JP2013117636A - 定着装置および画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】
励磁コイル80の定着ベルト51の非通紙領域に対応する領域に沿って配設され、サイズの異なる複数のコイルからなる消磁コイルユニット81,82を2段重ねてなる消磁コイルユニット群を備えている。
各段の消磁コイルユニット81,82は、複数の消磁コイルが、励磁コイル80のコイル面に沿った同一の面内において、一のサイズの消磁コイルが、より大きなサイズの消磁コイルに囲繞されるような形で巻回されてなり、かつ各消磁コイルユニット81,82の消磁コイルのサイズの組み合わせを異なるように構成した。
【選択図】図4
Description
電磁誘導加熱方式の定着装置は、定着ローラーや定着ベルト(以下、「定着回転体」と総称する。)、励磁コイル、消磁コイルなどからなる。励磁コイルは、定着回転体の軸方向に沿って配され、交流電流の通電により交番磁界を発生させて定着回転体を誘導加熱する。誘導加熱された定着回転体が、通紙された記録シートのトナー像を熱定着する。
例えば、特許文献1には、サイズの異なる複数の消磁コイルを、励磁コイル上に大きい順に重ねた構成の定着装置が開示されている(第1の従来技術)。
第1の従来技術に係る定着装置では、励磁コイル上に、さらに消磁コイルを積み重ねることになるので、定着回転体の径方向に装置が大型化するという問題がある。また、重ねる消磁コイルの数が増えると、上方の消磁コイルは励磁コイルからより離れるため、その分だけ消磁効率が低くなる。このため、上方の消磁コイルが対応する記録シートを大量に連続通紙すると、非通紙領域の過昇温を抑制し切れず、定着回転体などが熱劣化するおそれもある。
本発明は、多様なサイズの記録シートに対応するため消磁コイルを増設する場合に、従来よりも装置の大型化を招くことなく、非通紙領域における過昇温を効果的に抑制することができる定着装置およびこれを用いた画像形成装置を提供することを目的とする。
したがって、従来に比べて装置の大型化を招くことなく、多様なサイズの記録シートに対応した非通紙領域における過昇温を効果的に抑制することができる。
ここで、動作制御手段は、定着動作中、シート情報取得手段により取得したシート幅の記録シートの非通紙領域に対応するサイズの消磁コイルを動作させると共に、当該動作させた消磁コイルが2段目以上の消磁コイルユニットに含まれるものである場合には、それよりも下層の消磁コイルユニットの消磁コイルであって、動作させた消磁コイルよりもサイズが小さいもののうち一番大きなサイズの消磁コイルをさらに動作させるのが望ましい。
ここで、温度分布取得手段は、定着回転体の中央部における表面温度を検出する第1の温度検出手段と、回転軸方向端部における表面温度を検出する第2の温度検出手段を有し、第1と第2の温度検出手段による検出結果と、通紙する記録シートのシート幅に関する情報に基づき、表面温度分布に関する情報を取得するのが望ましい。
また、本発明は、上記構成の定着装置を備えた画像形成装置であってもよく、これにより上記構成の定着装置と同様の効果を得ることができる。
以下、本発明に係る画像形成装置の第1の実施の形態について、タンデム型カラープリンター(以下、単に「プリンター」という)を例にして図面に基づき説明する。
<プリンターの全体構成>
図1は、本実施の形態に係るプリンター1の構成を示す概略図である。
画像プロセス部3は、Y〜K色のそれぞれに対応する作像部3Y,3M,3C,3K、光学部10、中間転写ベルト11などを備えている。
作像部3Yは、感光体ドラム31Y、その周囲に配設された帯電器32Y、現像器33Y、一次転写ローラー34Y、感光体ドラム31Yを清掃するためのクリーナー35Yなどを備えており、感光体ドラム31Y上にY色のトナー像を作像する。他の作像部3M〜3Kも、作像部3Yと同様の構成になっており、同図では符号を省略している。
