JP2013125995A - X線撮影装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 本発明は、撮像部の大型化や重量増加、撮影サイクルタイムの長期化を防止しつつ、残像を抑えた状態で撮影可能なX線撮影装置を提供することを目的とする。
【解決手段】 被写体を透過したX線をX線センサで検出することによりX線撮影を行うX線撮影装置において、前記X線センサの動作情報に基づき、第一の所定時間を取得する取得手段と、前記X線センサによるX線撮影後に前記X線センサにバイアス電圧を印加してから前記第一の所定時間が経過したか否かに基づき、前記X線センサの駆動を変更する制御手段と、を有することを特徴とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、被写体を透過したX線を用いてX線撮影を行うX線撮影装置に関する。
近年、医療分野において、従来のX線診断用のフィルムを用いたアナログのX線画像撮影装置に代わり、X線を電気信号に変換するための半導体素子からなる画素を2次元行列状に配設させた平面検出器を用いたデジタルのX線画像撮影装置が普及している。
このようなデジタルX線画像撮影装置では、被写体を通過したX線の情報が、画素に電荷としてチャージされる。
その後、転送動作を行い、電圧として情報を読み出した後、A/D変換を行ってデジタル画像情報を取得する。しかしながら、画素の電荷転送動作においては、電荷を全て吐きだすことができず、残留電荷が発生することが知られている。また、画素に電荷を蓄積した際に半導体素子の特性が変化し、感度が低下することなどがある。これらが原因となって、デジタルX線画像撮影装置の使用時に前回撮影画像の撮影情報の一部が次回撮影時に残像として現れることが知られている。
このような残像が発生することにより、臨床画像中に実際には存在しない信号がアーティファクトとして出力されてしまうため、診断上問題となっていた。特に、後者のX線照射によって素子の特性が変化し、感度が低下することによって発生する類の残像は、分オーダーでも減衰し切らない成分を含んでおり、長時間にわたって診断画像に影響を与え続けるので、デジタルX線画像撮影装置の臨床価値を損なう原因となっていた。以後、本発明では、X線画像撮影装置の残像のうち、上記の減衰の時定数が長いものを取り扱うこととし、単に残像と呼称する。
このような残像を抑制するために、撮影が終わる度に半導体素子への電源供給を一時的に停止する状態に遷移させることにより、残像を消去する技術(例えば、特許文献1参照)が知られている。また、別途光源ユニットを搭載し、検出器全面に光を照射することによって感度を安定させ、残像の発生を抑制する技術(例えば、特許文献2参照)も知られている。
特開2002−199278号公報 特開2007−181183号公報
しかしながら、上述の従来技術には、次のような課題がある。すなわち、特許文献1に開示されている技術では、残像抑制効果は高いものの、次回の撮影が可能となるまでの時間(以下、撮影サイクルタイムと呼称する)が長くなってしまう。また、特許文献2に開示されている技術では、センサが大型化、重量化、高コスト化してしまう。
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、撮像部の大型化や重量増加、撮影サイクルタイムの長期化を防止しつつ、残像を抑えた状態で撮影可能なX線撮影装置を提供することを目的とする。
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、被写体を透過したX線をX線センサで検出することによりX線撮影を行うX線撮影装置において、前記X線センサの動作情報に基づき、第一の所定時間を取得する取得手段と、前記X線センサによるX線撮影後に前記X線センサにバイアス電圧を印加してから前記第一の所定時間が経過したか否かに基づき、前記X線センサの駆動を変更する制御手段と、を有することを特徴とする。
本発明によれば、撮像部の大型化や重量増加、撮影サイクルタイムの長期化を防止しつつ、残像を抑えた状態で撮影可能なX線撮影装置を提供することが出来る。
