JP4922229B2 - 誘導加熱定着装置 - Google Patents

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Description

この発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置に搭載され、誘導加熱により加熱される加熱部材により、トナー像を定着する誘導加熱定着装置に関する。
近年電子写真方式の複写機やプリンタ等の画像形成装置に使用される誘導加熱方式の定着装置がある。このような誘導加熱方式の定着装置において、ヒートローラの長手方向の温度分布を均一化するために、従来誘導加熱コイルをヒートローラの長手方向に複数に分割して配置して、複数の誘導加熱コイルを選択的に駆動する装置がある(例えば特許文献1及び特許文献2参照。)。
日本特許特開平09−106207号公報((0014)カラム、図1) 日本特許特開2001−185338号公報((0023)、(0025)カラム、図4、図6)
しかしながら特許文献の従来の誘導加熱定着装置は、いずれも隣接する誘導加熱コイルとの継ぎ目部分に隙間を生じる。このため、継ぎ目部分で磁束が変化してヒートローラに、温度ムラを生じる恐れがある。更に従来の誘導加熱定着装置では、分割された複数の誘導加熱コイルを、選択的に駆動することから、例えば、ヒートローラ全体に1000Wを供給したい場合に、分割された誘導加熱コイルが、夫々の領域において1000Wを必要とする。例えば、2つの誘導加熱コイルを選択的に駆動してヒートローラ全長を加熱するには、2つの誘導加熱コイルの夫々に1000Wを供給しなければならない。このため、ヒートローラの単位面積当たりの電力量が大きくなってしまう。このことから、各誘導加熱コイルに対応するヒートローラの温度変動を大きくする要因ともなる。
尚誘導加熱コイルを複数に分割した場合に、ヒートローラの温度変動を小さくするために、複数の誘導加熱コイルを同時に駆動すると、複数の誘導加熱コイルの駆動周波数が異なることから、駆動時に干渉音を発生し、騒音が増す恐れを新たに生じてしまう。しかも従来の誘導加熱定着装置は、シート紙のサイズによる、通紙部と非通紙部との温度ムラの改善を考慮するものではない。このため、連続通紙をした場合に、非通紙部の温度上昇を来たして、周辺装置に影響を与える恐れも有していた。
そこで本発明は上記課題を解決するものであり、誘導加熱コイルにより金属導電層を加熱する定着装置において、ヒートローラの長手方向における温度ムラの発生を防止して、シート紙のサイズによる通紙部と非通紙部との温度ムラによる非通紙部の温度上昇を防止して、周辺装置に影響を及ぼすことなく、安定した定着性を得る誘導加熱定着装置を提供することを目的とする。
本発明は上記課題を解決するための手段として、金属導電層を有するエンドレスの加熱部材と、前記加熱部材の外周に配置され、前記加熱部材の回転軸方向の全長に渡り、前記金属導電層に誘導電流を発生させる第1の誘導電流発生コイルと、前記加熱部材の外周に配置され、前記加熱部材までの距離が前記第1の誘導電流発生コイルから前記加熱部材までの距離とほぼ同じであり、前記第1の誘導電流発生コイルの外側に配置されて、前記加熱部材の回転軸方向の一部にて、前記金属導電層に誘導電流を発生させる第2の誘導電流発生コイルと、前記第1の誘導電流発生コイルあるいは前記第2の誘導電流発生コイルを切り換えて駆動可能である制御部材とを備えるものである。
本発明によれば、干渉音を生じる事無く、低電力量にて、加熱部材を全長に渡り均一に加熱出来、又、被定着媒体のサイズにかかわらず、周辺装置に及ぼす影響を防止して、安定した定着性能を得ることが出来る。
この発明は、加熱部材の全長を発熱させる誘導電流発生コイルと、加熱部材の一部を発熱させる誘導電流発生コイルとを用いる。
以下にこの発明の実施例1を図1乃至図8を参照して詳細に説明する。
図1はこの発明の実施例の画像形成装置1を示す概略構成図である。画像形成装置1の上面には自動原稿送り装置4により供給される原稿を読取るスキャナ部6を備える。画像形成装置1は、画像形成ユニット10に被定着媒体であるシート紙Pを供給するカセット機構3を備える。
カセット機構3は第1及び第2の給紙カセット3a、3bを備える。各給紙カセット3a、3bから、画像形成ユニット10に至る搬送路7には、給紙カセット3a、3bからシート紙を取り出すピックアップローラ7a、7b、分離搬送ローラ7c、7d、搬送ローラ7e及びレジストローラ8が設けられる。画像形成ユニット10の下流には、画像形成ユニット10にてシート紙Pに形成されるトナー像を定着する定着装置11が設けられる。定着装置11の下流には、排紙ローラ40が設けられ、定着後のシート紙Pを排紙部1bに搬送する排紙搬送路41が設けられる。
画像形成ユニット10は、イエロ(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色の画像形成ステーション18Y、18M、18C、18Kを有する。各画像形成ステーション18Y、18M、18C、18Kは、矢印q方向に回転される転写ベルト10aに沿って、タンデムに配列される。
イエロ(Y)の画像形成ステーション18Yは、矢印r方向に回転する像担持体である感光体ドラム12Yの周囲に、プロセス部材である帯電器13Y、現像装置14Y、転写ローラ15Y、クリーナ16Y、除電器17Yを配置してなっている。またイエロ(Y)の画像形成ステーション18Yの上方には、感光体ドラム12Yにレーザビームを照射するレーザ露光装置19が設けられる。
マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色の画像形成ステーション18M、18C、18Kは、イエロ(Y)の画像形成ステーション18Yと同様の構成を有している。