光学部10は、レーザーダイオードなどの発光素子を備え、制御部60からの駆動信号によりY〜K色の画像形成のためのレーザー光Lを発し、感光体ドラム31Y〜31Kを露光走査する。
作像された各トナー像は、一次転写ローラー34Y〜34Kに印加された電圧による静電力により中間転写ベルト11上に一次転写される。この際、各色のトナー像が、走行する中間転写ベルト11の同じ位置に重ね合わせて転写されるように、作像部3Y,3M,3C,3Kにおける作像動作が、中間転写ベルト11の走行方向上流側から下流側に向けてタイミングをずらして実行される。
中間転写ベルト11上のトナー像は、二次転写位置46において二次転写ローラー45に印加された電圧による静電力により、給紙部4より送り出された記録シートS上に一括して二次転写される。
制御部60は、これら画像プロセス部3、給紙部4および定着部5の動作を制御するものである。
<定着部の構成>
次に、定着部5の構成について説明する。
当該定着部5は、電磁誘導加熱方式によるものであり、定着回転体である定着ベルト51と、定着ローラー52と、加圧ローラー53と、温度センサー54,55(図5参照)と、磁束発生部58などを備える。
定着ローラー52は、定着ベルト51の内側に遊挿され、加圧ローラー53と平行に配設されている。加圧ローラー53は、不図示の加圧機構により定着ベルト51を介して定着ローラー52に押圧されている。これにより、定着ベルト51と加圧ローラー53との間に、記録シートPを通紙する定着ニップ部Nが形成されている。
以下、定着部5における個々の構成要素について詳しく説明する。
定着ベルト51は、図3の部分断面図に示すように、内周側(紙面下側)から金属発熱層511、弾性層512、離型層513の順に積層されてなる。金属発熱層511は、例えば、Ni,SUS,Fe等の磁性材料からなる。弾性層512は、耐熱性、弾性および絶縁性を有するゴム材や樹脂材、例えばシリコーンゴムからなる。離型層513は、定着後の記録シートPとの離型性を高めるための層であり、耐熱性を有し、離型性に優れた絶縁樹脂からなる。当該絶縁樹脂として、例えば、PFA(四フッ化エチレン・パーフルオロアルコキシエチレン共重合体)等のフッ素樹脂を使用することができる。
図2に戻って、定着ローラー52は、長尺で円柱状の芯金521の周囲に断熱層522が形成されてなる。芯金521は、例えば、アルミニウム等の非磁性材料からなり、断熱層522は、耐熱性および断熱性の高い、例えば、シリコーンゴムやフッ素ゴム等の発泡弾性体などの材料からなる。
ここでは、定着ローラー52および加圧ローラー53の長さを、定着ベルト51の幅寸法とほぼ同程度にしている。
磁束発生部58は、励磁コイル80と、メイン消磁コイルユニット81と、サブ消磁コイルユニット82と、コイルボビン83と、メインコア84と、裾コア85とを有する。
コイルボビン83は、励磁コイル80、各消磁コイルユニット81,82、および各コア84,85を保持するものであり、定着ベルト51の外周面の幅方向に沿って配されている。
メインコア84および裾コア85は、高磁性率かつ低損失の磁性体、例えばフェライトやパーマロイのような合金からなる。
裾コア85は、定着ベルト51の幅方向に平行に伸びる長尺状に形成され、コイルボビン83に例えばシリコーン系接着剤などで固着されている。
図4は、励磁コイル80、メイン消磁コイルユニット81およびサブ消磁コイルユニット82などの位置関係を示す外観斜視図である。
なお、この図2は、図4の仮想面Vで切断したときのY´方向から見た励磁コイル80などの断面図が示されている。
同図に示すように、メイン消磁コイルユニット81は、サイズの異なる3つの第1〜第3消磁コイル811〜813からなり、最も小さい第3消磁コイル813の周りを第2消磁コイル812が取り囲み(囲繞する)、さらにその周りを、最も大きい第1消磁コイル811が取り囲むように構成されている。
