以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
本実施形態のコンテナ用冷凍装置(10)は、図示しないコンテナの庫内を冷却するものである。コンテナ用冷凍装置(10)は、コンテナ本体の側方の開口面を閉塞する蓋体を兼用している。また、コンテナには、図示はしないが、コンテナ庫内を換気するための換気口と、換気口を開閉する換気扉とが設けられている。尚、換気扉は、図6におけるFAを構成している。コンテナの積荷が果物などの場合は、コンテナ庫内を換気する必要があるため、換気扉が開閉される。一方、コンテナの積荷が機械などの場合は、コンテナ庫内を換気する必要がないため、換気扉は常時閉じられる。本実施形態では、上記換気扉が常時閉じられた状態における制御について説明する。
図1に示すように、上記コンテナ用冷凍装置(10)は、冷媒が循環して冷却サイクルを行う冷媒回路(20)を備えている。この冷媒回路(20)は、主回路(21)と、ホットガスバイパス回路(22)とレヒート回路(80)と過冷却回路(23)とを有している。
上記主回路(21)は、圧縮機(30)と凝縮器(31)と主膨張弁(32)と蒸発器(33)とが順に冷媒配管によって直列に接続されて構成されている。
上記圧縮機(30)は、圧縮機構を駆動するモータ(図示省略)を有している。この圧縮機(30)のモータの回転数は、インバータによって多段階に制御される。つまり、圧縮機(30)は、運転回転数Nが可変に構成されている。
上記凝縮器(31)および蒸発器(33)は、いずれもフィン・アンド・チューブ熱交換器で構成されている。凝縮器(31)は、庫外に配置されている。凝縮器(31)では、庫外の空気と冷媒とが熱交換する。蒸発器(33)は、庫内に配置されている。蒸発器(33)では、庫内の空気と冷媒とが熱交換する。また、蒸発器(33)の下方には、ドレンパン(37)が設けられている。ドレンパン(37)は、上側が開放された扁平な容器状に形成されている。ドレンパン(37)の内部には、蒸発器(33)から剥がれ落ちた霜や氷塊や、空気中から凝縮した結露水等が回収される。主膨張弁(32)は、開度がパルスモータによって多段階に調節可能に構成されている。主膨張弁(32)は、図3におけるメインEVを構成している。また、上記凝縮器(31)には、庫外ファン(35)が設けられる一方、蒸発器(33)には、庫内ファン(36)が設けられている。庫内ファン(36)は、蒸発器(33)で冷却された冷却空気を庫内に供給するように構成されている。上記庫外ファン(35)および庫内ファン(36)には、それぞれ庫外ファンモータ(35a)および庫内ファンモータ(36a)が設けられている。
上記圧縮機(30)と凝縮器(31)との間の高圧ガス管(24)には、第4開閉弁(38)と逆止弁(CV)とが順に設けられている。第4開閉弁(38)は、開度がパルスモータによって多段階に調節可能に構成されている。第4開閉弁(38)は、図3におけるDMVを構成している。逆止弁(CV)は、図1に示す矢印の方向への冷媒の流れを許容し、その逆の流れを禁止している。
上記凝縮器(31)と主膨張弁(32)との間の高圧液管(25)には、レシーバ(41)と第2開閉弁(49)とドライヤ(43)と過冷却熱交換器(44)とが順に設けられている。上記レシーバ(41)は、凝縮器(31)の下流側に設けられ、凝縮器(31)を流れた冷媒を流入させ、飽和液と飽和ガスとに分離するように構成されている。上記第2開閉弁(49)は、開閉自在な電磁弁で構成されている。上記ドライヤ(43)は、凝縮器(31)を流れた液冷媒中の水分を捕捉するように構成されている。凝縮器(31)の上流側には、主膨張弁(32)の下流側に接続される液封防止管(90)が接続されている。この液封防止管(90)には液封開閉弁(91)が設けられている。
