JP2013130243A - 歯車及び画像形成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 歯車を小型に保ちつつ剛性を高めることを目的にする。
【解決手段】 円盤状のウエブ1aと、ウエブ1aの外周部に設けられた歯面2を備える歯車1は、ウエブ1aの一面側1a1から窪む複数の一面側凹部7aと、ウエブ1aの他面側1a2から窪む複数の他面側凹部6aと、を備え、
一面側凹部7aと他面側凹部6aは歯車1の円周方向B1に沿って交互に配置され、軸線方向F1において位置が重なることを特徴とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、複写機,プリンタ等の画像形成装置及びカメラ等の撮像装置への使用が可能な歯車構造に関するものであり、特に低振動・低騒音化を目的とする技術分野に関する。ここで画像形成装置とは紙などの記録媒体に画像を形成するものである。また撮像装置とは被写体を撮影するものである。
稼働時の歯車の振動や騒音低減には、歯車のウエブ面の剛性をあげて歯車同士の噛み合いによるウエブ面の振動を抑えることが効果的であることが実験や解析ですでにわかっている。
図18に従来から一般的に使用されている歯車の斜視図を示す。図18(a)は歯車を一方方向から見た斜視図であり、図18(b)はその裏面図である。図18において、23は歯車、24及び26は歯車23のウエブに形成されたリブ、25及び27は歯車の基本肉厚部である。図示の如く、歯車の多くは歯車のウエブにリブを形成し歯車ウエブの剛性をあげる構成をとるが、射出成型時の引け(成形収縮によって生じるへこみ)防止や歯形精度向上のためにリブ太さを基本肉厚の50〜70%程度に設定するのが好ましい。このようにリブ太さの上限には制限あり、リブによって十分な剛性を確保することは困難であった。そのため、歯車に十分な剛性を持たせるためには歯車を大型化する必要があった。
そこで、歯車を大型化することなく歯車ウエブの剛性を高める提案として、以下の提案がなされている。
図19はその先行技術文献での提案例を説明する図である。円筒状に形成され外周面151aに軸に対して斜めの歯を有するリム151と、円盤状に形成されリム151の内周面151bから軸芯方向に延在するウエブ152と、軸芯に形成されたボス153と、が一体樹脂成形される。さらに、ウエブ152には軸方向の強度を補強するリム151径よりも小さな同心円の補強部154が少なくとも1つ以上形成する。これにより、リムの形状を損なうことなくウエブを補強でき、リムの断面2次モーメントを均一にするとともに充填および熱収縮の均一な樹脂成形を実現するように構成したものである(特許文献1参照)。
また、他の先行技術文献では、中心部に存するハブから周縁部に存するリムまで放射状に延びる複数のリブを備えた樹脂製歯車において、ウエブ表面とウエブ裏面に形成した複数のリブの配置をずらす構成が記載されている。これにより歯車の成形時における引けを抑制し、高精度な歯車成形を実現する構成も提案されている(特許文献2参照)。
特開平7−208579号公報 特開2004−278635号公報
本発明は上記従来例を更に発展させたものであり、歯車を小型に保ちつつ剛性を高めることを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の代表的な構成は
円盤状のウエブと、前記ウエブの外周部に設けられた歯面を備える歯車において、
前記ウエブの一面側から窪んだ複数の一面側凹部と、
前記ウエブの他面側から窪んだ複数の他面側凹部と、
を備え、
前記一面側凹部と前記他面側凹部は前記歯車の円周方向に沿って交互に配置され、前記歯車の軸線方向において位置が重なることを特徴とする。
本発明によれば歯車を小型に保ちつつ剛性を高めることができる。