第一の実施形態に係るX線撮影装置の構成を示すブロック図である。 第一の実施形態に係る信号検出部の構成単位の等価回路の一例を示す図である。 第一の実施形態におけるX線撮影装置のセンサ部の出力値の時間特性を表す実験結果の一例を示した図である。 第一の実施形態に係るセンサ状態判断部の処理の流れを示す図である。 第二の実施形態に係るセンサ状態判断部の処理の流れを示す図である。 第二の実施形態に係る第一の所定時間算出部が算出に用いるセンサ部の特性モデルを示した図である。
以下、本発明を適用した好適な実施形態を、添付図面を参照しながら詳細に説明する。
(第一の実施形態)
本実施形態に係るX線撮影装置の構成要素と各機能を説明する。図1は本実施形態に係るX線撮影装置の概略構成を示すブロック図である。
まず、図1を用いて装置の概略を説明する。図1に示すように、第一の実施形態に係るX線撮影装置は、X線発生装置10と、撮影部11、およびコンソール部12によって構成される。
X線発生装置10は、X線発生部101とX線発生装置制御部102とを備える。X線発生装置制御部102は、操作者によって指定された目標値に従って、管電圧や管電流などのX線の照射条件を調整し、X線発生部101によるX線照射を制御する。
撮影部11は、X線X線センサ部111と、センサ状態判断部112と、センサ動作制御部113を備える。X線センサ部111は、信号検出部1111と、A/D変換部1112からなり、被写体を透過したX線の情報をデジタルの画像信号に変換する。センサ状態判断部112は、センサ動作情報測定部1121と、第一の所定時間算出部1122と、判断部1123を備え、X線センサ部111の動作情報の測定と、X線センサ部111の状態の判断を行う。センサ動作制御部113は、X線センサ部111、センサ状態判断部112、X線撮影装置動作制御部123と電気的に接続されており、操作者の操作に応じて撮影部11の動作の制御や、X線センサ部111の状態に応じたX線センサ部111の駆動の制御を行う。
コンソール部12は、画像処理部121と、X線撮影装置制御部122と、保存部123と、操作部124と表示部125を備える。撮影部11で取得されたデジタル画像データは画像処理部121に入力され、診断価値を高めるための画像処理が行われる。
X線撮影装置制御部122は、X線発生装置部10と、撮影部11と、コンソール部12の全ての動作を制御する。操作者は、操作部124でX線撮影装置全体のオペレーション作業を行うことができ、電気的に接続されたX線撮影装置制御部122を介して、操作者の意図する動作を反映することができる。画像処理部121で画像処理された画像データは、操作者の操作に応じて、適時保存部123への保存と、表示部125への表示を行う。
次に、撮影部11の詳細な構成と動作について説明する。
信号検出部1111は、照射されたX線を可視光に波長変換する波長変換体と、当該可視光に応じた電気信号を出力する基板を含む構成になっている。上記基板は、基板の2次元平面上に光電変換素子からなる画素が並んでいる構造を持つ。波長変換体としては、例えば、CsI:TlやGdS:Tb等が好適に用いられる。
本実施形態に係るX線撮影装置が撮影動作を行う場合、信号検出部1111は、被写体を通過したX線の情報を波長変換体によって可視光に変換し、画素に電荷としてチャージする。その後、個々の画素に蓄積された電荷信号を電圧情報として読み出し、X線の照射線量に応じたレベルを有する検出信号を生成する。続いて、A/D変換部1112において信号検出部1111で生成された検出信号(アナログ信号)はデジタル信号に変換される。
図2は、信号検出部1111の構成単位の等価回路の一例を示したものである。以下、図2を用いて信号検出部1111の構成と動作を説明する。なお、図2では画素の個数は説明のため便宜上1個としているが、本実施形態は1個に限定されるものではなく、複数であってもよい。画素数は必要に応じて適宜決められるものである。
初めに、回路構成について述べる。1画素は、ガラス基板200上に配置された光検出部201と電荷の蓄積及び読み取りを制御するスイッチング薄膜トランジスタ(TFT)202とからなる。これらは、一般には、ガラス基板上にアモルファスシリコンにより形成される。
