JP2013117433A - 多層フィルムの均質性の検査方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】多層フィルムについて、簡易的に、かつ、広範囲にその多層構造を確認し、多層フィルムが製品内及び製品間で均質に製造されているか否かを検査する非破壊的な検査方法を提供する。
【解決手段】少なくとも複数種の層を含む2層以上の多層構造を有する多層フィルムの複数箇所及び/または複数の該多層フィルムのそれぞれに、特定波長の光を照射し、前記特定波長の光の透過率を測定することで、多層フィルムの均質性を検査する。
【選択図】図1

Description

本発明は、多層構造を有するフィルムについて、その均質性を検査する方法に関する。
従来より、空気入りタイヤには、タイヤの内圧を保持するための空気バリア層として、タイヤ内面にインナーライナーが配置されている。インナーライナーとしては、ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴム等のゴム組成物が使用されている。しかし、これらのゴム組成物は空気バリア性が高くないために、タイヤ内圧を維持するためには、1mm程度の厚みを要する、という問題があった。そのため、タイヤに占めるインナーライナーの重量が約5%と高くなり、タイヤの製造コストが増大すると共に、タイヤの重量を軽減化して、燃費を向上させる上で障害となっていた。
一方、その優れたガスバリア性より、エチレン−ビニルアルコール共重合体(以下、「EVOH」とする)をインナーライナーとして使用することが提案されている。EVOHを使用することで、インナーライナー層の厚みを低減させることができ、それにより、タイヤの重量を軽減させることが可能である(特許文献1)。しかし、EVOHはタイヤに通常用いられているゴム組成物と比して、弾性率が大幅に低いため、インナーライナーとして使用した場合、屈曲時の変形で破断したり、クラックが生じたりするおそれがある。
上述のクラックの問題を解決するために、例えば、EVOH等の樹脂フィルムからなるバリア層(樹脂フィルム層)と、ポリウレタンゴム(TPU)等のゴムからなる補助層(ゴム層)とを積層したインナーライナーが知られている(例えば、特許文献2)。
このように、近年のタイヤのインナーライナーとしては、空気バリア性能と耐クラック性を保持させるために、複数種の層を積層した多層フィルムを使用することが知られている。その際、上記のように、耐クラック性を保持するためには、各層の、特に補助層の厚みを一定とすることが重要であり、製造時に製品内及び製品間で層の厚みにバラつきが出ないよう、その層構造を検査、管理する必要がある。
多層フィルムの各層の厚みを検査する方法としては、例えば、断面拡大観察、X線分析が挙げられる。しかし、断面拡大観察は破壊検査となりインラインでの検査ができず、広範な範囲を検査するためには工数がかかりすぎる欠点があった。また、X線分析を実施するには、機器の搬入、安全対策やメンテナンスに多大なコストがかかる、という問題がある。フィルムや薄層の検査方法としては、特許文献3,4のように、フィルム表面に波長300〜400nm程度の紫外光を照射し、その反射光を検出することで、フィルム最上層の欠損、欠陥の有無を調査する方法が知られている。しかし、これらの方法によると、フィルム最上層の欠陥を検出するのみであり、特許文献2に示すようなインナーライナーの多層構造の状態を検査することはできない。
特開平6−40207号公報 特開2007−276632号公報 特開2009−133725号公報 特開2006−38728号公報
T. Kazmierczak, et al., "Polymeric One-Dimensional Photonic Crystals by Continuous Coextrusion", Macromol. Rapid Commun. 2007, 28, 2210-2216
本発明の目的は、多層フィルムについて、簡易的にその多層構造を確認し、多層フィルムが製品内及び製品間で厚み等が均質に製造されているか否かを検査する非破壊的な検査方法を提供することにある。
