JP2013119751A - 車両扉開閉装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】レイアウトの自由度の制限やコスト上昇を招くことなく、車両扉の開閉を自動的で行うことができる車両扉開閉装置を提供する。
【解決手段】車両VCに設けられたリアゲート3を開閉する車両扉開閉装置であって、リアゲート3に取り付けられてリアゲート3の傾きを検出する傾きセンサ30と、リアゲート3を駆動して開閉させるリアゲート駆動ユニット10と、リアゲート3の開閉操作がなされた場合に、傾きセンサ30の検出結果を参照しつつリアゲート駆動ユニット10を制御するパワーリアゲートECU40とを備える。
【選択図】図1
【解決手段】車両VCに設けられたリアゲート3を開閉する車両扉開閉装置であって、リアゲート3に取り付けられてリアゲート3の傾きを検出する傾きセンサ30と、リアゲート3を駆動して開閉させるリアゲート駆動ユニット10と、リアゲート3の開閉操作がなされた場合に、傾きセンサ30の検出結果を参照しつつリアゲート駆動ユニット10を制御するパワーリアゲートECU40とを備える。
【選択図】図1
Description
本発明は、車両扉開閉装置に関する。
近年、車両を利用するユーザの利便性を向上すべく、車両扉の開閉を自動的に行う車両扉自動開閉システムを搭載した車両が普及している。このような車両扉自動開閉システムは、所謂パワースライドドアシステムやパワーリアゲートシステム等と呼ばれるものであり、一定条件下でユーザによるスイッチ操作或いはリモコン操作がなされた場合に、スライドドアやリアゲート(バックドア或いはテールゲートと同義)等の車両扉を自動で開閉する。
上記の車両扉自動開閉システムは、車両扉の位置(開度)を検出しつつ車両扉を駆動するモータの駆動量を制御することによって、車両扉の自動的な開閉を実現している。従来、車両扉の位置(開度)の検出は、車両扉を駆動する駆動系の駆動量を検出することによって行われるのが一般的であり、その代表的な検出方式としてパルス検出方式とアナログ入力方式とが挙げられる。
上記のパルス検出方式は、車両扉を駆動する駆動系(モータ又はモータに連結するギアやシャフト、ケーブル)に取り付けられた磁気ピックアップの回転数及び回転方向をホール素子等で読み取り、その読み取り結果に応じて車両扉の位置を検出する検出方式である。これに対し、上記のアナログ入力方式は、車両扉を駆動する駆動系に取り付けられたポジション検出用の可変抵抗に生ずる電圧を測定し、その測定結果に応じて車両扉の位置を検出する検出方式である。尚、以下の特許文献1には、車両に搭載されるスライドドアを駆動するモータの回転数を検出するパルスエンコーダから出力されるパルスのパルス幅によって、障害物の挟み込みを検知する技術が開示されている。
ところで、上述した通り、従来は、車両扉の位置を検出するために、車両扉を駆動する駆動系(モータ又はモータに連結するギアやシャフト、ケーブル)に対し、ホール素子、ポジション検出用の可変抵抗、パルスエンコーダ等のセンサを設ける必要があった。しかしながら、このようなセンサを設けると、車両扉やその駆動系のレイアウトの自由度が制限されるとともに、コスト上昇の一因になってしまうという問題があった。
また、上記のセンサを用いて車両扉の位置を検出するには、センサから出力される検出信号に対してフィルタ処理等の信号処理を行う必要がある。しかしながら、このような信号処理を行うために、ハードウェアやソフトウェアが複雑化してしまい、これによってもコストの上昇が引き起こされてしまうという問題があった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、レイアウトの自由度の制限やコスト上昇を招くことなく、車両扉の開閉を自動的で行うことができる車両扉開閉装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の車両扉開閉装置は、車両に設けられた車両扉を開閉する車両扉開閉装置において、前記車両扉に取り付けられて前記車両扉の傾きを検出するセンサと、前記車両扉を駆動して開閉させる駆動装置と、前記車両扉の開閉操作がなされた場合に、前記センサの検出結果を参照しつつ前記駆動装置を制御する制御装置とを備えることを特徴としている。