第1〜第3消磁コイル811〜813のそれぞれは、リッツ線を励磁コイル80の上面に沿うようにして巻回されており、各コイル面(面状のコイルの巻回の基準となる面)が同一で、ほぼ同じ厚みになるように形成されている。
また、サブ消磁コイルユニット82の、基本的な構成は、メイン消磁コイルユニット81と同様であり、長手方向に異なるサイズの第1〜第3消磁コイル821〜823を、コイル面を共通にし、かつ、サイズの小さい消磁コイルが、それよりサイズの大きな消磁コイルに囲繞されるようにして形成されている。
そして、第1消磁コイル821の消磁領域L21がシート幅W1(例えばA6縦通し)の非通紙領域に対応し、第2消磁コイル822の消磁領域L22がシート幅W3(例えばB5縦通し)の非通紙領域に対応し、第3消磁コイル823の消磁領域L23がシート幅W5(例えばB4縦通し)の非通紙領域に対応する。
上記のような定着部5の構成によれば、メインおよびサブ消磁コイルユニット81,82のそれぞれが、3つの消磁コイルで構成されているので、上記した第1および第2の従来技術の定着装置の、定着部5と同数の6つの消磁コイルで構成したものと比較した場合に、装置の大型化を抑制することができる。具体的には、第1の従来技術の定着装置では、6つの消磁コイルが単に積み重ねられ、6段もの高さになるのに対して、定着部5では消磁コイルを重ねる段数(消磁コイルユニットの段数)が2段と大幅に少なくて済む。また、第2の従来技術の定着装置の場合では、1つの消磁コイルユニットを、6つの消磁コイルを順に囲繞するようにして形成するのに対して、定着部5では、3つの消磁コイルを順に囲繞するだけなので、定着ベルトの周方向の幅をとらない。
(温度センサー)
温度センサー54は、例えば非接触型サーミスターからなり、定着ベルト51の幅方向の中央付近に配されている。この温度センサー54は、定着ベルト51の通紙領域の表面温度を検出して、制御部60に出力する。制御部60は、温度センサー54の検出結果に基づき、定着ベルト51の通紙領域が所定の定着温度(例えば180℃)になるように、励磁コイル80への電力供給を制御する。
位置X1〜X5は、それぞれシート幅W1〜W5の記録シートPを通紙したとのき定着ベルト51の非通紙領域内であって、通紙領域近傍の位置となっている。制御部60は、温度センサー55の検出結果に基づき、定着ベルト51の非通紙領域が過昇温とならないように、メイン消磁コイルユニット81およびサブ消磁コイルユニット82の動作を制御する。詳細については後述する。
<励磁回路および消磁回路>
図6は、励磁コイルを駆動する励磁回路90、および各消磁コイルを動作させる消磁回路91〜96の構成例を示す図である。
消磁回路91は、第1消磁コイル811・811および切替えリレー101を直列接続して形成されている。切替えリレー101は、制御部60の制御を受けて、第1消磁コイル811・811の動作をオン・オフする。切替えリレー101をオンにして消磁回路91を閉じることにより、第1消磁コイル811・811に、励磁コイル80により発生された交番磁界の磁束を打ち消す方向に磁界が発生する。逆に、切替えリレー101をオフして消磁回路91を開くことにより、第1消磁コイル811・811は動作せず、励磁コイル80の交番磁界に対する消磁効果は生じない。
<消磁コイルの動作制御>
図7(a)〜(d)は、各消磁コイルの動作の制御例を説明するための図であり、図8は、通紙されるシート幅と動作させる消磁コイルとの関係を示すテーブルである。
図7(a)は、通紙される記録シートの非通紙領域と長手方向の消磁領域が同じ消磁コイルがメイン消磁コイルユニット81側にある場合の制御例である。
図7(b)は、特定コイルが、サブ消磁コイルユニット82側にある場合の制御例である。