イエロ(Y)の画像形成ステーション18Yにて、感光体ドラム12Yとその周囲の帯電器13Y、現像装置14Y、クリーナ16Y、及び除電器17Yは、プロセスカートリッジを構成していて、本体1aに対して一体的に着脱自在となっている。尚プロセスカートリッジの構成は限定されず、少なくとも帯電器、現像器あるいはクリーナのどれか1つと感光体ドラムとを一体的に支持して、画像形成装置1の本体に対して着脱可能であれば良い。例えば、感光体ドラム周囲の現像器及びクリーナのみを一体化したプロセスカートリッジとして、画像形成装置本体に対して、一体的に着脱自在にする等、任意である。
画像形成ユニット10にてプリント操作が開始されると、イエロ(Y)の画像形成ステーション18Yにあっては、感光体ドラム12Yが矢印r方向に回転し、帯電器13Yにより一様に帯電される。次いで感光体ドラム12Yは、レーザ露光装置19により、スキャナ部6で読取った画像情報に対応する露光々を照射され静電潜像を形成される。この後感光体ドラム12Yは現像装置14Yにてトナー像を形成され、転写ローラ15Y位置で、転写ベルト10a上を矢印q方向に搬送されるシート紙Pにトナー像を転写する。転写終了後、感光体ドラム12Yはクリーナ16Yにより残留トナーをクリーニングされ、除電器17Yにより感光体ドラム12Y表面を除電され、次のプリント可能となる。
マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色の画像形成ステーション18M、18C、18Kは、イエロ(Y)の画像形成ステーション18Yと同様に画像形成操作を行い、シート紙Pにフルカラートナー像を形成する。この後シート紙Pは、誘導加熱定着装置である定着装置11により加熱加圧定着されプリント画像を完成され排紙部1bに排紙される。
次に定着装置11について述べる。図2は、定着装置11を示す概略構成図である。定着装置11は、加熱部材であるヒートローラ22と加圧部材であるプレスローラ23を有する。ヒートローラ22は、駆動モータ25により矢印s方向に駆動される。プレスローラ23は、圧縮バネ24aを有する加圧機構によりヒートローラ22に圧接される。これによりヒートローラ22とプレスローラ23との間に一定幅のニップ26が形成される。プレスローラ23は、ヒートローラ22に従動して矢印t方向に回転する。
更に定着装置11は、ヒートローラ22の外周に、約3mmのギャップを介して、ヒートローラ22を加熱する誘導加熱コイル27を有する。誘導加熱コイル27はヒートローラ22と略同軸形状となっている。更にヒートローラ22の外周には、定着後の用紙Pの巻きつきを防止する剥離爪31、ヒートローラ22の表面温度を検出する第1のサーミスタ33a、第2のサーミスタ33b及び、ヒートローラ22の表面温度の異常を検知して、加熱を遮断するためのサーモスタット34が設けられる。剥離爪31は、接触式あるいは非接触式のいずれであっても良い。
ヒートローラ22は、芯金22aの周囲に厚さ5mmの発泡ゴム(スポンジ)22b、ニッケル(Ni)からなる厚さ40μmの金属導電層22c、厚さ200μmのソリッドゴム層22d及び、厚さ30μmの離型層22eを有してなっている。金属導電層22cは、ニッケルに限らず、ステンレス、アルミニウム、あるいはステンレスとアルミニウムの複合材等であっても良い。
プレスローラ23は、厚さ2mmの芯金23a、厚さ1mmのソリッドシリコンゴム層23b及び、厚さ30μmの離型層23cを有してなっている。ヒートローラ22及びプレスローラ23は、いずれもφ40となっている。シート紙Pは、このようなヒートローラ22及びプレスローラ23間のニップ26を通過することにより、シート紙P上のトナー像を加熱加圧定着される。
誘導加熱コイル27は、第1の誘導電流発生コイルである第1の誘導加熱コイル27a及び第2の誘導電流発生コイルである第2の誘導加熱コイル27bからなっている。第1の誘導加熱コイル27aは、長さ320mmであり、ヒートローラ22の全長を加熱する。第2の誘導加熱コイル27bは、長さ200mmであり、ヒートローラ22の中央領域を加熱する。第1の誘導加熱コイル27aは、第1のコア及び第2のコアである磁性体コア28に電線を6ターンした第1のコイル36aを有する。第2の誘導加熱コイル27bは、磁性体コア28に電線を8ターンした第2のコイル36bを有する。
第2の誘導加熱コイル27bに比べて第1の誘導加熱コイル27aの電線のターン数を減らすことが出来る。これは、誘導加熱コイル27がヒートローラ22と略同軸形状であり、第1の誘導加熱コイル27a及び第2の誘導加熱コイル27bが、ヒートローラ22に対してほぼ同一の3mmの距離で配置されていることによる。
即ち、ヒートローラ22の長手方向全長に渡り対向される第1の誘導加熱コイル27aは、ヒートローラ22の中央部に対向される第2の誘導加熱コイル27bに比べて、ヒートローラ22との磁気結合領域が広く、磁気結合が強いことによる。第1の誘導加熱コイル27aはヒートローラ22との磁気結合が強いので、負荷抵抗が大きくなる。従って、負荷抵抗に比例して電力を大きくできるので、電線のターン数を減らすことが出来る。
ここで負荷抵抗とは、ヒートローラ22と誘導加熱コイル27を近づけて行くと現われる抵抗分と、誘導加熱コイル27が本来有している主に銅損に相当する抵抗値とを加算したものを言う。ヒートローラ22と誘導加熱コイル27を近づけて行くと、相互誘導により磁気結合が発生して次第に強くなってゆく。この磁気結合が強くなるに従い、抵抗分が大きくなって行き、ひいてはこの抵抗分を含む負荷抵抗が大きくなる。従って、第1の誘導加熱コイル27aでは磁気結合が強くなるということは、負荷抵抗が大きくなるということになる。従って第1の誘導加熱コイル27aではヒートローラ22との磁気結合が強いので、所定の電力を得ようとする際に、電線のターン数を減らすことが可能となる。
