JP2013119889A - 運動案内装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】シール部材の保持力を確保することができ、シール部材の高い防塵効果を得ることができる運動案内装置を提供する。
【解決手段】移動ブロック本体3の移動方向の端面に取り付けられる一対の蓋部材4のそれぞれに、移動ブロック2の移動方向に伸び、サイドシール18の長手方向の端部が差し込まれるサイドシール差込孔21を形成する。サイドシール18は、長手方向の端部に長手方向に伸びるスリット24を有する。サイドシール18の長手方向の端部の、スリット24を挟んだ幅方向の一方の側18aが蓋部材4のサイドシール差込孔21に差し込まれる。サイドシール18の長手方向の端部の、スリット24を挟んだ幅方向の他方の側18bが軌道レール1に接触する。
【選択図】図5

Description

本発明は、軌道部材と移動体との間に転がり運動可能に複数の転動体を介在させた運動案内装置に関し、特に移動体の袖部にシール部材を設けた運動案内装置に関する。
運動案内装置は、テーブル等の案内対象の直線運動又は曲線運動を案内する機械要素である。運動案内装置として典型的なリニアガイドは、直線的に伸びる軌道レールと、軌道レールに沿って直線運動可能に組み付けられる移動ブロックと、を備える。移動ブロックの円滑な直線運動を得るために、軌道レールと移動ブロックとの間には転がり運動可能に複数のボールやローラ等の転動体が介在される。
移動ブロックは、軌道レールの上面に対向する中央部、及び中央部の幅方向の両端から下方に伸びて軌道レールの左右側面に対向する一対の袖部を有する移動ブロック本体と、移動ブロック本体の移動方向の両端面に取り付けられる一対のエンドプレートと、を有する。移動ブロック本体には、軌道レールの転動体転走溝に対向する負荷転動体転走溝、及び負荷転動体転走溝と平行な転動体戻し路が形成される。エンドプレートには、負荷転動体転走溝の端部と転動体戻し路の端部とを接続するU字状の方向転換路が形成される。移動ブロックの負荷転動体転走溝、転動体戻し路、及びエンドプレートの一対の方向転換路によってサーキット状の転動体循環路が形成される。この転動体循環路に複数の転動体が配列・収容される。
ところで、リニアガイドは、さまざまな産業機械や工作機械で用いられ、その使用環境もさまざまである。例えば切粉や塵埃等の異物の多い環境下で使用されることもある。異物が移動ブロック内に侵入すると、転動体及び転動体転走部の摩耗や早期寿命の原因になる。このため、異物の侵入を防止する必要がある。
移動ブロックの内部に異物が浸入するのを防止するために、移動ブロックの移動方向の両端面にエンドシールを取り付けたり、移動ブロックの左右一対の袖部にサイドシール(アンダーシールとも呼ばれる)を取り付けたりしている。エンドシールは、軌道レールの断面形状に合わせた切込みを有し、軌道レールと移動ブロックの移動方向の端面の間のすきまを塞ぐ。サイドシールは、軌道レールに沿って細長く伸び、軌道レールと移動ブロックの袖部との間の隙間を塞ぐ。
従来のサイドシールは、サイドシールに所定間隔を開けて取付け孔を開け、取付け孔にねじを通し、ねじを移動ブロックの袖部の下面のねじ孔に締めることで、サイドシールを移動ブロックの袖部に取り付けていた。しかし、ねじを用いた固定方法においては、小型の移動ブロックの場合、移動ブロックの袖部の下面にねじ止めするためのスペースが十分にとれないという課題がある。
ねじを用いることなくサイドシールを移動ブロックの袖部に取り付けるリニアガイドとして、特許文献1には下記のリニアガイドが開示されている。
特許文献1には、サイドシールの長手方向の両端部に切込み凹部を形成し、エンドプレート袖部の下端面にサイドシールの切込み凹部に嵌合するつば付き突起を形成するリニアガイドが開示されている。サイドシールの取付けの際には、サイドシールを反らせた状態に保持し、その両端部の切込み凹部を反りの弾性を利用してエンドプレートの下面に突出しているつば付突起に嵌め込む。