また、本発明の車両扉開閉装置は、前記制御部が、前記車両扉の開閉速度が一定になるように前記駆動装置を制御することを特徴としている。
また、本発明の車両扉開閉装置は、前記制御部が、前記車両扉の開閉前における前記センサの検出結果と前記車両扉の開閉中における前記センサの検出結果との差分から前記車両扉の開度を求め、該開度に応じて前記車両扉の開閉速度を制御することによって前記車両扉の開閉速度を一定にすることを特徴としている。
また、本発明の車両扉開閉装置は、前記制御部が、前記センサで検出された前記車両扉の初期の傾きが、予め定められた規定内の傾きでない場合には、前記駆動装置の制御を中止することを特徴としている。
また、本発明の車両扉開閉装置は、前記車両扉が、前記車両に対し、上下方向又は左右方向に揺動可能に取り付けられた扉であることを特徴としている。
また、本発明の車両扉開閉装置は、前記制御部が、前記車両扉の開閉速度が一定になるように前記駆動装置を制御することを特徴としている。
また、本発明の車両扉開閉装置は、前記制御部が、前記車両扉の開閉前における前記センサの検出結果と前記車両扉の開閉中における前記センサの検出結果との差分から前記車両扉の開度を求め、該開度に応じて前記車両扉の開閉速度を制御することによって前記車両扉の開閉速度を一定にすることを特徴としている。
また、本発明の車両扉開閉装置は、前記制御部が、前記センサで検出された前記車両扉の初期の傾きが、予め定められた規定内の傾きでない場合には、前記駆動装置の制御を中止することを特徴としている。
また、本発明の車両扉開閉装置は、前記車両扉が、前記車両に対し、上下方向又は左右方向に揺動可能に取り付けられた扉であることを特徴としている。
本発明によれば、車両扉に取り付けられて車両扉の傾きを検出するセンサの検出結果を参照しつつ、車両扉を駆動して開閉させる駆動装置を制御しているため、従来に比べてレイアウトの自由度の制限やコスト上昇を招くことなく、車両扉の開閉を自動的で行うことができるという効果がある。
以下、図面を参照して本発明の一実施形態による車両扉開閉装置について詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態による車両扉開閉装置を備える車両の後部側面透視図である。また、図2は、本発明の一実施形態による車両扉開閉装置の要部構成を示すブロック図である。尚、以下では、図1中に示すXYZ直交座標系を適宜参照しつつ各部材の位置関係を説明する。図1中のXYZ直交座標系は、X軸が車両VCの前後方向に、Y軸が車両VCの左右方向に、Z軸が車両VCの高さ方向に設定されている。
本実施形態の車両扉開閉装置DCは、車両VCの後部に設けられたリアゲート3(車両扉)の自動開閉を行う装置(所謂、パワーリアゲートシステム)である。つまり、車両扉開閉装置DCは、車両VCのルーフ1の後端部にヒンジ機構2を介して上下方向に開閉自在に連結されたリアゲート3を、一定条件下でユーザによるスイッチ操作或いはリモコン操作がなされた場合に自動的に開閉する。尚、リアゲート3は、ヒンジ2を中心として上下方向に揺動可能(Y軸の周りに回転可能)であり、手動で開閉することも可能である。
リアゲート3と車両VCのリアピラー5との間には、リアゲート3に対して開方向の押し上げ力を付勢するダンパー4が設けられている。このダンパー4は、手動或いは自動によるリアゲート3の開放動作を補助するためのものであり、車両VCの左後部及び右後部にそれぞれ1本ずつ設けられている。
車両扉開閉装置DCは、リアゲート駆動ユニット10(駆動装置)、クロージャーユニット20、傾きセンサ30(センサ)、及びパワーリアゲートECU40(制御装置)等を備える。リアゲート駆動ユニット10は、リアピラー5の内側に設けられており、パワーリアゲートECU40の制御の下でリアゲート3を駆動して開閉させる。このリアゲート駆動ユニット10は、リアゲートモータ11と、リアゲートモータ11の回転動作をリアゲート3の開閉動作に変換する機械要素(ガイドレール12、ラックギア13、アーム14、及びギアボックス15)とを備える。
