複数の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、図面を参照して方向を示す場合、便宜上、冷蔵庫の扉側を「前側」とし、冷蔵庫を正面から見た場合の右側を「右側」として説明する。
(第1の実施形態)
以下、第1の実施形態について、図1〜図33を参照して説明する。
まず、図2に示す冷蔵庫11は、図1〜図6に示す断熱箱体12と、その断熱箱体12内を冷却するための図示しない冷凍サイクルとを備えている。
断熱箱体12は、図5および図6に示すように、外箱13と、内箱14と、外箱13と内箱14との間に設けられている断熱パネル15とを有している。断熱箱体12は、前面が開口した箱状に構成され、内箱14の内部に収容空間、例えば貯蔵室、必要に応じてダクトが設けられる空間などを形成している。
外箱13は、スチール製であり、前面が開口した箱状に構成されている。外箱13は、図1および図3〜図6に示すように、当該外箱13を複数に分割してなる複数枚の外板からなる壁を組み合わせて構成されている。具体的には、外箱13は、板状の上面壁16と、平板状の底面壁17と、平板状の右面壁18と、平板状の左面壁19と、平板状の背面壁20とから構成されている。上面壁16は、前後方向で段差状をなし、前部が底面壁17と平行な平板状をなし、後部が前部よりも下側に位置して底面壁17と平行な平板状をなしている。右面壁18と左面壁19とは左右対称の形状である。上面壁16の後部上には、図3〜図5に示すように、機械室21が形成されている。機械室21には、上述した冷凍サイクルを構成する図示しない圧縮機などが設けられている。機械室21の床面には、図5に示すように、離間部211が形成されている。離間部211は、隣り合った断熱パネル15間に隙間を設けることにより形成された開口である。この実施形態では、断熱箱体12の上面に位置する断熱パネル15と背面に位置する断熱パネル15とが離間して配置されることにより、離間部211が形成されている。また、断熱箱体12の後部の下部には冷蔵用、冷凍用、あるいは制御などに用いられる部品、凝縮器などを収容する部品収容室212が形成されている。また、部品収納室212の上面には、離間部213が形成されている。離間部213は、断熱箱体12の底面に位置する断熱パネル15と背面に位置する断熱パネル15とが離間して配置されることにより形成されている。
内箱14は、樹脂製であり、前面が開口した箱状をなし、外箱13の内部に設けられている。内箱14は、図1および図3〜図6に示すように、当該内箱14を複数に分割してなる複数枚の内板からなる壁を組み合わせて構成されている。具体的には、内箱14は、板状の上面壁22と、平板状の底面壁23と、平板状の右面壁24と、平板状の左面壁25と、平板状の背面壁26とから構成されている。内箱14の上面壁22も、外箱13の上面壁16と同様に、前後方向で段差状をなし、前部が底面壁23と平行な平板状をなし、後部が前部よりも下側に位置して底面壁23と平行な平板状をなしている。右面壁24と左面壁25とは左右対称の形状である。
内箱14の左面壁25および背面壁26のそれぞれには、図1および図11に示すように、内箱14の外面側から当該内箱14の内面側すなわち貯蔵室側に突出する支持部材27が複数個設けられている。なお、内箱14の右面壁24にも、図24に示すように、同様の支持部材27が設けられている。
支持部材27は、例えば、樹脂製のブロックであり、図20および図21に示すように、基端部が断熱パネル15に接着して固定され、他端部である先端部が、内箱14の壁、例えば図20および図21では左面壁25および背面壁26に形成した開口部28を貫通している。さらに、内箱14の右面壁24における背面壁26側の上下方向に並んで設けられている支持部材27、および内箱14の背面壁26における右面壁24側および左面壁25側の上下方向に並んで設けられている支持部材27の先端部側には、ねじ穴271が形成されている。なお、図示はしないが、内箱14の右面壁24における背面壁26側の上下方向に並んで設けられている支持部材27の突出している先端部にも、同様のねじ穴が形成されている。なお、支持部材27が、図20および図21に示すように、基端部に鍔部272を有する構成とし、鍔部272が断熱パネル15と内箱14の外面とで挟持される構成としてもよい。支持部材27が鍔部272を有することにより、支持部材27が開口部28から貯蔵室側に落ちてしまうことを防止できる。また、支持部材27は、内箱14の壁とは別の部材ではなく、内箱14に一体に成形させてもよい。
図5および図6に示すように、外箱13の上面壁16と内箱14の上面壁22、外箱13の底面壁17と内箱14の底面壁23、外箱13の右面壁18と内箱14の右面壁24、外箱13の左面壁19と内箱14の左面壁25、外箱13の背面壁20と内箱14の背面壁26は、それぞれ断熱パネル15を介して対向して設けられている。なお、図6に、外箱13の右面壁18と内箱14の右面壁24とが対向し、外箱13の左面壁19と内箱14の左面壁25とが対向し、外箱13の背面壁20と内箱14の背面壁26とが対向した状態を概略的に示す。
断熱パネル15は、断熱性能に優れたもの、例えばウレタンなどの発泡断熱材やソフトテープなどよりも熱伝導率が低いものであり、具体例としては、図34に示すような平板状の真空断熱パネルである。
この真空断熱パネル15は、取付けられる壁よりもやや小さい矩形状に成形された矩形板状の芯材131を袋体たる外袋体132内に収容し、外袋体132の内部を真空減圧状態に保持したまま密封して構成されたものである。具体的には、芯材131は、断熱性の高い材料、例えば、グラスウールやシリカアルミナなどの無機繊維、又はシリカ粉末などの無機粉体からなる積層材131aを、例えばポリエチレンなどの合成樹脂フィルムからなる内袋131bに収納した後、矩形板状に圧縮硬化されて成形されたものである。この芯材131は、ガスバリア性能を有する外袋体132に収容された状態で、外袋体132内が真空排気されて減圧される。減圧を維持したまま外袋体132の開口部が熱溶着により密封されて外袋体132が密閉される。
外袋体132は、2枚の積層フィルムを周囲部において熱溶着によって貼り合わされて構成されている。具体的には、外袋体132は、一方の面にアルミ箔フィルム133を有している。このアルミ箔フィムル133は、ガスバリア性を有する金属箔層たるアルミ箔層133bを含んで構成されている。また、他方の面には、アルミ蒸着フィルム134を有している。このアルミ蒸着フィルム134は、ガスバリア性を有する金属蒸着層たるアルミ蒸着層134bを含んで構成されている。この場合、アルミ箔フィルム133は、外側から芯材131側に向かって、表面保護層133aと、ガスバリア層となるアルミ箔層133bと、熱溶着層133cとを順に有する3層構造とされている。これに対し、アルミ蒸着フィルム134は、外側から芯材131側に向かって、表面保護層134aと、ガスバリア層となるアルミ蒸着層134bと、熱溶着層134cとを順に有する3層構造とされている。このように、アルミ箔フィルム133とアルミ蒸着フィルム134とでは、ガスバリア層の材質をアルミ箔層133bとするかアルミ蒸着層134bとするかの点で異なっている。
断熱パネル15は、平板状の板厚方向の一面が内箱14の外面に接着され、かつ、一面とは反対側の他面が外箱13の内面に接着されている。すなわち、断熱箱体12の内部は、断熱パネル15が外板および内板に当接して配置されることにより構成されている。図7に一例として、外箱13の左面壁19と、外箱13の左面壁19に対向して設けられている内箱14の左面壁25との間に断熱パネル15が挟まれて設けられた構成を示す。この構成において、断熱パネル15と外箱13の内面この場合左面壁19との間には、断熱パネル15と左面壁19とを接着させる接着剤29が設けられている。さらに、断熱パネル15と内箱14の外面この場合左面壁25との間にも、断熱パネル15と左面壁25とを接着させる接着剤30が設けられている。
接着剤29,30としては、ホットメルトなどの熱可塑性の樹脂接着剤、液体状の接着剤、両面テープなど、外箱13や内箱14と断熱パネル15とを強固に接着固定することができるものであれば特に限定されないが、親水性の接着剤であると水を吸収することで膨張する可能性があるため、疎水性の接着剤が好ましく、さらには、導電性の接着剤であると帯電する可能性があるため、導電性フィラーなどを含まない非導電性の接着剤が好ましい。
なお、上述した支持部材27は、この接着剤30によって断熱パネル15に接着されている。また、支持部材27は、固定具51と係合することにより、外箱13および内箱14に当接した構成としてもよい。