上記過冷却熱交換器(44)は、凝縮器(31)を流れた液冷媒を冷却するものである。過冷却熱交換器(44)は、1次側通路(45)と2次側通路(46)を有している。つまり、過冷却熱交換器(44)では、1次側通路(45)を流れる冷媒と2次側通路を流れる冷媒とが熱交換する。1次側通路(45)は、主回路(21)の高圧液管(25)に接続され、2次側通路(46)は、過冷却回路(23)の過冷却分岐管(26)に接続されている。過冷却分岐管(26)の流入端は、高圧液管(25)におけるレシーバ(41)と第2開閉弁(49)の間に接続している。過冷却分岐管(26)の流出端は、圧縮機(30)の圧縮途中(中間圧力状態)の圧縮室(中間圧縮室)と接続している。つまり、過冷却分岐管(26)は、高圧液管(25)の液冷媒の一部が分流し圧縮機(30)の中間圧縮室へ流入する通路である。過冷却分岐管(26)における2次側通路(46)の流入側には、第1開閉弁(47)と過冷却膨張弁(48)とが設けられている。第1開閉弁(47)は、開閉自在な電磁弁で構成されている。過冷却膨張弁(48)は、開度がパルスモータによって多段階に調節可能であり、冷媒を減圧する減圧機構を構成している。過冷却膨張弁(48)は、図3における中間EVを構成している。
上記ホットガスバイパス回路(22)は、1本の主通路(50)と、該主通路(50)から分岐する2本の分岐通路(51,52)とを有している。この2本の分岐通路(51,52)は、第1分岐通路(51)と第2分岐通路(52)をいう。主通路(50)の流入端は、高圧ガス管(24)における第4開閉弁(38)と圧縮機(30)の吐出側との間に接続している。主通路(50)には、第3開閉弁(53)が設けられている。第3開閉弁(53)は、開閉自在な電磁弁で構成されている。
上記第1分岐通路(51)は、一端が主通路(50)の流出端に接続され、他端が主膨張弁(32)と蒸発器(33)との間の低圧液管(27)に接続されている。同様に、第2分岐通路(52)も、一端が主通路(50)の流出端に接続され、他端が低圧液管(27)に接続されている。第2分岐通路(52)は、第1分岐通路(51)よりも長い冷媒配管で構成されている。また、第2分岐通路(52)は、ドレンパン(37)の底部に沿うように蛇行して配置されたドレンパンヒータ(54)を有している。ドレンパンヒータ(54)は、ドレンパン(37)の内部を冷媒によって加熱するように構成されている。以上にようにして、ホットガスバイパス回路(22)は、圧縮機(30)で圧縮した冷媒(圧縮機(30)から吐出された高温のガス冷媒)を蒸発器(33)へ供給するためのバイパス回路を構成している。
上記レヒート回路(80)は、レヒート通路(82)を有している。レヒート通路(82)の流入端は、高圧ガス管(24)における第4開閉弁(38)と圧縮機(30)の吐出側との間に接続されている。レヒート通路(82)には、第5開閉弁(81)が設けられている。この第5開閉弁(81)は、開閉自在な電磁弁で構成されている。第5開閉弁(81)は、図3および図6におけるRSVを構成している。上記レヒート通路(82)は、レヒート熱交換器(83)とキャピラリチューブとを有している。レヒート熱交換器(83)は、除湿運転時において、流入させた吐出冷媒と、蒸発器(33)で冷却除湿させた後の空気との間で熱交換させ、該空気を加熱するものである。レヒート熱交換器(83)は、フィン・アンド・チューブ熱交換器で構成されている。キャピラリチューブは、レヒート熱交換器(83)を流出した冷媒を減圧させるものである。以上のようにして、レヒート回路(80)は、圧縮機(30)で圧縮した冷媒(圧縮機(30)から吐出された高温のガス冷媒)の一部をレヒート熱交換器(83)へ供給するための回路を構成している。
上記冷媒回路(20)には、各種のセンサ類も設けられている。具体的に、高圧ガス管(24)には、高圧圧力センサ(60)と高圧圧力スイッチ(61)と吐出温度センサ(62)とが設けられている。高圧圧力センサ(60)は、圧縮機(30)から吐出される高圧ガス冷媒の圧力を検出する。吐出温度センサ(62)は、圧縮機(30)から吐出される高圧ガス冷媒の温度を検出する。蒸発器(33)と圧縮機(30)の間の低圧ガス管(28)には、低圧圧力センサ(63)と吸入温度センサ(64)とが設けられている。低圧圧力センサ(63)は、圧縮機(30)に吸入される低圧ガス冷媒の圧力を検出する。吸入温度センサ(64)は、圧縮機(30)に吸入される低圧ガス冷媒の温度を検出する。
上記過冷却分岐管(26)には、2次側通路(46)の流入側に流入温度センサ(65)が、2次側通路(46)の流出側に流出温度センサ(66)がそれぞれ設けられている。流入温度センサ(65)は、2次側通路(46)に流入する直前の冷媒の温度を検出する。また、流出温度センサ(66)は、2次側通路(46)を流出した直後の冷媒の温度を検出する。
