前(腹)側に配され、後方部Cが着用者の後(背)側に配される。なお、肌当接面は、吸収性物品における、着用時に着用者の肌側に向けられる面であり、非肌当接面は、吸収性物品における、着用時に着用者の肌側とは反対側に向けられる面である。
本実施形態における吸収体4は、図1及び図2に示すように、下部吸収体4Bと、下部吸収体4Bの肌当接面側に配された上部吸収体4Aとを有している。
本実施形態のナプキン1における上部吸収体4A及び下部吸収体4Bは、何れも、平板状の吸収性シートからなる。
下部吸収体4Bを構成する吸収性シート50は、折り畳まれずに、平板状の形態を維持したまま、ナプキン1内に配されている。ナプキン1の平面視において、下部吸収体4Bの輪郭は吸収体4の輪郭と一致している。
内向き折曲部43は、吸収体4を構成する吸収性シート40が、吸収体4の幅方向に折り曲げられている折曲部であって、該折曲部の両側に位置する部分が、該折曲部より吸収体の幅方向内方側(長手方向中央線CL側)に位置する折曲部である。外向き折曲部44は、吸収体4を構成する吸収性シート40が吸収体4の幅方向に折り曲げられている折曲部であって、該折曲部の両側に位置する部分が、該折曲部より吸収体の幅方向外方側に位置する折曲部である。
本実施形態のナプキン1における重層部41は、基底層45における中間層46が重なっている部分と、中間層46と、該中間層46と重なっている最上層47とからなる。吸収性シート40は、吸収体4の長手方向の両側それぞれに、重層部41よりも更に延出した部分47bを有している。
本実施形態のナプキン1の重層部41においては、図2及び図3に示すように、内向き折曲部43と外向き折曲部44との間を構成する中間層46と基底層45との間が、ホットメルト接着剤等の接着剤61によって接合されていると共に、最上層47、中間層46及び基底層45に一体的にエンボス加工が施されて、最上層47と中間層46との間及び中間層46と基底層45との間が接合されている。エンボス加工は、重層部41の層間を、吸収体4の平面方向において部分的に接合するものが好ましく、例えば、図3に示すように、複数のエンボス部(エンボス加工による接合部)62が、吸収体4の長手方向Xに沿って間欠的に形成されるように行うことが好ましく、複数のエンボス部62が長手方向Xに直列配置されてなるエンボス部列が、吸収体4の幅方向Yに複数列形成されることが更に好ましい。このエンボス加工は、熱を加えない加圧のみのエンボス加工であっても良いが、加工搬送中での折り重ね状態の維持や使用時のフィット性の観点から、より接着力向上が期待できる熱融着も施す加熱エンボス加工やホットメルト等の接着剤であってもよい。
また、重層部41の隣接する層間が接合されていることによって、重層部41の層間に液が溜まることやその溜まった液が着用時に加わる圧力によって表面シート2に逆戻りすることを防止することもできる。
また、上部吸収体4Aを構成する吸収性シート40における、吸収体4の長手方向Xに沿う両側端部40sが、内向き折曲部43の位置より外方に位置しているため、吸収体やナプキンの側部からの液漏れ防止性能が向上し、フィット性の向上も期待できる。
なお、吸収性シート40が一対の重層部41を有することによる効果として、上部吸収体4Aに厚み差が設けられ、上部吸収体4Aが、一対の重層部41間の凹部において屈曲し易いことによって、フィット性が向上するという効果もある。
このような吸収体4は、上部吸収体4Aを構成する吸収性シート40を、図2に示す形状に折り畳んで、相互に離間した一対の重層部を形成し、該重層部にエンボス加工を施してエンボス部62を形成する工程、及びその工程後に、表面シート2を重ねて、一対の重層部41,41間の基底層と該表面シート2との間にエンボス加工を施してエンボス部63を形成する工程を具備する製造方法により効率的に製造することができる。
重層部41の中間層と基底層45との間の接合に用いる接着剤は、パターン塗工しても良いし、重層部41の長手方向に亘って所定の幅で連続塗工しても良い。
パターン塗工のパターンとしては、接着剤を散点状に配するドットパターン、スパイラルパターン、ストライプパターン、Ω字が連続したΩ字パターン等が挙げられる。下部吸収体4Bと裏面シート3との間も、全面的に塗工した接着剤で接合しても良い。
また、