サブ消磁コイルユニット82は、メイン消磁コイルユニット81を介して励磁コイル80上に重ねられ、メイン消磁コイルユニット81よりも励磁コイル80から少し離れているので、その分だけ消磁効率が低くなる。そのため、サブ消磁コイルユニット82の特定コイルだけを動作させた状態で大量に連続印刷したときには、定着ベルト51の非通紙領域の過昇温を十分に抑制できない場合もあり得る。そこで、メイン消磁コイルユニット81の消磁コイルのうち、上記特定コイルよりもサイズ小さく、かつ当該特定コイルに一番近いサイズの消磁コイルを一緒に動作させることにより、消磁効果の劣化を補完するようにしているのである。
上述のように、メイン消磁コイルユニット81とサブ消磁コイルユニット82は、その長手方向のサイズが交互に小さくなるように消磁コイルの組み合わせが決定されているので、上記のようにして選択された補完コイルの長手方向のサイズは、メイン消磁コイルユニット81にサブ消磁コイルユニット82も合わせた全ての消磁コイルの中で、一番特定コイルに近く、よって、最も大きな補完効果が得られる(本例の適用例として、図8のテーブルのシート幅がW1、W3、W5の欄参照。)。
この場合には、まず、当該非通紙領域よりサイズが小さい消磁領域を有する消磁コイルの内で、一番サイズの大きな消磁コイルを特定コイルとする。
例えば、シート幅がW3超、W4未満(例として往復はがき横通し)の記録シートPが通紙される場合には、その際の非通紙領域と消磁領域が完全に一致する消磁コイルが存在しないので、制御部60は、消磁領域が、シート幅W4の非通紙領域に含まれる消磁コイルのうち一番大きなメイン消磁コイルユニット81の第2消磁コイル812を特定コイルに設定すると共に、サブ消磁コイルユニット82の第2消磁コイル822を補助コイルと選定する。
このように、印刷ジョブ実行中(定着動作中)は、特定コイルを常にオンの状態にし(以下、「基本制御」という。)、補助コイルは、対応する非消磁領域の温度に基づき適宜オン・オフ制御(以下、「補助制御」という。)することにより、特定のシート幅の非通紙領域と一致する消磁領域を有する消磁コイルが存在しない場合であっても、定着ベルト51の非通紙領域の過昇温を的確に抑制することができる(本例の適用例として、図8のテーブルのシート幅が、W1超・W2未満、W3超・W4未満、W5超・W4未満の欄参照。)。
同図に示すように、例えば、シート幅がW2超、W3未満の記録シートPが通紙される場合には、制御部60は、シート幅W3の非通紙領域に対応するサブ消磁コイルユニット82の第2消磁コイル822を特定コイルとして動作オンにすると共に、補助コイルとして、メイン消磁コイルユニット81の第1消磁コイル811を選定する。
そして、定着ベルト51の非消磁領域の温度(本例の場合、図5における検出位置X2の温度)をチェックしながら、補助コイルである第1消磁コイル811を適宜オン・オフ制御する(本例の適用例として、図8のテーブルのシート幅が、W2超・W3未満、W4超・W5未満、W5超の欄参照。)。
もっとも、記録シートのシート幅がW1未満の場合には、本例ではその非通紙領域よりも大きな消磁領域を有する消磁コイルがないので、このような補助コイルを設けることができない(図8のシート幅がW1未満の欄参照)。
また、そもそもシート幅がW1未満の記録シートの使用が不可能なように、例えば、給紙カセットにおける仕切板の移動範囲を制限したり、操作パネルから当該サイズの用紙設定ができないようにしてもよい。
取得したシート幅がW2,W4,W6の何れかの場合には(ステップS104:Yes)、図8のテーブルに基づき、メイン消磁コイルユニット81の、取得したシート幅の非通紙領域に対応する(すなわち、非通紙領域のサイズと消磁領域が一致する)消磁コイルを特定コイルとしてオンにする(ステップS105)。
取得したシート幅がW1,W3,W5の何れかの場合には(ステップS104:No、かつステップS107:Yes)、図8のテーブルに基づき、サブ消磁コイルユニット82のうち、各シート幅における対応消磁コイルの動作をオンにする(ステップS108)。
そして、印刷ジョブが終了するまで(ステップS106:No)、ステップS108,S109でオンにした各消磁コイルの動作を維持する。
図10は、非対応のシート幅のときの基本制御のサブルーチンを示している。
