JP2013124264A - ポリエステルチップ及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】耐加水分解性に優れ、フィルムなどに成形した際の気泡による表面欠点が少ないポリエステルチップの提供。
【解決手段】芳香族ジカルボン酸を主たる酸成分とし、炭素数2〜4のアルキレングリコールを主たるグリコール成分とし、重縮合反応時にシュウ酸グリコールエステル(PAO)を、全酸成分に対して0.1〜5.0mol%の範囲で添加する第1工程と、重縮合反応を継続して固有粘度0.60〜0.85dl/gに溶融重合にて到達せしめる第2工程と、さらにチップ形状に裁断する第3工程とからなり、かつ第1工程のPAOの添加が、該ポリエステルの固有粘度が0.2(dl/g)以上になった段階で、かつ減圧下において、PAOを100℃以上に加熱溶融して液体状で添加するポリエステルチップの製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、シュウ酸を共重合したポリエステルチップおよびその製造方法に関する。
ポリエステル、特にポリエチレンテレフタレートは優れた生産性、機械的性質、熱的性質、電気的性質、化学特性および寸法安定性を有するため広く使用されてきた。しかし、大部分のポリエステルは、高温・多湿の環境で使用すると、加水分解して物理的性能が低下しやすく、使用期間や使用条件が制限される問題があった。
近年、過酷な自然環境下で使用される太陽電池用途において、その長期信頼性を向上することが要望されており、太陽電池保護膜としてポリエステルフィルムを用いる場合には、優れた耐加水分解性を付与することが必要である。
ポリエステルの耐加水分解性の向上には、従来から種々の提案がなされている。そのような中で、特許文献1〜3では、シュウ酸を共重合することで、耐加水分解性に大きく影響するポリエステルの末端カルボキシル基量を低減できることが提案されている。具体的には、特許文献1ではシュウ酸のグリコールエステル及び/又はシュウ酸系ポリエステルを添加する方法が記載されている。また特許文献2ではポリブチレンナフタレートに、シュウ酸のグリコールエステル及び/又はシュウ酸を酸成分とする低重合度オリゴマーを添加する方法が記載されている。さらにまた、特許文献3では、シュウ酸のグリコールエステル合成工程を省く目的で、シュウ酸をそのまま添加することが提案されている
しかしながら、これらの方法で製造されたポリエステルは耐加水分解性に優れるものの、ポリマー中に気泡が存在し、フィルム用途などに用いると表面欠点が多発する新たな問題が潜在していることを本発明者らは見出した。
特公昭48−35953号公報 特開平6−263850号公報 特開平8−208816号公報
本発明の目的は、耐加水分解性に優れ、しかもフィルムなどに成形した際の気泡による表面欠点が少ないポリエステルチップおよびその製造方法を提供することである。
本発明者らは前記目的を達成するためにシュウ酸のグリコールエステルを添加しても、ポリエステル中の気泡含有数が少なく、かつ、末端カルボキシル基量を極めて低減できるポリエステルチップについて鋭意研究した。
その結果、特定の製造方法によって、極めて気泡数を低減できることを見出し、本発明に到達した。かくして本発明によれば、芳香族ジカルボン酸を主たる酸成分とし、炭素数2〜4のアルキレングリコールをグリコール成分とするポリエステルチップの製造法において、重縮合反応時に下記式
−C(O)−C(O)−ORO− (1)
(但し、式中のRは炭素数2〜4のアルキレン基を示す。)で示されるシュウ酸グリコールエステル(以下、PAOと略す)を、全酸成分に対して0.1〜5.0mol%の範囲で添加する第1工程と、重縮合反応を継続して固有粘度0.60〜0.85dl/gに溶融重合にて到達せしめる第2工程と、さらにチップ形状に裁断する第3工程とからなり、かつ第1工程のPAOの添加が、該ポリエステルの固有粘度が0.2(dl/g)以上になった段階で、かつ減圧下において、PAOを100℃以上に加熱溶融して液体状で添加するポリエステルチップの製造方法の製造方法が提供される。
さらに、本発明によれば、本発明のポリエステルチップの製造方法の好ましい態様として、PAOを複数回に分けて添加すること、第1工程のPAOの添加が、該ポリエステルの固有粘度が0.4(dl/g)以下の段階で、少なくとも添加するPAOの50重量%を行うこと、第3工程終了後、チップ形状にて固有粘度を0.05dl/g以上高くする固相重合を行う第4工程を有すること、PAOを添加する直前の重縮合反応系内の真空度が0.15kPa以下であり、PAO添加後の真空度が最大80kPa以下であることの少なくともいずれかを具備するポリエステルチップの製造方法も提供される。
また、本発明によれば、芳香族ジカルボン酸を主たる酸成分としエチレングリコールをグリコール成分とするポリエステルからなるチップであって、下記式(1)
−C(O)−C(O)−ORO− (1)
(但し、式中のRは炭素数2〜4のアルキレン基を示す。)
で示されるシュウ酸のグリコールエステル(以下、PAOと略す)を、全酸成分のモル数に対して、0.1〜5.0mol%添加したもので、末端カルボキシル基量が10eq/ton以下の範囲で、固有粘度が0.60〜0.85dl/gの範囲で、かつポリエステル中の直径1mm以上の気泡含有数が500(個/ポリマー25g)以下であるポリエステルチップも提供される。
