JP2013126287A - 高放熱性モータおよびその製造方法 - Google Patents

高放熱性モータおよびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】コイルで発生する熱が効率的に外部に放出され、かつ、制御回路等に伝達されにくいモータ、および、その製造方法を提供すること。
【解決手段】本発明は、永久磁石または電磁石が固着された主軸と、鉄心およびコイルが埋設された樹脂筐体とを備えるモータであって、前記樹脂筐体を構成する樹脂中に窒化ホウ素粉末を含み、該窒化ホウ素粉末の少なくとも一部が前記主軸と実質的に垂直な方向に配向していることを特徴とする高放熱性モータである。
【選択図】図5

Description

本発明は、高放熱性モータおよびその製造方法に関する。より詳細には、内部のコイルに電流を通電することにより回転するモータであって、熱伝導性樹脂で成形された筐体を備えるモータ、および、その製造方法に関する。
モータは、内部のコイルに通電して電磁力を発生させ、主軸または主軸の周囲に設けた永久磁石や電磁石との反発力や引力により回転力を発生させる装置である。モータの仕様により、通電する電流は直流であったり、交流であったりするが、産業用ロボットや情報機器用のハードディスクドライブなど様々な分野に適用されている。
モータの構造例としてブラシレスモータの内部構造例を図1(a)、(b)に示す。図1では、モータの駆動原理を説明するため、永久磁石とコイルに関する部分を記載しているが、コイルに付属するインシュレータや主軸の軸受けなどの詳細部品は省略している。この構造では、モータの主軸12の周囲に永久磁石13が具備されており、その外周部分に設置されたコイルに通電すると電磁力による反発力と引力でモータ主軸を回転させることができる。モータの回転速度や回転方向は、電極2から通電する電流の切り替え速度や極性により制御することができる。
また、同じ断面でのコイルの拡大図を図2に示す。コイルの鉄心15には絶縁性のインシュレータ16が具備されており、インシュレータ16に樹脂被覆した銅線を巻きつけてコイル14が形成されている。また、これらのコイルは樹脂筐体11に埋設されている。ここで、コイルに通電して電磁力を発生させ、主軸12を回転させると、コイルの持つ抵抗で熱が発生する。この熱を効率良くモータの外部に放出しないと、回転数やトルクなどのモータ性能を低下させるだけでなく、後述の制御回路に伝熱してしまうと回路の誤動作を起す可能性がある。
図3(b)に、モータの横方向の断面図(図3(a)の面Bでの断面図)を示す。図3(b)に示されるように、モータの主軸12は、一方(ブラケット17側)が外部に動力を伝え、もう一方が主軸12の回転状況を検出するための制御回路等の部品18に接続されている場合がある。制御回路は、モータ主軸の回転状況や角度を光学的に検出するため、モータの発熱が制御回路の部品18に伝熱すると、光学部品の光軸ずれやフォトダイオードの特性が低下して、検出器が誤動作したり、検出感度が低下したりしていた。
従来は、このような課題に対し、特許文献1(特開2006−205373号公報)に記載されるように、樹脂中に熱伝導性の低いジルコニア(ZrO2)粉末と熱伝導性の高いアルミナ(Al23)粉末を順番に充填した後に、この樹脂を金型に注入して樹脂筐体を形成することにより、放熱性向上と制御回路部分への伝熱を制御する方法が提案されている。
また、特許文献2(特開平9−157440号公報)に記載されるように、比重が軽く熱伝導性の低い中空粉末と比重が重く熱伝導性の高いアルミナ粉末を混合充填した樹脂を金型に注入し、比重差を利用して熱伝導性の高い層と熱伝導性の低い層を設ける方法も提案されている。
さらに、特許文献3(特開2002−080617号公報)、特許文献4(特開2004−256687号公報)に記載されるように、樹脂に窒化ホウ素を充填し、外部から磁場を印加することにより、窒化ホウ素を配向させた熱伝導シートを作製する方法が提案されている。