リアゲートモータ11は、パワーリアゲートECU40から供給される駆動電流に応じて回転するDCモータである。ガイドレール12は、ラックギア13をその長手方向に沿って導く部材であり、後方に向かって一定角度傾斜した状態でリアピラー5の内側に固定されている。ラックギア13は、ガイドレール12に沿って昇降自在(往復自在)に装着されている。アーム14は、一端がラックギア13の上端部にY軸周りに回動自在に連結され、且つ他端がリアゲート3の所定位置にY軸周りに回動自在に連結された棒状の部材である。
ギアボックス15は、ピニオンギア等の各種ギア群を内蔵しており、リアゲートモータ11の回転軸の回転動作をラックギア13の昇降運動(ガイドレール12に沿った往復運動)に変換する。尚、このギアボックス15内には、パワーリアゲートECU40による制御に応じて、リアゲートモータ11の回転軸と後段の各種ギア群16(図2参照)との機械的な接続を切断するクラッチ機構17(図2参照)が設けられている。
これらの機械要素(ガイドレール12、ラックギア13、アーム14、及びギアボックス15)によって、リアゲートモータ11の正転時にはラックギア13がガイドレール12に沿って上昇し、アーム15による押し上げ力がリアゲート3に付加されてリアゲート3の開放動作が実現される。これに対し、リアゲートモータ11の逆転時にはラックギア13がガイドレール12に沿って下降し、アーム15による引き下げ力がリアゲート3に付加されてリアゲート3の閉鎖動作が実現される。
クロージャーユニット20は、リアゲート3の下端中央部に設けられており、リアゲート3のラッチ状態をハーフラッチ状態からフルラッチ状態に自動的に切り替える。ここで、ハーフラッチ状態とは、ほぼリアゲート3が閉じられているが、完全に車体のストライカに対してラッチされていない状態(半ドア状態)をいい、フルラッチ状態とは、リアゲート3が車体のストライカに対して完全にラッチされた状態(全閉状態)をいう。
このクロージャーユニット20は、図2に示す通り、クロージャーモータ21、ラッチ機構22、及びラッチ状態検出スイッチ23を備えている。クロージャーモータ21は、パワーリアゲートECU40から供給される駆動電流に応じて回転するDCモータである。ラッチ機構22は、クロージャーモータ21の回転動作をリアゲート3のラッチ状態の切り替え動作に変換する機械要素から構成されている。
このラッチ機構22は、クロージャーモータ21の正転時には、リアゲート3をハーフラッチ状態からフルラッチ状態に切り替え、クロージャーモータ21の逆転時には、リアゲート3をフルラッチ状態からハーフラッチ状態に切り替える。ラッチ状態検出スイッチ23は、リアゲート3のラッチ状態(ハーフラッチ状態か、或いはフルラッチ状態か)を検出するスイッチ群であり、具体的にはラッチスイッチ、カーテシスイッチ、中立状態スイッチ等である。
傾きセンサ30は、クロージャーユニット20と同様にリアゲート3の下端中央部に設けられており、リアゲート3の傾き(Y軸周りの傾き)を検出する。この傾きセンサ30は、図1に示す通り、傾き検出部31及び信号用コネクタ32からなり、ボルト33によってリアゲート3の内部であってクロージャーユニット20に近接する位置に取り付けられている。傾きセンサ30は、傾き検出部31に設けられた傾きセンサの検出信号を、信号用コネクタ32を介して外部に出力する。
ここで、傾きセンサ30をクロージャーユニット20の近くに取り付けるのは、傾きセンサ30の電源をクロージャーユニット20から得るとともに、傾きセンサ30の信号線とクロージャーユニット20の信号線とを同じ取り回しにして配線を容易にするためである。尚、電源の取得や信号線の配線に制約が無ければ、リアゲート3の任意の位置に傾きセンサ30を取り付けることが可能である。