光検出部201は、更に、リセット用ダイオード2011とコンデンサ2012の並列回路、および、前記コンデンサ2012と直列に接続されたコンデンサ2013からなる。
また、光電効果による電荷を定電流源203として記述している。コンデンサ2012はリセット用ダイオード2011の寄生容量でも、リセット用ダイオード2011のダイナミックレンジを改善する追加的なコンデンサでもよい。光検出部201の共通バイアス電極はバイアス配線Lbを介してバイアス電源204に接続する。光検出部201のスイッチングTFT202側電極は、スイッチングTFT202を介してコンデンサ205及び電荷読出し用プリアンプ206に接続する。プリアンプ206の入力はまた、リセット用スイッチ207及び信号線バイアス電源208を介してアースに接続する。次に、1画素の信号の読み出し時に行われる詳細な駆動について述べる。なお、以後、信号検出部1111を構成する素子に与える電圧やスイッチの動作を、所定の時間タイミングで変更する一連の動作のことを駆動と呼称する。
撮影部11の駆動を開始すると、信号検出部1111の通電が開始され、バイアス電源204により、素子にバイアス電圧が付加される。次にスイッチングTFT202とリセット用スイッチ207を一時的にオンにし、バイアス電源204を操作してDの電位を下げる。リセット用ダイオードにより、コンデンサ2012、2013がリセットされる。その後、バイアス電源204を操作し、Dの電位を上げたうえで、スイッチングTFT202とリセット用スイッチ207を順次オフにする。そのタイミングでX線の照射を行うことで、被写体を透過したX線は波長変換体によって可視光線像に変換され、コンデンサ2012とコンデンサ2013に電荷がチャージされる。次に、スイッチングTFT202をオンにして、コンデンサ2012とコンデンサ205を接続する。これにより、コンデンサ2013の情報がコンデンサ205にも伝達される。プリアンプ206によりコンデンサ205の蓄積電荷による電圧の増幅、もしくは点線で示されたコンデンサ209により信号は電荷情報から電圧情報に変換され、外部に出力される。なお、以上一連の信号読み出し駆動が終わった後、素子の状態によっては、バイアス電源204による素子へのバイアス電圧付加を停止し、AとBとDの電位を全てアースに落とす駆動(以後、スリープ駆動と呼称する)を行ってもよい。撮影毎にスリープ駆動を行うことにより、残像の発生を抑えることができるが、次回の撮影が可能となるまでの時間(以後、撮影サイクルタイムと呼称する)が長期化する。
以上の駆動は、光電変換素子としてアモルファスシリコンを主材料とするMIS型光電変換素子を用いている。しかし、主材料はそれに限定されるものではなく、PIN型フォトダイオードなどを用いてもよい。また、本実施形態では波長変換体を設け、X線から波長変換された可視光線を電気信号に変換する間接方式の形態を用いた。しかし、本実施形態は、それに限定されるものではない。例えば、アモルファスSeやPbIなどの受光部とアモルファスシリコンTFTなどからなるX線撮影装置のように、波長変換体を用いずに基板上でX線を直接電気信号に変換する直接方式の形態を用いても構わない。
以上説明したようなX線センサ部111は、素子にバイアス電圧が印加されてからの経過時間や、装置に照射されるX線の影響を受けて素子の特性が変化することにより、残像が発生することが問題となる。以下、放射線撮像装置の特性変化について検討した結果を説明する。以下では、図3(a)〜(c)を用いて、X線センサ部111の特性変化についての検証実験の一例を示す。
図3(a)は、素子にバイアス電圧を印加した後、X線照射を行わずに動作を続けたときのX線センサ部111の特性を観察した実験結果の一例である。ここでは、素子にバイアス電圧を印加して、X線照射を行わずに動作を続けた時間と、X線センサ部111の特性との関係を観察した。X線センサ部111の特性の一例として、X線を照射せずに撮影動作を行った画像(暗画像と呼称する)の出力値と、一定の強度のX線を照射して撮影動作を行った際の出力(以後、感度と呼称する)と、X線センサ部111の一部にX線遮蔽物質を置き、大強度のX線を照射することで人工的に残像を発生させて、長期間残存する残像成分の量(以下、残像量と呼称する)を示す。