しかしながら、特許文献1に記載されるように、セラミック粉末を充填した後に樹脂を注入する方法では、樹脂の注入時に粉末が撹拌されたり、粉末と粉末の間に樹脂が注入されていない空間ができたりすることで、熱伝導性を損ねる可能性があった。
また、特許文献2に記載されるように、粉末の比重差を利用して熱伝導性の高い層と低い層を設ける方法では、製造時に粉末の沈降を制御するのが難しく、安定に製造できなかったり、樹脂の保管時に粉末が沈降してしまったりする問題があった。
また、特許文献3、4に記載されるように、外部から磁場を印加させる場合は、新たな装置が必要となったり、熱伝導シートを発熱体に接着したり押圧力を加えて固定するなどの発熱体に具備するための工程が必要になり製品の組み立てが複雑になる課題があった。
さらに、窒化ホウ素粉末が充填された熱伝導性樹脂を金型に注入する際、図4(a)、(b)に示すように、窒化ホウ素粉末が樹脂の流動方向(注入方向)に配向してしまい、モータの発熱を上述の制御回路等に伝達してしまう。この伝熱により、制御回路等が誤動作を起こし、モータの性能を低下させてしまうという問題もあった。
特開2006−205373号公報 特開平9−157440号公報 特開2002−080617号公報 特開2004−256687号公報
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、コイルで発生する熱が効率的に外部に放出され、かつ、制御回路等に伝達されにくいモータ、および、その製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、永久磁石または電磁石が固着された主軸と、鉄心およびコイルが埋設された樹脂筐体とを備えるモータであって、
前記樹脂筐体を構成する樹脂中に窒化ホウ素粉末を含み、該窒化ホウ素粉末の少なくとも一部が前記主軸と実質的に垂直な方向に配向していることを特徴とする高放熱性モータである。
また、本発明は、上記の高放熱性モータの製造方法であって、
前記コイルに外部から通電するための電気コネクタを設けて、前記樹脂筐体の金型内の所定の位置に前記コイルを設置するステップと、
前記電気コネクタを介して前記金型の外部から前記コイルに通電して磁場を発生させた状態で、前記樹脂筐体を構成する樹脂を前記金型に注入するステップとを含む、高放熱性モータの製造方法にも関する。
この発明によれば、樹脂中の窒化ホウ素粉末を所定方向に配向させて熱伝導性を制御することにより、コイルで発生する熱が効率的に外部に放出され、かつ、制御回路等に伝達されにくいモータが提供される。
また、この発明によれば、窒化ホウ素粉末を充填した樹脂(熱伝導性樹脂)を金型に注入する際に、磁場を用いて樹脂中の窒化ホウ素粉末を所望の方向に配向させ、このときに用いられる磁場発生装置をそのままモータを構成するコイルとして使用するため、作業工程が低減され、高放熱性モータを製造するための部品点数を少なくすることができる。
(a)は(b)の断面を説明するための斜視図であり、(b)はモータの内部構造の一例を示す縦断面図である。 図1(b)の部分拡大図である。 (a)は(b)の断面を説明するための斜視図であり、(b)はモータの内部構造の一例を示す横断面図である。 樹脂筐体の成形時に磁場を印加しない場合の窒化ホウ素粉末の配向方向を示す模式図である。(a)は斜視図であり、(b)は(a)に示す面Cでの縦断面図である。 モータの磁場を使用して、樹脂筐体の成形時に磁場を印加した場合の窒化ホウ素粉末の配向方向を示す模式図である。(a)は斜視図であり、(b)は(a)に示す面Dでの縦断面図である。 樹脂筐体を成形する際に、外部よりコイルに通電できるようにした金型構造の一例の模式図である。 樹脂筐体を成形する際に、外部よりコイルに通電できるようにした金型構造の別の例の断面模式図である。 (a)、(b)および(c)は、樹脂筐体を成形する際にコイルに通電して磁場を発生させる際の、極性の変動を説明するための模式図である。 樹脂筐体の評価用試験片の取り出し箇所を示す模式図である。
