JP2013117314A - 電磁比例制御弁 - Google Patents

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秀樹 土屋
Takaharu Miya
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Abstract

【課題】励磁電流に応じて作動流体の流量を的確に制御できる電磁比例制御弁を提供すること。
【解決手段】スリーブ30に対してシャフト20の外周面20aを摺動可能に支持する第一軸受70と、スリーブ30に対してプランジャ60の外周面60bを摺動可能に支持する第二軸受75とを備え、スリーブ30は、圧力源側に連通するバルブ入口ポート18と、負荷側に連通するバルブ出口ポート16と、このバルブ出口ポート16が開口するシート部29と、を有し、ソレノイド15は、樹脂製のボビン50と、このボビン50に巻かれたコイル52と、このコイル52を収容するコイルケース10と、このコイルケース10とコイル52の間に充填して固化されるモールド樹脂54と、を備え、モールド樹脂54は、ボビン50より融点の高い樹脂を成型して形成され、その成型時にボビン50に融着される構成とした。
【選択図】図2

Description

本発明は、励磁電流に応じて可変絞り部の開口面積を調整して作動流体の流量を制御する電磁比例制御弁に関する。
一般に、車両に設けられるパワーステアリング装置の作動を制御するのに電磁比例制御弁がひろく用いられている(特許文献1参照)。
従来、この種の電磁比例制御弁は、筒状のスリーブ及びベースと、このスリーブ及びベースに摺動可能に挿入されるシャフトを備える。
電磁比例制御弁は、シャフトに働くスプリングのバネ力、ソレノイド推力と、その前後差圧による力、作動流体力等がバランスする位置にシャフトが移動する。これによって得られる電磁比例制御弁の開口面積及び前後差圧に応じた制御流量の作動流体が流れる。
特開2001−180507号公報
しかしながら、このような従来の電磁比例制御弁にあっては、シャフトの支持剛性が不足する場合、シャフトが移動する過程で弁体が受ける作動流体の圧力によって弁体のシート部に対する同心度が変化するため、励磁電流に応じて作動流体の流量を的確に制御することができないという問題点があった。
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであり、励磁電流に応じて作動流体の流量を的確に制御できる電磁比例制御弁を提供することを目的とする。
本発明は、励磁電流に応じて弁開度が調整される電磁比例制御弁であって、磁路を構成する筒状のスリーブと、円柱状のシャフトと、このシャフトに固定される円筒状のプランジャと、スリーブに対してシャフトの外周面を摺動可能に支持する第一軸受と、スリーブに対してプランジャの外周面を摺動可能に支持する第二軸受と、シャフトを付勢するスプリング付勢手段と、磁力によってプランジャを駆動するソレノイドと、を備え、スリーブは、圧力源側に連通するバルブ入口ポートと、負荷側に連通するバルブ出口ポートと、このバルブ出口ポートが開口するシート部と、を有し、シャフトは第一軸受からシート部に向けて突出する弁体を有し、シャフトがその中心軸方向に変位するのに伴って弁体とシート部との間で画成される可変絞り部の開口面積が変化する構成とし、ソレノイドは、樹脂製のボビンと、このボビンに巻かれたコイルと、このコイルを収容するコイルケースと、このコイルケースとコイルの間に充填して固化されるモールド樹脂と、を備え、このモールド樹脂は、ボビンより融点の高い樹脂を成型して形成され、その成型時にボビンに融着されることを特徴とする。
本発明によると、スリーブに対してシャフトの先端部分が第一軸受に支持されるとともに、シャフトの基端部分がプランジャを介して第二軸受に支持されることにより、シャフトが移動する過程で弁体が受ける作動流体力によって弁体のシート部に対する同心度が変化することを抑えられ、励磁電流に応じて作動流体の流量が急激に変化する変曲点が生じることを抑えられる。
モールド樹脂は、その成型時にボビンとコイル等の隙間に入り込み、コイルのまわりを隙間なく覆うことにより、ソレノイドの絶縁と防水がはかられる。