さらに、本発明によれば、本発明のポリエステルチップの好ましい態様として、固有粘度が0.70〜0.85dl/gの範囲で、かつオリゴマー含有量が0.5重量%以下であること、ポリエステルチップがフィルムに用いられること、フィルムが太陽電池バックシート用フィルムであることの、少なくともいずれか一つを具備するポリエステルチップも提供される。
本発明によれば、PAOの添加条件を特定の条件することで、含有する気泡が少なく、かつ、耐加水分解性に優れた太陽電池バックシートなどのフィルムの原料として有用なポリエステルチップを容易に製造することができる。
<ポリエステル>
本発明におけるポリエステルとは、芳香族ジカルボン酸を主たる酸成分とし、炭素数2〜4のアルキレングリコールを主たるグリコール成分とするポリエステルである。かかるポリエステルは実質的に線状であり、そしてフィルム形成性、特に溶融成形によるフィルム形成性を有することが好ましい。具体的な芳香族ジカルボン酸としては、例えばテレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、イソフタル酸,ジフェニルケトンジカルボン酸,アンスラセンジカルボン酸などを挙げることができる。また、具体的なアルキレングリコールとしては、エチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコールを挙げることができる。これらの中でも、アルキレンテレフタレートやアルキレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートを主たる繰り返し単位とするものが好ましく、特にエチレンテレフタレート,エチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートを主たる繰り返し単位とするポリエステルが好ましい。なお、本発明におけるポリエステルが、エチレンテレフタレートやエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートを主たる繰り返し単位とするポリエステルである場合、本発明の効果を損なわない範囲で、例えば全酸成分のモル数を基準として、20モル%以下、さらに10モル%以下の範囲で、共重合したものであっても良い。具体的な共重合成分としては、先に例示した他の芳香族ジカルボン酸成分やアルキレングリコール成分、またアジピン酸,セバチン酸等の如き脂肪族ジカルボン酸,シクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸の如き脂肪族ジカルボン酸などを挙げることができる。また、本発明におけるポリエステルには本発明の効果を損なわないかぎり、例えばヒドロキシ安息香酸の如き芳香族オキシ酸,ω−ヒドロキシカプロン酸の如き脂肪族オキシ酸等のオキシカルボン酸に由来する成分を、ジカルボン酸成分及びオキシカルボン酸成分の総量に対し20mol%以下、さらに10モル%以下の範囲で共重合したものであってもよい。さらに本発明におけるポリエステルは、実質的に線状である範囲の量であり、かつ、本発明の効果を損なわないかぎり、例えば全酸成分に対し2mol%以下の量で、3官能以上のポリカルボン酸又はポリヒドロキシ化合物、例えばトリメリット酸,ペンタエルスリトール等を共重合してもよい。
<シュウ酸のグリコールエステル(PAO)>
本発明におけるシュウ酸のグリコールエステル(PAO)は、下記式(1)で表わされる。
−C(O)−C(O)−ORO− (1)
(但し、式中のRは炭素数2〜4のアルキレン基を示す。)
PAOは一般的によく知られている重縮合反応(好ましくは溶融重合)によりシュウ酸もしくはそのエステル形成性誘導体と脂肪族ジオールから製造される。例えば、前記シュウ酸もしくはそのエステル形成性誘導体と脂肪族ジオールを触媒と共に反応器に充填して重縮合することにより製造できる。触媒としては、P、Ti、Ge、Zn、Fe、Sn、Mn、Co、Zr、V、Ir、La、Ce、Li、Ca、Hfなどの化合物が好ましい。なお、重縮合反応においては、熱劣化防止のため、必要であれば耐熱剤を添加しておいてもよい。また、反応終了後にリン酸エステル化合物(リン酸エステル等)のような触媒失活剤を添加することもできる。
本発明において、PAOによる末端カルボキシル基の低濃度化の機構は、ポリエステルの末端カルボキシル基とポリオザレートの反応によるものであり、上記式中のRのアルキレン基がポリエステル主鎖中に取り込まれる為、ポリエステルを構成する主たるグリコール成分と同じ炭素数のアルキレン基であることが、融点の低下や結晶性の低下を抑制する上で好ましい。また、本発明で用いるPAOは、上記式で示される繰返し単位が平均で1〜4個連結した単量体もしくは低重合体であることが好ましい。連結した繰返し単位の平均の個数が上限を超えると、PAO自体の融点が高くなり取り扱いが難しくなる。
<ポリエステルチップの製造方法>
本発明のポリエステルチップの製造方法は、前述の芳香族ジカルボン酸を主たる酸成分とし、炭素数2〜4のアルキレングリコールを主たるグリコール成分とし、それらを反応させてポリエステル前躯体とし、さらに重縮合反応によって所望の固有粘度を有するポリエステルからなるチップとする。
そして、本発明のポリエステルチップの製造方法は、以下の3つの工程、好ましくはさらに固相重合工程を含めた4つの工程からなる。以下、順に説明する。
まず、本発明の製造方法における第1工程は、重縮合反応時に前記式で示されるPAOを、添加する工程である。