以下、本発明を具体化した実施形態について、詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
<高放熱性モータ>
本発明の高放熱性モータは、図1に示されるように、永久磁石(または電磁石)13が固着された主軸12と、鉄心15およびコイル14が埋設された樹脂筐体11とを備えるモータであり、樹脂筐体11を構成する樹脂中に窒化ホウ素粉末を含み、該窒化ホウ素粉末の少なくとも一部が主軸12と実質的に垂直な方向に配向していることを特徴とする。ここで、「実質的に垂直」とは、完全に主軸と垂直である場合だけでなく、本発明の効果が奏される範囲で垂直に近い方向も含まれることを意味する。これにより、従来の方法で実現し得なかった熱伝導性に優れた樹脂筐体を具備したモータを得ることができる。
永久磁石(または電磁石)13、主軸12、鉄心15およびコイル14としては、モータの製造に用いられる種々公知のものを使用することができる。なお、コイル14は鉄心15の周囲に銅線などの巻き線を巻きまわして形成される。
樹脂筐体に用いられる樹脂としては、金型に注入することにより筐体を成形できる樹脂であれば特に限定されないが、例えば、熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂が挙げられる。熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂が挙げられる。
熱可塑性樹脂としては、例えば、非晶質ポリアリレート、ポリスルホン、ポリエーテルサルホン、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリイミド、ポリエーテルイミド、液晶ポリマーなどのスーパーエンジニアリングプラスチックやポリアセタール、ポリアミド、ポリカーボネート、変性ポリフェニレンエーテル、ポリブチレンテレフタレート、ガラス繊維強化ポリエチレンテレフタレート、超高分子量ポリエチレン、シンジオタクティックポリエチレンなどのエンジニアリングプラスチックやポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、テフロン(登録商標)、アクリロニトリルブタジエンスチレン、アクリルなどの汎用プラスチックが挙げられる。耐熱性の観点からは、樹脂筐体に用いられる樹脂としてエポキシ樹脂やポリフェニレンサルファイドを用いることが好ましい。
窒化ホウ素粉末は、立方晶構造を有するものと六方晶系結晶構造を有するものがあるが、上述の樹脂に熱伝導性フィラーとして充填する窒化ホウ素粉末としては、六方晶系結晶構造を有するものを用いることが好ましい。六方晶系結晶構造を有する窒化ホウ素粉末は、結晶方位の[100]方向と[200]方向で熱伝導性が異なり、[100]方向は[200]方向に比べて約100倍の熱伝導率があるため、所定の方向に配向させれば、コイルおよび鉄心から制御回路部分等への伝熱量を少なくしつつ、樹脂筐体の側面から外部への放熱量を多くすることができる。
したがって、窒化ホウ素粉末の少なくとも一部が主軸と実質的に垂直な方向に配向していることが好ましい。すなわち、窒化ホウ素粉末は、樹脂筐体の外壁面に対して(モータの主軸の軸方向に対して)垂直方向により多く配向していることが好ましい。これにより、モータで発生した熱が外部に放出されやすく、制御回路部分に伝達され難いモータが得られる。