非特許文献1には、規則的な多層構造に光を照射すると、ブラッグ反射(Bragg Reflection)様の反射(以下、単に「反射」とする)により特定波長の光のみが反射される、という現象が示されている。本発明者らは、この原理を利用し、多層フィルムについて、特定波長の光を照射し、その透過光の特性より、多層フィルムの多層構造の均質性を検査する方法を見出すに至った。なお、本発明でいう「光」とは、紫外・可視・近赤外の範囲の光、具体的には波長100nm−2000nmの範囲の電磁波を指すものとする。
即ち、本発明は、少なくとも複数種の層を含む2層以上の多層構造を有する多層フィルムの複数箇所及び/または複数の該多層フィルムのそれぞれに、特定波長の光を照射し、前記特定波長の光の透過率を測定する、ことを特徴とする多層フィルムの均質性の検査方法を提供するものである。多層フィルムの多地点において本発明に基づく検査を行うことで、フィルム上の広範囲の均質性を保つことができ、また、製品間で同様の検査を行うことで、製品間の均質性も維持することができる。なお、本発明の「特定波長」は特に限定されるものではないが、後述のように、検査対象と同種の多層フィルムにおいて最も透過率が低くなる波長等とすることが、測定精度を一定以上に保つ上で好ましい。
多層フィルムの検査は、特定波長のみの検査ではなく、特定の波長範囲の透過スペクトルの測定によって行われてもよい。一波長の透過率測定よりも透過スペクトルの測定の方が、煩雑であるし、時間を要するものとなるが、より精度の高い検査が可能である。なお、本発明の「特定の波長範囲」は、波長100nm〜2000nmの紫外・可視・近赤外の光の範囲内で設定することが好ましいが、前記範囲の少なくとも一部を含み、かつ2000nm超または100nm未満の範囲を含んでいてもよい。
前記、透過率・特定波長領域を利用した検査は、逆に反射率・特定反射波長領域の測定によって行われてもよい。これは検出器を光源と同じ側に置くか、逆側に置くかの違いである。この特徴は装置の自由度をあげることから、場所が限られた生産ラインへの導入で重要な点となる。
前記多層フィルムにおいて、反射を効率的に生じ、透過率を下げるためには、多層構造が、異なる屈折率を有する複数種の層よりなり、少なくとも5層以上よりなり、かつ繰り返し積層構造を有することが好ましい。前述の反射は、互いに光に対する挙動の異なる(屈折率の異なる)層の境界に由来して生じると推測されるためである。なお、本発明における「屈折率」とは、特に明示のない限り、ナトリウムのD線(589.3nm)に対する屈折率を指すものとする。
また、前記複数種の層が、それぞれ異なる屈折率を有する高分子材料を有することが好ましい。本発明の方法の適用対象の一つとして想定される、例えばタイヤのインナーライナー等に求められる、高いバリア性と耐クラック性を両立する材料は、いずれも高分子材料に多く存在するためである。
前記複数種の層は、互いに隣接する層間の屈折率の差異が、0.01以上であることが好ましい。屈折率に十分な差異があれば、反射が十分に起こりやすいからである。
前記特定波長は、例えば、予め同種の多層フィルム(基準品)について、透過スペクトルを測定し、一定以上の反射を呈する(透過率が一定以下となる)特定の波長、例えば最低透過率を呈する波長とすることができる。また、当該波長における基準品の透過率を見出し、これを基に、例えば当該透過率を含む一定範囲として基準透過率範囲を決定することができる。これにより、例えば、試料(製品)の透過率が基準透過率範囲にあれば、その多層構造が基準品と同質である、と判断することができる。
前記基準品の特定波長における透過率は、60%以下であることが好ましい。即ち、特定波長は、透過スペクトルにおいて、十分な反射が見られる波長とすることが、測定精度を高める上で好ましい。
前記多層フィルムを構成する層のうち、少なくとも1層は空気バリア性に優れた層であることが好ましい。特にタイヤのインナーライナー等に使用される多層フィルムは、その空気バリア性の高さが求められるからであり、具体的には、20℃、65%RHでの空気透過係数が、9×10-9cm3・cm/cm2・sec・cmHg以下の高分子材料を含むことが好ましい。