本発明ではPAOを100℃以上に加熱溶融し液体状態として添加する必要がある。液体状態とすることで添加作業が容易になると共に、理由は定かでは無いがポリエステルに添加した際の拡散性がよくなるためか、得られたポリエステルチップ中の気泡が少なくなる。PAOの液体状態の粘度は0.1〜10Pの範囲が好ましい。
PAOの添加に際しては添加する直前の重縮合反応の系内を0.15kPa以下の減圧に保つことが好ましい。従来の手法ではPAO及びPAO類似物を添加する場合、一度、窒素で重縮合反応の系内を常圧に戻して添加後、再び減圧作業を実施していた。この手法では時間を要し無駄なポリエステルの分解を発生させるばかりか、系内の脱気が遅くなりポリエステル中の気泡が残りやすくなっていた。
本発明は前述の如くPAOを液体状態とすることで、減圧下の状態での添加を容易にしている。例えば加熱及び真空保持の可能な容器(例えば真空ホッパー)を用いて溶融保持したPAOを系内に添加する。この際、PAO添加した直後より炭酸ガスの発生のため真空度は低下するが、その際の系内の真空度を80kPa以下とすることが好ましい。更に好ましくは50kPa以下である。この真空度が80kPa以上となるとポリエステル中に気泡が残りやすくなる。
また、PAOの添加時期は、前記ポリエステルの固有粘度が0.2dl/g以上に到達した以降である。固有粘度が0.2dl/g未満ではポリエステル中のカルボキシル基自体が少ないため、カルボキシル基を低下させる効果が少ない。更にPAO添加は2回以上に分けて分割添加することも有効である。例えば固有粘度が0.2〜0.3dl/gの段階でPAO全投入量の50〜90%添加、更に固有粘度0.4dl/g以上の段階で残りの10〜50%添加することが好ましい。PAO添加によりポリエステル中のカルボキシル基末端は低下するが、添加後の重縮合反応経時で多少なりともカルボキシル基末端はまた増加をはじめる。分割投入することで再発生するカルボキシル基末端を抑制することが可能である。
PAOの添加量については、ポリエステル形成する全酸成分に対して0.1〜5.0モル%(なお、該シュウ酸エステルが前記式の繰返し単位が複数連結したものである場合も、繰返し単位のモル数を基準とする)が好ましく、特に0.5〜3.0モル%が好ましい。添加量がこの下限より少ないと充分低いカルボン酸末端基数のポリエステルが得られず、逆に添加量が多すぎると添加後の固有粘度の低下が大きい上、著しい発泡を生じ、反応工程上のトラブルや、フィルムとした際に気泡による表面欠点が発生しやすくなる。
次に、本発明の製造方法における第2の工程は、第1工程終了後、重縮合反応を継続して固有粘度0.60〜0.85dl/gに溶融重合にて到達せしめる工程である。
本発明のポリエステルの製造法で得られるポリエステルの固有粘度は0.60dl/g以上となるまで行う必要があり、さらには0.60〜0.85dl/gの範囲となるように行うことが必要である。固有粘度が0.60dl/g未満である場合、得られるポリエステルの分子量が低すぎて十分な機械物性が得られない。なお、固有粘度が0.85dl/g以上の場合、重縮合時間が過度に長くなる問題があるばかりか、製膜工程においてポリエステルを再溶融し押出す際、溶融粘度が高いことにより溶融押出し設備等への負荷が大きくなる問題がある。
本発明を更に効果的なものとするため重縮合反応の温度は得られるポリエステルの融点以上〜融点+20℃の範囲、さらには融点以上〜融点+10℃の範囲で行うことが好ましい。例えばポリエチレンテレフタレートでは通常280〜300℃で重縮合反応が行われるが、PAO添加ポリエチレンテレフタレートは重縮合反応促進効果を有することから、低い温度でも重縮合反応速度を維持しつつ、カルボン酸末端基数を低減させることができる。ポリエチレンテレフタレートでは268〜275℃が好ましく、更には270〜273℃が好ましい。
なお、後述の通り、オリゴマーも併せて抑制する場合、第2工程における固有粘度は、0.45〜0.60dl/gの範囲であることが、第2工程処理時の固有粘度を増大させつつ、オリゴマーを低減させることを高度に両立しやすい点から好ましい。
続いて、本発明の製造方法における第3の工程は、上記第2の工程で得られたポリエステルを、さらにチップ形状に裁断する工程である。
チップ形状に裁断する方法は、それ自体公知のものを採用できる。例えば、溶融重合されたポリエステルを、所望とするポリエステルチップの大きさになるように水浴中にストランド状で浸けて、冷却固化させ、カッターで所望とする大きさに裁断する方法などが挙げられる。なお、このようにして得られるポリエステルチップの大きさは、後の固相重合や溶融押出工程での取り扱い性などから、形状は直方体または円柱(楕円も含む)であることが好ましく、大きさは体積を立方体として換算したとき、一辺の長さが2〜4mmの範囲が好ましい。
ところで、本発明のポリエステルチップの製造方法は、さらに、第3工程終了後、チップ形状にて固有粘度を0.05dl/g以上、さらに0.07dl/g以上高くする固相重合を行う第4工程を有することが好ましい。固相重合後の固有粘度の増加が下限未満だと、オリゴマーの低減効果が乏しくなる。本発明における第4工程、固相重合はよりオリゴマー量が少ないポリエステルとすることができるので好ましい。
以下、固相重合について、さらに詳述する。本発明における固相重合は、それ自体公知の方法を好適に使用でき、特に限定されるものではないが、例えば、真空下あるいは窒素気流下、150〜250℃の温度下で、所望の固有粘度になるまで、固体状態のポリエステルを滞留させて重合反応させればよい。ポリエステルのチップを前記の条件下で滞留させる方法については、例えば、回転する密閉反応容器内で滞留させる方法、一定の容積をもつ反応槽内を連続的にチップを移動させながら任意の時間滞留させる方法などがあげられる。