より具体的には、前記樹脂筐体の外壁側から、該外壁表面と前記鉄心との間の距離の1/4の厚さを有する部分を取り出した場合に、該部分にX線を照射して得られる(100)面に対する(002)面の回折ピークの強度比((002)/(100))は、好ましくは0.05〜100であり、より好ましくは0.1〜36である。回折ピークの強度比((002)/(100))が小さいほど、窒化ホウ素粉末が、樹脂筐体の外壁面に対して(モータの主軸の軸方向に対して)垂直方向により多く配向していることを示している。すなわち、回折ピークの強度比((002)/(100))が小さいほど、モータで発生した熱が外部に放出されやすく、制御回路部分に伝達され難いことを示している。
窒化ホウ素粉末の充填量(樹脂筐体を構成する樹脂中の含有量)は、好ましくは1〜60vol%である。充填量が1vol%以下になると、熱伝導性の向上が期待できず、60vol%以上にすると樹脂の粘度が高くなりすぎて、金型に注入することが困難になるだけでなく、注入のときに気泡が混入し、熱伝導性を損ねてしまう。成形性の観点からは、充填量が20〜50vol%であることがより好ましい。
また、六方晶系結晶構造の窒化ホウ素粉末は、凝集しやすく燐片状の1次粉末が凝集した凝集体になることがあるが、1次粉末が六方晶系結晶構造であれば、凝集した粉末を用いても良い。また、形状は燐片状だけでなく、顆粒状、球状、繊維状、あるいはこれらの粉砕形状など、様々な粉末形状の窒化ホウ素粉末が適用可能であり、磁場により配向できる形状であれば構わない。窒化ホウ素粉末の大きさは特に限定するものではないが、0.1〜100μmの範囲が良く、さらに好ましくは1〜50μm程度の大きさを用いるのが良い。0.1μm以下の粉末を用いると、樹脂中に均一に分散するのが難しく、また、粘度が高くなり金型に注入し難くなる。また、100μm以上の大きさは、製造するのが困難であり、樹脂に充填する際、混練器のスクリュウや羽で破砕されてしまうため、樹脂中に安定に分散することができなくなる。
また、樹脂には、必要に応じて窒化ホウ素粉末以外の粉末をさらに充填しても良い。このような窒化ホウ素粉末以外の粉末としては、例えば、ガラス繊維、エラストマー粉末、シリカ粉末、アルミナ粉末などが挙げられる。これらの窒化ホウ素粉末以外の粉末は、窒化ホウ素粉末を充填した熱伝導性樹脂の機械物性や流動性などを調節するために充填される。例えば、窒化ホウ素粉末以外の粉末を充填すると、さらに熱伝導性を向上できる効果が得られる。
また、樹脂に充填する窒化ホウ素粉末には、表面処理が施されていても良い。表面処理としては、例えば、樹脂との密着性を良くするための表面処理が挙げられる。樹脂との密着性が良くなれば、樹脂に分散しやすくなるため、窒化ホウ素粉末の充填量を増やすことができ、樹脂筐体の熱伝導性が向上する。樹脂との密着性を良くするための表面処理としては、例えば、シランカップリング剤処理やUV処理が挙げられる。
<高放熱性モータの製造方法>
また、本発明は、上記の高放熱性モータの製造方法であって、
コイルに外部から通電するための電気コネクタを設けて、樹脂筐体の金型内の所定の位置にコイル(鉄心および巻き線)を設置するステップと、
電気コネクタを介して金型の外部からコイルに通電して磁場を発生させた状態で、前脂筐体を構成する樹脂を金型に注入するステップとを含む、高放熱性モータの製造方法にも関する。
窒化ホウ素粉末は、磁気異方性を持つことから、磁場中では一定方向に配向する性質を持っている。本発明の製造方法においては、この性質を利用して樹脂中の窒化ホウ素粉末を所望の方向に配向させる。従って、本発明に用いられるモータ用の熱伝導性を有する樹脂筐体は、上記の熱伝導性の異なる粉末や比重の異なる粉末を利用して、熱伝導性に異方性を設ける方法とは根本的に異なる。そのため、樹脂注入時に粉末が撹拌されて均一化してしまったり、空間ができて熱伝導性を損なうといった従来の方法における課題が解消される。また、粉末の沈降を制御するのが難しく、安定に製造できなかったり、樹脂の保管時に粉末が沈降してしまったりするといった従来の方法における課題も解消される。