パワーリアゲートECU40は、リアゲート駆動ユニット10の下部に設けられており、リアゲート3の自動開閉制御を行う。具体的には、車両VCの所定位置に設置された各種スイッチやセンサ或いは他の車載ユニット(何れも図1では図示省略)から得られる情報に基づいて、リアゲート駆動ユニット10及びクロージャーユニット20を制御する。尚、パワーリアゲートECU40は、リアゲート3の開閉速度が一定になるようにリアゲート駆動ユニット10を制御する。
このパワーリアゲートECU40は、図2に示す通り、電源回路41、リアゲートモータ駆動回路42、クロージャーモータ駆動回路43、クラッチ駆動回路44、LIN(Local Interconnect Network)やCAN(Controller Area Network)等の車両通信レシーバ45、及びマイコン46を備える。また、パワーリアゲートECU40は、外部接続端子として、第1電源端子P1、第2電源端子P2、グランド端子P3、第1入力端子P4、第2入力端子P5、第3入力端子P6、第4入力端子P7、第5入力端子P8、第6入力端子P9、第7入力端子P10、第1出力端子P11、第2出力端子P12、第3出力端子P13、第4出力端子P14、第5出力端子P15及び通信線接続端子P16を備えている。
第1電源端子P1は、第1ヒューズ52を介して車両VCに搭載されたバッテリ51の正極端子に接続されている。第2電源端子P2は、イグニションスイッチ(IGスイッチ)53及び第2ヒューズ54を介して上記バッテリ51の正極端子に接続されている。グランド端子P3は、上記バッテリ51の負極端子に接続されている。尚、バッテリ51の負極端子は車体アースされている。
電源回路41の入力端子は、第1電源端子P1に接続され、出力端子はマイコン46に接続されている。この電源回路41は、例えばDC/DCコンバータであり、第1電源端子P1を介してバッテリ51から供給されるバッテリ電源電圧VPB(例えば、12V)を、マイコン46等の低電圧回路の駆動に必要な内部電源電圧Vdd(例えば、3.3V〜5V)に変換する。この内部電源電圧Vddは、マイコン46に供給されるとともに、共通のVddラインを介してその他の低電圧回路に供給される。
また、第1電源端子P1を介してバッテリ51から供給されるバッテリ電源電圧VPBは、共通のVPBラインを介してリアゲートモータ駆動回路42、クロージャーモータ駆動回路43、及びクラッチ駆動回路44等に供給されている。また、グランド端子P3(つまりバッテリ51の負極端子)はパワーリアゲートECU40内の各電子部品に共通のGNDラインに接続されている。尚、第2電源端子P2はマイコン46に接続されており、マイコン46が第2電源端子P2の電圧を監視することで、IGスイッチ53のオン/オフ状態を認識可能となっている。
第1入力端子P4は、運転席側に設置されたメインスイッチ55に接続されている。このメインスイッチ55は、そのオン/オフ状態によって、リアゲート3の自動開閉制御が許可されている状態か否かをマイコン46に認識させるためのスイッチである。第2入力端子P5は、運転席側に設置されたリアゲート開閉スイッチ56に接続されている。このリアゲート開閉スイッチ56は、そのオン/オフ状態によって、ユーザによるリアゲート3の開放操作がなされたか、或いは閉鎖操作がなされたかをマイコン38に認識させるためのスイッチである。
第3入力端子P6は、リアゲート3に設けられた傾きセンサ30に接続されている。つまり、傾きセンサ30の出力信号(リアゲート3の傾きに応じた信号)は、第3入力端子P6を介してマイコン46に入力される。第4入力端子P7は、クロージャーユニット20に内蔵されたラッチ状態検出スイッチ23に接続されている。このラッチ状態検出スイッチ23は、そのオン/オフ状態によって、リアゲート3がハーフラッチ状態か、フルラッチ状態かをマイコン46に認識させるためのスイッチである。