このように固相重合して得られるポリエステルは、ポリマー中のオリゴマー量が0.5重量%以下であることが好ましく、更に0.3重量%以下であることが好ましい。オリゴマーが0.5重量%以上あると、フィルム製膜工程でオリゴマー起因の白粉が生じ易く、フィルム表面にオリゴマーが析出し易くなる。
このオリゴマーが析出すると、例えば、フィルム化に際して溶融したポリエステルをダイより押出す場合、オリゴマーが白粉状となり、ダイ周辺へ飛散及び付着することで異物となり、その異物にポリエステルが接触することでフィルム表面に欠点を発生させる。またポリエステルフィルムを磁気記録媒体のベースフィルムに用いた場合、磁気記録層を積層する前に、或いは磁気記録層を積層する際に基材フィルムであるポリエステルフィルムの表面に被熱によりオリゴマーが析出し、これが磁気記録出力低下の原因となる。また、ポリエステルフィルムを光学用フィルムとして用いた場合は、ポリエステルフィルム表面に析出したオリゴマーが、例えば発光素子寿命低下の原因となる。さらにまた、ポリエステルフィルムを拡散板、タッチパネルの基材に用いた場合でも、基材表面に析出したオリゴマーが散乱要因となり光線透過率の低下やヘーズ上昇、積層する際の接着性能阻害等の原因となる。また本発明におけるポリエステルの固相重合後の固有粘度は0.70〜0.85dl/gの範囲であることが好ましく、更には0.75〜0.85dl/gの範囲にあることが好ましい。固有粘度が下限未満である場合、固相重合によるオリゴマーの低減効果が乏しくなる。なお、固有粘度が上限を超える場合、前述の通り、製膜工程においてポリエステルを再溶融し押出す際、溶融粘度が高いことにより溶融押出し設備等への負荷が大きくなる問題がある。更に固相重合後のカルボン酸末端基数は8eq/t以下、更には6eq/t以下であることが好ましい。
本発明のポリエステルチップの製造方法について、さらに詳述する。本発明のポリエステルチップの製造方法は、重縮合反応を行う前に、エステル化反応もしくはエステル交換反応を行い、芳香族ジカルボン酸成分とアルキレングリコール成分とを反応させる。エステル交換反応を経由する場合に用いるエステル交換反応触媒としては、カルシウム化合物、マグネシウム化合物、マンガン化合物、チタン化合物などが好適に挙げられる。また、本発明の製造方法ではエステル化反応もしくはエステル交換反応開始前から反応初期の間に、得られるポリエステルのカルボン酸末端基数をさらに低減するために、微量の水酸化カリウムなどのアルカリ金属化合物を添加しても良い。また、静電印加特性の向上を図るために、エステル化反応もしくはエステル交換反応終了から重縮合反応初期までの間に、微量の酢酸マグネシウムなどのマグネシウム化合物を添加しても良い。
このようにしてエステル化反応もしくはエステル交換反応を経由して得られた前駆体を、溶融状態で重縮合反応させればよい。
ところで、本発明のポリエステルチップの製造方法では、重縮合反応の初期段階までに、好ましくはエステル化反応もしくはエステル交換反応終了後から固有粘度0.3dl/gになるまでの重縮合反応中にリン化合物を添加することが好ましい。リン化合物としては特に限定はされないが、フェニルホスホン酸、ホスホン酸系化合物、ホスフィン酸系化合物、ホスフィンオキサイド系化合物、亜ホスホン酸系化合物、亜ホスフィン酸系化合物、ホスフィン系化合物からなる群より選ばれる一種または二種以上の化合物を用いると触媒活性の向上効果が大きく好ましい。これらのうちでフェニルホスホン酸が特に好ましい。含有させるリン化合物量は、得られるポリエステルの全酸成分のモル数を基準として、リン元素量で1〜100mmol%、さらに5〜50mmol%の範囲が好ましい。
<ポリエステルチップ>
本発明のポリエステルチップは、前述のポリエステルからなるチップであって、前述の本発明の製造方法によって、製造できる。以下、本発明のポリエステルチップを詳述する。
本発明のポリエステルチップは、前記式で示されるPAOを、全酸成分のモル数に対して、0.1〜5モル%の範囲で添加したものである。
PAOの添加量が、下限より少ないと充分低いカルボン酸末端基数のポリエステルが得られず、逆にPAOの添加量が多すぎると固有粘度の低下が大きくなったり、著しい発泡を生じ、反応工程上のトラブルをまねいたり、フィルムとした際に気泡による表面欠点が発生しやすくなる。好ましいPAOの添加量は、0.5〜3.0モル%の範囲である。
また、本発明のポリエステルチップは、その末端カルボキシル基量は、耐加水分解性の点から、10eq/t以下であることが必要であり、さらに8eq/t以下であることが好ましい。下限は特に制限されないが生産性などの点から3eq/t以上である。また、前述の第4の工程(固相重合)を組合せる場合、8eq/t以下、さらに6eq/t以下であることが好ましい。
本発明のポリエステルチップの固有粘度は、0.60〜0.85dl/gの範囲であることが必要である。固有粘度が下限未満である場合、フィルムなどにしたときに十分な機械物性が得られない。他方、固有粘度が上限を超える場合、製膜工程においてポリエステルを再溶融し押出す際、溶融粘度が高いことにより溶融押出し設備等への負荷が大きくなる問題がある。
