JP2013131562A - 熱伝導性シートの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 厚み方向の熱伝導性が良好な熱伝導性シートを提供する。
【解決手段】 熱伝導性組成物2を押出機3で押出して、押出方向に沿って熱伝導性フィラー成分が配向した細長柱状の仮成型体4を成型し、複数の仮成型体4を長手方向と直交する方向に隣接するように整列させ、整列させた複数の仮成型体4を整列方向と略直交する方向に配設させた積層体4Aを得て、積層体4Aを硬化させることにより、積層体4Aを構成する複数の仮成型体4同士が一体化した本成型体5を成型し、本成型体5を仮成型体4の長手方向と直交する方向に、所定の寸法に切断する。
【選択図】図2
【解決手段】 熱伝導性組成物2を押出機3で押出して、押出方向に沿って熱伝導性フィラー成分が配向した細長柱状の仮成型体4を成型し、複数の仮成型体4を長手方向と直交する方向に隣接するように整列させ、整列させた複数の仮成型体4を整列方向と略直交する方向に配設させた積層体4Aを得て、積層体4Aを硬化させることにより、積層体4Aを構成する複数の仮成型体4同士が一体化した本成型体5を成型し、本成型体5を仮成型体4の長手方向と直交する方向に、所定の寸法に切断する。
【選択図】図2
Description
本発明は、発熱性電子部品等の放熱を促す熱伝導性シートの製造方法に関する。
電子機器の更なる高性能化に伴って、半導体素子の高密度化、高実装化が進んでいる。これに伴って、電子機器を構成する電子部品から発熱する熱をさらに効率よく放熱することが重要になっている。半導体は、効率よく放熱させるために、熱伝導性シートを介して放熱ファン、放熱板等のヒートシンクに取り付けられている。熱伝導性シートとしては、シリコーンに無機フィラー等の充填材を分散含有させたものが広く使用されている。このような放熱部材においては、更なる熱伝導率の向上が要求されており、一般には、高熱伝導性を目的として、マトリックス内に配合されている無機フィラーの充填率を高めることにより対応している。しかし、無機フィラーの充填率を高めると、柔軟性が損なわれたり、無機フィラーの充填率が高いことから粉落ちが発生するため、無機フィラーの充填率を高めることには限界がある。
無機フィラーとしては、例えば、アルミナ、窒化アルミニウム、水酸化アルミニウム等が挙げられる。また、高熱伝導率を目的として、窒化ホウ素、黒鉛等の鱗片状粒子、炭素繊維等をマトリックス内に充填させることがある。これは、鱗片状粒子等の有する熱伝導率の異方性によるものである。例えば、炭素繊維の場合には、繊維方向に約600〜1200W/mkの熱伝導率を有する。窒化ホウ素の場合には、面方向に約110W/mk、面方向に対して垂直な方向に約2W/mk程度の熱伝導率を有しており、異方性を有することが知られている。そのため、炭素繊維、鱗片状粒子の面方向を熱の伝達方向であるシートの厚み方向と同じにする、すなわち、炭素繊維、鱗片状粒子をシートの厚み方向に配向させることによって、熱伝導性を飛躍的に向上させることができる。
しかし、熱伝導シートを成型した後、硬化させた硬化物を所望の厚みにスライスする際に、柔軟性のある硬化物を変形させながらスライスするため、シート表面の凹凸部が大きくなり、凹凸部にエアーを巻き込んでしまい、優れた熱伝導性が活かされていないという課題があった。
この課題を解決するために、例えば、特許文献1には、シートの縦方向に対して垂直な方向に等間隔に並べた刃によって打ち抜き、スライスしてなる熱伝導性ゴムシートについて記載されている。特許文献2には、塗布と硬化とを繰り返して積層させてなる積層体を、円形回転刃を有する切断装置でスライスすることにより、所定の厚さの熱伝導性シートが得られることが記載されている。特許文献3には、異方性黒鉛粒子を含む黒鉛層を2層以上積層した積層体を、メタルソーを用いて、膨張黒鉛シートが得られるシートの厚み方向に対して0°で配向するように、すなわち、積層された面に対して90°の角度で切断することが記載されている。
しかしながら、特許文献1〜特許文献3に記載の切断方法では、切断面の表面粗さが大きくなってしまい、界面での熱抵抗が大きくなり、厚み方向の熱伝導性が低下してしまう。
したがって、厚み方向の熱伝導率が高く、各種熱源(例えば、CPU、トランジスタ、LEDなどの各種デバイス)と放熱部材との間に狭持させて好適に用いられる熱伝導性シートが望まれている。
本発明は、このような実情に鑑みて提案されたものであり、厚み方向の熱伝導性が良好な熱伝導性シートの製造方法を提供することを目的とする。
本発明に係る熱伝導性シートの製造方法は、硬化性樹脂組成物及び熱伝導性フィラー成分を含有する熱伝導性組成物を押出機で押出して、押出方向に沿って熱伝導性フィラー成分が配向した細長柱状の仮成型体を成型する仮成型工程と、複数の仮成型体を長手方向と直交する方向に隣接するように整列させ、整列させた複数の仮成型体を整列方向と略直交する方向に配設させた積層体を得る整列工程と、積層体を硬化させることにより、積層体を構成する複数の仮成型体同士が一体化した本成型体を成型する本成型工程と、本成型体を、仮成型体の長手方向と直交する方向に、所定の寸法に切断する切断工程とを有する。
本発明に係る熱伝導性シートは、硬化性樹脂組成物及び熱伝導性フィラー成分を含有する熱伝導性組成物を押出機で押出して、押出方向に沿って熱伝導性フィラー成分が配向した細長柱状の仮成型体を成型し、複数の仮成型体を長手方向と直交する方向に隣接するように整列させ、整列させた複数の仮成型体を整列方向と略直交する方向に配設させた積層体を得て、積層体を硬化させることにより、積層体を構成する複数の仮成型体同士が一体化した本成型体を成型し、本成型体を、仮成型体の長手方向と直交する方向に、所定の寸法に切断することによって得られたものである。