図3(a)の縦軸は、上から順に、暗画像の出力値、感度、残像量の値を示している。また、横軸は、素子にバイアス電圧を付加してからの経過時間を示している。なお、図3(a)の3つのグラフの横軸は、全て同じ縮尺であり、3つの特性の時間変化を同じ時間軸上で比較したものである。ここから、暗画像出力値の変動率の低下(暗画像出力値の安定)と、感度の安定には相関があり、また、感度の安定度と、発生する残像量にも相関があることがわかる。すなわち、時間が経過すると、暗画像出力値の変動が安定し、感度は安定性を増し、残像の発生は抑制されることを見出した。なお、一度感度が安定状態になると、X線照射を行っても感度は安定したままであり、残像の発生が抑制されている状態が続くことも見いだされた。
また、図3(b)は、X線センサ部111の動作温度を変化させたときの暗画像出力値の時間変化を温度毎に示した例である。縦軸は、暗画像の出力値で、横軸は、素子にバイアス電圧を付加してからの経過時間を示している。ここでは、センサ動作温度を概念的に高・中・低に分けて結果を示しているが、いずれも本実施形態に係るX線撮影装置が一般的に動作する環境温度である5℃〜40℃程度の範囲内の結果を示している。なお、図示はしていないが、暗電流出力値の変動と、感度と残像量の変化の関係は、図3(a)で示唆されたものと同等であった。ここから、温度が高いほど、暗画像出力値と感度はより早く安定状態になることがわかる。すなわち、より早く残像の発生を抑制できる状態になる。また、暗画像出力値の安定までに必要な時間と、X線センサ部111の動作温度の間には相関関係があることを見出した。
図3(c)は、素子にバイアス電圧を印加した後、X線センサ部111の感度変動が起きないうちに、X線を強く遮蔽する物体を置かない条件下で一定量以上のX線を均一に照射した後の暗画像の出力値の時間変化の一例を示したものである。縦軸は、X線照射後の暗画像出力値を示しており、横軸は、X線の照射を行ってからの経過時間を示している。
ここでは、X線の照射量を変えた時の結果をプロットしている。図3(b)と同様に、暗電流出力値の変動と、感度と残像量の変化の関係は図3(a)で示唆されたものと同等であった。ここから、X線センサ部111に十分な量のX線照射を行うことで、残像の発生を抑制できるセンサ状態に遷移できることが見出せる。以上のことから、センサ温度、X線照射量の強弱などのX線撮影条件に基づき、素子にバイアス電圧を付加してからどのくらいの経過時間で残像量が十分に減少するかを推定することが出来ることが分かる。
以上の知見に基づく本実施形における撮影部11の詳細な動作を、図1を用いて説明する。
本実施形態の撮影制御は、本実施形態のX線撮影装置におけるX線センサ部111の状態が2種に大別されることを見出したことに基づいている。2種の状態の内、X線センサ部111の第一の状態は、素子にバイアス電圧を印加した後に第一の所定時間が経過する前の、残像の発生が大きい状態である。また、X線センサ部111の第二の状態は、素子にバイアス電圧を印加した後に第一の所定時間が経過した後に実現される、残像の発生が抑制されている状態である。
本実施形態に係るX線撮影装置では、X線センサ部111の駆動が、X線センサ部111の状態に応じて変更されることが望ましい。すなわち、X線センサ部111が第一の状態にある、換言するとバイアス電圧印加後のセンサ動作時間が第一の所定時間以内であるときに第一の駆動を取る。そして、X線センサ部111が第二の状態にある、換言すると、第一の駆動後(X線撮影後)、バイアス電圧印加後のセンサ動作時間が前記第一の所定時間以上であるときに第二の駆動を取るのが望ましい。ここで、第一の所定時間とは、センサ温度、X線照射量の強弱などのX線撮影条件を考慮した上で、残像量が十分に減少していると推測される時間である。第一の駆動および第二の駆動の具体的な内容に関しては、後述する。