ところで、本発明のポリエステルチップは、直径1mm以上の気泡含有数が、500個/ポリマー25g以下であり、好ましくは250個/ポリマー25g以下である。この個数が500個/ポリマー25gより多いとフィルムとした場合、気泡による表面欠点が発生し易くなる。このような気泡数は、前述の本発明のポリエステルチップの製造方法を採用することで達成することができる。
さらに、本発明のポリエステルチップは、前述の第4の工程を行い、オリゴマー量を低減する場合、好ましい態様として、固有粘度が0.70〜0.85dl/gの範囲で、かつオリゴマー含有量が0.5重量%以下であることが耐加水分解性とオリゴマーに基づく問題を抑制できることから特に好ましい。
このようにして得られた本発明のポリエステルチップは、フィルムに好適に用いることができ、特に耐加水分解性に優れながらも表面欠点が少ないことから、太陽電池バックシート用フィルムに好適に利用できる。
なお、本発明のポリエステルチップは、本発明の効果を損なわない範囲であれば、例えば滑剤,顔料,染料,酸化防止剤,光安定剤,遮光剤(例えばカーボンブラック,酸化チタン等)の如きそれ自体公知の添加剤を、必要に応じて含有させることもできる。
1)固有粘度
反応途中に反応系から採取したポリエステルおよびポリエステルチップを、それぞれ重量比が6:4のフェノール:トリクロロエタン混合溶媒に試料を溶解して、35℃の温度にて、オストワルド粘度計を用いて測定した。単位は[dl/g]で示す。
2)カルボン酸末端基数
得られたポリエステルチップを、窒素雰囲気下、200℃でベンジルアルコールに溶解させた後、滴定法により、ポリエステル重量1t当りの当量数として、カルボン酸末端基数(eq/t)を測定した。
3)気泡含有数
得られたポリエステルチップ25gを万能スコープ(倍率4倍)で目視観察し、直径が1mm以上の気泡の数を測定した。
4)耐加水分解性
得られたポリエステルチップ20gを平山製作所(株)製、PC−3011型プレッシャークッカーを用い温度120℃、湿度100%RHの条件下で20時間処理した後、チップを全量冷凍粉砕を行った。このサンプルにつきカルボン酸末端基数を測定し、プレッシャークッカー処理前後のカルボン酸末端基数増加値で評価した。カルボン酸末端基数の増加が低いほど耐加水分解性は良好である。
5)フィルムの表面欠点数
得られたポリエステルチップを電気乾燥機内で160℃、6時間乾燥処理後、日立製作所製押出し機(P40−22AB型)にて295℃にて溶融押出し、日本製鋼所製2形フィルム製造装置(横形移動式)で厚さ125μmのポリエステルシートを作製した。次に、これをロング延伸機でポリエステルのガラス転移温度より10℃高い温度で、製膜方向に3.5倍、幅方向に3.5倍延伸を行い、厚み12μmのフィルムを得た。このフィルムを顕微鏡にて偏光下で観察し、気泡起因による表面突起数を下記の基準で評価した。なお、測定は、フィルム面積25cmのフィルムを5枚用意し、それぞれのフィルムについて、長径25μm以上の表面突起を抽出し、フィルム面積25cmにおける抽出された突起数を、以下の基準で評価した。
◎(極めて良好) :0個≦表面突起数≦4個
○(かなり良好) :4個<表面突起数≦6個
△(良好) :6個<表面突起数≦10個
×(やや不良) :10個<表面突起数≦15個
××(多目のため使用不可):15個<表面突起数
6)オリゴマー含有量
プリフォームを一定量計量し、粉砕した後、ヘキサフロロイソプロパノール/クロロホルム混合溶液中に溶解し、この溶液をクロロホルムで一定濃度(50g/リットル)に希釈した。この試料をゲルパーミュテーションクロマトグラフィー(ウォーターズ社製ALC/GPC244型)に供して、低分子量領域を分離し、かつそのピークを検出し、環状三量体の標準サンプルから求めた検量線を基準にして求めた。
7)フィルム表面のオリゴマー析出量
得られたポリエステルチップを電気乾燥機内で160℃、6Hr乾燥処理後、日立製作所製押出し機(P40−22AB型)にて295℃にて溶融押出し、日本製鋼所製2形フィルム製造装置(横形移動式)で厚さ125μmのポリエステルシートを作製した。次に、これをロング延伸機でポリエステルのガラス転移温度より10℃高い温度で、製膜方向に3.5倍、幅方向に3.5倍で延伸を行い、厚み12μmのフィルムを得た。そのフィルムを150℃、60分で熱処理し、クロロホルムを染み込ませたカーゼで一定面積の表面を拭き、そのカーゼから拭き取ったオリゴマーを抽出し、溶離液にクロロホルムを用いてGPCで検出を242nm波長で行い、オリゴマーのピークを測定した。予め作成しておいた検量線から定量し下記の内容で判定した。
◎(極めて良好): オリゴマー量≦1.5mg/m
○(良好):1.5mg/m<オリゴマー量≦3.0mg/m
×(不良):3.0mg/m<オリゴマー量
[合成法1]
エチレングリコール18.62部に酢酸マンガン4水塩0.0183部を溶かし、シュウ酸ジエチル21.92部を加え、160℃まで加熱して、エステル交換反応の結果生成するエチルアルコールを留出させた。次に亜燐酸0.0062部を加え、その後、窒素雰囲気のもとで徐々に減圧にし、2.7kPaのもとで約10分間加熱反応させた。この際、得られたPAO重合体の平均重合度は、1.4であった。このようにして得られたシュウ酸のエチレングリコールエステルを合成法1とした。
[合成法2]
エチレングリコール18.62部に酢酸マンガン4水塩0.0183部を溶かし、シュウ酸ジメチル18.62部を加え、160℃まで加熱して、エステル交換反応の結果生成するメチルアルコールを留出させた。次に亜燐酸0.0062部を加え、その後、窒素雰囲気のもとで徐々に減圧にし、2.7kPaのもとで約10分間加熱反応させた。この際、得られたPAO重合体の平均重合度は、1.6であった。このようにして得られたシュウ酸のエチレングリコールエステルを合成法2とした。