本発明によれば、熱伝導性シートにおいて、熱伝導性フィラー成分が同じ方向に整列しており、また、切断面の表面粗さが小さいので界面での熱抵抗値が低くなるため、厚み方向の熱伝導性を良好にすることができる。
以下、本発明の実施の形態(以下、本実施の形態と称する。)について、図面を参照しながら下記順序にて詳細に説明する。
1.熱伝導性シートの製造方法
1−1.仮成型工程S1
1−2.整列工程S2
1−3.本成型工程S3
1−4.切断工程S4
1.熱伝導性シートの製造方法
1−1.仮成型工程S1
1−2.整列工程S2
1−3.本成型工程S3
1−4.切断工程S4
<1.熱伝導性シートの製造方法>
本実施の形態に係る熱伝導性シートの製造方法は、図1に示すように、仮成型工程S1と、整列工程S2と、本成型工程S3と、切断工程S4とを有する。
本実施の形態に係る熱伝導性シートの製造方法は、図1に示すように、仮成型工程S1と、整列工程S2と、本成型工程S3と、切断工程S4とを有する。
このような熱伝導性シートの製造方法によれば、熱伝導性シート1において、熱伝導性フィラー成分が同じ方向に整列しており、また、切断面の表面粗さが小さいので界面での熱抵抗値が低くなるため、厚み方向の熱伝導性を良好にすることができる。
<1−1.仮成型工程S1>
仮成型工程S1では、図2(A)に示すように、熱伝導性組成物2を押出機3で押出して、押出方向に沿って熱伝導性フィラー成分が配向した細長柱状の仮成型体4「以下、仮成型体4と称する。」を成型する。
仮成型工程S1では、図2(A)に示すように、熱伝導性組成物2を押出機3で押出して、押出方向に沿って熱伝導性フィラー成分が配向した細長柱状の仮成型体4「以下、仮成型体4と称する。」を成型する。
熱伝導性組成物2は、例えば、硬化性樹脂組成物と、熱伝導性フィラー成分と、充填材とを含有する。
硬化性樹脂組成物としては、例えば、シリコーン系接着剤、アクリル樹脂系接着剤等を用いることができる。シリコーン系接着剤としては、縮合硬化型や付加硬化型のものを用いることができる。
熱伝導性フィラー成分としては、例えば、炭素繊維を用いることができ、特にピッチ系の炭素繊維を用いることが好ましい。ピッチ系の炭素繊維は、ピッチを主原料とし、溶融紡糸、不融化及び炭化などの各処理工程後に2000〜3000℃又は3000℃を超える高温で熱処理して黒鉛化させたものである。原料ピッチは、光学的に無秩序で偏向を示さない等方性ピッチと、構成分子が液晶状に配列し、光学的異方性を示す異方性ピッチ(メソフェーズピッチ)に分けられる。異方性ピッチから製造された炭素繊維は、等方性ピッチから製造された炭素繊維よりも機械特性に優れており、電気及び熱の伝導性が高くなる。そのため、メソフェーズピッチ系の黒鉛化炭素繊維を用いることが好ましい。
熱伝導性フィラー成分の平均繊維長は、100μm以上であることが好ましい。熱伝導性フィラー成分の平均繊維長を100μm以上とすることにより、仮成型体4において熱伝導性フィラー成分が同じ方向に整列しやすくなるため、熱伝導性シート1の厚み方向の熱伝導性をより良好にすることができる。
熱伝導性フィラー成分の含有量は、16〜26体積%とすることが好ましい。熱伝導性フィラー成分の含有量を16体積%以上とすることにより、より効果的に熱抵抗値を下げることができるため、熱伝導性シート1の厚み方向の熱伝導性をより良好にすることができる。また、熱伝導性フィラー成分の含有量を26体積%以下とすることにより、熱伝導性組成物2を押出機3で押出す際に、押出しが困難となることを防止することができる。
充填材は、熱伝導性組成物2における熱伝導性フィラー成分との流速の違いにより、所定の方向に熱伝導性フィラー成分を整列させやすくするとともに、熱伝導性材料として機能させるために用いられる。すなわち、充填材は、熱伝導性フィラー成分を押出方向に沿って熱伝導性フィラー成分を配向させやすくするために用いられる。
充填材としては、例えば、アルミナ、窒化アルミニウム、酸化亜鉛、シリコーン粉、金属粉末を用いることができる。これらの充填材の中では、窒化アルミニウム、球状のアルミナ粒子又は窒化アルミニウムと球状のアルミナ粒子との混合物を用いることが好ましい。
充填材の平均粒子径は、1〜45μmであることが好ましい。充填材の平均粒子径を1μm以上45μm以下とすることにより、熱伝導性材料として十分に機能し、また、熱伝導性組成物2中において、熱伝導性フィラー成分の配向が乱されにくくなるため、熱伝導性シート1の厚み方向の熱伝導性をより良好にすることができる。
押出機3は、例えば、図2(A)に示すように、細長状の筒形に構成されており、熱伝導性組成物2が排出される側の開口部2Bの口径W2が、本体部2Aの内径W1よりも縮径していることが好ましい。また、押出機3は、本体部2Aの内径W1が、長手方向の所定位置から押出方向に向かってテーパー状に縮径して、開口部2Bの口径W2が、本体部2Aの内径W1よりも縮径していてもよい。熱伝導性組成物2をこのような押出機3で押出して、押出機3内において本体部2Aの内径W1よりも縮径している部分に向かって熱伝導性組成物2を通過させることによって、熱伝導性フィラー成分が押出方向に沿いやすくなる。これにより、仮成型体4の長手方向に熱伝導性フィラー成分をより確実に配向させることができる。
例えば、押出機3は、熱伝導性組成物2中の熱伝導性フィラー成分の含有量が16〜26体積%であるときには、開口部2Bの口径W2を1.5〜9.5mm程度とすることが好ましい。この場合において、開口部2Bの口径W2を1.5mm以上とすることにより、熱伝導性組成物2を押出機3で押出す際に、押出しが困難となることを防止することができる。また、開口部2Bの口径W2を9.5mm以下とすることにより、熱伝導性フィラー成分の配向が乱されにくくなるため、熱伝導性シート1の厚み方向の熱伝導性をより良好にすることができる。
