JP2013123286A - モータ - Google Patents

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Abstract

【課題】導通端子と端子保持部材の間を安定的に密閉できるようにして、モータハウジング内の冷却液の滲み出し防止を図ることのできるモータを提供する。
【解決手段】モータハウジング2に絶縁材料から成る第1端子保持部材7を取り付け、第1端子保持部材7に導通端子10を保持させる。第1端子保持部材7に端子取付孔13を形成し、端子取付孔13に導通端子10を挿入し、端子取付孔13と導通端子10の間にはシールリング26を介在させる。第1端子保持部材7には、端子取付孔13内に導通端子10が挿入されたときに、導通端子10と係合して、導通端子10の抜けを規制する突起37を設ける。
【選択図】図2

Description

この発明は、ステータに巻回された導線が端子接続部を介して外部の給電線に接続されるモータに関するものである。
この種のモータとして、モータハウジングの壁の一部に絶縁材料から成る端子保持部材が取り付けられ、その端子保持部材に保持された導通端子を介して、モータハウジングの内部のステータの導線と、モータハウジングの外部の給電線とのを接続するようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に記載のモータは、絶縁性の樹脂から成る端子保持部材に、金属製の導通端子がインサート成形によって一体化され、その端子保持部材がモータハウジングの壁の一部にボルト締結等によって一体に取り付けられている。
特開2011−160619号公報
しかし、この従来のモータにおいては、樹脂製の端子保持部材に金属製の導通端子がインサート成形によって一体化されているが、端子保持部材と導通端子の間に微小な隙間ができてしまい、その隙間を通してモータハウジング内の冷却液が外部に滲み出る可能性が考えられる。
この対策として、絶縁材料から成る端子保持部材に貫通孔を形成しておき、その貫通孔に金属製の導通端子を、シール部材を介して挿入固定することを検討している。
この場合、端子保持部材と導通端子の間の隙間をシール部材によって確実に密閉できるようになるものの、線膨張係数の異なる端子保持部材と導通端子の熱伸縮により、導通端子が端子保持部材に対して抜け方向に変位してしまうことが懸念される。
そこでこの発明は、導通端子と端子保持部材の間を安定的に密閉できるようにして、モータハウジング内の冷却液の滲み出し防止を図ることのできるモータを提供しようとするものである。
この発明に係るモータでは、上記課題を解決するために以下の構成を採用した。
請求項1に係る発明は、導線が巻回されたステータと、このステータを内部に収容するモータハウジング(例えば、実施形態のモータハウジング2)と、絶縁材料から成り、前記モータハウジングのに取り付けられる端子保持部材(例えば、実施形態の第1端子保持部材7)と、この端子保持部材に保持され、一端側が前記モータハウジングの内側で前記ステータの導線に接続されるとともに、他端側が前記モータハウジングの外側で外部の給電線に接続される導通端子(例えば、実施形態の導通端子10)と、を備えたモータであって、前記端子保持部材には、前記モータハウジングの内外を連通するように端子取付孔(例えば、実施形態の端子取付孔13)が形成され、この端子取付孔に所定の挿入方向に沿って前記導通端子が挿入されるとともに、前記端子取付孔と前記導通端子の挿入部の間にシール部材(例えば、実施形態のシールリング26)が介装され、さらに、前記端子保持部材には、前記端子取付孔に前記導通端子が挿入されたときに、前記導通端子と係合して、前記導通端子の前記挿入方向と逆方向への抜けを規制する突起(例えば、実施形態の突起37)が設けられていることを特徴とするものである。
これにより、導通端子と、端子保持部材の端子取付孔の間はシール部材によって密閉されるようになり、端子保持部材の端子取付孔からの導通端子の抜けは、導通端子に対する突起の係止によって規制される。