本発明の実施の形態を示すパワーステアリング装置の流体圧回路図である。 同じく電磁比例制御弁の断面図である。 同じくスリーブ等の断面図である。 同じくスリーブ等の断面図である。 同じく電磁比例制御弁の励磁電流と流量との関係を示す特性図である。
以下、本発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
図1は車両に備えられるパワーステアリング装置の流体圧回路図である。以下、これについて説明する。
パワーステアリング装置1は、ポンプ3、電磁比例制御弁2、パワーステアリングシステム7、圧力補償弁6、リリーフ弁5、オリフィス4等を備える。
ポンプ3から吐出される作動流体(作動油)が電磁比例制御弁2を介してパワーステアリングシステム7に供給される。
電磁比例制御弁2の前後差圧ΔP(=P1−P2)は、圧力補償弁6によってほぼ一定に保たれる。
電磁比例制御弁2に励磁電流が流れると、励磁電流に応じた弁開度調整が行われ、その開口面積に応じた制御流量の作動流体が流れる。
リリーフ弁5は流体圧回路の最高圧を決定するもので、安全弁として機能する。オリフィス4は流体圧回路の応答性、安定性に寄与する。
車両の非操舵時に、電磁比例制御弁2の開口面積が最小開度に保たれ、電磁比例制御弁2の開口面積で決められた最低流量の作動流体がパワーステアリングシステム7に供給される一方、大部分の作動流体が圧力補償弁6を介してタンク側に戻され、エネルギーロスを低減している。
車両の操舵時に、電磁比例制御弁2はその開口面積を大きくするとともに、電磁比例制御弁2の上流側の圧力P1が高く調整される。パワーステアリングシステム7は、電磁比例制御弁2の開口面積に応じて制御された流量の作動流体が供給され、必要とされる車輪の操舵力を付与する。
図2は、上記の電磁比例制御弁2を示す断面図である。電磁比例制御弁2は、作動流体の流路を画成するスリーブ(バルブボディ)30と、このスリーブ30に対して第一、第二軸受70、75を介して軸方向に変位可能に支持され作動流体の流路を絞るシャフト20と、このシャフト20に固定されるプランジャ(可動鉄心)60と、シャフト20を付勢する第一、第二スプリング11、12と、ソレノイド推力(磁力)によってプランジャ60を駆動するソレノイド(電磁コイル)15等を備える。
ソレノイド15は、樹脂製のボビン(巻芯)50と、このボビン50に巻かれたコイル(巻線)52と、このコイル52を収容するコイルケース10と、このコイルケース10とコイル52の間に充填して固化されるモールド樹脂54等を備える。
樹脂製のボビン50は、コの字形断面をした円筒状に成型して形成される。ボビン50に線材が巻回されることにより、コイル52が形成される。
モールド樹脂54は、コイル52を包囲するとともに、コイル52の端子53を収容するコネクタ部55が一体形成される。端子53にはこのコネクタ部55に差し込まれる図示しないソケットを介してリード線が接続される。図示しない駆動回路からの励磁電流がリード線、端子53を介してコイル52に導かれる。
モールド樹脂54は、コイルケース10とエンドリング9とボビン50とコイル52の間に溶融された樹脂を充填して形成される。モールド樹脂54は、ボビン50より融点の高い樹脂が用いられ、成型時にボビン50との接触部で融着される。こうして、モールド樹脂54がコイル52のまわりを隙間なく覆うことにより、ソレノイド15の絶縁と防水がはかられる。
ソレノイド15の磁路を構成する部材として、ソレノイド15の内側には、円筒状のスリーブ30と、このスリーブ30に対してその軸方向に並ぶ円筒状のベース90とが設けられる。
スリーブ30とベース90の間には、磁気ギャップ91が画成される。この磁気ギャップ91を囲むようにして円筒状のフィラーリング19が介装される。スリーブ30とベース90は、それぞれの外周面がフィラーリング19の内周面に嵌合するとともに、フィラーリング19の端部がレーザ溶接部43、44によって固着される。これにより、スリーブ30とベース90は、フィラーリング19を介して同軸上で結合される。
ソレノイド15の磁路を構成する部材として、ソレノイド15のまわりには、円筒状のコイルケース10と、円盤状のエンドリング9とが設けられる。ソレノイド15のまわりに生じる磁束は、磁性材からなるコイルケース10、スリーブ30、プランジャ60、ベース90、エンドリング9によって導かれる。