押出機3において、開口部2Bの断面形状は、例えば、円状、三角状、矩形状、正方形状とすることができるが、矩形状又は正方形状とすることが好ましい。開口部2Bの断面形状を矩形状又は正方形状とすることにより、仮成型体4が角柱状となる。そのため、整列工程S2において、複数の仮成型体4を長手方向と直交する方向に隣接するように整列させ、整列させた複数の仮成型体4を整列方向と略直交する方向に配設させた積層体4A(以下、積層体4Aと称する。)を得る際に、積層体4Aの間に隙間が生じにくくなる。これにより、積層体4A中に気泡が含まれにくくなるため、本成型工程S3において、より難燃性に優れた本成型体5を得ることができる。
仮成型体4は、押出機3による押出方向に沿って熱伝導性フィラー成分が配向しており、細長柱状の形状、例えば、細長の四角柱状、細長の三角柱状、細長の円柱状である。
<1−2.整列工程S2>
整列工程S2においては、例えば、図2(B)、図2(C)、図3に示すように、仮成型工程S1で成形した複数の仮成型体4を長手方向と直交する方向に隣接するように整列させ、積層体4Aを得る。例えば、整列工程S2においては、所定の枠7内に、仮成型体4を整列させ、直方体状や立方体状に仮成型体4を配設させた積層体4Aを得る。枠7は、本成型工程S3において本成型体5を成型する際に、積層体4Aを固定する固定手段として用いられ、積層体4Aが大きく変形してしまうことを防止する。枠7は、例えば金属で形成されている。
整列工程S2においては、例えば、図2(B)、図2(C)、図3に示すように、仮成型工程S1で成形した複数の仮成型体4を長手方向と直交する方向に隣接するように整列させ、積層体4Aを得る。例えば、整列工程S2においては、所定の枠7内に、仮成型体4を整列させ、直方体状や立方体状に仮成型体4を配設させた積層体4Aを得る。枠7は、本成型工程S3において本成型体5を成型する際に、積層体4Aを固定する固定手段として用いられ、積層体4Aが大きく変形してしまうことを防止する。枠7は、例えば金属で形成されている。
<1−3.本成型工程S3>
本成型工程S3においては、例えば、図2(D)に示すように、整列工程S2で得られた積層体4Aを硬化させることにより、図2(E)及び図4(A)に示すように、積層体4Aを構成する仮成型体4同士が一体化した本成型体5を成型する。積層体4Aを硬化させる方法としては、例えば、積層体4Aを加熱装置で加熱する方法や、積層体4Aを加熱加圧装置で加熱加圧する方法が挙げられる。また、熱伝導性組成物2を構成する硬化性樹脂組成物としてアクリル樹脂を用いたときには、例えば、イソシアネート化合物を熱伝導性組成物2中に含有させることにより、積層体4Aを常温で硬化させることが可能である。
本成型工程S3においては、例えば、図2(D)に示すように、整列工程S2で得られた積層体4Aを硬化させることにより、図2(E)及び図4(A)に示すように、積層体4Aを構成する仮成型体4同士が一体化した本成型体5を成型する。積層体4Aを硬化させる方法としては、例えば、積層体4Aを加熱装置で加熱する方法や、積層体4Aを加熱加圧装置で加熱加圧する方法が挙げられる。また、熱伝導性組成物2を構成する硬化性樹脂組成物としてアクリル樹脂を用いたときには、例えば、イソシアネート化合物を熱伝導性組成物2中に含有させることにより、積層体4Aを常温で硬化させることが可能である。
これらの積層体4Aを硬化させる方法としては、積層体4Aを加熱加圧装置で加熱加圧する方法、すなわち、積層体4Aを硬化させる際に、積層体4Aを構成する複数の仮成型体4の長手方向に直交する方向(垂直方向)にプレスすることが好ましい。このように積層体4Aをプレスすることにより、図4(B)に示すように、積層体4A中から気泡をより確実に取り除くことができるため、本成型工程S3において、より難燃性に優れた本成型体5を得ることが可能となる。
<1−4.切断工程S4>
切断工程S4では、本成型工程S3で成形した本成型体5を、仮成型体4の長手方向と直交する方向に、例えば、超音波切断機6により所定の寸法に切断する。超音波切断機6は、熱伝導性シート1を得るために本成型体5を個々の熱伝導性シート1にスライスする。例えば、図5及び図6に示すように、超音波切断機6を用いて、仮成型体4の長手方向と直交する矢印方向に本成型体5を超音波カッター9でスライスすることにより、熱伝導性フィラー成分の配向を保った状態で熱伝導性シート1を形成することができる。そのため、熱伝導性フィラー成分の配向が厚み方向に維持された熱伝導特性が良好な熱伝導性シート1を得ることができる。
切断工程S4では、本成型工程S3で成形した本成型体5を、仮成型体4の長手方向と直交する方向に、例えば、超音波切断機6により所定の寸法に切断する。超音波切断機6は、熱伝導性シート1を得るために本成型体5を個々の熱伝導性シート1にスライスする。例えば、図5及び図6に示すように、超音波切断機6を用いて、仮成型体4の長手方向と直交する矢印方向に本成型体5を超音波カッター9でスライスすることにより、熱伝導性フィラー成分の配向を保った状態で熱伝導性シート1を形成することができる。そのため、熱伝導性フィラー成分の配向が厚み方向に維持された熱伝導特性が良好な熱伝導性シート1を得ることができる。
超音波切断機6は、図6に示すように、角柱状の本成型体が載置されるワークテーブル8と、超音波振動を加えながらワークテーブル8上の本成型体5をスライスする超音波カッター9とを備える。