本発明の方法が適用される対象の多層フィルムとしては、タイヤのインナーライナーが想定される。しかし、これには限定されず、ホースへの多層フィルムの適用が可能である。
本発明の検査方法によれば、非破壊的な手段により、簡易に多層フィルムの均質性の検査が可能となる。
多層フィルムのインライン検査装置の一例を示す概略図である。 多層フィルムのインライン検査装置の他の例を示す概略図である。 多層フィルムのインライン検査装置の他の例を示す概略図である。
<多層フィルム>
本発明における検査方法の適用対象として好ましい多層フィルムについて、下記に例示しながら説明する。下記の説明は、あくまで例示であり、対象の多層フィルムの素材、用途及び特性について、限定するものではない。
多層フィルムを構成する材料としては、高分子材料を好適に使用できる。具体的には、EVOH、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタラート、ポリエステル、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、ナイロン、ABS、ポリカーボネート、ポリエーテルイミド、テフロン(登録商標)等の樹脂シート、天然ゴム、水素化天然ゴム、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ウレタンゴム、クロロプレンゴム、ニトリルゴム等のゴムシート、および熱可塑性ウレタン系エラストマー等のエラストマーシート、並びにこれらの混合物をいずれも使用可能である。これら高分子材料は単体でも適用可能であり、さらに可塑剤、有機充填剤、無機充填剤など添加材を添加した混合物でも使用可能である。
ところで、多層フィルムの多くは、空気バリア性と可撓性の両方の特性を兼ね備えることが求められる。多層フィルムを製造するにあたって、十分な気密性を保持するため、多層構造を構成する層のうち、少なくとも1層は気密性の高分子材料を使用することが好ましい(バリア層)。このような、空気透過性の低い、すなわち空気バリア性の高い高分子樹脂としては、特にEVOH、ポリアミドを好適に使用することができる。バリア層の空気透過係数は、9×10-9cm3・cm/cm2・sec・cmHg以下、特に5×10-9cm3・cm/cm2・sec・cmHg以下、さらに3×10-9cm3・cm/cm2・sec・cmHg以下であることが好ましい。
多層フィルムのバリア層を補強し、耐クラック性を高める効果を奏する補助層としては、可撓性の高い高分子材料を使用することが好ましい。このような可撓性を有する高分子材料としては、特に熱可塑性ウレタン系エラストマー、ポリアミドエラストマー、ポリオレフィンエラストマー、ポリ塩化ビニルエラストマー、ポリ塩化ビニリデンエラストマー、ポリエステルエラストマー等のエラストマーシート、若しくは、ブチル系ゴム、天然ゴム、ポリブタジエンゴム等のゴムシート、またはこれらの混合物を好適に使用できる。これら高分子材料は単体でも適用可能であり、さらに可塑剤、有機充填剤、無機充填剤など添加材を添加した混合物でも使用可能である。
多層フィルムは、少なくともバリア層及び補助層を1層ずつ配した積層構造を有することが好ましい。特に、バリア層、補助層をそれぞれ1層以上含む、5層以上の積層構造であることが好ましい。さらには、複数種の層(バリア層、補助層)が規則的な繰り返し構造となるように積層されていることが好ましい。積層の規則性により、反射が起こりやすくなるためである。
前記複数種の層について、各層間では、構成する高分子材料を屈折率の異なるものとすることが好ましく、特に、互いに隣接する2層の屈折率の差異が、0.01以上、特に0.015以上、さらには0.02以上であることが好ましい。光に対する挙動について、層間に差異がなければ、反射、ひいては透過率の低下が観察されにくくなるためである。