上記低圧液管(27)には、蒸発器(33)の流入側に流入温度センサ(67)が設けられている。この流入温度センサ(67)は、蒸発器(33)に流入する直前の冷媒の温度を検出する。低圧ガス管(28)には、蒸発器(33)の流出側に流出温度センサ(68)が設けられている。この流出温度センサ(68)は、蒸発器(33)から流出した直後の冷媒の温度を検出する。
上記コンテナの庫外には、凝縮器(31)の吸込側に外気温度センサ(69)が設けられている。外気温度センサ(69)は、凝縮器(31)に吸い込まれる直前の庫外空気の温度(即ち、外気の温度)を検出する。コンテナの庫内には、蒸発器(33)の吸込側に吸込温度センサ(70)と湿度センサ(72)が設けられ、蒸発器(33)の吹出側に吹出温度センサ(71)が設けられている。吸込温度センサ(70)は、蒸発器(33)を通過する直前の庫内空気の温度(吸込空気温度RS)を検出する。湿度センサ(72)は、蒸発器(33)を通過する直前の庫内空気の湿度を検出する。吹出温度センサ(71)は、蒸発器(33)を通過した直後の庫内空気の温度(吹出空気温度SS)を検出する。尚、本実施形態に係る湿度とは、相対湿度をいうものとする。
上記コンテナ用冷凍装置(10)には、冷媒回路(20)を制御するための制御部としてのコントローラ(100)が設けられている。そして、コントローラ(100)には、温度制御部(101)と除湿制御部(102)とファン制御部(103)とを備えている。
上記ファン制御部(103)は、庫外ファン(35)の回転をコンテナ庫内の冷却負荷に応じてハイ状態とロー状態と停止状態とに適宜切り換えるものである。図2に示すように、庫外ファン(35)の回転は、ハイ状態からロー状態に切り換える第1切換制御と、ロー状態からハイ状態に切り換える第2切換制御と、ロー状態から停止状態に切り換える第3切換制御と、停止状態からロー状態に切り換える第4切換制御とが行われる。
上記温度制御部(101)は、圧縮機(30)の運転回転数N(運転周波数)、および主膨張弁(32)の開度を調節することでコンテナの庫内温度を目標温度に維持するためのものである。温度制御部(101)は、吹出空気温度SSが目標吸込温度SPとなるように上記圧縮機(30)の運転回転数Nや主膨張弁(32)の開度を制御する。
具体的に、コンテナ庫内へ吹き出された吹き出し空気の温度(吹出空気温度SS)が目標吹出温度SPよりも低ければ、圧縮機(30)の運転回転数Nを下げたり、主膨張弁(32)の開度を下げる一方、吹出空気温度SSが目標吸込温度(SP)よりも高ければ、圧縮機(30)の運転回転数Nを上げたり、主膨張弁(32)の開度を上げる。
上記除湿制御部(102)は、図3に示すように、庫内湿度と設定湿度との関係に基づいて庫内を除湿する除湿運転を行うものである。除湿制御部(102)は、除湿負荷が大きくなるのに伴って第1〜第4除湿制御が行われる。
上記第1除湿制御は、第5開閉弁(81)を閉鎖した状態で、主膨張弁(32)を調節して蒸発器(33)の過熱度SHeを2℃から5℃、8℃、11℃、14℃の順に上昇させてゆく。こうすると、圧縮機(30)の吸入圧力が下がり、蒸発器(33)における出口蒸発温度が低下するため、蒸発器(33)で結露する水分量が増加する。また、蒸発器(33)の過熱度SHeを上昇させると、蒸発器(33)を流れる冷媒流量が少なくなる。このため、除湿制御部(102)は、圧縮機(30)の回転数Nを高くして冷媒回路(20)を流れる冷媒循環量を増加させ、蒸発器(33)に流入させる冷媒量を増やす。これにより、蒸発器(33)を流れる冷媒流量が増加するため、吹出空気温度SSを目標吹出温度SPに近づけることができる。つまり、コンテナ庫内の温度を目標温度範囲内に維持することができる。
上記第2除湿制御は、第5開閉弁(81)を全開した状態で圧縮機(30)から吐出された冷媒をレヒート熱交換器(83)に流入させている。レヒート熱交換器(83)の冷媒は、蒸発器(33)において冷却除湿された空気と熱交換する。その結果、レヒート熱交換器(83)では、冷媒が庫内空気へ放熱して凝縮し、その結果、庫内空気が加熱される。つまり、蒸発器(33)で冷却除湿された空気をレヒート熱交換器(83)で再度加熱することで、コンテナ庫内の相対湿度を下げるようにしている。