折り畳み易さや折り畳んだ形態の保持性、吸収性物品の薄型化等の観点から、吸収性シート40は、坪量が、50〜120g/m2、特に60〜100g/m2であることが好ましく、高吸収性ポリマーの坪量が、20〜60g/m2、特に30〜50g/m2であることが好ましく、厚みが、0.4〜2mm、特に0.45〜1mmであることが好ましい。
吸収性シート40の厚みは、2枚の平板間に吸収性シートを挟み、吸収性シートに、2.5cN/cm2の荷重を加えた条件下において測定する。測定には、例えばキーエンス(株)のレーザー変位計LK−G30を用いることができる。
下部吸収体4Bを構成する吸収性シート50としては、吸収性シート40と同様の吸収性シートを用いることが好ましいが、下部吸収体4Bは、パルプ繊維等の繊維材料を単独又は高吸収性ポリマーとともに飛散させ、それを積繊機の凹部に吸引堆積させて賦形した積繊物や、それを更に紙や不織布からなる被覆シートで被覆してなるもの等を用いることもできる。
例えば、表面シート2としては、親水性且つ液透過性の不織布や、開孔フィルムを用いることができ、裏面シート3としては、液不透過性の材料や撥水性の材料を用いることができる。液不透過性の材料としては、樹脂フィルムや、樹脂フィルムと不織布等とのラミネート材等を用いることができ、撥水性の材料としては、スパンボンド(S)・メルトブローン(M)・スパンボンド(S)等からなる多層構造の複合不織布(SMS、SMMS等)等を用いることができる。裏面シート3は、液不透過性の材料や撥水性の材料に、不織布等の他のシートを接合してなる積層シートであっても良い。
例えば、上述した実施形態のナプキン1においては、上述した吸収体4の構成、特に上部吸収体4Aの構成を、吸収体4の長手方向の全長に亘って有していたが、そのような構成を排泄部対向部Aのみ、あるいは排泄部対向部Aと前方部B又は後方部Cのみに有していても良い。但し、上述した吸収体4の構成、特に上部吸収体4Aの構成が、吸収体4の長手方向Xの全長の50%以上の長さ、特に70%以上の長さに亘って連続していることが好ましい。
図5(a)〜(c)においては、最も層数の多い部分がエンボス加工によるエンボス部62により一体化されていることが好ましい。
図1及び図2に示す生理用ナプキン1と同様の構成を有する生理用ナプキンを作製した。表面シート2、裏面シート3、上部吸収体及び下部吸収体を構成する吸収性シート40,50としては、以下のものを用いた。重層部41どうし間の間隔L1は20mmとし、吸収性シート40が内向き折曲部43の位置より延出する長さL2は10mmとした。重層部は、中間層と基底層との間を接着剤を配するとともに、最上層、中間層及び基底層に一体的に熱エンボス加工を施し、層間を接合した。熱エンボス加工は、直径1.5mmの小円形のエンボス部を、図3に示すような配置に形成させた。
表面シート2:坪量25g/m2のエアースルー不織布(花王株式会社製「ロリエSpeed+スリムガード」に使用)を用いた。
裏面シート3:坪量35g/m2ポリエチレン製の液不透過性フィルムを用いた
吸収性シート40:パルプ繊維の集合体に吸収性ポリマーを分散状態に固定させた坪量100g/m2の吸収性シート(花王株式会社製 「ロリエSpeed+スリムガード」に使用の吸収性シート)を用いた。
吸収性シート50:パルプ繊維の集合体に吸収性ポリマーを分散状態に固定させた坪量80g/m2の吸収性シート(花王株式会社製 「ロリエSpeed+スリムガード」に使用の吸収性シート)を用いた
〔実施例2〕
実施例1において、中間層と基底層との間に接着剤を配さない以外は、実施例1と同様にして生理用ナプキンを得た。
実施例1において、一対の重層部間において表面シート2と基底層45とを接合するためのエンボス加工を行わず、また中間層と基底層との間に接着剤を配さない以外は、実施例1と同様にして生理用ナプキンを得た。
実施例1において、最上層47の吸収体幅方向外方側の端部の位置を、内向き折曲部43の位置より内側に後退した位置とし、重層部における総ての層間を接合せず、一対の重層部間において表面シート2と基底層45とを接合するためのエンボス加工を行わなかった以外は、実施例1と同様にして生理用ナプキンを得た。
なお、最上層47の吸収体幅方向の長さは、10mm(中間層46同方向の長さの50%)とした。
比較例1において、重層部の層間を、最上層、中間層及び基底層に一体的に熱エンボス加工を施して接合した以外は、比較例2と同様にして生理用ナプキンを得た。
実施例1において、重層部における総ての層間を接合せず、また、一対の重層部間においても表面シート2と基底層45とを接合するエンボス加工を行わなかった以外は、実施例1と同様にして生理用ナプキンを得た。