ワークテーブル8は、金属製の移動台10上に、シリコーンラバー11が配設されている。移動台10は、移動機構12によって所定の方向に移動可能とされ、本成型体5を超音波カッター9の下部へ、順次、送り操作する。シリコーンラバー11は、超音波カッター9の刃先を受けるに足りる厚さを有する。ワークテーブル8は、シリコーンラバー11上に本成型体5が載置されると、超音波カッター9のスライス操作に応じて移動台10が所定方向へ移動され、本成型体5を順次超音波カッター9の下部に送る。
超音波カッター9は、本成型体5をスライスするナイフ13と、ナイフ13に超音波振動を付与する超音波発振機構14と、ナイフ13を昇降操作する昇降機構15とを有する。
ナイフ13は、ワークテーブル8に対して刃先が向けられ、昇降機構15によって昇降操作されることによりワークテーブル8上に載置された本成型体5をスライスしていく。ナイフ13の寸法や材質は、本成型体5の大きさや組成等に応じて決定される。例えば、ナイフ13は、幅40mm、厚さ1.5mm、刃先角度10°の鋼からなる。
超音波発振機構14は、ナイフ13に対して本成型体5のスライス方向に超音波振動を付与するものであり、例えば、発信周波数が20.5kHzで、振幅を50μm、60μm、70μmの3段階に調整可能とされている。
このような超音波切断機6は、超音波カッター9に超音波振動を付与しながら本成型体5をスライスしていくことにより、熱伝導性シート1の熱伝導性フィラー成分の配向を熱伝導性シート1の厚み方向に保つことができる。
超音波切断機6によって超音波振動を付与しながらスライスした熱伝導性シート1は、超音波振動を付与せずにスライスした熱伝導性シートに比べて、熱抵抗が低く抑えられる。超音波切断機6は、超音波カッター9にスライス方向への超音波振動を付与していることから、界面熱抵抗が低く、熱伝導性シート1の厚み方向に配向されている熱伝導性フィラー成分がナイフ13によって横倒しされ難いことによる。一方、超音波振動を付与せずにスライスした熱伝導性シートでは、ナイフの摩擦抵抗によって熱伝導性フィラー成分の配向が乱れ、切断面への露出が減少してしまい、そのため、熱抵抗が上昇してしまう。したがって、超音波切断機6を用いることにより、熱伝導特性に優れた熱伝導性シート1を得ることができる。
以上のような熱伝導性シートの製造方法では、仮成型工程S1において、熱伝導性組成物2を押出機3で押出すことにより、押出方向に沿って熱伝導性フィラー成分が配向し、熱伝導性フィラー成分を同じ方向に整列させることができる。
また、本成型工程S3において、整列工程S2で得られた積層体4Aを硬化させることにより本成型体5を成型する。このように、熱伝導性フィラー成分が整列しやすい状態で成型した仮成型体4を再度整列、積層させて本成型体5を成型するため、より確実に、熱伝導性フィラー成分を同じ方向に整列させることができる。
さらに、切断工程S4において、本成型体5を、仮成型体4の長手方向と直交する方向に、超音波切断機6により切断することによって、熱伝導性フィラー成分の配向が熱伝導性シート1の厚み方向に維持された熱伝導性シート1を得ることができる。また、切断工程S4において、本成型体5を超音波切断機6により切断することにより、切断面の表面粗さが小さくなり、界面での熱抵抗値が低くなるため、熱伝導性シート1の厚み方向の熱伝導性を良好にすることができる。
なお、上述した説明では、仮成型工程S1において、熱伝導性組成物2に充填材を含有させるものとして説明したが、この例に限定されず、充填材を含有させないようにしてもよい。
以下、本発明の実施例について説明する。なお、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。本実施例では、実施例1〜13及び比較例1〜7で得られた熱伝導性シートについて、熱伝導性フィラー成分の配向性評価、熱抵抗評価及び難燃性評価を行った。
(実施例1)
実施例1では、2液性の付加反応型液状シリコーン樹脂に、平均粒径3μmのアルミナ粒子(充填材)(電気化学工業株式会社製、製品名:DAW−03)42.3体積%と、平均長軸長さ150μm、平均短軸長さ8μmのピッチ系炭素繊維(熱伝導性フィラー成分)(帝人株式会社製、商品名:ラヒーマR−A301)20.1体積%とを分散させて、シリコーン樹脂組成物(熱伝導性組成物)を調製した。2液性の付加反応型液状シリコーン樹脂は、シリコーンA液(ビニル基を有するオルガノポリシロキサン)18.8体積%と、シリコーンB液(H−Si基を有するオルガノポリシロキサン)18.8体積%とを混合したものである。
実施例1では、2液性の付加反応型液状シリコーン樹脂に、平均粒径3μmのアルミナ粒子(充填材)(電気化学工業株式会社製、製品名:DAW−03)42.3体積%と、平均長軸長さ150μm、平均短軸長さ8μmのピッチ系炭素繊維(熱伝導性フィラー成分)(帝人株式会社製、商品名:ラヒーマR−A301)20.1体積%とを分散させて、シリコーン樹脂組成物(熱伝導性組成物)を調製した。2液性の付加反応型液状シリコーン樹脂は、シリコーンA液(ビニル基を有するオルガノポリシロキサン)18.8体積%と、シリコーンB液(H−Si基を有するオルガノポリシロキサン)18.8体積%とを混合したものである。
シリコーン樹脂組成物が排出される側の開口部の口径(1.5mm)が、本体部の内径よりも縮径しており、ノズル長が2mmのシリンジ(押出機)を用いて、離型材を塗布した金型の中に、得られたシリコーン樹脂組成物を、整列、充填し、シリコーン成型体(積層体)を成型した。得られたシリコーン成型体をオーブンにて100℃で1時間硬化してシリコーン硬化物(本成型体)とした。得られたシリコーン硬化物を、厚み0.5mmとなるように超音波カッターで切断した。超音波カッターのスライス速度は、毎秒100mmとした。また、超音波カッターに付与する超音波振動は、発振周波数を20.5kHzとし、振幅を60μmとした。以上により、厚み0.5mm、15mm、15mmの正方形状の熱伝導性シートを得た。