電磁比例制御弁2は、スリーブ30がポンプ3に備えられる図示しないポンプボディに嵌合するとともに、スリーブ30の外周部から鍔状に突出するプレート45を備え、このプレート45がポンプボディに締結される。
スリーブ30は、図示しないポンプボディに嵌合して取り付けられるスリーブ嵌合部32を有する。このスリーブ嵌合部32は、スリーブ30の中央部から鍔状に突出し、図示しないポンプボディの凹部に嵌合される。スリーブ嵌合部32は、ポンプボディに嵌合する外周面32aと、その外周面32aに形成される環状溝32bとを有する。環状溝32bにシールリング49が介装され、このシールリング49によってスリーブ30とポンプボディ間の密封がはかられる。
スリーブ30は、ソレノイド15の磁路を構成するスリーブ磁路部33を有する。このスリーブ磁路部33は、段付き円筒状に形成され、プランジャ60を包囲する内周面33aと、ボビン50及びコイルケース10に嵌合する大径外周面33bと、フィラーリング19に嵌合する小径外周面33c等を有する。
コイルケース10は、断面L字形をした円筒状に形成され、その先端内周面10aがスリーブ30の大径外周面33bに嵌合される。
エンドリング9は、その外周面9aがコイルケース10の基端内周面10bに嵌合し、その内周面9bがベース90の外周面90bにローレット圧入して固定される。
プレート45は、スリーブ30の大径外周面33bに対して軽圧入によって嵌合し、スリーブ30の外周部に形成された環状段部32cに当接し、この環状段部32cとコイルケース10の先端面との間に挟持される。
シャフト20とプランジャ60は、スリーブ30に対して第一、第二軸受70、75を介して軸方向に変位可能に支持される。
シャフト20は、直円筒面状の外周面20aを有し、この外周面20aが第一軸受70によって摺動可能に支持される。
プランジャ60は、直円筒面状の外周面60bを有し、この外周面60bが第二軸受75によって摺動可能に支持される。
スリーブ30とベース90の内側は、プランジャ60によってプランジャ前室82とプランジャ背後室81とが仕切られる。
プランジャ60にはシャフト20の軸方向に延びるプランジャ貫通孔60cが形成され、このプランジャ貫通孔60cによってプランジャ前室82とプランジャ背後室81が連通される。シャフト20とプランジャ60が軸方向に移動するのに伴って、作動流体がプランジャ貫通孔60c、外周溝71を通って弁体収容室83、プランジャ前室82、プランジャ背後室81の間を移動する。
スリーブ30の内奥には第一ギャップワッシャ41が介装される。ベース90内には第二ギャップワッシャ42が介装される。第一、第二ギャップワッシャ41、42は、非磁性の樹脂材によって円盤状に形成される。
シャフト20は、閉弁方向(図2において左方向)に移動すると、やがて第一ギャップワッシャ41に当接し、それ以上に閉弁方向に移動しないように係止される。
シャフト20は、開弁方向(図2において右方向)に移動すると、やがて第二ギャップワッシャ42に当接し、それ以上に開弁方向に移動しないように係止される。
円筒状のプランジャ60は、ソレノイド15の磁力によって駆動される可動鉄心として設けられる。プランジャ60は、シャフト20の中程に嵌合して固定される内周面60aを有する。
ソレノイド15がソレノイド推力によってプランジャ60を駆動する吸着方向は、図2に矢印で示すように右方向である。ソレノイド15に流れる励磁電流が増えるのにしたがって、プランジャ60は第一、第二スプリング11、12のバネ力に抗して図2において右方向に変位する。
コイル状の第一スプリング11は、シャフト20の基端部とアジャスタボルト40の間に圧縮して介装される。第一スプリング11は、シャフト20を閉弁方向(図2において左方向)に付勢する。
コイル状の第二スプリング12は、第一軸受70とプランジャ60の間に圧縮して介装される。第二スプリング12は、シャフト20を開弁方向(図2において右方向)に付勢する。
シャフト20の先端部(弁体25)がスリーブ30の作動流体が流れる流路(バルブ出口ポート16)に入り込んだ状態では、作動流体圧力によりシャフト20は閉弁方向(図2において左方向)に付勢される。第二スプリング12のバネ力が、この作動流体圧力に対抗して開弁方向(図2において右方向)に働くため、シャフト20を開弁方向に駆動するソレノイド推力が小さく抑えられる。
シャフト20が上記の状態から閉弁方向に距離Xsだけ変位する場合に生じるソレノイド15のソレノイド推力Fsolは、次式で表される。