他方、ヒートローラ22の中央部と対向する第2の誘導加熱コイル27bは、第1の誘導加熱コイル27aと比べて、ヒートローラ22との磁気結合が弱くなる傾向にある。このため、電線のターン数を増やしている。
尚、第1の誘導加熱コイル27a及び第2の誘導加熱コイル27bと、ヒートローラ22との距離は3mmに限定されず、1〜5mm程度の範囲であれば、ヒートローラ22を効率的に加熱可能である。
電線は、お互いに絶縁された、銅線材を複数本束ねたリッツ線からなっている。電線は、リッツ線にすることで、浸透深さに応じて線径を小さくすることによって、交流電流を有効に流すことが可能になる。本実施例においては、電線は、線径0.5mmの銅線材を16本束ねたリッツ線としている。電線の絶縁材は、耐熱性のポリアミドイミドを用いる。
磁性体コア28は、ヒートローラ22の長手方向に複数に分散され、第1及び第2のコイル36a、36bを覆う形状とされ、両側に磁気遮蔽材28a、28bが凸設される。このような形状により、磁性体コア28は、ヒートローラ22に磁束を集中させて、ヒートローラ22を局部的に集中加熱することが可能となる。
図3あるいは図4に示すように、複数の磁性体コア28の夫々の幅αは、15mmであり、隣接する磁性体コア28との間隙βは、ヒートローラ22の温度ムラを発生しないように、10mmとされる。隣接する磁性体コア28の間隙を広くし過ぎると、ヒートローラ22の温度ムラを発生する恐れがある。第1の誘導加熱コイル27a及び第2の誘導加熱コイル27bは、領域[A]において、同じ磁性体コア28を、兼用して使用する。
また領域[A]では、ヒートローラ22に対して、第1のコイル36aと第2のコイル36bとが重なると、重なった部分では磁束が遮られ、加熱効率が著しく低下される。従って、第1のコイル36aと第2のコイル36bとを、ヒートローラ22方向に重ならないように配置する。即ち、図5あるいは図6に示すように、第2のコイル36bは、第1のコイル36aを跨いで形成され、ヒートローラ22の長手方向と平行な方向において、第2のコイル36bは、第1のコイル36aの外側に配置される。尚このように、第2のコイル36bを、第1のコイル36aの外側に配置することにより、図5にγで示す、第2のコイル36bの内側ギャップを広く出来る。このことから、第2の誘導加熱コイル27bとヒートローラ22との磁気結合領域をより大きくすることが可能となる。
高周波電流の印加により第1の誘導加熱コイル27a及び第2の誘導加熱コイル27bは磁束を発生する。この磁束により、磁界の変化を妨げるように、ヒートローラ22に渦電流を発生させる。この渦電流と、ヒートローラ22の抵抗によってジュール熱が発生して、ヒートローラ22は加熱される。第1のサーミスタ33aは、第1の誘導加熱コイル27aにより加熱されるヒートローラ22の温度を検知し、第2のサーミスタ33bは、第1の誘導加熱コイル27aあるいは第2の誘導加熱コイル27bにより加熱されるヒートローラ22の中央部分(領域[A])の温度を検知する。
次にヒートローラ22を加熱する誘導加熱コイル27の制御部材である制御系100について述べる。図7に示すように、制御系100は、第1の誘導加熱コイル27a及び第2の誘導加熱コイル27bに駆動電流を供給するインバータ回路50、インバータ回路50に100V直流電源を供給する整流回路51、画像形成装置1全体を制御するとともに、サーミスタ33a、33bの検出結果に応じてインバータ回路50を制御するCPU52を有する。CPU52は、メインメモリ52aあるいは記憶装置52b等を有する。CPU52は、サーミスタ33a、33bの検出結果に応じて、第1の誘導加熱コイル27aあるいは第2の誘導加熱コイル27bのいずれか一方のみを出力するか、あるいは全てをOFFするようにインバータ回路50を駆動する。
整流回路51は、商用交流電源51aからの電流を100Vの直流に整流して、インバータ回路50に供給する。整流回路51の前段にはトランス53が配置される。これにより全消費電力が検出可能であり、商用交流電源51aから提供される電力を検知して、CPU52にフィードバックしている。
インバータ回路50は、自励式の準E級回路を用いている。インバータ回路50の第1の誘導加熱コイル27a及び第2の誘導加熱コイル27bに、共振用のコンデンサ55、56が並列に接続される。このコンデンサ55、56に、スイッチング素子57、58が接続されている。スイッチング素子57、58は、高耐圧、大電流で使用可能なIGBTやMOS−FET等が用いられる。
スイッチング素子57、58の制御端子には、それぞれ駆動回路60、61が接続されている。駆動回路60、61は、駆動電圧をスイッチング素子57、58の制御端子に印加して、スイッチング素子57、58をONさせる。CPU52は、駆動回路60、61の駆動電圧印加タイミングを制御する。インバータ回路50は、CPU52によりスイッチング素子57、58のON時間を制御して、周波数を20〜100kHzの範囲で可変し、第1の誘導加熱コイル27aあるいは第2の誘導加熱コイル27bに電流を流す。インバータ回路50は、駆動周波数を可変することで、第1の誘導加熱コイル27aあるいは第2の誘導加熱コイル27bに600W以上、最大1500Wまでの電力を供給可能となる。
尚インバータ回路は、出力の可変を周波数調整するのではなく、パルス幅(PWM)制御で出力調整する、ハーフブリッジタイプの回路を用いた回路仕様であっても良い。
次に、制御系100による誘導加熱コイル27の温度制御について、図8のフローチャートを参照して述べる。第1の誘導加熱コイル27aはインバータ回路50からの電力供給により、ヒートローラ22の全長を加熱する。第2の誘導加熱コイル27bは、インバータ回路50からの電力供給により、ヒートローラ22の中央部を加熱する。スタート後、第1の誘導加熱コイル27aあるいは第2の誘導加熱コイル27bのいずれに電力供給されていたとしても、第2のサーミスタ33bが、ヒートローラ22の中央部の温度が、160℃以上を検知した場合(ステップ120でNo)は、第1の誘導加熱コイル27a及び第2の誘導加熱コイル27bのいずれもOFFにする(ステップ121)。