(実施例2)
実施例2では、平均粒径3μmのアルミナ粒子に替えて、平均粒径5μmのアルミナ粒子(電気化学工業株式会社製、製品名:DAW−05)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして熱伝導性シートを得た。
実施例2では、平均粒径3μmのアルミナ粒子に替えて、平均粒径5μmのアルミナ粒子(電気化学工業株式会社製、製品名:DAW−05)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして熱伝導性シートを得た。
(実施例3)
実施例3では、平均粒径3μmのアルミナ粒子に替えて、平均粒径10μmのアルミナ粒子(電気化学工業株式会社製、製品名:DAW−10)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして熱伝導性シートを得た。
実施例3では、平均粒径3μmのアルミナ粒子に替えて、平均粒径10μmのアルミナ粒子(電気化学工業株式会社製、製品名:DAW−10)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして熱伝導性シートを得た。
(実施例4)
実施例4では、シリコーンA液17.8体積%と、シリコーンB液17.8体積%とを混合した2液性の付加反応型液状シリコーン樹脂に、平均粒径3μmのアルミナ粒子(電気化学工業株式会社製、製品名:DAW−03)41体積%と、平均長軸長さ150μm、平均短軸長さ8μmのピッチ系炭素繊維(帝人株式会社製、商品名:ラヒーマR−A301)23.4体積%とを分散させて、シリコーン樹脂組成物を調製したこと以外は、実施例1と同様にして熱伝導性シートを得た。
実施例4では、シリコーンA液17.8体積%と、シリコーンB液17.8体積%とを混合した2液性の付加反応型液状シリコーン樹脂に、平均粒径3μmのアルミナ粒子(電気化学工業株式会社製、製品名:DAW−03)41体積%と、平均長軸長さ150μm、平均短軸長さ8μmのピッチ系炭素繊維(帝人株式会社製、商品名:ラヒーマR−A301)23.4体積%とを分散させて、シリコーン樹脂組成物を調製したこと以外は、実施例1と同様にして熱伝導性シートを得た。
(実施例5)
実施例5では、シリコーンA液17.6体積%と、シリコーンB液17.6体積%とを混合した2液性の付加反応型液状シリコーン樹脂に、平均粒径3μmのアルミナ粒子(電気化学工業株式会社製、製品名:DAW−03)40.5体積%と、平均長軸長さ150μm、平均短軸長さ8μmのピッチ系炭素繊維(帝人株式会社製、商品名:ラヒーマR−A301)24.3体積%とを分散させて、シリコーン樹脂組成物を調製したこと以外は、実施例1と同様にして熱伝導性シートを得た。
実施例5では、シリコーンA液17.6体積%と、シリコーンB液17.6体積%とを混合した2液性の付加反応型液状シリコーン樹脂に、平均粒径3μmのアルミナ粒子(電気化学工業株式会社製、製品名:DAW−03)40.5体積%と、平均長軸長さ150μm、平均短軸長さ8μmのピッチ系炭素繊維(帝人株式会社製、商品名:ラヒーマR−A301)24.3体積%とを分散させて、シリコーン樹脂組成物を調製したこと以外は、実施例1と同様にして熱伝導性シートを得た。
(実施例6)
実施例6では、シリコーンA液19.5体積%と、シリコーンB液19.5体積%とを混合した2液性の付加反応型液状シリコーン樹脂に、アルミナ粒子(平均粒径3μm、電気化学工業株式会社製)45体積%と、平均長軸長さ150μm、平均短軸長さ8μmのピッチ系炭素繊維(帝人株式会社製、商品名:ラヒーマR−A301)16体積%とを分散させて、シリコーン樹脂組成物を調製したこと、得られたシリコーン成型体をプレスして押し固めた後にオーブンにて100℃で1時間硬化させたこと以外は、実施例1と同様にして熱伝導性シートを得た。
実施例6では、シリコーンA液19.5体積%と、シリコーンB液19.5体積%とを混合した2液性の付加反応型液状シリコーン樹脂に、アルミナ粒子(平均粒径3μm、電気化学工業株式会社製)45体積%と、平均長軸長さ150μm、平均短軸長さ8μmのピッチ系炭素繊維(帝人株式会社製、商品名:ラヒーマR−A301)16体積%とを分散させて、シリコーン樹脂組成物を調製したこと、得られたシリコーン成型体をプレスして押し固めた後にオーブンにて100℃で1時間硬化させたこと以外は、実施例1と同様にして熱伝導性シートを得た。
(実施例7)
実施例7では、シリコーンA液18.9体積%と、シリコーンB液18.9体積%とを混合した2液性の付加反応型液状シリコーン樹脂に、平均粒径3μmのアルミナ粒子(電気化学工業株式会社製、製品名:DAW−03)43.6体積%と、平均長軸長さ150μm、平均短軸長さ8μmのピッチ系炭素繊維(帝人株式会社製、商品名:ラヒーマR−A301)18.6体積%とを分散させて、シリコーン樹脂組成物を調製したこと、得られたシリコーン成型体をプレスして押し固めた後にオーブンにて100℃で1時間硬化させたこと以外は、実施例1と同様にして熱伝導性シートを得た。
実施例7では、シリコーンA液18.9体積%と、シリコーンB液18.9体積%とを混合した2液性の付加反応型液状シリコーン樹脂に、平均粒径3μmのアルミナ粒子(電気化学工業株式会社製、製品名:DAW−03)43.6体積%と、平均長軸長さ150μm、平均短軸長さ8μmのピッチ系炭素繊維(帝人株式会社製、商品名:ラヒーマR−A301)18.6体積%とを分散させて、シリコーン樹脂組成物を調製したこと、得られたシリコーン成型体をプレスして押し固めた後にオーブンにて100℃で1時間硬化させたこと以外は、実施例1と同様にして熱伝導性シートを得た。
