JP2013122183A - インテークマニホールド - Google Patents

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Abstract

【課題】溶着工程をなくして、一度の成形工程で吸気通路やサージタンクを一体的に形成するインテークマニホールドを提供する。
【解決手段】樹脂製のインテークマニホールド1は、空気を導入する吸気管10と、吸気管10とつながるサージタンク20と、サージタンク20から分岐する第1吸気通路30および第2吸気通路40と、第1吸気通路30および第2吸気通路40の端部に形成される第1フランジ50とを備えている。インテークマニホールド1の第1吸気通路30および第2吸気通路40の曲率は一定であり、第1吸気通路30および第2吸気通路40の内側壁面にはパーティングラインまたは溶着跡がなく、第1吸気通路30と第2吸気通路40は合流しつつサージタンク20に連通しており、吸気管10とサージタンク20と第1吸気通路30と第2吸気通路40と第1フランジ50とは一体的に形成されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、車両に用いる樹脂製のインテークマニホールドに関する。
インテークマニホールドは、エンジンの複数のシリンダヘッドに対して空気を分岐して供給する車両用部品であり、空気が供給されるサージタンクと、サージタンクに接続される複数の吸気通路とを備えている。インテークマニホールドでは、吸気管からサージタンクに供給された空気が各吸気通路に分岐して流れ込み、これによって各シリンダヘッドに対して空気が供給される。インテークマニホールドは、軽量化や高生産性の観点から樹脂製の製品が主流となっている。樹脂製のインテークマニホールドの多くは、複数の分割体の周縁にフランジを形成し、各フランジを振動溶着によって一体に接合する振動溶着工法によって製造されている。
特許文献1には、複数の部材を高周波振動で溶着することにより形成されるインテークマニホールドが開示されている。このインテークマニホールドは、ロア部材とアッパー部材と内部パイプをそれぞれ射出成形により形成し、ロア部材に内部パイプを圧入固定した後、ロア部材とアッパー部材を重ね合わせて振動溶着させて、複数の吸気パイプやサージタンクを形成する。
特開平9−177624号公報
しかし、特許文献1に開示されているマニホールドは、複数の部材を溶着して吸気パイプやサージタンクを形成するため、製造工数が増加しコストが高くなるという問題があった。また、溶着する箇所を母材部分と同等の強度にするためには溶着フランジを設けて接合する必要があるため、重量が増しコストが高くなるという問題があった。
上記問題に鑑み、本発明は、溶着工程をなくして、一度の成形工程で吸気通路やサージタンクを一体的に形成するインテークマニホールドを提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明に係るインテークマニホールドの特徴構成は、空気を導入する吸気管と、前記吸気管とつながるサージタンクと、前記サージタンクから分岐する第1吸気通路および第2吸気通路と、前記第1吸気通路および前記第2吸気通路の前記サージタンクと反対側の端部に形成される第1フランジとを備え、前記第1吸気通路および前記第2吸気通路の曲率は一定であり、前記第1吸気通路および前記第2吸気通路の内側壁面にはパーティングラインまたは溶着跡がなく、前記第1吸気通路と前記第2吸気通路は合流しつつ前記サージタンクに連通しており、前記吸気管と前記サージタンクと前記第1吸気通路と前記第2吸気通路と前記第1フランジとを一体的に樹脂で形成する点にある。
このような特徴構成を得るためには、一度の成形によりインテークマニホールドを一体的に形成する必要がある。このようにして形成されたインテークマニホールドは、製造過程において溶着工程を行う必要がないので、製造工数を減らしてコストを下げることができる。また、溶着フランジ部分を設ける必要がないので材料の使用量を減らして軽量化できると共に、小型化を図ることができる。それにより、インテークマニホールドのコストを下げることができる。
また、本発明のインテークマニホールドにおいて、前記第1フランジにおける前記第1吸気通路の周縁部および前記第2吸気通路の周縁部に5個の第1フランジ締結孔が開孔されており、そのうち2個が前記第1吸気通路および前記第2吸気通路の曲率が小さい側に設けられた外側締結孔であり、他の3個が前記第1吸気通路および前記第2吸気通路の曲率が大きい側に設けられた内側締結孔であり、前記内側締結孔の軸方向両側の延長上には前記第1吸気通路および前記第2吸気通路が存在しないと好適である。
このような構成とすれば、必要最小限の開孔でインテークマニホールドとエンジンの吸気ポートとの間の気密を保持することができる。また、内側締結孔の軸方向両側の延長上には第1吸気通路および第2吸気通路が存在しないので、回転スライド中子型を用いて第1吸気通路および第2吸気通路を成形により形成した場合でもその影響を受けることなく内側締結孔を成形により形成することができる。