上記第3除湿制御は、第5開閉弁(81)を全開した状態で主膨張弁(32)を調節して蒸発器(33)の過熱度SHeをコンテナ庫内の湿度が設定湿度に近づくように2℃から5℃、8℃、11℃、14℃の順に上昇させてゆく。こうすると、圧縮機(30)の吸入圧力が下がって蒸発器(33)を流れる冷媒の比体積が大きくなるため、冷媒循環量が少なくなる。圧縮機(30)の吸入圧力が下がることで蒸発器(33)における出口蒸発温度が低下し、蒸発器(33)で結露する水分量が増加する。また、蒸発器(33)の過熱度SHeを上昇させると、蒸発器(33)を流れる冷媒流量が少なくなる。このため、除湿制御部(102)は、圧縮機(30)の回転数Nを高くして冷媒回路(20)を流れる冷媒循環量を増加させ、蒸発器(33)に流入させる冷媒量を増やす。これにより、蒸発器(33)を流れる冷媒流量が増加するため、吹出空気温度SSを目標吹出温度SPに近づけることができる。つまり、コンテナ庫内の温度を目標温度範囲内に維持することができる。尚、上記第3除湿制御は、本発明に係る第1除湿制御を構成している。
上記第4除湿制御は、第5開閉弁(81)を全開した状態で主膨張弁(32)を調節して蒸発器(33)の過熱度SHeをコンテナ庫内の湿度が設定湿度に近づくように2℃から5℃、8℃、11℃、14℃の順に上昇させてゆく。こうすると、圧縮機(30)の吸入圧力が下がって蒸発器(33)を流れる冷媒の比体積が大きくなるため、冷媒循環量が少なくなる。圧縮機(30)の吸入圧力が下がることで蒸発器(33)における出口蒸発温度が低下し、蒸発器(33)で結露する水分量が増加する。また、蒸発器(33)の過熱度SHeを上昇させると、蒸発器(33)を流れる冷媒流量が少なくなる。このため、除湿制御部(102)は、圧縮機(30)の回転数Nを高くして冷媒回路(20)を流れる冷媒循環量を増加させ、蒸発器(33)に流入させる冷媒量を増やす。これにより、蒸発器(33)を流れる冷媒流量が増加するため、吹出空気温度SSを目標吹出温度SPに近づけることができる。つまり、コンテナ庫内の温度を目標温度範囲内に維持することができる。
また、除湿運転では、図4に示すように、ファン制御部(103)による第1〜第4切換制御に対応して吐出冷媒の圧力が設定される。そして、除湿制御部(102)は、第1〜第3除湿制御では、可変値βが1に固定されている。このため、第1〜第3除湿制御では、吐出冷媒の圧力が、第1切換制御時は800kPa、第2切換制御時は1000kPa、第3切換制御時は450kPa、第4切換制御時は800kPaに設定される。また、第4除湿制御では、可変値βが2〜14の可変であるため、除湿制御部(102)はコンテナ庫内の除湿負荷(すなわち、コンテナ庫内の湿度と設定湿度との関係)に応じて可変値βの値を大きくする。除湿制御部(102)は、吐出冷媒の圧力を最高で2100kPaに設定する。尚、第4除湿制御は、本発明に係る第2除湿制御を構成している。
−運転動作−
次に、上記コンテナ用冷凍装置(10)の運転動作について説明する。コンテナ用冷凍装置(10)の運転動作は、「冷却運転」と「除湿運転」に大別される。冷却運転は、コンテナの庫内を比較的低い温度に冷却する運転である。つまり、冷却運転は、コンテナ本体に収容された輸送物(例えば生鮮食品等)を保存するために庫内を冷蔵/冷却する運転である。また、除湿運転は、コンテナ庫内の湿度を下げるための運転である。
〈冷却運転〉
冷却運転中には、「冷却動作」および「ポンプダウン動作」が実行される。
〈冷却運転の冷却動作〉
冷却運転の冷却動作では、図5に示すように、第1開閉弁(47)および第2開閉弁(49)が開放状態となり、第3開閉弁(53)および第5開閉弁(81)が閉鎖状態となる。第4開閉弁(38)は全開状態となり、過冷却膨張弁(48)および主膨張弁(32)の開度が適宜調節される。また、圧縮機(30)、庫外ファン(35)および庫内ファン(36)が運転される。尚、圧縮機(30)は、その回転数が通常、冷却運転時に設定される制御値で運転される。
圧縮機(30)で圧縮された冷媒は、凝縮器(31)で凝縮した後、レシーバ(41)を通過する。レシーバ(41)を通過した冷媒は、一部が低圧液管(27)をそのまま流れ、残りは過冷却分岐管(26)に分流する。低圧液管(27)を流れた冷媒は、主膨張弁(32)で減圧された後、蒸発器(33)を流れる。蒸発器(33)では、冷媒が庫内空気から吸熱して蒸発する。これにより、庫内空気が冷却される。蒸発器(33)で蒸発した冷媒は、圧縮機(30)に吸入されて再び圧縮される。