実開平3−98320号公報
特許文献1に記載の運動案内装置にあっては、サイドシールの移動ブロックへの取り付け、取り外しがワンタッチでできるという効果を奏する反面、エンドプレートによるサイドシールの保持力が十分ではないという課題がある。サイドシールの保持力が十分でないと、サイドシールがエンドプレートから外れたり、サイドシールの軌道レールへの突き当てが不十分になり、サイドシールの防塵効果が果たせなかったりするという問題がある。
そこで本発明は、シール部材の保持力を確保することができ、シール部材の高い防塵効果を得ることができる運動案内装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の一態様は、長手方向に伸びる転動体転走部を有する軌道部材と、前記軌道部材に複数の転動体を介して組み付けられ、前記軌道部材の上面に対向する中央部、該中央部の幅方向の両端から下方に伸びて前記軌道部材の左右側面に対向する一対の袖部を有する移動体と、前記移動体の袖部に設けられ、前記軌道部材の長手方向に沿って伸びて前記軌道部材と前記移動体の袖部との間の隙間を塞ぐシール部材と、を備え、前記移動体は、前記軌道部材の前記転動体転走部に対向する負荷転動体転走部、及び前記負荷転動体転走部と平行な転動体戻し路を有する移動体本体と、前記移動体本体の移動方向の両端部に設けられ、前記移動体本体の前記負荷転動体転走部と前記転動体戻し路を接続する方向転換路を有する一対の蓋部材と、を備える運動案内装置において、前記一対の蓋部材のそれぞれには、前記移動体の移動方向に伸び、前記シール部材の長手方向の端部が差し込まれるシール部材差込孔が形成され、前記シール部材は、長手方向の端部に長手方向に伸びるスリットを有し、前記シール部材の長手方向の端部の、前記スリットを挟んだ幅方向の一方の側が前記蓋部材の前記シール部材差込孔に差し込まれ、前記シール部材の長手方向の端部の、前記スリットを挟んだ幅方向の他方の側が前記蓋部材の前記シール部材差込孔の外に出ていると共に、前記他方の側が前記軌道部材に接触する運動案内装置である。
本発明の一態様によれば、シール部材の長手方向の端部の、スリットを挟んだ幅方向の一方の側が蓋部材のシール部材差込孔に差し込まれるので、シール部材が蓋部材に高い保持力をもって支持される。シール部材の長手方向の端部の、スリットを挟んだ幅方向の他方の側はシール部材差込孔の外に出ると共に、軌道部材に接触するので、シール部材の高い防塵効果を得ることができる。
本発明の一実施形態の運動案内装置としてのリニアガイドの斜視図 上記リニアガイドの循環路に沿った断面図 エンドプレートを取り外した上記リニアガイドの正面図 移動ブロックの底面側の斜視図(サイドシールを取り付ける前の状態) 移動ブロックの底面側の斜視図(サイドシールを取り付けた後の状態) 移動ブロックの底面図 本発明の一実施形態のサイドシールの斜視図(拡大図を含む) 本発明の一実施形態のサイドシールの断面図 移動ブロック本体の袖部の拡大断面図 本発明の一実施形態のサイドシールの他の例の斜視図 本発明の一実施形態のサイドシールの他の例の断面図
以下、添付図面を参照しつつ本発明の運動案内装置の実施形態を説明する。図1は、本発明の一実施形態の運動案内装置としてのリニアガイドの斜視図を示す。リニアガイドは、ベッド等の固定部に対してテーブル等の案内対象が直線運動するのを案内する機械要素であり、軌道部材としての軌道レール1、及び軌道レールに沿って移動する移動体としての移動ブロック2を備える。軌道レール1及び移動ブロック2の一方がベッド等の固定部に取り付けられ、軌道レール1及び移動ブロック2の他方がテーブル等の案内対象に取り付けられる。