また、本発明のインテークマニホールドにおいて、前記第1吸気通路の曲率の小さい側の外周壁には前記第1フランジと交差する方向に第1溝が形成されており、前記第2吸気通路の曲率の小さい側の外周壁には前記第1フランジと交差する方向に第2溝が形成されており、前記外側締結孔は前記第1溝と前記第1フランジとが交差する箇所および前記第2溝と前記第1フランジとが交差する箇所にそれぞれ開孔されていると好適である。
第1溝と第1フランジとが交差する箇所および第2溝と第1フランジとが交差する箇所に外側締結孔が開孔されているので、外側締結孔の軸方向両側の延長上には第1吸気通路および第2吸気通路が存在しない。そのため、回転スライド中子型を用いて第1吸気通路および第2吸気通路を成形により形成した場合でもその影響を受けることなく外側締結孔を成形により形成することができる。
本実施形態に係るインテークマニホールドの外観を表す斜視図 図1に示すインテークマニホールドのIIa−IIa断面図およびIIb−IIb断面図 インテークマニホールドの第1フランジ側から見た正面図 図2(b)に示すインテークマニホールドのIV−IV断面図 型閉により回転スライド中子型がセットされた状態を表す斜視図 型閉により回転スライド中子型がセットされてインテークマニホールドが形成された状態を表す断面図 図6のVII部の部分拡大図 型開により回転スライド中子型をインテークマニホールドから引き抜いている途中を表す断面図 型開により回転スライド中子型をインテークマニホールドから引き抜いている途中を表す断面図
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。図1に、本発明の実施形態に係るインテークマニホールド1の外観を表す斜視図を示す。図2には、図1に示すインテークマニホールド1のIIa−IIa断面図およびIIb−IIb断面図を示す。図3には、インテークマニホールド1を第1フランジ50側から見たときの正面図を示す。図4には、図2(b)に示すインテークマニホールドのIV−IV断面図を示す。
インテークマニホールド1は、直列4気筒エンジンに使用される。インテークマニホールド1は合成樹脂により一体的に形成される。この合成樹脂としては、強度、重量、成形性などを考慮して、例えばポリアミド樹脂(PA6)にガラス繊維を混入させたものが使用される。
図1ないし図4に示すように、インテークマニホールドは、吸気管10と、吸気管10に連結されたサージタンク20と、サージタンクから分岐した第1吸気通路30および第2吸気通路40と、第1吸気通路および第2吸気通路の端部に形成された第1フランジ50から構成される。
図1および図2(a)に示すように、吸気管10は円筒形状を有しており、その一方の端部である吸気管入口13には第2フランジ11が形成されている。第2フランジ11には4個の第2フランジ締結孔12が開孔されており、ボルト等により不図示のスロットルボディと気密に締結可能である。吸気管10は吸気管入口13と反対側の端部でサージタンク20と連通している。車外から導入された空気はスロットルボディから吸気管10を通してサージタンク20に送られる。
サージタンク20は吸気管10から送られた空気を一時的に貯留するために設けられる。図4に示すように、サージタンク20は、空気を貯留するタンク室21を有している。タンク室21は大容積の一つの空間であり、これにより吸気管10から導入された空気の吸気脈動や吸気干渉を低減することができると共に、第1吸気通路30および第2吸気通路40に送り出す空気の供給量を平均化することができる。図1および図4に示すように、サージタンク20のうち、第1吸気通路30につながる半分の部分を第1タンク部20a、第2吸気通路40につながる半分の部分を第2タンク部20bとする。
第1吸気通路30および第2吸気通路40は、サージタンク20に貯留された空気を分配して、エンジンの各気筒の燃焼室(不図示)へ送り込むために設けられる。通常の吸気通路は1気筒につき1つの通路となるよう構成されるが、本実施形態においては第1吸気通路30および第2吸気通路40はそれぞれ2気筒分の吸気通路を構成する。図3および図4に示すように、第1吸気通路30および第2吸気通路40はサージタンク20と合流しつつ連通するように形成されている。また、第1吸気通路30から第1タンク部20aにわたる内周壁面(以下、第1内周壁33と記載する)および第2吸気通路40から第2タンク部20bにわたる内周壁面(以下、第2内周壁43と記載する)には突起などがなく滑らかに連通している。第1内周壁33および第2内周壁43は特許請求の範囲の「内周壁面」の一例である。