過冷却分岐管(26)に分流した冷媒は、過冷却膨張弁(48)を通過して中間圧にまで減圧された後、過冷却熱交換器(44)の2次側通路(46)を流れる。過冷却熱交換器(44)では、1次側通路(45)を流れる冷媒と2次側通路(46)を流れる冷媒とが熱交換する。その結果、1次側通路(45)の冷媒が過冷却される一方、2次側通路(46)の冷媒が蒸発する。2次側通路(46)を流出した冷媒は、圧縮機(30)の中間ポートより中間圧力状態の圧縮室に吸入される。
冷却動作では、温度制御部(101)によってコンテナ庫内の温度が目標温度となるように、圧縮機(30)の運転回転数Nおよび主膨張弁(32)の開度が制御される。具体的には、吹出空気温度SSが目標吹出温度SPよりも低ければ、温度制御部(101)は、圧縮機(30)の運転回転数Nを低下させ、且つ主膨張弁(32)の開度を下げる。こうすることで、冷媒回路(20)の冷媒循環量が減少し、冷却能力が低下するため、吹出空気温度SSが目標吹出温度SPに近づいていく。このため、コンテナ庫内の温度が保たれる。
一方、吹出空気温度SSが目標吹出温度SPよりも高ければ、温度制御部(101)は、圧縮機(30)の運転回転数Nを増加させると共に、主膨張弁(32)の開度を上げる。こうすることで、冷媒回路(20)の冷媒循環量が増加し、冷却能力が増加するため、吹出空気温度SSが目標吹出温度SPに近づいていく。このため、コンテナ庫内の温度が保たれる。
また、冷却動作では、庫内ファン(36)はハイ状態で運転される。また、庫外ファン(35)は、圧縮機(30)から吐出した冷媒の状態に応じて庫外ファンモータ(35a)の回転数が制御される。
〈冷却運転のポンプダウン動作〉
図示はしないが、冷却運転のポンプダウン動作では、第2開閉弁(49)が開放状態となり、第1開閉弁(47)、第3開閉弁(53)、第5開閉弁(81)が閉鎖状態となる。第4開閉弁(38)は、全開状態となり、過冷却膨張弁(48)および主膨張弁(32)は全閉状態となる。また、圧縮機(30)、庫外ファン(35)および庫内ファン(36)が運転される。
圧縮機(30)が運転されると、全閉状態の主膨張弁(32)から圧縮機(30)の吸入ポートまでのライン(即ち、低圧液管(27)および低圧ガス管(28))の冷媒が、圧縮機(30)に吸入される。圧縮機(30)から吐出された冷媒は、凝縮器(31)で凝縮して液状態となり、レシーバ(41)内に貯留される。これにより、ポンプダウン動作では、冷媒回路(20)の冷媒がレシーバ(41)内に回収される。
ポンプダウン動作では、圧縮機(30)の運転回転数N(運転周波数)が原則として一定に制御される。また、庫外ファン(35)の回転数は最大回転数となる。これにより、凝縮器では冷媒の凝縮が促される。
〈除湿運転〉
次に、コンテナ用冷凍装置(10)の除湿運転について説明する。除湿運転では、その除湿負荷に応じて4つの除湿制御が行われる。具体的には、図3および図6に示すように、除湿負荷が大きくなるのに伴って第1〜第4除湿制御が除湿制御部(102)によって行われる。この除湿制御部(102)は、上記湿度センサ(72)で検出されたコンテナ庫内の湿度と、コンテナ用冷凍装置(10)の使用者が予め設定入力した設定湿度とに基づいて制御を行う。
−第1除湿制御−
まず、第1除湿制御について説明する。この第1除湿制御は、コンテナ庫内の湿度が設定湿度以上で、且つコンテナ庫内の温度が安定している場合に行われる。具体的には、図7に示すように、第1除湿制御は、除湿開始信号が除湿制御部(102)に入力され、且つコンテナ庫内の湿度が設定湿度+7%以上であり、吹出空気温度SSが、SP−0.7℃<SS<SP+0.7℃の範囲で5分間以上継続した場合に開始される。第1除湿制御では、図8に示すように、圧縮機(30)、庫外ファン(35)、及び庫内ファン(36)を起動させることによって運転が開始される。このとき、第2開閉弁(49)が開放状態となり、第3開閉弁(53)、第5開閉弁(81)、第1開閉弁(47)および過冷却膨張弁(48)が閉鎖状態となる。第4開閉弁(38)は760パルスの開度で開かれている。
第1除湿制御が開始されると、除湿制御部(102)によって蒸発器(33)における過熱度SHe制御が行われる。具体的には、除湿制御部(102)は、主膨張弁(32)を調節して蒸発器(33)の過熱度SHeをコンテナ庫内の湿度が設定湿度に近づくように2℃から5℃、8℃、11℃、14℃の順に上昇させてゆく。こうすると、圧縮機(30)の吸入圧力が下がり、蒸発器(33)における出口蒸発温度が低下する。また、蒸発器(33)の過熱度SHeを上昇させると、蒸発器(33)を流れる冷媒流量が少なくなる。このため、除湿制御部(102)は、圧縮機(30)の回転数Nを初期値より高くして冷媒回路(20)を流れる冷媒循環量を増加させ、蒸発器(33)に流入させる冷媒量を増やす。これにより、蒸発器(33)を流れる冷媒流量が増加する。これらにより、蒸発器(33)で結露する水分量が増加する。