(実施例8)
実施例8では、得られたシリコーン成型体をプレスして押し固めた後にオーブンにて100℃で1時間硬化させたこと以外は、実施例1と同様にして熱伝導性シートを得た。
実施例8では、得られたシリコーン成型体をプレスして押し固めた後にオーブンにて100℃で1時間硬化させたこと以外は、実施例1と同様にして熱伝導性シートを得た。
(実施例9)
実施例9では、平均長軸長さ150μm、平均短軸長さ8μmのピッチ系炭素繊維に替えて、平均長軸長さ100μm、平均短軸長さ8μmのピッチ系炭素繊維(帝人株式会社製、商品名:ラヒーマR−X401)を用いたこと、得られたシリコーン成型体をプレスして押し固めた後にオーブンにて100℃で1時間硬化させたこと以外は、実施例1と同様にして熱伝導性シートを得た。
実施例9では、平均長軸長さ150μm、平均短軸長さ8μmのピッチ系炭素繊維に替えて、平均長軸長さ100μm、平均短軸長さ8μmのピッチ系炭素繊維(帝人株式会社製、商品名:ラヒーマR−X401)を用いたこと、得られたシリコーン成型体をプレスして押し固めた後にオーブンにて100℃で1時間硬化させたこと以外は、実施例1と同様にして熱伝導性シートを得た。
(実施例10)
実施例10では、平均長軸長さ150μm、平均短軸長さ8μmのピッチ系炭素繊維に替えて、平均長軸長さ50μm、平均短軸長さ8μmのピッチ系炭素繊維(帝人株式会社製、商品名:ラヒーマR−A201)を用いたこと、得られたシリコーン成型体をプレスして押し固めた後にオーブンにて100℃で1時間硬化させたこと以外は、実施例1と同様にして熱伝導性シートを得た。
実施例10では、平均長軸長さ150μm、平均短軸長さ8μmのピッチ系炭素繊維に替えて、平均長軸長さ50μm、平均短軸長さ8μmのピッチ系炭素繊維(帝人株式会社製、商品名:ラヒーマR−A201)を用いたこと、得られたシリコーン成型体をプレスして押し固めた後にオーブンにて100℃で1時間硬化させたこと以外は、実施例1と同様にして熱伝導性シートを得た。
(実施例11)
実施例11では、シリコーンA液17.3体積%と、シリコーンB液17.3体積%とを混合した2液性の付加反応型液状シリコーン樹脂に、平均粒径3μmのアルミナ粒子(電気化学工業株式会社製、製品名:DAW−03)39.9体積%と、平均長軸長さ150μm、平均短軸長さ8μmのピッチ系炭素繊維(帝人株式会社製、商品名:ラヒーマR−A301)25.5体積%とを分散させて、シリコーン樹脂組成物を調製したこと、得られたシリコーン成型体をプレスして押し固めた後にオーブンにて100℃で1時間硬化させたこと以外は、実施例1と同様にして熱伝導性シートを得た。
実施例11では、シリコーンA液17.3体積%と、シリコーンB液17.3体積%とを混合した2液性の付加反応型液状シリコーン樹脂に、平均粒径3μmのアルミナ粒子(電気化学工業株式会社製、製品名:DAW−03)39.9体積%と、平均長軸長さ150μm、平均短軸長さ8μmのピッチ系炭素繊維(帝人株式会社製、商品名:ラヒーマR−A301)25.5体積%とを分散させて、シリコーン樹脂組成物を調製したこと、得られたシリコーン成型体をプレスして押し固めた後にオーブンにて100℃で1時間硬化させたこと以外は、実施例1と同様にして熱伝導性シートを得た。
(実施例12)
実施例12では、平均粒径3μmのアルミナ粒子39.9体積%に替えて、平均粒径45μmのアルミナ粒子(電気化学工業株式会社製、製品名:DAW−45)42.3体積%を用いたこと、得られたシリコーン成型体をプレスして押し固めた後にオーブンにて100℃で1時間硬化させたこと以外は、実施例1と同様にして熱伝導性シートを得た。
実施例12では、平均粒径3μmのアルミナ粒子39.9体積%に替えて、平均粒径45μmのアルミナ粒子(電気化学工業株式会社製、製品名:DAW−45)42.3体積%を用いたこと、得られたシリコーン成型体をプレスして押し固めた後にオーブンにて100℃で1時間硬化させたこと以外は、実施例1と同様にして熱伝導性シートを得た。
(実施例13)
実施例13では、平均粒径3μmのアルミナ粒子39.9体積%に替えて、平均粒径3μmのアルミナ粒子25体積%と、平均粒径1μmの窒化アルミニウム粒子(株式会社トクヤマ社製)17.3体積%とを用いたこと、得られたシリコーン成型体をプレスして押し固めた後にオーブンにて100℃で1時間硬化させたこと以外は、実施例1と同様にして熱伝導性シートを得た。
実施例13では、平均粒径3μmのアルミナ粒子39.9体積%に替えて、平均粒径3μmのアルミナ粒子25体積%と、平均粒径1μmの窒化アルミニウム粒子(株式会社トクヤマ社製)17.3体積%とを用いたこと、得られたシリコーン成型体をプレスして押し固めた後にオーブンにて100℃で1時間硬化させたこと以外は、実施例1と同様にして熱伝導性シートを得た。
(比較例1)
比較例1では、超音波カッターに替えてカッターナイフを用いてシリコーン成型体を切断したこと以外は、実施例1と同様にして熱伝導性シートを得た。
比較例1では、超音波カッターに替えてカッターナイフを用いてシリコーン成型体を切断したこと以外は、実施例1と同様にして熱伝導性シートを得た。
(比較例2)
比較例2では、超音波カッターに替えてスライサーを用いてシリコーン成型体を切断したこと以外は、実施例1と同様にして熱伝導性シートを得た。
比較例2では、超音波カッターに替えてスライサーを用いてシリコーン成型体を切断したこと以外は、実施例1と同様にして熱伝導性シートを得た。
(比較例3)