多層フィルムは、2種類の層が交互に積層されている構造であると、特に反射が生じやすく好ましい。即ち、2種類の層A,Bで構成する場合、A−(B−A)n(n:自然数(1,2,3・・・))で表される積層構造とすることが好ましい。特に、nを2以上の自然数とすることが好ましい。
全厚が、1000μm以下、特に10〜500μm、さらには20〜300μmの多層フィルムが、本発明の検査対象として好適である。多層フィルムが厚すぎれば、全波長において透過率が低くなってしまい、即ち、透過スペクトルのベースラインが下がってしまうため、透過率が低くなるピーク(以下、単に「ピーク」という)が検出されにくくなってしまうからである。
前述の通り、多層フィルムは5層以上の層を積層した構造であることが好ましい。そこで、1層あたりの厚さは、0.1〜100μm、特に0.01〜50μm、さらには0.02〜30μmとすることが好ましい。例えば、タイヤのインナーライナーとして使用する多層フィルムの場合においては、空気バリア性と耐クラック性の両立を考慮し、バリア層を0.01〜50μm、特に0.01〜30μm、さらには0.01〜10μmとすることが好ましく、補助層を0.01〜500μm、特に0.1〜200μm、さらには0.1〜100μmとすることが好ましい。
多層フィルムは、その100〜2000nmの透過スペクトルにおいて、透過率が60%以下、特に55%以下、さらに50%以下となるピークを少なくとも1つ有することが好ましい。十分な光反射を得られない構造の多層フィルムであっては、検査精度が維持できないためである。なお、最低透過率が60%以下の多層フィルムは、当該多層フィルムの諸特性に悪影響を与えない範囲で、材料、屈折率差、厚み、多層構造を前述のように適切化することで取得可能なものである。
<検査装置>
検査対象となる多層フィルムの照射光に対する挙動は、例えば分光光度計により検出、測定することが可能である。分光光度計は、固体試料の透過率の測定が可能であり、測定可能な波長が、100〜2000nm、特に200〜1600(重水素+ハロゲン光源)、さらには350〜1600nm(ハロゲン光源)の、紫外可視近赤外分光光度計を選択することが好ましい。
例えばタイヤのインナーライナー等の大型の製品を非破壊的に検査するためには、試料室を備えた分光光度計よりも、インライン設置型の分光光度計の使用が好ましい。具体的には、図1に例示するように、製造ライン上の多層フィルム1に略垂直に光L1を照射する照射光源2、前記多層フィルム1を挟んで反対側に設置され、透過光L2を検出するように構成された検出プローブ3、および照射光源から照射される光L1の波長・強度の調整と、検出された光L2の解析とを行う制御部4を有するものを使用できる。なお、各装置の配置は、図1の構成に限定されず、例えば、図2に示されるように、照射光源2からの光L3は、多層フィルム1に対して、入射角θ1を有するように照射し、透過光L4を検出プローブ3で検出してもよい。また、図3に示すように、照射光源と検出プローブを一体化した光学プローブ5を、多層プローブの片面側に配してもよい。この場合、照射光L5を該垂直に多層プローブに照射することで、該垂直に反射した反射光L6を光学プローブ5で検出し、該反射光の光度より、制御部4において透過率を算出することができる。なお、図示例では、照射光源及び検出プローブは、それぞれ1組のみ記載されているが、多層フィルム上の多箇所での測定を可能とするため、複数組を配してもよい。また、1組のプローブを連続的又は断続的に移動させるか、固定した1組のプローブに対して多層フィルムを連続的または断続的に移動させることで、多層フィルム上の多箇所での測定が可能な構成としてもよい。
上記の検査装置は、好ましくは、暗所に設置する、または多層フィルム1の被照射部位、照射光源2、検出プローブ3を囲繞する遮光ボックス(図示せず)を設ける等の手段により、外部の光による干渉を受けない状態とすることが好ましい。
照射光源2としては、重水素ランプ、ハロゲンランプ、キセノンランプ、水銀キセノンランプ、LED、赤外光レーザー、可視光レーザー等をいずれも使用可能であり、これらを単独で、または組み合わせて使用することができる。