実施例1において、吸収体の長手方向両側の外向き折曲部44,44どうし間に隙間を設けず重層部41,41間に隙間及び凹部42を形成しなかった以外は、実施例1と同様にして生理用ナプキンを得た。なお、重層部41,41間に隙間がないため、この位置での表面シートと上部吸収体4Aとを接合するエンボス加工は行わなかった。
実施例及び比較例の各生理用ナプキンについて、下記の方法により評価を実施した。結果を表1に示した。
〔1.液残り量〕
得られた各生理用ナプキンを、それぞれ、可動式女性腰部モデルに装着し、ショーツをはかせた後、該腰部モデルを100歩/分の歩行速度で1分間歩行運動させた後、脱繊維馬血〔日本バイオテスト研究所(株)製〕1.5gを15秒で注入した。その後3分間歩行させた後、再び脱繊維馬血1.5gを同様に注入して3分間歩行させた。このような操作を合計6g注入するまで繰り返した後、1分間再度歩行させ生理用ナプキンを回収した。
回収した生理用ナプキンから表面シートを剥ぎ取り、重量測定→洗浄→乾燥→重量測定の作業を行い、洗浄前の重量と乾燥後の重量の差から、表面に残った液残り量を算出した。
洗浄は馬血を流水で洗い流し、乾燥炉(温度70℃設定)で15分乾燥させた後、表面シートの重量を測定した。
各生理用ナプキンについて3つのサンプルを用意し、上記のようにして測定した液残り量の平均値を表1に示した。
得られた各生理用ナプキンを、それぞれ、可動式女性腰部モデルに装着し、ショーツをはかせた後、該腰部モデルを100歩/分の歩行速度で1分間歩行運動させた後、脱繊維馬血〔日本バイオテスト研究所(株)製〕1.5gを15秒で注入した。その後3分間歩行させた後、再び1.5gを同様に注入して3分間歩行させた。このような操作を合計6g注入するまで繰り返した後、1分間再度歩行させ生理用ナプキンを回収した。回収した生理用ナプキンについて、表面シート上から日本電色工業製の色差計(型式:NF333)を使用し、白度を測定した。
各生理用ナプキンについて3つのサンプルを用意し、上記のようにして測定した表面白色度の平均値を表1に示した。表面白色度は数値が高い程、白いこと示し、つまり本評価においては、液の保持量が少ないことを示す。
2 表面シート
3 裏面シート
4 吸収体
4A 上部吸収体
40 吸収性シート
41 重層部
42 凹部
43 内向き折曲部
44 外向き折曲部
45 基底層
46 中間層
47 最上層
40s 吸収性シートの側端部
4B 下部吸収体
50 吸収性シート
61,64,65 接着剤
62 エンボス部(重合部の層間の接合部)
63 エンボス部(表面シートと基底層との接合部)
7 本体部分
8 ウイング部
Claims (5)
- 肌当接面を形成する表面シート、非肌当接面を形成する裏面シート及びこれら両シート間に位置する縦長の吸収体を具備し、体液の吸収に用いられる吸収性物品であって、
前記吸収体は、下部吸収体と、該下部吸収体の肌当接面側に配された上部吸収体とを有し、上部吸収体は、平板状の吸収性シートからなり、
前記上部吸収体は、前記吸収体の長手方向の両側それぞれに、前記吸収性シートが3層以上に折り重ねられている重層部を有し、一対の該重層部どうし間における前記表面シート側に凹部が形成されており、該重層部それぞれは少なくとも1つの相隣接する層間が接合されており、
前記吸収性シートは、前記吸収体の長手方向に沿う両側端部が、前記吸収性シートが前記吸収体の幅方向内方に向けて折り返されている内向き折曲部の位置にあるか又はそれより外方に位置している、吸収性物品。 - 前記上部吸収体は、高吸収性ポリマーの粒子が繊維層間に保持された吸収性シートからなる、請求項1記載の吸収性物品。
- 前記上部吸収体は、一対の前記重層部どうし間において、前記表面シートと固定されている請求項1又は2記載の吸収性物品。
- 前記上部吸収体を構成する吸収性シートは、前記吸収体の長手方向の両側が対称の形状となるように折り畳まれている請求項1〜3の何れか1項記載の吸収性物品。
- 前記上部吸収体は、一対の前記重層部どうし間においては、エンボス加工によって、前記表面シートと固定されており、一対の前記重層部それぞれの最上層は、エンボス加工によっては前記表面シートと固定していない、請求項1〜4の何れか1項記載の吸収性物品。
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