このように、外箱13の壁16〜20と、外箱13に対向して設けられた内箱14の壁22〜26と、その外箱13の壁16〜20と内箱14の壁22〜26との間に設けられた断熱パネル15とを、接着剤29,30によって接着することにより、この外箱13の一の壁とその外箱13に対応する内箱14の一の壁と、それらの壁の間に設けられた断熱パネル15とが一体となる。この一体となったものを断熱壁、この実施形態では分割断熱壁31と称する。
本実施形態の分割断熱壁31は、断熱パネル15がこれを取付ける外箱13及び内箱14を構成する壁よりもやや小さく設けられていることから、図8、図20及び図21に示すように、分割断熱壁31の端部に、外板からなる壁16〜20と内板かならなる壁22〜26との間に断熱パネル15が配設されていない空間140が形成されている。
なお、断熱箱体12は、複数の分割断熱壁31を組み合わせて箱状に構成されている。具体的には、図1に示すように、断熱箱体12は、当該断熱箱体12の上面壁を構成する上面用分割断熱壁311、当該断熱箱体12の床面壁を構成する床面用分割断熱壁312、当該断熱箱体12の右面壁である側壁を構成する右面用分割断熱壁313、当該断熱箱体12の左面壁である側壁を構成する左面用分割断熱壁314、当該断熱箱体12の背面壁を構成する背面用分割断熱壁315の5枚を組み合わせて構成されている。また、右面用分割断熱壁313および左面用分割断熱壁314は、左右対称の形状であり、対向して配置されている。
ここで、断熱箱体12の左右の壁を形成する右面用分割断熱壁313および左面用分割断熱壁314の前端部について図3、図4および図8を参照して説明する。なお、上述したように、右面用分割断熱壁313と左面用分割断熱壁314とは左右対称であるため、右面用分割断熱壁313の前端部について説明する。
図3および図4に示すように、右面用分割断熱壁313の前端部の上下方向の中央部および下部付近の2箇所には、外箱13の右面壁18の前端部に折り曲げ部32が形成されている。2箇所の折り曲げ部32は同様の構成であるため、右面用分割断熱壁313の前端部の上下方向の中央部に設けられている折り曲げ部32について説明する。
折り曲げ部32は、図8に示すように、右面壁18の前端部から左方向に折り曲がり、引き続き内箱14の右面壁24の前方において後方側に折り曲がり、さらに、断熱パネル15側に折り曲がった形状である。すなわち、折り曲げ部32は、左右方向に延びる2つの平坦部321と、ほぼ360°に折り曲がっている湾曲部322とから構成され、上方から見てU字状をなしている。2つの平坦部321は、互いにほぼ対向しているとともに、断熱パネル15の前方に位置している。また、湾曲部322は、内箱14の右面壁24の前方に位置し、折り曲げ部32の平坦部321の先端面が断熱箱体12の外面に位置しないように、折り曲げ部32の端部が後方側になるように折り曲がっている。さらに、折り曲げ部32の湾曲部322と内箱14の右面壁24の前端部との間には開口部33が形成されるとともに、折り曲げ部32と断熱パネル15の前端部との間には、端部差込室34が形成された構成となっている。すなわち、開口部33は、端部差込室34の入口として機能するものであり、内箱14の右面壁24の前端部と外箱13の右面壁18の折り曲げ部32とが離間して形成されている。端部差込室34は、空間であり、右面壁18の折り曲げ部32と断熱パネル15とが離間して形成されている。そして、その端部差込室34に、仕切り板441と仕切り補強板442とが収容される構成である。また、2つの平坦部321には、板厚方向に貫通する貫通孔35が形成されている。この開口部33、端部差込室34および貫通孔35については、後述する。
断熱箱体12の内箱14の内部である貯蔵室は、図3および図4に示すように、当該貯蔵室の中央部に設けられた第1の仕切り部材37と、第1の仕切り部材37の下方に設けられた第2の仕切り部材38とによって仕切られている。これにより、断熱箱体12の内部には、貯蔵室が複数に分割されて複数の部屋が形成されている。具体的には、内箱14と第1の仕切り部材37とで囲われて冷蔵室39が形成されている。また、内箱14と第1の仕切り部材37と第2の仕切り部材38とで囲われて野菜室40が形成されている。さらに、内箱14と第2の仕切り部材38とで囲われて内箱14の下部に空間が形成されている。この空間には、製氷室41と、第1の冷凍室42と、製氷室41の右隣に配置される第2の冷凍室43とが設けられる構成である。冷蔵室39の前面開口部には、図2に示すように、観音開き式の冷蔵室扉391が設けられ、野菜室40の前面開口部には引出し式の野菜室扉401が設けられている。また、製氷室41の前面開口部には引出し式の製氷室扉411が設けられ、第1の冷凍室42の前面開口部には引出し式の第1の冷凍室扉421が設けられ、第2の冷凍室43の前面開口部には引出し式の第2の冷凍室扉431が設けられている。
第1の仕切り部材37は、第2の仕切り部材38と同様の構成であるため、第1の仕切り部材37について図8を参照して説明する。また、第1の仕切り部材37は、左右対称の形状であるため、右側の構成について説明する。
第1の仕切り部材37は、前仕切り部44と、面仕切り部45とから構成されている。
前仕切り部44は、貯蔵室の前面開口部に設けられ、当該貯蔵室の左右方向に延びる直方体状に構成されている。前仕切り部44は、仕切り板441と、仕切り補強板442と、仕切りカバー443と、仕切り断熱部材444とから構成されている。
仕切り板441は、金属製であり、前仕切り部44の前面壁を構成する板部材であり、左右両端部がやや後方に折れ曲がっている。仕切り板441は、右端部が、右面用分割断熱壁313の前端部に形成されている開口部33を通って端部差込室34の内部に配置されている。前仕切り部44の右端部には、貫通孔445が3箇所形成されている。
仕切り補強板442は、金属製であり、仕切り板441の引張強度が小さい場合などに設けられるものであり、上下方向の寸法が仕切り板441の上下方向の寸法と同様またはそれより短く調整され、左右方向の寸法が仕切り板441の左右方向の寸法よりも長く調整され、且つ、板厚が仕切り板441と同等またはそれ以上に調整された板部材であり、左右両端部がやや後方に折れ曲がっている。仕切り補強板442は、仕切り板441の背面に接して設けられている。
そして、仕切り板441の右端部が、右面用分割断熱壁313の前端部に形成されている開口部33を通って端部差込室34の内部に配置されている。これにより、仕切り板441の右端部は、仕切り補強板442の右端部と外箱13の右面壁18すなわち右面用分割断熱壁313の折り曲げ部32とで挟まれた構成となる。また、仕切り板441および仕切り補強板442の左右両端部が後方に折れ曲がった形状であり、この端部が端部差込室34に挿入される構成であるため、折り曲げ部32の前面を仕切り板441の前面と面一に構成することができる。
仕切り補強板442の右端部は、仕切り板441よりも右側に位置して断面L字状をなし、外箱13の右面壁18の右前部分の角の形状に対応して後方に折れ曲がっている。さらに、仕切り補強板442の右端部には、仕切り板441の3箇所の貫通孔445に対応する3箇所のねじ穴446が形成されている。3箇所のうちの最も右端部側に位置するねじ穴446は、外箱13の右面壁18の折り曲げ部32に形成した貫通孔35に通されるねじ46の軸部が設けられた構成となっている。また、仕切り補強板442の残り2箇所のねじ穴446にも、仕切り板441の貫通孔445に通されるねじ47の軸部が設けられた構成となっている。これにより、仕切り板441の右端部および仕切り補強板442の右端部は、右面用分割断熱壁313の折り曲げ部32に連結固定された構成となる。なお、上述したように、図示はしないが、仕切り板441の左端部および仕切り補強板442の左端部も、上述した右端部と同様な構成であり、外箱13の左面壁19すなわち左面用分割断熱壁314の図示しない折り曲げ部に連結固定された構成となっている。すなわち、仕切り板441は、右面用分割断熱壁313と左面用分割断熱壁314とを貯蔵室の前面開口部において連結固定する連結部材として機能し、折り曲げ部32は被連結部材として機能している。
仕切りカバー443は、金属製であり、前面が開口した箱状をなし、仕切り板441とともに前仕切り部44の直方体の外周壁を形成するものである。そして、仕切りカバー443と仕切り板441とで形成される直方体の空間に、仕切り断熱部材444が設けられている。仕切りカバー443は、支持部材27によって支持されている。すなわち、仕切りカバー443は、下部に図示しない取付部を有し、この取付部がねじによって支持部材27に固定される構成である。
仕切り断熱部材444は、発泡スチロールやウレタンなどの断熱部材からなり、直方体状に形成されている。