Fsol=Ff+(ΔP・As)+(Fk1−Fk2)+(k1+k2)・Xs…(1)
ここで、
Ff:流体力
ΔP:電磁比例制御弁2の前後差圧
As:シャフト20の円柱部の断面積
Fk1:第一スプリング11の変位前におけるバネ力
Fk2:第二スプリング12の変位前におけるバネ力
k1:第一スプリング11のバネ定数
k2:第二スプリング12のバネ定数
とする。
電磁比例制御弁2はシャフト20に対して第二スプリング12のバネ力Fk2とソレノイド15のソレノイド推力Fsolとが開弁方向に働き、電磁比例制御弁2の前後差圧ΔPによる力ΔP・Asと、シャフト20に働く流体力Ffと第一スプリング11のバネ力Fk1が閉弁方向に働き、これらの力がバランスする位置にシャフト20が移動し、これによって得られた開口面積Av及び前後差圧ΔPに比例した制御流量Qが流れる。
アジャスタボルト40のベース90に対する螺合位置が変えられることにより、シャフト20に加わる第一、第二スプリング11、12のバネ力が調整される。
アジャスタボルト40は、ネジ部40aと、このネジ部40aの基端に拡径して形成される段部40bとを有する。アジャスタボルト40は、ネジ部40aがベース90の内周に形成されたネジ穴90aに螺合する。
アジャスタボルト40は、ベース90に対してスリーブ30側(図2において左側)からベース90に差し込まれ、ネジ部40aがベース90のネジ穴90aに螺合し、段部40bがネジ穴90aの端部に当接することにより、アジャスタボルト40の螺合位置がそれ以上に図2において右方向に移動することが係止される。これにより、アジャスタボルト40がベース90から抜け落ちることが防止される。
アジャスタボルト40の螺合位置を変えて第一、第二スプリング11、12のバネ力が調整された後に、ネジ穴90aのアジャスタボルト40の背後に位置する部位にシール材48が充填される。シール材48が固まることにより、アジャスタボルト40の緩み止めがはかれる。
図3は、スリーブ30、第一軸受70、第二軸受75等の断面図である。
第一軸受70は、円筒状に形成され、スリーブ30の内側に固定される。第一軸受70は、シャフト20の外周面20aに摺動可能に嵌合する軸受面70aと、スリーブ30に嵌合される外周面70bと、この外周面70bに刻まれた複数の外周溝71とを有する。
スリーブ30の内側は、第一軸受70によって弁体収容室83とプランジャ前室82が仕切られる。この弁体収容室83とプランジャ前室82は、第一軸受70の外周溝71によって連通される。
第二軸受75は、非磁性の樹脂材として例えばPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)等からなる樹脂製シート材によって薄肉円筒状に形成され、スリーブ磁路部33の内周面33aに固定される。
第二軸受75が非磁性の樹脂製シート材によって形成されることにより、プランジャ60を包囲するスリーブ磁路部33の内周面33aにプランジャ60を摺動可能に支持することが可能となる。
プランジャ60を包囲するスリーブ磁路部33の内周面33aは、第二軸受75を介してプランジャ60を摺動可能に支持するプランジャ支持部を構成する。
スリーブ30は、作動流体が流れる流路を画成するスリーブ流路画成部31とを有する。このスリーブ流路画成部31は、ポンプボディ内に収容されるスリーブ30の先端部に設けられ、作動流体の流路を画成する。
図4は、スリーブ30のバルブ出口ポート16とシャフト20の弁体25等を示す断面図である。
シャフト20は第一軸受70から突出するその先端部に弁体25が形成される。
スリーブ流路画成部31は、段付き円筒状に形成され、ポンプ3(圧力源側)に連通する複数のバルブ入口ポート18と、このバルブ入口ポート18が開口しシャフト20の弁体25を収容する弁体収容室83と、この弁体収容室83をパワーステアリングシステム7(負荷側)に連通する単一のバルブ出口ポート16及び出口室85とを有する。
ポンプ3から吐出される作動流体は、図中矢印で示すように、バルブ入口ポート18→弁体収容室83→可変絞り部84→バルブ出口ポート16→出口室85を順に通ってパワーステアリングシステム7へと送られる。