比較例3では、得られたシリコーン樹脂組成物をバーコーターの間に通してシート状成型物を成型し、複数のシート状成型物を積層して得られたシリコーン積層物を作製し、このシリコーン積層物をプレスして押し固めた後にオーブンにて100℃で1時間加熱してシリコーン硬化物を作製したこと、超音波カッターに替えてカッターナイフを用いてシリコーン成型体を切断したこと以外は、実施例1と同様にして熱伝導性シートを得た。
比較例3では、得られたシリコーン樹脂組成物をバーコーターの間に通してシート状成型物を成型し、複数のシート状成型物を積層して得られたシリコーン積層物を作製し、このシリコーン積層物をプレスして押し固めた後にオーブンにて100℃で1時間加熱してシリコーン硬化物を作製したこと、超音波カッターに替えてカッターナイフを用いてシリコーン成型体を切断したこと以外は、実施例1と同様にして熱伝導性シートを得た。
(比較例4)
比較例4では、シリコーン積層物を作製し、このシリコーン積層物をプレスして押し固めた後にオーブンにて100℃で1時間加熱してシリコーン硬化物を作製したこと、超音波カッターに替えてスライサーを用いてシリコーン成型体を切断したこと以外は、実施例1と同様にして熱伝導性シートを得た。
比較例4では、シリコーン積層物を作製し、このシリコーン積層物をプレスして押し固めた後にオーブンにて100℃で1時間加熱してシリコーン硬化物を作製したこと、超音波カッターに替えてスライサーを用いてシリコーン成型体を切断したこと以外は、実施例1と同様にして熱伝導性シートを得た。
(比較例5)
比較例5では、シリコーン積層物を作製し、このシリコーン積層物をプレスして押し固めた後にオーブンにて100℃で1時間加熱してシリコーン硬化物を作製したこと以外は、実施例1と同様にして熱伝導性シートを得た。
比較例5では、シリコーン積層物を作製し、このシリコーン積層物をプレスして押し固めた後にオーブンにて100℃で1時間加熱してシリコーン硬化物を作製したこと以外は、実施例1と同様にして熱伝導性シートを得た。
(比較例6)
比較例6では、得られたシリコーン樹脂組成物を、20mm×20mmの型の中に押し出してシリコーン成型体を作成したこと、得られたシリコーン成型体をプレスして押し固めた後にオーブンにて100℃で1時間硬化させたこと以外は、実施例1と同様にして熱伝導性シートを得た。
比較例6では、得られたシリコーン樹脂組成物を、20mm×20mmの型の中に押し出してシリコーン成型体を作成したこと、得られたシリコーン成型体をプレスして押し固めた後にオーブンにて100℃で1時間硬化させたこと以外は、実施例1と同様にして熱伝導性シートを得た。
(比較例7)
比較例7では、得られたシリコーン樹脂組成物を、20mm×20mmの型の中に押し出してシリコーン成型体を作成したこと、得られたシリコーン成型体をプレスして押し固めた後にオーブンにて100℃で1時間硬化させたこと、超音波カッターに替えてカッターナイフを用いてシリコーン成型体を切断したこと以外は、実施例1と同様にして熱伝導性シートを得た。
比較例7では、得られたシリコーン樹脂組成物を、20mm×20mmの型の中に押し出してシリコーン成型体を作成したこと、得られたシリコーン成型体をプレスして押し固めた後にオーブンにて100℃で1時間硬化させたこと、超音波カッターに替えてカッターナイフを用いてシリコーン成型体を切断したこと以外は、実施例1と同様にして熱伝導性シートを得た。
実施例1〜実施例13、比較例1〜比較例7の条件等をまとめたものを表1に示す。なお、表1において、比較例3〜比較例5の熱抵抗値は、得られた熱伝導性シートの中央部を測定したものである。
(ピッチ系炭素繊維の配向性)
実施例1〜実施例13及び比較例1〜比較例7で得られた熱伝導性シート中のピッチ系炭素繊維の配向角度は、熱伝導性シートの電子顕微鏡で観察し、ピッチ系炭素繊維が熱伝導性シートの厚み方向から面方向に傾斜している角度を測定し、その平均値を求めることで算出した。
実施例1〜実施例13及び比較例1〜比較例7で得られた熱伝導性シート中のピッチ系炭素繊維の配向角度は、熱伝導性シートの電子顕微鏡で観察し、ピッチ系炭素繊維が熱伝導性シートの厚み方向から面方向に傾斜している角度を測定し、その平均値を求めることで算出した。
実施例1〜実施例13で得られた熱伝導性シートの断面をSEMで観察したところ、図7(A)、(B)に示すように、熱伝導性シートの中央部及びエッジ部において、ピッチ系炭素繊維が熱伝導性シートの厚み方向(D)に対して0°〜5°で配向していた。すなわち、熱伝導性シートのいずれの箇所(中央部及びエッジ部)において、ピッチ系炭素繊維が同じ方向に整列していた。
比較例1、比較例2、比較例6及び比較例7で得られた熱伝導性シートにおいては、熱伝導性シートの中央部及びエッジ部において、ピッチ系炭素繊維が熱伝導性シートの厚み方向(D)に対して0°〜5°で配向していなかった。
比較例3〜比較例5で得られた熱伝導性シートにおいては、中央部では、図8(A)に示すように、ピッチ系炭素繊維が熱伝導性シートの厚み方向(D)に対して0°〜5°で配向していた。しかしながら、エッジ部では、図8(B)に示すように、ピッチ系炭素繊維が熱伝導性シートの厚み方向(D)に対して0°〜5°で配向していなかった。
比較例1及び比較例2においては、シリコーン成型体を超音波カッターにより切断していないため、切断面の表面粗さが大きくなったためと考えられる。
比較例3〜比較例5においては、得られたシリコーン樹脂組成物をローラーの間に通してシート状成型物を成型し、複数のシート状成型物を積層して得られたシリコーン積層物を用いたためと考えられる。
比較例6及び比較例7においては、シリコーン樹脂組成物が排出される側の開口部の口径が、本体部の内径よりも縮径しているシリンジにより成型した細長柱状のシリコーン成型体を用いてシリコーン硬化物を成型していないためと考えられる。