軌道レール1は細長く直線的に伸びる。軌道レール1には、複数の転動体としてのボールを介して移動ブロック2が往復運動可能に組み付けられる。軌道レール1に対して移動ブロック2が直線運動すると、これらの間に介在する複数のボール6(図2参照)が転がり運動する。移動ブロック2は、軌道レール1の上面1aに対向する中央部2aと、中央部2aの幅方向の両端部から下方に垂れ下がり、軌道レール1の左右の側面1bに対向する左右一対の袖部2bと、を有する。また、移動ブロック2は、移動方向の中央の移動体本体としての移動ブロック本体3と、移動ブロック本体3の移動方向の両端面に取り付けられる蓋部材としての一対のエンドプレート4と、一対のエンドプレート4の移動方向の両端面に取り付けられる端面シール部材としてのエンドシール5と、から構成される。これら移動ブロック本体3、エンドプレート4及びエンドシール5のいずれも軌道レール1の上面に対向する中央部と、軌道レール1の左右の側面に対向する左右一対の袖部と、を有する。
軌道レール1及び移動ブロック2の構成は以下のとおりである。軌道レール1は略断面四角形状の長尺体である。軌道レール1を水平面に配置した状態において、軌道レール1は、上面1a、左右一対の側面1b、及び底面1cを有する。軌道レール1の上面1aの左右方向の両端部には、それぞれ二条ずつ合計四条のボール転走溝11が形成される。軌道レール1の左右の側面1bのそれぞれの上端部には、転動体転走部として二条のボール転走溝12が形成される。軌道レール1全体では合計八条のボール転走溝が形成される。各ボール転走溝11,12の断面形状は、単一の円弧からなるサーキュラーアーク溝形状、又は二つの円弧を組み合わせたゴシックアーチ溝形状である。ボール転走溝11,12の条数はリニアガイドの負荷荷重等に応じて適宜決定することができ、例えば二条、四条等でもよい。
軌道レール1には長手方向に所定の間隔をおいて、軌道レール1を軌道レール1の底面1cに対して上下方向に貫通する挿通孔9が複数開けられる。これらの挿通孔9にボルトを挿入し、軌道レール1をベッド、コラム等の固定部に固定する。また、軌道レール1は炭素鋼、ステンレス鋼等の金属からなる。
上述のように、移動ブロック2は、移動方向の中央の移動体本体としての移動ブロック本体3と、移動ブロック本体3の移動方向の両端面に取り付けられる蓋部材としてのエンドプレート4と、エンドプレート4の移動方向の両端面に取り付けられるエンドシール5と、を備える。移動ブロック本体3の上面には、案内対象を取り付けるためのねじ穴3aが形成される。エンドプレート4はねじ等の締結部材によって移動ブロック本体3に取り付けられる。エンドシール5はねじ等の締結部材によってエンドプレート4に取り付けられる。 図1に示すように、エンドシール5は、軌道レール1の断面形状に合わせた切り込み5aを有し、切り込み5aの内周縁を軌道レール1の表面に接触させて、軌道レール1の表面に付着した異物等が移動ブロック本体3内に進入するのを防ぐ。
移動ブロック本体3の内側面には、軌道レール1のボール転走溝11,12に対向する負荷転動体転走部として合計八条の負荷ボール転走溝13が形成される(図2参照)。負荷ボール転走溝13もボール転走溝11,12と同様に、単一の円弧からなるサーキュラーアーク溝形状、又は二つの円弧を組み合わせたゴシックアーチ溝形状に形成される。
図2の循環路に沿った断面図に示すように、移動ブロック本体3には、負荷ボール転走溝13に平行な転動体戻し路としてのボール戻し路14が形成される。負荷ボール転走溝13の端部及びボール戻し路14の端部はU字状の方向転換路15で接続される。エンドプレート4には方向転換路15の外周側が形成される。エンドプレート4内に組み込まれる半円柱状のRピース16には方向転換路の内周側が形成される。この実施形態では、負荷ボール転走溝13の条数が八条であるので、Rピース16の個数も合計八個必要になる。移動ブロック本体3へのRピース16の取付け性を向上させるために、Rピース16はインナープレート17に一体に樹脂成形される。