面仕切り部45は、図3および図4にも示すように、断熱性を有する樹脂製の矩形状の板部材であり、真空断熱パネルなどの板状の断熱部材の周囲を樹脂製の板で覆ったものである。面仕切り部45は、内箱14の支持部材27上に載置されて保持されているとともに、前端部が前仕切り部44の背面に接して設けられ、左右両端部が内箱14の右面壁24および左面壁25に接して設けられている。なお、第1の仕切り部材37の面仕切り部45の後端部は、内箱14の背面壁26に対して隙間を開けて設けられている。これにより、冷蔵室39と野菜室40とは連通した構成となっている。一方、第2の仕切り部材38の面仕切り部45の後端部は、内箱14の背面壁26に接して設けられている。これにより、野菜室40と製氷室41とは第2の仕切り部材38によって断熱されるとともに、野菜室40と第2の冷凍室43とも第2の仕切り部材38によって断熱された構成となっている。
また、断熱箱体12を構成する複数の分割断熱壁31は、一の分割断熱壁と、この一の分割断熱壁31に対して角度(本実施形態90°)を付けて配置された隣接する他の分割断熱壁とが、互いの端部同士を突き合わせ状態で固定具51を介して連結固定されている。これにより、分割断熱壁31の端部に設けられた空間140が隣接する他の分割断熱壁31によって閉塞されている。つまり、一の分割断熱壁に隣接する他の分割断熱壁が一の分割断熱壁の端部に設けられた空間140を閉塞する閉塞部材を構成し、一の分割断熱壁が他の分割断熱壁に設けられた空間140を閉塞する閉塞部材を構成する。
固定具51は、内箱14を構成する壁22〜26における一の壁とこれに隣り合う他の壁で形成されたコーナー部に設けられている。具体的には、固定具51は、内箱14にあって上面壁22と右面壁24とで形成されるコーナー部、上面壁22と左面壁25とで形成されるコーナー部、上面壁22と背面壁26とで形成されるコーナー部、底面壁23と右面壁24とで形成されるコーナー部、底面壁23と左面壁25とで形成されるコーナー部、底面壁23と背面壁26とで形成されるコーナー部に設けられている。言い換えると、固定具51は、隣り合って離間している2つの断熱パネル15に対向する位置で固定されている。
また、内箱14の後部のコーナー部、例えば左面壁25と背面壁26とで形成される左奥側のコーナー部には、図6および図9に示すように、電線52が配置されている。電線52は、例えば図示しない制御手段たる制御装置と当該制御装置からの信号を受けて駆動する図示しない送風ファンなどの部品とをつなぐ電線、あるいは、制御装置と各種センサとをつなぐ電線であり、例えば、当該コーナー部に沿って延びている。電線52は、複数本の電線を束ねて構成されている。なお、図面では、複数本の電線が束ねられて断面が円形の状態となった電線52を示す。
さらに、内箱14の後部であって電線52が設けられているコーナー部とは異なるコーナー部、例えば左面壁25と背面壁26とで形成される右奥側のコーナー部には、図6および図22に示すように、配管53が配置されている。配管53は、具体的には、図示しない冷蔵用の蒸発器とコンプレッサとをつなぐサクションパイプおよび冷凍用の蒸発器とコンプレッサとをつなぐサクションパイプなどであり、例えば当該コーナー部に沿って延びている。配管53は、例えば、冷蔵に用いられる冷媒が通るものと、冷凍に用いられる冷媒が通るものとの2本設けられている。
内箱14の各コーナー部の構成、及び、各コーナー部に設けられている固定具51はよく似た構成であるため、以下、内箱14において左面壁25と背面壁26とで形成されるコーナー部と、当該コーナー部に設けられている固定具511、および、右面壁24と背面壁26とで形成されるコーナー部に設けられている固定具512について説明する。なお、固定具512の説明においては、固定具511と共通する部分についての説明を省略する。また、上述の電線52および配管53の構成についても説明する。
まず、コーナー部の構成について図20及び図21を参照して説明する。
左面用分割断熱壁314の内板を構成する左面壁25の後端は、背面用分割断熱壁315の内板を構成する背面壁26より後方であって、背面用分割断熱壁315の外板を構成する背面壁20より前方に離間した位置で終端している。
また、背面用分割断熱壁315の内板を構成する背面壁26の左側端は、左面用分割断熱壁314の内板を構成する左面壁25より右方に離間した位置で終端している。これにより、左面用分割断熱壁314及び背面用分割断熱壁315の一方の分割断熱壁に対して他方の分割断熱壁が、閉塞部材として一方の分割断熱壁の端部に設けられた空間140を閉塞する。この時、左面用分割断熱壁314及び背面用分割断熱壁315の内板を構成する左面壁25及び背面壁26との間には、左面用分割断熱壁314及び背面用分割断熱壁315を連結固定する際にクリアランスとしても機能する分割部141が形成されている。この分割部141は、左面用分割断熱壁314及び背面用分割断熱壁315の端部、つまり、突き合わせ部分に設けられた空間140と、断熱箱体12内部とを仕切っている。
次に、固定具511について図1、図9〜図21を参照して説明する。
固定具511は、図1、図9および図10に示すように、全体として断面直角三角形の柱状をなし、内箱14の左面壁25と背面壁26とで形成されるコーナー部に沿って上下方向に延びた形状をなしており、左面用分割断熱壁314及び背面用分割断熱壁315の内板を構成する左面壁25及び背面壁26との間に形成された分割部141を覆うことで分割部141を閉塞している。つまり、固定具511は、分割部141を覆う被覆部材をなしている。図9は、電線52が設けられているコーナー部付近を概略的に示すものである。図10は、コーナー部に固定具511を設けた後の当該コーナー部を示すものである。なお、図11は、当該コーナー部に固定具511が設けられる前の当該コーナー部を示している。
固定具511は、図12〜図14に示すように、断面直角三角形の筒状を構成する固定カバー54および補強部材55と、筒状の内部を構成するコーナー用断熱部材56とを有している。
固定カバー54は、樹脂製であり、上下方向に長い矩形の板部材であり、コーナー部に設けられている電線52の前側を覆うようにして配置されている。すなわち、冷蔵庫11の使用者側から電線52が見えないように固定カバー54が配置されている。固定カバー54の前面には、図14〜図21に示すように、ねじ57の軸部を貫通させるための貫通孔58が形成されている。固定カバー54の貫通孔58は、長手方向に直交する幅方向において両端部の複数個所に形成されている。この貫通孔58は、他方側の端部の貫通孔58が極力離れるように、他方側の端部に位置する貫通孔58と上下方向がずれて配置されている。すなわち、固定カバー54の貫通孔58は、例えば図13に示すように、固定カバー54の長手方向に沿ってジグザグ状に配置されている。
固定カバー54の貫通孔58のうち正面から見て左側に位置する貫通孔58の軸方向は、図15、図17、図19および図20に示すように、当該固定カバー54が内箱14のコーナー部に設けられたときに内箱14の左面壁25に直交する方向である。また、固定カバー54の貫通孔58のうち正面から見て右側に位置する貫通孔58の軸方向は、図15、図16、図18および図21に示すように、当該固定カバー54が内箱14のコーナー部に設けられたときに当該内箱14の背面壁26に直交する方向である。
固定カバー54は、図1、図12および図13に示すように、固定具511が設けられるコーナー部の延びている方向の長さにおいて2個に分割されたパーツから構成されている。この構成により、固定カバー54の取扱いが容易になるとともに、ねじれなどの変形がしにくくなる。以下、固定カバー54のうち上側のパーツを上固定カバー541と称し、下側のパーツを下固定カバー542と称する。上固定カバー541は内箱14の冷蔵室39および野菜室40のコーナー部に配置され、下固定カバー542が内箱14の製氷室41および第1の冷凍室42のコーナー部に配置される構成である。固定カバー54のうち上固定カバー541と下固定カバー542とが連結する部分言い換えると分割部分は、図15に示すように左奥側のコーナー部側に突出し、後述する補強部材55に当接している。また、図10および図12〜図14に示すように、上固定カバー541の長手方向の中央部には端部側が開口した開口部59が形成され、下固定カバー542の長手方向の中央部にも端部側が開口した開口部60が形成されている。
補強部材55は、固定具51の固定カバー54の強度を補強するとともに、内箱14の左面壁25及び背面壁26にとの間に形成された分割部141を閉塞する樹脂製の部材であり、図9、図12および図14に示すように、固定具511の断面二等辺三角形の残りの二辺を形成するカバー、具体的には直角の角を形成する断面L字状の板部材からなり、長手方向の長さが固定カバー54の長手方向の長さと同じに調整されている。補強部材55は、断面L字状をなす二辺のうちの一辺が内箱14の左面壁25すなわち左面用分割断熱壁314に対向して配置され、残りの一辺が内箱14の背面壁26すなわち背面用分割断熱壁315に対向して配置されている。