バルブ入口ポート18は、シャフト20の中心軸Oに直交するように延びる円柱状の流路を画成する。シャフト20は、例えば3対(6個)のバルブ入口ポート18が形成される。各バルブ入口ポート18は、シャフト20の周方向について等間隔を持つように配置され、シャフト20の中心軸Oを中心とする放射状に形成される。なお、バルブ入口ポート18の個数は、これに限らず、3対(6個)以外の複数個、または単数個(1個)であってもよい。
弁体収容室83は、シャフト20の中心軸Oを中心とする小径内周面31aによって囲まれ、シャフト20の弁体25との間に環状の流路を画成する。小径内周面31aにバルブ入口ポート18が開口している。
バルブ出口ポート16は、シャフト20の中心軸Oを中心とする円筒状壁面によって中心軸O方向に延びる円柱状の流路を画成する。
スリーブ流路画成部31は、シャフト20の弁体25に対峙する環状のシート部29を有する。このシート部29はバルブ出口ポート16の開口縁部としてエッジ状に形成される。シート部29と弁体25の間には可変絞り部84が断面環状の流路として画成される。
以上のように、弁体収容室83とバルブ出口ポート16とシート部29と出口室85とは、シャフト20の中心軸Oを中心として形成される。
スリーブ30のバルブ出口ポート16は、開口径Dの直円柱穴状に形成され、シャフト20と同軸上に延びる。
弁体25は、直円柱状に突出するストレート弁体部27と、このストレート弁体部27の先端から先細の円錐状に突出するテーパ弁体部26とを有する。
円柱状のストレート弁体部27の外径dは、バルブ出口ポート16の開口径Dより所定値だけ小さく形成される。
弁体25が最小弁開度以下の開度にある領域を最小開口面積一定領域(シャフト20の最小ストローク域)とする。この最小弁開度一定領域において、バルブ出口ポート16に弁体25のストレート弁体部27が挿入され、可変絞り部84はシート部29とストレート弁体部27の間に断面環状の流路として画成される。最小弁開度における可変絞り部84の流路断面積Avは、次式で計算される。
Av=(π/4)(D2−d2) …(2)
最小開口面積一定領域では、弁体25のストレート弁体部27がシート部29に挿入されているため、可変絞り部84の開口面積Avが弁体25の変位に伴って変化しない。これにより、可変絞り部84の開口面積Avが弁体25の最小弁開度の誤差(シャフト20の最小ストロークのバラツキ)によって変化することを抑えられる。
弁体25が最小弁開度より大きく、かつ後述する最大弁開度より小さい開度にある領域を開口面積可変領域とする。この開口面積可変領域では、弁体25がシート部29からバルブ出口ポート16に挿入されているため、可変絞り部84の開口面積Avが弁体25の変位に伴って変化する。
電磁比例制御弁2の弁開度が最小弁開度以下の開口面積一定領域では、可変絞り部84を通過する作動流体の流量がほぼ最小流量に保たれる。
電磁比例制御弁2の弁開度が最小弁開度から最大弁開度に達するまでの開口面積可変領域では、可変絞り部84を通過する作動流体の流量が弁開度に一次的に比例して増加し、可変絞り部84を通過する作動流体の流量が最小流量から最大流量へと増加する。
電磁比例制御弁2の最大弁開度は、プランジャ60が図2の右方向に移動して第二ギャップワッシャ42に当接する際に得られる弁開度となる。
こうして、電磁比例制御弁2は、シャフト20のストロークに応じて弁開度が制御される、可変絞り部84を通過する作動流体の流量が増減する。
図4に示すように、シャフト20の弁体25のストレート弁体部27が第一軸受70から突出する最大突出量(長さ)をLとすると、この最大突出量Lをシャフト20の外径dに対して所定値以下の範囲に設定し、シャフト20が移動する過程で弁体25が受ける作動流体の圧力によって弁体25のシート部29(バルブ出口ポート16)に対する同心度が略一定に保たれる構成とする。
実験に基づき、最大突出量Lをシャフト20の外径dに対して所定値1.5d以下の範囲に設定することにより、シャフト20が移動する過程で弁体25が受ける作動流体の圧力によって弁体25のシート部29に対する同心度が略一定に保たれることがわかった。
図5は、コイル52に導かれる励磁電流Iと流量Qとの関係を示す特性図である。この図5において、破線で示す理想特性は、最大突出量Lをシャフト20の外径dに対して所定値1.5d以下の範囲に設定した電磁比例制御弁2のものである。この理想特性は、最小開口面積一定領域にて励磁電流Iが増減するのに対して流量Qが略一定に保たれ、開口面積可変領域にて励磁電流Iが増減するのに伴って流量Qが次第に増大し、最大開口面積一定領域にて励磁電流Iが増減するのに対して流量Qが略一定に保たれる。