[実施例1]
エステル交換反応容器にテレフタル酸ジメチルを100重量部、エチレングリコールを60重量部、酢酸マンガン四水塩0.019部を仕込み、150℃に加熱して溶融し撹拌した。反応容器内温度をゆっくりと235℃まで昇温しながら反応を進め、生成するメタノールを反応容器外へ留出させた。メタノールの留出が終了したらリン化合物としてフェニルホスホン酸0.014部(テレフタル酸ジメチルのモル数を基準として17mmol%)を添加し、エステル交換反応(以下、EI反応と略す)を終了させた。続いて5分後に重縮合触媒として、三酸化アンチモン0.038部およびテトラブトキシチタネート0.005部を添加し、240℃まで加熱して一部のエチレングリコールを留出させた後、反応物を内部に撹拌翼を有する重縮合装置に移行した。
EI反応終了後、反応物を重縮合反応(PN反応と略す)のため、徐々に真空ポンプで真空度を高めながら35分間を要して、反応温度を270℃に到達せしめた。この温度を保持して真空度を0.15kPa以下に保ちPN反応を15分間行った。ここで真空ポンプとPN反応釜をむすぶ真空バルブを閉とし、攪拌翼は回転させたままの状態で直ちに真空ホッパー内で加熱し液状とした合成例1のPAO重合体1.3部(ポリエステルを構成する全酸成分に対し1.5mol%)を添加した後、直ちに真空バルブを開けて減圧処理を再開した。PAO添加後の真空度の最大値は48kPa、PAO添加時のポリエステル固有粘度は0.22dl/gであった。その後、所望の固有粘度に到達するまでPN反応を続けた。次にポリマー吐出作業を行うため攪拌翼を停止させた後、PN反応釜系内を窒素ガスで0.17Mpaに加圧し、ダイホールよりポリエステルをストランド状に押出した。その後、冷却バスでポリエステルを冷却した後、ペレターザーでカッテングを行い、長径約4mm、短径約2mm、長さ約4mmのポリエステルチップを得た。この重縮合反応時間は190分であった。
得られたポリエステルチップの結果を表−1に記す。
[実施例2〜3]
PAO重合体添加量を表−1に示すとおり変更した以外は、実施例1と同様な操作を繰り返した。
得られたポリエステルチップの結果を表−1に示す。
[実施例4]
PAO添加を次の内容で2回に分割して行う以外は実施例1と同様に行った。EI反応終了後、反応物を重縮合反応(PN反応と略す)のため、徐々に真空ポンプで真空度を高めながら35分間を要して、反応温度を270℃に到達せしめた。この温度を保持して真空度を0.15kPa以下に保ちPN反応を15分間行った。ここで真空ポンプとPN反応釜をむすぶ真空バルブを閉とし、攪拌翼は回転させたままの状態で直ちに真空ホッパー内で加熱し液状とした合成例1のPAO重合体0.86部(ポリエステルを構成する全酸成分に対し1.0mol%)を添加した後、直ちに真空バルブを開けて減圧処理を再開した。PAO添加後の真空度の最大値は40kPa、PAO添加時のポリエステル固有粘度は0.22dl/gであった。
次に2回目のPAO添加として真空度を0.15kPa以下に保ちポリエステル固有粘度が0.42dl/gになった時点で真空バルブを閉とし、攪拌翼は回転させたままの状態で直ちに真空ホッパー内で加熱し液状とした合成例1のPAO重合体0.43部(ポリエステルを構成する全酸成分に対し0.5mol%)を添加した後、直ちに真空バルブを開けて減圧処理を再開した。PAO添加後の真空度の最大値は11kPaであった。その後、所望の固有粘度に到達するまでPN反応を続けた。次にポリマー吐出作業を行うため攪拌翼を停止させた後、PN反応釜系内を窒素ガスで0.17Mpaに加圧し、ダイホールよりポリエステルをストランド状に押出した。その後、冷却バスでポリエステルを冷却した後、ペレターザーでカッテングを行い、長径約4mm、短径約2mm、長さ約4mmのポリエステルチップを得た。
得られたポリエステルチップの結果を表−1に示す。
[比較例1]
PAOを添加しない以外は実施例1と同様な操作を繰り返した。
得られたポリエステルチップの結果を表−1に示す。
[比較例2]
エステル交換反応容器にテレフタル酸ジメチルを100重量部、エチレングリコールを60重量部、酢酸マンガン四水塩0.019部を仕込み、150℃に加熱して溶融し撹拌した。反応容器内温度をゆっくりと235℃まで昇温しながら反応を進め、生成するメタノールを反応容器外へ留出させた。メタノールの留出が終了したらリン化合物としてフェニルホスホン酸0.014部(テレフタル酸ジメチルのモル数を基準として17mmol%)を添加し、エステル交換反応(以下、EI反応と略す)を終了させた。続いて5分後に重縮合触媒として、三酸化アンチモン0.038部およびテトラブトキシチタネート0.005部を添加し、240℃まで加熱して一部のエチレングリコールを留出させた後、反応物を内部に撹拌翼を有する重縮合装置に移行した。
EI反応終了後、反応物を重縮合反応(PN反応と略す)のため、徐々に真空ポンプで真空度を高めながら35分間を要して、反応温度を270℃に到達せしめた。この温度を保持して真空度を0.15kPa以下に保ちPN反応を15分間行った。ここで真空ポンプとPN反応釜をむすぶ真空バルブを閉とし、攪拌翼は回転させたままの状態で窒素ガスにて系内を常圧に戻した。次に半固形状の合成例1のPAO重合体1.3部(ポリエステルを構成する全酸成分に対し1.5mol%)を添加した後、直ちに真空バルブを開けて減圧処理を再開した。PAO添加時のポリエステル固有粘度は0.22dl/gであった。その後、所望の固有粘度に到達するまでPN反応を続けた。次にポリマー吐出作業を行うため攪拌翼を停止させた後、PN反応釜系内を窒素ガスで0.17Mpaに加圧し、ダイホールよりポリエステルをストランド状に押出した。その後、冷却バスでポリエステルを冷却した後、ペレターザーでカッテングを行い、長径約4mm、短径約2mm、長さ約4mmのポリエステルチップを得た。