歯車の斜視図(実施例1) 歯車の斜視図(実施例1) 歯車の断面図(実施例1) 歯車駆動機構の説明図 歯車駆動機構の説明図 歯車駆動機構の説明図 噛み合い時の変形概念図 歯車のウエブ剛性説明図 歯車のウエブ剛性説明図 歯車のウエブ剛性説明図 歯車の斜視図(実施例2) 歯車のウエブ剛性説明図(実施例2) 歯車の斜視図(実施例3) 歯車の変形を説明する概念図 歯車のウエブ剛性説明図 本発明を適用した歯車を用いたレーザビームプリンタの説明図 本発明を適用した歯車を用いたレーザビームプリンタの説明図 歯車の斜視図(従来例) 歯車の斜視図(従来例) 歯車の正面図(実施例3)
(実施例1)
本発明を適用した歯車を代表的な歯車駆動機構を用いて説明する。
図1は本発明を適用した本実施例の歯車の斜視図であり、図1(a)は歯車正面図、図1(b)は歯車裏面図である。
図1(a)及び図1(b)において、1は本発明を適用した歯車であって、大径歯車部と小径歯車部の段ギアからなる。1aは円盤状のウエブであり、歯車1の基盤部となる。2は歯車1の外周(ウエブ1aの外周)に形成された大径歯車の歯面である。歯面2は歯車の回転軸に対して傾いた斜歯(はすば)である。
また、3は歯車1を回転自在に支持する支持軸8(図4参照、後述)の外周部と係合するためのボス部である。ボス部3の内面には係合穴5が形成される。また、ボス部3の一部には他の歯車と噛み合う小径歯車の歯面4が形成されている。6は歯車1のウエブ1aの一面側(以下「表側」と呼ぶ)1a1に複数形成された平面部、7はウエブ1aの他面側(以下、「裏側」と呼ぶ)1a2に複数形成された平面部である。
図2は、歯車1の斜視図である。図3(a)は図2における平面A1で歯車1を切断した際の断面図である。平面A1は歯車1の回転軸の軸線f1を含む平面である。図3(b)は図2における平面A2で歯車1を切断した際の断面図である。平面A2も平面A1同様に歯車1の回転軸の軸線f1を含む面である。
本実施例の歯車1では図3に示されるように、ウエブ1aの表側1a1に設けられた平面部6は、ウエブ1aの裏側1a2に設けられた凹部6aによって形成される。ここで凹部6aはウエブ1aの裏側1a2から窪み、表側1a1に平面部6を形成する裏側凹部(他面側凹部)である。
またウエブ1aの裏側1a2に設けられた平面部7は、ウエブ1aの表側1a1に設けられた凹部7aによって形成される。ここで凹部7aはウエブ1aの表側1a1から窪み、裏側1a1に平面部7を形成する表側凹部(一面側凹部)である。凹部7aは凹部6aに対して位相が180°異なる関係になっている。
ここで凹部6aと凹部7aは、歯車1の軸線方向Fにおいて重なることを特徴とする。つまり、図3に示すように、歯車1の軸線f1が延びる方向(軸線方向F)において、凹部6aと凹部7aは重なる範囲Gを有する。
また本実施例ではこれら複数の平面部6及び複数の平面部7がウエブ3の円周方向(歯車1の回転方向)に沿って交互に形成されていることを特徴とする。
すなわち図1(a)に示すようにウエブ1aの表側1a1には平面部6と凹部7aがそれぞれ16個ずつ設けられ、ウエブの円周方向(矢印B1とB2で示す方向)に沿って、平面部6と凹部7aが交互に配置された円形の列を2つ形成する。つまり矢印B1に沿った列と、矢印B2に沿った列の2つの列が同心円状に形成され、一列当たり8つの平面部6と8つの凹部7aが交互に並ぶことになる。また、本実施例ではウエブ1aの半径方向C1に沿って、平面部6と凹部7aが隣接して並ぶようにした。
また図1(b)に示すようにウエブ1aの裏側1a2には、平面部7と凹部6aがそれぞれ16個ずつ設けられ、ウエブ1aの円周方向に沿って、平面部7と凹部6aが交互に配置された列が2つ並ぶことになる。また、半径方向に沿って、平面部7と凹部6aが隣接する。
つまり本実施例の歯車1では、ウエブ1aの円周方向B1,B2に沿って、ウエブ1aの表側1a1に形成された凹部7aと、ウエブ1aの裏側1a2に形成された凹部6aが、交互に配置される。またウエブ1aの半径方向C1に沿って、凹部7aと凹部6aが交互に配置される。
本実施例では、図3に示されるように歯面2の歯筋長さ(歯幅)と、ウエブ1aの厚み(平面部6と平面部7との距離)がほぼ等しくなるまで、平面部6の高さと平面部7の高さを大きくした構成を取っている。むろん、歯車ウエブ1aの厚みを歯幅に合わせる必要はない事は言うまでもなく、駆動伝達時に必要とされる強度から適宜設定すれば良い。