尚、上記第一の所定時間は、センサ部の動作温度と、暗画像の出力値を一例とするセンサ動作情報をパラメータとして算出可能である。以上のような2種類のX線センサ部111の駆動は、X線センサ部111と電気的に接続されたセンサ動作制御部113によって制御される。
本実施形態では、バイアス電圧印加後のセンサ動作時間が第一の所定時間以内であるときは、X線センサ部111の状態は、感度が安定しておらず、残像が生じやすい状態である。第一の駆動の例として、X線センサ部111の状態がこのようであるときに撮影を行う必要がある場合は、撮影毎にスリープ駆動をはさむ駆動を行い、発生する残像を抑制する。
また、バイアス電圧印加後のセンサ動作時間が第一の所定時間を超えたときは、X線センサ部111の状態は、感度が安定し、残像が現れにくい状態である。第二の駆動は、例えば、撮影が終わった後スリープ駆動を行うことなく次の撮影に移ることを特徴とする駆動である。X線センサ部111に残像が現れにくい状態であるため、次に撮影を行う必要がある場合は、スリープ駆動を省力することが可能になっている。これにより、撮影サイクルタイムを延ばすことなく、簡便に残像の発生を抑制することが達成される。以上、2種の駆動の変更のための制御は、センサ状態判断部112の判断結果を受けたセンサ制御部113によって制御される。
センサ状態判断部112は、センサ動作情報測定部1121と、第一の所定時間算出部1122と、判断部1123を備える。本実施形態に係るX線撮影装置が撮影動作を行う際において、センサ動作情報測定部1121は、X線センサ部111の動作情報を測定する。ここで、X線センサ部111の動作情報は、バイアス印加後のセンサ動作時間に加え、X線センサ部111の動作温度、X線センサ部111によって取得された画像の出力値などのうちの少なくとも一つであればよい。情報の取得手段に関しては、公知のいかなる方法を用いてもよい。
例えば、X線センサ部111の動作温度を計測するための温度センサを備えてもよいし、取得画像の出力値を計測するためのCPUを備えてもよい。続いて、センサ動作情報は、第一の所定時間算出部1122に入力され、センサ部の動作情報をパラメータとする関数によって第一の所定時間が算出される。判断部1123によって、算出された第一の所定時間はバイアス印加後のセンサ動作時間と比較、判断がなされ、センサ状態判断部112と電気的に接続されたセンサ動作制御部113に送信される。センサ状態判断部112によるセンサ状態の判断操作は、一定期間毎に繰り返し行われ、第一の所定時間はその度に更新される。
図4は、本実施形態におけるセンサ状態判断部112の処理の流れを示した図である。ここではN回目にセンサ状態判断が行われた場合の流れを説明する。
(ステップS401)初めに、ステップS401において、素子にバイアス電圧が印加されてからの動作時間tを取得する。
(ステップS402)次に、ステップS402において、動作時間tでのセンサの動作温度Tを取得する。ここで、ステップS401とステップS402で行われる動作は、図1におけるセンサ動作情報測定部1121の動作に対応している。
(ステップS403)次に、ステップS403において、センサの動作温度Tnにおける第一の所定時間αを算出する。ここで、図3に示した検討結果から、センサ動作温度Tと第一の所定時間αに図6(a)で示すような相関関係を仮定し、その関係性を、式(1)のように数式化した。本実施形態では、この式(1)を用いて所定時間αを算出する。
Figure 2013125995
図4に戻り、センサ状態判断部112の処理を引き続き説明する。
(ステップS404)ステップS404において、tとαから、第一の所定時間までの残り時間βを求める。βは、式(2)によって算出する。
Figure 2013125995
なお、βはコンソール部12中の表示部125に表示し、操作者に第二の駆動への移行までに必要な時間の情報として提示してもよい。ここで、ステップS403、S404の動作は、図1における第一の所定時間算出部1122の動作に対応している。
(ステップS405)次に、ステップS405において、βが第二の所定時間βth以上であるかを判断する。しかしながら、実験結果から、本実施形態におけるαの数式モデルにも示されているように、X線センサ部111の動作温度が極端に低い場合、βが極めて長時間になり、実用上適さない状態になるケースが想定される。