また、上記庫内ファン(36)は、使用者の手動によって、その回転がハイ状態とロー状態とに切り換えられて運転される。除湿運転において、庫内ファン(36)の回転をロー状態にすると、庫内ファン(36)の入力が下がって蒸発器(33)の冷却負荷が下がる。このため、圧縮機(30)の吸入側の圧力が下がり、蒸発器(33)における出口蒸発温度が低下する。蒸発器(33)で結露される水分量が増加して除湿能力が向上する。
第1除湿制御が行われた結果、図7に示すように、コンテナ庫内の湿度が設定湿度−7%よりも小さくなった状態で3分間継続した場合は、除湿制御部(102)は第1除湿制御を終了する。また、除湿停止信号が除湿制御部(102)に入力された場合、除湿制御部(102)は第1除湿制御を終了する。また、吹出空気温度SSが目標吹出温度SP+0.5℃よりも高くなった状態で20分間継続した場合、除湿制御部(102)は第1除湿制御を終了する。また、吹出空気温度SSが目標吹出温度SP−0.5℃よりも低くなった状態で20分間継続した場合、除湿制御部(102)は第1除湿制御を終了する。また、吹出空気温度SSが目標吹出温度SP−3.0℃よりも低くなった状態で3分間継続した場合、除湿制御部(102)は第1除湿制御を終了する。そして、第1除湿制御が終了したら、通常の冷却運転に戻る。
一方、第1除湿制御が行われても、未だコンテナ庫内の湿度が設定湿度よりも高く、且つ吹出空気温度SSが、SP−0.7℃<SS<SP+0.7℃の範囲で5分間以上継続した場合には、除湿制御部(102)は第2除湿制御を開始する。
−第2除湿制御−
次に、第2除湿制御について説明する。この第2除湿制御では、図9に示すように、除湿制御部(102)によって圧縮機(30)、庫外ファン(35)、及び庫内ファン(36)が運転されると共に、第5開閉弁(81)が全開状態となる。尚、第1開閉弁(47)および過冷却膨張弁(48)は閉鎖状態となり、第4開閉弁(38)は760パルスの開度で開かれている。
第2除湿制御が開始されると、除湿制御部(102)によって蒸発器(33)における過熱度SHeが2℃に制御される。そして、圧縮機(30)の吐出冷媒は、第4開閉弁(38)、凝縮器(31)、および主膨張弁(32)を通過して蒸発器(33)へ流れる。蒸発器(33)の内部を流通する冷媒は庫内ファン(36)によって送られる庫内空気と熱交換する。その結果、冷媒は庫内空気から吸熱して蒸発し、その結果、庫内空気が冷却され、空気中の水分が結露する。このため、庫内空気が除湿される。
また、圧縮機(30)の吐出冷媒の一部は、全開状態の第5開閉弁(81)を通過してレヒート回路(80)に流れ込む。レヒート回路(80)では、流入した吐出冷媒がレヒート通路(82)を流れてレヒート熱交換器(83)へ流入する。レヒート熱交換器(83)の冷媒は、蒸発器(33)において冷却除湿された空気と熱交換する。その結果、レヒート熱交換器(83)では、冷媒が庫内空気へ放熱して凝縮し、その結果、庫内空気が加熱される。つまり、蒸発器(33)で冷却除湿された空気をレヒート熱交換器(83)で再度加熱することで、コンテナ庫内の相対湿度を下げるようにしている。
また、上記庫内ファン(36)は、使用者の手動によってその回転がハイ状態とロー状態とに切り換えられて運転される。除湿運転において、庫内ファン(36)の回転をロー状態にすると、庫内ファン(36)の入力が下がって蒸発器(33)の冷却負荷が下がる。このため、圧縮機(30)の吸入側の圧力が下がり、蒸発器(33)における出口蒸発温度が低下する。蒸発器(33)で結露される水分量が増加して除湿能力が向上する。
第2除湿制御が行われた結果、図7に示すように、コンテナ庫内の湿度が設定湿度+2%よりも小さくなった状態で3分間継続し、且つ除湿開始信号が除湿制御部(102)に入力された場合、除湿制御部(102)は第2除湿制御を終了する。また、吹出空気温度SSが目標吹出温度SP+0.5℃よりも高くなった状態で5分間継続した場合、除湿制御部(102)は第2除湿制御を終了する。また、吹出空気温度SSが目標吹出温度SP+1.0℃よりも高くなった状態で1分間継続した場合、除湿制御部(102)は第2除湿制御を終了する。そして、第2除湿制御が終了すると、第1除湿制御に戻る。