第5入力端子P8は、リアゲート3に設置されたリアゲート開放スイッチ57に接続されている。このリアゲート開放スイッチ57は、そのオン/オフ状態によって、ユーザによるリアゲート3の開放操作がなされたことをマイコン46に認識させるためのスイッチである。第6入力端子P9は、リアゲート3に設置されたリアゲート閉鎖スイッチ58に接続されている。このリアゲート閉鎖スイッチ58は、そのオン/オフ状態によって、ユーザによるリアゲート3の閉鎖操作がなされたことをマイコン46に認識させるためのスイッチである。第7入力端子P10は、リアゲート3に設置されたタッチセンサ59に接続されている。このタッチセンサ59は、そのオン/オフ状態によって、リアゲート3の閉動作中に、リアゲート3と車体との間に挟み込みが発生したか否かをマイコン46に認識させるためのセンサスイッチである。
第1出力端子P11は、リアゲートモータ11の正極端子に接続され、第2出力端子P12は、リアゲートモータ11の負極端子に接続されている。リアゲートモータ駆動回路42は、マイコン46から供給されるPWM(Pulse Width Modulation)信号によって個別にオン/オフ制御される2つのスイッチ素子42a,42bを備えている。
スイッチ素子42aは、オン状態時にVPBライン(12Vライン)と第1出力端子P11(つまり、リアゲートモータ11の正極端子)とを接続し、オフ状態時にGNDラインと第1出力端子P11とを接続する。スイッチ素子42bは、オン状態時にVPBラインと第2出力端子P12(つまり、リアゲートモータ11の負極端子)とを接続し、オフ状態時にGNDラインと第2出力端子P12とを接続する。
つまり、スイッチ素子42bをオフ状態に維持したままで、スイッチ素子42aのオン/オフ状態をPWM制御すると、リアゲートモータ11の正極端子から負極端子へデューティ比に応じた駆動電流が流れて、リアゲートモータ11は正転動作する。他方、スイッチ素子42aをオフ状態に維持したままで、スイッチ素子42bのオン/オフ状態をPWM制御すると、リアゲートモータ11の負極端子から正極端子へデューティ比に応じた駆動電流が流れて、リアゲートモータ11は逆転動作する。
第3出力端子P13は、クロージャーモータ21の正極端子に接続され、第4出力端子P14はクロージャーモータ21の負極端子に接続されている。クロージャーモータ駆動回路43は、マイコン46から供給されるスイッチ制御信号によって個別にオン/オフ制御される2つのスイッチ素子43a,43bを備えている。
スイッチ素子43aは、オン状態時にVPBラインと第3出力端子P13(つまり、クロージャーモータ21の正極端子)とを接続し、オフ状態時にGNDラインと第3出力端子P13とを接続する。スイッチ素子43bは、オン状態時にVPBラインと第4出力端子P14(つまり、クロージャーモータ21の負極端子)とを接続し、オフ状態時にGNDラインと第4出力端子P14とを接続する。
つまり、スイッチ素子43aをオン状態に制御するとともにスイッチ素子43bをオフ状態に制御すると、クロージャーモータ21の正極端子から負極端子へバッテリ電源電圧VPBに応じた駆動電流が流れてクロージャーモータ21は正転動作する。他方、スイッチ素子43aをオフ状態に制御するとともにスイッチ素子43bをオン状態に制御すると、クロージャーモータ21の負極端子から正極端子へバッテリ電源電圧VPBに応じた駆動電流が流れてクロージャーモータ21は逆転動作する。
第5出力端子P15は、リアゲート駆動ユニット10に内蔵されたクラッチ機構17に接続されている。クラッチ駆動回路44は、マイコン46から供給されるクラッチ制御信号によってオン/オフ制御されるスイッチ素子44aを備えている。このスイッチ素子44aは、オン状態時にVPBラインと第5出力端子P15(つまり、クラッチ機構17)とを接続し、オフ状態時にGNDラインと第5出力端子P15とを接続する。つまり、スイッチ素子44aのオン状態時にクラッチ機構17に駆動電流が供給されて、リアゲートモータ11の回転軸と後段の各種ギア群16とが機械的に接続される。
通信線接続端子P16は、通信バス50を介して他の車載ユニット(図示省略)に接続されている。車両通信レシーバ45は、通信線接続端子P16とマイコン46との間に設けられており、LINプロトコル或いはCANプロトコルに準拠した通信をマイコン46と他の車載ユニットとの間で行う通信インターフェースである。