さらに、本発明の製造方法は、樹脂に窒化ホウ素粉末を充填し、外部から磁場を印加して窒化ホウ素粉末を配向させる従来の方法と比べても、新たに装置を設けて磁場を印加する必要が無く、また、樹脂筐体を成形後にコイルに接着させたりする工程を必要としないため、製造工程を少なくすることができるといった利点を有している。
窒化ホウ素粉末が所定方向に配向された上記樹脂筐体を作製するためには、予め、コイル鉄心に巻き線を巻きつけた後に、外部からコイルに通電するための電気コネクタを設けて置く。次に、鉄心と巻き線からなるコイルを金型の所定の位置に設置する。このとき、図6に示すように、金型31,32の外部から電気コネクタ33に通電できるよう、金型32に窓32aを設けておく。なお、上部の金型31には、樹脂の注入口31aが設けられている。
図6では、金型32に窓32aを開けて電気コネクタ33と接続できるようにした例を示すが、これに限定されるものではなく、図7に示す様に、金型32に電気接続用の金型端子21を設けて、この金型端子21を介して電気コネクタ33に通電するなどの方法を用いても良い。この金型端子21には、内部に押圧用のばね24があり、端子電極22をコイルに設けたコイル端子23に押圧して電気的に接続できるようにしたものである。
金型に、コイル鉄心と巻き線からなるコイルを設置した後、樹脂を注入する際にコネクタを介して通電すると、コイルに磁場が発生し、樹脂に充填した窒化ホウ素粉末が磁場の方向に配向する。発生させる磁場の磁束密度は、0.3〜10T(テスラ)の範囲であれば、窒化ホウ素粉末の配向ができる。窒化ホウ素粉末の異方性磁化率は弱く、樹脂中で配向させるため、コイルで発生する磁場は、高い磁束密度の方が好ましい。具体的には磁束密度0.5以上が好ましい。
ここで、窒化ホウ素粉末を配向させるために磁場を発生させると、金属製の金型も着磁してしまい、コイルを所定の位置に設置できなくなったり、脱型時や金型保管時に鉄粉などの異物が付着したりする場合があるため、コイルに通電する際は、通電する電気のプラスとマイナスを変化させながら磁場の極性を変化させて通電するのが良い。
図8に、通電したコイルで発生する磁場の極性を示す。この図では、電極2と電極2の間に3個のコイルが形成されており、この3個が同じ極性を示す。ここで、図8の(a)〜(c)に示されるように、磁場によるS極とN極を入れ替えるように通電の方向を変えることで、金型への着磁を抑えることができる。一方、窒化ホウ素粉末の配向は、S極であってもN極であっても変わらないため、どちらの極であっても磁場の方向に配向することができる。また、極性の変化の周波数は特に限定するものではないが、好ましくは0.1〜1000Hzである。
実施形態を実施例により更に具体的に説明する。樹脂筐体の評価に用いた樹脂試験片は、図9に示すように、樹脂筐体11の外壁側から、該外壁表面と鉄心15との間の距離(L)の1/4の厚さを有する部分11a(10mm×10mm、厚み1mm)を切削加工して得た。
熱抵抗は、樹脂試験片の厚み方向に発熱体と温度計を取り付け、試験片表裏の温度差から熱抵抗値を算出した。熱抵抗Rは、発熱体から投入した熱量W、表裏面の温度差T、試験片厚みDとし、R=T/(W・D)の式により求めた。
また、窒化ホウ素粉末の配向は、熱抵抗を測定した試験片と同じものを使用し、X線回折装置(マックサイエンス株式会社製 MXP−18V)を使用してCuKα線を線源に用いて30KV、15mAの条件で2θが0〜60°範囲を測定し、26.9°(002)面と、41.6°(100)面の回折ピークを求め、回折ピークの強度比(002)/(100)を算出することで評価した。
(実施例1)
PPS樹脂(東レ株式会社製 A900)に窒化ホウ素粉末(電気化学工業株式会社製SGP、粒度 5.4μm(D10))を40vol%配合し、60mm(縦)×60mm(横)×62mm(奥行き)のモータ用樹脂筐体(主軸用に33mmの開口部あり)の金型に、樹脂温度310℃、金型温度130℃の条件で注入した。樹脂注入時に磁束密度1Tの磁場を印加して窒化ホウ素粉末を配向させ、樹脂筐体を作製した。なお、磁場の印加は、図8に示す様なモータ用の9個のコイルを用いて、その3個のコイル一組とし、60Hzで極性を入れ替えながら行なった。