図5において、実線で示す特性は、最大突出量Lをシャフト20の外径dに対して所定値1.5dより大きく設定した電磁比例制御弁2のものである。この実線で示す特性は、電磁比例制御弁2のある開度で励磁電流Iが増減するのに対して流量Qが急激に変化する変曲点が生じる。この変曲点は、シャフト20が移動する過程で弁体25が受ける作動流体の流れによる力によって曲げ変形し、弁体25のシート部29(バルブ出口ポート16)に対する同心度が変化するために生じるものと考えられる。
第一軸受70を小径内周面31aに対するバルブ入口ポート18の開口部を部分的に塞ぐようにシート部29に近づけて配置する。これにより、シャフト20の最大突出量Lをシャフト20の外径dに対して所定値1.5d以下の範囲に設定することが可能になる。
図3、4に示すように、スリーブ30は、順に拡径して形成される円筒面状をした小径内周面31a、大径内周面31bを有する。小径内周面31aと大径内周面31bの間に環状のスリーブ段差部31cが形成される。
第一軸受70は、その外周面70bが大径内周面31bに圧入して固定される。第一軸受70は、その先端部70cがスリーブ段差部31cに当接することによって、それ以上にシート部29に近づくことが規制される。これにより、第一軸受70の取付位置がズレて第一軸受70がバルブ入口ポート18の開口部を大きく塞ぐことが回避される。
バルブ入口ポート18は、小径内周面31aと大径内周面31bとに渡って開口するように形成される。
第一軸受70の外周溝71は、その一部がバルブ入口ポート18に面して開口し、バルブ入口ポート18と弁体収容室83を連通する流路を構成する。これにより、バルブ入口ポート18から弁体収容室83へと流入する作動流体の一部は、外周溝71を通る。
以上のように本実施の形態では、励磁電流に応じて弁開度が調整される電磁比例制御弁2であって、磁路を構成する筒状のスリーブ30及びベース90と、円柱状のシャフト20と、このシャフト20に固定される円筒状のプランジャ60と、スリーブ30に対してシャフト20の外周面20aを摺動可能に支持する第一軸受70と、スリーブ30に対してプランジャ60の外周面60bを摺動可能に支持する第二軸受75と、シャフト20を付勢するスプリング付勢手段(第一、第二スプリング11、12)と、磁力によってプランジャ60を駆動するソレノイド15と、を備え、スリーブ30は、圧力源側に連通するバルブ入口ポート18と、負荷側に連通するバルブ出口ポート16と、このバルブ出口ポート16が開口するシート部29と、を有し、シャフト20は第一軸受70からシート部29に向けて突出する弁体25を有し、シャフト20がその中心軸O方向に変位するのに伴って弁体25とシート部29との間で画成される可変絞り部84の開口面積Avが変化する構成とし、弁体25が第一軸受70から突出する最大突出量Lをシャフト20の外径dに対して所定値以下の範囲に設定する構成とした。
上記構成に基づき、スリーブ30に対してシャフト20の先端部分が第一軸受70に支持されるとともに、シャフト20の基端部分がプランジャ60を介して第二軸受75に支持されることにより、シャフト20の先端部分に設けられる弁体25の支持剛性が十分に確保され、シャフト20が移動する過程で弁体25が受ける作動流体の流れによる力によって弁体25のシート部29に対する同心度が変化することを抑えられ、励磁電流に応じて作動流体の流量Qが急激に変化する変曲点が生じることを抑えられる。
本実施の形態では、スリーブ30は、順に拡径して形成される円筒面状をした小径内周面31aと大径内周面31bと、この小径内周面31aと大径内周面31bの間に形成される環状のスリーブ段差部31cと、を有し、第一軸受70が大径内周面31bに圧入して固定される構成とした。
上記構成に基づき、第一軸受70は、その先端部70cがスリーブ段差部31cに当接することによって、それ以上にシート部29に近づくことが規制される。
本実施の形態では、スリーブ30は、バルブ入口ポート18が小径内周面31aと大径内周面31bとに渡って開口するように形成される構成とした。