先に示した実験により、X線を強力に遮蔽する物体を置かない状態で一定量以上のX線を照射することによって、センサ部の感度を安定させることができ、残像が現れにくい状態にできることを見出されている。
(ステップS406)本実施形態では、通知手段を用いて、βthを可変パラメータとして保持し、βがβth以上になる際は、ステップS406に移行し、操作者にX線を照射した撮影操作の推奨を通知する。操作者への通知方法については、公知のいかなる方法を用いてもよい。例えば、表示部125を用いて操作者に通知したり、音声などで通知を行ってもよい。また、先に示した実験により、X線の照射量によっては、X線センサ部111は、感度が十分に安定せず、残像が発生しやすい状態にとどまる場合がある。そのため、操作者によって撮影された画像から、例えばセンサ動作情報測定部1121を用いて撮影画像の出力値を取得し、所定量のX線が照射されたか判断したうえで、センサ部を第二の駆動に移行させてもよい。また、センサ部の温度特性や、操作者の使用状況によってはβthを∞に設定することで、ステップS406に移行しないようにしてもよい。
(ステップS407)次に、ステップS407において、βが0以下かどうかを判定する。
(ステップS408)βが0以上の場合、第一の所定時間の駆動を引き続き行う必要があるため、ステップS408に移行し、第一の駆動続行との判断結果を戻す。
(ステップS409)あるいは、βが0以下となる場合は、ステップS409に移行し、第二の駆動へ遷移可能との判断結果を戻す。ここで、ステップS405〜409の動作は、図1における判断部1123の動作に対応している。
以上により、X線撮影装置に光源などの大型のハードウェアを追加することなく、また、撮影毎にスリープ駆動に落とすことで撮影サイクルタイムを延ばすことなく、簡便に残像の発生を抑制できる状態へ移行することができる。
(第二の実施形態)
本実施形態に係るX線撮影装置は、図1に示す、第一の実施形態に係るX線撮影装置と同様の構成を備えているが、センサ状態判断部112の処理の一部が第一の実施形態とは異なる。
図5は、本実施形態におけるセンサ状態判断部112の処理の流れを示した図である。ここではN回目にセンサ状態判断が行われた場合の流れを説明する。本実施形態では、センサ部の動作情報として、センサ部の動作温度のみを用いる。
初めに、ステップS501において、素子にバイアス電圧が印加されてからの動作時間tを取得する。次に、ステップS502において、動作時間tでのセンサ部の動作温度Tを取得する。ここで、ステップS501とステップS502で行われる動作は、図1におけるセンサ動作情報測定部1121の動作に対応している。図3に示した検討結果から、第二の駆動に遷移するために素子が必要な電荷の総量が決まっていることを仮定する。第一の駆動において行われる継続的な動作により、センサ部には常に暗電流が流れていると考えられ、暗電流の量はセンサ部の動作温度が高いほど多い。このことから、センサ動作温度Tとチャージ電荷速度pの間に、図6(b)で示すような相関関係があるため、その関係性を式(3)のように数式化した。
Figure 2013125995
本実施形態では、ステップS503において、式(3)を用いてセンサ動作温度Tにおける電荷チャージ速度pを算出し、式(4)によって、時間tまでにチャージした総電荷量qを算出する。なお、式(4)において、t=0である。
Figure 2013125995
次に、ステップS404において、素子へのバイアス電圧印加からの動作時間tまでにチャージした総電荷量qと、第二の駆動に遷移するために必要な総電荷量Qから、式(5)によって第一の所定時間までの残り時間βを算出する。
Figure 2013125995
なお、βはコンソール部12中の表示部125に表示し、操作者に第二の駆動への移行までに必要な時間の情報として提示してもよい。ここで、ステップS503、S504の動作は、図1における第一の所定時間算出部1122の動作に対応している。