図4は本実施例の歯車を使用した歯車駆動機構の歯車列の斜視図であり、図5は正面図、図6は側面図である。図4〜図6において、8は歯車1を回転自在に保持する支持軸であって歯車1の係合穴5(図1参照)に挿入されている。9は歯車1と噛み合う駆動歯車であり、不図示の駆動機構によって回転軸10と一体となって回転し、歯車1への駆動伝達を行うものである。一方、歯車1を挟んで駆動歯車9の反対側には回転軸13に回転自在に軸支持された出力歯車11がある。出力歯車11の最外周に形成された歯面12が歯車1の小径歯車の歯面4と噛み合い、駆動源からの動力力を出力する構成となっている。
ここで、本実施例の歯車1は上述したように歯面2がはすばとなるはすば歯車である。はすば歯車では歯面(歯筋)が斜めに形成されているために、他の歯車との噛み合い、回転する時には、噛み合い部において歯車のスラスト方向(図7中でE2方向)に力がかかる。この力によって、仮に図7に示すように歯車1の一部(部位Q)が変形してしまうと、他の歯車との噛み合いが正常に保たれなくなる。このとき歯車1と駆動歯車9及び出力歯車11とのアライメントに誤差が生じ、歯車1の回転が変動したり、歯車1の振動や騒音の原因になる可能性が生じる。
ここで従来型の歯車23(図18参照)を用いて、歯車の変形と歯車が生じる騒音の関係について調べたので以下に説明する。図8は、従来の歯車23を回転させた時に、ウエブの倒れ角度(=ウエブの変形量)と、歯車23から生じる騒音との関係を示すグラフである。即ち、剛性を異ならせた歯車23を複数用意し、それぞれの歯車を同様の条件で回転させた際の、歯車の変形と、歯車から生じる騒音の関係を示したものである。
実験条件として、歯車23を毎分3000回転させた時の騒音を測定することとした。また歯車から生じる騒音を、ウエブの倒れ角度が0°となる場合を基準として、そこからの増分で示した。またウエブの倒れ角度は、シミュレーションにより計算で測定してある。
図8より明らかなように歯車ウエブ面の倒れ角度の増加に伴い、歯車による騒音も増大する事が分かっている。
図9に、FEM計算で求めた、歯車の変形状態図を示す。他の歯車と噛み合い、回転する時には歯車23の一部の領域(部位Q2)が矢印E1方向に大きく変形し、アライメント誤差を生じさせ、振動や騒音を増大させている事が確認できる。
この振動や騒音を低減させるためには、歯車の剛性をあげ、歯車の変形量を小さくすることが求められる。従来は、歯車の剛性を上げるために、歯幅を大きく取ってウエブの厚みを厚くする、歯車の基本肉厚を厚くするなどの手段が取られていた。しかし、それぞれで課題を有している。つまり歯車のウエブを厚くすると歯車を用いる機器も大型化してしまう。また、歯車の基本肉厚を厚くすると歯車の成型時に、収縮によってへこみができる、所謂ひけ問題が生じやすくなり、高精度の歯車を製造する事ができなくなる。
そこで本実施例では、上記の課題を生じさせることなくウエブの剛性を高められる形状の歯車1を提供する。
すなわち本実施例では歯車1においてウエブ1aの剛性を高める手段として、図1で示したように、ウエブ1aの半径方向及び円周方向において、凹部7a(平面部7)と凹部6a(平面部6)を交互に配置したことを特徴とする。これにより、ウエブ1aの剛性を上げることができる。なお本実施例では、歯車1の剛性を全体で均一にするうえでウエブ1aに形成する凹部7aと凹部6aの個数を同数とした。
図10に従来の歯車23(図18参照)のウエブと本実施例の歯車1のウエブ1aの剛性比較を示す。このグラフは歯車23と歯車1の歯面に同条件で力をかけた場合のウエブの変形量を計算で求め、比較したものである。
ここでは、歯車に使用される材料の体積と、歯車の大きさをほぼ同一にした条件で、従来の歯車23と本実施例における歯車1を比較している。その結果、本発明の歯車1では従来の歯車23に比較して約41%も変形量を低減する結果を得た。この事より、本実施例の歯車1の形状は剛性アップの観点から、従来に比較して非常に優位であると思われる。
また、逆に歯車1の剛性を従来同等に維持させた条件では、使用する材料を減少させることが可能である。この事は、機器の小型化やエコロジーの観点からも非常に有効なものと考えられる。