(熱抵抗評価)
実施例1〜実施例13、比較例1〜比較例7で得られた熱伝導性シートの熱抵抗値の測定結果を表1に示す。
実施例1〜実施例13、比較例1〜比較例7で得られた熱伝導性シートの熱抵抗値の測定結果を表1に示す。
実施例1〜実施例13で得られた熱伝導性シートは、熱伝導性シートのいずれの箇所においても熱抵抗値が0.14〜0.36K/Wであり、厚み方向の熱伝導性が良好であることが分かった。
一方、比較例1、2で得られた熱伝導性シートは、熱抵抗値が0.45K/W以上と高く、厚み方向の熱伝導性が良好でないことが分かった。これは、シリコーン硬化物を超音波カッターにより切断しなかったことにより、切断面の表面粗さが大きくなり、界面での熱抵抗が高くなったためと考えられる。
比較例3〜比較例5で得られた熱伝導性シートでは、中央部での熱抵抗値が0.21〜0.35K/Wと良好であったものの、エッジ部での熱抵抗値が、中央部の熱抵抗値よりも高く、エッジ部における厚み方向の熱伝導性が良好でないことが分かった。これは、得られたシリコーン樹脂組成物をローラーの間を通してシート状成型物を成型し、複数のシート状成型物を積層して得られたシリコーン積層物を用いたことによって、エッジ部においてピッチ系炭素繊維が熱伝導性シートの厚み方向に対して0°〜5°で配向しなかったためと考えられる。
(難燃性評価)
実施例1〜実施例13、比較例1〜比較例5で得られた熱伝導性シートの難燃性評価は、燃焼試験(UL94V)により行った。熱伝導性シートの難燃性評価の結果を表1に示す。
実施例1〜実施例13、比較例1〜比較例5で得られた熱伝導性シートの難燃性評価は、燃焼試験(UL94V)により行った。熱伝導性シートの難燃性評価の結果を表1に示す。
実施例6〜実施例13で得られた熱伝導性シートは、実施例1〜実施例5で得られた熱伝導性シートよりも、難燃性評価の結果が良好であった。これは、実施例6〜実施例13で得られた熱伝導性シートは、シリコーン成型体を硬化させる際に、シリコーン成型体の整列方向と垂直な方向にプレスしたことにより、シリコーン成型体中から気泡がより確実に取り除かれたためと考えられる。なお、表1における「熱伝導性シート中の気泡」の有無は、熱伝導性シートの表面を目視で貫通孔、くぼみがないことを確認することによって判断した。
比較例3及び比較例4で得られた熱伝導性シートは、シリコーン成型体をオーブンにて100℃で1時間硬化させた後、プレスして押し固めたにも拘わらず、難燃性評価の結果が良好ではなかった。これは、比較例3及び比較例4では、シリコーン成型体を超音波カッターにより切断していないため切断面の表面粗さが大きくなり、熱伝導性シート中に気泡が残存したためと考えられる。
1 熱伝導性シート、2 熱伝導性組成物、3 押出機、4 仮成型体、4A 積層体、5 本成型体、6 超音波切断機、7 枠、8 ワークテーブル、9 超音波カッター、10 移動台、11 シリコーンラバー、12 移動機構、13 ナイフ、14 超音波発振機構、15 昇降機構
Claims (10)
- 硬化性樹脂組成物及び熱伝導性フィラー成分を含有する熱伝導性組成物を押出機で押出して、押出方向に沿って上記熱伝導性フィラー成分が配向した細長柱状の仮成型体を成型する仮成型工程と、
複数の上記仮成型体を長手方向と直交する方向に隣接するように整列させ、上記整列させた複数の仮成型体を上記整列方向と略直交する方向に配設させた積層体を得る整列工程と、
上記積層体を硬化させることにより、上記積層体を構成する複数の仮成型体同士が一体化した本成型体を成型する本成型工程と、
上記本成型体を、上記仮成型体の長手方向と直交する方向に、所定の寸法に切断する切断工程と
を有する熱伝導性シートの製造方法。 - 上記切断工程では、超音波切断機により、上記本成型体を、上記仮成型体の長手方向と直交する方向に切断する請求項1記載の熱伝導性シートの製造方法。
- 上記熱伝導性フィラー成分が炭素繊維である請求項2記載の熱伝導性シートの製造方法。
- 上記熱伝導性フィラー成分の平均繊維長が100μm以上である請求項3記載の熱伝導性シートの製造方法。
- 上記熱伝導性フィラー成分の含有量が16〜26体積%である請求項4記載の熱伝導性シートの製造方法。
- 上記熱伝導性組成物は、さらに充填材を含有し、
上記充填材の平均粒子径が1〜45μmである請求項5記載の熱伝導性シートの製造方法。 - 上記充填材が、窒化アルミニウム、球状のアルミナ粒子又は窒化アルミニウムと球状のアルミナ粒子との混合物である請求項6記載の熱伝導性シートの製造方法。
- 上記押出機は、細長状の筒形に構成されており、上記熱伝導性組成物が排出される側の開口部の口径が、本体部の内径よりも縮径している請求項7記載の熱伝導性シートの製造方法。
- 上記本成型工程では、上記積層体を構成する複数の仮成型体の長手方向と直交する方向にプレスする請求項1乃至8のうちいずれか1項記載の熱伝導性シートの製造方法。
- 硬化性樹脂組成物及び熱伝導性フィラー成分を含有する熱伝導性組成物を押出機で押出して、押出方向に沿って上記熱伝導性フィラー成分が配向した細長柱状の仮成型体を成型し、
複数の上記仮成型体を長手方向と直交する方向に隣接するように整列させ、上記整列させた複数の仮成型体を上記整列方向と略直交する方向に配設させた積層体を得て、
上記積層体を硬化させることにより、上記積層体を構成する複数の仮成型体同士が一体化した本成型体を成型し、
上記本成型体を、上記仮成型体の長手方向と直交する方向に、所定の寸法に切断することによって得られた熱伝導性シート。
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