軌道レール1のボール転走溝11,12と移動ブロック本体3の負荷ボール転走溝13との間に負荷ボール転走路が形成される。負荷ボール転走路では、ボール6は負荷を受けながら転がり運動する。負荷ボール転走路の一端まで転がったボール6は方向転換路15内部に掬い上げられ、進行方向を反転させ、ボール戻し路14を移動ブロック2の進行方向と反対方向に移動する。ボール戻し路14の一端まで移動したボール6は、反対側の方向転換路15を通過し、方向を反転させた後、再び負荷ボール転走路の他端に戻る。これら負荷ボール転走路、ボール戻し路14、及び一対の方向転換路15によって、サーキット状の循環路が構成される。
循環路には、転動体として多数のボール6が配列される。ボール6同士の接触を防止するために、ボール6間にはスペーサを介在させてもよいし、スペーサをバンドで一連に連結してもよい。
図3は、エンドシール5を取り外したリニアガイドの正面図を示す。移動ブロック2の左右一対の袖部2bのそれぞれには、袖部2bと軌道レール1との間のすきまを塞ぐシール部材としてのサイドシール18が取り付けられる。サイドシール18は移動ブロック本体3の移動方向の両端に設けた一対のエンドプレート4間に差し込まれると共に、一対のエンドプレート4間に架け渡される。軌道レール1の左右の側面1bには、上方に向かって軌道レール1のレール幅が狭くなる傾斜面1b1が形成される。サイドシール18は軌道レール1の傾斜面1b1に接触して、下方から移動ブロック2の内部に異物が侵入するのを防止する。サイドシール18は一対のエンドプレート4を貫通しており、サイドシール18の長手方向の長さはエンドプレート4が取り付けられた移動ブロック2の移動方向の全長と等しい。
図4及び図5はサイドシール18の移動ブロック2への取り付け方法を示す。図4はサイドシール18を移動ブロック2に取り付ける前の状態を示し、図5はサイドシール18を移動ブロック2に取り付けた後の状態を示す。図4及び図5では、エンドプレート4へのサイドシール18の取付けを分かり易く示すために、移動ブロック2の天地を反転させている。
図4に示すように、エンドプレート4には、サイドシール18の長手方向の端部が差し込まれるサイドシール差込孔21が形成される。サイドシール差込孔21は、エンドプレート4を移動ブロック2の移動方向に貫通する。サイドシール差込孔21の長手方向の長さは、エンドプレート4の移動方向の長さに等しい。エンドプレート4には、サイドシール差込孔21の周壁の一部を構成する区画壁22が形成される。区画壁22の長手方向の長さはエンドプレート4の移動方向の全長に等しい。サイドシール差込孔21の隣には、区画壁22を挟んでサイドシール差込溝23が形成される。サイドシール差込溝23は、軌道レール1側が開放されていて、サイドシール差込孔21のようにサイドシール18の長手方向の端部の周囲を囲むことはない。
サイドシール18の長手方向の両端部には、長手方向に伸びるスリット24が形成される。スリット24の長手方向の長さはエンドプレート4の区画壁22の長手方向の長さ以上の長さである(図6参照)。
移動ブロック2にサイドシール18を取り付ける際には、まず移動ブロック本体3の移動方向の一方の端面のみにエンドプレート4を取り付ける。次に、サイドシール18の長手方向の端部のスリット24をエンドプレート4の区画壁22に長手方向に差し込む。このとき、サイドシール18の長手方向の端部のスリット24を挟んだ幅方向の一方の側18aが、エンドプレート4のサイドシール差込孔21に長手方向に差し込まれる(図5参照)。サイドシール18の長手方向の端部のスリット24を挟んだ幅方向の他方の側18bが、エンドプレート4のサイドシール差込溝23に長手方向に差し込まれる。
次に、サイドシール18の長手方向の他方の端部にもう一つのエンドプレート4を長手方向から差し込みながら、移動ブロック2の移動方向の他方の端面にエンドプレート4を取り付ける。このとき、サイドシール18の長手方向の端部のスリット24を挟んだ幅方向の一方の側18aが、エンドプレート4のサイドシール差込孔21に長手方向に差し込まれ、サイドシール18の長手方向の端部のスリット24を挟んだ幅方向の他方の側18bが、エンドプレート4のサイドシール差込溝23に長手方向に差し込まれる。以上により、サイドシール18が一対のエンドプレート4に差し込まれる。