第1内周壁33および第2内周壁43は第1吸気通路30および第2吸気通路40を流通する空気の流通方向に沿って湾曲している。図2(b)および図3に示すように、湾曲した第1内周壁33の曲率の小さい側の内周壁(以下、外側第1内周壁33aと記載する)の一部分は内側に突出している。また、湾曲した第2内周壁43の曲率の小さい側の内周壁(以下、外側第2内周壁43aと記載する)の一部分も同様に内側に突出している。これら内側に突出している部分の空気の流通方向に垂直な断面形状は弓形ないし半円形である。
図1および図2に示すように、第1吸気通路30および第1タンク部20aの外周壁は第1内周壁33の湾曲に沿うように湾曲している。第2吸気通路40および第2タンク部20bの外周壁も同様に第2内周壁43の湾曲に沿うように湾曲している。図1に示すように、外周壁のうち外側第1内周壁33aおよび外側第2内周壁43aの内側突出部分に対応する箇所には第1溝31および第2溝41が形成されている。第1溝31および第2溝41の空気の流通方向に垂直な断面形状は弓形ないし半円形である。
第1フランジ50は第1吸気通路30および第2吸気通路40と不図示の各気筒の吸気ポートとを気密に締結するために設けられる。図1および図3に示すように、第1フランジ50は第1吸気通路30の端部である第1吸気出口32および第2吸気通路40の端部である第2吸気出口42の周囲に一体的に形成され、空気の流通方向に垂直な断面の形状は上底より下底が長い台形状である。上底側が外側第1内周壁33aおよび外側第2内周壁43aの側である。第1フランジ50における第1吸気出口32および第2吸気出口42の周縁部には、吸気ポートと締結するための5個の第1フランジ締結孔51が開孔されている。
第1フランジ締結孔51のうち2個の締結孔(以下、外側締結孔51aと記載する)は上底側、すなわち第1吸気通路30および第2吸気通路40の曲率の小さい側に開孔され、3個の締結孔(以下、内側締結孔51bと記載する)は下底側、すなわち第1吸気通路30および第2吸気通路40の曲率の大きい側に開孔されている。具体的には、外側締結孔51aは第1溝31および第2溝41と第1フランジ50とが交差する箇所にそれぞれ開孔され、内側締結孔51bは第1吸気通路30および第2吸気通路40を挟むように開孔されている。内側締結孔51bの軸方向両側の延長上には第1吸気通路30および第2吸気通路40を含むその他インテークマニホールド1の他の部分が存在しない。そのため、成形で内側締結孔51bを形成するときには、アンダーカットを用いる必要はない。インテークマニホールド1の成形方法については後述する。
上述したように5個の第1フランジ締結孔51を開孔することにより、第1フランジ50と吸気ポートとをボルト等で締結するときに、第1吸気通路30および第2吸気通路40はそれぞれ1個の外側締結孔51aと2個の内側締結孔51bによる3点締めで締結されて気密が保持される。すなわち、3個の内側締結孔51bのうち中央の1個は第1吸気通路30と第2吸気通路40の両方の締結に兼用される。このように開孔することにより、必要最小限の開孔で気密を保持することができる。
次に、インテークマニホールド1の製造方法について説明する。インテークマニホールド1は樹脂製であり、射出成形により形成される。本実施形態では、インテークマニホールド1の成形金型に第1回転スライド中子型60と第2回転スライド中子型70を使用することにより、サージタンク20ならびに第1吸気通路30および第2吸気通路40を同時に形成することができる。これにより、一度の成形でインテークマニホールド1全体を一体的に形成することができる。本実施形態で使用する成形金型は、第1回転スライド中子型60と第2回転スライド中子型70以外は可動型、固定型等、通常の射出成形で使用する金型と同じなので、その説明は省略する。
図5に、型閉により第1回転スライド中子型60と第2回転スライド中子型70がセットされた状態を表す斜視図を示す。図6に、型閉により第1回転スライド中子型60と第2回転スライド中子型70がセットされて、インテークマニホールド1を成形した状態を表す断面図を示す。図7に図6のVII部の部分拡大図を示す。図8および図9に、型開により第1回転スライド中子型60と第2回転スライド中子型70をインテークマニホールド1から引き抜いている途中を表す断面図を示す。
射出成形により、第1回転スライド中子型60と第2回転スライド中子型はそれぞれ第1内周壁33および第2内周壁43を形成する。図5に示すように、中子型の挿入方向に垂直な断面の面積はインテークマニホールド1の第1フランジ50側(以下、手前側と記載する)で大きく、そこからサージタンク20側(以下、奥側と記載する)に向かうに従い小さくなる形状でかつ湾曲している。また、第1回転スライド中子型60と第2回転スライド中子型のうち、外側第1内周壁33aおよび外側第2内周壁43aの内側突出部分が形成される箇所には、第1中子溝61および第2中子溝71が凹形状に加工されている。第1中子溝61および第2中子溝71の断面形状は弓形ないし半円形である。このように一つの金型で第1内周壁33または第2内周壁43を形成するので、第1内周壁33および第2内周壁43にはパーティングラインや溶着跡、突起などが存在しない。これにより、サージタンク20と第1吸気通路30および第2吸気通路40とを滑らかに連通させることができる。