この補強部材55の直角部分が、内箱14のコーナー部に対応して配置され、コーナー部において内箱14の左面壁25及び背面壁26の間に形成された分割部141を閉塞する。すなわち、補強部材55の断面L字状の直角部分が内箱14のコーナー部の角に最も近づいた状態になるようにして、固定具511が当該コーナー部に配置されている。そして、補強部材55の断面L字状の開いている側の開口部が固定カバー54によって覆われる構成である。言い換えると、補強部材55は、隣り合う分割断熱壁31の端部間すなわち隣り合う分割断熱壁31の離間している分割部141を横断して配置され、空間140と断熱箱体12の内部とを遮断するように配設されている。
補強部材55の長手方向に直交する幅方向の両端部には、複数のねじ穴61および複数の貫通孔62が形成されている。複数のねじ穴61および複数の貫通孔62は、固定カバー54の貫通孔58に対応して、補強部材55の長手方向に沿ってジグザグ状に配置されている。
補強部材55の貫通孔62は、固定カバー54側に膨出している膨出部63に形成されている。すなわち、膨出部63も補強部材55の長手方向に沿ってジグザグ状に配置されている。補強部材55の貫通孔62の軸方向は、固定カバー54が補強部材55に取り付けられたときに、固定カバー54の貫通孔58の軸方向に一致する構成である。補強部材55の貫通孔62には、ねじ57の軸部が貫通する構成である。
補強部材55のねじ穴61は、図14、図15、図16および図19に示すように、固定カバー54側に突出した円筒状をなし、内部にねじ山が形成されたものである。補強部材55のねじ穴61は、固定カバー54が補強部材55に取り付けられたときに、固定カバー54の貫通孔58の軸方向に一致し、ねじ57と螺合する構成となっている。
この補強部材55も、図14に示すように、固定具511が設けられるコーナー部の延びている方向の長さにおいて2個に分割されたパーツから構成されている。補強部材55の分割位置は、固定カバー54の分割位置と同じである。以下、補強部材55のうち上側のパーツを上補強部材551と称し、下側のパーツを下補強部材552と称する。この構成によって、上補強部材551も、冷蔵室39および野菜室40のコーナー部に配置され、下補強部材552が内箱14の製氷室41および第1の冷凍室42のコーナー部に配置される構成である。
コーナー用断熱部材56は、例えば図9に示すように、固定具511の固定カバー54に覆われるようにコーナー部に配置されたものであり、具体的には上述したように固定具511に囲われて設けられている。すなわち、コーナー用断熱部材56は、隣り合う分割断熱壁31の端部間である離間している部分を覆うように配置されている。コーナー用断熱部材56は、図14に示すように、発泡スチロールなどの断熱部材を三角柱に形成したものである。コーナー用断熱部材56の長手方向に直交する幅方向の両端部側には、複数の切欠き部64が形成されている。切欠き部64は、固定カバー54の貫通孔58、補強部材55のねじ穴61および貫通孔62に設けられるねじ57に干渉しないように、コーナー用断熱部材56の長手方向に沿ってジグザグ状に配置されている。このコーナー用断熱部材56も、固定具511が設けられるコーナー部の延びている方向の長さにおいて2個に分割されたパーツから構成されている。コーナー用断熱部材56の分割位置は、固定カバー54の分割位置と同じである。以下、コーナー用断熱部材56のうち上側のパーツを上コーナー用断熱部材561と称し、下側のパーツを下コーナー用断熱部材562と称する。この場合、上コーナー用断熱部材561は、上固定カバー541および上補強カバー551によって挟まれて設けられている。また、下コーナー用断熱部材562は、下固定カバー542および下補強カバー552によって挟まれて設けられている。この構成によって、上コーナー用断熱部材561も、冷蔵室39および野菜室40のコーナー部に配置され、下コーナー用断熱部材562が内箱14の製氷室41および第1の冷凍室42のコーナー部に配置される構成である。
上記構成によって、固定具511は、全体として、コーナー部に沿って延びる方向において2個に分割可能な構成となっている。なお、上コーナー用断熱部材561は、下コーナー用断熱部材562に対して離間して設けられている。すなわち、図15に示すように、固定カバー54の分割部分では、固定具511の分割部分の前面がコーナー部側に凹んだ形状になっている。
また、上コーナー用断熱部材561の長手方向の中央部には固定カバー541の開口部59に対応して端部側が開口した開口部65が形成され、下コーナー用断熱部材562の長手方向の中央部にも固定カバー541の開口部60に対応して端部側が開口した開口部66が形成されている。
また、コーナー用断熱部材56の長手方向に直交する断面における直角部分、すなわち内箱14のコーナー部の角に近接する部位には、長手方向に延びる凹状の収容部67が形成されている。このコーナー用断熱部材56の収容部67には、上述した電線52が収容されている。すなわち、固定具511は、筒状の内部に電線52を収容した構成となっている。収容部67に収容されている電線52は、収容部67の内周面が保持部となって当該保持部によって所定の位置からずれないように保持されているとともに、図示しないフックなどの保持部などでも保持されている。すなわち、電線52と固定具511とは一体された構成となっている。電線52は、一部がコーナー用断熱部材56の開口部65を通って上固定カバー541の開口部59から貯蔵室側に出ており、また他の一部もコーナー用断熱部材56の開口部66を通って下固定カバー592の開口部60から貯蔵室側に出ており、さらに他の一部が固定具511の上端面から外側に出ており離間部211を通って機械室21に導かれている。すなわち、固定具511の開口部59,60は、固定具511の内部に収容されている電線52の一部を貯蔵室側に導くためのものである。なお、さらに、電線52の一部を固定具511の下端面から、離間部213を通って部分収容室212に導かれるようにしてもよい。
電線52は、図13に示すように、固定カバー54の開口部59,60から貯蔵室側に出ている部分に接続部68を有している。また、電線52は、固定具511の上端面から外側に延びている先端部にも接続部68を有している。これらの接続部68は、樹脂製であり、他の電線の接続部と接続可能なプラグ状の構成となっている。他の電線は、例えば制御装置や送風ファンや帯電微粒子水を発生させる発生装置150などの部品に接続されている。
発生装置150は、図10に示すように、例えば、野菜室40内に収納され、放電電極に電圧を印加することで帯電した霧状の微細な水粒子(帯電微粒子水)を発生させ、野菜室40及び冷蔵室39内に放出する装置である。この発生装置150は、図示しない放電電極及び対向電極と、放電電極に水を供給する手段と、放電電極に電圧を印加する手段とを備え、放電電極の先端部において水をレイリー分裂を生じさせ、ヒドロキシラジカルなど活性種を含む帯電した霧状の微細な水粒子を発生させる。
なお、発生装置150として、上記のような放電電極に電圧を印加して帯電微粒子水を発生させる装置以外にも、例えば、空気中にプラスイオンであるH+(H2O)m及びO2−(H2O)n(以下、m、nは自然数を示す)の帯電微粒子水を略同等量発生させるイオン発生装置であってもよい。これらの装置で発生する帯電微粒子水は、1nm〜1000nmのナノメータサイズのピーク粒径を有しているものであり、非常に小さい微粒子水である。
固定カバー54と補強部材55との間、具体的には固定カバー54の幅方向の端部と補強部材55の幅方向の端部との間には、図14および図16〜図19に示すように、第1のシール部材71が設けられている。第1のシール部材71は、固定カバー54および補強部材55の長手方向に沿って長く延びる部材であり、例えばソフトテープから構成されている。これにより、固定カバー54と補強部材55との間が第1のシール部材71によってシールされた構成となる。
補強部材55とこの補強部材55に近接する内箱14の壁、具体的には補強部材55と左面壁25すなわち左面用分割断熱壁314との間、および補強部材55と背面壁26すなわち背面用分割断熱壁315との間には、図14〜図19に示すように、第2のシール部材72が設けられている。第2のシール部材72は、固定カバー54および補強部材55の長手方向に沿って長く延びる部材であり、例えばソフトテープから構成されている。これにより、補強部材55とこの補強部材55に近接する分割断熱壁31との間が第2のシール部材72によってシールされた構成となる。