請求項2に係る発明は請求項1に係るモータにおいて、前記端子保持部材には、前記端子取付孔に前記導通端子が挿入されたときに、前記導通端子と当接して、前記導通端子の前記挿入方向への変位を規制する突き当て部(例えば、実施形態の突き当て部40)が設けられていることを特徴とするものである。
これにより、端子保持部材の端子取付孔に対する導通端子の侵入方向の変位は、導通端子が突き当て部に当接することによって規制される。
請求項3に係る発明は、請求項1または2に係るモータにおいて、前記端子保持部材には、前記端子取付孔よりも前記モータハウジングの内側方向に延出し、前記導通端子と前記ステータの導線との接続部の少なくとも下方領域を覆う延出壁(例えば、実施形態の延出壁35)が設けられ、前記突起は、前記延出壁に形成されていることを特徴とするものである。
これにより、導通端子とステータの導線の接続部の少なくとも下方領域が、絶縁材料から成る延出壁によってモータハウジング等の周囲の導電部材から遮蔽されるようになり、その遮蔽壁を兼ねる延出壁に突起が突設されることになる。
請求項4に係る発明は、請求項3に係るモータにおいて、前記延出壁上の前記突起の立ち上がり部の周囲に貫通孔(例えば、実施形態の貫通孔38)が形成されていることを特徴とするものである。
これにより、突起の立ち上がり部の周囲に形成された貫通孔により、突起の立ち上がり部の変形が容易になる。また、延出壁部分に流入した冷却液は貫通孔を通して下方に排出されることになる。
請求項5に係る発明は、請求項4に係るモータにおいて、前記貫通孔は、前記突起を取り囲む略コ字状に形成されていることを特徴とするものである。
これにより、突起の立ち上がり部の周域に短冊状の撓み許容部ができ、突起に作用する応力はその撓み許容部によって分散されることになる。
請求項6に係る発明は、請求項4または5に係るモータにおいて、前記延出壁は前記導通端子と前記ステータの導線との接続部を覆う筒状に形成され、この延出壁の前記貫通孔と対向する上部領域に、第2の貫通孔(例えば、実施形態の作業孔36)が形成されていることを特徴とするものである。
これにより、導通端子とステータの導線との接続部の周域が絶縁材料から成る筒状の延出壁によって覆われ、導通端子とステータの導線との接続部が周囲の導電部材からより有利に遮蔽されるようになるとともに、延出壁の上部領域の第2の貫通孔を通して導通端子とステータの導線の接続作業を行うことが可能になる。
請求項1に係る発明によれば、導通端子と端子保持部材の端子取付孔の間がシール部材によって密閉されるとともに、端子保持部材の端子取付孔からの導通端子の抜けが突起によって規制されるため、温度変化が起こった際にも導通端子と端子保持部材の間を安定的に密閉し、モータハウジング内の冷却液の滲み出しを確実に防止することができる。
請求項2に係る発明によれば、端子保持部材の端子取付孔に対する導通端子の侵入方向の変位が突き当て部によって規制されるため、導通端子と端子取付孔の間を安定的に密閉することができる。
請求項3に係る発明によれば、導通端子とステータの導線の接続部の少なくとも下方領域が延出壁によって遮蔽され、その延出壁に突起が突設されるため、導通端子のステータ側の接続部の下方領域の絶縁を図りつつ、端子保持部材上の適正位置に突起を設定することができる。
請求項4に係る発明によれば、延出壁上の突起の立ち上がり部の周囲に貫通孔が形成されているため、貫通孔によって突起の立ち上がり部の変形を容易にして、突起に作用する応力を緩和し、突起の劣化を未然に防止することができる。
また、この請求項4に係る発明によれば、貫通孔を通して延出壁部分に流入した冷却液を延出壁の下方に確実に排出することができるため、延出壁部分に冷却液が長期に亙って滞留することによって起こる導通端子の接続部や端子保持部材の劣化や、冷却液自体の劣化、冷却液の不足等の不具合を解消することができる。
請求項5に係る発明によれば、貫通孔が、突起を取り囲む略コ字状に形成されているため、略コ字状の貫通孔によって形成される短冊状の撓み許容部によって突起に作用する応力をさらに効果的に緩和し、突起の劣化を未然に防止することができる。