検出プローブ3としては、CCDカメラ、光電子増倍管、フォトダイオードアレイ、近赤外リニアイメージセンサ等が使用可能であるが、特に小型で軽量のCCDカメラ、フォトダイオードアレイが、インラインでの使用に適している。
制御部4は、図1に示すように、独立して検出結果を解析し、独自に配されたディスプレイ6に表示する形態であってもよく、汎用のコンピューター及びディスプレイに接続して、解析・表示する形態であってもよい。
<検査方法>
以下に、上記の多層フィルムを、上記の検査装置を用いて検査する方法を例示する。なお、下記の例示は、検査方法の理解のための記載であり、本発明は下記の検査方法のみに限定されるものではない。
〔検査方法1:特定波長透過率の測定による検査方法〕
まず、検査対象の多層フィルムについて、同種の基準多層フィルム(基準品)を準備する。基準品は、例えば10×10mm程度の小片であってもよく、断面観察、X線分析等で、所望の積層構造を有することが予め確認されているものが好ましい。図1〜3の検査装置のいずれか、または試料室を備えた分光光度計を用いて、基準品の透過スペクトルを計測する。なお、試料室を備えた分光光度計を用いれば、より精度の高い透過スペクトルを取得できるが、この場合、実際の検査に用いる装置とは異なる装置での測定となるため、測定波長の装置間差を減じることに留意する必要がる。透過スペクトルの波長範囲は、100〜2000nm、特に200〜1600(重水素+ハロゲン光源)、さらには350〜1600nm(ハロゲン光源)とすることが好ましい。得られた基準品の透過スペクトルより、透過率が最も低くなる、ピーク波長を検出する。好適には、このピーク波長を「特定波長」として、後述の製品における検査の照射光の波長として利用できる。
次いで、基準品を用いて、基準透過率範囲を決定する。実際に製品検査に用いる吸光光度計を用いて、特定波長の光について、基準品の透過率を測定する。このとき、基準品の透過率は、60%以下、特に55%以下、さらには50%以下であることが好ましい。測定した基準品の透過率T(%)に基づき、製品の透過率tの基準透過率範囲を設定する。具体的には、t(%)=T(%)±20%、より好ましくはt=T±15%、さらに好ましくはt=T±10%を基準透過率範囲として設定することができる。製品の透過率が、基準透過率範囲内であれば、基準品と同質の多層構造を有するものとして「適」、範囲外であれば「不適」と判定することができる。これを多数箇所及び/または多数製品間で行うことにより、製品の均質性の検査が可能となる。
〔検査方法2:透過スペクトルの測定による検査方法〕
検査方法1と同様に、基準品を準備する。基準品の透過スペクトルを、製品検査を用いる吸光光度計を用いて測定する。同様に、製品についても透過スペクトルを測定し、得られた透過スペクトルについて、基準品の透過スペクトルとのピーク波長の差異、透過率の差異の両方を比較する。具体的には、製品のピーク波長wlについては、基準品のピーク波長WLに対して、wl(nm)=WL(nm)±100nm、より好ましくはwl(nm)=WL(nm)±90nm、さらに好ましくはwl(nm)=WL(nm)±80nmを基準ピーク範囲と設定することができる。また、製品の最低透過率tminについては、基準品の最低透過率をTminとして、tmin(%)=Tmin(%)±20%、より好ましくはtmin=Tmin±15%、さらに好ましくはtmin=Tmin±10%を基準透過率範囲として設定することができる。以上より、製品のピーク波長及び透過率が基準範囲内であれば、製品を「適」と判断することができる。これを多数箇所及び/または多数製品間で行うことにより、製品の均質性の検査が可能となる。
検査方法2は、被検査製品についても透過スペクトルを測定することを要するため、検査方法1と比して煩雑であるが、ピークの比較観察が可能であり、より精度の高い検査が可能である、という利点を有する。
〔多層フィルムの製造〕
多層フィルムの実施例として、タイヤのインナーライナーとして使用可能な多層フィルムを使用した。ここで使用されるインナーライナーは下記のように製造されたものである。
(1)エラストマーペレットの製造