図9に示すように、分割断熱壁31の端部に設けられ閉塞部材に相当する隣り合う分割断熱壁により閉塞された空間140、例えば左面用分割断熱壁314と背面用分割断熱壁315とが突き合されている部分には、第3のシール部材73が充填されている。第3のシール部材73は、固定カバー54および補強部材55の長手方向に平行に延びており断熱材を兼ねた部材であり、例えばソフトテープから構成されている。つまり、第3のシール部材73は、左面壁25及び背面壁26との間に形成された分割部141から断熱パネル15を接着する接着剤29,30に至る経路内、言い換えれば、分割部141から、断熱パネル15と左面壁19との接合部分や、断熱パネル15と左面壁25との接合部分や、断熱パネル15と背面壁20との接合部分や、断熱パネル15と背面壁26との接合部分に至る経路内に設けられている。なお、図20および図21では、第3のシール部材の図示を省略する。
固定具511は、図14〜図19に示すように、固定カバー54と補強部材55とによってコーナー用断熱部材56を挟み、コーナー用断熱部材56の収容部67に電線52を収容し、固定カバー54の幅方向の端部と補強部材55の幅方向の端部とを合わせて構成されている。そして、このように固定カバー54を補強部材55に合わせた状態で、ねじ57の軸部を固定カバー54の貫通孔58に通して補強部材55のねじ穴61に螺合させることにより、固定カバー54が補強部材55に固定された構成となっている。また、固定カバー54が補強部材55に固定されることにより、コーナー用断熱部材56も固定具511の内部に固定された構成となり、電線52も固定具511の内部に固定された構成となっている。したがって、固定カバー54と、補強部材55と、コーナー用断熱部材56と、電線52とが一体化した構成となっている。
なお、上固定カバー541と下固定カバー542との分割部分では、図15に示すように、1対のねじ57,57によって固定カバー54が補強部材55に固定されている。そして、固定具511の分割部分には、第2の仕切り部材38の後端部の左部が当接して配置される構成となっている。
また、図20および図21に示すように、ねじ57を固定カバー54の貫通孔58および補強部材55の貫通孔62に通して内箱14の支持部材27のねじ穴に螺合させることにより、固定具511が内箱14のコーナー部に固定された構成となっている。
このとき、固定カバー54と補強部材55との間が第1のシール部材71によってシールされ、固定具51とこの固定具51に近接する分割断熱壁31との間が第2のシール部材72によってシールされ、左面壁25及び背面壁26との間に形成された分割部141が空間140側から断熱材を兼ねた第3のシール部材73によってシールされた構成となる。
さらに、左面用分割断熱壁314および背面用分割断熱壁315は、第2のシール部材72を介して補強部材55に対向した配置となる。これにより、隣り合う左面用分割断熱壁314および背面用分割断熱壁315が固定具511によって連結固定されるとともに、左面用分割断熱壁314と背面用分割断熱壁315とで形成される隣り合う分割断熱壁314,315の角度が、補強部材55の直角部分に対応して90°に保持される。すなわち、補強部材55は、左面用分割断熱壁314および背面用分割断熱壁315のそれぞれに対向して配置され、隣り合う壁すなわち分割断熱壁31の角度を90°に保持する角度保持部として機能している。
次に、固定具512について図22〜図31を参照して説明する。
固定具512は、図22および図23に示すように、全体として断面直角三角形の柱状をなし、内箱14の右面壁24と背面壁26とで形成されるコーナー部に沿って上下方向に延びた形状をなしている。この固定具512は、上記した固定具511と同様、右面用分割断熱壁313及び背面用分割断熱壁315の内板を構成する右面壁24及び背面壁26との間に形成された分割部141を覆い分割部141を閉塞する被覆部材をなしている。図22は、配管53が設けられているコーナー部付近を概略的に示すものである。図23は、コーナー部に固定具512を設けた後の構成を示すものである。なお、図24は、当該コーナー部に固定具512を設ける前の構成を示している。
固定具512は、図25〜図27に示すように断面直角三角形の筒状を構成する固定カバー81および補強部材82と、筒状の内部を構成するコーナー用断熱部材83とを有している。
固定カバー81は、固定カバー54とほぼ同様な構成であり、上下方向に長い矩形の板部材であり、コーナー部に設けられている配管53の前側を覆うようにして配置されている。すなわち、冷蔵庫11の使用者側から配管53が見えないように固定カバー81が配置されている。固定カバー81には、固定カバー54の貫通孔58と同様の貫通孔84が複数個所に形成されている。また、固定カバー81も、図27に示すように、固定具512が設けられるコーナー部の延びている方向の長さにおいて2個に分割されたパーツから構成され、固定カバー81のうち上側のパーツを構成する上固定カバー811と、下側のパーツを構成する下固定カバー812とから構成されている。上固定カバー811と下固定カバー812とが連結する部分すなわち分割部分は、図28に示すように右奥側のコーナー部側に突出した形成である。また、上固定カバー811の長手方向の中央部には、図27に示すように、外側に突出して延びる第1の突出部85を有し、この第1の突出部に開口部86が形成されている。また、図23および図25〜図27に示すように、下固定カバー812の長手方向の中央部にも、外側に突出して延びる第2の突出部87を有し、この第2の突出部87に開口部88が形成されている。
補強部材82は、補強部材55とほぼ同様な構成であり、図27に示すように、固定具512の断面二等辺三角形の残りの二辺を形成する断面L字状の板部材である。この補強部材82の直角部分が内箱14のコーナー部に対応して配置される構成である。そして、補強部材82の断面L字状の開いている側の開口部を覆うようにして固定カバー81が設けられる構成である。
補強部材55の長手方向に直交する幅方向の両端部には、複数のねじ穴89および複数の貫通孔90が形成されている。補強部材82のねじ穴89および貫通孔90も、補強部材55のねじ穴61および貫通孔62と同様の構成である。また、この補強部材82も、固定具512が設けられるコーナー部の延びている方向の長さにおいて2個に分割されたパーツから構成され、補強部材82のうち上側のパーツを構成する上補強部材821と、下側のパーツを構成する下補強部材822とから構成されている。また、上補強部材821は、当該上補強部材821の長手方向の中央部すなわち第1の突出部85に対応する位置に外側に突出して延びる第1の補強用突出部91を有している。第1の補強用突出部91は、第1の突出部85とともに筒状を形成するものである。さらに、下補強部材822も、当該下補強部材822の長手方向の中央部すなわち第2の突出部87に対応する位に外側に突出して延びる第2の補強用突出部92を有している。第2の補強用突出部92も、第2の突出部87とともに筒状を形成するものである。
コーナー用断熱部材83は、コーナー用断熱部材56とほぼ同様な構成であり、固定具512の固定カバー81に覆われるようにコーナー部に配置されている。すなわち、コーナー用断熱部材83も、隣り合う分割断熱壁31の端部間である離間している分割部141を覆うように配置されている。コーナー用断熱部材83は、図27に示すように、発泡スチロールなどの断熱部材を三角柱に形成したものであり、幅方向の両端部側に複数の切欠き部93が形成されている。この切欠き部93は、コーナー用断熱部材56の切欠き部64と同様な構成である。また、このコーナー用断熱部材83も、固定具512が設けられるコーナー部の延びている方向の長さにおいて2個に分割されたパーツから構成され、コーナー用断熱部材83のうち上側のパーツを構成する上コーナー用断熱部材831と、下側のパーツを構成する下コーナー用断熱部材832とから構成されている。この場合、上コーナー用断熱部材831は、上固定カバー8111および上補強カバー821によって挟まれて設けられている。また、下コーナー用断熱部材832は、下固定カバー812および下補強カバー822によって挟まれて設けられている。
上記構成によって、固定具512は、全体として、コーナー部に沿って延びる方向において2個に分割可能な構成となっている。なお、上コーナー用断熱部材831は、下コーナー用断熱部材832に対して離間して設けられている。すなわち、図28に示すように、固定カバー81の分割部分では、当該固定カバー81のコーナー部側の面が補強部材82に接しており、固定具51の分割部分の前面がコーナー部側に凹んだ形状になっている。