(実施例2〜8)
実施例2〜8では、磁束密度を0〜0.8Tの間で変化させて、樹脂筐体を作製した。この時、成形条件は、実施例1と同様の条件を用いた。
実施例1〜8で得られた樹脂筐体の所定の位置から、上記評価用の試験片を取り出して、熱抵抗とX線回折強度比を測定した。測定結果を表1に示す。
Figure 2013126287
実施例8は、窒化ホウ素粉末を充填したPPS樹脂で成形する際、磁場を印加せずに樹脂筐体を作製した結果である。作製した試験片のX線回折強度比が105であり、熱抵抗は0.19(K/(W・mm))であったのに対して、実施例2〜7の間で、印加する磁場の強度を大きくしていくことで、X線回折強度比の値が小さくなり、熱抵抗の値も小さくなっていることが明らかになった。これは、図5(a)、(b)に示すように、磁場の印加により、窒化ホウ素粉末の少なくとも一部が主軸と実質的に垂直な方向(図5(b)の横方向)に配向していることを示している。
また、実施例1、2および5については、コイルの極性を入れ替える周波数を1000Hzと10000Hzにして同様の実験を行ったが、X線回折強度比や熱抵抗に10%以上の変化はあらわれなかった。
ここで、実施例1による樹脂筐体は、0℃から100℃のヒートサイクル試験を実施したところ、10サイクルで筐体にクラックが発生した。一方、実施例2〜7の樹脂筐体ではヒートサイクル試験を1000サイクル実施してもクラックを生じないことが判明した。磁場強度を弱くするとX線回折強度比が小さくなり、実施例7の熱抵抗は実施例8に対して1割程度しか変化しなくなることから、X線回折強度比が0.05〜100の間であれば、配向による影響で伝熱方向を制御できるが、より好ましくは0.1〜36である。
(実施例9、10)
実施例9、10では、窒化ホウ素粉末をPPS樹脂に20vol%充填し、それぞれ磁束密度0.8T、0.5Tの磁場を印加して樹脂筐体を成形した。
(実施例11、12)
実施例11、12では、窒化ホウ素粉末をPPS樹脂に10vol%充填し、それぞれ磁束密度0.8T、0.5Tの磁場を印加して樹脂筐体を成形した。
(実施例13)
実施例13では、窒化ホウ素粉末をPPS樹脂に1vol%充填し、磁束密度0.8Tの磁場を印加して樹脂筐体を成形した。
(実施例14)
実施例14では、窒化ホウ素粉末をPPS樹脂に0.5vol%充填し、磁束密度0.8Tの磁場を印加して樹脂筐体を成形した。
(実施例15〜17)
実施例15、16、17では、窒化ホウ素粉末をPPS樹脂に60vol%充填し、それぞれ磁束密度0.8T、0.5T、0Tの磁場を印加して樹脂筐体を成形した。
上記実施例9〜17で作製した樹脂筐体の所定の位置から、評価用の試験片を取り出して、熱抵抗とX線回折強度比を上述の方法により測定した。測定結果を表2に示す。
Figure 2013126287
実施例9および10で、窒化ホウ素粉末の充填量を40vol%より少なくすると、同じ磁束密度の磁場を印加しても40vol%充填した樹脂よりX線回折強度比が小さくなることが分かる。これは、窒化ホウ素粉末の充填量が少なくなれば粘度が低下するために、配向を起こしやすいためである。しかしながら、実施例2および5よりも熱伝導性が大きく(熱抵抗が小さく)なったのは、窒化ホウ素粉末の充填量が少なくなっているためである。この結果は、さらに充填量を少なくした実施例11〜13でも同様の傾向が得られた。
実施例14の結果から、充填量を1vol%以下にすると窒化ホウ素粉末の充填効果が少なくなり、X線回折強度比や熱抵抗も同じになってしまうことが確認された。