ステップS201において、メイン消磁コイルユニット81の消磁コイルが特定コイルとして選定されていなければ(ステップS202:No)、図8のテーブルを参照し、メイン消磁コイルユニット81の中で、特定コイルよりもサイズが小さくて、当該特定コイルのサイズに最も近い消磁コイルを補完コイルとして選定し動作オンにする(ステップS203)。
以上で、非対応のシート幅のときの基本制御を終了し、図9のフローチャートにリターンする。
図9のステップS110の非対応のシート幅のときの基本制御の後、制御部60は、取得したシート幅がW1を超えている場合には(ステップS111:Yes)、非対応のシート幅のときの補助制御を行う(ステップS112)。
この際、非消磁領域の検出温度に基づき、強制的に印刷ジョブを停止させたり、そもそも印刷ジョブの開始を禁止するようにしてもよいのは、上述の通りである。
まず、ステップS301において、制御部60は、メイン消磁コイルユニット81およびサブ消磁コイルユニット82全体の中から、ステップS110で選定された特定コイルよりもサイズが大きい消磁コイルのうち、その消磁領域が最も非通紙領域のサイズに近い消磁コイルを補助コイルとして選定する。
図8によれば、シート幅が特定されれば、特定コイルと補助コイルも特定され、その非消磁領域も特定されるので、例えば、シート幅と、そのときの非消磁領域に対応する温度センサー55の検出値のうち参照すべき検出位置(X1〜X5)を対応付けるテーブルを予め作成して、制御部60内のROM等の不揮発性メモリに格納しておけば、ステップS302の非消磁領域となる表面温度の取得が円滑に行える。
また、ここでの「第1の温度」は、定着温度(例えば180℃)よりも高く、定着ベルトの耐熱温度よりも所定温度だけ低い温度に設定される。当該所定温度は、安全率を考慮して0℃〜60℃程度が望ましい。本実施の形態では、第1の温度は、例えば220℃に設定されている。
この第2の温度は、上記第1の温度よりも低く、定着温度よりも高い温度が設定されるが、補助コイルの消磁領域は、通紙領域の端部にも一部重なっているので、第2の温度をあまり低く設定すると、通紙端部の温度が定着温度より低くなり定着不良となるおそれがある。したがって、そのような状態に到らない温度が、予め実験により求められて制御部60内のROMに格納されている。本実施の形態では、第2の温度は、およそ210℃程度に設定されている。
また、ステップS305で非消磁領域の表面温度が第2の温度以下になっていない場合には(ステップS305:NO)、ステップS306をスキップして補助コイルの動作オフにしない。
そして、図9のステップS113で他の印刷ジョブの有無を判定し、もし、あれば(ステップS113:YES)、ステップS102に戻り、上記処理を繰り返すが、もし、他の印刷ジョブがなければ(ステップS113:NO)、消磁コイルの動作制御を終了する。
[変形例]
以上、本発明を実施の形態に基づいて説明してきたが、本発明が上述の実施の形態に限定されないのは勿論であり、以下のような変形例を実施することができる。
(1)消磁コイルユニットおよび消磁コイルの数、サイズ、配置等の構成は、上記実施の形態に限定されるものではなく、定着ベルトや定着部の仕様に応じて、適宜選択することができる。
また、メイン消磁コイルユニット81とサブ消磁コイルユニット82の全ての消磁コイルのサイズが異なる構成を示したが、場合によっては、同じサイズの消磁コイルが含まれていても構わない。各消磁コイルユニットにおいて、消磁コイルのサイズを1つでも異ならせて、サイズの組み合せが異なる構成になっていれば、他の消磁コイルユニットにおいて対応できていない記録シートのサイズに対応することができるし、また、同じサイズの消磁コイルは、他の消磁コイルユニットの同サイズの消磁コイルと同時に動作させることにより、消磁効率をより高めることができるという利点があるからである。