図5に示すように、サイドシール差込孔21の断面形状は、サイドシール18のスリット24を挟んだ一方の側18aの断面形状に一致しており、サイドシール18の一方の側18aの周囲はサイドシール差込孔21の内壁面に囲まれる。サイドシール18のスリット24を挟んだ幅方向の他方の側18bは、その上面18b1(図5中の下面)、軌道レール1から離れた側の傾斜した側面18b2、及び下面18b3の一部がサイドシール差込溝23に囲まれるが、その軌道レール1側の側面18b4はサイドシール差込溝23から突出する。この突出したサイドシール18の側面18b4が軌道レール1に接触する。
図5に示すように、サイドシール差込孔21はエンドプレート4を移動方向に貫通しており、サイドシール18の長手方向の端面はエンドシール5の移動方向の端面に露出する。図6の移動ブロック2の底面図に示すように、エンドシール5をエンドプレート4に取り付けたとき、サイドシール18の長手方向の端面がエンドシール5に突き当たる。
なお、この実施形態では、Rピース16をインナープレート17に一体に樹脂成形しており、図4に示すように、インナープレート17をエンドプレート4と移動ブロック本体3の端面との間で挟んでいるが、インナープレート17を使用しない構成も採用し得る。Rピース16を移動ブロック本体3に一体に樹脂成形する場合、又は複数のRピース16をばらばらにエンドプレート4に組み込む場合、インナープレート17を使用しない構成となる。インナープレート17を使用しない場合には、エンドプレート4が移動ブロック本体3の端面に直接接触する。
図7及ぶ図8はサイドシール18の詳細図を示す。図7はサイドシール18の斜視図を示し、図8はサイドシール18の長手方向に直交する断面図を示す。サイドシール18は長手方向に細長く伸びる。サイドシール18の断面形状は長手方向で一様である。図8に示すように、サイドシール18の断面形状は、幅方向の中心線clを境にして左右対称の台形、すなわち等脚台形に形成される。等脚台形とは、一組の対辺である上底31及び下底32が平行であり、なおかつ別のもう一組の対辺33,34とその間にはさまれる一辺(上底31又は下底32)となす角が等しい図形である。下底32の長さは上底31の長さよりも長い。辺と辺との交差部分には、円弧状の面取り35が施される。
サイドシール18の長手方向の両端部には、上述のように、長手方向に伸びるスリット24が形成される。スリット24はサイドシール18の幅方向の中央部に形成され、サイドシール18を上下方向に貫通する。スリット24の長手方向の長さはエンドプレート4の移動方向の長さ以上である(図6参照)。サイドシール18の材質はゴム又は樹脂である。
図9は移動ブロック本体3の袖部の拡大断面図を示す。サイドシール18は長手方向の両端部が一対のエンドプレート4に支持される。サイドシール18は一対のエンドプレート4に支持された状態で、移動ブロック本体3の袖部41に突き当てられる。サイドシール18は移動ブロック本体3の袖部41に固定されている訳ではない。
図9に示すように、移動ブロック本体3を移動方向と直交する断面で見たとき、移動ブロック本体3の袖部41の内側面には、上方に向かって軌道レール1に近づく傾斜面42が形成される。この傾斜面42は平面である。また、サイドシール18を移動ブロック本体3の袖部に突き当てることで、サイドシール18の袖部側の側面18−1が袖部41の傾斜面42に接触する。傾斜面42の上端には傾斜面42に交差する水平面44が形成される。また、水平面44にサイドシール18の上面18−2が接触する。よって、サイドシール18は、袖部41の傾斜面42及び水平面44から構成される凹部に収容される。袖部41の傾斜面42の下方は開放されている。サイドシール18の軌道レール1側の側面18−3の下部が軌道レール1に接触することで、サイドシール18は袖部41の傾斜面42と軌道レール1との間に幅方向に拘束される。