マイコン46は、ROM及びRAM等のメモリ、CPUコア、CPUリセット回路、入出力インターフェース等が一体的に組み込まれたマイクロコントローラであり、リアゲート3の自動開閉制御の中心を担うものである。具体的に、このマイコン46は、メインスイッチ55、リアゲート開閉スイッチ56、リアゲート開放スイッチ57、リアゲート閉鎖スイッチ58、タッチセンサ59、及びラッチ状態検出スイッチ23のオン/オフ状態と、傾きセンサ30の出力信号と、車両通信レシーバ45を介して他の車載ユニットから受信した車両情報とに基づいて、リアゲートモータ駆動回路42、クロージャーモータ駆動回路43、及びクラッチ駆動回路44を制御する。尚、正確には、リアゲート3の自動開閉制御は、マイコン46に内蔵されたCPUが、ROMに記憶されている制御プログラムに従って実行する。
次に、上記構成における車両扉開閉装置DCの動作について説明する。図3,4は、本発明の一実施形態による車両扉開閉装置の動作例を示すフローチャートである。尚、図3に示すフローチャートは、閉鎖しているリアゲート3を自動的に開放する動作を示すものであり、図4に示すフローチャートは、リアゲート3が開放している場合に行われる動作を示すものである。
メインスイッチ55がオン状態(リアゲート3の自動開閉制御が許可されている状態)であり、且つリアゲート3がフルラッチ状態(全閉状態)である条件下において、ユーザがリアゲート3の開放操作を行うと、図3に示すフローチャートの処理が開始される。尚、ユーザによるリアゲート3の開放操作は、ユーザが運転席のリアゲート開閉スイッチ56をオンにする操作、ユーザがリアゲート3のリアゲート開放スイッチ57をオンにする操作、或いはユーザがリモコンを用いてリアゲート3の開放を指示する操作である。
動作が開始されると、まずマイコン46は、傾きセンサ30からの信号に基づいてリアゲート3の初期の傾きを検出する(ステップS11)。次に、マイコン46は、リアゲート3の開閉条件が成立しているか否かを判定する(ステップS12)。具体的には、車両VCの車速が零であり、パーキングブレーキが設定されており、且つセレクトレバーがパーキングレンジに設定されているかを判定する。
リアゲート3の開閉条件が成立していることを判定した場合には、マイコン46は、ステップS11で検出したリアゲート3の初期の傾きが予め設定された規定内の傾きであるか否かを判断する(ステップS13)。つまり、リアゲート3が閉鎖している状態で、車両VCの傾き(姿勢)が、リアゲート3の開放が許容される傾きに収まっているか否かを判断する。この判断結果が「NO」である場合には、マイコン46がリアゲート3を自動開閉するための出力をオフにし(ステップS21)、これにより図3に示す一連の処理が終了する。これに対し、ステップS13の判断結果が「YES」である場合には、マイコン46は、リアゲート3を自動開閉するための全ての条件が成立しているか否かを判断する(ステップS14)。
リアゲート3を自動開閉する条件が1つでも成立していない場合には、ステップS14の判断結果が「NO」になり、マイコン46がリアゲート3を自動開閉するための出力をオフにし(ステップS21)、これにより図3に示す一連の処理が終了する。これに対し、リアゲート3を自動開閉する全ての条件が成立している場合には、ステップS14の判断結果が「YES」になり、マイコン46は、リアゲート3の自動開閉するために必要な出力(リアゲート3の駆動力)を算出する(ステップS15)。
具体的に、マイコン46は、車両VCが水平面上に位置している状態で、閉鎖されたリアゲート3を開放させるために規定されたPWM制御の制御値を、ステップS11で検出したリアゲート3の傾きと、バッテリ電源電圧VPBの電圧とに応じて補正することによって、リアゲート3の自動開閉するために必要な出力を算出する。ここで、リアゲート3を開放するために必要な出力は、車両VCの傾きや、リアゲートモータ11に供給されるバッテリ電源電圧VPBの電圧によっても変化するため、上記の補正を行っている。