この場合、通紙される記録シートの幅に対応する消磁コイルが、3段目以上の消磁コイルユニットに含まれるものである場合には、当該対応する消磁コイルをオンにすると共に、それよりも下層の消磁コイルユニットの中の、前記の対応する消磁コイルよりもサイズが小さい消磁コイルのうち、一番大きなサイズの消磁コイルを補完コイルとしてオンにするのが望ましい。より望ましくは、励磁コイルに最も近接する1段目の消磁コイルユニットの中の、前記の対応する消磁コイルよりもサイズが小さい消磁コイルのうち、一番大きなサイズの消磁コイルをオンにすることである。より消磁効率を高めることができるからである。
(3)上記実施の形態では、定着ベルト51の通紙領域の表面温度を検出する温度センサー54が非接触型サーミスター、定着ベルト51の非通紙領域の表面温度を検出する温度センサー55が赤外線検知型のサーモパイルアレイからなる構成を示したが、これに限定するものではない。
また、非通紙領域の表面温度を検出する温度センサーとして、非接触型サーミスター、赤外線検知型のサーモパイル等を用いることができる。もっとも、この場合、上記実施の形態で示したように、非通紙領域の複数個所の温度を検出するには、温度センサーを複数配設するか、可動式にする必要がある。
すなわち、通紙領域の温度と端部温度とシート幅が分かれば、定着ベルト51における回転軸Jに沿った方向における温度分布(温度分布曲線)を特定することが可能であり、その特定した温度分布により、非通紙領域の他の位置における温度を推定することができる。
同図によれば、特定コイルの存する範囲は、その消磁効果により温度上昇が抑えられているが、隣接する非消磁領域では温度が上昇している。
このようにすれば、非通紙領域における温度センサーとして、検出箇所が1箇所だけの安価なものを1個使用するだけで制御できるので、コスト的なメリットが大きい。
普通紙、厚紙、薄紙、OHP用紙、光沢紙などの紙の厚さや表面処理の違いによって、定着ベルトの通紙領域における記録シートにより奪われる熱量が異なることから、非通紙領域に対する熱影響が変わってくるからである。
記録シートの紙種情報は、印刷ジョブのヘッダー情報に含まれているユーザー指定のシートに関する情報を抽出することにより得られる、もしくは、給紙カセットに記録シートPをセットする際にユーザーが操作パネルから紙種情報入力することにより得ることができるので、制御部60はそれらからシート幅と紙種に関する情報を取得して、予め設定した温度分布曲線もしくは、端部温度の閾値に基づき、非消磁領域の温度を推定して、補助コイルのオン・オフ制御を実行することができる。
(6)上記実施の形態では、定着回転体として、金属発熱層511を有する定着ベルト51を用いて、その内側に定着ローラー52を遊嵌した構成を示したが、これに限定するものではない。例えば、定着ベルト51の内側に定着ローラー52を締り嵌めした構成とすることもできる。また、ローラー本体に変えて、加圧ローラー53からの押圧力を受け止める長尺の押圧部材を定着ベルトの内側に配するようにしても良い。
(8)上記実施の形態において、メインコア84および裾コア85が、励磁コイル80や定着ベルト51と共に磁気回路を形成する構成を示したが、さらに励磁コア80のループ内の長手方向両端部にコア部材(端部コア)を配置しても構わない。
(9)上記実施の形態において、給紙カセットが1つ設けられた構成を示したが、これに限定するものではなく、給紙カセットが複数設けられた構成でも構わない。
また、上記実施の形態及び変形例の内容は、可能な限り組み合わせても構わない。
3 画像プロセス部
4 給紙部
5 定着部
10 光学部
11 中間転写ベルト
31 感光体ドラム
32 帯電器
33 現像器
51 定着ベルト
52 定着ローラー
53 加圧ローラー
54,55 温度センサー
58 磁束発生部
60 制御部
80 励磁コイル
81 メイン消磁コイルユニット
82 サブ消磁コイルユニット
90 励磁回路
91〜96 消磁回路
511 金属発熱層
512 弾性層