図5および図6に示すように、型閉により第1回転スライド中子型60と第2回転スライド中子型70がセットされている状態では、手前側では第1回転スライド中子型60と第2回転スライド中子型70は離間しており、奥側では接触している。このようにセットして射出成形することにより、大容積を持った一つの空間であるサージタンク20とそこから分岐している第1吸気通路30および第2吸気通路40を一度に形成することができる。よって、特許文献1に開示されているような複数の部材を振動溶着する工程を行うことなく、インテークマニホールド1を形成することができる。
サージタンク20を形成するために第1回転スライド中子型60と第2回転スライド中子型70が接触している箇所は、必ずしも全面で接触する必要はない。例えば、図7に示すように、第1回転スライド中子型60および第2回転スライド中子型70の一番奥の第1角部62および第2角部72にはRやC面といった面取り加工を施してもよい。面取り加工を施すことにより、型閉時において第1回転スライド中子型60と第2回転スライド中子型70が接触したときに金型が割れたり欠けたりするのを防止することができる。
図8および図9に示すように、離型するときは第1回転スライド中子型60と第2回転スライド中子型70はそれぞれ第1回転軸65および第2回転軸75を中心に回転されて引き抜かれる。図9に示すように、第1回転スライド中子型60は引き抜き時に第1内周壁33と接触しないような湾曲形状を有しており、抜きテーパも有している。すなわち、外側第1湾曲面63、内側第1湾曲面64は第1回転軸65に対して一定の曲率を有する面である。第1中子溝61の中心軸も第1回転軸65に対して一定の曲率を有している。
図5および図6に示すように、第2回転スライド中子型70は、第1回転スライド中子型60に対して左右対称な形状である。よって、第2回転スライド中子型70も同様に外側第2湾曲面73、内側第2湾曲面74および第2中子溝71の中心軸は第2回転軸75に対して一定の曲率を有している。ただし、図8に示すように、第1回転スライド中子型60と第2回転スライド中子型70は共に、第1フランジ締結孔51の中心軸に垂直な面に対して斜めに引き抜く必要があるので、第1回転軸65および第2回転軸75とは互いに交差するものの平行ではない。
本発明は、車両用の樹脂製のインテークマニホールドに適用することが可能である。
1 インテークマニホールド
10 吸気管
20 サージタンク
30 第1吸気通路
31 第1溝
33 第1内周壁(内周壁面)
40 第2吸気通路
41 第2溝
43 第2内周壁(内周壁面)
50 第1フランジ
51 第1フランジ締結孔
51a 外側締結孔
51b 内側締結孔

Claims (3)

  1. 空気を導入する吸気管と、
    前記吸気管とつながるサージタンクと、
    前記サージタンクから分岐する第1吸気通路および第2吸気通路と、
    前記第1吸気通路および前記第2吸気通路の前記サージタンクと反対側の端部に形成される第1フランジとを備え、
    前記第1吸気通路および前記第2吸気通路の曲率は一定であり、
    前記第1吸気通路および前記第2吸気通路の内周壁面にはパーティングラインまたは溶着跡がなく、
    前記第1吸気通路と前記第2吸気通路は合流しつつ前記サージタンクに連通しており、
    前記吸気管と前記サージタンクと前記第1吸気通路と前記第2吸気通路と前記第1フランジとを一体的に形成する樹脂製インテークマニホールド。
  2. 前記第1フランジにおける前記第1吸気通路の周縁部および前記第2吸気通路の周縁部に5個の第1フランジ締結孔が開孔されており、
    そのうち2個が前記第1吸気通路および前記第2吸気通路の曲率が小さい側に設けられた外側締結孔であり、
    他の3個が前記第1吸気通路および前記第2吸気通路の曲率が大きい側に設けられた内側締結孔であり、
    前記内側締結孔の軸方向両側の延長上には前記第1吸気通路および前記第2吸気通路が存在しない請求項1に記載のインテークマニホールド。
  3. 前記第1吸気通路の曲率の小さい側の外周壁には前記第1フランジと交差する方向に第1溝が形成されており、
    前記第2吸気通路の曲率の小さい側の外周壁には前記第1フランジと交差する方向に第2溝が形成されており、
    前記外側締結孔は前記第1溝と前記第1フランジとが交差する箇所および前記第2溝と前記第1フランジとが交差する箇所にそれぞれ開孔されている請求項2に記載のインテークマニホールド。
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