上記構成に基づき、第一軸受70は、その先端部70cがスリーブ段差部31cに当接することによって、それ以上にシート部29に近づくことが規制されることにより、第一軸受70がバルブ入口ポート18の開口部を大きく塞ぐことが回避される。
本実施の形態では、第一軸受70をスリーブ30に対するバルブ入口ポート18の開口部を部分的に塞ぐようにシート部29に近づけて配置する構成とした。
上記構成に基づき、第一軸受70を、バルブ入口ポート18の開口端よりシート部29に近づけて配置して、シャフト20の最大突出量Lをシャフト20の外径dに対して所定値以下の範囲に設定することが可能になる。
なお、これに限らず、第一軸受70を小型化し、第一軸受70をスリーブ30に対するバルブ入口ポート18の開口部から離して配置する構成としてもよい。これにより、第一軸受70がスリーブ30に対するバルブ入口ポート18の開口部を部分的に塞ぐことがなく、バルブ入口ポート18の開口面積が大きくなる。
本実施の形態では、弁体25は、円錐状に先細となるテーパ弁体部26と、このテーパ弁体部26の基端(テーパ肩部)から円柱状に延びるストレート弁体部27とを有し、開口面積可変領域にてシート部29に弁体25のテーパ弁体部26が対峙し、最小開口面積一定領域にてシート部29に弁体25のストレート弁体部27が対峙する構成とした。
上記構成に基づき、最小開口面積一定領域では、弁体25のストレート弁体部27がシート部29に挿入されているため、可変絞り部84の開口面積Avが弁体25の変位に伴って変化しない。このため、可変絞り部84の開口面積Avが弁体25の最小弁開度の誤差(シャフト20の最小ストロークのバラツキ)によって変化することを抑えられる。
これにより、電磁比例制御弁2は、最小弁開度を決める各部品の寸法公差を大きく設定することが可能となり、製品のコストダウンがはかれる。
本実施の形態では、スプリング付勢手段は、シャフト20を閉弁方向に付勢する第一スプリング11と、シャフト20を開弁方向に付勢する第二スプリング12とを備える構成とした。
本実施の形態では、第二軸受75が非磁性の樹脂製シート材によって形成される構成とした。
上記構成に基づき、プランジャ60を包囲するスリーブ30の内周面33aにプランジャ60を摺動可能に支持することが可能となる。
本実施の形態では、ソレノイド15は、樹脂製のボビン50と、このボビン50に巻かれたコイル52と、このコイル52を収容するコイルケース10と、このコイルケース10とコイル52の間に充填して固化されるモールド樹脂54と、を備え、モールド樹脂54は、ボビン50より融点の高い樹脂を成型して形成され、その成型時にボビン50に融着される構成とした。
上記構成に基づき、モールド樹脂54は、その成型時にボビン50とコイル52等の隙間に入り込み、コイル52のまわりを隙間なく覆うことにより、ソレノイド15の絶縁と防水がはかられる。
本実施の形態では、第一スプリング11のバネ力を調整するアジャスタボルト40を備え、このアジャスタボルト40は、ベース90内のネジ穴90aに螺合するネジ部40aと、このネジ部40aの基端に拡径して形成される段部40bと、を有し、ベース90に対してスリーブ30側からベース90に差し込まれてベース90内のネジ穴90aに螺合する構成とした。
上記構成に基づき、アジャスタボルト40は、ベース90に対してスリーブ30側からベース90に差し込まれ、ネジ部40aがベース90のネジ穴90aに螺合し、段部40bがネジ穴90aの端部に当接することにより、アジャスタボルト40がベース90から抜け落ちることが防止される。
本実施の形態では、車輪の操舵力を付与するパワーステアリング装置であって、電磁比例制御弁2と、電磁比例制御弁2の前後差圧ΔPをほぼ一定に保つ圧力補償弁6とを備え、電磁比例制御弁2が車輪の操舵力を発生するパワーステアリングシステム7に供給される作動流体の流量を制御する構成とした。
上記構成に基づき、電磁比例制御弁2によってパワーステアリングシステム7に供給される作動流体の流量が的確に制御される。
本発明は上記の実施の形態に限定されずに、その技術的な思想の範囲内において種々の変更がなしうることは明白である。
本発明の電磁比例制御弁は、パワーステアリング装置に用いられる電磁比例制御弁に限らず、産業機械等に用いられる電磁比例制御弁等に利用できる。
1 パワーステアリング装置
2 電磁比例制御弁
6 圧力補償弁
7 パワーステアリングシステム
11 第一スプリング