請求項6に係る発明によれば、導通端子とステータの導線との接続部の周域が絶縁材料から成る筒状の延出壁によって覆われ、その延出壁の上部領域に第2の貫通孔が形成されているため、導通端子のステータ側の接続部の周囲の絶縁を図りつつ、導通端子のステータ側の接続作業性を良好にすることができる。
この発明の一実施形態のモータの斜視図である。 この発明の一実施形態のモータの図1のA−A断面に沿う断面図である。 この発明の一実施形態の導通端子を組み付けた端子保持部材の断面図である。 この発明の一実施形態の端子保持部材の斜視図である。 この発明の一実施形態の端子保持部材の下面図である。 この発明の一実施形態の導通端子の斜視図である。 この発明の一実施形態の導通端子の側面図である。 この発明の一実施形態の端子保持部材を斜め下方から見た斜視図である。 比較例の突起の応力分布図(A)と、この発明の一実施形態の突起の応力分布図(B)を併せて記載した図である。 比較例の貫通孔の周辺部の応力分布図(A)と、この発明の一実施形態の貫通孔の周辺部の応力分布図(B)を併せて記載した図である。 この発明の一実施形態のモータの図2のB−B断面に対する断面図である。 この発明の一実施形態の導通端子の組み付け方法を(A)〜(E)で順次示す断面図である。 この発明の他の実施形態の導通端子と端子保持部材の断面図である。
以下、この発明の一実施形態を図1〜図12に基づいて説明する。
図1は、この実施形態に係るモータ1の外観を示す斜視図であり、図2は、図1のA−A断面部分に対応する断面図である。なお、以下の説明においては、特別に断らない限り、図1中の上側に相当する側を「上」と呼び、それと逆側を「下」と呼ぶものとする。
この実施形態のモータ1は、ハイブリッド車両や電気自動車の駆動源として用いられるモータであり、アルミニウム合金等の金属材料から成るモータハウジング2の内部に円環状の図示しないステータが固定設置されるとともに、ステータの内側に図示しないロータが回転可能に配置されている。ステータには、U相,V相,W相の3相の導線4が巻回され、その各相の導線4の端部がステータの外側に引き出され、モータハウジング2の軸方向の一端部の上部側領域において、モータハウジング2の外部から引き入れられた対応する相の給電線5にそれぞれ結線されている。
モータハウジング2の軸方向の一端側の上部には、図2に示すように、略扁平な上壁6aと、その上壁6aに連設する端部壁6bを有する端子設置部6が設けられている。端子設置部6の端部壁6bと上壁6aには、絶縁性の樹脂材料から成る第1端子保持部材7と第2端子保持部材8がそれぞれ取り付けられている。第1端子保持部材7には、一端側にステータ側の各相の導線4の端子9(以下、「コイル端子9」と呼ぶ。)がそれぞれ接続される金属製の三つの導通端子10が保持されている。
図3は、導通端子10が保持された第1端子保持部材7を示す図であり、図4,図5は、第1端子保持部材7の単体を示す図である。
これらの図にも示すように、第1端子保持部材7は、端部壁6bに対してモータハウジング2の外側から重ねられて取り付けられるベース壁7aと、このベース壁7aから略直角方向に突出し、その内部に対応する導通端子10が挿入される略円筒状の三つのボス部7bを備えている。三つのボス部7bは等間隔に並列に並んで突設されている。
また、端子設置部6の端部壁6bには、第1端子保持部材7の三つのボス部7bに対応して三つの貫通孔11が形成され、その各貫通孔11に第1端子保持部材7の対応するボス部7bが挿入されるようになっている。第1端子保持部材7は、三つのボス部7bを貫通孔11に挿入した状態において、ベース壁7aが端部壁6bにボルト締結されている。また、各ボス部7bと対応する貫通孔11の間にはシールリング12が介装され、両者の間の密閉が図られている。
端子設置部6の各貫通孔11に挿入されるボス部7bには、軸方向に貫通する端子取付孔13が設けられ、その各端子取付孔13に、図2に示すように、導通端子10が挿入されるようになっている。端子取付孔13に挿入された各導通端子10は、モータハウジング2の内側に配置される先端部に、対応する相のコイル端子9が接続されるとともに、モータハウジング2の外側に配置される基端部に、導電性の金属板から成るバスバー14が接続されている。各バスバー14は、導通端子10との接続部から上方に延出し、延出した上端部側が、第2端子保持部材8上において、対応する相の給電線5の端子15(以下、「給電端子15」と呼ぶ。)に接続されるようになっている。