また、上コーナー用断熱部材831は、図27に示すように、当該上コーナー用断熱部材831の長手方向の中央部すなわち第1の突出部85に対応する位置に外側に突出して延びる第1の断熱用突出部94を有し、この第1の断熱用突出部94に開口部95が形成されている。第1の断熱用突出部94は、第1の補強用突出部91と第1の突出部85とで形成される筒状部分に収容される構成である。さらに、下コーナー用断熱部材832も、当該下コーナー用断熱部材832の長手方向の中央部すなわち第2の突出部87に対応する位置に外側に突出して延びる第2の断熱用突出部96を有し、この第2の断熱用突出部96に開口部97が形成されている。第2の断熱用突出部96は、第2の補強用突出部92と第2の突出部87とで形成される筒状部分に収容される構成である。
また、コーナー用断熱部材83の長手方向に直交する断面における直角部分、すなわち内箱14のコーナー部の角(つまり、右面壁24及び背面壁26との間に形成された分割部141)に近接する部位には、長手方向に延びる凹状の収容部98が形成されている。このコーナー用断熱部材83の収容部98には、上述した配管53が収容されている。すなわち、固定具512は、筒状の内部に配管53を収容した構成となっている。収容部98に収容されている配管53は、収容部98の内周面が保持部となって当該保持部によって保持されているとともに、図示しないフックなどの保持部などでも保持されている。すなわち、配管53と固定具512とは一体された構成となっている。なお、収容部98に収容されている配管53は、コーナー部の部位によっては複数本収容されている。
配管53は、一部がコーナー用断熱部材83の開口部95を通って上固定カバー811の開口部86から貯蔵室側に出ており、他の一部がコーナー用断熱部材83の開口部97を通って下固定カバー812の開口部88から貯蔵室側に出ており、さらに他の一部が固定具512の上端面から外側に出ており離間部211を通って機械室21に導かれている。すなわち、固定具512の開口部86,88は、固定具512の内部に収容されている配管53の一部を貯蔵室側に導くためのものである。なお、さらに、配管53の一部を固定具512の下端面から、離間部213を通って部分収容室212に導かれるようにしてもよい。
配管53は、図26に示すように、固定カバー81の開口部86,88から貯蔵室側に出ている部分に溶着部99を有している。また、配管53は、固定具512の上端面から外側に延びている先端部にも溶着部99を有している。これらの溶着部99は、他の配管の溶着部と溶着可能な構成、例えば配管53の直径が他の配管よりも大きい構成となっている。他の配管は、冷蔵用の蒸発器、冷凍用の蒸発器、コンプレッサに接続されている。この実施形態では、上固定カバー811の開口部86から貯蔵室側に延びる配管53が冷蔵用の蒸発器に接続され、下固定カバー812の開口部88から貯蔵室側に延びる配管が冷凍用の蒸発器に接続され、固定具512の上端面から外側に延びる配管が機械室21に設けられているコンプレッサに接続されるように、配管53の溶着部99と他の配管の溶着部とが溶着される構成となっている。
固定カバー81と補強部材82との間、具体的には固定カバー81の幅方向の端部と補強部材82の幅方向の端部との間には、固定具511に設けた第1のシール部材71と同様の第1のシール部材101が設けられている。
補強部材82とこの補強部材82に近接する内箱14の壁、具体的には補強部材82と右面壁24すなわち右面用分割断熱壁313との間、補強部材82と背面壁26すなわち背面用分割断熱壁315との間には、図27〜図31に示すように、第2のシール部材72と同様の第2のシール部材102が設けられている。
また、図22に示すように、分割断熱壁31の端部に設けられ閉塞部材に相当する隣り合う分割断熱壁により閉塞された空間140、例えば、右面用分割断熱壁313と背面用分割断熱壁315とが突き合されている部分には、第3のシール部材103が充填されている。第3のシール部材103は、第3のシール部材72と同様、固定カバー81および補強部材82の長手方向に平行に延びており断熱材を兼ねた部材であり、例えばソフトテープから構成されており、左面壁25及び背面壁26との間に形成された分割部141から断熱パネル15を接着する接着剤29,30に至る経路内、つまり、分割部141から、断熱パネル15と右面壁18との接合部分や、断熱パネル15と右面壁24との接合部分や、断熱パネル15と背面壁20との接合部分や、断熱パネル15と背面壁26との接合部分に至る経路内に設けられている。
固定具512は、図26〜図31に示すように、固定カバー81と補強部材82とによってコーナー用断熱部材83を挟み、コーナー用断熱部材83における分割部141に近接する部位に設けられた収容部98に配管53を収容し、固定カバー81の幅方向の端部と補強部材82の幅方向の端部とを合わせて構成されている。そして、このように固定カバー81を補強部材82に合わせた状態で、ねじ57の軸部を固定カバー81の貫通孔84に通して補強部材82のねじ穴89に螺合させることにより、固定カバー81が補強部材82に固定された構成となっている。また、固定カバー81が補強部材82に固定されることにより、コーナー用断熱部材83も固定具51の内部に固定された構成となり、配管53も固定具512の内部に固定された構成となっている。この上固定カバー811と下固定カバー812の分割部分にも、第2の仕切り部材38の後端部の右部が当接して配置され、この分割部分を覆う構成となっている。
なお、上固定カバー811と下固定カバー812との分割部分では、図28に示すように、1対のねじ57,57によって固定カバー81が補強部材82に固定されている。そして、固定具512の分割部分には、第2の仕切り部材38の後端部の右部が当接して配置される構成となっている。
また、図示しないねじの軸部を、図30に示すように、固定カバー81の貫通孔84および補強部材82の貫通孔90に通して内箱14の図示しない支持部材のねじ穴に螺合させることにより、固定具512が内箱14のコーナー部に固定された構成となる。なお、図示はしないが、固定具512は、同様な構成によって背面壁26の支持部材にも固定されている。
このとき、固定カバー81と補強部材82との間が第1のシール部材101によってシールされ、固定具51とこの固定具51に近接する分割断熱壁31との間が第2のシール部材102によってシールされ、右面壁24及び背面壁26との間に形成された分割部141が空間140側から断熱材を兼ねた第3のシール部材103によってシールされる。
また、補強部材82は、第2のシール部材102を介して右面用分割断熱壁313および背面用分割断熱壁315のそれぞれに対向した配置となる。これにより、隣り合う右面用分割断熱壁313および背面用分割断熱壁315が固定具512によって連結固定されるとともに、右面用分割断熱壁313と背面用分割断熱壁315とで形成される隣り合う壁の角度が、補強部材82の直角部分に対応して90°に保持される。すなわち、補強部材82も、隣り合う壁の角度を90°に保持する角度保持部として機能している。
次に、固定具512の固定カバー81の開口部88から貯蔵室側に導かれている配管53の一部について図32を参照して説明する。図32に示すように、内箱14の内部において第2の仕切り部材38の面仕切り部45と内箱14の右面壁24との間には、仕切り部用断熱部材105が設けられている。仕切り部用断熱部材105は、発泡スチロールなどからなる断熱部材であり、前後方向に延びるブロック状をなしている。仕切り部用断熱部材105には、内箱14側が開口した凹部106が形成されている。そして、凹部106の内部には、固定具512の開口部88から貯蔵室側に出た配管53の一部が設けられた構成となっている。すなわち、固定具512の開口部88から出ている配管53の一部は、第2の仕切り部材38の縁部の前後方向に沿って設けられた構成となっている。
この仕切り部用断熱部材105の上面、前面および左面は、第2の仕切り部材38の面仕切り部45から延びている部材によって覆われている。
なお、図示はしないが、内箱14の内部において第2の仕切り部材38の面仕切り部45と内箱14の左面壁25との間にも、上述の仕切り断熱部材などを設けて、固定具512の開口部60から出ている電線52の一部が、第2の仕切り部材38の縁部の前後方向に沿って設けられる構成としてもよい。
上記した一実施形態による冷蔵庫11の断熱箱体12の組立て手順を図1および図33を参照して説明する。