第2のサーミスタ33bが、ヒートローラ22の中央部の温度が、160℃未満を検知した場合(ステップ120でYes)は、第1のサーミスタ33aが、ヒートローラ22の側部の温度が、160℃未満であるかを検知する(ステップ122)。ヒートローラ22の側部の温度が160℃未満であれば、第1の誘導加熱コイル27aをONして、第2の誘導加熱コイル27bをOFFする(ステップ123)。これによりヒートローラ22の全長を加熱する。一方、ヒートローラ22の側部の温度が160℃以上であれば、第1の誘導加熱コイル27aをOFFして、第2の誘導加熱コイル27bをONする(ステップ124)。これによりヒートローラ22の中央部分の、領域[A]を加熱する。
次に作用について述べる。画像形成プロセスの開始により画像形成ユニット10では、イエロ(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色の画像形成ステーション18Y、18M、18C、18Kにて、夫々感光体ドラム12Y、12M、12C、12K上にトナー像を形成する。感光体ドラム12Y、12M、12C、12K上のトナー像を、転写ローラ15Y、15M、15C、15Kにより矢印q方向に回転される転写ベルト10a上のシート紙Pに転写して、シート紙P上にフルカラートナー像を形成する。この後シート紙Pは、定着装置11により加熱加圧定着されプリント画像を完成される。
画像形成プロセス開始により定着装置11では、駆動モータ25によりヒートローラ22が矢印s方向に駆動され、これに従動するプレスローラ23が矢印t方向に回転される。更に定着装置11では、サーミスタ33a、33bによるヒートローラ22の表面温度の検出結果に従い、CPU52がインバータ回路50を制御する。インバータ回路50は、第1の誘導加熱コイル27aあるいは第2の誘導加熱コイル27bを選択的に切換えてヒートローラ22を昇温し、定着温度を維持する。
画像形成プロセス開始時、第1の誘導加熱コイル27aに40kHzの電流を供給する。これによりヒートローラ22は約30秒の高速にて、所望の定着可能温度である160℃に到達する。このとき、第1の誘導加熱コイル27aは、ヒートローラ22の全長に渡り一体であり、コイルの継ぎ目が無いので、ヒートローラ22は、全長に渡り均一な定着温度を保持する。その後、定着装置11は、図8のフローチャートに従い、インバータ回路50により、第1の誘導加熱コイル27a及び第2の誘導加熱コイル27bをON−OFF制御される。これにより定着操作を行う間もヒートローラ22の長手方向の温度分布を一定に保つ。
トナー像を形成されるシート紙Pサイズが、例えば、JIS規格のA4横サイズ(297×210mm)、A3サイズ(297×420mm)等の、フルサイズ紙であれば、定着装置11は、ヒートローラ22の長手方向全長を使用して、シート紙Pを加熱加圧定着する。従って、定着操作を行う間、ヒートローラ22は、長手方向全長にて、ほぼ均一に温度低下される。これにより第1のサーミスタ33aが、ヒートローラ22の側部の温度が、160℃未満であることを検知(ステップ122でYes)すると、インバータ回路50は、第1の誘導加熱コイル27aをONして、ヒートローラ22の全長の加熱を行う。
一方、シート紙Pサイズが、例えば、JIS規格のA4縦サイズ(210×297mm)、B5サイズ(182×257mm)等の、小サイズ紙であれば、定着装置11は、ヒートローラ22の中央部の一部を使用して、シート紙Pを加熱加圧定着する。従ってヒートローラ22は、定着操作を行う間、シート紙Pが通過する中央部の領域では温度が低下されるが、シート紙Pが通過しない両側の領域では温度上昇を生じる。即ち第2のサーミスタ33bが、ヒートローラ22の中央部の温度が160℃未満であることを検知(ステップ120でYes)し、第1のサーミスタ33aが、ヒートローラ22の側部の温度が160℃以上であることを検知(ステップ122でNo)する。これによりインバータ回路50は、第1の誘導加熱コイル27aをOFFし、第2の誘導加熱コイル27bをONして、ヒートローラ22中央部の[A]領域の加熱を行う。
このように、第1の誘導加熱コイル27a及び第2の誘導加熱コイル27bへの電流供給を制御して、シート紙Pのサイズにかかわらず、ヒートローラ22の長手方向の温度分布を一定に保つ。尚、画像形成プロセスを終了した場合は、駆動モータ25を停止すると共に、第1の誘導加熱コイル27a及び第2の誘導加熱コイル27bへの電流供給を停止する。
この実施例によれば、定着装置11による定着操作時、ヒートローラ22の長手方向全長を加熱可能な第1の誘導加熱コイル27a及び、ヒートローラ22の中央領域を加熱可能な第2の誘導加熱コイル27bを、切り換えて駆動し、あるいは停止する。従って、ヒートローラ22の全長を加熱する場合には、コイルの継ぎ目が無い第1の誘導加熱コイル27aを用いることから、従来コイルの継ぎ目を原因として生じていた、ヒートローラ22の温度ムラを防止出来る。この結果ヒートローラ22は、長手方向全長に渡り安定した定着性を得られる。
又この実施例によれば、ヒートローラ22の全長を加熱する際には、単一の第1の誘導加熱コイル27aに対して、ヒートローラ22全体で必要とする電力量を供給している。従って従来の装置のように、複数の誘導加熱コイルを、選択的に駆動して、ヒートローラを長手方向全長に渡り加熱する場合に比べて、ヒートローラ22の単位面積あたりの電力量を低減することが出来る。例えば、2つの誘導加熱コイルを選択的に駆動して、ヒートローラ全長を加熱する従来の装置に比べれば、ヒートローラ22の単位面積あたりの電力量を半分にすることが出来る。更にこのことから、従来の装置に比べてヒートローラ22の温度変動を小さくすることが出来る。しかも、ヒートローラ22の全長を、単一の第1の誘導加熱コイル27aで加熱するので、従来の装置のように、複数の誘導加熱コイルを同時に駆動することによる、干渉音を発生することも無い。