なお、第1端子保持部材7のベース壁7aには、図4に示すように、各導通端子10の基端部とバスバー14の接続部の周囲を囲繞する略U字状の隔壁16が形成され、その各隔壁16によって接続部とバスバー14を外部から電気的に遮蔽するようになっている。
また、端子設置部6の上壁6aには、三つの作業孔17が並列に並んで設けられている。これらの各作業孔17は、三つの導通端子10の先端部とコイル端子9の接続部の直上位置に配置されており、コイル端子9を導通端子10にボルト18によって締結するときに、工具による締結作業を行うために用いられる。
第2端子保持部材8には、上記の三つの作業孔17に挿入される蓋部19と、バスバー14の上端部と給電端子10を接続するボルト20が螺合されるねじ受け部21と、が設けられている。なお、図2中、22は、蓋部19と作業孔17の間に介装されたシールリングであり、23は、第2端子保持部材8のねじ受け部21に埋設されたナットである。
図6,図7は、導通端子10の外面形状を示す図である。
図2,図3とこれらの図に示すように、導通端子10は、基本形状が円柱状に形成され、軸方向の基部側ほぼ3分の1の領域が第1端子保持部材7の端子取付孔13に挿入される嵌合部24とされ、その嵌合部24の外周には環状の保持溝25が形成されている。この保持溝25には、端子取付孔13と導通端子10の間を密閉するためのシールリング26(シール部材)が装着されている。
導通端子10の軸方向の先端部側ほぼ3分の2の領域の上部(図2に示すようにモータハウジング2に取り付けたときに上側となる部分)は水平に切り欠かれ、平坦な接合面27とされている。この接合面27には、コイル端子9が重ねられて結合されるようになっている。接合面27の切欠きは、接合面27が導通端子10の基本となる円柱形状のほぼ3分の2の高さとなるように設定されている。
また、導通端子10の先端部の近傍の外周域(接合面27の切欠き部分を除く。)には設定幅の切欠き溝28が設けられ、さらに導通端子10の軸方向の先端側ほぼ3分の2の領域の下面には、前端側が切欠き溝28に連続する水平な切欠き面29が設けられている。これらの切欠き溝28と切欠き面29とにより、導通端子10の先端側の下方領域には、切欠き溝28の前端部から下方側に相対的に隆起する第1係止壁30と、切欠き面29の後端部から下方に相対的に隆起する第2係止壁31とが形成されている。
なお、図中符号32は、導通端子10の先端側領域に設けられ、コイル端子9を結合するボルト18が螺合されるねじ孔であり、符号33は、導通端子10の基端面に設けられ、バスバー14を結合するボルト34(図2参照。)が螺合されるねじ穴である。
ところで、図2,図3に示すように、第1端子保持部材7の各ボス部7bの先端部(モータハウジング2の内側に配置される側の端部)には、端子取付孔13の形成部の周域から軸方向に沿って延出する略円筒状の延出壁35が設けられ、この延出壁35が導通端子10とコイル端子9の接続部の周域を遮蔽するようになっている。ただし、延出壁35の上部領域の導通端子10とコイル端子9の接続部の直上位置には作業孔36(第2の貫通孔)が設けられている。この作業孔36は、端子設置部6の上壁6aの作業孔17と合致する位置に設けられ、両作業孔17,36を通してボルト18の締め込み作業が行われるようになっている。
また、各ボス部7bの延出壁35の下部領域には、延出壁35の円筒内に突出する突起37が突設されている。この突起37は、ほぼ一定幅の板状に形成され、導通端子10とコイル端子9の接続部のほぼ直下位置から所定高さ上方に突出した後に延出壁35の延出方向に向かって斜め上方に屈曲している。