513 離型層
811 第1消磁コイル(メイン消磁コイルユニット)
812 第2消磁コイル(メイン消磁コイルユニット)
813 第3消磁コイル(メイン消磁コイルユニット)
821 第1消磁コイル(サブ消磁コイルユニット)
822 第2消磁コイル(サブ消磁コイルユニット)
823 第3消磁コイル(サブ消磁コイルユニット)
W1〜W6 シート幅
X1〜X5 所定位置
Claims (8)
- 定着回転体を、その回転軸方向に沿って配された励磁コイルにより誘導加熱し、当該定着回転体の周面と加圧部材との間に形成された定着ニップに記録シートを通紙して、未定着画像を定着する定着装置であって、
前記励磁コイルの前記定着回転体の非通紙領域に対応する領域に沿って配設され、サイズの異なる複数のコイルからなる消磁コイルユニットを2段以上重ねてなる消磁コイルユニット群と、
通紙される記録シートの幅に関する情報を含むシート情報を取得するシート情報取得手段と、
前記シート情報取得手段により取得した記録シートの幅に応じて、前記複数の消磁コイルの動作を制御する動作制御手段と、を備え、
各段の消磁コイルユニットは、複数の消磁コイルが、前記励磁コイルのコイル面に沿った同一の面内において、一のサイズの消磁コイルが、より大きなサイズの消磁コイルに囲繞されるような形で巻回されてなると共に、
各消磁コイルユニットの消磁コイルのサイズの組み合わせが異なっている
ことを特徴とする定着装置。 - 前記各段の消磁コイルユニットの、全ての消磁コイルのサイズが互いに異なっている
ことを特徴とする請求項1に記載の定着装置。 - 前記2段以上の消磁コイルユニットに、サイズの異なる消磁コイルが大きい順に割り振られるようにして、各消磁コイルユニットの消磁コイルの組み合わせが決定されている
ことを特徴とする請求項2に記載の定着装置。 - 前記動作制御手段は、定着動作中、
前記シート情報取得手段により取得したシート幅の記録シートの非通紙領域に対応するサイズの消磁コイルを動作させると共に、
当該動作させた消磁コイルが2段目以上の消磁コイルユニットに含まれるものである場合には、それよりも下層の消磁コイルユニットの消磁コイルであって、前記動作させた消磁コイルよりもサイズが小さいもののうち一番大きなサイズの消磁コイルをさらに動作させる
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の定着装置。 - 前記定着回転体の、少なくとも最大非通紙領域の回転軸方向における表面温度分布に関する情報を取得する温度分布取得手段を備え、
前記動作制御手段が、前記シート情報取得手段により取得した記録シートの幅に加え、前記温度分布取得手段による取得結果に応じて、前記各消磁コイルユニットの消磁コイルの動作を制御する
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の定着装置。 - 前記温度分布取得手段は、定着回転体の中央部における表面温度を検出する第1の温度検出手段と、回転軸方向端部における表面温度を検出する第2の温度検出手段を有し、
前記第1と第2の温度検出手段による検出結果と、通紙する記録シートのシート幅に関する情報に基づき、前記表面温度分布に関する情報を取得する
ことを特徴とする請求項5に記載の定着装置。 - 前記シート情報取得手段は、シート情報として、シート幅に関する情報に加えて記録シートの紙種に関する情報を取得し、
前記温度分布取得手段は、前記第1と第2の温度検出手段による検出結果と、通紙する記録シートのシート幅と前記記録シートの紙種に基づき、前記表面温度分布に関する情報を取得する
ことを特徴とする請求項5に記載の定着装置。 - 請求項1から7のいずれか1項に記載の定着装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。
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