又この実施例によれば、第1及び第2のサーミスタ33a、33bでヒートローラ22温度を検知して、検知結果により、インバータ回路50を用いて、第1の誘導加熱コイル27a及び第2の誘導加熱コイル27bを、ON−OFF制御している。したがって、シート紙Pのサイズにかかわらず、適宜ヒートローラ22の表面温度を制御でき、ヒートローラ22の長手方向の温度分布を一定に保つことが出来る。この結果、ヒートローラ22端部が温度上昇して、周辺装置に悪影響を及ぼすことが無く、ヒートローラ22の長手方向全長に渡り、常に良好な定着性能を得ることが出来る。
次にこの発明の実施例2について図9乃至図12を参照して説明する。この実施例2は上述した実施例1における、第2の誘導加熱コイルの第2のコイルの巻き方が異なるものであり、他は実施例1と同様である。従ってこの実施例2にあっては、前述の実施例1で説明した構成と同一構成については同一符号を付してその詳細な説明を省略する。
実施例2は、ヒートローラ22を加熱するため、図9、図10に示す、誘導加熱コイル127を有する。誘導加熱コイル127はヒートローラ22と略同軸形状となっている。誘導加熱コイル127は、第1の誘導加熱コイル27aと、長さ200mmであり、ヒートローラ22の中央領域を加熱する第2の誘導電流発生コイルである第3の誘導加熱コイル127bからなっている。第3の誘導加熱コイル127bは、磁性体コア28に電線を8ターンした第3のコイル136bを有する。
第3のコイル136bは、図11、図12に示すように形成されている。例えば、電線を同一面で8ターンした後、長手方向両端部137を垂直に折り曲げて加工する。これにより第3のコイル136bの長手方向両端部137、即ち、第1の誘導加熱コイル27aの第1のコイル36aとの重なり部分の厚さδを、電線1層分に抑えることができる。従って、この第3のコイル136bを用いることにより、ヒートローラ22の長手方向に複数に分散される磁性体コア28の、隣接する磁性体コア28との間隙εを5mmに狭めることが出来る。これにより、隣接する磁性体コア28との間隙εを原因とする、ヒートローラ22の温度ムラの発生をより確実に防止できる。
尚、第3のコイル136bの加工方法は、電線を巻くときに、第3のコイル136bの長手方向両端部137を、隣接する磁性体コア28との間隙εにおいて、1層で積層しながらコイルを形成する等しても良い。
この実施例によれば、前述の実施例1と同様に、コイルの継ぎ目が無い第1の誘導加熱コイル27a単独で、ヒートローラ22の全長を加熱することから、従来コイルの継ぎ目を原因として生じていた、ヒートローラの温度ムラを防止できる。しかも、隣接する磁性体コア128との間隙εが5mmと狭いことから、磁性体コア128の間隙εを原因とする、ヒートローラ22の温度ムラの発生をより確実に防止できる。
更にこの実施例によれば、実施例1と同様に、従来の装置に比べてヒートローラ22の温度変動を小さくすることが出来、干渉音を発生することも無い。また、シート紙Pのサイズにかかわらず、ヒートローラ22の長手方向の温度分布を一定に保つことが出来、ヒートローラ22端部の温度上昇による周辺装置への悪影響を防止でき、良好な定着性能を得ることが出来る。
次にこの発明の実施例3について図13乃至図15を参照して説明する。この実施例3は上述した実施例1における、磁性体コアの形状が異なるものであり、他は実施例1と同様である。従ってこの実施例3にあっては、前述の実施例1で説明した構成と同一構成については同一符号を付してその詳細な説明を省略する。
この実施例は、ヒートローラ22を加熱するため、図13に示す、誘導加熱コイル227を用いる。誘導加熱コイル227はヒートローラ22と略同軸形状となっていて、第1の誘導加熱コイル27aと、第2の誘導加熱コイル27bからなっている。誘導加熱コイル227の磁性体コア228は図13の領域[A]と領域[B]とで、形状が異なる。
第1の誘導加熱コイル27aの第1のコイル36aのみが巻かれる、領域[B]の側部コア228bは、図14に示すように、中央と、両側に、磁気遮蔽材230a、230b、230cが凸設される。又、第1の誘導加熱コイル27aの第1のコイル36aと第2の誘導加熱コイル27bの第2のコイル36bとが巻かれる、領域[A]の中央部コア228aは、図15に示すように、磁気遮蔽材230a、230b、230cに加えて、第1のコイル36a及び第2のコイル36b間を磁気遮蔽する遮蔽材である中間遮蔽材231a、231bが凸設される。
本実施例では、第1の誘導加熱コイル27a及び第2の誘導加熱コイル27bは、いずれか一方のみを選択駆動するものである。即ち、領域[A]においてもう一方のコイルに誘導電流が流れても、ヒートローラ22の発熱に影響しない。但し相互誘導電流は、インバータ回路50側に対してはノイズ要因となる。このため、インバータ回路50側では、ノイズフィルタを設ける等の対策が必要となる。又、コイルの駆動周波数をあげてゆくと、銅線においても渦電流による熱損が発生してくる。このようなことから、相互誘導電流は少ないほうが良い。
第1及び第2のコイル36a、36bが巻かれる中央部コア228aでは、中間遮蔽材231a、231bを設けることにより、第1のコイル36a及び第2のコイル36b間の相互誘導電流を低減している。
この実施例によれば、前述の実施例1と同様に、コイルの継ぎ目が無い第1の誘導加熱コイル27a単独で、ヒートローラ22の全長を加熱することから、従来コイルの継ぎ目を原因として生じていた、ヒートローラの温度ムラを防止できる。しかも、第1及び第2のコイル36a、36bが巻かれる中央部コア228aに、第1及び第2のコイル36a、36b間を磁気遮蔽する中間遮蔽材231a、231bにより相互誘導電流を防止している。この結果、相互誘導電流を原因とするインバータ回路50のノイズを防止出来、インバータ回路50側のノイズ対策を不要とし、コスト低減を得られる。又、相互誘導電流を原因とする熱損を防止し、ヒートローラ22の発熱効率を向上出来る。