また、一般に歯車を熱可塑性樹脂で成形する場合には、成形時の収縮によって歯車にへこみが生じること(引け)を抑制するため、歯車の基本肉厚を薄くすることが望ましい。本実施例における歯車1は、歯車の剛性を高くしつつ、歯車の基本肉厚を薄くすることができるので、成形時にへこみが生じることを抑制できる。すなわち歯車1を熱可塑性樹脂で成形した場合にも、歯車1の寸法を高精度に保つことができる。
(実施例2)
図11に本発明の第2の実施例を示す。図11の歯車14及び歯車16は歯車の一面側に形成される平面部と凹部によって歯車の一面側が分割される分割数、すなわち歯車の表側凹部(一面側凹部)と裏側凹部(他面側凹部)の合計数を実施例1よりも増やしたものである。基本的な構造は実施例1の歯車と同じなので詳細な説明は省略する。
図11(a)に示す歯車14は、円周方向を24分割するように、その表側に平面部と凹部を形成したものである。すなわち、歯車14の表側には凹部15aと平面部15bが交互に並んで円形の列を同心円状に2列形成している。これらの列には、1列あたり12個の凹部15aと12個の平面部15bが交互に配置されることで、歯車14を円周方向において24分割している。
また凹部15aと平面部15bは歯車14の半径方向に1つづつ配置され、歯車14を半径方向に2分割している。なお、ここで平面部15bは、実施例1の平面部6と同様に、歯車14の裏側に設けられた凹部(他面側凹部)によって形成されている。
また図11(b)に示す歯車16は円周方向を24分割し、且つ半径方向を4分割するように、平面部と凹部を形成している。すなわち、歯車16の表側には凹部17aと平面部17bが交互に並んで円形の列を形成している。歯車16ではこの列が同心円状に4つ形成されることで、歯車16は半径方向に4分割されている。
すなわち、歯車16の円周方向に、12個の凹部17aと12個の平面部17bが交互に並ぶことで、歯車16を円周方向に24分割する。また歯車16の中心部から半径方向に2つの凹部17aと2つの平面部17bが交互に並ぶことで、歯車16を径方向に4分割している。
なお、ここで平面部17bは、実施例1の平面部6と同様に、歯車16の裏側に設けられた凹部(他面側凹部)によって形成されている。
一般的には円周方向及び半径方向ともに、ウエブの分割数を増やすと歯車のウエブ剛性はより一層高めることができると思われる。それを確認するために、歯車のウエブ剛性をFEM計算で比較した。
この結果を図12に示す。図12において、左より従来例の歯車23(図18参照)、実施例1の歯車1(図1参照)、本実施例の歯車14(図11(a)参照)、本実施例の歯車16(図11(b)参照)のウエブの剛性を計算した結果である。それぞれの歯車に力を加えた際の変形量を棒グラフで示し、またそれぞれの歯車の体積を破線で示した。
図12に示す様に、歯車1(図1)に比べて歯車14(図11(a))の方が、歯車に力を加えた際の変形量が小さく、剛性が高いことがわかる。また、歯車1、歯車14よりも歯車16(図11(b))の方がさらに剛性が高い。
つまり円周方向及び半径方向でウエブの分割数を増やすこと(歯車に形成する凹部と平面部の数を増やすこと)によって、より歯車のウエブ剛性をあげる(歯車の変形量を低減させる)事が可能となってくる。これにより、歯車の駆動時に生じる振動や騒音を低減させる事が可能となる。
ただし図12に示す破線から分かるように、歯車14、歯車16は歯車1よりも体積が大きい。つまりウエブの分割数を増やすことで歯車の体積は大きくなる傾向がある。よって歯車に求められる体積および剛性の条件から、適宜、ウエブの分割数を選択すると良い。
なお、一般的な歯車は、歯車の外周に形成された歯面で噛み合うものが多い。その場合、噛み合いにより歯面に力がかかり、その力により歯車のウエブが変形する。この変形量を抑えるには、歯車内周側のウエブ剛性を上げる事で、曲げモーメントに対して歯車を強くすることが考えられる。