一方、第1除湿制御が行われ、蒸発器(33)の過熱度SHeが14の状態であっても、未だコンテナ庫内の湿度が設定湿度+2%よりも高く、且つ吹出空気温度SSが、SP−0.7℃<SS<SP+0.7℃の範囲で5分間以上継続した場合には、除湿制御部(102)は第3除湿制御を開始する。
−第3除湿制御−
次に、第3除湿制御について図9に基づいて説明する。この第3除湿制御では、除湿制御部(102)によって蒸発器(33)における過熱度SHe制御が行われる。尚、この第3除湿制御は、本発明に係る第1除湿制御を構成している。
具体的には、除湿制御部(102)は、主膨張弁(32)を調節して蒸発器(33)の過熱度SHeをコンテナ庫内の湿度が設定湿度に近づくように2℃から5℃、8℃、11℃、14℃の順に上昇させてゆく。こうすると、圧縮機(30)の吸入圧力が下がって蒸発器(33)を流れる冷媒の比体積が大きくなるため、冷媒循環量が少なくなる。圧縮機(30)の吸入圧力が下がることで蒸発器(33)における出口蒸発温度が低下し、蒸発器(33)で結露する水分量が増加する。また、蒸発器(33)の過熱度SHeを上昇させると、蒸発器(33)を流れる冷媒流量が少なくなる。このため、除湿制御部(102)は、圧縮機(30)の回転数Nを制御値より高くして冷媒回路(20)を流れる冷媒循環量を増加させ、蒸発器(33)に流入させる冷媒量を増やす。これにより、蒸発器(33)を流れる冷媒流量が増加するため、吹出空気温度SSを目標吹出温度SPに近づけることができる。つまり、コンテナ庫内の温度を目標温度範囲内に維持することができる。尚、上記制御値は、本発明に係る圧縮機(30)の運転回転数Nに係る所定値を構成している。
上記庫外ファン(35)は、ファン制御部(103)によってコンテナ庫内の冷却負荷に応じて第1〜第4切換制御が行われる。
また、上記庫内ファン(36)は、使用者の手動によって、その回転がハイ状態とロー状態とに切り換えられて運転される。除湿運転において、庫内ファン(36)の回転をロー状態にすると、庫内ファン(36)の入力が下がって蒸発器(33)の冷却負荷が下がる。このため、圧縮機(30)の吸入側の圧力が下がり、蒸発器(33)における出口蒸発温度が低下する。蒸発器(33)で結露される水分量が増加して除湿能力が向上する。
また、圧縮機(30)の吐出冷媒の一部は、全開状態の第5開閉弁(81)を通過してレヒート回路(80)に流れ込む。レヒート回路(80)では、流入した吐出冷媒がレヒート通路(82)を流れてレヒート熱交換器(83)へ流入する。レヒート熱交換器(83)の冷媒は、蒸発器(33)において冷却除湿された空気と熱交換する。その結果、レヒート熱交換器(83)では、冷媒が庫内空気へ放熱して凝縮し、その結果、庫内空気が加熱される。つまり、蒸発器(33)で冷却除湿された空気をレヒート熱交換器(83)で再度加熱することで、コンテナ庫内の相対湿度を下げるようにしている。
第3除湿制御が行われた結果、図7に示すように、コンテナ庫内の湿度が設定湿度−2%よりも小さくなった状態で3分間継続し、且つ除湿開始信号が除湿制御部(102)に入力された場合、除湿制御部(102)は第3除湿制御を終了する。また、吹出空気温度SSが目標吹出温度SP+0.5℃よりも高くなった状態で5分間継続した場合、除湿制御部(102)は第3除湿制御を終了する。また、吹出空気温度SSが目標吹出温度SP+1.0℃よりも高くなった状態で1分間継続した場合、除湿制御部(102)は第3除湿制御を終了する。そして、第3除湿制御が終了したら、第2除湿制御に戻る。
一方、第3除湿制御が行われ、蒸発器(33)の過熱度SHeが14の状態であっても、未だコンテナ庫内の湿度が設定湿度+2%よりも高く、且つ吹出空気温度SSが、SP−0.7℃<SS<SP+0.7℃の範囲で5分間以上継続した場合には、除湿制御部(102)は第4除湿制御を開始する。
−第4除湿制御−
次に、第4除湿制御について図9に基づいて説明する。この第4除湿制御では、除湿制御部(102)によって蒸発器(33)における過熱度SHe制御と、圧縮機(30)の高圧制御とが行われる。尚、第4除湿制御は、本発明に係る第2除湿制御を構成している。