この突起37は、端子取付孔13内に導通端子10が所定深さ以上挿入されたときに、導通端子10の先端側下端のコーナーに押されて撓み変形し、その先端部が、導通端子10の先端部を乗り越えて弾性復帰したときに、第1係止壁30の内側端面と当接する。導通端子10はこれによって抜け方向の変位を規制される。
図8は、延出壁35の突起37の立ち上がり部の近傍を下方から見た図である。
同図と図5に示すように、延出壁35の突起37の立ち上がり部の周域には、正面視が略コ字状の貫通孔38が形成されている。この貫通孔38は、略コ字状に形成されることにより、延出壁35の先端部側から突起37の立ち上がり部に向かって延出する短冊状の撓み片39(撓み許容部)を形成している。この撓み片39は、突起37に荷重が入力されたときに、撓み片39を突起37とともに撓ませることにより、突起37に作用する応力を分散させる。
図9(A)は、延出壁35に貫通孔38を設けなかったときの突起37の周辺部の応力分布図であり、図9(B)は、延出壁35に貫通孔38を設けたときの突起37の周辺部の応力分布図である。
これらの図からも明らかなように、延出壁35に貫通孔38を設けない場合には、突起37の立ち上がり部付近の屈曲部分に応力の集中が生じるが、延出壁35に貫通孔38を設けた場合には、突起37に作用する応力を周域全体に分散させることができる。
また、延出壁35に設けられる貫通孔38のコ字形状の開口側の端末付近の形状は単純な一定幅の開口ではなく、コ字形状の開口側に向かって幅が末広がり状に広がり、かつ、端末部38aが突起37の立ち上がり部の近傍を中心とした円弧を描き、延出壁35の軸方向に沿う孔縁38bに対して、曲率半径の大きい円弧部38cを介して連続するようになっている。
図10(A)は、貫通孔38のコ字形状の開口側の端末付近の形状を単純な一定幅の開口にしたときの応力分布図であり、図10(B)は、貫通孔38のコ字形状の開口側の端部付近の形状を上述のように設定したときの応力分布図である。また。図11は、コイル端子9を導通端子10にボルト18で締結するときに、第1端子保持部材7に作用する荷重を説明するための図である。
ここで想定している第1端子ブロック7に作用する応力は、図11に示すように、コイル端子9を導通端子10にボルト18で締結するときに、コイル端子9から延出壁35に作用するトルクに起因する応力である。
図10(A)のように、貫通孔38のコ字形状の開口側の端末付近を単純な一定幅の開口形状にした場合には、端末部付近に応力集中が生じやすいが、図10(B)のように、先端部に向かって幅が末広がり状に広がり、かつ、端末部38aが突起37の立ち上がり部の近傍(ボルト18の締結部の近傍)を中心とした円弧を描き、延出壁35の軸方向に沿う孔縁38bに対して、曲率半径の大きい円弧部38cを介して連続する形状とした場合には、延出壁35に作用する応力を貫通孔38の周囲の広い範囲に分散させることができる。
また、図2,図3に示すように、各ボス部7bの端子取付孔13内には、延出壁35側の端部の近傍において所定高さ上方に隆起する突き当て部40が設けられている。この突き当て部40は、導通端子10が端子取付孔13に所定深さまで挿入されたときに、導通端子10の第2係止壁31と当接することによって導通端子10の挿入方向の変位を規制する。なお、突き当て部40の上面は水平な偏平面とされている。
ところで、この実施形態の導通端子10と第1端子保持部材7の場合、図3に示すように、突起37に係止される第1係止壁30と、突き当て部40に係止される第2係止壁31とが、切欠き溝28と切欠き面29を挟んで同一高さに設定されている。このため、導通端子10を端子取付孔13にストレートに挿入しようとすると、導通端子10の先端側の係止壁30が端子取付孔13内の突き当て部40に当接し、導通端子10のそれ以上の挿入が不可能となる。
このため、導通端子10を第1端子保持部材7に組み付ける場合には、図12(A)〜(E)に示すような方法が採用される。
以下、図12に示す組み付け方法について説明する。なお、導通端子10の保持溝25にはシールリング26を予め装着しておく。