1,4−ブタンジオールとアジピン酸とを反応させることによって得られた1分子あたりの水酸基数が2.0であり、数平均分子量が1,000であるポリエステルジオール68.8質量%、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート27.5質量%、及び、1,4−ブタンジオール3.7質量%の混合物を、多軸スクリュー型押出機(ダイス温度260℃)で20分間溶融混練することによって、熱可塑性ポリウレタン樹脂を製造した。この熱可塑性ポリウレタン樹脂を、エラストマーペレットとして用いた。
(2)バリア層形成用ペレットの製造
冷却装置及び揖梓機を有する重合槽に酢酸ビニル20,000質量部、メタノール2000質量部、重合開始剤として2,2’−アゾビス−(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)10質量部を仕込み、撹拌しながら窒素置換後、エチレンを導入、内温60℃、エチレン圧力45kg/cm2に調節し、4時間、その温度及び圧力を保持、揖梓し重合させた。次いで、ソルビン酸10質量部(仕込み酢酸ビニルに対して0.05質量%)をメタノールに溶解し、1.5質量%溶液にして添加した。重合率は、仕込み酢酸ピニルに対して45%であった。この共重合反応液を追出に供給し、塔下部からのメタノール蒸気の導入により未反応酢酸ビニルを塔頂より除去した後、この共重合体の40のメタノール溶液を得た。
この共重合体のメタノール溶液をケン化反応器に導入し、次いで水酸化ナトリウム/メタノール溶液(85g/L)を共重合体中の酢酸ビニル成分に対して0.5当量となるように添加し、更にメタノールを添加して共重合体濃度が15質量%になるように調整した。反応器内温度を60℃に昇温し、反応器内に窒素ガスを吹き込みながら5時間反応させた。その後、酢酸で中和し反応を停止させ内容物を反応器より取り出し、常温に放置し粒子状に析出した。析出後の粒子を遠心分離機で、脱液しさらに大量の水を加え脱液する操作を繰り返し、ケン化度99.5%のEVOH(密度:1.19g/cm3)を得た。
得られたEVOHを酢酸、酢酸ナトリウム、リン酸水素ナトリウム及びオルトホウ酸を含む水溶液(水溶液1L中、酢酸0.3g、酢酸ナトリウム0.2g、リン酸水素ナトリウム0.05g、オルトホウ酸0.35g溶解)を用い、浴比20で処理し、乾燥後、押出機にてペレット化し、バリア層形成用ペレットを得た。
(3)多層フィルムの製造
エラストマーペレット及びバリア層用ペレットは、それぞれのペレットを構成する樹脂組成物によって交互にエラストマー層が17層及びバリア層が16層の多層構造体(インナーライナー)が形成されるように、フィードブロックにて共押出機に210℃の溶融状態として供給し、共押出を行い合流させることによって、多層積層体(インナーライナー)とした。合流する2つのペレットの溶融物は、フィードブロック内にて各層流路を表面側から中央側に向かうにつれ徐々に厚くなるように変化させることにより、押出された多層構造体の各層の厚みが均一になるように押出された。このようにして得られた計33層からなる積層体を、表面温度25℃に保たれ静電印加したキャスティングドラム上で急冷固化した。急冷固化して得られたキャストフィルムを離型紙上に圧着し巻取りを行った。なお、2つのペレットの溶融物が合流してからキャスティングドラム上で急冷固化されるまでの時間が約4分となるように流路形状及び総吐出量を設定した。上記の製造方法により、幅30cm、長さ10m、厚さ約50μmの多層フィルムを得た。
上記の製造方法により、多層フィルムは、エラストマー層―バリア層−エラストマー層−バリア層―・・・・・−バリア層−エラストマー層の計33層の多層構造を有し、各層の厚さは、それぞれバリア層が0.5μm、エラストマー層が2μm(理論値)となるようにした。
〔透過スペクトルの測定〕
上記の多層フィルムについて、ある長手位置で幅方向に外側から6cmおきに20mm×20mmの小片を切り出し、計3枚の小片(試験片1〜3)を得た。また、別途製造した2枚のフィルム(フィルム2、フィルム3)について、同様にそれぞれ小片3枚を切り出した(試験片4〜6、試験片7〜9)。合計9枚の小片について、以下の条件で透過スペクトルの測定を行った。