まず、図1に示す分割断熱壁31および固定具51をそれぞれ製作する。次に、図33に示すように、隣り合う2つの分割断熱壁31のうちの一方、例えば左面用分割断熱壁314に固定具511をねじ57により取り付ける。次に、左面用分割断熱壁314と固定具511とが一体となったものに、背面用分割断熱壁315を取り付ける。これにより、隣り合う分割断熱壁31は連結固定され、内箱14の右奥側のコーナー部が形成される。このとき、左面用分割断熱壁314と背面用分割断熱壁315とで形成される隣り合う壁の角度は、補強部材55の直角部分に対応して90°に保持される。内箱14の他のコーナー部も、分割断熱壁31と固定具51とを連結固定することにより形成される。これにより、隣り合う分割断熱壁31の角度が90°である内箱14が形成され、直方体の断熱箱体12が形成される。なお、隣り合う分割断熱壁31の角度を90°にするだけではなく、この場合、隣り合う分割断熱壁31の角度がほぼ90°に調整され、断熱箱体12の各角部がほぼ90°となっていればよい。
また、断熱箱体12の組立て時に、第1の仕切り部材37および第2の仕切り部材38を所定の位置に設けることにより、冷蔵室39、野菜室40、製氷室41、第1の冷凍室42および第2の冷凍室43が形成されるとともに、貯蔵室の前面開口部側において、右面用分割断熱壁313と左面用分割断熱壁314とが第1の仕切り部材37および第2の仕切り部材38によって連結固定される。
そして、断熱箱体12の組み立て途中、あるいは、組み立て後、配管53に設けられた溶着部99に冷凍サイクルを構成する圧縮機や凝縮器や蒸発器やサクションパイプを配管接続するとともに、電線52に設けられた接続部68に制御装置や送風ファンや発生装置150などの電気部品を接続する。
上記構成の冷蔵庫11では、次の効果を奏する。
隣り合う分割断熱壁31の間に形成された分割部141が固定具51により覆われているため、発生装置150で発生し庫内に放出された帯電微粒子水が分割部141を通って断熱パネル15を外箱13及び内箱14に接着する接着剤29,30に到達することを防止することができる。そのため、接着剤29,30が劣化しにくくなり、冷蔵庫11の耐久性を向上させることができる。
特に、接着剤29、30として疎水性の高い接着剤を用いた場合、帯電微粒子水によって接着剤29,30の親水性が高まり、その結果、断熱パネル15が外箱13及び内箱14から剥離しやすくなるが、本実施形態では、固定具51によって帯電微粒子水が接着剤29,30に到達することを防止するため、効果的に接着剤29,30の劣化を抑えることができる。
左面用分割断熱壁314と背面用分割断熱壁315とが突き合されている部分や、右面用分割断熱壁313と背面用分割断熱壁315とが突き合されている部分に、断熱材を兼ねた第3のシール部材73、103が充填されており、隣接する分割断熱壁31の突き合わせ部分に形成された分割部141から接着剤29,30に至る経路を、第3のシール部材73、103が遮断している。そのため、当該第3のシール部材73、103も固定具51と同様、帯電微粒子水が接着剤29,30に到達することを防止することができ、接着剤29,30の劣化を抑え、冷蔵庫11の耐久性を向上させることができる。
また、本実施形態の冷蔵庫11では、固定具512のコーナー用断熱部材83において右面壁24及び背面壁26との間に形成された分割部141に近接する部位に設けられた収容部98にサクションパイプ53が収容されている。
サクションパイプ53は、蒸発器を流れた冷媒を圧縮機へ戻すもので、通常、庫内温度より低温であるため、分割部141から右面用分割断熱壁313と背面用分割断熱壁315とが突き合されている部分(つまり、空間140)へ進入する帯電微粒子水や、空間140内の帯電微粒子水を冷却する冷却手段として機能する。これにより、帯電微粒子水は凝縮してその粒径が大きくなり空気中を浮遊しにくくなるとともに、ヒドロキシラジカルなど活性種が消滅するため、帯電微粒子水が接着剤29,30に到達することを防止することができ、接着剤29,30の劣化を抑え、冷蔵庫11の耐久性を向上させることができる。
また、分割断熱壁31の外箱13と内箱14の間に設けられた断熱パネル15の外袋体132がアルミニウムのような金属層を含む場合、発生装置150で発生し庫内に放出された帯電微粒子水が、分割部141から空間140内に進入し断熱パネル15に付着すると、外袋体132が帯電微粒子水の電荷を受けて帯電し、スチール製の外箱13を介して庫外に悪影響を及ぼすことも考えられる。しかし、本実施形態では、分割部141を覆う固定具51や、隣り合う分割断熱壁の突き合わせ部分に設けられた第3のシール部材73、103や、分割部141に近接配置されたサクションパイプ53を設け、帯電微粒子水が分割部141から進入し接着剤29,30に到達することを防止する防止手段を備えているため、外袋体132が帯電しにくく庫外に悪影響を及ぼすことがない。
なお、本実施形態では、発生装置150で発生させた帯電微粒子水が分割部141から接着剤29,30に到達することを防止する防止手段として、分割部141を覆う固定具51と、隣り合う分割断熱壁の突き合わせ部分に設けられた第3のシール部材73、103と、分割部141に近接配置されたサクションパイプ53とを設けたが、これらの防止手段のいずれか1又は2の手段を設けてもよい。また、防止手段は、固定具51、第3のシール部材73、103、サクションパイプ53に限らず、帯電微粒子水が分割部141から接着剤29,30に到達することを防止するものであればよい。
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について、図35を参照して説明する。なお、第1の実施形態と同一の構成のものについては同一の符号を付し、その構成の説明を省略する。なお、この実施形態では、断熱箱体12の左奥側のコーナー部について説明するが、他のコーナー部にも適用することができる。
第2の実施形態では、帯電微粒子水が分割部141から接着剤29,30に到達することを防止する防止手段として、分割断熱壁において断熱パネル15を挟持する内板及び外板の端部をシールするシール材160、161や、分割部141を覆う位置決め部369を設ける。
詳細には、図35に示すように、左面用分割断熱壁314の外板を構成する左面壁19には、前面側(図で左側)に、内箱14側に直角に折曲る前部フランジ部161と、その前部フランジ部161の先端から更に連続してU字状に折返された折返し部161aとが一体に設けられている。これに対し、左面用分割断熱壁314の外板を構成する左面壁25の前面側には、直角に折曲るように差込部162が一体に形成されており、この差込部162と前記折返し部161aが、断面U字状をなす連結部材163により結合される。また、左面壁19の後端部には、直角に折曲る後部フランジ部164が一体に設けられている。この後部フランジ部164には、背面用分割断熱壁315の外板を構成する背面壁20の端部(左辺部)が重なるようにして、図示しないねじにより複数個所にてねじ止めされる。
左面用分割断熱壁314の内板を構成する左面壁25には、背面用分割断熱壁315と組合される側の辺部(端部)、つまり後辺部(図で右側)に位置して、直角に曲って外板を構成する左面壁19の内面側に向けて延びる延長部165が一体に設けられている。この延長部165の先端は、更に直角に折曲って、左面壁19の内面に平行に近接する取付部165aが設けられている。この取付部165aと、左面壁19の内面との間は、例えばソフトテープからなるシール材160によって閉塞されている。
また、左面用分割断熱壁314と背面用分割断熱壁315との間には、接着剤29,30により接着された断熱パネル15が設けられている。断熱パネル15は、前後の両端面が、左面壁25の前端部に設けられた差込部162と、後端部に設けられた延長部165から離間しており、左面用分割断熱壁314の端部に左面壁19、左面壁25及び断熱パネル15から区画された空間140が形成されている。
これに対し、背面用分割断熱壁315の内板を構成する背面壁26には、左面用分割断熱壁314の内面つまり左面壁25の内面に当接しながら庫内側(図で左側)に延びる突出部368が一体に設けられている。左面壁25と突出部368との当接部分が、空間140と断熱箱体12内部とを仕切る分割部141となる。また、左面壁25の内面には位置決め部369が突起状に設けられている。この位置決め部369は、突出部368の先端が当接することで背面用分割断熱壁315の前後方向位置を位置決めするとともに、分割部141の庫内側に開口する部分を覆って庫内に放出された帯電微粒子水が分割部141から空間140内へ進入するのを防止する。
前記突出部368の内側には、例えば発泡スチロールの成形品からなる断熱材367が収容されている。また、前記突出部368は、庫内側に延びた後、左面壁25の内面に沿って背面壁26の内面側に向けて延び、その先端が更に直角に折曲って、外板を構成する背面壁20の内面に平行に近接する取付部368aとされている。この取付部368aと、背面壁20の内面との間は、例えばソフトテープからなるシール材167によって閉塞されている。