以上の処理が終了すると、マイコン46は、クロージャーモータ駆動回路43のスイッチ素子43aをオンに、スイッチ素子43bをオフにそれぞれ制御して、リアゲート3のラッチを解除する。次に、マイコン46は、クラッチ駆動回路44のスイッチ素子44aをオン状態にしてリアゲート駆動ユニット10のクラッチ機構17に駆動電流を供給し、リアゲートモータ11の回転軸と後段の各種ギア群16とを機械的に接続させる。次いで、マイコン46は、リアゲートモータ駆動回路42のスイッチ素子42a,42bをPWM制御することでリアゲートモータ11を正転動作させて、リアゲート3を自動的に開放させる。
リアゲート3の自動開放動作が行われている間、マイコン46は、傾きセンサ30からの信号に基づいてリアゲート3の現在の傾きを検出し(ステップS16)、リアゲート3の開度を算出する(ステップS17)。具体的には、ステップS16で検出された現在の傾きとステップS11で検出された初期の傾きとの差分を求めてリアゲート3の開度を算出する。そして、マイコン46は、算出したリアゲート3の開度に応じてリアゲート3の速度を切り替える制御を行う(ステップS18)。
図1に示す通り、リアゲート3には開方向の押し上げ力を付勢するダンパー4が設けられており、リアゲートモータ11の駆動力を一定にしていても、リアゲート3の速度はその開度に応じて変化する。このため、リアゲート3の自動開放動作が行われている間はリアゲート3の開度を常時求め、その開度に応じてリアゲート3の速度を切り替えることによって、リアゲート3が一定の速度で開放されるように制御している。
上記の切り替えを行う度に、マイコン46は、傾きセンサ30からの信号に基づいてリアゲート3の実際の速度を求め、リアゲート3の速度が正常であるか否かを判断する(ステップS19)。リアゲート3の速度が異常であると判断した場合(判断結果が「NO」の場合)には、マイコン46が、リアゲートモータ駆動回路42に設けられたスイッチ素子42a,42bのPWM制御を停止して、リアゲート3を自動開閉するための出力をオフにする(ステップS21)。これにより図3に示す一連の処理が終了する。これに対し、リアゲート3の速度が正常であると判断した場合(判断結果が「YES」の場合)には、マイコン46は、リアゲート3の開度が予め設定された目標開度(全開状態)に到達したか否かを判断する(ステップS21)。
リアゲート3の開度が目標開度に到達していないと判断した場合(判断結果が「NO」の場合)には、マイコン46は、ステップS15〜S20の処理を繰り返し、リアゲート3の自動開放動作を継続させる。これに対し、リアゲート3の開度が目標開度に到達したと判断した場合(判断結果が「YES」の場合)には、マイコン46は、リアゲートモータ駆動回路42に設けられたスイッチ素子42a,42bのPWM制御を停止して、リアゲート3を自動開閉するための出力をオフにする(ステップS21)。これにより図3に示す一連の処理が終了する。
以上、図3を用いて説明した処理が終了し、リアゲート3が開放状態(例えば、全開状態)になると、図4に示すフローチャートの処理が開始される。処理が開始されると、マイコン46は、まず傾きセンサ30からの信号に基づいてリアゲート3の傾きの変化を検出する(ステップ31)。尚、リアゲート3の傾きの変化は、例えばユーザがリアゲート3を手動で閉鎖する操作を行うことによって生ずる。リアゲート3の傾きの変化を検出すると、マイコン46は、車両VCが停車状態にあるか否かを判断する(ステップS32)。具体的には、車両VCの車速が零であり、且つ、セレクトレバーがパーキングレンジに設定されているかを判断する。
停車状態と判断した場合(ステップS32の判断結果が「YES」の場合)には、マイコン46は、リアゲート3が閉鎖されているか否か(フルラッチ状態であるか否か)を判断する(ステップS33)。フルラッチ状態であると判断した場合(判断結果が「YES」の場合)には、図4に示す一連の処理が終了する。これに対し、フルラッチ状態ではないと判断した場合(判断結果が「NO」の場合)には、マイコン46は、目標開度からステップS31で検出されたリアゲート3の傾きの変化を減算することによって、リアゲート3の現在の開度を算出する(ステップS34)。