・装置:吸光光度計(島津製作所社製、品番UV2400)
・光源:重水素・タングステンランプ
〔断面観察〕
フィルム片1〜3の試験片1〜9について、側端面をSEM(Keyence社製、VE8800)を用いて拡大観察した。側端面観察(製品の断面観察)により、試験片1は、製品として適した均質な多層構造を有することを確認した。試験片1の側端面拡大観察結果を基準として、試験片2〜9について、その側端面拡大観察の結果を下記のように評価した。
○:試験片1と同質の多層構造を有する。
△:試験片1と比して、1〜2層の厚みがわずかに異なるが、それ以外は同質の多層構造を有する
×:試験片1と比して、3層以上の厚みが異なる、または1〜2層の厚みが大きく異なる。
〔試験結果〕
試験片は720nm付近に特徴的な吸収を示したことから、720nm付近の最小透過率を測定した。フィルム1(試験片2,3)は透過率が40〜48%となり、側端面拡大観察結果がすべて○となった。フィルム2(試験片4〜6)は透過率が60%以上であり、×から△となった。フィルム3(試験片7〜9)は透過率が55〜60%となり、△〜○となった。
Figure 2013117433
以上の結果より、多層フィルムにおいて、その多層構造が基準品と同質であるか否かを、特定波長の透過率、または透過スペクトルによって判定可能であることが判明した。
本発明は、タイヤのインナーライナーに使用される多層フィルムのみならず、ホース、食品用パッケージ、住宅用壁紙等に使用される多層フィルムにおいて、その多層構造の質を均質に保つために適用可能である。
1…多層フィルム、2…照射光源、3…検出プローブ、4…制御部、5…一体型光学プローブ。

Claims (10)

  1. 少なくとも複数種の層を含む2層以上の多層構造を有する多層フィルムの複数箇所及び/または複数の該多層フィルムのそれぞれに、特定波長の光を照射し、前記特定波長の光の透過率を測定することを特徴とする、多層フィルムの均質性の検査方法。
  2. 少なくとも複数種の層を含む2層以上の多層構造を有する多層フィルムの複数箇所及び/または複数の該多層フィルムのそれぞれに光を照射し、特定の波長範囲の透過スペクトルを測定することを特徴とする、多層フィルムの均質性の検査方法。
  3. 前記多層フィルムを構成する多層構造が、少なくとも5層以上よりなり、互いに異なる屈折率を有する複数種の層の繰り返し積層構造を有する、請求項1または2に記載の多層フィルムの均質性の検査方法。
  4. 前記多層フィルムを構成する複数種の層が、それぞれ異なる屈折率を有する高分子材料を有する、請求項3記載の多層フィルムの均質性の検査方法。
  5. 前記多層フィルムの、互いに隣接する層間の屈折率の差異が0.01以上である、請求項3または4に記載の多層フィルムの均質性の検査方法。
  6. 予め前記多層フィルムと同種の基準品の透過スペクトルを測定し、該透過スペクトルで透過率が一定以下となる特定の波長を前記特定波長とする、請求項1に記載の多層フィルムの均質性の検査方法。
  7. 予め前記基準品の特定波長における透過率に基づいて基準透過率範囲を決定する、請求項6記載の多層フィルムの均質性の検査方法。
  8. 前記基準品の特定波長における透過率が60%以下である、請求項7記載の多層フィルムの均質性の検査方法。
  9. 前記多層フィルムを構成する層のうち、少なくとも1層は空気バリア性に優れたバリア層であり、前記バリア層は、20℃、65%RHでの空気透過係数が、9×10-9cm3・cm/cm2・sec・cmHg以下の高分子材料を含む、請求項1〜8のいずれか1項に記載の多層フィルムの均質性の検査方法。
  10. 前記多層フィルムがタイヤの内面に配置するインナーライナーである、請求項1〜9のいずれか1項に記載の多層フィルムの均質性の検査方法。
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