ここで、円周方向におけるウエブの分割数に関して、内周側の分割数を外周側の分割数よりも多くさせる事で、歯車のウエブ剛性を高めることができる。歯車16(図11(b)参照)のように、半径方向に歯車が3分割以上される場合は、歯車の最も内側における円周方向の分割数を、歯車の最も外側における円周方向の分割数よりも大きくするとよい。
なお、実施例1及び本実施例での歯車1、14,16は、はすば歯車を前提として説明してきたが、平歯歯車でも本実施例の構成を取ることでウエブ剛性を上げる効果がある。
しかし、はすば歯車の場合は、歯面がネジレ角を有し、歯面(歯筋)が歯車の軸線(回転軸)に対して斜めになっている為に、歯車の回転時にスラスト方向に大きな力がかかる。そのためはすば歯車へ上述の構成を適用することが、本発明の効果をより一層得る上では望ましい。
(実施例3)
図13に本発明の第3の実施例を示す。図13(a)は本実施例の歯車18を表側からみた斜視図である。図13(b)は歯車18を裏側からみた斜視図である。
図13において、歯車18ははすば歯車であって、実施例1の歯車同様にウエブの両側に互いに位相をずらした凹部19及び凹部21を有する構成の歯車である。しかし実施例1と異なり、凹部19の側面を形成する壁面(以下、「傾斜面」と呼ぶ)20と凹部21の側面を形成する壁面(以下、「傾斜面」と呼ぶ)22を、図14に示すように歯車18の軸線d1に対して斜めに構成している事が特徴である。ここで図14ははすば歯車のネジレ角と傾斜面との関係を示す概念図である。
図13、14に示すように傾斜面20及び傾斜面22は歯車18の歯面(はすば)18cと略直交する方向に形成されている。この傾斜面20及び傾斜面22は、はすば歯車である歯車18が、駆動時に受けるスラスト方向の力に対し、より剛性を保つために形成されてある。
つまりはすば歯車である歯車18は、回転時に歯面(はすば)18cと直交する方向に力が加わる。そこで、図14に示すようにこの歯面18cに対して直交するように傾斜面20、22を設ければ、歯車の実効歯幅を大きくさせる事と同等の効果を得る事ができる。
はすば歯車のネジレ角は一般的には10〜30度程度とる場合が多い。そのため、この傾斜面20、22の傾斜角度は、歯面(はすば)18cに略直交する様に30〜60度程度取る事が望ましい。
図15にFEM計算で歯車のウエブ剛性を確認したデータを示す。図15では「はすばのネジレ角と逆方向」で傾斜面を形成した場合と、「はすばのネジレ角と同一方向」で傾斜面を形成した場合とを比較している。
傾斜面を「はすばのネジレ角と逆方向」に形成した場合とは図14のように傾斜面20(22)を歯面18cと交差(直交)する様に傾斜した場合であって、これが本実施例の歯車18の構成にあたる。
一方、傾斜面を「はすばのネジレ角と同一方向」に形成した場合とは、歯面(はすば)18cの傾きに沿って傾斜面22を傾斜した場合であり、これを本実施例に対する比較例とした。
上記2つの歯車の剛性を比較するため、図20に示すように、歯車の各点R1‐R9に力を加えた際の、歯車の変形量をそれぞれFEM計算にて求めた。なお図20は本実施例における歯車18の正面図である。
図15において白抜きの点(□)が、傾斜面を「はすばのネジレ角と逆方向」に形成した本実施例を表す点であり、黒塗りの点(◆)が、傾斜面を「はすばのネジレ角と同一方向」に形成した比較例を表す点である。
グラフ縦軸は、図20のR1−R9に、スラスト方向(図20において図面の裏から表に向かう方向)に力を加えた際の歯車の変形量をそれぞれ計算で求め、ミリメートルで示したものである。
グラフ横軸は、歯車に力を加えた位置、すなわち図20におけるR1、R2、R3…R9を角度で示したものである。R1を基準として0°にとり、R2の角度θが5°に対応する。また、R3、R4…R9が、それぞれ5°刻みで、10°、15°…40°に対応する。
図15から分かるように、傾斜面を「はすばのネジレ角と逆方向」に形成した本実施例の方が、歯車の変形量も小さくなり、歯車ウエブ面の剛性が上がっている事を確認できる。
この様に、実施例1の構成に加え、更に凹部に傾斜面を形成させることで、より低振動及び低騒音の歯車を提供する事が可能となる。
なお傾斜面20、22を歯面(はすば)18cと直交させることが最も望ましいが、必ずしもこれに限る必要はない。傾斜面20、22が歯車18の軸線d1に対して傾斜する向きが、歯車18の歯面(はすば)18cが軸線d1に対して傾斜する向きの反対であるとよい。