更にこの実施例によれば、実施例1と同様に、従来の装置に比べてヒートローラ22の温度変動を小さくすることが出来、又、干渉音を発生することも無い。また、シート紙Pサイズにかかわらず、ヒートローラ22の長手方向の温度分布を一定に保つことが出来、ヒートローラ22端部の温度上昇による周辺装置への悪影響を防止でき、良好な定着性能を得ることが出来る。
次にこの発明の実施例4について図16を参照して説明する。この実施例4は上述した実施例1における、第1の誘導加熱コイルの形状が異なるものであり、他は実施例1と同様である。従ってこの実施例4にあっては、前述の実施例1で説明した構成と同一構成については同一符号を付してその詳細な説明を省略する。
この実施例は、ヒートローラ22を加熱するため、図16に示す、誘導加熱コイル327を用いる。誘導加熱コイル327はヒートローラ22と略同軸形状となっていて、ヒートローラ22全長を加熱する第1の誘導電流発生コイルである第4の誘導加熱コイル327aと、ヒートローラ22の中央領域を加熱する第5の誘導加熱コイル327bからなっている。第4の誘導加熱コイル327aは、領域[B]の横幅θに比べて、領域[A]の横幅ηを狭くする。第4の誘導加熱コイル327aの領域[A]の横幅ηを小さくすることにより、領域[A]にて誘導加熱コイル327が大型化されるのを防止する。
誘導加熱コイル327は、領域[A]にて、第5の誘導加熱コイル327bが、第4の誘導加熱コイル327aを跨いで、第4の誘導加熱コイル327aの外側に配置される。このため、第4の誘導加熱コイル327aの横幅が、長手方向全長に渡り均一であると、領域[A]では、第5の誘導加熱コイル327bを配置するスペースを横方向に広く確保しなければならない。このことから、第4の誘導加熱コイル327aの領域[A]の横幅ηを小さくすれば、第4の誘導加熱コイル327aを跨いで第5の誘導加熱コイル327bを配置しても、領域[A]における誘導加熱コイル327が大型化されるのを防止できる。
但し、第4の誘導加熱コイル327aの横幅を全長に渡り狭くすると、ヒートローラ22との磁気結合が弱くなり、第4の誘導加熱コイル327aの負荷抵抗が小さくなる。これにより、第4の誘導加熱コイル327aがヒートローラ22全体を加熱するための出力が小さくなってしまう。そこで第4の誘導加熱コイル327aは、第5の誘導加熱コイル327bの無い領域[B]では、コイルの横幅を広げる。即ち第4の誘導加熱コイル327aとヒートローラ22との磁気結合を強く出来、第4の誘導加熱コイル327aの負荷抵抗を大きくして、第4の誘導加熱コイル327aがヒートローラ22全体を加熱するための出力を大きくすることが出来る。
この結果、第4の誘導加熱コイル327aによるヒートローラ22の加熱効率を向上できる。一方、ヒートローラ22の両端部22aでは、ベアリング等の構造物により熱の逃げが大きくなり、ヒートローラ22の両端部22aでは、温度低下を生じやすい。しかしながら、第4の誘導加熱コイル327aの両端部22aを含む領域[B]では横幅が大きく、加熱出力が大きいことから、構造物による熱の逃げを補償でき、ヒートローラ22の両端部22aの温度低下の解消を図れる。
この実施例によれば、前述の実施例1と同様に、コイルの継ぎ目が無い第4の誘導加熱コイル327a単独で、ヒートローラ22の全長を加熱することから、従来コイルの継ぎ目を原因として生じていた、ヒートローラの温度ムラを防止できる。しかも、第4の誘導加熱コイル327aの領域[A]の横幅を領域[B]の横幅より小さくすることから、第4の誘導加熱コイル327aを跨いで第5の誘導加熱コイル327bを配置した際に、誘導加熱コイル327が大型化されるのを防止出来る。一方、第4の誘導加熱コイル327aの両側の領域[B]にあっては横幅を大きくすることから、第4の誘導加熱コイル327aによるヒートローラ22全体を加熱するための出力を大きく出来、且つヒートローラ22両端部22aの温度低下を防止出来る。
更にこの実施例によれば、実施例1と同様に、従来の装置に比べてヒートローラ22の温度変動を小さくすることが出来、干渉音を発生することも無い。また、シート紙Pサイズにかかわらず、ヒートローラ22の長手方向の温度分布を一定に保つことが出来、ヒートローラ22端部の温度上昇により周辺装置に悪影響を及ぼすことも無く、良好な定着性を得ることが出来る。
次にこの発明の実施例5について図17及び図18を参照して説明する。この実施例5は上述した実施例1における、第1の誘導加熱コイルおよび第2の誘導加熱コイルの特性を規制するものであり、他は実施例1と同様である。従ってこの実施例5にあっては、前述の実施例1で説明した構成と同一構成については同一符号を付してその詳細な説明を省略する。
この実施例は、ヒートローラ22を加熱するため、図17に示す、誘導加熱コイル427を用いる。誘導加熱コイル427はヒートローラ22と略同軸形状となっていて、ヒートローラ22全長を加熱する第1の誘導電流発生コイルである第6の誘導加熱コイル427aと、ヒートローラ22の中央領域を加熱する第2の誘導電流発生コイルである第7の誘導加熱コイル427bからなっている。
第6の誘導加熱コイル427aは、長さ320mm、横幅を50mmとする。第7の誘導加熱コイル427bは、長さ200mm、横幅を70mmとする。インバータ回路50の駆動周波数fが25kHzの場合の、第6の誘導加熱コイル427a及び第7の誘導加熱コイル427bのインダクタンスL及び負荷抵抗値RをLCRメータで測定したところ、図18に示す結果を得られた。