本実施形態の場合では、左面用分割断熱壁314において外板を構成する左面壁19と内板を構成する左壁面25の端部を閉塞するシール材160や、背面用分割断熱壁315において外板を構成する背面壁20と内板を構成する背面壁26の端部を閉塞するシール材161や、分割部141の庫内側に開口する部分を覆う位置決め部369が、防止手段として庫内に放出された帯電微粒子水が分割部141を通って断熱パネル15を外箱13及び内箱14に接着する接着剤29,30に到達することを防止することができ、接着剤29,30の劣化を抑え冷蔵庫11の耐久性を向上させることができる。
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態について、図36を参照して説明する。なお、第1の実施形態と同一の構成のものについては同一の符号を付し、その構成の説明を省略する。なお、この実施形態では、断熱箱体12の左前端部について説明するが、右前端部にも適用することができる。
第3の実施形態では、図36に示すように、左面用分割断熱壁314の外板を構成する左面壁19は、第一側面部281と、第二側面部282と、傾斜部283と、前面部284と、曲げ部285とから構成されている。第一側面部281と、第二側面部282と、傾斜部283とは、断熱箱体11の左側の外面を構成している。このうち第一側面部281は、ほぼ平坦に形成されて断熱箱体11の左側の外面の大部分を占めている。第二側面部282は、第一側面部281に対して、やや左外方であってほぼ平行に位置している。そして、これら第一側面部281および第二側面部282の間は傾斜部283によって繋がっている。
前面部284は、第二側面部282から繋がっており、第二側面部282に対してほぼ直角に内板29側つまり右方へ曲げられて、左面側の断熱壁12の前面を構成している。曲げ部285は、前面部284から繋がって、前面部284に対してほぼ直角に後方へ曲げられて第二側面部282にほぼ平行な面と、さらにそこからほぼ直角に内方つまり右方へ曲げられて前面部284にほぼ平行な面とから構成されている。そして、この左面壁19は、前後方向の断面つまり横断面が上下方向へほぼ同一形状に連続している。
断熱パネル15は、左面壁19及び左面壁25よりもやや小さい矩形状に形成され、接着剤29,30によって左面壁19及び左面壁25に接着固定されている。この場合、左面壁25の前端部は、断熱パネル15の前端部よりも前方に位置し、左面壁19の前端部つまり前面部284および曲げ部285は、断熱パネル15の前端部つまり前端面303より前方に位置している。
左面用分割断熱壁314に設けられた断熱パネル15の前端面の前方には、左面壁19の前面部284及び曲げ部285と、左面壁25との間に断熱パネル15が配設されていない空間140が形成されている。また、左面壁19の曲げ部285および左面壁25の前端部が離間して設けられていることにより、空間140を外部へ連通する連通口340が形成されている。
空間140内には、補助部材350と、ソフトテープ361、362と、が設けられている。補助部材350は、左面壁19よりも厚い金属板、例えば鋼板で構成されており、左面壁19の第二側面部282の前側部分と、前面部284と、曲げ部285における第二側面部282に平行な部分と、に沿って曲げられている。
ソフトテープ361、362は、詳細は図示しないが、それぞれ単体の状態において横断面がほぼ矩形状を成している。ソフトテープ361は、断熱パネル15の前端面303において露出部304を除いた部分に接着固定されている。また、ソフトテープ362は、補助部材350の内側面に接着固定されている。
空間140内において、ソフトテープ361およびソフトテープ362の間には、防露パイプ370と、この防露パイプ370を保持するシール部材380とが設けられている。防露パイプ370は、冷凍サイクルの圧縮機と冷却器とを繋ぐパイプの一部であり、例えば銅管で構成されている。防露パイプ370は、冷蔵庫10の前面に形成された開口の周囲に沿って複数の分割断熱壁31に亘って設けられている。この防露パイプ370には、圧縮機で圧縮されて高温状態となった冷媒が流される。すると、防露パイプ370は周囲に比べて高温状態となる。つまり、防露パイプ370は、空間140内を加熱する加熱手段として機能している。
シール部材380は、防露パイプ370を保持するとともに、連通口340を閉塞して左面壁19及び左面壁25を繋いでいる。つまり、シール部材380は、左面用分割断熱壁314の前端部において左面壁19及び左面壁25との間で形成された空間140を閉塞する閉塞部材として機能している。
具体的には、シール部材380は、左面壁19側から左面壁25側へ向かって順に、パイプ保持部381、弾性変形部382、第一連結部383、第二連結部384、第一爪部385、第二爪部386、閉塞部387、第一係止部388、および第二係止部389を有し、これらが一体に形成されている。このシール部材380は、左面壁19よりも熱伝導率が低い材料、例えば合成樹脂や硬質ゴムなどを材料として引抜成形または押出成形により構成されている。そのため、シール部材380は、上下方向、即ち左面壁19および左面壁25の長手方向へほぼ同一の断面形状が連続する構成となっている。
シール部材380のパイプ保持部381は、左側の一部分が開口した半円環状に形成されており、この半円環状の内側に防露パイプ370を咥えこむようにして保持している。この場合、連通口340は、シール部材380のパイプ保持部381および防露パイプ37に対して大きい寸法に設定されている。これにより、シール部材380のパイプ保持部381および防露パイプ37は連通口340から空間140内へ挿入可能になっている。
空間140内において、防露パイプ370の一部は、パイプ保持部381から露出して補助部材350に接触している。
弾性変形部382は、前方へやや膨出した湾曲状に形成されていて、その一方の端がパイプ保持部381における半円環状の開口の反対側に繋がっている。弾性変形部382は、湾曲状の頂点部を中心に、主に図3における左右方向、即ち断熱パネル15の厚み方向へ弾性変形して伸縮する。これにより、シール部材380は全体として断熱パネル15の厚み方向へ弾性変形して伸縮する。
弾性変形部382の他方の端は、左面壁25側へ向かうにつれて前後方向へ広がるように二股に分岐している。その分岐した一方には第一連結部383が設けられ、他方には第二連結部384が設けられている。第一連結部383は、主に第二連結部384との分岐部390を支点にして前後方向へ弾性変形する。第一連結部383の端部には第一爪部385が設けられて、この第一爪部385は左面壁25に係止している。また、第二連結部384の途中部には第二爪部386が設けられて、第二爪部386が補助部材350を介して左面壁19の曲げ部285に係止している。
閉塞部387は、第二連結部384から繋がって、左面壁25にほぼ平行に配置されて連通口340を覆っている。閉塞部387の後端部には、断熱パネル15の前端面303よりも後方に位置して第一係止部388が設けられている。この第一係止部388と第一爪部385との間に左面壁25の前端部分を挟み込んで係合している。つまり、左面壁25と第一係止部388との当接部分が、左面用分割断熱壁314の前端部に設けられた空間140と断熱箱体12内部とを仕切る分割部141となる。
閉塞部387の前端部は、左面壁19側へほぼ直角に折り曲げられて左面壁19の前面側に延出している。その前面部410は左面壁19の前面部284とほぼ同一平面上に配置されて、さらにそこから断熱パネル15側へほぼ直角に折り曲げられて第二係止部389が設けられている。この第二係止部389と第二爪部386との間には左面壁19の曲げ部285および補助部材350を挟み込んで係合している。これにより、シール部材380は、断熱パネル15の前端面303と対向する位置、即ち断熱パネル15の厚み領域内において左面壁19および補助部材350に係合している。
本実施形態の場合では、左面用分割断熱壁314の前端部に設けられた空間140内に周囲に比べて高温状態となる防露パイプ370が配設されているため、発生装置150で発生し庫内に放出された帯電微粒子水が、分割部141から空間140内に進入しても、防露パイプ370からの熱により消滅する。そのため、帯電微粒子水が接着剤29,30に到達することを防止することができ、接着剤29,30の劣化を抑え、冷蔵庫11の耐久性を向上させることができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。