つまり、図14に示すように歯車18を軸線d1が水平になるように配置し、軸線d1と直交する向きからみたときに、歯面(はすば)18cが軸線d1に対して右下がりに傾く場合は、傾斜面20(22)を軸線d1に対して右上がりに傾かせるとよい。またこれとは逆に歯面(はすば)18cが右上がりに傾く場合は、傾斜面20(22)を右下がりに傾斜させると良い。
なお本実施例では、歯車18の成形時に、収縮によってへこみができること(ひけ)を防止するため、歯車18の表側に設けた凹部19と、裏側に設けた凹部21の両方にそれぞれ傾斜面20、22を設けた。しかし、凹部19と凹部21のどちらか一方に傾斜面を形成してもよい。
(歯車の適用例)
次に本発明を適用した歯車からなる駆動機構をレーザビームプリンタの駆動機構に適用した事例を示す。
図16は、本実施形態にかかる画像形成装置の一例たるレーザビームプリンタ100の概略構成を示す断面図である。レーザビームプリンタ100は、記録材たる記録シートPを収納するデッキ101、このデッキ101内から記録シートPを繰り出すピックアップローラ102を有する。
更にレーザビームプリンタ100は、上記ピックアップローラ102によって繰り出された記録シートPを搬送するデッキ給紙ローラ103、そのデッキ給紙ローラ103と対をなし記録シートPの重送を防止するためのリタードローラ104を有する。そして、デッキ給紙ローラ103が記録シートPを搬送する搬送方向の下流側には、給紙搬送ローラ105とレジストレーションローラ対106が配設されている。
給紙搬送ローラ105は、デッキ給紙ローラ103よりも更に記録シートPを下流へ搬送する。またレジストレーションローラ対106は、記録シートPを画像形成動作と同期して搬送する。又、レジストレーションローラ対106の下流には、後述するレーザスキャナ部107からのレーザ光に基づいて感光体ドラム108上にトナー像を形成する画像形成手段を構成するプロセスカートリッジCが装置本体に対して着脱可能に装着されている。
このプロセスカートリッジCは、回転可能な感光体ドラム108と、その周囲に帯電ローラ109及び現像器110、更にはクリーニング器(図示せず)が設けられている。プロセスカートリッジCは画像形成に帯電ローラ109によって感光体ドラム108の表面を一様に帯電する。そして、レーザービームプリンタ100の装置本体に設けられたレーザスキャナ部107から、感光体ドラム108に選択的な露光を行う。これにより感光体ドラム108上に潜像(静電潜像)を形成し、そしてこの潜像を現像器110によってトナーで現像して可視像化する。そして、転写ローラ111に転写バイアス電圧を印加することで搬送されてきた記録シートPに上記トナー像を転写して画像を形成する。
更に、転写ローラ111の下流には、搬送ガイド112、記録シートP上に転写されたトナー像を熱定着する定着装置113が設けられている。尚、この定着装置113はシート分離装置を備えたものである。
その後、記録シートPは、搬送ローラ対114により排出ローラ115に送られ、次いで排出ローラ115により装置本体上面の排出トレイ116上に排出され、これで一連のプロセスが完了する。
ここで、前述した感光体ドラム108やそれと一体的に機能(回転等)して帯電露光を行うプロセスカートリッジの駆動機構は、近年の画質に伴い非常に高精度の回転精度が要求される。この様な駆動系には一般的にブラシレスモータと歯車駆動機構から構成されるが、稼働時には駆動モータや歯車駆動部の歯車噛合いを起振源とした振動がドラム等に影響を与え画質を乱す主要な要因でもある。そこで、本発明ではこのプロセスカートリッジの駆動系に本歯車の構造を適用し、低振動化を図っている。
次に図17に、本発明の歯車を前記レーザビームプリンタのドラム駆動部に適用した模式図を示す。