図10及び図11はサイドシールの他の例を示す。この例のサイドシール51は鋼等の金属製の芯金52と、芯金52に一体に樹脂成型されたゴム製又は樹脂製のシール部53と、を備える。芯金52は断面長方形に形成され、長手方向に細長く伸びる。シール部53は芯金52の上面及び左右の側面を囲む。この実施形態では、芯金52はサイドシール51の厚み方向の下端部に位置する。なお、芯金52はサイドシール51の厚み方向の中央に位置してもよいし、上端部に位置してもよい。芯金52がサイドシールの厚み方向の中央に位置すると、芯金52の上下にシール部53が存在することになるので、サイドシール51とサイドシール差込孔21との摩擦係数が上がり、保持力が向上する。
サイドシール51の外形形状は上記サイドシール18と同一である。サイドシール51には上記サイドシール18と同様に長手方向の両端部に長手方向に伸びるスリット54が芯金52及びシール部53の双方に形成される。
以上、本実施形態の運動案内装置の構造を説明した。本実施形態によれば、以下の効果を奏する。
図5に示すように、サイドシール18の長手方向の端部の、スリット24を挟んだ幅方向の一方の側18aがエンドプレート4のサイドシール差込孔21に差し込まれるので、サイドシール18がエンドプレート4に高い保持力をもって支持される。サイドシール18の長手方向の端部の、スリット24を挟んだ幅方向の他方の側18bはサイドシール差込孔21の外に出ると共に、軌道レール1に接触するので、サイドシール18の高い防塵効果を得ることができる。
図9に示すように、一対のエンドプレート4に支持されたサイドシール18を袖部41の傾斜面42に移動ブロック2の底面側から上面側に向かって押し込めば押し込むほど、サイドシール18は幅方向に弾性変形し、軌道レール1に向かって内側に寄る。サイドシール18を傾斜面42に押し込む力P1が、サイドシール18を軌道レール1に押し当てる力P2に変わるので、エンドプレート4によるサイドシール18の保持力の向上、及びサイドシール18と軌道レール1との密着力の向上の両立を図ることができる。すなわち、サイドシール18と軌道レール1との密着力が弱い場合には、移動ブロック本体3に対してサイドシール18をエンドプレート4ごと上方に移動させれば、サイドシール18と軌道レール1との密着力が高まる。また、エンドシール5には、移動ブロック本体3の袖部の傾斜面に連続する傾斜面21a(図5参照)が形成されるので、サイドシール18の保持力及び密着力がさらに向上する。
図9に示すように、移動ブロック本体3の袖部41に傾斜面42及び水平面44からなる凹部を形成することで、移動ブロック2の高さ方向の寸法を変えることなく、移動ブロック2にサイドシール18を取り付けることが可能になる。袖部41の傾斜面42の下方は開放されているので、傾斜面42の加工も容易である。
図8に示すように、サイドシール18は幅方向の中心線clに関して左右対称の台形に形成されるので、サイドシール18の軌道レール1に接触している側面が摩耗してもサイドシール18を反転させてサイドシール18を再利用することができる。また、サイドシール18を台形に形成することによって、サイドシール18と軌道レール1との突き当ても良好になる。
図6に示すように、エンドプレート4の移動方向の端面にエンドシール5を取り付け、エンドプレート4の端面から露出させたサイドシール18の長手方向の端面をエンドシール5に突き当てることで、さらなる防塵効果を発揮できる。また、エンドシール5によってサイドシール18を長手方向に位置決めすることもできる。
図6に示すように、サイドシール18のスリット24の長手方向の長さをエンドプレート4の移動の長さ以上にすることで、サイドシール18の、サイドシール差込孔21への差し込み長さを長くすることができ、エンドプレート4によるサイドシール18の保持がより安定する。