次に、マイコン46は、クロージャーユニット20のラッチ状態検出スイッチ23の検出結果に基づいて、リアゲート3がフルラッチ状態になったか否かを判断する(ステップS35)。フルラッチ状態になっていないと判断した場合(判断結果が「NO」の場合)には、マイコン46は、ステップS34の処理を繰り返す。これに対し、リアゲート3がフルラッチ状態になったと判断した場合(判断結果が「YES」の場合)には、リアゲート3の開度を零に規定する処理を行い(ステップS36)、これにより図4に示す一連の処理が終了する。
他方、ステップS32において、車両VCが停車状態ではないと判断した場合(判断結果が「NO」の場合)には、マイコン46は、リアゲート3が閉鎖されているか否か(フルラッチ状態であるか否か)を判断する(ステップS37)。フルラッチ状態であると判断した場合(判断結果が「YES」の場合)には、図4に示す一連の処理が終了する。これに対し、フルラッチ状態ではないと判断した場合(判断結果が「NO」の場合)には、マイコン46は、警告ブザーを発生させる制御を行って、リアゲート3が開状態であることをユーザに報知する。
以上、閉鎖しているリアゲート3を自動的に開放する場合に行われる処理を例に挙げて説明した。開放状態にあるリアゲート3を自動的に閉鎖させる場合にも、基本的には図3に示す処理と同様の処理が行われる。
以上の通り、本実施形態では、リアゲート3の位置(開度)を検出するために従来必要であったパルスエンコーダ等のセンサに代えてリアゲート3の傾きを検出する傾きセンサ30を設け、傾きセンサ30の検出結果を参照しつつリアゲート3の自動開閉を制御するようにしている。このため、従来のパルスエンコーダ等のセンサを設けた場合に比べて、レイアウトの自由度が高くなるとともに、フィルタ処理等の信号処理を簡略化することができるため、コストの上昇を抑えることができる。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に制限されることなく、本発明の範囲内で自由に変更が可能である。例えば、上記実施形態では、上下方向に揺動可能(Y軸の周りに回転可能)なリアゲート3の自動開閉を行う車両扉開閉装置について説明したが、本発明の車両扉開閉装置は、左右方向に揺動可能(Z軸の周りに回転可能)なドアやスライドドア等の自動開閉にも適用することが可能である。
3…リアゲート、10…リアゲート駆動ユニット、30…傾きセンサ、40…パワーリアゲートECU、DC…車両扉開閉装置、VC…車両
Claims (5)
- 車両に設けられた車両扉を開閉する車両扉開閉装置において、
前記車両扉に取り付けられて前記車両扉の傾きを検出するセンサと、
前記車両扉を駆動して開閉させる駆動装置と、
前記車両扉の開閉操作がなされた場合に、前記センサの検出結果を参照しつつ前記駆動装置を制御する制御装置と
を備えることを特徴とする車両扉開閉装置。 - 前記制御部は、前記車両扉の開閉速度が一定になるように前記駆動装置を制御することを特徴とする請求項1記載の車両扉開閉装置。
- 前記制御部は、前記車両扉の開閉前における前記センサの検出結果と前記車両扉の開閉中における前記センサの検出結果との差分から前記車両扉の開度を求め、該開度に応じて前記車両扉の開閉速度を制御することによって前記車両扉の開閉速度を一定にすることを特徴とする請求項2記載の車両扉開閉装置。
- 前記制御部は、前記センサで検出された前記車両扉の初期の傾きが、予め定められた規定内の傾きでない場合には、前記駆動装置の制御を中止することを特徴とする請求項1記載の車両扉開閉装置。
- 前記車両扉は、前記車両に対し、上下方向又は左右方向に揺動可能に取り付けられた扉であることを特徴とする請求項1から請求項4の何れか一項に記載の車両扉開閉装置。
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