以下、ステップS505〜S509の動作は、第一の実施形態において、ステップS405〜S409で説明したものと同様のステップを取る。ステップS505〜509の動作は、図1における判断部1123の動作に対応している。以上により、第一の実施形態と同様に、本実施形態によってX線撮影装置に光源などの大型のハードウェアを追加せず、また、撮影サイクルタイムを延ばすことなく、簡便に残像の発生を抑制できる状態へ移行することができる。尚、上記第一の実施形態および第二の実施形態で記載したX線撮影装置の制御は、所定のコンピュータプログラムをコンピュータ上で実行させることによりコンピュータを制御装置として機能させ、実現することも可能である。
10 X線発生装置
11 撮影部
12 コンソール部
111 センサ部
112 センサ状態判断部
113 センサ制御部
1111 信号検出部
1112 A/D変換部
1121 センサ動作情報測定部
1122 第一の所定時間算出部
1123 判断部
121 画像処理部
122 X線撮影装置制御部
123 保存部
124 操作部
125 表示部
200 ガラス基板
201 光検出部
202 スイッチングTFT
203 定電流源
204 バイアス電源
205 コンデンサ
206 プリアンプ
207 リセット用スイッチ
208 信号線バイアス電源
2011 リセット用ダイオード
209,2012,2013 コンデンサ

Claims (8)

  1. 被写体を透過したX線をX線センサで検出することによりX線撮影を行うX線撮影装置において、
    前記X線センサの動作情報に基づき、第一の所定時間を取得する取得手段と、
    前記X線センサによるX線撮影後に前記X線センサにバイアス電圧を印加してから前記第一の所定時間が経過したか否かに基づき、前記X線センサの駆動を変更する制御手段と、を有することを特徴とするX線撮影装置。
  2. 前記第一の所定時間は、前記X線センサにバイアス電圧を印加してから前記X線センサの残像が抑制された安定状態になるまでの時間であることを特徴とする請求項1に記載のX線撮影装置。
  3. 前記第一の所定時間は、前記X線センサの動作情報をパラメータとする関数によって算出されることを特徴とする請求項1に記載のX線撮影装置。
  4. 前記X線センサの動作情報には、前記X線センサの動作温度と前記X線センサ部が取得したX線撮影画像の出力値との少なくとも一つが含まれることを特徴とする請求項3に記載のX線撮影装置。
  5. 更に、前記取得手段の処理と前記制御手段の処理とを一定時間ごとに繰り返す繰り返し手段を有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のX線撮影装置。
  6. 更に、前記X線センサによるX線撮影後に前記X線センサにバイアス電圧を印加してから前記第一の所定時間が経過した場合、X線を遮蔽する物体を置かない状態でのX線撮影の推奨を通知する通知手段を有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のX線撮影装置。
  7. 被写体を透過したX線をX線センサで検出することによりX線撮影を行うX線撮影方法において、
    前記X線センサの動作情報に基づき、第一の所定時間を取得する取得工程と、
    前記X線センサによるX線撮影後に前記X線センサにバイアス電圧を印加してから前記第一の所定時間が経過したか否かに基づき、前記X線センサの駆動を変更する制御工程と、を有することを特徴とするX線撮影方法。
  8. コンピュータを、
    被写体を透過したX線をX線センサで検出することによりX線撮影を行うX線撮影装置において、
    前記X線センサの動作情報に基づき、第一の所定時間を取得する取得手段と、
    前記X線センサによるX線撮影後に前記X線センサにバイアス電圧を印加してから前記第一の所定時間が経過したか否かに基づき、前記X線センサの駆動を変更する制御手段と、を有することを特徴とするX線撮影装置の制御装置として機能させるためのコンピュータプログラム。
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