また、実施例15および16で、窒化ホウ素粉末を40vol%より多くすると、同じ磁束密度を印加しても40vol%充填した樹脂よりX線回折強度比が大きくなることが分かる。これは、窒化ホウ素粉末の充填量が多くなれば粘度が増加するために、配向を起こし難くなるためである。しかしながら、実施例2および実施例5よりも熱伝導性が大きくなったのは、窒化ホウ素粉末の充填量が多くなっているためである。実施例15から実施例16でも同様の傾向が得られた。
実施例17では、磁場を印加していないが、この時も充填量の影響を受けて実施例8よりも熱抵抗が小さくなることが確認された。これも、窒化ホウ素粉末の充填量が多くなっているためである。
また、窒化ホウ素粉末の充填量を60vol%より多くすると、粘度が高くなり、樹脂筐体の成形時に気泡が混入して、熱抵抗を正確に測定できなくなったことから、窒化ホウ素粉末の充填率は、1vol%から60vol%が良いことが分かる。
(実施例18)
エポキシ樹脂(セメダイン株式会社製 EP007)に窒化ホウ素粉末(電気化学工業株式会社製MGP、粒度 4.3μm(D10))を40vol%配合し、60mm(縦)×60mm(横)×62mm(奥行き)のモータ用樹脂筐体(主軸用に33mmの開口部あり)の金型に、樹脂温度50℃、金型温度50℃の条件で注入した。樹脂注入時に磁束密度1Tの磁場を印加して窒化ホウ素粉末を配向させ、樹脂筐体を作製した。なお、磁場の印加は、図8に示す様なモータ用の9個のコイルを用いて、その3個づつのコイル一組とし、60Hzで極性を入れ替えながら行なった。
(実施例19、20)
実施例19、20では、窒化ホウ素粉末の充填量を同じにして、それぞれ印加する磁場の磁束密度を0.8Tと0.5Tにして樹脂筐体を成形した。
実施例18〜20で得られた樹脂筐体の所定の位置から、評価用の試験片を取り出して上述の熱抵抗とX線回折強度比を測定した。測定結果を表3に示す。
Figure 2013126287
窒化ホウ素粉末が同じ充填量で、印加する磁場の磁束密度が同じでも、X線回折強度比や熱抵抗が実施例2、3および5と異なるのは、金型に注入する際の樹脂の粘度が異なっており、エポキシ樹脂の粘度が低いためである。しかしながら、PPS樹脂を用いた実施例と同様にエポキシ樹脂でも、印加する磁場の磁束密度により窒化ホウ素粉末の配向が変化し、熱伝導性が制御できていることを確認できた。
11 樹脂筐体、12 主軸、13 永久磁石(または電磁石)、14 コイル、15 鉄心、16 インシュレータ、17 部品、18 部品、2 電極、21 金型端子、22 端子電極、23 コイル端子、24 ばね、31,32 金型、31a 注入口、32a 窓。

Claims (5)

  1. 永久磁石または電磁石が固着された主軸と、鉄心およびコイルが埋設された樹脂筐体とを備えるモータであって、
    前記樹脂筐体を構成する樹脂中に窒化ホウ素粉末を含み、該窒化ホウ素粉末の少なくとも一部が前記主軸と実質的に垂直な方向に配向していることを特徴とする高放熱性モータ。
  2. 前記窒化ホウ素粉末は、六方晶系結晶構造を有する、請求項1に記載の高放熱性モータ。
  3. 前記樹脂筐体を構成する樹脂中の前記窒化ホウ素粉末の含有量は、1〜60vol%である、請求項1または2に記載の高放熱性モータ。
  4. 前記樹脂筐体の外壁側から、該外壁表面と前記鉄心との間の距離の1/4の厚さを有する部分を取り出した場合に、該部分にX線を照射して得られる(100)面に対する(002)面の回折ピークの強度比((002)/(100))が0.05〜100である、請求項1〜3のいずれかに記載の高放熱性モータ。
  5. 請求項1に記載の高放熱性モータの製造方法であって、
    前記コイルに外部から通電するための電気コネクタを設けて、前記樹脂筐体の金型内の所定の位置に前記コイルを設置するステップと、
    前記電気コネクタを介して前記金型の外部から前記コイルに通電して磁場を発生させた状態で、前記樹脂筐体を構成する樹脂を前記金型に注入するステップとを含む、高放熱性モータの製造方法。
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