最初に、図12(A)に示すように、導通端子10を最終組み付け姿勢に対してほぼ180°反転させて、導通端子10の第1係止壁30が上部側にくるようにし、その姿勢のまま導通端子10の先端側を第1端子保持部材7の端子取付孔13内に挿入する。このとき、第1係止壁30の外側の円弧面は端子取付孔13内の突き当て部40の無い上部領域を摺動する。導通端子10は、第1係止壁30が端子取付孔13の外側に抜け出るまで、この姿勢で挿入される。
次に、第1係止壁30が端子取付孔13の外側に抜け出ると、その時点で図12(B),(C),(D)に順次示すように、導通端子10を180°回転させて最終組み付け姿勢にする。こうして、導通端子10を最終組み付け姿勢まで回転させると、導通端子10の第1係止壁30が、突き当て部40と軸方向でラップする範囲にありながら、突き当て部40よりも先端側に位置されることになる。
この後には、導通端子10を最終組み付け姿勢に維持したまま端子取付孔13内にさらに挿入する。こうして導通端子10が端子取付孔13内にさらに挿入されると、導通端子10の先端部下方のコーナー部分が延出壁35上の突起37に当接して突起37を撓み変形させる。こうして、導通端子10が所定位置まで挿入されると、図12(E)に示すように、突起37が第1係止壁30の円弧面を乗り越えて、その先端部が第1係止壁30の内側端面に当接するとともに、第2係止壁31が端子取付孔13内の突き当て部40に当接するようになる。
この結果、導通端子10は、端子取付孔13に対する抜け方向と侵入方向の変位が突起37と突き当て部40によって規制される。
ここで説明した第1端子保持部材7に対する導通端子10の組み付けは、第1端子保持部材7がモータハウジング2の端子設置部6に取り付けられる前に行われる。そして、予め導通端子10が組み付けられた第1端子保持部材7がモータハウジング2の端子設置部6に取り付けられた後、作業孔17,36を通して各コイル端子9と導通端子10の結合が行われ、さらにその後に端子設置部6に第2端子保持部材8が組み付けられ、導通端子10に対するバスバー14の下端部の結合と、バスバー14の上端部と給電端子15の結合が行われる。
そして、このようにしてすべての結線が完了すると、図2に示すように、端子設置部6の上部には、バスバー14や結線部等の周囲を覆う金属製の保護カバー41が取り付けられる。なお、この保護カバー41の内面には、絶縁性のゴム部材42が焼き付けによって固着されている。このゴム部材42は、バスバー14や結線部等に対する金属製の保護カバー41の絶縁性を高め、それによって保護カバー41の小型化を図ることができ、さらに、万が一の保護カバー41の破損時には破片の散らばりを抑制することができる。
以上のように、この実施形態のモータ1においては、第1端子保持部材7の各端子取付孔13と対応する導通端子10の間がシールリング26によって密閉されるとともに、各端子取付孔13からの導通端子10の抜けが、第1端子保持部材7上の突起37によって規制されているため、線膨張係数の異なる第1端子保持部材7と導通端子10の熱伸縮が起こっても、第1端子保持部材7の端子取付孔13と導通端子10の間を常に一定状態で安定的に密閉することができる。
さらに、この実施形態の場合、各端子取付孔13に対する導通端子10の侵入方向の変位が端子取付孔13内に設けられた突き当て部40によって規制されるため、導通端子10の侵入方向への過大な変位も規制することができ、導通端子10をより安定的に一定維持に保持することができる。
したがって、この実施形態のモータ1において、各端子取付孔13と導通端子10の間の密閉性を常に一定に維持し、モータハウジング2内の冷却液の外部への滲み出しを確実に防止することができる。
また、この実施形態のモータ1においては、各相の導通端子10とコイル端子9との接続部の周域が、第1端子保持部材7の略円筒状の延出壁35によって囲繞されるとともに、延出壁35のうちの前記接続部の下方領域に突起37が突設されているため、導通端子10の接続部の周域の絶縁を図りつつ、第1端子保持部材7上の適正位置に突起37を設定することができる。
また、この実施形態のモータ1では、第1端子保持部材7上の延出壁35の突起37の立ち上がり部の周域に、略コ字状の貫通孔38が設けられ、その貫通孔38によって突起37に連続する撓み片39が形成されているため、撓み片39によって突起37に生じる応力集中を少なくし、突起37の劣化を未然に防止することができる。