第6の誘導加熱コイル427aは、インダクタンス;L1=29μH、負荷抵抗値;R1=1.2Ωとなる。第7の誘導加熱コイル427bは、インダクタンス;L2=27μH、負荷抵抗値;R2=1.0Ωとなる。また磁束の結びつきを示す、インダクタンスと負荷抵抗値の比;L/R(μH/Ω)は、第6の誘導加熱コイル427aでは、L1/R1=24.2(μH/Ω)であるのに対し第7の誘導加熱コイル427bでは、L2/R2=27(μH/Ω)となる。即ち、L1/R1<L2/R2となる。
インダクタンスと負荷抵抗値の比;L/R(μH/Ω)は、小さいほうが、コイルの最大出力を大きく出すことが可能となる。即ち、第6の誘導加熱コイル427aの最大出力値は、第7の誘導加熱コイル427bの最大出力値より大きくなる。これにより第6の誘導加熱コイル427aは、第7の誘導加熱コイル427bに比べて、より高速でのウォームアップを実施できる。
電源電圧が100Vである本実施例においては、マシン全体で使用可能な最大出力を1500Wに限定されることから、定着装置11に供給可能な最大出力も限定される。例えば、定着装置11に供給可能な最大出力は、通紙時にあっては1000W、レディ時にあっては700Wとされる。但しウォームアップ時には、その高速化を図るために、定着装置11に供給可能な最大出力は1300Wとされる。
そして本実施例では、第7の誘導加熱コイル427bの駆動機会が通紙時のみであるのに対して、第6の誘導加熱コイル427aの駆動機会は、ウォームアップ時、レディ時、及び通紙時に渡ってある。このため、第6の誘導加熱コイル427aはウォームアップのために出力値1300Wを要求される。
以上のことから本実施例では、第6の誘導加熱コイル427aの出力範囲は700〜1300Wに設定され、第7の誘導加熱コイル427bの出力範囲は700〜1000Wに設定される。
又、第6の誘導加熱コイル427aと第7の誘導加熱コイル427bとでは、最大出力及び出力範囲が異なることから、ヒートローラ22との磁気結合が異なっていても良い。即ち、最大出力及び出力範囲が小さい第7の誘導加熱コイル427bでは、ヒートローラ22との磁気結合を小さくしても良い。従って、第7の誘導加熱コイル427bでは、コイルの内側ギャップλを小さく出来、また電線のターン数を減らすことが可能となり、小型化に寄与することとなる。
この実施例によれば、前述の実施例1と同様に、コイルの継ぎ目が無い第6の誘導加熱コイル427a単独で、ヒートローラ22全長を加熱することから、従来コイルの継ぎ目を原因として生じていた、ヒートローラの温度ムラを防止できる。しかも、第6の誘導加熱コイル427aと第7の誘導加熱コイル427bとで、L1/R1<L2/R2とすることにより、ヒートローラ22の全長を加熱する第6の誘導加熱コイル427aの最大出力値を1300Wにすることが出来、ウォームアップタイムの短縮を図れる。また、第6の誘導加熱コイル427aと第7の誘導加熱コイル427bとで磁気結合を変えて、第7の誘導加熱コイル427bの磁気結合を小さくすることにより、その小型化を得られる。
更にこの実施例によれば、実施例1と同様に、従来の装置に比べてヒートローラ22の温度変動を小さくすることが出来、干渉音を発生することも無い。また、シート紙Pサイズにかかわらず、ヒートローラ22の長手方向の温度分布を一定に保つことが出来、ヒートローラ22端部の温度上昇により周辺装置に悪影響を及ぼすことも無く、良好な定着性を得ることが出来る。
次にこの発明の実施例6について図19及び図20を参照して説明する。この実施例6は上述した実施例1におけるプレスローラに加熱源を設けるものであり、他は実施例1と同様である。従ってこの実施例6にあっては、前述の実施例1で説明した構成と同一構成については同一符号を付してその詳細な説明を省略する。
この実施例は、図19及び図20に示すように、定着装置611のプレスローラ23内に、加熱源であり、ハロゲンランプからなる第1のランプ70及び第2のランプ71を有する。第1のランプ70及び第2のランプ71は、電源として、専用電池を用いる。これにより第1のランプ70及び第2のランプ71は、第1の誘導加熱コイル27a及び第2の誘導加熱コイル27bの駆動電力に影響を及ぼすことが無い。
第1のランプ70の加熱領域は、例えばJIS規格のB4縦サイズの幅(257mm)とされる。即ち第1のランプ70の加熱領域は、第1の誘導加熱コイル27aの加熱領域と第2の誘導加熱コイル27bの加熱領域(領域[A])の間となっている。第2のランプ71の加熱領域は、A4横サイズの幅(297mm)とされる。
ウォームアップ時にあっては、第1の誘導加熱コイル27aを駆動すると共に第2のランプ71を点灯する。これにより、ウォームアップタイムを更に短縮する。また、定着時にシート紙Pサイズが、例えばB4縦サイズであれば、第1の誘導加熱コイル27a及び第2の誘導加熱コイル27bを図8のフローチャートに従い制御すると共に、第1のランプ70を点灯する。これにより、第1の誘導加熱コイル27aの加熱領域と第2の誘導加熱コイル27bの加熱領域(領域[A])の間のシート紙Pサイズの定着時においても、ヒートローラ22の長手方向の温度分布の均一化を図ることが出来る。尚、第1のランプ70及び第2のランプ71は専用の電池を用いることなく、100Vの商用電源を用いて駆動しても良い。また、第1のランプ70及び第2のランプ71の加熱領域も限定されず、第1の誘導加熱コイル27aと第2の誘導加熱コイル27bとの間の、レターサイズ縦(215.9×279.4mm)、或いはタブロイドサイズ縦(279.4×431.8mm)等であっても良い。
この実施例によれば、前述の実施例1と同様に、従来、コイルの継ぎ目を原因として生じていた、ヒートローラの温度ムラを防止できる。しかも、プレスローラ23側に第1のランプ70及び第2のランプ71を設けることにより、ウォームアップタイムを更に短縮することが出来る。又第1の誘導加熱コイル27aの加熱領域と第2の誘導加熱コイル27bの加熱領域の中間サイズのシート紙Pの定着操作を行う場合であっても、ヒートローラ22の長手方向の温度分布の均一化を得ることが出来る。更に第1のランプ70及び第2のランプ71を、専用電池を用いてON−OFF制御することにより、第1の誘導加熱コイル27a及び第2の誘導加熱コイル27bの駆動電力に影響を及ぼすことが無い。