なお、本発明は上記実施形態に限られることなく、本発明の要旨を変更しない範囲で様々に変更可能である。
例えば、上記実施形態では、転動体にボールを用いる例を説明したが、転動体はボールに限定されるものではなく、ローラであってもよい。軌道レールのボール転走溝及び移動ブロックの負荷ボール転走溝の条数は負荷荷重に応じて任意に変更することができる。本発明は曲線運動を案内する曲線運動案内装置にも適用することができる。移動ブロックにはエンドシールの他に、潤滑装置、積層形接触スクレーパ、金属スクレーパ等の付属品を取り付けてもよい。
1…軌道レール(軌道部材),1a…上面,1b…側面,2…移動ブロック(移動体),2a…中央部,2b…袖部,3…移動ブロック本体(移動体本体),4…エンドプレート(蓋部材),5…エンドシール(端面シール部材),6…ボール(転動体),11,12…ボール転走溝(転動体転走部),13…負荷ボール転走溝(負荷転動体転走部),14…ボール戻し路(転動体戻し路),15…方向転換路,18…サイドシール(シール部材),18a…サイドシール端部のスリットを挟んだ一方の側,18b…サイドシール端部のスリットを挟んだ他方の側,21…サイドシール差込孔(シール部材差込孔),24…スリット,41…袖部,42…傾斜面,51…サイドシール(シール部材),54…スリット

Claims (4)

  1. 長手方向に伸びる転動体転走部を有する軌道部材と、
    前記軌道部材に複数の転動体を介して組み付けられ、前記軌道部材の上面に対向する中央部、該中央部の幅方向の両端から下方に伸びて前記軌道部材の左右側面に対向する一対の袖部を有する移動体と、
    前記移動体の袖部に設けられ、前記軌道部材の長手方向に沿って伸びて前記軌道部材と前記移動体の袖部との間の隙間を塞ぐシール部材と、を備え、
    前記移動体は、
    前記軌道部材の前記転動体転走部に対向する負荷転動体転走部、及び前記負荷転動体転走部と平行な転動体戻し路を有する移動体本体と、
    前記移動体本体の移動方向の両端部に設けられ、前記移動体本体の前記負荷転動体転走部と前記転動体戻し路を接続する方向転換路を有する一対の蓋部材と、を備える運動案内装置において、
    前記一対の蓋部材のそれぞれには、前記移動体の移動方向に伸び、前記シール部材の長手方向の端部が差し込まれるシール部材差込孔が形成され、
    前記シール部材は、長手方向の端部に長手方向に伸びるスリットを有し、
    前記シール部材の長手方向の端部の、前記スリットを挟んだ幅方向の一方の側が前記蓋部材の前記シール部材差込孔に差し込まれ、
    前記シール部材の長手方向の端部の、前記スリットを挟んだ幅方向の他方の側が前記軌道部材に接触する運動案内装置。
  2. 前記移動体本体を移動方向に直交する断面で見たとき、前記移動体本体の袖部の、前記軌道部材に対向する内側面には、上方に向かって前記軌道部材に近づく傾斜面が形成され、
    前記シール部材が前記袖部の前記傾斜面と前記軌道部材との間に幅方向に拘束されることを特徴とする請求項1に記載の運動案内装置。
  3. 前記移動体はさらに、
    前記蓋部材の移動方向の端面に取り付けられ、前記軌道部材に接触する端面シール部材を備え、
    前記蓋部材の前記シール部材差込孔は、前記蓋部材を移動方向に貫通し、
    前記シール部材の長手方向の端面を前記端面シール部材に突き当て可能なように、前記シール部材の長手方向の端面が、前記蓋部材の移動方向の端面に露出することを特徴とする請求項1又は2に記載の運動案内装置。
  4. 前記蓋部材の前記シール部材差込孔は、前記蓋部材を移動方向に貫通し、
    前記シール部材の前記スリットの長手方向の長さが、前記蓋部材の移動方向の長さ以上であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の運動案内装置。
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