さらに、このモータ1においては、延出壁35内に流入したモータハウジング2内の冷却液を、延出壁35の下方領域の貫通孔38を通して下方に確実に排出することができる。したがって、この構造を採用することにより、延出壁35の内側に冷却液が長期に亙って滞留することによって起こる導通端子10とコイル端子9の接続部や第1端子保持部材7の劣化、冷却液自体の劣化、必要部位での冷却液あるいは潤滑液の不足等の不具合を無くすことができる。
さらに、この実施形態の場合、略円筒状の延出壁35の上部領域に作業孔36が形成されているため、導通端子10の接続部の絶縁を図りつつ、コイル端子9と導通端子10の接続作業性を良好にすることができる。
なお、この発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更が可能である。例えば、上記の実施形態においては、導通端子10上の第1係止壁30と第2係止壁31の高さが同じ高さに設定されているため、図12に示すような特殊な組み付け方法を用いる必要があったが、図13に示す他の実施形態のように、先端側の第1係止壁130を高く設定し、それに合わせて突起137を高く設定すれば、最終組み付け姿勢のまま導通端子110を対応する端子取付孔13内に挿入することができる。図13においては、上記の実施形態と同一部分に同一符号を付し、重複する説明を省略するものとする。
1…モータ
2…モータハウジング
7…第1端子保持部材
10,110…導通端子
13…端子取付孔
26…シールリング(シール部材)
35…延出壁
36…作業孔(第2の貫通孔)
37,137…突起
38…貫通孔
40…突き当て部

Claims (6)

  1. 導線が巻回されたステータと、
    このステータを内部に収容するモータハウジングと、
    絶縁材料から成り、前記モータハウジングに取り付けられる端子保持部材と、
    この端子保持部材に保持され、一端側が前記モータハウジングの内側で前記ステータの導線に接続されるとともに、他端側が前記モータハウジングの外側で外部の給電線に接続される導通端子と、を備えたモータであって、
    前記端子保持部材には、前記モータハウジングの内外を連通するように端子取付孔が形成され、
    この端子取付孔に所定の挿入方向に沿って前記導通端子が挿入されるとともに、前記端子取付孔と前記導通端子の挿入部の間にシール部材が介装され、
    さらに、前記端子保持部材には、前記端子取付孔に前記導通端子が挿入されたときに、前記導通端子と係合して、前記導通端子の前記挿入方向と逆方向への抜けを規制する突起が設けられていることを特徴とするモータ。
  2. 前記端子保持部材には、前記端子取付孔に前記導通端子が挿入されたときに、前記導通端子と当接して、前記導通端子の前記挿入方向への変位を規制する突き当て部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のモータ。
  3. 前記端子保持部材には、前記端子取付孔よりも前記モータハウジングの内側方向に延出し、前記導通端子と前記ステータの導線との接続部の少なくとも下方領域を覆う延出壁が設けられ、
    前記突起は、前記延出壁に形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載のモータ。
  4. 前記延出壁上の前記突起の立ち上がり部の周囲に貫通孔が形成されていることを特徴とする請求項3に記載のモータ。
  5. 前記貫通孔は、前記突起を取り囲む略コ字状に形成されていることを特徴とする請求項4に記載のモータ。
  6. 前記延出壁は前記導通端子と前記ステータの導線との接続部を覆う筒状に形成され、この延出壁の前記貫通孔と対向する上部領域に、第2の貫通孔が形成されていることを特徴とする請求項4または5に記載のモータ。
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