具体的には、除湿制御部(102)は、主膨張弁(32)を調節して蒸発器(33)の過熱度SHeをコンテナ庫内の湿度が設定湿度に近づくように2℃から5℃、8℃、11℃、14℃の順に上昇させてゆく。こうすると、圧縮機(30)の吸入圧力が下がって蒸発器(33)を流れる冷媒の比体積が大きくなるため、冷媒循環量が少なくなる。圧縮機(30)の吸入圧力が下がることで蒸発器(33)における出口蒸発温度が低下し、蒸発器(33)で結露する水分量が増加する。また、蒸発器(33)の過熱度SHeを上昇させると、蒸発器(33)を流れる冷媒流量が少なくなる。このため、除湿制御部(102)は、圧縮機(30)の回転数Nを制御値より高くして冷媒回路(20)を流れる冷媒循環量を増加させ、蒸発器(33)に流入させる冷媒量を増やす。これにより、蒸発器(33)を流れる冷媒流量が増加するため、吹出空気温度SSを目標吹出温度SPに近づけることができる。つまり、コンテナ庫内の温度を目標温度範囲内に維持することができる。尚、上記制御値は、本発明に係る圧縮機(30)の運転回転数Nに係る所定値を構成している。
上記庫外ファン(35)は、ファン制御部(103)によってコンテナ庫内の冷却負荷に応じて第1〜第4切換制御が行われる。
また、上記庫内ファン(36)は、使用者の手動によって、その回転がハイ状態とロー状態とに切り換えられて運転される。除湿運転において、庫内ファン(36)の回転をロー状態にすると、庫内ファン(36)の入力が下がって蒸発器(33)の冷却負荷が下がる。このため、圧縮機(30)の吸入側の圧力が下がり、蒸発器(33)における出口蒸発温度が低下する。蒸発器(33)で結露される水分量が増加して除湿能力が向上する。
第4除湿制御では、除湿制御部(102)は、除湿負荷に応じて可変値βの値を大きくすることで、圧縮機(30)の運転回転数Nを上げて吐出冷媒の圧力を高くする。尚、上述した第3除湿制御では、圧縮機(30)の吐出冷媒の圧力は、初期状態として800kPaに設定され、且つ圧縮機(30)の吐出冷媒の圧力は上限が2100kPaに設定されている。
除湿制御部(102)は、圧縮機(30)の吐出冷媒の圧力を最大で2100kPaまで上昇させる。吐出冷媒の圧力を高くすることで、レヒート熱交換器(83)に高い圧力の冷媒が流入する。このため、レヒート熱交換器(83)の加熱能力が高くなるため、コンテナ庫内の相対湿度が下がる。
第4除湿制御が行われた結果、図7に示すように、コンテナ庫内の湿度が設定湿度−2%よりも小さくなった状態で3分間継続し、且つ除湿開始信号が除湿制御部(102)に入力された場合、除湿制御部(102)は第4除湿制御を終了する。また、吹出空気温度SSが目標吹出温度SP+0.5℃よりも高くなった状態で5分間継続した場合、除湿制御部(102)は第4除湿制御を終了する。また、吹出空気温度SSが目標吹出温度SP+1.0℃よりも高くなった状態で1分間継続した場合、除湿制御部(102)は第4除湿制御を終了する。そして、第4除湿制御が終了したら、第3除湿制御に戻る。
−実施形態の効果−
上記実施形態によれば、第3除湿制御において、蒸発器(33)の過熱度SHeを高くしたため、蒸発器(33)の出口蒸発温度を低下させることができる。また、圧縮機(30)の運転回転数Nを高くしたため、蒸発器(33)の冷媒流量を増やすことができる。これらにより、蒸発器(33)で結露される水分量が増加するため、除湿能力を高くすることができる。
また、圧縮機(30)から吐出した冷媒の圧力を高くしたため、レヒート熱交換器(83)を流れる冷媒の圧力を高くすることができる。このため、レヒート熱交換器(83)の加熱能力を高めることができる。これにより、レヒート熱交換器(83)を通過する空気の相対湿度を高くすることができる。
さらに、除湿運転において庫内ファン(36)の回転をロー状態にするようにしたため、圧縮機(30)の吸入側の冷媒圧力を下げることができる。このため、蒸発器(33)の出口蒸発温度を低下させることができる。これらにより、蒸発器(33)で結露される水分量が増加するため、除湿能力を高くすることができる。
〈その他の実施形態〉
本発明は、上記実施形態について、以下のような構成としてもよい。
上記実施形態では、換気扉が常時閉じられた場合について説明したが、本発明は、これに限られず、換気扉が開閉される場合についても適用することができる。換気扉が開閉される場合、図6の下段に示すように、庫内ファン(36)の回転がハイ状態となり、制御が行われる。
尚、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。