得られたポリエステルチップの結果を表−1に記す。
[比較例3〜4]
PAOの添加量を表−1の値に変更する以外は実施例1と同様な操作を繰り返した。得られたポリエステルチップの結果を表−1に示す。
[実施例5]
添加するPAOを合成法2で合成したものを用いる以外は、実施例1と同様な操作を繰り返した。得られたポリエステルの特性と評価を表−1に示す。
[実施例6]
添加するPAOを合成法2で合成したものを用いる以外は、実施例2と同様な操作を繰り返した。得られたポリエステルの特性と評価を表−1に示す。
[実施例7]
添加するPAOを合成法2で合成したものを用いる以外は、実施例3と同様な操作を繰り返した。得られたポリエステルの特性と評価を表−1に示す。
[実施例8]
添加するPAOを合成法2で合成したものを用いる以外は、実施例4と同様な操作を繰り返した。得られたポリエステルの特性と評価を表−1に示す。
[実施例9]
フェニルホスホン酸の添加量を50mmol%へ変更する以外は実施例1と同様な操作を繰り返した。この重縮合反応時間は220分であった。得られたポリエステルチップの結果を表−1に示す。
[実施例10]
フェニルホスホン酸を燐酸トリメチルへ変更する以外は実施例1と同様な操作を繰り返した。この重縮合反応時間は280分であった。得られたポリエステルチップの結果を表−1に示す。
[実施例11]
フェニルホスホン酸をトリエチルホスホノアセテートへ変更する以外は実施例1と同様な操作を繰り返した。この重縮合反応時間は270分であった。得られたポリエステルチップの結果を表−1に示す。
Figure 2013124264
表−1で明らかなようにPAOの添加をポリエステルの固有粘度が0.2(dl/g)以上になった段階で、かつ減圧下において、加熱溶融して液体状で添加することで気泡よる欠点が少なく耐加水分解性において優位なポリエステルを得ることが出来る。
[実施例12]
実施例1において、PN反応を固有粘度0.60dl/gになったところで終了とした以外は同様な操作を繰り返して、長径約4mm、短径約2mm、長さ約4mmのポリエステルチップを得た。得られたポリエステルチップの固有粘度は0.60dl/g、カルボン酸末端基数5.4eq/t、気泡含有数188(個/25g)であった。
このポリエステルチップを160℃で4時間予備乾燥した後、回転式タンブラー型固相重合反応装置に仕込み、225度、57Pa以下の真空度で17時間固相重合を実施して、固有粘度が0.74dl/g、カルボン酸末端基数が4.9eq/t、オリゴマー量が0.17重量%のポリエステルチップを得た。得られたポリエステルチップの結果を表−2に記す。
[実施例13〜14]
PAO重合体添加量を表−2に示すとおり変更した以外は、実施例12と同様な操作を繰り返した。
得られたポリエステルチップの結果を表−2に示す。
[実施例15]
PAO添加を次の内容で2回に分割して行う以外は実施例12と同様に行った。EI反応終了後、反応物を重縮合反応(PN反応と略す)のため、徐々に真空ポンプで真空度を高めながら35分間を要して、反応温度を270℃に到達せしめた。この温度を保持して真空度を0.15kPa以下に保ちPN反応を15分間行った。ここで真空ポンプとPN反応釜をむすぶ真空バルブを閉とし、攪拌翼は回転させたままの状態で直ちに真空ホッパー内で加熱し液状とした合成例1のPAO重合体0.86部(ポリエステルを構成する全酸成分に対し1.0mol%)を添加した後、直ちに真空バルブを開けて減圧処理を再開した。PAO添加後の真空度の最大値は40kPa、PAO添加時のポリエステル固有粘度は0.22dl/gであった。
次に、2回目のPAO添加として真空度を0.15kPa以下に保ちポリエステル固有粘度が0.42dl/gになった時点で真空バルブを閉とし、攪拌翼は回転させたままの状態で直ちに真空ホッパー内で加熱し液状とした合成例1のPAO重合体0.43部(ポリエステルを構成する全酸成分に対し0.5mol%)を添加した後、直ちに真空バルブを開けて減圧処理を再開した。PAO添加後の真空度の最大値は11kPaであった。その後、所望の固有粘度に到達するまでPN反応を続けた。次にポリマー吐出作業を行うため攪拌翼を停止させた後、PN反応釜系内を窒素ガスで0.17Mpaに加圧し、ダイホールよりポリエステルをストランド状に押出した。その後、冷却バスでポリエステルを冷却した後、ペレターザーでカッテングを行い、長径約4mm、短径約2mm、長さ約4mmのポリエステルチップを得た。以降の固相重合は実施例12と同様な操作を繰り返した。
得られたポリエステルチップの結果を表−2に記す。
[比較例5]
PAOを添加しない以外は実施例12と同様な操作を繰り返した。
得られたポリエステルチップの結果を表−2に示す。
[比較例6]