図17において、108は感光体ドラム、131は感光体ドラムを回転自在に保持するドラム軸、132は感光体ドラムを駆動せしめる、はすば歯車であってドラム軸131に取り付けられる。133は駆動源としてのモータ、134は前記モータ133や前記ドラム軸131を保持する構造板金、135は前記はすば歯車132と噛合うモータピニオンである。はすば歯車132に、上述した実施例の歯車(歯車1、14、16、18のいずれか)の構成を採用した。
図17に示した如く、駆動源であるモータ133が回転するとモータ軸の先端に圧入(又は一体的にモータ軸に形成)されたモータピニオン135が回転し、その回転に伴いはすば歯車132が回転して感光体ドラム108が所定の回転数で回転する構成である。
近年のレーザビームプリンタは画質とプロセススピード(印刷速度)の両立は必須の機能でもあり、駆動モータの回転数も高くする設計がなされている。しかし、駆動モータの回転数に伴い、振動や騒音が大きくなり卓上に設置する場合にユーザに不快感を与える可能性もあった。
そこで、本発明の歯車を適用する事により振動や騒音の増加を最小限に抑える事が可能となり、快適なオフィス環境を提供する事が可能になってくると考える。
なお感光体ドラム108に駆動力を伝えるはすば歯車132に本発明を適用したが、感光体ドラムに作用するプロセス手段や紙を搬送させる給紙機構などに駆動力を伝える歯車に本発明を適用してもよい事は言うまでもない。
1 歯車(第1実施例)
2 歯面
4 歯面
6、7 平面部(実施例1)
14、16 歯車(実施例2)
15、17 平面部(実施例2)
18 歯車(実施例3)
20、22 傾斜面
23 歯車(従来例)

Claims (11)

  1. 円盤状のウエブと、前記ウエブの外周部に設けられた歯面を備える歯車において、
    前記ウエブの一面側から窪んだ複数の一面側凹部と、
    前記ウエブの他面側から窪んだ複数の他面側凹部と、
    を備え、
    前記一面側凹部と前記他面側凹部は前記歯車の円周方向に沿って交互に配置され、前記歯車の軸線方向において位置が重なることを特徴とする歯車。
  2. 前記一面側凹部と前記他面側凹部が前記円周方向に沿って交互に配置された列が、同心円状に複数形成されることを特徴とする請求項1に記載の歯車。
  3. 前記一面側凹部と前記他面側凹部は、前記歯車の中心部から前記歯車の半径方向に沿って交互に配置されることを特徴とする請求項2に記載の歯車。
  4. 前記一面側凹部と前記他面側凹部が前記円周方向に沿って交互に配置された、複数の前記列の内、前記歯車の最も内側に設けられた列に配置される前記一面側凹部と前記他面側凹部の合計数は、前記前記歯車の最も外側に設けられた列に配置される前記一面側凹部と前記他面側凹部の合計数よりも多いことを特徴とする請求項2に記載の歯車。
  5. 前記歯車は前記歯面がはすばとなった、はすば歯車であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の歯車。
  6. 前記一面側凹部または前記他面側凹部の少なくとも一方の凹部は、前記一方の凹部の一部を形成し、前記歯車の軸線に対して傾斜する傾斜面を有し、
    前記傾斜面は前記歯車の軸線に対して、前記歯面が前記歯車の軸線に対して傾く向きとは反対側に傾き、前記歯面と交差することを特徴とする請求項5に記載の歯車。
  7. 前記歯面と前記傾斜面は、直交することを特徴とする請求項6に記載の歯車。
  8. 前記一面側凹部と前記他面側凹部の数は同数であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の歯車。
  9. 前記歯車は熱可塑性樹脂で形成されることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の歯車。
  10. 記録媒体に画像を形成する画像形成装置において、
    静電潜像が形成される感光体ドラムと
    請求項1乃至9のいずれか1項に記載の歯車と、
    を備えることを特徴とする画像形成装置。
  11. 前記歯車は、前記感光体ドラムを回転させる駆動力を伝えるために用いられることを特徴とする請求項10に記載の画像形成装置。
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