更にこの実施例によれば、実施例1と同様に、従来の装置に比べてヒートローラ22の温度変動を小さくすることが出来、干渉音を発生することも無い。また、シート紙Pサイズにかかわらず、ヒートローラ22の長手方向の温度分布を一定に保つことが出来、ヒートローラ22端部の温度上昇により周辺装置に悪影響を及ぼすことも無く、良好な定着性を得ることが出来る。
尚この発明は、上記実施例に限られるものではなく、この発明の範囲内で種々変更可能であり、例えばエンドレスの加熱部材は、定着ベルトであっても良いし、第1の誘導加熱コイルあるいは第2の誘導加熱コイルの形状や特性等限定されない。更に第1の誘導加熱コイルあるいは第2の誘導加熱コイルのサイズや配置も限定されず、例えばサイドパスの画像形成装置においては、第2の誘導加熱コイルは、第1の誘導加熱コイルの両側ではなく、一端部側に配置することとなる。
この発明の実施例1の画像形成装置を示す概略構成図である。 この発明の実施例1の定着装置を示す概略構成図である。 この発明の実施例1の誘導加熱コイルを示す概略平面図である。 この発明の実施例1の誘導加熱コイルを示す概略側面図である。 この発明の実施例1の誘導加熱コイルの磁性体コアを除いた状態を示す概略平面図である。 この発明の実施例1の誘導加熱コイルの磁性体コアを除いた状態を示す概略側面図である。 この発明の実施例1の制御系を示す概略ブロック図である。 この発明の実施例1の誘導加熱コイルの温度制御を示すフローチャートである。 この発明の実施例2の誘導加熱コイルを示す概略平面図である。 この発明の実施例2の誘導加熱コイルを示す概略側面図である。 この発明の実施例2の第3の誘導加熱コイルを示す概略平面図である。 この発明の実施例2の第3の誘導加熱コイルを示す概略側面図である。 この発明の実施例3の誘導加熱コイルを示す概略平面図である。 この発明の実施例3の側部コアを示す概略説明図である。 この発明の実施例3の中央部コアを示す概略説明図である。 この発明の実施例4の誘導加熱コイルの磁性体コアを除いた状態を示す概略上面図である。 この発明の実施例5の誘導加熱コイルを示す概略平面図である。 この発明の実施例5の第1の誘導加熱コイル及び第2の誘導加熱コイルの特性を示す表である。 この発明の実施例6の定着装置を示す概略構成図である。 この発明の実施例6の誘導加熱コイルとプレスローラ側のランプの配置を示す概略平面図である。
符号の説明
1…画像形成装置
10…画像形成ユニット
10a…転写ベルト
11…定着装置
22…ヒートローラ
23…プレスローラ
27…誘導加熱コイル
27a…第1の誘導加熱コイル
27b…第2の誘導加熱コイル
28…磁性体コア
33a…第1のサーミスタ
33b…第2のサーミスタ
36a…第1のコイル
36b…第2のコイル
50…インバータ回路

Claims (6)

  1. 金属導電層を有するエンドレスの加熱部材と、
    前記加熱部材の外周に配置され、前記加熱部材の回転軸方向の全長に渡り、前記金属導電層に誘導電流を発生させる第1の誘導電流発生コイルと、
    前記加熱部材の外周に配置され、前記加熱部材までの距離が前記第1の誘導電流発生コイルから前記加熱部材までの距離とほぼ同じであり、前記第1の誘導電流発生コイルの外側に配置されて、前記加熱部材の回転軸方向の一部にて、前記金属導電層に誘導電流を発生させる第2の誘導電流発生コイルと、
    前記第1の誘導電流発生コイルあるいは前記第2の誘導電流発生コイルを切り換えて駆動可能である制御部材とを具備することを特徴とする誘導加熱定着装置。
  2. 金属導電層を有するエンドレスの加熱部材と、
    前記加熱部材の外周に配置され、前記加熱部材の回転軸方向の全長に渡り、前記金属導電層に誘導電流を発生させ、前記加熱部材の回転軸方向の一部のコイル幅が狭く形成される第1の誘導電流発生コイルと、
    前記加熱部材の外周に配置され、前記第1の誘導電流発生コイルの前記コイル幅が狭く形成される前記加熱部材の回転軸方向の一部にて、前記金属導電層に誘導電流を発生させる第2の誘導電流発生コイルと、
    前記第1の誘導電流発生コイルあるいは前記第2の誘導電流発生コイルを切り換えて駆動可能である制御部材とを具備することを特徴とする誘導加熱定着装置。
  3. 前記第1の誘導電流発生コイルの電線のターン数は、前記第2の誘導電流発生コイルの電線のターン数より少ないことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の誘導加熱定着装置。
  4. 前記第1の誘導電流発生コイルのインダクタンスをL1、負荷抵抗値をR1とし、前記第2の誘導電流発生コイルのインダクタンスをL2、負荷抵抗値をR2としたとき、L1/R1<L2/R2であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の誘導加熱定着装置。
  5. 前記第1の誘導電流発生コイルは第1のコアを有し、前記第2の誘導電流発生コイルは第2のコアを有し、前記第2のコアは、前記第1のコアの一部を兼用することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の誘導加熱定着装置。
  6. 前記第1の誘導電流発生コイルと前記第2の誘導電流発生コイルとの間に遮蔽材を有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の誘導加熱定着装置。
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