エステル交換反応容器にテレフタル酸ジメチルを100重量部、エチレングリコールを60重量部、酢酸マンガン四水塩0.019部を仕込み、150℃に加熱して溶融し撹拌した。反応容器内温度をゆっくりと235℃まで昇温しながら反応を進め、生成するメタノールを反応容器外へ留出させた。メタノールの留出が終了したらリン化合物としてフェニルホスホン酸0.014部(テレフタル酸ジメチルのモル数を基準として17mmol%)を添加し、エステル交換反応(以下、EI反応と略す)を終了させた。続いて5分後に重縮合触媒として、三酸化アンチモン0.038部およびテトラブトキシチタネート0.005部を添加し、240℃まで加熱して一部のエチレングリコールを留出させた後、反応物を内部に撹拌翼を有する重縮合装置に移行した。
EI反応終了後、反応物を重縮合反応(PN反応と略す)のため、徐々に真空ポンプで真空度を高めながら35分間を要して、反応温度を270℃に到達せしめた。この温度を保持して真空度を0.15kPa以下に保ちPN反応を15分間行った。ここで真空ポンプとPN反応釜をむすぶ真空バルブを閉とし、攪拌翼は回転させたままの状態で窒素ガスにて系内を常圧に戻した。次に半固形状の合成例1のPAO重合体1.3部(ポリエステルを構成する全酸成分に対し1.5mol%)を添加した後、直ちに真空バルブを開けて減圧処理を再開した。PAO添加時のポリエステル固有粘度は0.22dl/gであった。その後、所望の固有粘度に到達するまでPN反応を続けた。次にポリマー吐出作業を行うため攪拌翼を停止させた後、PN反応釜系内を窒素ガスで0.17Mpaに加圧し、ダイホールよりポリエステルをストランド状に押出した。その後、冷却バスでポリエステルを冷却した後、ペレターザーでカッテングを行い、長径約4mm、短径約2mm、長さ約4mmのポリエステルチップを得た。以降の固相重合は実施例12と同様な操作を繰り返した。
得られたポリエステルチップの結果を表−2に記す。
[比較例7〜8]
PAOの添加量を表−1の値に変更する以外は実施例12と同様な操作を繰り返した。得られたポリエステルチップの結果を表−2に示す。
[比較例9]
重縮合反応時の反応打ち切り固有粘度を0.45dl/gにする以外は、実施例12と同様な操作を繰り返した。
得られたポリエステルチップの結果を表−2に示す。
[実施例16]
添加するPAOを合成法2で合成したものを用いる以外は、実施例9と同様な操作を繰り返した。
得られたポリエステルチップの結果を表−2に示す。
Figure 2013124264
表−2で明らかなようにPAOの添加をポリエステルの固有粘度が0.2(dl/g)以上になった段階で、かつ減圧下において、加熱溶融して液体状で添加することで、低カルボであり、かつ気泡よる欠点が少ないポリエステル得ることが出来る。更に固相重合を行うことで耐加水分解性、オリゴマー析出抑制に優位なポリエステルを得ることが出来る。
本発明のポリエステルチップは、PAOを添加してもポリマー中の気泡含有数が少なく、かつ、低カルボのポリエステルを容易に製造できることから、特に耐加水分解性が求められる太陽電池バックシート用フィルムに極めて好適に使用できる。

Claims (9)

  1. 芳香族ジカルボン酸を主たる酸成分とし、炭素数2〜4のアルキレングリコールをグリコール成分とするポリエステルチップの製造法において、重縮合反応時に下記式(1)で示されるシュウ酸グリコールエステル(以下、PAOと略す)を、全酸成分に対して0.1〜5.0mol%の範囲で添加する第1工程と、重縮合反応を継続して固有粘度0.60〜0.85dl/gに溶融重合にて到達せしめる第2工程と、さらにチップ形状に裁断する第3工程とからなり、かつ第1工程のPAOの添加が、該ポリエステルの固有粘度が0.2(dl/g)以上になった段階で、かつ減圧下において、PAOを100℃以上に加熱溶融して液体状で添加することを特徴とするポリエステルチップの製造方法。
    −C(O)−C(O)−ORO− (1)
    (但し、式中のRは炭素数2〜4のアルキレン基を示す。)
  2. PAOを複数回に分けて添加する請求項1記載のポリエステルチップの製造方法。
  3. 第1工程のPAOの添加が、該ポリエステルの固有粘度が0.4(dl/g)以下の段階で、少なくとも添加するPAOの50重量%を行う請求項1記載のポリエステルチップの製造方法。
  4. 第3工程終了後、チップ形状にて固有粘度を0.05dl/g以上高くする固相重合を行う第4工程を有する請求項1記載のポリエステルチップの製造方法。
  5. PAOを添加する直前の重縮合反応系内の真空度が0.15kPa以下であり、PAO添加後の真空度が最大80kPa以下である請求項1記載のポリエステルチップの製造方法。
  6. 芳香族ジカルボン酸を主たる酸成分としエチレングリコールをグリコール成分とするポリエステルからなるチップであって、下記式(1)で示されるシュウ酸のグリコールエステルを、全酸成分のモル数に対して、0.1〜5.0モル%の範囲で添加したもので、末端カルボキシル基量が10eq/ton以下の範囲で、固有粘度が0.60〜0.85dl/gの範囲で、かつポリエステル中の直径1mm以上の気泡含有数が500(個/ポリマー25g)以下であることを特徴とするポリエステルチップ。
    −C(O)−C(O)−ORO− (1)
    (但し、式中のRは炭素数2〜4のアルキレン基を示す。)
  7. 固有粘度が0.70〜0.85dl/gの範囲で、かつオリゴマー含有量が0.5重量%以下である請求項6記載のポリエステルチップ。
  8. フィルムに用いられる請求項1記載のポリエステルチップ。
  9. フィルムが太陽電池バックシート用フィルムである請求項8記載のポリエステルチップ。
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