12 第二スプリング
15 ソレノイド
16 バルブ出口ポート
18 バルブ入口ポート
20 シャフト
20a シャフト外周面
25 弁体
26 テーパ弁体部
27 ストレート弁体部
29 シート部
30 スリーブ
31a 小径内周面
31b 大径内周面
31c スリーブ段差部
40 アジャスタボルト
40a ネジ部
40b 段部
50 ボビン
52 コイル
54 モールド樹脂
60 プランジャ
60b プランジャ外周面
70 第一軸受
70a 軸受面
75 第二軸受
90 ベース
90a ネジ穴

Claims (9)

  1. 励磁電流に応じて弁開度が調整される電磁比例制御弁であって、
    磁路を構成する筒状のスリーブと、
    円柱状のシャフトと、
    このシャフトに固定される円筒状のプランジャと、
    前記スリーブに対して前記シャフトの外周面を摺動可能に支持する第一軸受と、
    前記スリーブに対して前記プランジャの外周面を摺動可能に支持する第二軸受と、
    前記シャフトを付勢するスプリング付勢手段と、
    磁力によって前記プランジャを駆動するソレノイドと、を備え、
    前記スリーブは、
    圧力源側に連通するバルブ入口ポートと、
    負荷側に連通するバルブ出口ポートと、
    このバルブ出口ポートが開口するシート部と、を有し、
    前記シャフトは前記第一軸受から前記シート部に向けて突出する弁体を有し、
    前記シャフトがその軸方向に変位するのに伴って前記弁体と前記シート部との間で画成される可変絞り部の開口面積が変化する構成とし、
    前記ソレノイドは、
    樹脂製のボビンと、
    このボビンに巻かれたコイルと、
    このコイルを収容するコイルケースと、
    このコイルケースと前記コイルの間に充填して固化されるモールド樹脂と、を備え、
    このモールド樹脂は、
    前記ボビンより融点の高い樹脂を成型して形成され、
    その成型時に前記ボビンに融着されることを特徴とする電磁比例制御弁。
  2. 前記スリーブは、
    順に拡径して形成される円筒面状をした小径内周面と大径内周面と、
    この小径内周面と大径内周面の間に形成される環状のスリーブ段差部と、を有し、
    前記第一軸受が前記大径内周面に圧入して固定されることを特徴とする請求項1に記載の電磁比例制御弁。
  3. 前記バルブ入口ポートが前記小径内周面と前記大径内周面とに渡って開口するように形成されることを特徴とする請求項2に記載の電磁比例制御弁。
  4. 前記第一軸受を前記スリーブに対する前記バルブ入口ポートの開口部を部分的に塞ぐように前記シート部に近づけて配置する構成としたことを特徴とする請求項3に記載の電磁比例制御弁。
  5. 前記第一軸受を前記スリーブに対する前記バルブ入口ポートの開口部から離して配置する構成としたことを特徴とする請求項1または2に記載の電磁比例制御弁。
  6. 前記弁体は、
    円錐状に先細となるテーパ弁体部と、
    このテーパ弁体部の基端から円柱状に延びるストレート弁体部とを有し、
    開口面積可変領域にて前記シート部に前記テーパ弁体部が対峙し、
    最小開口面積一定領域にて前記シート部に前記ストレート弁体部が対峙することを特徴とする請求項1から5のいずれか一つに記載の電磁比例制御弁。
  7. 前記スプリング付勢手段は、
    前記シャフトを閉弁方向に付勢する第一スプリングと、
    前記シャフトを開弁方向に付勢する第二スプリングと、を備えたことを特徴とする請求項1から6のいずれか一つに記載の電磁比例制御弁。
  8. 前記第二軸受が非磁性の樹脂製シート材によって形成されることを特徴とする請求項1から7のいずれか一つに記載の電磁比例制御弁。
  9. 前記第一スプリングのバネ力を調整するアジャスタボルトを備え、
    このアジャスタボルトは、
    磁路を構成する筒状のベース内のネジ穴に螺合するネジ部と、
    このネジ部の基端に拡径して形成される段部と、を有し、
    前記ベースに対して前記スリーブ側から前記ベースに差し込まれて前記ベース内のネジ穴に螺合することを特徴とする請求項1から8のいずれか一つに記載の電磁比例制御弁。
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